「韓国型原発」で相次ぐ事故

慶尚北道 稼動し始めて2年3ヶ月後の2002年4月5日、ウルジン(蔚珍)の原発4号機で、蒸気発生器の細管(一次冷却水が流れる管)から、冷却水が漏れる事故が起きた。そして、11月25日、同じモデルのウルジン3号機(稼動から4年)の原子炉を冷やす冷却水が放射能に汚染される事故が起き、白色警報(原発内で放射能漏れが起き、事業者と関係当局の警戒が必要な場合に発令される警報)が発令された。これら事故の起きた原発は、2基とも比較的最近になって建設されたもので、いわゆる“韓国標準型原発”として、韓国政府が海外ににPRしてきたものである。

 核燃料棒に破損が生じた場合、 原子炉を直接冷却する1次冷却水に放射能が漏れ、放射性物質であるヨード131(1-131)の濃度が増加するが、そのような事故は、これまで、ゴリ1、2、3号機、ヨングァン(霊光)2、4号機で起きたことがある。

 しかし、今回のような、1分間で5400cpm程の深刻な水準の放射能漏れが起きたのは、初めてである。韓国反核運動連帯が行った調査の結果によれば、ウルジン3号機は2001年10月頃からすでに燃料棒に損傷が見られたが、事業者である韓国水力・原子力株式会社側は、そのことを知りながら、1年間もの間、原発をフル稼動してきたことが分かった。また、ウルジン3号機は、商業稼動された88年以前にも蒸気発生機の部品で破損が起きたが、“韓国型原発”の商業稼動を記念する大統領演説を控えていたため、あまり深刻なものではないと発表し、問題となるのを避けていた。

 88年の原発事故の際に発生した金属破片がいまだ残っていることが、こうした原発事故の根本的な原因であるが、韓国政府はこれらを完全に取り除くことは技術的に難しいとして、そのまま放置している。

 ウルジン4号機の事故と今回の事故は、韓国の核産業界のずさんな設備と怠慢な管理体制の招いた結果である。経済的な利益だけを重視し、国民の安全をないがしろにするような慣行は改めるべきである。

【筆者】黄 惠仁(資料整理)(HWANG, Hye-In) / 韓国環境運動連合 市民環境情報センター / 緑色連合 資料 (2002年11月27日) /  [K02112702J]
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全国の経済特区化に向けた経済自由区域法案が国会で可決

韓国全土 11月14日に開かれた第16回国会において「経済自由区域の指定および運営に関する法律」、いわゆる「経済特区」指定を認める法案が可決された。事実上、経済的治外法権が認められる地域を設定した内容のこの法案は、国民の基本的な権利である労働・環境・教育・医療などに対する法律を無力化し、“より低い労働基準”“より低い環境基準”を強いるという、憲法に違反する法案である。

 この法案が施行されれば、韓国の労働者、特に女性の基本権とくらしの質が低下し、教育、医療、環境の質も損なわれることになるだろう。

 今回特区に指定された仁川、光陽、釜山などは、環境関連の苦情が多い地域である。松島、永宗島、金浦埋め立て地の場合を考えても分かるように、経済特区になる予定の地域に開発が集中すると、ただでさえ深刻な首都圏の過密化をさらに悪化させ、バランスの取れた国土の開発は難しくなると思われる。

 さらに懸念されるのは、経済特区が幾つかの地域に限られるのではなく、全国に拡大されることで、経済面でのメリットだけを追い求めた結果、人々のくらしにおける基本的な権利が侵害されかねないということである。

 同法案は2003年7月1日から施行されることになっており、遅くても3~4月までには細かい内容を詰めた施行令を整える計画であるため、この法案を廃棄させるために韓国労組と民主労組、環境連合、参与連帯、女性連盟などの92団体が対策委員会を設け、活動を行っている。

【筆者】キム ウンスク / 環境運動連合 /   /  [K02112703J]
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環境ホルモン輸入化粧品、国内で多量流通

韓国全土 国内化粧品市場の40%を占める(約5兆ウォン規模)高級輸入化粧品の大半に、環境ホルモンであるフタル酸エステルが含まれていることが明らかになった。特に、2001年ヨーロッパでカドミウムに匹敵するほどの毒性有害物質と規定されたDEHP(di(2-ethylhexyl)がみつかり、さらに衝撃を与えている。

