李力先生、吉首大学で環境保護についての講義を行う

第1回中国環境保護提唱行動ネットワークの年次総会に参加するため張家界を訪れた李力先生が、吉首大学の張家界キャンパスにやってきた。

2012年11月20日夜、第一回中国環境保護提唱行動ネットワークの年次総会に参加するため張家界にやってきた李力先生は、魅力的な湘西地域を観光する機会を放棄して、吉首大学の張家界キャンパスを訪れ、私たち大学生に環境保護に関する講義を行った。形にとらわれず、盛り沢山な講義は、100名あまりの大学生の熱烈な歓迎を受けた。

李先生は北京市朝陽区環友科学技術研究センターの創始者であり、東アジア環境情報共有サイトの中国事務局責任者でもある。講義では、自身の長年にわたる科学知識の普及活動・環境教育・グリーン購入提唱の実践的な経験を引き合いに出し、緑色選択連盟(グリーン・チョイス・アライアンス)とアップル及びそのサプライヤーとの攻防や、繊維業界のブランドサプライヤーへの疑問といった具体的な事例を挙げて、学生たちに民間環境保護団体の伝説的な活躍の一面を示し、たびたび拍手を受けた。

李先生の環友科技センターは、中国において率先して廃食油利用の石鹸を制作し、廃棄物を宝に変えた。また李先生は、張家界自然保護区には観光客が多く訪れるという特徴を利用し、学生によるエコツーリズムのPRや、農村出身の学生によるエコ農業の意義や食の安全の重要性についての宣伝を提案した。学生たちは李先生の話に触発され、環境保護のためにできることは沢山あると感じていた。

李先生が水も飲まずに話し続けるのを見て、ある学生がミネラルウォーターのペットボトルを渡した時のことだ。李先生はボトルを受け取ったがふたを開けず、自分のバッグからマイ箸を取りだして、その学生にこういった。「私は外出する時はマイ水筒とマイ箸を持参し、使い捨てのものをできるだけ使わないようにしています。環境保護は自分から、身の回りの小さなことからはじめなくてはなりません。今日は慌てて来たからマイ水筒を持参するのを忘れました。罰として、飲まないでいましょう。そうすれば次は忘れないから」。李先生の行動は私たちの手本となるものだ。

天門山の自然保護に関わる学生環境保護団体の曾成林さんは、李先生の話から、(著名な環境NGOである)南京緑石の発起人・李春華、天津緑領の発起人・趙亮、緑満江?の発起人・周翔などが、皆かつては大学時代も環境保護団体のメンバーだったことを知った。彼らがNGOに就職したのち、ITブランドサプライチェーンによる汚染の調査や海河汚染の追跡、農村汚染被害者の権利擁護に成果を上げていることに、曾さんはとても啓発され、自分は学生時代に環境の公益活動に携わるのみでなく、卒業後、民間の環境保護団体を設立して環境保護を一生の仕事としたいと表明した。もし環境保護事業をヒマラヤに例えるなら、自分は山裾の一掴みの土から始め、少しずつ積み重ねていきたいと。

また、大学2年のある女子学生は、以前、夏休みに深センの電子部品工場でアルバイトをしたときに、汚染企業のさまざまな問題を体験し、身体的にも汚染による軽度のアレルギー症状を経験したそうだ。彼女は李先生から緑色選択連盟の紹介を聞き、李先生の環境保護団体が深センに行き、汚染の被害を受けている従業員の権利擁護活動を支援してほしいと切に願っている。

また、衡陽の農村部出身の学生はこのように語った。「小さい頃は、大人も子供も村に流れる川で泳ぎ、女性たちは洗濯をしたものでした。のちに県庁所在地にある中学に行くことになったので、泳ぐ時間はなくなりました。高校卒業後、大学に入り、同級生たちと勇んで泳ぎにいったとろ、水はあまりきれいではなく、少し泳いだら気分が悪くなって、身体が痒いし、とてもがっかりして帰りました。李先生、汚染排出企業が故郷の川にみだりに汚水を流さないようにする方法はありませんか」

その後、張家界に来て大学に通う数人のメンバーも生態系・環境保護に関する自分の考えと心得とを発表し、実際の行動で天門山国家森林公園を守り、私たち人類の共同の家である地球を守ろうと語った。

