日本から見た“中国・韓国の重大環境ニュース2003”

日本全土 今年1年間、中国と韓国の仲間から寄せられた数多くのニュースの中から、日本に暮らす私たちにとって、特に気になったものを選んでみました。みなさんにとっての重大ニュースは何だったでしょうか?

《韓国》
第1位 セマングム干潟干拓工事、停止へ!

 今年の前半は、セマングム干潟の干拓工事中止を求める韓国市民の数々のアクションに目を見張らされました。特に約2ヵ月をかけてセマングム干潟からソウル市庁前広場をめざして行われた“3歩1拝”はとても印象的でした。

・アメリカでも三歩一拝(2003-08-27)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=994&c_cd=K
・「胸がすっとした」――裁判所がセマングム干拓事業の執行停止を判決、各界はさまざまな反応
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=877&c_cd=K
・環境運動家たち、セマングム第4区間の工事を阻止するため現場へ(2003-06-18)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=758&c_cd=K
・恥ずかしい「環境の日」:セマングムなくして環境の日はない(2003-06-11)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=741&c_cd=K
・国会議員の過半数がセマングム干拓事業に「反対」(2003-06-04)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=720&c_cd=K
・セマングム工事を強行すれば4兆ウォンの経済損失に(2003-05-21)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=675&c_cd=K

第2位 扶安郡での原発施設建設白紙撤回!

 今年の後半の大きなニュースは、核廃棄物処理場建設をめぐる運動でした。日本は韓国以上に原子力発電に頼っていますが、原子力に頼らない東アジアをめざしていきたいものです。

・扶安核廃棄場、再検討に―事実上の白紙化-(2003-12-12)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1238&c_cd=K
・血も涙もない、どうしようもない政府よ! 「扶安の住民たちをどこまで連れていく
のか」
(2003-11-21)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1187&c_cd=K
・核廃棄処理施設反対で扶安郡の子供たち500人が上京(2003-09-10)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1017&c_cd=K
・“子供たちの未来は私たちが守る”扶安郡の母親たちがソウルに集結(2003-08-06)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=915&c_cd=K
・「急いては事を仕損ずる」――扶安(ブアン)郡、核廃棄施設誘致の危機
(2003-07-23)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=878&c_cd=K
・地域共同体を揺さぶる核廃棄物処理場(2003-07-09)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=829&c_cd=K

第3位 清渓川の復元工事開始

 東京に暮らす人間にとって、首都の真ん中にある高速道路を撤去して川を復元しようというプロジェクトが着工されたことは驚嘆に値します。その後、問題も報告されていましたが、環境都市をめざす上で画期的な試みといえるでしょう。

・ソウル市の度重なる違法着工計画、これ以上見過ごす訳にはいかない!
(2003-11-28)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1197&c_cd=K
・市民団体が清渓川復元工事の条件を示す(2003-06-18)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=759&c_cd=K
・清渓川復元は水源地から(2003-05-14)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=651&c_cd=K

《中国》
第1位 活発な環境NGOの活動

 年々、活発になっているNGO活動に驚かされます。特に日本でも話題となったSARSに対して多くのNGOが共同で提議書を出した活動は、国内のNGO間の連携プレーで素晴らしいと感じました。

・ヨハネスブルグ+1 中国環境保護NGOフォーラム(2003-11-26)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1190&c_cd=C
・国際環境NGO、北京で会合(2003-11-26)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1189&c_cd=C
・民間の環境保護団体、襄樊で節水を呼びかけ(2003-09-10)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1046&c_cd=C
・中国NGO“緑色北京”、草原の保護を呼び掛ける(2003-08-06)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=934&c_cd=C
・北京NGO「地域住民参加型テストプロジェクト」実施へ(2003-07-09)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=851&c_cd=C
・中国環境NGO、国際生物多様性の日に、共同提議書『SARSを撃退し、生態系を守ろう』を発表
(2003-05-28)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=715&c_cd=C