 韓国市場で高いシェアを占めているシャネル社の香水「ナンバー5」、クリスチャンディオール社の香水「ポイズン」、ランコム社の香水「トレゾア」、カルバンクライン社の香水「エタニティ」、トミーヒルフィガー(Tommy Hilfiger)社の香水「トミーガール、Tommy Girl」,ウェラ社のヘアムースなどの製品の中からフタル酸エステルが検出されたことが、環境団体であるスウェーデン自然保護協会(Swedish Society for Conservation)、女性環境ネットワーク(Women’s Environmental Network)、やさしい医療の会(Health Care without Harm)の最近の調査発表で伝えられた。

 この調査は、スウェーデンやイギリスで販売されている香水、脱臭剤、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアスプレーの5種類の化粧品34個を対象に行われた。そのうち80%にフタル酸エステルが含まれており、さらに53%の製品には、2種類以上のフタル酸エステルが含まれていることが明らかになった。

 フタル酸エステルは人間の生殖能力を弱める可能性のある環境ホルモンの一つで、動物実験では肝臓や腎臓に悪影響を与えることが報告されている有害化学物質である。そのためEU(欧州連合)は1990年から乳幼児用おもちゃなどでの使用を禁止し、徐々に使用禁止の対象範囲を拡大している。フタル酸はPVCを柔らかくする性質を持っているため、PVCの製造や木材加工などに使われており、香水の溶媒や化粧品の補助物質としても利用されている。

 2002年、韓国の環境部の化学物質排出量調査によると、韓国のDEHP排出量は年間636トンで(2000年統計;98年のドイツの水準)、98年の604トンに比べると総量が増加している。最近、EUは化粧品の中に含まれている2種類のフタル酸(DEHP,DBD)の使用を禁止する内容の規制をまとめた。

 韓国も、現在国内に流通されている輸入化粧品及び国産化粧品を回収し、フタル酸が含まれているかどうかを調査して発表することが求められる。また、事前に消費者の被害を予防するために、フタル酸使用禁止に関する基準を設け、日常生活の中で環境ホルモンに無防備にさらされている国民の健康と安全を守るのが政府の担うべき役割であろう。さらにフタル酸の有無を明らかにするための成分表示を義務づけ、企業側も化粧品の製造過程での徹底した管理と工程の改善を通じて、フタル酸の含まれない製品づくりに取り組むべきである。これらの問題は、子供たちの将来の生活の質にも直結することであるからだ。

【筆者】ユ イソン / 環境運動連合 市民環境研究所 /   /  [K02112701J]
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野生ツキノワグマが智異山に生息

慶尚南道 環境部傘下の国立公園管理公団は、最近、智異山で6、7歳の雄と見られる野生ツキノワグマ1頭を、熱センサーが付いた無人カメラで撮影することに成功したと発表した。政府機関により智異山に野生クマの生息が公式的に確認されたのは、1976年6月に老姑壇で発見されたクマ家族(4頭)以降26年ぶりのことである。

 ツキノワグマ管理チームのリーダー、ハン・サンフンは、「国内外の専門家たちが検証した結果、我々が解放したクマではなく、野生ツキノワグマであることが確認できた」と明らかにし、「今まで発見された毛や排泄物、そして木の傷などの痕跡を調査資料と合わせてみると、智異山には5頭以上のクマが生息していると思われる」と語った。

 現在、智異山には野生ツキノワグマ以外に、実験のため解き放した2頭のツキノワグマが電波発信機を首に結んだまま生息している。これらは智異山のツキノワグマ管理チームによって追跡されている。

 昨年9月に実験のため4頭のクマの子を解放したが、末っ子は登山客に従うなどして、野生生活に失敗した。雌1頭は電波発信機だけが発見された後、死骸が発見されるなど、密猟者に殺されたと思われる不幸な事故があった。

 環境部は、生息が確認された野生ツキノワグマの保護のため、現在一般の出入りを統制している智異山国立公園(440平方km)内の天王峰―老姑壇―ワンシル峰―萬福台の159平方kmを、「ツキノワグマ特別保護区域」に指定する予定であると、20日明らかにした。区域の指定は、環境部が推進している「野生動物保護法」の制定によって、保護区域の面積は検討過程で現在の出入り統制区域より広くなる可能性もある。