最後に李先生は心をこめて大学生たちに語りかけた。「環境保護活動は、必ずしも大事業を成し遂げる必要はない。環境保護は今から、自分から、身近な所からい始めるものなのです」

武陵山生態環境保護連合会の楊建初・許虎、張家界市のグリーン環境保護協会の趙琦も、李先生の講義を聞くために駆け付けた。

【筆者】楊 建初/武陵山生態環境保護連合会/寄稿/【翻訳】中文和訳チームC班 松江直子/[C12121201J]

公害は終ったの?解決したの?――公害地域の「今」を伝えるスタディツアー

公害を知らない若者と公害の現地を訪ねて学ぶ取り組み

大阪 公害といえば「水俣病」「イタイイタイ病」「大気汚染・ぜん息」をあげる人が多いと思います。被害を受けた地域の今はどうなっているでしょう。公害が終わったのか、その問いに答えるために、公害を知らない若い人たちと公害の現地を訪ねて学ぶ取り組みを、2009年度から3カ年にかけて行ってきました(地球環境基金助成事業)。

 2009年は富山・イタイイタイ病、2010年は新潟・水俣病、2011年はあおぞら財団の本拠内、大阪西淀川・大気汚染の地を訪問し、多くの人からヒアリングし、現地への提案を行いました。(2011年8月8日~11日)

 ヒアリングの対象は、被害者や公害病患者、運動の支援者、公害訴訟を担当した弁護士は勿論ですが、公害を規制する立場の行政や、公害を伝えるジャーナリストや教員、原因となった企業にも話を聞きました。様々な立場の話を聞く事で、公害の解決には様々な努力があって成り立っていること、現在も解決されずに残されている課題があることが浮かび上がってきます。参加者は社会の課題を知ることで「自分は何ができるか」を真剣に考え,顔つきが変わってきます。

 西淀川のスタディツアーは、和解解決後に希薄となっていた原因企業との関係性をつなぎ直す機会となり、関西電力と古河ケミカルズにヒアリングに応じてもらう事ができました。また、神戸製鋼の訴訟当時の担当者であった方にも話を聞く事ができ、「人間力があったからこそ対話を重視して和解という道に進むことができたのではないか」(森川千弘)といった、本からでは学べないことを感じたというレポートが多く寄せられました。

 3カ年行ってきたスタディツアーの様子はウェブサイトで公開しています。富山イタイイタイ病、新潟水俣病の様子もわかります。ぜひご覧ください。

 http://www.studytour.jpn.org/

企業担当者から当時の話を聞く

関西電力の太陽光発電所見学

最後の振り返り 熱気に溢れています

【筆者】林 美帆(HAYASHI, Miho) / あおぞら財団(Aozora Foundation) / 寄稿 /  [J12051102J]
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環境NPOあおぞら財団で、大学生がインターン実習

様々な場でNPO活動に関わるきっかけを

大阪 8~9月、あおぞら財団は若い活気にあふれます。この時期、夏季休業中の大学生がインターン実習にやってきます。期間は1人10日間。2011年は7校16名が参加をしました。

 興味・関心や目的に応じ、学生には様々なテーマが与えられます。『セミのぬけがら調べの企画運営』『自転車まちづくりの活動』『資料館の運営業務』『あおぞら財団年報の編集』等など…新鮮な目で見、質問をし、考え、提案する彼らに、あおぞら財団の活動にも新しい風が吹き込まれます。

 企業のインターン実習と同様、社会人としてのスキルやコミュニケーション能力を身につけることはもちろんですが、あおぞら財団は環境NPO。だからこそ、公害問題や環境問題、地域コミュニティの課題等、営利活動の中ではフォローできない社会の課題を学び、それに対し自分で考え、行動する力を養って欲しいと考えています。

 卒業後の就職先として環境NPOを選ぶ学生はほとんどいません。けれども公務員、教員、会社員などそれぞれの仕事の中で、家庭を持ち町会活動など生活する地域の中で、もちろん在学中に学生ボランティアとして、様々な立場や形でNPO活動に関わる事はできると思います。あおぞら財団のインターン実習体験がそのきっかけになったのなら、こんなに嬉しいことはありません。

セミのぬけがら調べでは、小学生のリーダーとして活躍

西淀川公害の資料整理

地域のイベントで来場者に活動を説明

【筆者】小平 智子(ODAIRA, Tomoko) / あおぞら財団(Aozora Foundation) / 寄稿 /  [J12040601J]
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企業が行う生物多様性の取り組み事例

