逆行する韓国政府、気候変動問題を無視した第6回電力供給基本計画

2013年2月22日、韓国・知識経済部が、第6回電力基本計画(以下、電力計画)を発表した。

電力計画は、知識経済部が2年毎に策定するもので、今後15年間にわたる電力需要の展望、需要の管理目標、(電力の)適切な予備率及び発電所の建設計画などが含まれている。今回発表された計画は、過去5回目よりも多い電力需要増加率の前提を、発電設備の増加は不可欠だと強調している。

具体的には2027年までに、石炭(1074万KW)、LNG(506万KW)など火力発電1580万KW、コージェネレーションなどを含む総合エネルギー371万KW、太陽光・風力など自然エネルギー456万KWなど、関連施設の増設が盛り込まれている。原子力発電については、判断が保留され8月に改めて決める見込みになっている。

新しい計画で議論になっている一つが、火力発電所の増設である。電力計画によると、2027年までに、新たに12基の石炭火力発電所を増設することで、電力の安定性を保つとされている。温室効果ガスの増加への懸念を無視し、電力の需要だけを優先する政府の主張には懸念が広がっている。

この計画が実行すれば、韓国政府が打ち出した温室効果ガスの削減目標(2020年までにBAU30%削減)を10%上回る可能性があると、専門家たちは指摘している。あんまりにも強行な発表に、環境部が知識経済部を批判する異例なことも起きた。

今回の電力計画について、環境団体からは、「韓国のエネルギー全体消費の70%を占めるエネルギー効率が悪い産業の付加価値は30%も足りない、このような企業に韓国の未来を任せてはいけない」「FIT制度からRPSに『格下げ』したにも関わらず、たったの一年間で、RPS制度すら着実に実行できない政府は無責任すぎ」るという批判があった。

また、パク・クンヘ政権は政府部署、学会、市民社会の強い反対を無視しては行けない、失敗に間違いない今回の電力計画を改めて全面的に検討し、国内では大手企業の利益ではなく、国民の健康を配慮する政府に、海外では温室効果ガスに寄与する国へとシフトすることを、環境団体などは強く求めている。

【筆者】朴 梅花 (PIAO, Meihua)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[K13032901J]

“気候ネットワークチャンネル”多言語で発信中

原子力問題や気候変動政策についてわかりやすく動画で解説

東京 環境NGOの気候ネットワークでは、2012年4月から、気候ネットワークのスタッフが原子力問題や気候変動政策についてわかりやすく動画で解説する“気候ネットワークチャンネル”を立ち上げました。

 2012-年5月5日にすべての原発が停止し、エネルギーに対する人々の関心もこれまでになく高まっています。また政府は現在、エネルギー・原子力・気候変動政策について検討をすすめており、そして、この夏には日本の今後のエネルギー政策を“国民的議論”をして決めていくことになります。

 気候ネットワークチャンネルでは、政府で議論されているエネルギー政策の論点や、原発が停止した場合の負担の問題やCO2排出量の増加など、多くの人が疑問に感じていることについて5分程度にまとめ、わかりやすく解説しています。

 毎週火曜日に、日本語版をホームページにアップし、随時、英語、中国語、韓国語などでも吹き替え版をアップしていきます。ぜひご覧ください。

第1回「原発のこれからをどう考えるか」(2012年4月24日up!)
第2回「夏の電力は足りるか」(2012年5月1日up!)
第3回「原発停止で負担が増える?」(2012年5月8日up!)
第4回「京都議定書は守れるか」(2012年5月15日up!)
第5回「夏の節電について」(2012年5月22日up!)

