中長期エネルギー、第4の選択肢を!

市民の目線で政府のエネルギー・環境政策の選択肢を読む

東京 2012年6月29日、政府のエネルギー・環境会議は中長期エネルギーの選択肢について、2030年時点の電源構成での原子力依存度を0%、15%、20%~25%にする3つの選択肢を提示した。これから「国民的」議論を経て8月末までには最終的に一つを決めることになる。

 7月4日、参議院議員会館においてWWFジャパン、FoE Japan、気候ネットワークなどの気候変動関連団体が主催する緊急セミナー「政府のエネルギー・環境に関する『選択肢』を問う!」が開催され、気候変動の観点から政府の中長期エネルギー政策の選択肢について説明・議論が行われた。

 冒頭に気候ネットワーク代表の浅岡美恵さんより、3つの選択肢ができた経緯とポイントについて説明された。3つの選択肢はいずれもCO2の削減量が低く2020年25%削減は無視されたまま10%~15%の削減を前提に計算されたこと、火力発電の割合が依然として高いこと、省エネによる削減がどの案でも1割に統一されたこと、今後も生産活動が現在と同じ前提で試算されたことなどを指摘した。

 次にWWFジャパン 気候変動エネルギープロジェクトリーダーの小西雅子さんより、国際的な気候変動対策の流れが紹介された。産業革命後の世界平均気温の上昇幅を2度以内に控えるためには、直ちに行動しないと手遅れになる現在、日本の中期目標の選択肢の議論への市民の積極的な参加を呼びかけた。

 続いて「野心的な」気候変動対策の可能性と題して、原子力は温暖化対策にならないこと、脱原発と脱化石燃料依存と気候変動、自然エネルギーが経済産業への影響、長期的な削減シナリオなどについて、各団体の専門家たちによる提案が行われた。その中で、気候ネットワーク東京事務所長の平田仁子さんは、いずれの案にも気候変動の問題に答える選択肢はないことを指摘しながら、省エネと再エネ及び燃料転換による2020年25%削減は可能であるシナリオを提示した。続いてCASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の上園昌武さんも、WWFの山岸尚之さんも市民団体による削減シナリオという更なる選択肢を示した。

 最後にフロアから市民として第4つの選択肢を出して共有することへの提案について、CASA専務理事の早川光俊さんが将来の気候と世代のために、全国民が知恵を絞り、勝ち取る姿勢で向かうことを呼びかけた。そのためには、しっかりした観点を持ち、国民の関心事に直結できる第4つの選択肢づくりが必要であることも大事であることも語った。

 政府のエネルギー・環境会議では、7月2日から「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する意見募集(パブリックコメント)を開始した。(〆切:7/31)eシフトやさようなら原発1000万人アクション実行委員会などの市民団体ネットワークからなる「原発ゼロ・パブコメの会」では、一つでも多くの声を政府に届けようと「パブコメで未来を変えよう」と呼びかけを行っている。

(関連URL)
・緊急セミナー「政府のエネルギー・環境に関する『選択肢』を問う!」動画
 http://www.ustream.tv/recorded/23715685

・パブコメで未来を変えよう(原発ゼロ・パブコメの会)
 http://publiccomment.wordpress.com/

・「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集(パブリックコメント)について(国家戦略室)
 http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf

Ustreamで配信されたセミナーの様子

「パブコメ書くぞ!」パブコメくん

【筆者】朴 梅花(PIAO, Meihua) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12070601J]
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原発再稼働を止めろ!数万を超える市民が首相官邸前で抗議

政府の下した大飯原発3・4号機の再稼働決定の撤回を求め、全国から多くの市民が首相官邸前に詰めかけた

東京 2012年6月16日、日本政府は、福井県おおい町にある関西電力の大飯原発3・4号機の再稼働を正式に決定した。再稼働阻止を求める市民は、政府の再稼働正式決定前から首相官邸前での抗議行動を行っていたが、政府の正式決定後の6月22日(金)夜には、4万5000人(主催者発表)の市民が首相官邸前に集まり、再稼働反対を訴えた。

