世界へ拡散するセマングム干潟を守る三歩一拝運動

世界―自分達の小遣いを集めてスギョン和尚を招待するエコ・プライアー学生(イギリス)

 2003年3月28日から5月31日までの65日間に行われた4人の聖職者による三歩一拝祈祷修行は全国民を感動させた。セマングム干潟を守らなければならないという切実な願いから始まった三歩一拝運動は人々の共感を呼んだ。また環境連合はWBK Englishの協力を受けてセマングム干潟保全運動と三歩一拝を国際的に広めた。反響は世界的に広がって世界88ケ国から約11,600通に逹する抗議書とEメールが韓国政府のもとに送られ、セマングム干拓事業中断を要求した。

 セマングム干潟保全運動と三歩一拝が世界的に注目を浴び、これを知ったイギリスのバースにあるプライアリースクールの中高生たちは、エコー・プライアーという環境団体を作ってセマングム干潟を守るための署名運動を行い、約4千名から支持署名を集めた。

 聖職者たちの三歩一拝祈祷修行に大きく感銘を受けた学生たちは、2月2日の「世界湿地の日」を記念して、セマングム干潟と湿地の大事さを振り返るための三歩一拝行事を計画した。

 彼らははるか遠い東方の国、韓国から三歩一拝に参加した聖職者を招待してセマングム干潟と生命に関する話をしてもらうために、自分達の小遣いを集めて募金運動を行った。

 このような事実を伝え聞いたスギョン(Su Kyung)和尚は、イギリス青少年たちの真心に感動し、体調が悪いにもかかわらず直接イギリスへ旅立つ事にした。今回の訪問ではドボプ(Do Bub)和尚と一緒に参加して三歩一拝を行う予定。

 また、国際鳥類保護連盟(Birdlife International)、鳥と湿地トラスト(Wildfowl and Wetland Trust; WWT)、イギリス鳥類保護協会(RSPB)などの湿地と鳥を保護するために活動している環境団体を訪問し、これらに管理されている多くの湿地も訪れる予定である。

 一方、「世界湿地の日」を前日に控えた2月1日には、イギリスを始めとして、タイ、アメリカ、ドイツ、イタリア、スイスなど世界7ケ国でセマングム干潟を守るための三歩一拝が実施される予定。セマングム干潟の価値と大切さをもう一度世界に知らせ、韓国政府にもセマングム干潟保全を促すきっかけとなるだろう。

写真:マ・ヨンウン(MA, Yong-Un)

【筆者】マ・ヨンウン(MA, Yong-Un) / 環境運動連合 国際連帯 / 環境運動連合報道資料( http://www.kfem.or.kr/) 2003.1.15 /  [K04013001J]
]]>

ソウル高裁、1審を覆す判決 「干潟の価値はどこに?」―セマングム防潮堤工事執行停止決定取り消し

全羅北道原告側「本案訴訟に影響力なし。最高裁判所に上告する」

[2004年1月29日 午前11:02ソウル高等裁判所412号] 第7特別部(イ・ヨンエ裁判長): 2003(ル)98執行停止事件、ソウル行政裁判所2003.7.15.(ジャ)2003(ア)1142判決に対して第1審判決の中で被原告側の敗訴部分を取り消す。上の取り消し部分における申請者たちの申し入れを棄却する。
―‘セマングム防潮堤工事行政最高裁判所執行中止決定’に対する控訴審決定宣告中-

 昨年7月15日ソウル行政高等裁判所が、セマングム防潮堤工事停止仮処分の判決を下したのに対し、1月29日ソウル高等裁判所は被告側である農林部が、高裁に申し立てた控訴審で1審判決を取り消す決断を下した。高裁特別7部はセマングム工事執行停止決定に対する農林部側の控訴を受け入れたのだ。農林部はセマングム工事を続行することができるようになった。

 まず高裁は1審判決のセマングム工事執行停止決定を取り消した理由として、農林部の事業施行計画上2005年11月までに、2.7km区間が開放区間として残っている海水の流通がすでに整備されているため、防潮堤工事を中断する等の緊急な必要性がないことをあげ、判決を下した。