・気候ネットワークチャンネル
 http://www.kikonet.org/iken/channel.html


第1回「原発のこれからをどう考えるか」

【筆者】桃井 貴子(MOMOI, Takako) / 気候ネットワーク(KIKO Network) / 寄稿 /  [J12052502J]
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省エネ・排出削減と公衆参加

国家発展改革委員会が省エネ・排出削減全国民活動の実施方案を公布。

中国全土 このほど、中国の気候変動に対応する業務を行う行政部門である国家発展改革委員会が“第一二期五カ年計画(以下、一二五と略)”に基づき、省エネ・排出削減全国民活動の実施方案を公布した。

 この方案は、国家発展改革委員会が、財政・科学技術・農業・環境保護・宣伝・教育など16の中央部門及び機関と合同で制定したもので、相応する政府部門が率先して実施し、所属する事業部門と社会組織も協力して実施する。

 その分野は地域社会・青少年・企業・学校・軍事・農村・政府機関・科学技術・科学普及・メディアなど10の分野に及び、主にモデルケースの提示・特定テーマの活動・展覧展示・部署の創設・合理化の提案などの活動を行う。社会全体から最大限の人員を動員し省エネ・排出削減及びエコ・低炭素な生活・消費スタイルを提唱・実践するものだ。

 2011年、中国政府は “十二五”計画の概要を公布し、中国の経済発展におけるエコ・低炭素へのモデルチェンジを行う戦略部署を配置し、特に気候変動と省エネ・排出削減に重点を置いた。単位GDPあたりのエネルギー消費を16%削減、CO2排出を17%削減することを目標とし、合理的なエネルギー消費総量の制御、市場メカニズムを通じての省エネ・排出削減業務の持続的な改善、エコ・低炭素な生活・消費スタイルを提唱することで、中国の気候変動に対する目標を実現し、経済社会発展におけるエコ・低炭素へのモデルチェンジを促進する。

 過去を振り返ると、中国経済は高度成長と同時に資源環境問題が日増しに深刻化しており、国際社会は中国の経済発展の早さを称賛すると同時に、中国の化石エネルギーの大量消費・温室効果ガス大量排出の事実に大いに注目し、国際会議では中国に対し大きな圧力をかけている。

 統計によると、中国では2011年の省エネ目標と排出削減目標を未だに達成しておらず、 “十二五”省エネ・排出削減目標の実現に警鐘を鳴らしている。2011年末、国務院は相次いで≪“十二五”省エネ・排出削減総合業務方案≫と≪“十二五”温室効果ガス排出制御業務方案≫を公布し、全国の省エネ・排出削減の目標を各地域に分散させるだけではなく、同時に省エネ・排出削減と温室効果ガス排出規制目標に対する政策を提出し、産業構造の調整と合理化のステップアップ・化石エネルギー消費の減少・新エネルギーの開発・カーボンオフセット市場の構築・低炭素モデル地区・公衆参加などを通じて高消費高排出の経済発展モデルを転換させる。

 省エネ・排出削減に対する全国民の活動法案の実施は上記ふたつの法案を掘り下げ、きめ細かい活動と部署を配置することで、社会全体を省エネ・排出削減活動に参加させ、低炭素エコの理念を促進し、社会にひとつの風潮を作り上げることを目的としている。

【筆者】畢 欣欣 / CCAN / 東アジア気候ニュース 第3号より /  [C12050402J]
【翻訳】中文和訳チームC班 富川玲子]]>

雲南省で3年連続 の干ばつは天災か人災か

雲南省は、2010年から3年連続で干ばつに見舞われている。

雲南省 政府の統計によれば、2012年3月の中旬までで、干ばつの影響により254の中小規模河川の流れが途絶え、390の小規模ダムが涸渇している。被害者数は766万人、絶収面積(訳注:自然災害の影響によって収穫量が平年より7割以上 減少した作付面積)は6万3000ヘクタールにおよんでおり、森林火災警報も頻繁に発令され、 直接的経済損失は23.42億元にのぼっている。干ばつによって最も深刻な被害を受けたのは農業で、現在雲南省では減産、収穫量の激減や、経済的な損失が拡大し続けている。春まき作物の干ばつ受災面積(訳注:収穫量が平年より1割以上 減少した作付面積)は65万1080ヘクタール、成災面積(訳注:収穫量が平年より3割以上減少した作付面積)は37万6170ヘクタール、絶収面積は6万2480ヘクタールに達し、全省の直接的経済損失は23.42億元、その内農業における損失は22.19億元となっている。

