エネルギー政策選択と環境アセスメントの役割

自然エネルギーを利用した地域おこし

NPO地域づくり工房(長野県大町市)は、くるくるエコプロジェクト(ミニ水力発電の普及)と菜の花エコプロジェクト(菜の花オイルとバイオ軽油の普及)を両輪に活動を展開し、これまでに4つのタイプのミニ水力発電所の設置・運営を経験し、バイオ軽油は年2万リットルを生産しています。加えて、天然冷蔵庫「風穴小屋」を復元・活用する活動を含め、自然エネルギーを利用した個性的な取り組みが評価され、全国各地からのエコツアーを受け入れてきました。

コヲミ平ミニ水力発電所

こうした地産地消型の自然エネルギーは、位置的・時間的制約が大きく、不効率で採算性に乏しいものです。それだけに、経済効率優先の社会の中では、かえって私たちの活動に発信力が与えられたのだと思います。それぞれに技術的・制度的な課題が山のようにあり、挫折を繰り返しながらの10年間でした 。

建設現場でも使われるバイオ軽油

■エネルギー政策選択の複雑さ

さて、福島原発事故は、エネルギー政策の大転換をもたらしました。「2030年代に原発ゼロ」をめざす政府のシナリオでは、火力・水力を増強ないし維持させつつ、自然エネルギーを含む再生可能エネルギーを飛躍的に成長させることで、エネルギーの安定供給を確保する計画です。

しかし、脱原発のためであれば、健康被害や地球温暖化の主役であった火力発電の増強、自然破壊の象徴である巨大ダムの維持、といった選択は容認されるべきなのでしょうか。自然エネルギーも、急激かつ大規模に推進された場合には、むしろ環境破壊や浪費につながることが懸念されます。

ヨーロッパでは、チェルノブイリ事故を教訓に、1980年代からエネルギー政策の転換を図る国々が見られました。しかし日本は、黒船や占領軍と同様に、災害という外発的な原因により国家の土台が揺らぎ、混迷のさなかにあります。確実なことは「原発ゼロ」を決めた政府が「近いうちに」崩壊することだけです。

■地域に根ざした市民らしい政策

日本のエネルギー事情は、消費の浪費的あり方とその大都市圏一極集中、そして生産の植民地的あり方に特徴があります。その根本を変えない場合は、せっかく地域で掘り起こされた自然エネルギーも効率化が進む送配電線網への接続を通じて、中央へ吸い上げられることになります。本来、食料の自給をめざして再生されるべき農地にも、太陽光パネルが敷き詰められてしまうのでしょう。それは私たちがめざす国土の将来像なのでしょうか。

エネルギーは社会のある姿を実現するための手段です。どのような社会をめざすのかという根本的な議論が本来は必要です。そうした議論の担い手として、既成の枠組みにとらわれない市民活動が、今こそ本領を発揮すべきです。

市民の政策が、独自性と説得力を持つためには、参加型調査学習活動の裏付けが必要です。広範な市民の参加を組織しながら進める調査により、地域の中から情報を引き出し、それに基づく対話と学習により、提言や実践のための計画をまとめていく作業です。エネルギー問題もその現場は地域社会にあります。自然エネルギーは、地域性が強いので、このことは特に重要です。

■市民から広げる政策アセス

さて、エネルギー政策のような根幹的で、長期に安定した方針が必要な分野でさえ、政治の混迷が影響して、展望を見出すことが難しくなっています。好き嫌いによる多数決ではない、論理的な合意の積み重ねが重要です。

そのためにも、アセス(環境影響評価)という科学性と民主性を二本柱とするプロセスが、こうした政策選択においても導入される必要があるのです。

残念ながら、日本では政策段階でのアセスは実現しておらず、昨年の法改正でようやく計画段階でのアセスの要素が一部取り入れられたという状況です。

エネルギー政策選択をテーマとしたアセスの実現が、多くの市民活動によって共有される獲得目標となり、その実施方法についても市民活動のイニシアティブにより活発に議論されることを期待します。

また、政府や自治体による政策アセスの実施を待つのではなく、市民活動の側も参加型調査学習活動とそれにもとづくワークショップ(作業が伴う会議の方法)によって、この分野での「市民からのアセス」を実践し、自分たちの政策を世論の中に広げていく努力が求められています。

【筆者】傘木 宏夫 (KASAGI, Hiroo)/NPO地域づくり工房/あおぞら財団機関紙『りべら』2013年1月号掲載記事より/[J13040501J]