 また判決文で海水の流通が開放されている2.7km区間の流速が、普段の4倍に達し工事が執行停止になれば防潮堤の遺失危険度が高くなり、これによって臨時補強工事費用として約30億ウォンの負担、さらに漁場が荒廃化されるなど公共福利に悪影響をもたらす恐れがあると明らかにした。

 しかし昨年7月、行政裁判所では防潮堤工事停止によって生じる干潟の価値と水質汚染防止、防波堤遺失による損失に対する価値評価を通じて、遺失に対する損失より干潟の水質汚染価値を重く見て執行停止決断を出した。1審と2審では干潟に対する価値判断に大きな対立を見せている。

 これについて共益環境法律センター所属、キム・ホチョル(KIM, Ho-Chul)弁護士は「このまま工事を進行すれば、河口干潟が消え、それによって漁場が消えるなど世界的に稀少的価値を持っているセマングム干潟が消えるようになる。」そして 「裁判所はこのような公共福利の悪影響に対しては考慮も言及もしなかった。」と主張した。また、彼は「河口干潟が持つ環境・生態的価値を考慮しない今回の高裁の決定は非常に惜しい。」と見解を述べた。

 あわせて共益法律センター所属、パク・テヒョン(PARK, Tae-Hyun)弁護士は「高裁は1審が本案勝訴の蓋然性に対して別途には判断していないため高裁の取り消し判決は本案訴訟に大きい影響を及ぼさないと判断する。」と述べた。

 セマングム干拓事業無効訴訟弁護団はこれから残る2回の証人尋問を経て本案訴訟に向けてさらに力を注ぐ予定である。


1月29日ソウル高裁のセマングム防潮堤工事執行停止棄却宣告が後原稿側弁護団は高裁記者室で緊急記者会見を開いて見解を述べた。

【筆者】趙韓 恵珍(CHO-HAN, Hye-Jin) / 韓国環境運動連合 / 環境運動連合報道資料(http://www.kfem.or.kr/) 2004.1.30 /  [K04013002J]
]]>

ガイドライン策定が急がれるエコツアー

沖縄 環境を守りながら、地元の活性化も図れる。今、エコツアーに地元住民や観光業界、行政当局の関心が注がれるのは、自然の流れであるとも言える。しかし現状では、エコツアーを行ったが故に様々な環境破壊が発生するケースも見られ、その防止策が急務である。

 昨年11月、環境省主催による「エコツーリズム推進会議」が発足した。来年6月までの間に、断続的に会議を行い、エコツーリズム推進のための方策を提言していこうというものである。ガイドつきの自然体験カリキュラムがそれ自体、現地の環境負荷を増大させることがあるといった、エコツアーに付随する負の側面も踏まえた上で、具体的には、エコツアーの実施に伴うルール作り、ガイドやスタッフの人材養成策、エコツアーに関する情報提供の方法などについて、検討が行われていくことになっている。

 1月末時点では、推進会議が1回(全部で3回開催予定)開催され、その間に行われる幹事会が2回(同5回)開かれたことになる。6月に予定されている推進策の策定・発表に向けて、現段階では委員による討議が行われているところである。

 実際、こうしたエコツアー推進のためのガイドラインの作成は、急を要する問題と言える。例えば、昨年以来エコツーリズム推進事業を展開しつつある沖縄県でも、同事業のモデル地域に指定されている西表島で、観光客による周囲の土の踏み固めなどにより、日本では南西諸島でしか見られない、熱帯・亜熱帯地方特有の巨木であるサキシマスオウノキの倒木が起きている。

 さらに、地元関係者などによれば、ウミガメやホタルの減少が見られるようになってきているとも言う。また、西表と同様にモデル地域に指定されているヤンバル(山原)でも、訪問者の車両進入などによる植生破壊の被害が出ている。そうした現状にあって、今後一層、エコツアーを主催する事業者側の責任も問われてくるだろう。