 これまでの直接的損失の情況を見ると、干ばつによって深刻な被害を受けているのは、自然への依存度が最も高い農業に従事している農民が主体であることがわかる。さらに、都市と農村間の不均衡という現象も依然として存在する。干ばつが発生すると、まずは都市や工業が保護を受け、農村はないがしろにされる傾向がある。また、多くの農民は井戸を掘るなどして干ばつに対抗する金銭的余裕もないため、最も悪影響を受けるのは農業なのだ。現在雲南省の農村では生活用水さえ不足している情況にあり、灌漑用水が足りないことは言うまでもない。

 グリーンピース中国の「気候とエネルギープロジェクト」のマネージャーである李雁氏は、「自然災害に最も影響を受けやすいのはいつも農民と農村です。自力で対応できる能力のある農民はほとんどいないため、もっと政府が援助する必要があるのです」と言う。

 なぜ3年間も連続して 干ばつに見舞われているのか。雲南省気象局の専門家によれば、夏の季節風が平年より長く続いているために雲南省に運ばれる水蒸気の量が減っている。それと同時に季節風が形成する下層空気の収束帯が減少し、その結果雲南省上空の対流が弱まっており、さらに西太平洋の亜熱帯高圧帯の位置も雲南省での降雨に不利な状態になっている。

 しかし実は、人的要因がより大きな役割を果たしている。第一には、鉱物資源の野放図な採掘が地下水の枯渇を引き起こしており、一部の地域では水資源や土地の過度な開発によって、土壌が流失し生態環境が悪化している。石林県の村民らは、干ばつが深刻だという話題になると、圭山鎮の話をする。なぜなら圭山鎮には炭鉱があるからだ。第二には、無謀な森林破壊が自然循環システムを壊していることだ。近年雲南省では、「水汲みポンプ」と呼ばれるユーカリを経済林開発のために大量に植林している。ユーカリが干ばつの原因であるかについて専門家の意見は分かれているが、多くの科学者や環境保護の専門家は、雲南省における干ばつの原因は天然林の破壊であると指摘している。雲南省の気象学者の周強氏は、「雲南省とその周辺地域で干ばつが3年間も続いてるのは、主として森林がもたらす降雨を失ったため、つまり大量の原生林が破壊されたために干ばつが起きたと言えます」と語る。

 ここ数年、雲南省は経済発展のために大量の天然林を伐採し、経済林用樹種を植樹している。目下主にゴムノキやユーカリが植樹されているが、これらの樹種は日夜を問わず土壌中の水分を吸い上げるため「水汲みポンプ」と呼ばれており、植物生態系と水資源を破壊してしまう。現地の村民は「ユーカリ林では草も生えず、アリすら見つからない 」と言う。

 環境保護の専門家である于暁剛氏は、「雲南省の大干ばつと地球規模の気候変動とは非常に明確な関連性があります。周知のとおり、すでに中国は被害が最も深刻な国の一つとなっています」と語る。

 雲南省の大干ばつは、単に気候変動の問題であるだけではなく、様々な要因が複雑に入り交じる社会問題だ。我々は、大干ばつ問題を不可避或いは施すすべがない自然現象として捉えるべきではない。全国的な大干ばつに直面している今、既存の経済成長の方式と政策、特に地方経済発展の方式の根本を見直し、予防原則(precautionary principle)の角度から、天然林の保護により力を入れるべきだ。

雲南省の干ばつ被害(2012年3月)(提供:グリーンピース中国)

【筆者】呉 東建 / 環友科学技術研究センター(EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology) / 東アジア気候ニュース 第3号より /  [C12050401J]
【翻訳】中文和訳チームA班 歳国真由子]]>