第2位 絶滅の危機に瀕する生物種

 日本でも固有種のトキが絶滅しただけに、開発によって絶滅の危機に直面している動物に関するレポートが印象的でした。

・野生フタコブラクダ絶滅寸前(2003-03-05)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=478&c_cd=C
・絶滅危惧動物プルジェワルスキーガゼル、地球上でわずか300頭、迅速な保護を
(2003-02-26)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=445&c_cd=C
・人類の子宝を運ぶコウノトリ、新彊の生息地で姿を消す(2003-02-19)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=420&c_cd=C

第3位 中国全土での“水”をめぐる努力

 中国からのニュースに多く登場したのが“水”をめぐるものでした。今年、日本でも世界水フォーラムが開催されましたが、改めて21世紀の環境問題で水問題が重要だということに気づかされました。

・水不足が2,300億元の工業損失を引き起こす(2003-12-17)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1232&c_cd=C
・農業用水節水、1年で黄河1本分に(2003-10-15)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1110&c_cd=C
・今年、黄河の「奔流」は海に達せず(2003-09-24)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1086&c_cd=C
・中国全土の水不足と水質悪化の勢い、未だ緩和されず(2003-09-17)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1054&c_cd=C
・長江を第2の黄河にしないために(2003-07-02)
 http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=818&c_cd=C

【筆者】東アジア環境情報発伝所 環境ニュース編集部一同 / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J03123102J]
]]>

北京市、生活ごみ処理白書を発表

北京市 12月26日、北京市政府により《北京市生活ごみ処理白書》が発表された。これは中国で始めての、都市生活ごみ処理に関する白書である。今回制定されたごみ処理の目標と任務は以下のとおり。

・北京の生活ごみを無害化、資源化、さらには産業化するために、2008年までに、北京に15箇所のごみ処理施設を新たに建設し、一日あたりのごみ処理量12,500トン、都市地区の生活ごみの無害化処理率98%を実現する。
・近郊地区の生活ごみの収集、運搬、処理を一括して規範化管理する。
・毎年新たなごみ分別回収区を200から300箇所増設、都市地区と農村部のごみの分別回収率を現在の15%から50%に引き上げる。
・ごみ資源の再利用率を現在の10%から30%に引き上げる。
・2008年までに、北京市生活ごみの再利用量を100万トン以上にする。
・2005年までに、一日あたり65トンの処理能力を有する医療廃棄物集中処理施設を2箇所新設し、北京の医療廃棄物規範、安全処理を保障する。
・第六環状線内の73箇所、200トン以上のごみの山を全て処理する。

 現在北京では平均すると一日あたり、生活ごみ11,500トン、医療廃棄物40トン以上、飲食ごみ1000トン以上が産出されている。現在全市には住宅地区、ビル、工業区が3000箇所以上(その内不動産管理されているのは1500箇所)あり、その内465箇所の住宅地区、ビル、工業区で生活ごみ分別収集、運搬、処理が行われている。都市と農村の生活ごみ分別率は15%に達した。

 ごみ処理の主な方法は衛生的な埋め立て、堆肥化、焼却で、全体に占める割合はそれぞれ89.6%、5.8%、4.6%である。すでに完成したごみ処理施設は17箇所あり、その内訳は、ごみ衛生埋め立て場が9箇所、ごみ堆肥化施設が2箇所、ごみ焼却所が2箇所、ごみ中継所が4箇所である。一日あたりの処理能力は8,800トン。生活ごみ資源化率は10%である。

【筆者】康 雪(資料整理)(KANG. Xue) / 中日韓環境保護情報共有中国ボランティアチーム/自然の友 / 人民日報(2003年12月25日) /  [C03123101J]
]]>

日本における“重大環境ニュース2003”

日本全土 東アジア環境情報発伝所で2003年に扱った環境ニュースの本数は、129本。この中から、編集部が選んだ“重大ニュース”を今年の締めくくりとして、お届けします。

 新聞各社が発表を始めている「今年の10大ニュース」などでは、イラク戦争、SARS、万景峰号などの国際情勢に関するもの、相次ぐ凶悪事件・盗難事件、総選挙や政党・政治家をめぐる動き、金融や銀行業界の顛末、プロ野球・大相撲・水泳などのスポーツ界での話題、東北や北海道での大地震などが上位に挙がっています。