逆行する韓国政府、気候変動問題を無視した第6回電力供給基本計画

2013年2月22日、韓国・知識経済部が、第6回電力基本計画(以下、電力計画)を発表した。

電力計画は、知識経済部が2年毎に策定するもので、今後15年間にわたる電力需要の展望、需要の管理目標、(電力の)適切な予備率及び発電所の建設計画などが含まれている。今回発表された計画は、過去5回目よりも多い電力需要増加率の前提を、発電設備の増加は不可欠だと強調している。

具体的には2027年までに、石炭(1074万KW)、LNG(506万KW)など火力発電1580万KW、コージェネレーションなどを含む総合エネルギー371万KW、太陽光・風力など自然エネルギー456万KWなど、関連施設の増設が盛り込まれている。原子力発電については、判断が保留され8月に改めて決める見込みになっている。

新しい計画で議論になっている一つが、火力発電所の増設である。電力計画によると、2027年までに、新たに12基の石炭火力発電所を増設することで、電力の安定性を保つとされている。温室効果ガスの増加への懸念を無視し、電力の需要だけを優先する政府の主張には懸念が広がっている。

この計画が実行すれば、韓国政府が打ち出した温室効果ガスの削減目標(2020年までにBAU30%削減)を10%上回る可能性があると、専門家たちは指摘している。あんまりにも強行な発表に、環境部が知識経済部を批判する異例なことも起きた。

今回の電力計画について、環境団体からは、「韓国のエネルギー全体消費の70%を占めるエネルギー効率が悪い産業の付加価値は30%も足りない、このような企業に韓国の未来を任せてはいけない」「FIT制度からRPSに『格下げ』したにも関わらず、たったの一年間で、RPS制度すら着実に実行できない政府は無責任すぎ」るという批判があった。

また、パク・クンヘ政権は政府部署、学会、市民社会の強い反対を無視しては行けない、失敗に間違いない今回の電力計画を改めて全面的に検討し、国内では大手企業の利益ではなく、国民の健康を配慮する政府に、海外では温室効果ガスに寄与する国へとシフトすることを、環境団体などは強く求めている。

【筆者】朴 梅花 (PIAO, Meihua)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[K13032901J]

「雲南ぶくぶく応援団・市民エネルギー研修 中国農村エネルギーの秘密をさぐる5日間」を終えて

中国農村部でのバイオガス・環境教育の状況を探りに現地へ

2012年11月18日から22日の4泊5日で、中国雲南省麗江市へ赴いた。

雲南省は中国の西南に位置し、ミャンマーとの国境がある少数民族の多い地である。漢民族の文化だけでなく、チベット文化の影響もあり、異国情緒を感じる中国国内でも有名な観光地となっている。しかし昨今、観光客の増加や開発により、豊かな自然環境が破壊されているという。

その地で、自ら行動する力を身につけるべく、環境教育が行われている。環境NGO雲南エコネットワークでは学校での環境教育だけでなく、交通の不便な山奥の集落への出前授業も行っている。今回の旅では、雲南エコネットワークの拠点である「緑色家園」を訪問し、活動の紹介から周辺の農村集落を見学、現在のバイオガスプラントの普及状態や使用状態などを見学した。見学後の旅行参加者と現地団体との意見交換は、活発なものとなり、参加者の環境への高い意識が伺えた。

また後日、小学校での環境教育を見学をした。小学校では「母なる地球を守るためには」という題目で授業が行われ、地域的な環境問題だけでなく、地球環境問題が扱われていた。昨年度も、同じ小学校での環境教育の授業を見学したが、教師によって授業の充実さに差があったと感じた。

現在、中国全体で廃棄物問題が浮き彫りになり、現在は政府もモデル都市をつくり、対策にのりだしているが、雲南省などの特に沿岸部から離れた内陸の農村部ではいまだ処理方法が居住地区周辺での野焼きとなっている。廃棄物の種類も昔と異なり、プラスチックなどの生分解質でないものが多く、そのままポイ捨てされている様子であった。

日本ではダイオキシンの発生を防ぐために、学校での焼却処理は禁止されたが、この地では児童が学校で廃棄物を燃やし、処理するという手法がとられていた。この問題に関し、日本で活動をしている参加者などの意見を受け、雲南エコネットワークの陳永松氏が玉龍県の教育部に提案するという。

最終日の振り返りでは、今後はお互いの情報交換を行い、活動を一層活発化させるということで話し合いが行われた。

現在は日中関係が著しく悪化しているが、市民交流を行い、お互いのことをよく知る機会が非常に重要であることを今回の旅で改めて認識した。

【筆者】蓮見 瑠衣 (HASUMI, Rui)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[J13030802J]

【eシフト声明】「原発ゼロ」の棚上げは許されない!使用済み核燃料再処理を放棄し、「原発ゼロ」の早期、確実な実現を!