C+気候公民超越行動

企業、郷村、学校、都市家庭・コミュニティー、個人が参加する共同行動が展開

中国全土 気候変動対応の核心および実質は行動である。現在、世界的な協議が停滞して前に進まない中、我々はより多くのボトムアップの行動を行って、政府のトップダウンの政策手段と相互連動させ、より効果的に気候変動に対応しなければならない。中国の民間組織は、各業界そして一人一人に行動を起こすよう呼びかけており、2011年9月、北京でC+気候公民超越行動を正式に立ち上げ、年末のダーバン会議で世界規模の超越行動を開始し、世界が一丸となって気候変動に対応するよう望んだ。

 「C+气候公民超越行動には三つの意味がある。『beyond government commitment』とは、政府が誓約した気候変動対応目標を達成し、それを超えるようサポートすることである。『beyond climate change』とは、気候変動対応と経済・社会の持続可能な発展計画を結びつけることである。『beyond China』とは、中国の経験を利用して世界の気候変動対応を牽引することである。企業、学校、都市家庭、コミュニティーはC+行動に参与して、気候変動対応行動を行うことが可能で、C+行動は彼らに計量、審査の点でのサポートを行っていく」。発起団体の一つである米国自然保護委員会(NRDC)の楊富強博士はこのように語っている。「現在、世界の協議で各国が誓約している目標は、気候変動問題の対応には遥かに及ばず、協議が先延ばしになるほど、排出削減すべき量と排出削減を約束した量とのギャップは大きくなる。気候変動問題の解決は政府だけの仕事ではなく、その基盤はボトムアップの民間の力であり、各業界および一人一人が行動を起こす必要がある。中国のこれらの民間組織の行動によって、中国政府がコペンハーゲン国連気候変動会議で行った誓約を実現する、つまり、2020年までに二酸化炭素強度(訳注:単位GDPあたりの二酸化炭素排出量)を40~45%削減するという目標を実現するだけでなく、より高い目標をクリアできるよう支援していきたい」

 これらの行動を数量化し、実質的な効果を挙げられるようにするため、C+气候公民超越行動は、独立した審査認証プラットフォームを構築する予定である。このプラットフォームの構築は道和環境・発展研究所およびエネルギー・交通イノベーションセンターが推進し、二酸化炭素審査分野で専門的な経験を有する様々な団体が参加し、支援を行っていく。

 C+气候公民超越行動は、2010年に天津で行われた「グリーン中国、未来へダッシュ」という民間組織共同行動に続く、規模の大きな民間気候変動共同行動である。我々は、5つの異なるタイプからすでに成功例を見つけ出した。つまり企業、郷村、学校、都市家庭・コミュニティー、個人が、関連民間組織を通じてC+行動に参加している。

 民間組織として、我々は、先進国、発展途上国に係わらず、世界の民間組織がこの行動に参加するよう呼びかけている。我々はすでにC+气候公民超越行動をスタートさせており、A+(アメリカ)、J+(日本)、E+(ヨーロッパ)、I+(インド)そしてさらに多くのX+行動が始まることを期待している。このようにボトムアップの行動モデルを様々な国に伝えていこう。「beyond government commitment」、「beyond climate change」、「beyond China」を成し遂げ、一丸となって行動しよう!

ダーバン会議プレスリリースの現場

【筆者】劉 彦君 / 創緑センター / 東アジア気候ニュース 第3号より /  [C12050403J]
【翻訳】中文和訳チームC班 橘高子]]>

東アジア低炭素成長ナレッジ・プラットフォーラムが開催

様々の分野からなる低炭素アジア研究ネットワークの立ち上げが提案された

東京 2012年4月15日、東京渋谷区の国連大学ウ・タント(U Thant)国際会議場で東アジア低炭素成長ナレッジ・プラットフォーラム(主催:国立環境研究所(NIES)、地球環境戦略研究機構(IGES)、国際協力機構(JICA))が開催された。政府会合である東アジア低炭素成長パートナシップ対話のサイドイベントとし開かれた本フォーラムでは、タイ、インドネシア、マレーシナなどアジア諸国の専門家などが参加し、それぞれ国の低炭素関連の情報が共有され、されに低炭素成長の実現に向け熱い議論が行われた。