 これらの他、国内のニュースに限って言えば、当・環境ニュースと符合するものも多くあります。環境をめぐる情勢が、日本にどのような影響や意味を与えているかを考えながら、見てみることにしましょう。

《日本》(順不同)

1.日本のシステム疲労を象徴? 原発停止と官民の動向

 「技術立国・日本」を揺るがす事故・事件が相次ぎました。新日鐵やブリヂストンなどの工場火災も重大でしたが、今年最たる事件と言えば、東京電力の原子力発電所の全面停止でしょう。事故の要因となったのは、ハードそのものの疲労に加え、それを支えるヒトや組織の疲弊もあります。日本全体が曲がり角(転機)に来ていることを示す事件としても関心を集めました。

・東京電力 原発全面停止へ―原発全廃への道はひらけるか?(2003-02-26)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=423&c_cd=J

・東京電力、原発完全停止―稼動再開へ向け、電力不足を強調(2003-04-23)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=596&c_cd=J

・隠蔽発覚から一年~原発稼動再開に対する抗議行動~(2003-09-10)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1021&c_cd=J

 原発停止の予告を受けて、電力危機が憂慮されました。しかし、いい意味での危機意識が、全国的な省エネ・節エネ意識向上につながったことは「災い転じて福と成す」の好例と言えるでしょう。市民や民間企業の意識が進んだのとは裏腹に、それでも原発の必要性を説く官や電力業界。意識に構造的な変化が見られなかった?のは残念な限り。

・夏至の夜に消灯イベント―省エネについて考えよう(2003-07-09)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=814&c_cd=J

 など。

2.動物が注目された一年でした

 トキ最後の一羽「キン」の最期は涙なしでは語れません。トキをはじめ、生き物や動物をめぐる話題、それに伴う行政の動きが盛んな一年でした。アゴヒゲアザラシ「タマちゃん」、都内の川に現れたボラ、水銀含有で注意発表されたキンメダイ、ブラックバスなど外来種全般、その他、コイ、クジラなどなど。

・「キン」の死から考えた「トキと人間の共生」(2003-12-03)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1193&c_cd=J

・トキの野生化計画が2003年度からスタート(2003-02-12)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=383&c_cd=J

 など。

 環境ニュースと直接の関係はないですが、18年ぶりにリーグ優勝を果たした、関西を代表する球団「阪神タイガース」(=虎)も忘れてはいけませんね。

3.水や水辺の話題もいろいろ

 日本で開催された、数ある国際会議の中で、「世界水フォーラム」は代表格。2003年は特に、水や湿地をテーマにした催しが相次ぎました。

 「世界水フォーラム」が関連するイベントとして、「打ち水大作戦」が展開されたのも、水を象徴しています。(環境イベントを主催する省庁が環境省だけではなくなっている例としても注目されました。) 時代の流れを感じます。

・第3回世界水フォーラム~密室で話し合われた水道利権~(2003-04-02)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=531&c_cd=J

・「打ち水」で気温は下げられるか~大江戸打ち水大作戦(2003-09-10)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1020&c_cd=J

・東アジアの湿地保全を訴える「東京ウェットランド・ウィーク」(2003-10-08)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1098&c_cd=J

 など。

4.ゴミ処理のあり方が問われる...RDF発電所の事故

 ゴミ行政は本来、いかにゴミを出さないようにするか(発生抑制策)を重視すべきところ、十分な検証をしないまま、ブームのような形で広がってしまったのがRDF発電。出たゴミは燃料にすればいい、そんな安直さと拙速のツケが回ってきた結果、と見る向きもあります。

・相次ぐ事故でRDF発電に冷や水?(2003-10-01)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1071&c_cd=J

 一方で、地域主体のゴミ発生抑制策が着実に広がりを見せた一年でもありました。

・徳島県上勝町“ごみゼロ”のまちづくりの挑戦に期待(2003-11-05)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1125&c_cd=J