 そして、7月1日の再稼働予定日を間近に控えた6月29日の夜。前の週をはるかに上回る市民が首相官邸前に集まり、再稼働決定の撤回を求めて抗議の声をあげた。集まった市民は、主催者発表によると20万人と言われており、twitterなどでも「初めてだが、反対の意思を伝えたい」という書き込みも多くみられたが、実際に会社帰りのサラリーマンや子連れの母親など、再稼働反対を願う普通の市民の姿が目立った。また、わざわざバスをチャーターして、地方から首相官邸前に駆けつけた人たちもいる。また市民メディアの岩上チャンネルでは、ヘリコプターを飛ばした空からの中継をはじめ、首相官邸前の様子をインターネットで配信し、現地に駆け付けられない地方の市民が集まってインターネット中継を見る小さな集いも各地で開かれた。

 デモが行われている頃、首相官邸を出て隣の首相公邸に移動した野田総理は「大きな音だね」と周囲に語ったそうだ。6月28日に一斉に開かれた電力各社の株主総会では、株主から提案された「脱原発議案」がすべて反対多数で否決され、電力会社は原発は必要との認識をあらためて示し、他の原発の再稼働をめざしている。

 原発再稼働をさせないという多くの市民の声と願いで政治を動かすべく、次の金曜日にも首相官邸前での抗議が呼びかけられている。

(関連URL)
・首都圏反原発連合
 http://coalitionagainstnukes.jp/

6.29首相官邸前デモの空撮写真【撮影:野田雅也(JVJA)】

首相官邸前の車道にもあふれだした抗議の声をあげる市民

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12062902J]
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大飯原発3・4号機の再稼働反対で緊急集会開催

安全性無視の野田首相の判断は問題だ

東京 2012年6月13日、参議院議員会館講堂にて「再稼働を止めよう!市民・弁護士・超党派議員の集い~大飯原発、安全性はどこへ?:見逃された破砕帯問題~」と題する緊急院内集会が開催された。

 野田首相が関西電力の大飯原発3・4号機の再稼働の判断をしようとしている中、原発再稼働に反対する与野党議員や弁護士・市民が結集した。

 基調講演では、変動地形学が専門の渡辺満久東洋大学教授が大飯原発の破砕帯(断層)について解説した。大飯原発直下に活断層がある可能性も示唆され、(1)直下地震による「揺れ」の被害想定が不十分で、活断層の無視や値切りがされていること、(2)土地の「ずれ」の被害想定がなく、活断層の存在を徹底的に無視されており、建設地として根本的な欠陥がある可能性があることなどを指摘した。また、渡辺教授は、「野田首相が『安全性については知見と対策を総結集し、最高レベルで判断をした』などと言っているが、どんなレベルで判断したのか理解できない。全く安全性が確保できていないまま再稼働に踏み込むことは非常に問題だ」と指摘している。

 続いて、脱原発弁護団共同代表の海渡雄一弁護士が法的観点から見た問題について報告した。本来行政のあるべき姿として、福島第一原発事故が想定をはるかに超えた地震と津波で大規模な被害が起きたので、国会の事故調の判断を待って、審議されている規制庁法案を待って判断すべきだと強調した。「専門家でもない政治家が止める判断はできても、動かす判断はすべきではない。」と野田首相の判断を非難した。現在、すべての原発について差し止め訴訟を起こすことも報告されている。

 官邸前では連日、再稼働反対の市民デモが行われ、数千人の人が押し寄せ「再稼働反対」のシュプレヒコールが鳴り響いている。
 

【筆者】桃井 貴子(MOMOI, Takako) / 気候ネットワーク(KIKO Network) / 寄稿 /  [J12061501J]
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震災から1年、自然エネルギーのまち葛巻は今

自然エネルギーによるエネルギー自給率100%をめざす葛巻町を訪れた。

岩手 2012年6月5日から三日間、自然エネルギーで有名な岩手県葛巻町を訪れた。葛巻町は、酪農とワインという元々の基幹産業に加え、56万kwの風力発電中心に、バイオマスや太陽光など自然エネルギーを取り入れた自然エネルギーによるまちづくりをすすめてきた。2000年代半ばの最盛期には、毎年300件を超える視察を受け入れていた。