 最初に行われた基調講演で、地球環境戦略研究機関(IGES)顧問の西岡秀三氏は、急速な発展を遂げているアジア地域はこのままの趨勢では、2050年には温室効果ガスの排出量、エネルギー使用量、GDPが世界の約半分を占めると予想され、アジア諸国が先進国の轍を踏まず蛙跳び型発展(leapfrog)の道を探らなければならないと語った。そのためには持続可能な発展、グリーン経済などが国の政策において優先的に反映される必要がある。同時に気候変動、高齢化社会などへの対応もこれからのアジア諸国には現実的に迫られてくるので、知識中核としての「低炭素アジア研究ネット」を構築し、①科学者と政策決定者が充分に話し合って効果的に政策に向けた研究を進めていくこと、②研究能力・知識がしっかりと国に根づいた国内研究者間の協力を進める、③域内で南―南協力のもとで研究者のネットワークを強化などを進めることが提案された。

 つづくパネルディスカッションでは、各国の気候変動に関する現状と取り組みなどが共有された。マレーシア工業大学ホー・チン・ション(Ho Chin Siong)教授は、国内では気候変動に関する知識の不足、得た知識の活用・応用、更にはその普及が大事で、低炭素を目指す青写真、マスタープラン、ロードマップなどの段階で先進国の経験や知識が必要になることを強調した。タイ・タマサート大学シリントーン国際工学部のブンディット・リミーチョクチャイ(Bundit Limmeechokchai)准教授からは、京都大学などと協力で行った低炭素社会シナリオ2030プロジェクトが紹介され、様々のセクターの参加、国際協力の重要性を語った。

 投資機関として参加したアジア開発銀行シータパティ・チャンダー(Seethapathy Chander)地域・持続可能な開発局長は、専門家の意見を収集するためのネットワーク、低炭素社会の構築による貧困率・エネルギー安保、気候変動問題などの解決につなげるためには、各セクターの協力・知識共有を更に支援していくことを示した。

 最後に行われたディスカッションでは、フロアーから日本で行われているスマートシティの取り組み(横浜)、中国やインドネシアとの自治体間協力(北九州市)などの情報が共有され、自治体レベルの協力などが共有された。アジア諸国が知恵を持ち出し、それぞれ自国の問題を解決しながら、真の低炭素アジアを目指していくことを期待したい。

【筆者】朴 梅花(PIAO, Meihua) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12042701J]
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ダーバン会議:気候ネットワーク声明

京都議定書を生かした次の法的文書づくりに合意

世界 2011年12月11日、ダーバン会議(COP17/CMP7)は、会期を延長した末、バリ行動計画(COP13)に基づいて現在進められている交渉を来年のCOP18までに終え、「議定書もしくは法的文書、法的成果」を2015年までに作ることを決め、閉幕した。

 また京都議定書については、2013年から第2約束期間を始めることを決めた。対象ガスや適用するルール、先進国の排出削減数値目標、第2約束期間の終了年を、COP18までに決定し採択することが目指されることになった。 さらに、先進国・途上国の緩和行動の具体化、緑の気候基金、適応委員会、技術執行委員会などにおいても、一定の進展があった。

 ダーバンでのパッケージ合意は、京都議定書の仕組みを維持し、機能させながら、その先の包括的な法的枠組みを強化していくことを決めたことを意味する。京都議定書の第2約束期間の合意がなければ、新たな議定書(法的文書)作りの合意もなかっただろう。混迷する交渉の中で生み出された今回の合意によって、次のステップが明確になり、世界の市民社会の希望をかろうじてつないだものと言える。

 一方で、交渉の遅れ、それに伴う対策の遅れは著しいと言わざるを得ない。気温上昇を2度未満に抑えるためには、今後の交渉を相当にスピードアップさせ、同時に、各国の行動レベルを引き上げる必要がある。