・レジ袋削減の切り札となれるか? 名古屋市で「エコクーぴょん」がスタート
(2003-11-12)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=1149&c_cd=J

 など。

5.負の遺産が襲う

 土壌汚染対策が本格的に始まったのと歩調を合わせるように、過去の負の遺産が噴き出した年でした。数ある負の遺産の中でも、毒ガス関連の衝撃は甚大。この神栖町以外でも各地で毒ガス問題が浮上しているのは皆さんご存じの通りです。

・旧日本軍の毒ガスと思われるヒ素が民家の井戸を汚染(2003-06-25)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=770&c_cd=J

・いよいよ施行される「土壌汚染対策法」(2003-01-29)

http://www.enviroasia.info/japanese/index_j.php3?status=n_view&w_num=349&c_cd=J

 ニュース性の高い話題としては、これらの他に、環境教育に関する様々な動き、容器包装やPCなどのリサイクル関係の動向、ダムの見直し・中止も挙げられますね。

 読者の皆さんにとっての重大ニュースはいかがでしょうか? 2004年も引き続き、環境ニュースをどうぞよろしく!

【筆者】東アジア環境情報発伝所 環境ニュース編集部一同 / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J03123101J]
]]>

米農水省代表団入国奇襲デモ「NO! MAD COW」

京畿道 12月30日、昼12時8分、日本訪問を終えた米農水省代表団が仁川空港を通じて入国した。デービッド・ヘグウッド米農水省長官特別補佐官とチャック・ランバート農水部次官補ら3名で構成された米国代表団は手続きを終えて、到着Aゲートを出るとすぐに、駐車場出口の方に急いで歩いた。その米代表団に対して、あらかじめ出口に到着していた環境運動連合の活動家12名はピケを張り、プラカードを掲げて、「NO MAD COW」とスローガンを叫んで奇襲デモをはじめた。これに代表団は驚いた様子で、慌てて出口を抜け出した。

 環境運動連合の活動家たちが「米国は韓国国民の食卓の安全と食卓主権を見くびるな」と叫び続けると、代表団はとても慌てた。また、彼らは「Go home with your sick meat!(狂牛病の牛肉を持って米国へ帰れ)」と代表団に向かって叫んだ。活動家たちは逃げるように出ていく米国代表団を追いかけていった。彼らは準備した車に乗り、駐車場から出てくる米国代表団の前に立ちふさがり、再び圧迫奇襲デモを始めた。その場には牛の面をかぶった人形と作業服を着た農夫もいた。皆、米国から入ってくる狂牛病にかかった牛肉を望んでいなかった。活動家たちは仁川空港の警備員の停止線を突破し、代表団らが乗った車の目前で声をあげて叫んだ。

 「我々は狂った牛を望んでいない。狂牛病の牛肉を持って米国に帰れ」。「NO MAD COW! GO HOME!」

 活動家たちによるデモの間、車内で米国代表団はとても困った様子で視線を遠くにやった。結局、警備隊と警察の制止で、代表団の乗った車は仁川空港を出発した。わずか10分足らずの間であった。

 環境運動連合緑色対案局ヨム・ヒョンチョル局長は「わが国をはじめとして、30余カ国が米国産牛肉輸入禁止措置を出したなかで、米国代表団は日本に続いて、禁止措置を解除してほしいという立場と圧力をかけるために、わが国を訪問した」として、「米国は韓国政府に輸入禁止解除を要求する資格はない」と主張した。

【筆者】趙 惠珍(CHO, Hye-Jin) / 市民環境情報センター / 環境運動連合ニュース /  [K03123001J]
]]>

北漢山国立公園のトンネル道路工事、認めるのか

韓国全土 2003年12月22日、 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は 北漢(ブッカン)山国立公園におけるトンネル道路工事に反対の立場にいる仏教界との対話をするため、慶尚(キョンサン)南道にある海印(ヘイン)寺を訪れた。盧大統領は曹渓(チョゲ)宗(注1)の法伝(ポプジョン)住職に「当選以後の色々な事情を考慮すると、公約(注2)を守るのが難しくなりそうだ」と話し、工事強行の意志を明らかにした。