 近年、視察件数も年間170件ほどとなっていたそうだが、2011年3月11日の東日本大震災が発生。幸いにして内陸部にある葛巻町では、地震や津波による被害はほとんどなく、町が出資する第三セクターが運営するホテルなどで被災者の受け入れや職員が被災地支援にあたった。ただ、福島第一原発事故による放射性物質による被害が拡大する中で、昨年6月ごろからメディアの取材が殺到、全国各地の自治体からの視察も再び急増し、葛巻町に再び注目が集まるようになったという。

 震災後、葛巻町では、災害時を想定して、住民の避難場所となる町内25カ所の公民館に、2~9kwの太陽光パネルと蓄電池を設置した。設置に際しての費用やメンテナンス費用は国の補助金などを活用して町が負担し、運営は公民館の運営協議会や当該地区の自治会に委ねている。通常、公民館で電気を利用する時間帯は限られていることから、太陽光による余剰電力は売電され、年間20~30万円以上の収益が見込まれている。この収益はすべて公民館の運営協議会や自治会に入り、活動の活性化に役立ててもらうそうだ。

 現在、葛巻町では、風況調査が完了しているところもあり、さらなる風力発電の設置を希望しているが、東北電が設備の関係で受け入れができないということで話はすすんでいない。町の担当者も「2012年7月1日から再生エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートすることで、自然エネルギーでつくられたすべての電力が買い取られ、あたかも一気に自然エネルギーが普及するのではと思われている方も多いかもしれませんが、電力会社が受け入れ可能な範囲でという条件がつけられているため、町が希望している風力発電の増設が進まないのは今までと変わりません。また、電力会社の新たに決められて買い取り価格で、葛巻町が儲かると思われる方もいらっしゃいますが、提示された買い取り価格は、新規増設分が対象で、既設分には適用されません。葛巻町としては既設分の買い取り価格を少しでもあげてもらうことができないか要望しているところです」と語る。

 自然エネルギーによる自給率100%をめざす葛巻町だが、国の法制度や電力会社の壁はまだまだ大きい。町の関係者が「原発一基分に相当するぐらいの自然エネルギーを葛巻町内に設置して脱原発を進めていきたい」と語っていたが、脱原発社会を実現するためにも葛巻町の奮闘を応援していきたい。

(参考URL)
・葛巻町 クリーンエネルギーへの取り組み(葛巻町)
 http://www.town.kuzumaki.iwate.jp/index.php?topic=kankyo

・再生エネルギーの固定価格買い取り制度(経済産業省)
 http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

8kwの太陽光発電が設置された元木地区生活改善センター

畜ふんバイオマスシステム

グリーンパワーくずまき風力発電所

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12060801J]
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「脱原発をめざす首長会議」開催

安全な社会を実現するために原子力発電所をなくすことを目的に、全国70名の首長がネットワークを作った。

日本全土 住民の生命財産を守るためには脱原発社会を構築しなければいけないと判断する自治体首長が集い、2012年4月28日、「脱原発をめざす首長会議」が東京都品川区の城南信用金庫本店で開催された。

 城南信用金庫は福島第一原発の事故後、原発に頼らない電力を使用するためにいち早く東京電力との契約を解除し、自然エネルギーや余剰電力を販売している電気事業者と契約を結んだことで知られる「脱原発」推進派の金融機関だ。このたびは社会貢献の一環として首長会議に場所を提供した。

 首長会議は安全な社会を実現するために原子力発電所をなくすことを目的とするもので、全国の70名の首長・元首長が会員になっている。原発をなくすとともに再生可能エネルギーを推進していくために、勉強会の実施、情報の収集・提供、政策提案などを行っていく。

 世話人である静岡県湖西市の三上元市長は昨年の震災後、世論の半分でしかなかった「脱原発」を市長として明確に訴えていくことを決意した。このネットワークには「並々ならぬ決意を込め」たと言う。