 保護区域に指定されると、登山路以外の出入りや植物採取の禁止、生息地調査や密猟監視等、ツキノワグマの保護活動が強まる。しかし、現在の出入り統制区域の指定は法律的な根拠がなく、国立公園管理公団側の指示に従わなくても処罰し難い状態である。

【筆者】黄 惠仁(資料整理)(HWANG, Hye-In) / 市民環境情報センター / ハンギョレ、大韓毎日、中央日報(11.19~11.21) /  [K02112002J]
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「セマングム干拓事業反対運動」スペインで三歩一拝

世界 セマングム干拓事業の中止を促す韓国のNGO活動が、第8回ラムサール事務局総会で活発に行われた。

 18日から「第8回次ラムサール事務局総会」がスペイン・バレンシアで開かれた。20日(現地時間)、韓国のムン・キュヒョン神父とスキョン僧侶は、セマングムの干潟を生かすための三歩一拝(三歩歩いて一礼する)祈祷を現地の事務局前で行い、世界から集まった出席者たちの注目を浴びた。三歩一拝を終えた二人は、ラムサール事務局の事務総長(Delma Blasco)にセマングム干拓事業の中止を促す宣言文とともにセマングムの関連資料を渡した。

 セマングム干拓事業は、全羅南道群山市扶安郡一帯の面積4万100haの干潟を、国土拡張、産業用地及び農地造成、治水等の目的のために、農林水産部が計画した大規模の干拓事業である。しかし、セマングム干拓事業の多大な問題点が提起され、事業が進んでいる状況でも意見対立が激しい。

 干拓事業の反対意見には、現政府の計画ではセマングム淡水湖の汚染問題を解決できない、干拓事業に投入される政府予算がどれほど増加するか誰も予測できない、などがある。何よりも、干潟の生命が消え、扶安郡の漁民たちが生活の拠り所を失うこととなる。

 ラムサール総会に出席した環境運動連合は、16日に別に開かれた「世界NGO湿地会議」に出席した71ヶ国110人全員の合議で、セマングム干拓事業の中止を促す決議文を採択したと伝えた。

環境運動連合の湿地担当者:ザン・ジヨン(jangjy@kfem.or.kr)

【筆者】黄 惠仁(資料整理)(HWANG, Hye-In) / 環境運動連合 / ハンギョレ、環境運動連合(11.20) /  [K02112001J]
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遺伝子組み換えイネの認可を巡り、消費者団体が反対運動を展開中

日本全土 現在、農水省が安全性を確認し、試験栽培されている遺伝子組み換えイネは18品種(その中で近々申請されそうなものは10品種)あるが、特に、愛知県農業総合試験場とアメリカのモンサント社が共同研究している除草剤耐性イネ品種「祭り晴」が、同社によって、近く厚生労働省に食品として認可申請される可能性が出てきた。

 これには、次のような背景がある。愛知県では、農家の高齢化に伴い稲作の省力化を進めており、苗床や田植えを省略できる「不耕起乾田(耕さず、また水も敷かない田圃)直まき」という栽培方法を奨励している。「祭り晴」は、除草剤を分解する酵素を作る遺伝子を導入したイネであり、これを乾田で栽培すれば、水に弱く、水田では使いにくいモンサント社の除草剤「ラウンドアップ」を使用できて、省力化が図れるというわけである。

 こうした動きに対し、遺伝子組み換え作物の問題に取り組んできた「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(事務局:日本消費者連盟)などの消費者団体は、遺伝子組み換えイネの研究開発中止を求める署名活動を行い、約1ヶ月で32万人余りの署名を集め、7月8日、愛知県と同試験場に提出した。問題にしているのは、第一に遺伝子組み換え作物の安全性、第二に生態系に及ぼす影響、第三に多国籍企業による種子支配などについてである。第一の安全性については、遺伝子組み換え作物は安全性が証明されておらず、ヨーロッパ諸国でも商業栽培は認めらていない。コメは日本人の主食であり、安全性に問題のあるイネの認可は認めるべきではない。

 第二の生態系へ与える影響については、遺伝子組み換え作物の花粉が飛散することによって起きる予測不能の事態が懸念されている。同試験場は、「コメは自家受粉な上、花粉の寿命も5分以内。交雑可能な範囲は20メートルほどなので、問題はない」としているが、「自家受粉といっても交雑は必ず起きるし、強風が吹けばキロメートル単位で花粉は飛ぶ。いったん組み換え作物を作付けすると、人間が制御できずに広がっていく危険性がある」(食政策センター「ビジョン21」の安田節子さん)との反論がある。