「革新的エネルギー・環境戦略」とその扱いについて

日本全土 パブリックコメントや各地の意見聴取会、討論型世論調査などの「国民的議論」の結果を受けて、関係閣僚による「エネルギー・環境会議」は、9月14日に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定しました。

 その内容は、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」というものです。政府がはじめて、不十分ながらも「原発ゼロ」を掲げたという点は、これまでの原発推進路線からすれば大きな前進です。原発ゼロを望む多数の国民の声が、「国民的議論」を通じて可視化され、政府を動かしたためと言えます。それでも、パブリックコメントで約8割、および福島の意見聴取会でほぼ全員が「即時原発ゼロ」を支持したことを考慮すれば、大きく後退したものです。

 ところが政府は、この「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」との文言の入った「革新的エネルギー・環境戦略」の全文は閣議決定せず、当戦略を「踏まえて」「国民の理解を得つつ、柔軟性をもって不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との方針のみを決定しました。早くも「原発ゼロの」の「見直し」を示唆しています。一部の財界等の圧力や原発推進勢力の抵抗を受けたものと思われますが、それは、「国民的議論」において示された「原発ゼロ」や「即時原発ゼロ」を選択した、多数の国民の意向を無視するものであり、到底許されません。

 私たちは、より確実かつ早期の「原発ゼロ」実現を求めます。政府は「原発ゼロ」の方針を明確にして、「原発稼働ゼロを可能とする」ための具体的な道筋を、新しい「エネルギー基本計画」や「グリーン政策大綱」などで具体的に示していくべきです。また、この脱原発の方針を、法改正や新法制定によって確定させるべきです。

 「革新的エネルギー・環境戦略」については、下記に述べるような様々な問題点と不十分さがあります。これらを正しつつ、まさに「あらゆる政策資源を投入」して確実に遂行していくことこそが重要であり、「原発ゼロ」からの後退は許されません。

「革新的エネルギー・環境戦略」の問題点
【確定的かつなるべく早期の「原発ゼロ」実現に向けて】

 「革新的エネルギー・環境戦略」では「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を掲げながら、「2030 年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とあり、あくまでも努力目標にすぎません。

 原発ゼロは、確定的にかつなるべく早期に実現するべきものです。日本列島が地震の大活動期に入ったといわれる今日、「原発ゼロ」を曖昧な形で先送りすることは非常に危険な判断です。「安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用する」「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」としていますが、今回の原子力規制委員会人事をめぐる議論で明らかになったように、「安全性を確認」するための原子力規制委員会の委員の大半が、これまで原子力を推進してきた原子力ムラから選ばれています。私たちは原子力規制委員会設置法の立法主旨や国会論戦で政府側が答弁した内容をきちんと守って委員の選任がやり直されるべきであると思います。それなくして原子力規制委員会に判断を委ねることは、再稼働を後押しするものになります。

 また「原発の新設・増設は行わない」としていますが、枝野経産相は、「経産省としては工事許可を出した原発について変更することは考えていない」と、建設中の原発の継続を容認しています。もし「40年運転制限制を厳格に適用する」と、その原発は2050年を超えて運転されることになり、2030年代までに原発ゼロを可能にするという方針とも矛盾します。枝野発言は、この不十分である「革新的エネルギー・環境戦略」からもさらに政策を後退させるもので、強く批判されるべきです。

【核燃料サイクル政策、再処理事業は放棄するべき】

 「革新的エネルギー・環境戦略」では、核燃料サイクル政策について、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組」むと、「再処理事業」を継続することを述べていますが、「原発ゼロ」を選択するのであれば、もはや意味のない再処理は直ちに終わらせなければなりません。再処理事業は、原発の燃料であるプルトニウムを取出す作業で、原発の長期の継続という方針がなければ無意味な作業となります。再処理によって高レベル廃棄物そのものの体積は小さくなるかも知れませんが、その入れ物や、その貯蔵場所、さらに再処理過程で新たにつくり出される低レベル廃棄物の体積を合算すると、廃棄物のために必要な体積は巨大に膨れ上がっています。