 多様な思想を持つ住民の代表である首長が、意見の分かれるテーマについて特定の考えを表明することには、多くの困難が伴うことが予想される。それでも会議の会員首長たちは腹をくくって脱原発をめざす。「脱原発」をすることでより多くの住民が安全に暮らせる社会を構築することにつながると判断したからだ。

 同じく世話人を務める国立市の上原公子元市長は「首長が決意するということは大変なこと。ネットワークができればすごい話だと思っていたけれど、とうとう実現できた」と会議の結成を喜んだ。

 会議では、朴元淳・ソウル特別市市長のメッセージも紹介され、韓国の「脱核・エネルギー転換のための都市宣言」に賛同した首長らとも協力していきたい旨が示された。

 会員は自治体の首長と元首長だが、各党の国会議員を顧問に迎えており、産業界から「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」、NGOから「環境エネルギー政策研究所」や「ピースボート」などの協力を得、広く活動の幅を広げていく方針だ。

設立総会の動画(撮影:環境エネルギー政策研究所)
http://vimeo.com/41336797

【筆者】山本 千晶(YAMAMOTO, Chiaki) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12051101J]
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大飯原発再稼働を止めろ!市民が緊急要請!

4月11日に「原発ゼロへ!止めよう再稼働 4・11アクション」が急きょ開催された。

東京 日本政府は、関西電力大飯原子力発電所3、4号機を再稼働させるため、4月以降、野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚による関係閣僚会合を数回にわたり開催し、拙速なまでに全ての原発の稼働停止を防ごうとしている。4月12日の夕方には、5回目の関係閣僚会合が開かれ、関電の計画や今夏の電力需給見通しについて詰めの協議を行い、再稼働を福井県などに要請することを決定するのではないかと報じられた。

 しかし、福島第一原発の事故の原因究明もなされていないし、地震や津波の想定も甘く、でたらめな”暫定的な安全基準“のみで動かそうという政府の立場に、多くの市民の怒りは頂点に達している。

 連日、官邸前では再稼働反対のアクションが行われているのに加え、4月11日には「原発ゼロへ!止めよう再稼働 4・11アクション」が急遽呼びかけられた。あいにくの大雨にもかかわらず約700人が集まり、国会周辺(日比谷公園から経産省前を通過し国会へ)をデモ行進し、国会国会議員への再稼働を止めるよう緊急要請をした。

 大飯原発から30km圏内に入る滋賀県や京都府、さらに大阪府や大阪市などの周辺自治体からも拙速な再稼働の判断に反対表明が出ている。メディアの世論調査でも、再稼働に対して6割から9割の人が反対を表明しており、「私たちは原発からの電力はいらない!」との市民宣言もわずか数日で5000人近く集まっている。民意を無視した危険な再稼働を「判断」することは許されない。

雨の中をデモ行進する市民

【筆者】桃井 貴子(MOMOI, Takako) / 気候ネットワーク(KIKO Network) / 寄稿 /  [J12041301J]
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福島原発災害から一年、香港からの発信

3.10国際会議と3.11反核デモ

香港特別行政区2011年3月11日、日本の宮城県東方沖でM9級地震が発生、15mの大津波を引き起こした。また、強い揺れと津波は福島第1原子力発電所を激しく損壊させ、大量の放射能漏れをまねいた。福島原電事故は、1986年の旧ソ連チェルノブイリ(現在はウクライナ共和国内)原発事故に次ぐ重大な原子力災害となった。これにより、各国政府及び原子力ビジネスに携わる人々がこれまで「原発は十分コントロール可能で、安全安心」と言ってきたことが全くのウソであったことが露呈された。福島原発事故から一年が経ち、世界各地では反核抗議活動が行われ、政府に対しすぐに原発を停止するよう訴えている。グローバリゼーションモニター及び反核を訴える人々は、香港の他の多くのNGOとともに3/10~11日に国際反核シンポジウムとデモ行進をおこなった。シンポジウムと行動を通して国際反核運動の交流と団結を促すとともに、香港市民と中国の本土の市民に、原発が人類と自然環境に及ぼす致命的な危害を周知することが目的だ。