 ダーバンでの日本政府の方針は「京都議定書第2約束期間不参加」であり、現存する唯一の法的拘束力ある枠組みを否定し、離れていくというものだった。このポジションは堅く、他国からみて交渉の余地のない国、交渉に値しないアクターになってしまった。途上国を説得する代替案もなく、地球温暖化対策基本法案も宙に浮いた状態で「京都不参加」を繰り返すばかりの日本政府は「全ての主要国が参加する枠組み」に貢献することはできなかった。日本の環境外交の見通しは暗い。

 今後世界は、京都議定書の第2約束期間の実施を基礎に、より良い、効果的な次期枠組みをつくっていくことになる。この世界的潮流の中で、日本が引き続き京都不参加に固執することは、「フリーライダー(ただ乗り)」の道を選ぶことを意味する。国際社会の中での信頼低下、国内の低炭素化と持続可能な社会への転換の遅れ、それによる経済や雇用への悪影響など、負の効果をもたらすだろう。

 今回の合意を受け、日本は、今一度、方針を見直すべきである。そして、先進国の責任としてより高い削減目標を掲げ、それを実現する国内法と政策措置を備え、京都議定書の下で目標を掲げる準備をするべきである。それが今後の、包括的で効果的な法的枠組みの成功を実現することに大きく貢献することになる。

2011年12月11日

【筆者】気候ネットワーク / 気候ネットワーク(KIKO Network) / 気候ネットワークHPより転載 /  [J11121601J]
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交渉の折り返し地点は?(COP17/CMP7通信 No.2より)

会議前半の様子

世界 一週目も終わりにさしかかった。京都議定書の作業部会(KP)、条約の作業部会(LCA)等の場で、交渉文書案を作ろうと、実務担当者レベルによる議題ごとの交渉が続けられ、LCAではこれまでの交渉を取りまとめた文書が出てきた。来週も交渉が継続されるが、同時に、閣僚級会合で各国の大臣らが合意をまとめるための政治的な議題を洗い出していかなければならない。

 また、議長国とのインフォーマルな対話の場も複数回開かれ、これまで各国が意見を述べてきた。それをふまえ、議長は、「全体像」と題された1枚のペーパーを示している。そこには、「現在及び将来に必要なアクション」、「次のステップに向けたプロセス、インプット、期限」について箇条書きにされている。これをもとに、各国の間で、閣僚が交渉すべきポイントが模索され始めている。2週目からは、ガラっと交渉のモードが変わってくるだろう。2週目が、会議の成功のカギを握る。

■結局、包括的な枠組みはいつできるの?

 すべての主要国が参加する包括的な法的枠組みは、結局いつ頃できるのだろうか?(本来、2009 年のコペンハーゲンで合意すべきだったことは、どうかお忘れなく!)

これについて、最も強い危機感を抱く脆弱な国々の、AOSIS(小島嶼国)とLDC(低開発途上国)は、法的枠組みに関し、「2012年末に議定書を採択し、次期枠組みを構築すべき」との決定文書案を提出した。つまり、あと1年間交渉して結論を得るという、現実的に可能な最短スピードでの交渉結実を求めた形だ。これに対しEUは「2015 年に交渉を終えるべき」との時間軸を示し、米国に至っては「ポスト2020」という言葉を使い始めている。これには世界は唖然としている。ついこの前まで「ポスト2012」の枠組み作りを目指していたのに、突如「ポスト 2020」とは…。この先 10 年を「失われた10 年」にしかねないことに、厳しい批判が出ている。合意時期は、政治的な課題の一つだ。

【筆者】気候ネットワーク / 気候ネットワーク(KIKO Network) / COP17/CMP7通信 ダーバンNo.2より転載 /  [J11120901J]
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細野大臣ようこそダーバンへ(COP17/CMP7通信 No.3より)

I ♥ KP(京都議定書大好き)!