 また、大統領は工事強行決定が国立公園に関する大統領の無知のためであるという非難を避けるため、‘世論調査の真意が伝達されなかったこと’と、‘すでに工事が進んでおりトンネル部分だけが残っていること’を工事強行の主な理由としてあげた。

 今まで世論調査のための先行条件と一旦工事を中断して代案を探そうと主張する環境・市民団体に対してずっと無反応であったが、今になって大統領は「努力したが、周辺との意見が会わず公約を守ることができない」と説明しているのである。

 我々が注目していることは、政府が国民と未来世代との約束空間である国立公園を通過する高速道路を計画しながら、環境・市民団体を意図的に排除しようとした点である。おそらく、政府は曹渓(チョゲ)宗を相手にする方がトンネル道路工事を政府の思い通りに強行できると判断したのであろう。しかし、 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は北漢山国立公園のトンネル道路工事決定を曹渓宗との話し合いで終えようと思ってはならない。

 環境連合は、政府が北漢山国立公園トンネル道路工事の強行を決定したこと、何よりも優先して保存しなければならない国立公園を破壊しようとすること、政府自らが国家政策を不正していること、大統領が守れない公約を国民にしたこと、そして公約を破り社会的信頼を失ったことなどを非難する。

■ 賜牌(サペ)山(注3)トンネルの現況

 1997年に、建設交通部は民間資本事業として、ソウル外郭循環道路の北部地域区間に位置する北漢山国立公園を貫通するトンネル道路建設計画を発表した。これについて牛耳(ウイ)嶺(注4)保存会は国立公園を壊してはならないという反対立場を発表し、以後89の市民・社会・環境団体がこの運動に参加した。

 IMF通貨危機のため、北漢山トンネル道路工事は一時中断されたものの、民間事業者らは2001年11月伐木作業を始め工事を再開した。一方、環境団体は直ちに工事現場である松楸(ソンチュ)の 圓覺(ウォンガク)寺入口で篭城を始めた.

 環境団体の反対に工事が再び中断したため、 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府は2003年9月世論調査による意見収斂方案を発表した。しかし、環境団体側は“対立が深刻な社会的懸案に対しては世論調査をすべきでない”と反対している。

注1:韓国で最も信徒が多いと言われる仏教の宗派
注2:昨年の大統領選挙の公約で工事の白紙化を掲げていた
注3:北漢山国立公園区域内にある山
注4:北漢山国立公園区域内にあり、賜牌(サペ)山と同じくハイキングコースになっている

【筆者】黄 惠仁(資料整理) (HWANG, Hye-In) / 市民環境情報センター / 環境運動連合 報道資料  /  [K03122601J]
]]>

サンタクロースは本当にいる―環境にやさしい子になってグリーンサンタに会おう

日本全土 「ジングルベル~、ジングルベル~♪」12月に入るなり、街は赤や緑で飾られ、クリスマスが近づいていることを告げています。毎年クリスマスイヴにサンタさんがよい子にだけプレゼントを配ることは、みなさんご存知のとおりです。しかし、最近のサンタさんはどうも違う様子です。そうです、近頃のサンタさんは定番の赤い衣装ではなく、グリーンの衣装をまとって登場するのだそうです。

 毎年デンマークの首都コペンハーゲン近郊のバッケン遊園地で、世界サンタクロース会議が開かれています。その会議では森林破壊や地球温暖化、生態系の変化といった問題によって、もみの木の森や雪、トナカイが姿を消しつつあり、環境破壊が毎年のように議題に上がっています。そこで、環境先進国デンマークの提案より、森林を含めた環境保護を訴えるため、親善大使(緑の森の番人)としてエコロジーカラーの象徴色をまとった、世界でも珍しいグリーン色のサンタクロースが誕生しました。

 「森が倒れ、雪が消え、トナカイもいなくなったら、どうなるんじゃろ、クリスマスは。サンタを待ってる子どもたちは。やっぱり自然あっての人間じゃ。そうじゃ、これからはグリーンの服でいこう。世界のみんなに自然を守る心が少しでも伝わってほしいからのう」 という言葉のもと、現在、グリーンサンタは日本を中心に活動し、今年は韓国にも訪問しています。また、今後はアジアを中心に訪問地域を拡大する予定だそうです。各地でエコイベントへの参加、子供達とのふれあい、環境保護のチャリティー活動などを行っています。