「様々な角度から見た原子力の真実」と題された国際シンポジウムは、3月10日香港理工大学で行われ、欧米やアジアにおいて長期に渡り反核運動をしてきた専門家や組織代表が講演をおこなった。もっとも有力な原発技術批評家の一人「カナダ核責任連盟(Canadian Coalition for Nuclear Responsibility)」の創設者かつ代表のGordon Edwards博士、核武装が環境と市民の健康に与える影響に関してはお馴染みの病理学者Gould博士(博士はまた、アメリカ核戦争防止と核拡散防止の最大医学組織「社会的責任のための医師の会(Physicians for Social Responsibility (PSR))」分会の代表でもある)、70年代からドイツの反核運動に参加しているベテランのフリー記者Wolfgang Pomrehn 氏、十数年にわたり台湾で反核運動をすすめる環境NGO「緑色公民行動連盟」の康世昊理事長、そして「インド核軍縮平和連盟(CNDP)」会員のS P Udayakumar博士らが参加した。

S P Udayakumar博士は積極的にインド・クダンクラム(Koodankulam)原子力発電所運転阻止に参加しインド政府に「反乱を先導した」等の罪で出国を規制された。私達はインターネットテレビを通じ、S P Udayakuma博士による国という枠組みを越えたインドの反核運動経験を分かち合った。さらに福島の核災害を経験した日本工会会員の岩倉美穂さんと長期間日本に滞在する台湾の著名な作家劉黎兒さんは、悲惨な自らの経験を伝えるために遠路はるばる香港まで足を運んでくれた。特にこのことに感謝の意を表したい。
シンポジウムの参加者は100~120名で、その中には一般市民、大学生、大学教師、労働運動および環境団体のメンバーはもとより、20数名の中学生とともにシンポジウムに参加した中学校教師もいた。国際シンポジウムには原子力支持者も参加し、その支持者の一人の大学教員は、会議の中で「原子力発電の効率は風力発電等の再生可能エネルギーよりはるかに高く、原子力エネルギーを放棄することはできない」と発言、この発言に会場は反対派と賛成派の激論になった。このことからも社会には賛成派と反対派の意見の間には大きな衝突やなじり合いがあることを垣間見ることができた。

正式な会議への参加以外にも、異なる団体も彼ら海外の専門家を招き対談や招待座談会を行った。これらの討論の動画はネット上に公開されている。

一方、反核デモは3月11日午後2時に始まり、抗議者は尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の九龍公園から、旺角にある中華電力本社までデモ行進をした。デモ行進は雨の降る寒空の下、ネイザンロードを直進し、沿道では多くの市民が足を止め私達の反核の主張に耳を傾けた。デモ隊は中国旅行客の集中する旺角ショッピングモールに入り、中国の人々に自分たちと人類のこれからの世代への原発の危険性を訴えた。デモ隊は最後に香港中華電力本社の門で、電力会社に原子力発電所の即時停止を求めるとともに、参加した市民が黒い風船を破裂させ、「原子力安全論」のウソの暴露を象徴すると、デモは一段落を迎えた。

原子力は1953年にアイゼンハワーが国連で行った演説を皮切りに軍事的利用から発電に利用され始め、1970年代には石油危機によりすさまじい勢いで発展した。フランス、日本、旧西ドイツ、スウェーデン等は1970年代にアメリカのウエスティングハウス及びゼネラル・エレクトリック社の技術移転により自国の原子力工業を作りあげた。世界原子力協会(World Nuclear Association, WNA)の統計によると、2012年3月までに、全世界で運転中の原子炉は435基にのぼり、アジアだけでその4分の1(118基)を占めている。しかし、アジア各国は今後10年間にさらに原子炉133基の建設を予定している(そのうち41基はすでに建設中)。

アジアに住む人々にとって原子力発電所の危険性はすでに一刻の猶予も許さない課題になっている。すでに建設中あるいは建設予定のアジアの原子力発電所は、市場において何兆ドルにも達する「うまみ」があり、電力会社、原子炉メーカー、燃料サイクルの設計者及び製造業者、原子力発電所設計顧問、委託建設業者、ネット管理専門企業および核廃棄物処理業等企業の利益に関わっている。しかし、資本主義的見方からは原子力発電所がもたらす利潤のみしか論じられず、周辺住民や自然環境、そして原発労働者の安全は全く考えられていない。