都心に作られたビオガーデンで環境教育が行われている。

東京 近年、企業によるCSRとして環境保全活動が活発になっている。金属メーカー株式会社フジクラは、東京都江東区木場にあった自社工場の再開発を行い、オフィスと店舗を有する商業施設「深川ギャザリア」内に2010年11月、ギャザリアビオガーデン「フジクラ木場千年の森」を完成させた。このビオガーデンは、隣接している平久小学校が課外活動で使用するなど、一般に無料開放されている。

 この森に生育している植物は、潜在自然植生のタブノキ林と自然との共生モデルである雑木林を創出するために、高中木55種類約500本、低木24種約2000株など関東の在来種が選ばれ、水生生物も地元の荒川流域の在来種が生息する。カワセミ、コゲラ、カルガモなどの鳥類、トンボ類、チョウ類などの昆虫類も、隣接する川や運河、緑地を経由して飛来する生物として知られている。「この森には、様々な工夫をしています。例えば、鳥類の人口巣をつくるため半分枯れた木などを使っています」と設計担当の八色さんは説明する。

 このビオガーデンは、環境情報科学に関する学問及び技術の進歩・発展に関連する事業、出版、国際貢献等の業績のうち広く貢献したものを対象とし団体や個人に贈られる平成22年度の環境情報科学センター賞の特別賞を受賞している。

 2012年2月29日に行われた見学会では、ビオガーデンのコンセプトの説明や、設計からはじまって植物や土などを調達するまでの説明を受けた。ビオガーデンの敷地は、本来は付置の駐車場になる予定だったという。しかし自然の少ないこの地域のために、地域コミュニティと生物多様性への取り組みとしてビオトープとガーデンの両方の機能を持つ「木場千年の森」が創設されたという。

 今では、生物多様性をはじめとする環境保全の取り組みをCSR活動としている企業は一般的になってきている。その一環として、企業が小中学生を連れて郊外で環境教育を行う事例は増えているが、都心で身近な地域と密接した立地での環境教育も必要なのではないだろうか。深川ギャザリアのような施設がさらに増えていくことを期待したい。

ギャザリアビオガーデン入口

ビオガーデン内の様子

【筆者】蓮見 瑠衣(HASUMI, Rui) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12030201J]
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環境教育の実践者らの研鑽会が開催

震災を受け「人とのつながり」について考えた

栃木 2011年12月17日・18日、栃木県那須町にて環境教育東北・関東ミーティングが行われた。

 「環境教育ミーティング」とは、環境教育、自然体験活動、野外教育に関心を持っている方々が集まり、実践発表や情報の共有、研修や交流をする場として毎年開催されている。1987年に全国ミーティングが清里で始まり、その後地域のネットワークを構築することが重要であることから、地域ミーティングが開催されるようになり、東北環境教育は今回で13回目、関東ミーティングは8回目の開催となっている。

 今回は震災の影響もあり、東北と関東の合同で開催されることになり、テーマは「楽しくあつまろう東日本~人と人とのつながりなのだ~」となった。

 全体会でのプログラムでは「あなたにとってのつながりとはなんですか?」「あなたにとっての環境教育とはなんですか?」などという質問をし、参加者間の意見交換などが行われた。普段あたりまえに使っている言葉ではあるが、なかなか一言では表すのは難しく、一つの答えが出るわけではないが、参加者の頭をひねらせた。

 分科会では、通常の野外教育等の環境教育の他にも、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの福島原子力発電所の事故を受け、外に出られない福島の子どもたちにどのように環境教育を受けさせるかなど、震災を受けてのプログラムも目立った。また「地域活性化と環境教育」という言葉が見られた。

 筆者が参加した分科会ではどちらも地域活性化を謳ったものであったが、内容が多岐にわたり大変興味がわいた。というのも、ある発表者は地域活性化を商業と結び付けて、家族などが参加することで子どもが自然環境に触れ合うという趣旨で発表をし、他の発表者は地域活性化自体を子どもと学校の授業の時間でともに考えていこうという趣旨であったからだ。