 もちろん、今年も日本に来ています。スカンジナビア政府観光局が中心となり、デンマーク大使館や(財)オイスカの協力のもと、環境保護のメッセージを伝える親善大使として、「グリーンランドサンタクロース協会」の公認サンタクロースをデンマークより招きました。子供達とのふれあいや環境保護のメッセージを伝える中で、グリーンサンタさんは森林保護のメッセージを込めたガーデンクレスの種をプレゼントしています。デンマーク産のガーデンクレス(和名コショウソウ)は、家庭で簡単に水の中で栽培でき、7日~10日で成熟します。かいわれ大根のようにサラダにして食べることができます。家庭で緑を育てることで、環境問題や食糧問題を考えるよいきっかけにもなるようにと、グリーンサンタさんの心遣いが込められています。

 あなたも、環境にやさしい子になれば、きっとグリーンサンタが会いに来てくれますよ。ガーデンクレスの種をもらって、来年からは緑あふれるクリスマスにしましょう。

(参考URL)
グリーンサンタ

http://www.greensanta.jp/

日本のサンタ
http://www.santaclaus.jp/

写真提供:スカンジナビア政府観光局(http://www.visitscandinavia.or.jp/)

【筆者】黄 清純(HUANG, Qingchun) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J03122401J]
]]>

中国初の青少年向け持続可能な発展教程始動

中国全土 中国初の青少年向け持続可能な発展教育の副読本、『可再生能源(再生可能なエネルギー)』が近日陝西省西安市で正式に採用される。この教材は、“北京環境与発展研究所LEAD項目事務室”がロイヤルダッチシェル中国グループからの支持を得て開発したものである。

 『可再生能源(再生可能なエネルギー)』はエネルギーの基本知識、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマスエネルギーの4章構成。水力エネルギー、地熱エネルギー、海洋エネルギー等3章は次期教材に組み込まれる。教材は、生徒用・教師用の教科書及び実験教材・模型・図等からなる。これら教材は小中学生用に開発されたものだが、頒布範囲は農村の子女まで拡大され、近いうちに、江蘇省・天津市・北京市・上海市でも試用される計画だ。

 エネルギーは、人類の生存と発展の基礎となる動力である。日々加速する中国社会の経済発展と生活水準の向上に伴い、世界各国の状況と同様、中国でもエネルギー需要が日増しに拡大している。再生可能なエネルギー技術を開発し、科学的かつ合理的な利用を提唱することが、エネルギーの持続可能な供給戦略の重要な構成部分となっていることを我々は既に意識している。

 編者はこの教材が現在の、そして次世代の子供たちに良好な影響を与え、再生可能なエネルギーの基本概念を彼等に理解させるだけにとどまらず、更には彼等のエコロジー文明に対する意識を向上させ、彼等が積極的に各自の生活を改革して生活の質の改善、生態環境の保護に努めるようになり、それが全人類の持続可能な発展の推進に繋がることを願っている。

【筆者】康 雪(KANG. Xue) / 中日韓環境情報共有中国ボランティアチーム/自然の友 / 寄稿 /  [C03122401J]
]]>

中国 世界第二のエネルギー消費国に

中国全土 省エネルギーの専門家 王慶一氏は近頃、北京で行った講演で「中国の02年一次産品エネルギー消費量は全国で14.8億(中国標準石炭換算*下に訳注あり)トンで世界第二位だ」と述べた。そのうち石炭は66.1%、石油は23.4%、天然ガスは2.7%、水力発電は7.1%、原子力発電は0.7%を占めている。これとは別に、全国の農村で消費される稲藁など穀物の茎や薪(まき)は2.8億(中国標準石炭換算)トンに達すると言う。