2011年3月の福島原発災害で、ここ20~30年の間問われてこなかった原子力エネルギーという問題が香港でもまた注目を受けることになった。グローバライゼーションモニターと、その他多くの反核団体はこの一連の反核運動で、十種もの宣伝媒体(データブック、漫画、図説、広報チラシ等)を発行した。その総計発行部数は4000部にものぼり、明らかに市民がこの議題に相当な関心を持っていることが見て取れる。ある調査によると香港市民の6割は広東省が省内原発計画を即時停止することを望んでおり、66%は香港が原発を廃止すべきと考えている。しかし、公平に言うならば、中国の現在使用している原子力発電の現状から見ると、香港と中国市民の原子力発電に対する理解および参加の度合いは依然として不十分で、まだまだ発展の余地がある。

中国では現在15基の原子炉が稼働している。これら運転中の原子炉は中国沿海地域に偏って分布しており、将来、中国で建設中および建設計画中となる原子炉は77基にものぼる。これは中国国民が様々な工業汚染に悩まされるのみでなく、さらに無味無色無臭の放射線の脅威を受け入れなければならない事を意味する。

【筆者】魏 雁竹 / Globalization monitor / 寄稿 /  [C12032201J]
【翻訳】中文和訳チームB班 額田拓]]>

脱原発をめざして市民が集結~東日本大震災から1年

東日本大震災市民のつどいに4万5000人の市民が集まった。

東京 岩手、宮城、福島の東北3県を中心に多大なる被害をもたらした東日本大震災から1年となった2012年3月11日。日本各地で様々な追悼の催しが行われた。

 東京でも日比谷公園で開催された「311東日本大震災市民のつどい Peace On Earth」には、約4万5000人の市民が集い、震災が発生した3月11日14時46分に、1分間の黙祷をささげた。

 韓国環境財団代表の崔烈さんが提唱に賛同した、韓国、日本や中国などの311人の著名人で構成する「東アジア脱原発・自然ネットワーク」が結成され、日比谷公園噴水前につくられたピースオンアース・ステージでは、「東アジア脱原発・自然エネルギー311人宣言」が発表された。この宣言とあわせて、韓国の著名な舞踊家や書道家などによる「福島、生命の鎭魂の祈り」も上演された。中国から来日中で「311東日本大震災市民のつどい」に参加していた環友科学技術研究センター代表の李力さんも、共にステージにあがり、東アジアの連帯に華を添えた。

 同じく日比谷公園を起点に、追悼と脱原発への新たな誓いと共に歩く大型デモ「3.11東京大行進」が行われ、1万4000人の市民が参加。その後、多くのデモ参加者は、「3・11原発ゼロへ!国会囲もうヒューマンチェーン」に合流、国会議事堂を人間の鎖で囲み、「国権の最高機関」である国会に向けて、キャンドルをかざしながら、脱原発を強烈にアピールした。

(関連URL)
・311東日本大震災市民のつどい Peace On Earth
 http://www.peaceonearth.jp/

・東アジア脱原発・自然エネルギー311人宣言
 http://npfree.jp/download/statement_311.pdf

・【3・11夕編】 キャンドルの灯が国会を包囲した(田中龍作ジャーナル)
 http://tanakaryusaku.jp/2012/03/0003870

日比谷公園は身動きができないほど多くの市民が詰めかけた

「東アジア脱原発・自然エネルギー311人宣言」を報告する崔烈さん(右)とISEPの飯田哲也さん

「3.11東京大行進」の参加者たち

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12031601J]
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環境保護組織専門家による中国原子力安全監督管理体制改革の提案