世界 2週目に入り、各国から大臣が到着し始めた。参加者の数がぐっと増えてきた。細野大臣も到着し、いよいよ会議は、本格交渉モードへ入りつつある。

 さて、細野大臣は、会議場に到着して、「I ♥ KP(京都議定書大好き!)」と大きなハート付のTシャツを着た人が歩いているのをどうご覧になるだろう?「日本が京都に反対しているのはその方が環境に良いからだ」と、政府交渉官の言うことを素直に受け止めているとしたら、気候変動を防ぐために活動する世界の環境NGOが、そして、生存がかかっている小島嶼国や後発開発途上国が、必死に京都議定書を守ろうとしているのを見て、日本のポジションに少しでも疑問を感じてもらえないだろうか?

 各国はここダーバンで、京都議定書第2約束期間の合意をしようと機運を高めつつある。それが、のちにできる米中を含んだ法的拘束力ある枠組みへの重要な足掛かりになるからであり、逆にその道が途絶えれば、気候変動交渉はこれまで積み上げてきたものを失い、15年以上前の法的拘束力ある排出削減の枠組みのない状態に逆戻りするのに等しいからだ。今回大きな批判こそないものの(もう十分失望されたから)、日本政府は、第2約束期間の合意を困難にさせ、ひいては交渉全体を困難にさせる役回りなのだ。

 日本が望む米中が参加する枠組みを実現するには、京都議定書第2約束期間の合意は必須アイテムだ。大臣の政治判断によって、日本が京都の下で削減を約束することへの前向きな再考を強く求めたい。

 もう一方の、包括的な法的枠組み作りでは、本来2009年で合意すべきだった交渉の期限(Timeline)の設定、法的拘束力ある(Legally-Binding)合意、を明確にしたマンデートが必要だ。米国の顔色ばかりうかがわず、この一週間で、もっと前に踏み出せるような交渉を望みたい

【筆者】気候ネットワーク / 気候ネットワーク(KIKO Network) / COP17/CMP7通信 ダーバンNo.3より転載 /  [J11120902J]
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合意づくりへ大詰め(COP17/CMP7通信 No.4より)

INDABAと閣僚交渉に委ねられそうな最後の合意

世界 会議は残すところあと2日。これまでの交渉は、条約AWG(AWGLCA)と、議定書AWG(AWGKP)での実務レベルの議論だったが、2週目に入って、片付かない議題のうち何を大臣に議論してもらうかの整理がされている。また並行して裏で進められるINDABAと名付けられたCOP議長による対話の場では、今回のダーバン合意に向けた全体的な議論が進められている。(INDABAとは南アフリカ先住民の言語で「寄り合い」という意味だそう)最後の合意は、このINDABAと閣僚交渉に委ねられそうだ。INDABAは、1週目はオープンだったが、2週目に入ってからは非公式になり、次のような議論がされている。

○緊急性

(1)目標レベルの引き上げ、(2)途上国支援の資金のスケールアップ、(3)速やかでより拡大された行動の実施。

○次へのステップ

(1)法的拘束力ある合意(新しい議定書)を作るのか、それを予断しないのか。(2)合意に向けた交渉の場は、現在の作業部会(AWG)の場で続けるのか、新しい交渉の場を作るのか、(3)合意の期限をいつにするのか、(4)合意内容は、バリ行動計画(COP13決定)・カンクン合意(COP16決定)に基づくのか、それにとらわれないのか。

 さらにINDABA では、パッケージで合意する京都議定書第2約束期間についても議論が行われている模様だ。日本の主張をよそに、世界は京都議定書第2約束期間を作る方向でパッケージ合意検討を進めている。ここまでで見受けられる米国の硬さ、中国・インドの「行動はまだ先」という姿勢を見ると、次へのステップに合意することだけでも困難だという声も聞こえる。しかし、合意の失敗による、気候変動交渉への悪影響と、実質的な気候変動対策の遅れは、許容されるべきものではない。脆弱な国の人々が裏切られず、世界の人々に希望を与える成果は生み出されるだろうか。答えは大臣の手に委ねられている。

【筆者】気候ネットワーク / 気候ネットワーク(KIKO Network) / COP17/CMP7通信 ダーバンNo.4より転載 /  [J11120903J]
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