 01年の統計資料を見ると、全国の末端消費者が支払うエネルギー費用はGDPの13%を占めている。中国は目下、工業化のプロセスにあり、経済の迅速な成長は、鉄鋼・化工・建材などのエネルギー消費量の大きい重化学工業の発展に依るところが大きい。また重工業企業のエネルギー消費量は金額ベースで、軽工業におけるそれの4倍だ。これは中国の単位GDPエネルギー消費量が高くなっていることの重要な原因になっている。ここ十数年で中国の重工業は、工業総生産量における比重が再び上昇する傾向を示し、金額ベースで見ると90年の50.6%から02年の60.9%に上昇した。

 研究によると、エネルギー消費量の大きい産業が工業総生産量に占める割合は金額ベースで2020年までの間、2000年の水準をほぼ維持するものと見られる。また「高エネルギー農業」の時代に入ったこと、都市化により一人あたりエネルギー需要が大幅に増加していること、自家用車が猛烈な勢いで増加していることなどにより、石油の需要も、かつてのレベルを大きく上回っている。このことから、中国のエネルギー需要は急激な勢いで伸びていくことになろう。

 省エネルギー専門家 王慶一氏は「1980年から2000年までの20年間、中国の省エネルギー事業は効果が著しい」とも言う。中国では20年間で単位エネルギー消費量は金額ベースで64%減少したが、同じ時期、全世界平均は19%しか減少していないのだ。エネルギー節約量の累計は石炭に換算すると11.45億トンで、二酸化硫黄2080万トンおよび二酸化炭素7.22トン(石炭換算)の排出を削減できた。

 また、「単位商品エネルギー消費量」は「国際先進標準値」との差を目に見えるほど縮めている。鉄鋼1トンあたりだと、90年には58.5%だった「国際先進標準値」との差を2000年には20.9%にまで詰めている。

* 訳注:「中国標準石炭換算」はエネルギー量を石炭に置き換えて計算したもの。
    1万(中国標準石炭換算)トン=142.94原油換算トン=100.06×10の七乗kcal
    (出典:九州国際大学経済学部の寺村教授ゼミHPより

http://homepage3.nifty.com/teramura/on_energy/study_energy_equiv.html)

【筆者】康 雪(資料整理)(KANG, Xue) / 中日韓環境情報共有中国ボランティアチーム/自然の友 / 新華社(2003年12月14日) /  [C03122402J]
]]>

大学生の環境活動、新局面へ!

東京 さる12月20日、東京で「第1回 大学生環境活動コンテスト」が開催されました。大学生を中心とした環境団体58が集まり、それぞれの取り組み事例延べ68事例が紹介され、独自性、パートナーシップ、環境改善効果など6つの視点に基づいて、グランプリなどが選考されました。一次選考委員を務めた筆者の感想も含め、コンテストの様子を紹介します。

 このコンテスト開催のきっかけは、環境活動に取り組む学生・青年グループの全国ネットワーク「エコリーグ」と東京電力株式会社の懇談の場でした。そして、同コンテストを主催する実行委員会が立ち上がり、東京電力が共催、エコリーグはまちづくり市民活動を支援する学生NPO「場助っ人(ばすけっと)」とともに協力団体となり、開催準備に9か月近くかけられました。このコンテストの特徴の一つは、このように開催準備の段階から、学生団体、青年団体だけでなく企業の協力を得てきたことといえます。

 大学の環境活動が活発化したのは地球サミット後の1993年頃で、当時「きゃんぱすえころじー」という大学構内の環境負荷削減及び環境教育推進のための全国ネットワークが組織され始めました。参加大学の環境調査などが繰り返される中で、各大学をランキングしてはどうか、という意見も出ましたが、これまでは時期尚早といった感があり、実現には至りませんでした。

 発表した団体は関東近辺の大学が多いものの、北は東北大学、南は沖縄大学まで全国各地から応募がありました。それぞれの活動内容も川の水質調査、環境問題に関する講義の運営など継続的なものから、学園祭の廃棄物削減など多様なものでした。