中国の原子力エネルギー利用が進む現状に見合うよう、原子力安全監督管理体制の改革が急務である。

中国全土 日本の福島原発事故から1年を前に、アメリカ自然資源保護委員会 (NRDC)の中国原子力安全プロジェクト研究員の李晶晶、中国気候変動とエネルギー政策プロジェクト主任の林明徹、エネルギー・環境と気候変動高級顧問の楊富強、中国原子力安全プロジェクト補佐のJason Portnerは2012年3月2日に連名で《中国原子力安全監督管理体制改革提案》を提出した。

 提案によれば、2011年福島原発事故が世界の原発発展に与えた影響は大きく、また、中国の原子力の急速な発展傾向と巨大な規模に対し原子力安全監督管理は明らかに不足している。中国原子力安全監督管理体制改革の速度を速め、原子力安全性の政府管理職務を正常化すべきで、原子力安全監督管理に必要な独立性、権威性、有效性と専門性の条件に見合うよう、なるべく早く国家原子力安全局を環境保護部より切り離し、新しい原子力安全監督管理機関を設立し、国務院の直属管理とすべきである。原子力安全文化の建設を強化すると同時に、すみやかに《原子エネルギー法》と《原子力安全法規》を制定すべきとのことである。

 提案は最初に、中国は原子力安全監督管理が大きな課題に直面していると指摘している。中国は現在、原子力利用の急速発展段階にあり、原子力安全監督管理面が明らかに不足している。2011年11月現在、中国には合計14基の原発が稼働しており、発電能力は合計1188万キロワットで、建設中の原発は27基、発電能力は合計2989万キロワットである。

 国家発展改革委が2007年10月に発表した、《原発中長期発展計画(2005-2020》の中で提出されている目標は、2020年までに原発の発電能力を4000万キロワットとし、さらにその時点で1800万キロワットの原発を建設中とするものである。現在調整中の原発発展計画によれば、2020年には中国の原発能力目標は8000万キロワットまで引き上げられ、2007年に制定された計画の倍の数字になる。2011-2020年は中国原発の急速発展期であり、この規模は世界の原発の歴史の中でも例がない。経済と社会発展の需要に伴い、原子力エネルギーは広く利用されるようになるが、相応の設計の信頼性、建設業者の資質、設備製造の品質とオペレーション管理者の資格審査等、いずれも原発の急速な発展よりも立ち遅れている。原子力安全監督管理の強化は急務である。

 同時に、中国は既存の原子力安全監督管理体制改革が必要である。日本の福島原発事故発生後、国家エネルギー局は原子力発電課を増設した。環境保護部国家原子力安全局はもともと1つだった課を3つに分割した。これには、原子力と放射能安全センターと6つの放射能安全監督部が含まれ、原子力安全監督管理者を千人近くまでに増やした。これと同時に、国防科工局も原子力緊急対応課を新設した。しかし、中国の原発安全監督管理は独立性、権威性等の面で依然として旧来の管理構造を維持しており、原子力エネルギー利用の急速発展が直面する厳しい課題に対応するのが難しい。中国原子力安全監督管理体制は更なる改革が必要で、独立性、権威性、専門性を有した有效な国家原子力安全監督管理機関を設立すべきである。

 提案では、中国原子力安全監督管理体制改革の業務として以下を挙げている。

・政府原子力安全の管理機能を正常化し、原子力安全改革の有效性を高める
・原発の安全監督管理機関の独立性、権威性を強化する。
・原発監督管理機関の権力のチェックアンドバランスを保証する。
・原子力安全監督管理の組織体制の建設と専門能力の建設を強化する。
・原子力安全文化の建設と原子力と放射能安全情報の透明性を強化する。
・原子力安全立法を強化し、速やかに《原子エネルギー法》と原子力安全法規を制定する。
・原子力安全ファンドを確立する。
・原子力安全監督管理部門の原子力安全国際協力を強化する。
・原子力安全監督管理機関は、各レベルの原子力エネルギー事故の緊急対応案の制定と事故緊急対応に対して技術支援を提供しなければならない。