 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」などは、この問題を広く提起する運動として、「ストップ! 遺伝子組み換えイネ全国集会」というキャンペーンを展開しており、各地で集会を行っている。

【筆者】古賀 真子(KOGA, Masako) / 日本消費者連盟 / 寄稿 /  [J02112003J]
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漢灘江ダム建設白紙化に向けた400人デモ

ソウル特別市 環境運動連合は、ダム建設反対のための国民行動、漢灘江ダムの白紙化を求める3ヵ郡(鐵原・抱川・漣川)共同対策委員会の400人余りの地域住民とともに、21日、竜山区の戦争記念館の前で漢灘江ダム建設に合意した国防部を糾弾するデモを行なった。

 漢灘江は、韓国のグランドキャニオンと呼ばれるほど優れた自然環境や未発掘の古代遺跡を保存している所である。ここにダムが建設されれば、自然の毀損はもちろん、漢灘江の環境影響評価書でも指摘したように、絶景を誇るゼイン滝の一部が水沒する。

 漢灘江ダムの名目は洪水調節専用ダムであるものの、その機能や経済性はないと評価されている。何よりもダムの上にアジア最大の砲弾射撃場のダラクト射撃場があり、射撃場の砲弾の残骸物による重金属の水質汚染の恐れや、誤射弾がダム下に落ちる場合は、想像もできない人工災害をもたらすことになる。

 22日に漣川郡民5000余人は、地域発展を阻害する政府の政策に反対するため、ジョンコク駅の広場で「漣川郡民決起会」を行なった。住民たちは軍事施設保護区域の大幅解除および規制緩和、漢灘江ダム建設の撤回、軍の戦車射撃場の拡張計画反対、首都圏の整備計画法の撤廃等を中央政府に建議した。

【筆者】黄 惠仁(資料整理)(HWANG, Hye-In) / 市民環境情報センター / 朝鮮日報、文化日報、環境運動連合 /  [K02112003J]
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開発問題に揺れる馬毛島

鹿児島 九州の南に位置する馬毛島(鹿児島県)は日本で二番目に大きな無人島で、この島固有の鹿(馬毛鹿)などの希少種をはじめ貴重な自然が残されている。

 しかし馬毛島の土地は、海洋リゾートを名目に大半が買収されたのち、1999年はじめより核燃料中間貯蔵施設の問題が持ち上がり、2000年には買収企業である(株)馬毛島開発の採石事業が鹿児島県知事に認可された。

 その後採石予定地域の伐採や土砂沈澱池の造成などの準備工事が行われ、更にダイナマイトを使った大規模な掘削が始まり、周辺海域の汚濁・汚染が深刻な問題となっている。

 馬毛島の自然に親しみ、依存して暮らしてきた種子島の市民および漁民有志により結成された「馬毛島の自然を守る会」は、2001年3月、採石事業の差し止めを求める仮処分申請をし(裁判A)、2002年2月、仮処分は認められ、審理が続いている。

 一方、県は2001年10月、再度採石事業の2年間継続を認可した。それに怒った漁民らは、2001年11月、入会権と自然の権利を掲げて裁判を起こした(裁判B)。

 現在2つの裁判が進行中だが、判決はまったく予断を許さない状況にある。裁判Aで業者の汚染予防措置が認められれば事業が再開されてしまう。

 馬毛島の採石事業は、都会のツケが地方に押しつけられる結果であり、ぜひ都市に住む市民も共に考えてもらいたい問題である。

【筆者】木下 大然(KINOSHITA, Daizen) / 馬毛島の自然を守る会上屋久町支部 / 寄稿 /  [J02112001J]
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宮城県で自然エネルギー促進条例が施行される

宮城 宮城県議会は10月1日、太陽光や風力など自然エネルギーで発電する電気の買い取りを電力会社に義務付けた「自然エネルギー等・省エネルギー促進条例案」を施行した。この条例は議員発議で提案、7月10日に可決されたもので、自治体による自然エネルギー条例は北海道に続き2番目となる。

 条例は太陽光や風力、潮力などを自然エネルギーと定義。「電力会社の責務」として、自ら発電したり買い取ったりして自然エネルギー発電を普及するよう求めている。また、自然エネルギーを使う努力を県内の自治体や県民などの「責務」と定め、企業やNPOの活動の支援、研究開発を促進する内容となっている。罰則はない。県では環境政策課が自然エネルギーの導入を進める基本計画をつくることになっており、10月中に自然エネルギー導入に関係する課の間で連絡調整会議をつくる予定だ。