 観光業がもたらす環境被害の発生という状況を重く見た県側も、事業者間のルール作成に向けて、取り組みを始めている。県側の担当者によれば、まず最初の段階として、3月末までに西表及びヤンバルの特定地域において、「環境の保全」と「環境の適正な利用」に関する「環境保全利用協定」の内容を策定し、事業者間の協定締結を行いたいとしている。

 エコツアーは、環境保護の意識を高め、人々の環境認識を改めていく、大きなツールとなる可能性を秘めている反面で、環境配慮を二の次にした営利目的の人々を呼び集める危険性も否定できない。初期の段階でルールを設け、審査システムと(罰則も含めた)確固とした違反への対応策を決めていかない限り、エコツアーの全般的な質を維持することは、困難になり、ひいては当該地域の環境破壊にもつながってしまうだろう。環境省と各自治体が策定するガイドラインに対して、今後も注目していく必要がある。

サキシマスオウノキ(写真提供:九州森林管理局)

【筆者】伊東 龍太(ITO, Ryuta) / エコ・パブリッシング / 寄稿 /  [J04012802J]
]]>

絶滅の危機に瀕しているプルジェワルスキーガゼル、新たに3ヶ所で群れを確認

青海省 青海省林業局の情報によると、近頃の関係調査で絶滅の危機に瀕しているプルジェワルスキーガゼルの新しい群れが3ヶ所で発見された。これは我が国独自の野生希少動物であるプルジェワルスキーガゼルの保護にもたらした朗報の一つである。

 プルジェワルスキーガゼル(中名:普氏原羚)はチルーと同様、我が国特有のガゼル種である。中国科学院動物研究所の首席研究員、プルジェワルスキーガゼル研究の責任者である蒋志剛はプルジェワルスキーガゼルがチルー・ジャイアントパンダ等と比較しても更に希少と認めている。

 プルジェワルスキーガゼルは(中名で)普氏小羚羊とも呼び、歴史上かつては内モンゴル・寧夏・甘粛・青海等の広範囲に分布していたが、現在生息数は極めて希少で、既に世界で最も絶滅の危機に瀕した有蹄類動物となっている。

 1875年、ロシアの探検家プルジェワルスキーが、内モンゴルにてその最初の標本を採集しサンクトペテルブルグへ持ち帰ったことから、プルジェワルスキーガゼルの名前がついた。

 青海省林業局と中科院西北高原生物研究所で結成された共同調査グループによって、2003年の秋季と冬季に分けてプルジェワルスキーガゼルの資源調査と補足調査が行われた。現地住民の報告により、調査グループは共和(チャプチャ)盆地と柴達木(チャダム)盆地でプルジェワルスキーガゼルの姿を発見した。共和盆地の群れは間に青海南山があるので、青海湖盆地の幾つかの群れとは山を隔てていることになる。柴達木盆地の東北部に位置する青海省天峻県で、その西南部の山間部と県城付近の快爾瑪郷に分かれて一つの群れが生活しており、生息数も比較的多く、保存は比較的良好である。

【筆者】周 玲(資料整理)(ZHOU, Ling) / 中日韓環境情報共有中国ボランティアチーム/緑色北京 / 中国緑色時報(2004年1月19日) /  [C04012801J]
]]>

全国過半数の県以上の行政区、水資源統一管理を推進

中国全土 新華網北京(1月25日付)の報道によると、我が国の県以上の行政区総数の過半数にあたる1206ヶ所の行政区が目下すでに水資源を統一管理する水務局方式を推進している。

 水利部部長汪恕誠は、先日開かれた全国水利庁局長会議上で、現在海南、上海、深セン、武漢、西安、ハルピン、大連等の地で水務局或いは水利系列機関による水務管理が実施されており間もなくそれらの地域に続き、水務局設立申請を提出済みの多くの市や県が、今後相次いで水務局を設立予定であると述べた。これらの新設された水務管理機構は、水利部門元来の機能に加え、水資源の供給、節水、排水業務管理機能を備え、一部の地域においては、更に汚水処理の管理機能を持つ。