 放射線量も減ることはなく、高レベル廃棄物と貯蔵されるプルトニウムを合算すれば同じす。原発を運転すればするほど、この核廃棄物と放射能を増やし続けていることに、しっかりと目を向けなければなりません。既に大量に貯蔵するプルトニウムをさらに増やしていくことは、核兵器拡散のリスクも高めます。

【省エネ、再生可能エネ、温暖化対策の一層の強化・拡大を】

 省エネについても、発電量は2030年までにわずか10%削減、最終エネルギー消費では19%削減という小幅な削減目標にとどまっています。省エネは、エネルギー政策としても温暖化対策としてももっとも重要であり、少なくとも2030年には発電量で15%以上、最終エネルギー消費では25%以上の省エネ目標を掲げることが必要です。

 再生可能エネルギーについては、2030年に発電電力量で3,000億kWhを目指すとありますが、これは事実上、発電量の30%を再生可能エネルギーにすることに相当します。実際には50%、60%にすることも可能であるとのシミュレーションもあり、より意欲的な再生可能エネルギーの導入目標を掲げるべきです。

 またエネルギー消費は電力に限ったものではなく、熱利用や燃料利用も含めた目標を提示するべきです。

 地球温暖化対策については、温室効果ガス排出量を、1990年比で2020年までに5~9%の削減としていますが、これは従来の日本の削減目標である「2020年25%削減」を大きく下回っています。5%であれば、京都議定書の2008~2012年の間に6%削減という目標からも後退しかねない内容です。私たちの試算では、省エネと再生可能エネルギー導入加速により、脱原発と温暖化対策は両立することが示されています。これはすでに欧州各国が実践していることでもあります。日本の景気回復や雇用の創出のためにも高い目標を掲げ、省エネルギーや再生可能エネルギーの内需を活発につくり出すという政策を積極的に推進すべきです。

【海外への原発輸出や核廃棄物の押し付けをやめ、省エネ、再生可能エネの開発・普及支援を!】

 「革新的エネルギー・環境戦略」では「国際社会との連携」について、「諸外国が我の国の原子力技術を活用したいと希望する場合には相手国の事情や意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有する技術を提供していく」として、これだけの事故を起こしながらも「原発輸出」等を正当化しかねない表現になっています。事実、政府は、福島原発事故後も原発輸出を推進しようとしていますが、これだけの悲惨な原発事故を起こしながら、海外に原発を輸出することなど許されません。また核廃棄物をモンゴルなど海外に輸出するということも計画されましたが、核廃棄物を海外に押し付けることも許されません。日本は、省エネルギーや再生可能エネルギーの開発・普及、そして廃炉や除染の技術開発で、国際社会と連携・協力し、途上国や新興国に対しては、原発輸出ではなく、省エネルギーや再生可能エネルギーで協力すべきです。

 eシフトでは、エネルギー基本計画はどうあるべきかを検討する委員会を立ち上げ、「市民版エネルギー基本計画」を作成しました。ここに示すように、脱原発と温暖化対策を両立し、将来に禍根を残さない、安全で安心なエネルギー社会の実現をめざす計画を策定することを私たちは強く訴えます。

eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)

2012年9月24日

*脱原発・エネルギーシフトの基本計画:市民版の「エネルギー基本計画」案

http://e-shift.org/?p=2301

http://e-shift.org/wp/wp-content/uploads/2012/08/120829_eshift_TheAlternativePlan.pdf

【筆者】eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会) / eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会) / 転載 /  [J12092802J]
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発電を続けて半世紀~中国地方の小水力発電を訪ねて

1954年から発電を続ける東広島市志和地区の「志和堀発電所」

広島 広島が原爆の業火に焼かれたあの日、私は広島市から車である場所に向かっていた。なんと半世紀以上も発電を続ける小水力発電設備があると言うのだ。

 広島市から車で1時間、東広島市の志和地区にある「志和堀発電所」は1954年に発電を始めた。近くの川に小さなダムを建設して取水し、1.5kmの水路を通ってきた水を鉄管を通じて水を落として水車を回して発電している。出力は95kWだ。

 建設当時、志和地区には3つの村があり、村ごとに農業協同組合があったが、そのうちのひとつ志和堀村の人たちが、農村の電化のために制定された「農山漁村電気導入法」の施行を受けお金を出しあって建設した。しかし、志和地区の村々が合併する時に、志和堀の人たちは合併する農業協同組合から発電事業だけを切り離して「志和堀電化農業協同組合」を設立させ、地域の財産として発電事業を続けることになった。以来、半世紀以上にわたって連綿と発電してきた。