 日本では小学校と中学校の義務教育中に「総合的な学習の時間」というカリキュラムがあり、教員や学校が独自の教育ができることとなっている。文部科学省によると総合的な学習の時間は、「変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、思考力・判断力・表現力等が求められる『知識基盤社会』の時代においてますます重要な役割を果たすものである」とされている。

 最近は学習指導要領が改定され、学習する内容も増えたため、学科における勉強も多いことと思われるが、多くの子どもたちが環境教育などの実践的な知識や考えを持つことが必要なのではないかと感じ、より多くの機会が子どもたちに与えられることを望む。

(参考URL)
・環境教育東北・関東ミーティング2011
 http://go-and-joy.com/kantomtg/about/

分科会の様子。8nos!の太田あづささんによる「八郎湖を取り巻く環境教育、地域活性と新しい層へのアプローチ」

全体会の様子。分科会受講者による発表会。

【筆者】蓮見 瑠衣(HASUMI, Rui) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12011302J]
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学生による環境報告書~上智大学の事例~

企業界ではCSRが広まってきたが、大学でのSR(社会的責任)はどのようになっているのだろうか。

東京 上智大学は東京、四谷にあるカトリック大学である。2009年度から上智大学では大学院の地球環境学研究科の学生が主体となり、(学生による)環境報告書を作成している。環境報告書はUSR(大学の社会的責任)の一環として、大学のエネルギー使用実態や省エネの取組など、環境に関してありのままの姿を知らせている。

 学生や教職員一人ひとりがキャンパスの環境保全や省エネルギーに対して何ができるか考える材料を提供することが目的である。

 環境報告書の内容は(1)上智大学での教育・研究における取組、(2)施設運営における取組、(3)学生や課外活動の取組、などである。上智大学には8の学部と10の研究科があり、環境に関しての様々なプログラムが開設されている。特に地球環境学研究科は文理融合教育を行っており、環境工学などの他にも日本で唯一環境金融論や環境ジャーナリズム論などの講義が開講されている。またアジア環境人材育成プログラムとして、海外でのフィールドワークを含む研修なども行われている。

 環境報告書は毎年、地球環境学研究科の修士1年生の有志が中心となり作成する流れになっており、先月に2年生から1年生の引継ぎが完了した。

 次年度の環境報告書作成グループの代表である太田絢也(おおた・じゅんや)さんはこう話す。「今はまだ学生活動の一環として行っているものですが、将来的には上智大学入学試験の出題範囲などにも利用してもらえるような公式文書にすることができればと考えております。この活動は本年で3年目を迎え、より充実したものにするべく、日々調査・執筆を行っています。このような学生の活動が広く知られるようになり、『CSR』ならぬ『USR(University Social Responsibility)』という概念が定着すればという志を持ってやっています。」

 最近は環境報告書の作成や環境保護活動を学生主体で行っている大学が増加傾向にある。大学の環境意識の高まりは、東京ビッグサイトで毎年開催されているエコプロダクツにおいて大学や高等教育機関等のブースが増えていることからも、うかがい知ることができる。このような学生主体の活動が更に増えていくことがよりよい環境をつくっていくことに繋がるだろう。

 なお、2010年度版環境報告書は今年度末までに公開される予定である。

(参考URL)
・上智大学環境報告書
 http://www.sophia.ac.jp/jpn/aboutsophia/approach/kh2009

上智大学地球環境学研究科M1の環境報告書主要メンバー

2009年度環境報告書の表紙 閲覧は上智大学HPにて可能

【筆者】蓮見 瑠衣(HASUMI, Rui) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J11110401J]
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樹木の二酸化炭素吸収量を知ろう!

内モンゴルの教育現場で、日本NGOのメンバーが子ども環境教室を開いた。

内蒙古自治区 5月4日~6日、中国の内モンゴルで地元の小学生を対象にした環境教室「樹木の二酸化炭素(CO2)吸収量を知ろう!」が開かれた。

 主催団体メンバーの一人、伊勢脩さん(南蔵王環境教育研究所)は、東日本大地震が起きた時内モンゴルにいた。自宅のある宮城県白石市は震災地であったにもかかわらず、家族の安否を心配しながら環境教育活動を続けた。この活動は帰国直前に地元学校からの要請を受けたことから始めることになったものである。専任のスタッフは勿論、通訳さえいない中での活動だった。