 かつて中国の水資源分割管理体制下では、水資源の供給・排水・汚水処理・汚水再利用が統括管理されておらず、こうした状況が都市用水の不足、生態システムの悪化を助長していた。都市の水資源供給は、過度に地下水源に依存しており、多くの都市で市街地を中心とした過採水地区が生まれ、一連の生態系破壊をもたらした。

 汪恕誠は更に以下のように述べた。全国の三分の二の都市が水資源の供給不足という問題を抱えている現在、水資源の供給・排水・汚水処理・汚水再利用を全て関連づけて考慮し、その統括管理を強化することが目前の日毎に深刻化する水問題の解決に有効な方法である。都市及び農村部において、治水、水源の確保、水資源の供給とその利用、節水、排水、汚水処理及び処理水の再利用を一体化して管理する水資源統一管理方式の設立を推進しなくてはならない。

 水資源統一管理によって、供給する水質を向上させ、都市及び農村部の水の安全を保障し、現在の水資源管理システム中の機能の交錯、責任の帰属問題を解決し、水源と地下水の過度な採水を緩和し、都市部の水生態システムを徐々に回復させる、と。

【筆者】康 雪(資料整理)(KANG, Xue) / 中日韓環境保護情報共有中国ボランティアチーム/自然の友 / 新華網北京(2004年1月23日) /  [C04012802J]
]]>

約3万人でエコライフ実験~川口市民環境会議の取り組み

埼玉 埼玉県川口市内の環境NGO、川口市民環境会議は、年に一度の「エコライフDAY」を通じて、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出削減を広く市民に呼びかけています。

 第4回目となる2003年は、市制施行70周年記念事業「シンボル施策事業」の一つとして6月29日(日)に実施され、28,904人の市民が参加。

 エコライフDAY当日と、1週間前の日曜日(6月22日)の電力量・水道送水量の比較を、東京電力と川口市水道局の協力を得て行ったところ、電力量473MWh・水道送水量1,066立法mという削減効果が得られた事がわかりました。尚、参考までに、エコライフDAY当日は、1週間前と比較して、天気が良く気温も高いという天候状態でした。

 この削減効果を、電気料金・水道料金に換算すると合計で約1000万円、二酸化炭素排出量に換算すると合計で171トン(二酸化炭素換算値)になります。このことから、参加者1人あたりの削減量は約6kg、これは日本人1人1日あたりの二酸化炭素排出量の約23%にあたり、エコライフDAY当日は京都議定書の約束をクリアできたという計算になります。

 エコライフDAYの事業内容は、次の通りです。エコライフDAY当日、参加者は、会が独自に作成した“エコライフ行動チェックシート(=1日版環境家計簿)”に書かれてある5~20個のチェック項目(「不要な照明を消した」等)を見ながら、普段の生活よりも環境の事を考えて生活をします。このチェックシートは、市と市教育委員会の協力を得て、市内小学校・中学校・高等学校の全児童・生徒、市職員に配布すると共に、市民へは公共施設や市内のお店などを通じて配布します。エコライフDAY終了後は、参加者からチェックシートを回収し、事務局で集計・発表します。

 この取り組みは、その後の参加者の行動にも影響を与えています。2003年のデータでは、前年の参加をきっかけとしてエコライフを継続している人が全体の12%いることが明らかになりました。また昨年12月には、環境省から「平成15年度 地球温暖化防止活動大臣表彰」を受賞させていただきました。エコライフDAYの取り組みは、今、各地に広がりつつあります。


自転車通勤で参加した川口市長

回収されたチェックシートの集計

【筆者】浅羽 理恵(ASABA, Rie) / 川口環境市民会議 / 寄稿 /  [J04012801J]
]]>

原発に引き裂かれた町をつくったのは誰だ?―珠洲原発断念

石川 昨年12月、日本では原子力発電所の建設計画が相次いで凍結や断念に追い込まれた。ひとつは「巻(まき)原発」(新潟県巻町)、もうひとつが「珠洲(すず)原発」(石川県珠洲市)だ。珠洲原発は、建設計画浮上から28年、立地可能性調査着手と中断から15年を経ての計画断念、その間に建設反対派と賛成派の対立で市は引き裂かれてしまった。しかし、こうした町にしたのは誰なのだろうか。