 当日の参加者は500人を超え、会場は大変な熱気で、選考にも熱が入りました。しかし、活動の内容が違う各事例を評価することは非常に困難で、言うまでもなく、賞に選ばれなかったからといってその取り組みが社会的に認められないということではまったくありません。一次選考を通過したのは10事例、これに加えて参加者による復活選考4事例が最終選考にはかられ、選考結果は以下のようになりました。

グランプリ:雑木林を楽しむ会(福井大学)…キャンパス近くの市街地に珍しい人工
林を通じたまちづくりの取り組み
準グランプリ:環境E.C.O(山梨大学)、自然まちづくりの会(麻布大学)
特別賞:エコキャンパスクラブ(沖縄大学)、自転車キャラバン(インカレサークル
(注))、東大環境三四郎キャンパスエコロジー活動、ASIATO(東京薬科大学)、環
境NPO環境ロドリゲスEBM研究会(早稲田大学)

(参考URL)
大学生環境活動コンテストのHP

http://www.eco-2000.net/contest/

(注)インカレサークル…複数大学の学生で構成されるサークル

発表の様子

一次選考の様子

【筆者】増原 直樹(MASUHARA, Naoki) / (NPO)環境自治体会議 環境政策研究所 / 寄稿 /  [J03122402J]
]]>

今年は豊作、水俣のみかん

熊本 熊本県水俣市は、今から50年ほど前に発生・拡大した、水俣湾での有機水銀による被害に代表される公害病、「水俣病」で知られる。(病名に地名が使われた日本最初の公害だけに、知名度が高い。) 一方で、その負の歴史を克服して、地元学(足元の当たり前の豊かさに気づくための取り組み)などで活力を取り戻し、今や地域づくりのモデルとして注目を集めるに至っている。

 地産品の象徴として、甘夏などのみかんは有名だが、これは水俣病によって、沿岸漁業が営めなくなった漁民を中心に、1960年代に農業に活路を見出したのが始まりという。山を開き、サツマイモ畑やみかん園を広げていったが、海での有機水銀の災禍に続き、転進した先の農園で、今度は農薬に苦しめられた。(農薬使用が現在よりも、無防備に扱われたことに起因している。) 肝臓を痛めるなど健康被害に遭う生産者が増えたため、1970年代になって、水俣病患者や支援者が中心になって、医療の勉強会を継続的に開催。「農薬は劇毒」という認識を共有する。

 以来、無農薬のみかん栽培をめざし、「水俣病患者家庭果樹同志会」「反農薬袋地区(はんのうやくふくろちく)生産者連合」「津奈木(つなぎ)甘夏生産者の会」の三者が共同して「水俣みかん共同出荷組合」を結成。「反農薬」「有機栽培」「自主販売」を柱に、甘夏をはじめとする柑橘類や野菜などを生産・出荷し、好調だ。

 公害の原点とも言える土地だからこそ、食の安全性に対する思いは強い。水俣病の患者や家族の人たちが関わっているため、「公害の被害者の生産活動によって、新たな被害者が出るようなことはしまい」という決意が込められている。「水俣だからこそ安心安全」と、逆に水俣産であることを強調しているのがポイント。水俣病のマイナス要素をプラスに転じた好例として、水俣のみかんは語られている。

 水俣・芦北(あしきた)地域は、不知火海(しらぬいかい)に面したリアス式海岸の続く丘陸地。日照に恵まれ、水はけがよく、柑橘類栽培には打ってつけ。小みかんや温州(うんしゅう)みかんは昔から植えられていたが、特に丈夫な甘夏は農薬、化学肥料ともに全く使用しなくてもいいため、代表格になっている。ノーワックス、ノーブラッシング、無選別で出荷できる強みは大きい。

 一年おきに豊作と不作を繰り返す傾向(表と裏)があるそうだが、今年は表の年に当たるため、どこも豊作。今夏7月20日に豪雨による土石流が水俣を襲ったが、幸いみかんには影響はなかった。水俣みかん共同出荷組合の他、(財)水俣病センター相思社(そうししゃ)でも、みかんの出荷であわただしい時期を迎えている。


不知火海を見渡す丘陵地。この土地でみかんが収穫される。

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J03121701J]
]]>