 場所はアラシャン盟左旗第七小学校で、参加したのは5年生の生徒だった。一日当たり40名、3日間でのべ120名の小学生が熱心に二酸化炭素について学んだ。目的は、以下のようなことを五感で学ぶことであった。
(1)木の基本的な働きを知る
(2)木のおおまかな二酸化炭素吸収量を算出する
(3)私たちが排出する二酸化炭素の一部を樹木が吸収していることを知る
(4)電気や水道を使うだけも二酸化炭素が発生することを知る
(5)木に頼るだけでなく、私たちも電気などのエネルギーを上手につかって、二酸化炭素を出さない努力をすることが必要であることを知る

 環境教室では、子どもたちが楽しみながら五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を使って自然を感じる活動をした後、めいめいが選んだ木の胸高直径を測った。それに基づき教室に戻った後、木のおおまかな二酸化炭素吸収量を算出した。最後に、各人が今日の活動の「総括」を発表して終了した。

 伊勢さんらはこの教室を通して、子どもたちに電気や水道の使用によっても二酸化炭素が発生することを知ってほしいと願っている。二酸化炭素の吸収を樹木だけにまかせるのではなく、自分たちも電気や水を上手につかって、二酸化炭素を出さない行動が必要であるという思いを子どもたちに伝えた。地元の教育委員会や現場の先生たちも、3日間にわたる活動に熱心に協力した。事故もなく、高い評価を得て、「学校でやれないことを補完してくれた」、「年1回だけではなく、四季折々に開催して欲しい」などの声が寄せられた。

 「どうして内モンゴルで活動を行ったのですか」という筆者が質問すると、伊勢さんは「震災の前に、活動のため、内モンゴルに入った。4月2日、子どもたちが活動現場に来てから、決して豊かでない自然環境のなかの活動であったにもかかわらず、大いに楽しみ感動している様子を見て、ゴビの自然環境でなければ味わえない自然体験や感動を味わう活動がしたいと思うようになった」と淡々と語った。

 今後は教育委員会や学校現場とのパートナーシップを大切にしながら、活動を実施していくという。そんな伊勢さんの熱意を大いに応援していきたい。

【筆者】姜晋如 / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J11061001J]
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新潟の歴史、水俣病を語り継ぐ

「もやい直し」をしながら、新潟水俣病をより伝わりやすい形に加工する作業が進んでいる。

新潟 3月27日、新潟県ユニオンプラザにて「阿賀野川え~とこだプロジェクト」(正式名称:阿賀野川フィールドミュージアム事業、以降FM事業)のフォーラムが開催された。このフォーラムは新潟水俣病関連の活動を展開してきたFM事業の記念すべき第1回報告会である。新潟水俣病により断ち切られた人々の絆や、環境とのつながりを再び結びなおすため、船を岸辺に結ぶ言葉にたとえ、これを「もやい直し」と呼びながら、同事業は様々な取り組みを行ってきた。

 プロジェクト全般に関わる里村洋子氏、旗野秀人氏、山口庫幸氏をはじめ、阿賀野川の歴史に関する紙芝居を作成した若手女性グループ「こっこ」や、在学中に新潟水俣病を論文のテーマに取り上げた元新潟大学社会学部の富永美香氏など、20代の若い世代も壇上に上がり、フォーラムは大盛況をおさめた。

 FM事業において、もやい直し活動の柱は主に2つだ。ロバダンと資料整備である。ロバダンとは、炉端談義を略した言葉だ。公害病など大きな問題を取り扱う場合は、大人数で話し合うと個人の本音が聞き取りづらい側面がある。そのため、会合の参加人数を10人程度の少人数に絞り、炉端での談合のような感覚で本音を語ってもらうのだ。相手の言い分を聞きとることで、問題に対する本音や共通意識を見つけだし、事態解決の突破口を探る。富永氏が論文を作成するにあたって関係者から意見を聴取したのもこの方法である。はじめのうちはなかなか本音を語りたがらなかった関係者も、ロバダンを重ねるうちに話をしてくれるようになったという。

 こうして聴取することができた情報から資料整備を行っていく。例えばここに1枚の写真があるとしよう。その写真が撮られた年代、場所、状況、さらには写真の著作に至るまでをすべて1枚のページにまとめ、データとして保存する。そのデータを活用することで、より水俣病を多くの人に伝わりやすい形に加工する。