 そもそもの発端は、1975年11月に珠洲市が原発立地可能性調査の要望書を国、県に提出したことである。そして、関西電力(大阪)と中部電力(名古屋)が、北陸電力(富山)と共同で、原発を各1基(出力135万kW)ずつ建設する計画が立てられ、市長や市議会は地域振興のため原発建設を推し進めた。

 計画が明らかになると、地域の労働団体や漁業組合が中心となって「珠洲原発反対連絡協議会」が結成され、市や電力会社に対して原発建設反対を申し入れたり、市長選挙に候補を出すなど運動は盛り上がった。その結果、1989年5月には電力会社が強引に着手した建設可能性調査を中止に追い込むことができた。

 その一方で、中学生対象の発表会で原発問題を取り上げる生徒の参加が拒否されたり、公民館が原発関係の講演会開催を拒否するなど、対立は深くなっていった。また、市長選挙が不正発覚で無効になったり、それを受けた選挙で市幹部が公選法違反の容疑で逮捕されるなど市政も混迷を続けた。

 ところが、原発建設について「住民合意を最大限尊重する」とした谷本正憲石川県知事の誕生により建設に向けた動きが停滞する中で、地元紙は原発計画断念を伝えた。3電力会社の社長が珠洲市に「凍結」を申し入れる3ヶ月前のことだった。「この28年は何だったのか…」賛成の立場から地域づくりを推進してきた人物は、新聞社のインタビューにこうつぶやいたという。

 28年におよぶ対立は住民や市政に混乱や疑念を招く結果となった。こうした対立について、電力会社は責任を取ろうとしないが、引き裂かれた町の修復に当事者としてサポートすべきではないだろうか。日本にはこうして引き裂かれた市町村がいくつもある。

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / (NPO)足元から温暖化を考える市民ネットワーク・えどがわ / 寄稿 /  [J04012101J]
]]>

官庁の「水商売」も限界に―ダム建設をめぐる動き

群馬 日本では、清涼飲料水メーカーが街角でペットボトル入りの水を売っているが、政府は自治体に水を売ってダムを建設している。昨年12月、国土交通省の外郭団体「水資源機構」(旧・水資源開発公団)が建設を進めている群馬県片品村の戸倉ダムをめぐり、このダムの最大の利用者となる埼玉県は、ダム建設の必要性を主張した水需要予測を大幅に下方修正し、水を利用する権利を放棄する方針を決めた。

 戸倉ダムは、「利根川総合開発計画」の一環として、洪水調節、流水の正常な機能の維持、都市用水の供給を目的とする多目的ダムとして群馬県片品村の片品川に建設する計画だった。水資源機構では1985年から実施計画調査を実施し、1994年に建設大臣から事業実施計画が認可されて建設に着手した。計画では、ダムにより開発された水道用水は、埼玉県や東京都などで利用される予定であった。総事業費は約1,230億円に上り、埼玉県の負担分はそのうち約241億円と、予定利用者の中で最大となっていた。

 昨年8月の知事選で公共事業見直しを掲げ当選した上田清司(うえだ・きよし)知事は、12月8日の県議会で「水需給計画を見直した結果、撤退すると判断した」と述べ、建設からの撤退を正式表明した。県の新たな試算では、水需要はかつての予測日量359万トンから1割程度下がる。県は戸倉ダムの水利権で日量最大約26万トンを確保する計算だったが、水需要の下方修正で同ダムの水は不要になる計算だ。

 これまでに投入した約89億円は無駄となるが、事業の継続によって埼玉県の将来にわたる出費が約380億円以上がかかることを回避する方が賢明、という判断だろう。これ以上の負担には耐えられないとの判断が撤退を決断させた。埼玉県の撤退により、東京都も撤退を表明し、これを受けて国土交通省は12月25日、戸倉ダム建設事業を中止すると発表した。