 発電された電力は全て中国電力に売電しているが、志和堀電化農協の年間予算は1,000万円ほど、このうち700万円で設備管理費に充てている。水路に土砂や落ち葉が入っていくるため、そうしたものが鉄管に入らないよう、3名のスタッフが交代で管理しなければならない。スタッフはこう語る。「鉄管の老朽化が著しい。摩耗して穴が空きそうな箇所には鉄板を巻いておりツギハギ状態だ」もし、鉄管を交換しようとすると5,000万円以上かかるが、現在の収支ではとても無理だ。7月には、再生可能エネルギーを全て高い価格で買い取る制度が始まったが、対象は新設でこの発電所のような既設は対象にならない。

 私を案内してくれた中国小水力発電協会の土井さんはこう提案した。「現在の売電単価はkW時あたり9円に過ぎないが、14~15円に引き上げてもらえたら設備更新が可能になる。これを買い取り最低価格として保証してもらえたら良いのだが」

 地域の人たちが自分たちの財産として必死に守ってきた発電所は、老朽化に伴う設備更新ができなければ廃止されてしまう。脱原発に向けて、再生可能エネルギーがますます重要になる中こうした発電所がもっと保護されるべきではないだろうか。

志和堀発電所全景

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / 足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ(Edogawa Citizens’ network for Climate-Change ) / 寄稿 /  [J12082401J]
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東アジアエネルギー国際青年ワークショップ2012が開催

脱原発の東アジアをめざし、日中韓の青年が2030年のエネルギーについて熱く議論

山口 2012年8月4日~8日、山口と広島の両県で、日中韓の青年による東アジアエネルギー国際青年ワークショップ2012「脱原発の東アジアをめざして」が開催された。筆者を含む学生やNGOの若手スタッフ約30名の参加者は、67回目の原爆投下の日を迎えた広島や、中国電力上関原子力発電所の建設反対が30年間続いている祝島(山口県上関町)などのフィールドトリップを交えながら、原子力について議論を深めた。

 まずプログラム冒頭では、各国ゲストからの現状報告がおこなわれた。韓国のエネルギー正義行動・代表の李憲錫(イ・ホンソク)さんからは韓国の原子力政策と抗議運動、特に地域的な取り組みについて具体的な報告がされた。東アジア環境情報発伝所の山崎求博さんは日本の福島第一原発事故以降の状況について詳細に紹介した。また、中国のグリーンキャメルベル代表の趙中さんからは中国で展開する自身の活動について報告がされた。普段は情報の壁に隔てられている参加者の間では活発に質問が交わされ、国内事情が共有された。また、いくつかの基本データと各国報告にもとづいて、言語別のグループに分かれて、2030年の東アジアにおける原発の状況についての予測と理想像を話し合った。そして、参加者全員で原発のない東アジアこそが目指すべき未来だということを共有した。

 8月6日は「原爆の日」にちなんで広島訪問にあてられた。各種式典、反核イベントに参加したり、平和記念資料館を見学したりした。またその翌日も引き続きフィールドトリップとして一行は祝島を訪問した。

 中でも特に祝島は現在進行形の抗議運動として印象的であった。福島第一原発事故以来、建設工事が中断したことで、激しい抗議活動が行われているわけではなかったが、それだけに島のすぐれた自然と文化、半農半漁のライフスタイルをよく感じ取ることができた。4年に一度の神事である“神舞”を控えて忙しい中、参加者の相手をしてくださった島の方々には感謝したい。

 そうして見聞きしたこと、議論したことを踏まえ、プログラムの最後には参加者全員で、これから東アジアの原発をなくしていくにはどうするかというアイデアを出し合った。各種法制度のさらなる整備といった政治のレベルから、再生エネルギー利用促進、具体的な省エネの方法など個人レベルの方策まで様々な意見が共有された。

 議論を経て日中韓という参加3カ国の間に、事故の有無や政治体制の違いで情報公開度や、政府、市民の危機意識に相当な差があることが確認された。そのような差があるからこそ、今回のワークショップのような交流が意義を持つし、今後の協力のために大きな一歩となるだろう。

祝島から上関原発建設予定地をのぞむ

言語別に分かれたグループディスカッション

8月6日原爆投下時刻に黙とうをささげる

【筆者】石井 晋平(ISHII, Shimpei) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12081001J]
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脱原発を求める市民が国会を包囲