 自然エネルギー導入を推進するNGO、みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)の木村修一理事長は「条例の中身は私たちが前から主張していたもので、環境行政の前進だと思う。ただ、これまで国や県は自然エネルギー導入や温暖化防止の声をあげながら、新エネルギーの研究開発などに十分な予算を配分してこなかった。県の指定を受け、MELONが運営する温暖化防止の活動推進センターにも、活動費の補助など県の支援はほとんどなく、「本当にやる気があるのか」と疑問に思う。今回の条例も、同じように有名無実にならないか心配だ」と話す。地球環境保護の動きを県内に広げるきっかけとして条例を活用できるのか、「環境立県」を提唱する浅野史郎知事の指導力が注目される。

◆宮城県環境政策課
http://www.pref.miyagi.jp/kankyo-s/reiki/sizenenargyjourei.pdf

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / (NPO)足元から温暖化を考える市民ネットワーク・えどがわ / 参考 共同通信[2002-07-10],朝日新聞宮城県版[2002-10-05] /  [J02112002J]
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新しい環境病 杉並病の被害者らが操業差し止めなどを求めて提訴を準備中

東京 その環境病は、東京都杉並区に開設された不燃ゴミ中継所から始まった。この施設は、ゴミ収集車で集めてきたプラスチックを主とする大量の不燃ゴミを圧縮して、別のゴミ処理施設に送り直す中間の処理施設であり、ゴミの体積を小さくして運搬回数を減らし、運搬にかかる人件費節約だけを目的としたものである。東京都が1996年に設置し、2000年まで管理してから杉並区に移管した。

 この施設が稼働し始めてから、周辺地域住民に健康被害が出始めた。区が1996年7月と11月および1999年5月に行った健康調査では、施設の稼動開始と同時に健康被害が急激に発生し、1999年にもその発生が続いていることが明らかになった。被害は、直接空気に触れる口・喉・気管支・肺・目・耳・鼻・皮膚の炎症症状が目立つばかりではなく、近ごろ問題のシックハウス症候群(新築家屋や家具に使われる有機化合物のために健康被害がでる症状)と同じような自律神経・中枢神経機能障害による、頻脈や動悸・息苦しさ・めまい・筋肉や関節の不調・ひどい疲労・知的活動力の低下・不随意運動などが操業初期から現れた。次第に、アレルギーやリュウマチ・膠原病などの免疫不調、流産・乳房の腫れやしこり・甲状腺不調など内分泌障害、および脳下垂体・腸・乳房・卵巣・子宮・腎臓・甲状腺・前立腺など各部位の腫瘍発生も多く見られるようになった。被害者の約半数は、遠隔地に外泊すると症状が軽くなるという。

 大気の分析調査結果では、圧縮に伴うせん断力で低重合分子や微粉状になったプラスチックが紫外線や酸素などとの化学反応で低分子化して毒性の強い物質に変わり、遠方まで低くない濃度で伝播していることがわかった。実際に、トルエンの1万倍もの毒性を有するイソシアネートやシアン化合物、ダイオキシンまでが検出されている。

 2002年6月に公害等調整委員会は、健康被害の大部分が施設の操業に伴って放出された化学物質によるものと裁定したが、被害期間を96年4月から8月までの3ヶ月間のみしか認めず、健康被害を訴える人は減っているから公害は沈静したとして、現在までも続いている毒性化学物質の放出とそれによる被害については、提出された多くの証拠を吟味することなく否定した。

 健康被害を受けた住民を中心に結成された「杉並病をなくす会」は近々、東京都と区を相手に、原因施設の操業差し止めと損害賠償を求める裁判を東京地裁に提訴する予定で、これに伴って会の名称を「杉並病原告予定団(仮称)」と改称し、運動を継続していくことにしている。

「杉並病原告予定団(仮称)」関連サイトのURL:

http://www.suginami-byo.gr.jp/725comment.htm

http://www5c.biglobe.ne.jp/~geca/

FAX:03-3390-6175

【筆者】加藤 光二(KATO, Koji) / 杉並病原告予定団(仮称) / 寄稿 /  [J02111303J]
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