 洪水対策、渇水対策のために豊かな自然を破壊してダムを建設する時代は終わりを迎えた。しかし、ダム建設受け入れの代償として水資源機構が片品村に約束したインフラ整備が今後どうなるのかなど課題も残されている。こうした動きがある一方で、同様の目的で建設される群馬県吾妻郡の八ッ場(やんば)ダムについては、東京都の石原知事は必要であるとしている。

 洪水対策に至っては、最悪のシナリオを想定すると、まだまだ十分な治水施設が整っているとは言えないというのが国土交通省の建前。だが総じて、ダム建設をめぐる動きには不可解な点が多い。利用者として流域住民としての市民の目、費用対効果の十分な検証などを通じ、引き続き見直していくことが不可欠だろう。

群馬県 利根川

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / 揚水発電所問題全国ネットワーク / 寄稿 /  [J04012102J]
]]>

千聖山(注)サンショウウオ訴訟のための全国巡回団の解団式

慶尚南道 人は誰でも使命をもって生まれる。とはいっても全生涯を通じて己のなすべき事を見極める人は少ないだろう。お坊さんのチユル師はここ一年の間、38日間と45日間の厳しい断食を2回も行った。ご自身の命をかけて、チユル師が俗世に立ち向かったのは、千聖山の多くの生き物を生かすため。

 チユル師は去る1月16日、曹渓寺で開かれた「千聖山サンショウウオ訴訟のための全国巡回団の解団式」で、この事を為すためにご自身が生まれてきたのだろうと心の内を明かした。だから想像を絶する苦行をも、ただ「己のなすべき事をしただけ」とおっしゃった。

 都市で暮らす多くの人々は自分たちの行動が自分以外の人と生命にどんな影響を与えるのか、わからない場合が多い。人々が捨てっぱなしにしたゴミが山のように積もり、土壌を汚染し、地下水が汚くなるという事実と、自らがどんなにそのことに「寄与」しているのかを認識しにくい。それは壁に囲まれ、ドアが閉められた都市の構造のためかもしれない。そのため、被害が自分に直接及ばないときは、どんな問題に対しても無関心になりやすい。釜山から遠く離れたところで暮らしている私は考えてみる。京釜高速鉄道が千聖山を貫通することが、本当に自分にとってどんな意味があり、どれほどの影響を与えるのかと。

 70年代から始まった干拓事業、高速道路建設などの大規模国策事業は職場を創出し、移動時間の短縮、交通の便利さをもたらした。反面、工事によって山が大規模に掘り返され、土壌と河川が汚染されるという問題が生じた。国策事業に対する批判はこれに止まらない。とてつもない工事資金が不透明に運営され、各種ロビーの疑惑を受け、実際に栗谷事業、高速鉄道選定事業で、それらが事実であることが明らかとなった。

 高速鉄道の千聖山貫通を阻止しようとするチユル師をはじめとする原告側は、現在も相変わらず施行されている国策事業の誤りを是正しようとしている。千聖山にはチョウセンオオサンショウウオ、モウセンゴケのような希少価値のある動植物があり、生態的価値が高いにもかかわらず、環境影響評価からは除外されている。また、活性断層地帯であるため、地盤が不安定なところでありながら、そのような安全についての調査も不足しているのが実状である。路線再検討委員会に所属する多くの教授たちが実際には千聖山区域でただの一度も現地立ち入り調査をしていなかったことが新聞で明らかになったこともあった。現場に対する綿密な検討もなく、机上であっさりとなされた「研究」と「評価」をどうして信じることができるだろうか。

 こういった国策事業が引き続き行われれば、我々が利用する鉄道と道路、トンネルの安全は保障できない。とりかえしのつかないくらい環境が破壊され、希少価値のある動植物の棲息地が消え、原始林水準の山林が破壊されるなら、人間もやはり暮らしにくいところになるだろう。きれいな渓谷(1級水)に棲んでいるチョウセンオオサンショウウオは、彼らが棲んでいるところこそ人間が暮らせるところであることに再び気づかせてくれる。