日曜日に行われた「7.29脱原発国会大包囲」に数万人の市民が参加した。

東京 2012年7月29日、「7.29脱原発国会大包囲」に参加した。主催は東京を中心に昨年来さまざまなデモを組織してきた運動ネットワークの首都圏反原発連合である。東京では6月末の大飯原発再稼働決定の前後から毎週金曜日の首相官邸前抗議行動が数万人単位の参加者を集めるようになっている。ようやくながらマスコミにも徐々に取り上げられるようになり、60年代の学生運動以来の市民運動の盛り上がりといわれる現状である。今回のデモはそのような流れを受け、平日参加できない人々のために日曜日に企画されたものだった。

 デモは2部構成になっており、午後3時半からの集会に集まったデモ隊は、まず官庁や東京電力ビルが立ち並ぶ中を行進した。サウンドカーやシュプレヒコールで脱原発を叫んだ人々はいったん解散し、第2段階として歩いて国会議事堂の包囲に向かった。私が現場に到着したのは第1部のデモ行進の途中だったが、色とりどりの楽器やプラカードを手にした人々からは、盲目的に原発再稼働をすすめる国や電力会社への憤りと、憤りを表現しようという強い意志が伝わってきた。

 日が暮れるころ、私も友人とともに国会議事堂へ向かったが、けっきょく目的地に定めた包囲の最前列にはたどりつけないほどの人の数であった。国会の周りの道路を誘導されながらデモの参加者たちを観察すると、やはり日本における動員の質が変わりつつあることがはっきりと読み取れた。昔ながらの労組などの団体旗もたくさん立っている。しかしその間を埋めて、タンバリンやキャンドルを手にマイペースで行進しているのは自由意志で集まった多くの個人である。彼らはSNSなどを通じてデモの情報を探し、必ずしも特定の運動体には所属していない。このような人々が何万人も集まるということは、かれこれ3,40年「デモの盛り上がらない国」とされてきた日本において特筆すべき現象だといえる。

 最近の一連の大規模デモには、盛り上がった運動ならではのいくつかの批判がついて回っている。たとえば運営上のミスであったり、主義主張の対立であったり、あるいは具体的な政策実現に結びつく道が見えないといったことである。こうした批判にはもちろんこれから回答が与えられていくべきだが、しかしまず重要なのは今日本で上記のような新しい政治空間が芽生えつつあるということであり、それをどのように枯らさず育てていくかということなのである。

 当日の様子については、独立市民メディアのOurplanetTVがすばらしい動画を配信しているのでそちらもご参照いただきたい。(言語は日本語だが映像だけでも雰囲気がよく伝わってくる)
→ http://www.youtube.com/watch?v=SBsCv2ldack

(関連記事)
・ 原発再稼働を止めろ!数万を超える市民が首相官邸前で抗議(12/6/29)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J12062902J

(関連URL)
・首都圏反原発連合
 http://coalitionagainstnukes.jp/

国会議事堂につめかけた群衆

経済産業省・資源エネルギー庁のビルに向かって抗議を叫ぶデモ隊

炎天下、多くの市民が参加した

【筆者】石井 晋平(ISHII, Shimpei) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12080301J]
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映画「ミツバチの羽音と回転」鑑賞会と祝島

山口県上関町祝島の島民たちの原発反対運動と島での生活を描く。

神奈川 今夏、東アジア エネルギー国際青年ワークショップ2012で山口県上関町祝島を訪れる。

 祝島の島民は1982年に中国電力が山口県上関町四代田ノ浦に沸騰水型軽水炉2基の建設計画を発表して以来、原発反対運動をしてきた。原発建設予定地は祝島の対岸である。もしここに原発が建設されれば、祝島の島民は毎日原発と向かい合って暮らさなければならない。また、祝島と建設予定地との間は豊かな漁場で、祝島の漁師達だけでなく島民全員の生活基盤になっている。

 映画「ミツバチの羽音と地球の回転」は「六ヶ所村ラプソディー」を監督した鎌仲ひとみさんの作品である。祝島では1000年も前から住民が住んでおり、昔は漁業で暮らしていた。戦後、人口は5000人にもなり国策としてみかんの栽培をしていたが、オレンジの輸入自由化により島民は生計を立てられなくなり、島外に出稼ぎにでる人や島から出てしまう人がおり、現在は500人の人口だという。原発建設計画が持ち上がったことにより、激しい反対運動が起こった。しかし、祝島は反対派と推進派に二分され、対立するという不幸な状態が続いている。同じ島で互いに助け合い生きていたが、今は対立する派閥の人とは互いに話もあまりすることがない。