 こうしてできあがった作品のひとつが「こっこ」の紙芝居だ。阿賀野川に関する歴史を語る3部作完結予定の紙芝居で、現在は『草倉銅山物語』『阿賀野川物語』の2部が完成している。かつて日本一の銅山といわれた草倉銅山の歴史や、太古からの阿賀野川周辺の暮らしがわかりやすく描かれている。

 発生から50年以上経過した今、事件の記憶は色あせつつある。新潟県内にも、水俣病についての知識がない若者が増えてきている。かつて、故郷で起こった悲劇だからこそ、そこから学ばねばならない出来事だからこそ、忘れてはならないこともある。

 ひとくちに伝えると言っても、単一の組織では限界があるのも事実だ。だからこそFM事業メンバーは、自分たちの活動が独り歩きをして欲しいという。
活動の中で生まれた紙芝居などの作品が、他の団体や個人に貸し出され、その場所で語り継がれていく。学校で読み聞かせを行う教師もいるそうだ。発信されていく情報、ひとつひとつが大切なのであり、ひとつひとつが「もやい直し」なのである。現在、紙芝居の他にパネル資料などがFM事業より無料で貸与されている。“結び目”に興味のある方は、下記のホームページまで。

「阿賀野川え~とこだブログ」
 http://www.aganogawa.info/

発表の様子

パネルディスカッションの様子

【筆者】山口究(YAMAGUCHI, Kiwamu) / 農家民宿いろり塾 / 寄稿 /  [J11060301J]
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6月1日子供の日に子供達にプレゼント、新刊『どろんこ大好き』発表

林や、池、野原、野に咲く花や小鳥が生まれつき嫌いな子供はいない。彼らが無関心なのは、現代生活に純真な心が歪められているせいである。

中国全土 5月29日、6月1日子供の日にちなみ、子供達とその保護者へのささやかなプレゼントとして、自然之友は北京で新刊『どろんこ大好き 春夏秋冬 親子で自然を楽しむ52の週末』(以下略『どろんこ大好き』)の発表を行い、都市児童の自然欠乏症についてのセミナーも開催した。同書は、自然之友ボランティアが翻訳し、中国少年児童出版社が出版した。

 「自然欠乏症」は既に都市部児童に広がっている一種の「病気」で、具体的には、自然との関係が絶たれたことにより引き起こされる、児童肥満、注意力の乱れ、孤独、うつ、きれやすい等の憂慮される症状である。アメリカでは、自然とのふれあいの減少に伴い、過去5年間に抗うつ薬を処方された児童は2倍に増えており、更には、第二次世界大戦以降始めて寿命が親世代を下回る世代になるとも言われている。

 自然之友の総幹事、李波氏は、「自然欠乏症は、中国で十分に重視されておらず、それによって引き起こされる可能性がある深刻な結果とともに社会全体できちんと認識されるべきであるにもかかわらずそれも不十分である。保護者は子供達を各種学習塾や習い事に連れては行くものの、大自然とのふれあいの機会にはそう熱心ではない。子供の自然欠乏症は、保護者にその大部分の責任がある」と述べた。

 『どろんこ大好き』は、子供達とその保護者両方へ向けた自然欠乏症の処方箋で、親子が一緒に童心に返って楽しめる52の野外活動を紹介している。手を泥で汚し、足を水に浸す面白さを通じ、基本的な自然の観察方法や楽しみ方を親子で学べるようになっている。

 自然之友の創始者、梁従誠氏は、「林や、池、野原、野に咲く花や小鳥が生まれつき嫌いな子供はいない。彼らが無関心なのは、現代生活に純真な心が歪められているせいである。都会の子供を自然に帰し、自然の中で一緒に遊んで、人と人、人と自然、そして自然自体が調和、共存していることを体験させれば、環境教育となるだけでなく、愛と健全な心を育むことにもなる。環境教育に従事するものは、子供を愛し、地球上全ての子供達の母である大自然を愛さなくてはならない。子供達と一緒に自然の恵みである美、喜び、安らかさを楽しみ、子供達の心にエコロジーの種を植える事が、私たちが自然にできる一番の恩返しである。」とかつて語った。

【筆者】自然之友、康雪 / 環友科学技術研究中心 / 寄稿 /  [C11060101J]
【翻訳】中文和訳翻訳チームA班 野口順子]]>

泥んこ大好き

中国語版「泥んこ大好き(原著:I Love Dirt!: 52 Activities to Help You and Your Kids Discover the Wonders of Nature)」への前書き