 高速鉄道の千聖山貫通のみならず、様々な国策事業とは、ある者にとっては生命を懸けるほどの意味を持ち、ある者にとっては単なるニュースのネタの1つに過ぎず、またある者にとってはその存在すら知られないものかもしれない。目を閉じて考えてみよう。果たして、自分はこの中のどこに立っているのかを…。

(注)千聖山:チョンソンサン、韓国・慶尚南道、梁山市の熊上邑と下北面の境にある高さ812mの山。新羅の高僧、元曉大師が「千人の僧侶を華厳経で教化して聖人にした」という伝説から、この名が付けられた。

【筆者】コイ・チソン / 緑色連合 / 緑色連合報道資料 /  [K04011702J]
【翻訳】吉澤 文寿]]>

扶安(プアン)自治体住民投票が来月14日にも実施の運びに

全羅北道―核廃棄場誘致の賛否を問う住民投票管理委員会の旗揚げ

 来月14日扶安(プアン)の住民を対象に自治体住民投票が実施される予定である。扶安の住民投票を管轄する「扶安放射性廃棄場誘致住民投票管理委員会」は15日午前11時にソウル安国洞(アングットン)ヌティナムカフェで旗揚げ記者会見を開き、扶安における謂島(ウィド)核廃棄場建設の賛否を問う自治体住民投票の実施方法と日程を発表した。

 住民投票の客観性と公正性を図るために市民、宗教界、学界、専門家たちで構成される今回の「扶安住民投票管理委員会」は実際に住民投票管理委員と確かな執行力のある事務局などで構成し、扶安の自治体住民投票が円滑に行われるように足並みをそろえ推し進める予定である。

 住民投票管理委員会は15日の旗揚げ式を皮切りに25日には住民投票法案を公示し、2月14日には住民投票を実施する方針である。また、2月15日に開票及び結果を公表する。1月25日公示日を基準に住民登録人口の20代以上の者であれば投票できる。

 住民投票管理委員会は「投票時期は4月の総選挙に影響を受けないように60日前に施行するようにし、住民投票とも関連する賛否運動は1月25日から2月13日までの20日間、賛成派と反対派が話し合うためのテレビ討論会、地域(邑・面)別討論会及び説明会等を開催すること」を明らかにした。また、運動期間中は夜間集会・署名集め・図書館などの禁止場所での演説・拡声器の制限などの違反行為は禁止する」と述べた。

 住民投票の結果は過半数の得票で確定し、もし投票率が3分の1に満たない場合には再投票はしないことと定めた。このすべてが今年7月、施行予定の住民投票法と選挙法に基づき薦められる。

 投票管理委員会の委員長で美し財団の朴元淳(パク・ウォンスン)常任理事は発足文の朗読を通じて「我々は扶安のこの事態からの速やかな解決が急務だと考えます。政府が目を背けている状況下で我々だけででも責任を担う事にしたのである。我々は国家の権威を脅かしたり、反対派住民の意見を声高に叫ぼうとするのでは決してありません。国家の安全を心配し地域社会の和解と安定のためにこれ以上、先送りにしてはならないと言う思いから志願したのです」と自らの立場を明らかにした。

 これと共に「扶安の住民たちには、賛成であれ反対であれ成熟した積極的な態度で意思を表明し、平和で自由な姿勢で住民投票に臨む事、そして政府はこの住民投票管理が円滑に進められるように協力してほしい」と訴えた。

 自治体住民投票管理委員会は中立を守り、それぞれの市民社会団体から人員を選びボランティアを募り、一般市民などを対象に募金活動に着手し費用や所要時間などの問題に知恵を出し合う計画だ。

 一方、住民投票案において、扶安郡と政府間の葛藤は年を越そうとも解決策を見出せないことから、昨年の12月29日に扶安対策委員会が自治体住民投票を提案したことが事の発端であった。

【筆者】趙韓 惠珍(CHO-HAN, Hye-Jin) / 韓国環境運動連合 / 環境運動連合報道資料 (http://www.kfem.or.kr/) 2004.1.15 /  [K04011701J]
]]>