 島に住む反対活動をしている方々は島民の活動だけで原発計画が無くなるとは思っていないが、この活動を続けていき、着工までの期間を延ばすことで、その間に社会情勢が変化していけば、原発がない世界になるのではないかと話されていた。

 この映画は2年前の作品であるが、撮影されたのは2009~2010年であった。しかし昨年の福島第一原発事故を受け、日本国民は毎週金曜日に脱原発デモを行うほど、国民意識も以前と比べ高まってきたといえるだろう。

 この映画は現在も自主上映が日本各地でされている。原発の話や島民の生活の様子の他にもスウェーデンの再生可能エネルギーで暮らしている地域の話などで構成されており、原発問題やエネルギー問題に関して初めて触れる人にもわかりやすい構成になっている。是非、多くの人に観ていただきたい。

・祝島ホームページ
 http://www.iwaishima.jp/
・映画「ミツバチの羽音と地球の回転」ホームページ
 http://888earth.net/top.html
 
 また、今夏開催される東アジアエネルギー国際青年ワークショップ2012では映画の舞台になった祝島にフィールドトリップで行くことになっている。興味がある方は是非、参加していただきたい。

・東アジアエネルギー国際青年ワークショップ2012
 http://www.eden-j.org/pdf/EAEWS1208.pdf

【筆者】蓮見 瑠依(HASUMI, Rui) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄港 /  [J12072002J]
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市民と政府が2030年のエネルギーの選択肢をめぐり議論

政府の示した3つのエネルギーシナリオに関する初の“自主的意見聴取会”が開催された。

東京 2012年6月29日、政府の「エネルギー・環境会議」から、2030年までの日本の原発のあり方に関する選択肢が提示された。(1)原発ゼロシナリオ、(2)原発15シナリオ、(3)原発20-25シナリオという、3つの選択肢を巡り、国民の意見を聞こうと、パブリック・コメント(〆切:8月12日)と共に全国の11都市で意見聴取会が開催されている。これまで開催された意見聴取会では、電力会社の社員が会社の立場を説明したり、その運営方法の問題点が指摘されている。そこで、7月19日、市民団体のネットワーク、eシフト(脱原発・新エネルギー政策を実現する会)と原発ゼロ・パブコメの会主催による、初の自主的意見聴取会として、「未来のエネルギーはどれ?『選択肢』に関する政府との意見交換会」が衆議院第一議員会館で開催され、200名以上の市民が駆けつけ政府担当者と熱い議論が行われた。

 まず、政府担当者である内閣官房国家戦略室の清水康弘審議官から「エネルギー選択肢」について説明がなされた後、会を主催した各市民団体から意見表明が行われた。

 気候ネットワークの平田仁子氏は、いずれの案でも省エネの10%削減しか見込んでいないという問題と、原発ゼロのために更に省エネしたい人のための選択肢がないことを指摘した。気候ネットワークでは、産業部門の効率向上と6割もある発電ロスなどを減らし、更に省エネ目標、キャップ&トレードなど適切な政策を実施することで、40%以上の省エネが可能であるという試算を4月に出している。また地球温暖化防止も脱原発も共に実現できることを強調した。

 環境エネルギー政策研究所の船津寛和氏からは、2050年先進国として温室効果ガス80%を削減するためには、2050年には燃料部門によるCO2排出をゼロにする必要があるが、原発ゼロシナリオですら再生可能エネルギーの導入が35%しか見込まれていない点が指摘された。同時に自然エネルギーの普及のためには、発送電分離、地域独占、小売市場の自由化などの制度改革を速やかに行う必要性を訴えた。

 使用済み核燃料サイクル問題については、原子力資料情報室の西尾漠氏より、ゼロシナリオ以外の二つの選択肢では、「再処理も直接処分をありうる」とはなっているが、仮に15%のシナリオの中でも全て直接処分を要求できることが紹介された。

 最後に国民的な議論のあり方について、グリーピース・ジャパンの高田久代氏より、パブリックコメントで寄せられた意見のデータを政府側が全て生の状態で公開すること、エネルギー・環境会議の傍聴と生中継を求めた。公開された11回の議事録などによると、会議の時間は30分前後が多く、「最重要の課題」とされる問題の議論が充分に行われたとは思えないという。

 その後の意見交換でも、フロアーから活発に意見が出された。政府が提示したゼロシナリオの表現がネガティブになっていること、15%シナリオで原発新設もありえることを明記するなど、選択肢の表現の即時修正を求める声が多かった。また、2030年を待たず、明日からでも原発ゼロを選ぶ選択肢がないことへの批判など脱原発への思いが熱く語られた。