 提案では、中国における原子力エネルギー利用が進む現状に見合うよう、中国原子力安全監督管理体制改革の確立を急務として速やかに新たな原子力安全監督管理機関を設立すべきとしている。中国は現在多くの部門の安全監督管理と安全保障が重要課題である。世界の原発発電総量の6%以上を占める4国家(アメリカ(31%)、フランス(15%)、日本(10%)及びロシア(6%))のうち、3国家で重大な放射能漏れ事故が起きている。中国は2020年以前には恐らく発電規模では2位に入ることになる。原発は諸刃の剣であり、安全第一でなければならない。新しい全面的な原子力安全監督管理機関の設立は政府の議事日程の中でも最優先にすべきである。

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 環友科学技術研究センター(EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology) / 寄稿 /  [C12031402J]
【翻訳】中文和訳チームA班 五十嵐裕美]]>

「原発事故被害者支援法」を市民が提案

「避難の権利」確立と避難者・居住者の長期的な支援のための恒久立法を求めている。

東京 2012年2月29日、衆議院第1議員会館にて市民が提案する「原発事故被害者支援法」(仮称)に関する院内集会が開かれた(主催:福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会(フクロウの会))。

 集会の前半では、福島に在留している人びとと、福島県外に避難している人びとから現状が報告された。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の中手聖一さんは、現在の大きな問題は、(1)避難・移住、(2)保養、(3)健康管理の3点だと指摘。福島に住み続けている人びとと避難した人びとの間に亀裂が入り、引き裂かれている深刻な実態を紹介した。そして、福島を離れている人もとどまっている人も、戻ってくる人もみんなで“一つの福島”をと訴えた。

 2歳の男の子を抱えて夫と共に横浜に避難・移住した磯海未亜さんは、福島の夫の両親に移住を大反対されながら苦渋の決断を下した際の胸の内と、夫の仕事がみつからず、自治体からの住宅の無償提供が終了した後の生活への不安を赤裸々に語った。

 福島県郡山市でラジオのパーソナリティをしている宍戸チカさんは、福島で暮らし続けている将来の母親となる若い女性が感じている不安と、若い女性たちと少しでも被ばくを抑えた暮らしをと頑張っている活動を紹介した。

 集会の後半では、「国際環境NGO FoE Japan」の満田夏花(みつた・かんな)さんが、国が避難区域の基準に設定している年20ミリシーベルトが、原子炉規制法の1ミリシーベルト、放射線管理区域の5.2ミリシーベルト、チェルノブイリの移住の義務ゾーンの5ミリシーベルトと比較して、非常に高い数値となっている点を指摘。年1ミリシーベルトを基準にした居住と避難・移住を選択できる「選択的避難区域」の設定を提起した。

 そして「SAFLAN」事務局長の大城聡さんが、恒久立法として「原発事故被害者支援法」を制定することを求めた。支援法の要点は、下記の5点。

(1)年1ミリシーベルトを基準とした「選択的避難区域」を設定すること
(2)「選択的避難区域」全域への災害救助法の適用と現在2年間の適用期間を5年間に延長すること
(3)「選択的避難区域」の居住し続ける人、移住・避難した人に定期的な保養機会を提供し、その資金を国が援助すること
(4)「選択的避難区域」の居住し続ける人、移住・避難した人の医療費・健康診断費用を無料化し、累積被ばく量を把握する仕組みをつくること
(5)「選択的避難区域」からの移住・避難者の生活再建を支援すること

 集会の最後に、福島第一原発事故によって、福島県内外に生じている放射線被ばくの被害を受け続けている全ての住民の生命と健康な暮らしを守るために、「原発事故被害者支援法」の制定を求める宣言を採択した。

 集会に参加した国会議員からは、与野党ともにそれぞれの立場で同趣旨の立法を進めているという発言があったが、立法府の動きは遅い。中手聖一さんが「私たち、福島の人びとは、支援されたり救済される客体ではない。我々が当事者として主体的に活動を展開していきたい」と力強く語っていたのが印象的だった。

(参考URL)
・福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)
 http://saflan.jugem.jp/

・子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
 http://kodomofukushima.net/

・国際環境NGO FoE Japan
 http://www.foejapan.org/

・福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
 http://fukurou.txt-nifty.com/

子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの中手聖一さん

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12030202J]
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