北京市 子どもはみな泥遊びが好きだ。全身泥まみれで、靴もズボンもずぶ濡れになって、親の大目玉を食らったという思い出は誰もが持っているだろう。「清潔」な環境で育ち、親の厳しい要求のもと、意味もはっきりしないままオリンピック数学の勉強に励む現代の子どもと比べて、以前の子どもはもっと幸福だった。また、当時の人と自然の関係はまだ比較的正常であった。それはヒヨコ、アヒルの子、仔羊や仔牛など動物の子と、泥や水たまりとの関係に近かった。こういった関わり合いは、人類が地球の生態系の一部であり、土と分けられない存在である事を的確に示している。また、このような関係はある種の趣きや美意識をこみ上げさせる。私たちは、よく「郷土性」や「草の根」といった言葉で、伝統や根源性を持っており、かつ自然観や生命力を備えた人物や作品を称賛する。

 しかし、残念な事に近頃こういった長年の人と自然の深い関係に大きな変化が現れてきている。私たちは、いまだに「母なる大地」を賛美し「ふるさと」を詠うが、一方では鉄筋コンクリートの家に住み、全力で田舎から抜けだそうとしているのだ。子ども達がバーチャルの世界に耽っている時間は自然に触れる時間を大きく上回っており、みな野良ネコよりもドラえもんを愛してやまない。良い教育を受けているというのに、自然には一目も置かず、ライラックやモクレンといった花も知らなければ、鳥の名前も知らない、ボタンとシャクヤクの区別もつかなければ、油絵と水彩画の区別もつかないという女の子に何人も出会った事がある。自然体験はエコライフ、低炭素生活の時流の中心におかれるべきである。また、これ以上に健康的で人を惹きつけるものも無いのだ。季節の寒暖に関わらず、雨でも雲でも雪でも、はたまた朝でも黄昏時でも夜でも、自然は惜しみなく私たちに豊かな贈り物と歓喜をもたらす。

 今年の6月1日国際子どもの日の、子どもと大人への小さなプレゼントとして「泥んこ大好き」は私たちが自然に接するための多くの方法とアドバイスを示してくれる。この本には季節に応じて、親と子どもが自然の中でできる探検や学習など52の活動が記されている。例えば春には、色彩の盛宴を見分けたり、ミミズの動きを見たり、鳥の会話を聴いたり、雨を観察したり、水たまりを飛び越えたり…。夏には土を掘って簡単な植物を植えたり、アリやテントウムシの秘密を探ったり、チョウチョの館を作ったり、月のゲームをしたり、星の名前を覚えたり…。秋には、自然とかくれんぼをしたり、クモの巣やシャ虫のレースを観察したり、雲や風の変化について知ったり、紅葉や落葉について学んだり…。冬には鳥の接待の仕方を学んだり、雪まじりの泥の上のガンの足あとを見たり、厳寒の生命について知ったり…。――もし私たちが遊ぶのが好きなだけでなく、実際に遊ぶ事ができるなら、自然の中の遊びから多くの「花博士」や「鳥博士」が誕生するだろう。さあ、早くでかけよう!

 この本で紹介されている秋の野外観察に「みんな地面へ」というものがある。これはまさに「人も大地に返る必要がある」という自然の性質を的確に表現している。今日、高層アパートに住んでいる人は特に「地に足を付ける」必要がある。いわゆる「接地感」と言われるものである。今一度、自然の中で「人」としての基礎を築き、自然の一部としての「人」を活性化し取り戻さなければならない。

 「泥んこ大好き(原著:I Love Dirt!: 52 Activities to Help You and Your Kids Discover the Wonders of Nature)」の中国語版は自然の友、自然教育活動家である親たちが無報酬で翻訳し、挿絵家の胖兎子粥粥氏が無償で54の章の挿絵を制作した。 この本は、以前に出版した「林の中の最後の子ども」のシリーズであり、親が子どもを連れて自然に接し体験する事、そして「自然欠乏症」から回復するのを手助けしてくれる。

 最後に、この場を借りて、すべての「自然」に関係するボランティアの方々に感謝の意を表します。

【筆者】自然の友 理事長 楊東平 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11060102J]
【翻訳】中文和訳チームB班 額田拓]]>