 今回の意見交換の中明らかになったのは、パブリックコメントで寄せられた意見がどのように扱われるかという明確なルールがあらかじめ定められていないという点だ。選択肢として3つのシナリオが提示しているにもかかわらず、「この中から必ず選ぶと言う事ではなく、国民的議論、パブリックコメントを真摯に受け止め分析し考えていく」ということでは、何のための選択肢なのかわからない。主催団体や参加した市民からも多数、ルールの明確化としっかりとした情報公開が求められたのは当然である。

 主催側は今後も福島、郡山、横浜などで自主的な意見交換会を開き、国民の声を直接政府に届ける場を企画している。同時に、HPではパブコメの提出を呼びかけている。8月12日の〆切までに多くの市民がパブコメなどを通じて自らの意見を述べ、脱原発という望ましい未来を手にすることを願っている。

(関連記事)
・中長期エネルギー、第4の選択肢を!(12/7/6)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J12070601J

(関連URL)
・未来のエネルギーはどれ?「選択肢」に関する政府との意見交換会の動画
 http://www.ustream.tv/recorded/24091986

・パブコメで未来を変えよう(原発ゼロ・パブコメの会)
 http://publiccomment.wordpress.com/

・「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集(パブリックコメント)について(国家戦略室)
 http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf

未来のエネルギーはどれ?「選択肢」に関する政府との意見交換会

3つの選択肢の問題点を指摘する気候ネットワークの平田仁子さん

【筆者】朴 梅花(PIAO, Meihua) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12072001J]
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東アジア エネルギー国際青年ワークショップ 参加者募集中!

日中韓の青年が集い、東アジアのエネルギーの未来を議論するワークショップを8月に岩国市、祝島などで開催する。

山口 2012年1月に横浜市で開催された脱原発世界会議の東アジアセッションでは、原発推進地域となっている東アジアを脱原発の東アジアへと転換することをめざすことを合意した。

 東アジアセッションを担当した東アジア環境情報発伝所とエネルギー正義行動では、会議を行動につなげようと、一つの具体的アクションとして、次代を担う青年に原子力発電についての正しい知識を身に着けてもらい、原発推進地域となっている東アジアのエネルギーをどうしていくかを考えてもらう「東アジアエネルギー国際青年ワークショップ」を企画した。

 2012年8月4日(土)から8日(水)の4泊5日、山口県岩国市、自然エネルギー100%の島をめざす祝島(山口県上関市)、広島市などを舞台に、日中韓の青年が集い、東アジアのエネルギーの現状を学び、原発に頼らない持続可能な東アジアについて議論する予定だ。

 東アジアの環境協力を進めるための大きな障害が言語の壁であることから、通訳を介し、日常使っている言葉で中韓の青年と議論できるようにしている。新たな持続可能な東アジアの担い手の登場に期待したい。

日 程:2012年8月4日(土)~8日(水) 4泊5日
場 所:岩国市・広島市・祝島(山口県上関市)など
参加費:32,000円 ※会場までの交通費は含まれません。
対 象:35歳以下の青年
定 員:18名 ※先着順
〆 切:2012年7月20日(金)
    ※氏名、ご所属を明記の上、E-mailにてお申し込みください。
宿泊先:岩国亀の井ホテル http://www.kamenoi.com/iwakuni/
プログラム:
*第1日/8月4日(土)
 集合
*第2日/8月5日(日)
 第1部 講演「“原発推進地帯”東アジアのエネルギー事情」
      李憲錫(韓国エネルギー正義行動)
     講演「福島第一原発事故が与えた影響」
      山﨑求博(東アジア環境情報発伝所)
     講演「原子力研究機関から市民団体へ」
      趙中(中国グリーンキャメルベル)
 第2部 「2050年の東アジアのエネルギー事情をイメージする」
*第3日/8月6日(月)
 フィールドトリップ“広島”(平和記念資料館などを訪問)
 Peace Café“フリートーク”
*第4日/8月7日(火)
 フィールドトリップ“祝島”
 第3部 オルタナティブな未来を考える
*第5日/8月8日(水)
 解散
主催・問合せ:
NPO法人 東アジア環境情報発伝所
E-mail info@eden-j.org URL http://www.eden-j.org/
TEL 03-3263-9022 FAX 03-3263-9463
〒102-0082東京都千代田区一番町9-7-6F

★ワークショップのチラシはこちらからダウンロードできます。
 http://www.eden-j.org/pdf/EAEWS1208.pdf

過去に開催したワークショップの様子

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12070602J]
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