音も立てず環境を破壊する“ポスコ”

全羅南道 「音も立てず世界を動かします」自然の美しさと鉄の大切さを存分に強調した株式会社ポスコ(POSCO)の広告は、消費者と一般の人々に“環境にやさしい企業”というイメージを与えて“ポスコ”の企業価値を極大化している。

 しかし、環境経営と倫理経営を標榜してきたポスコの光陽(クァンヤン)製鉄所は、不法という事実を知っていながらも4ヵ月の間、毒物シアン(青酸カリ)が含まれた11万トンほどの廃水を、纎津江(ソムジンガン)へ無断排出していたことが明らかになり、衝撃を与えている。

 しかも、すでに2000年に製鉄所から放出される廃水が、(PH値の)排出基準を超えていたことが分かっていたにも関わらず、3年の間何の措置も講じず、実際の廃水量は百万トンを超えるかもしれないという主張がなされ、それに対する論難も高まっている。ポスコは今回の事件によって“音も立てず環境を破壊する企業”という猛烈な非難を浴びせられることになった。

■不法排出された毒物廃水、4ヵ月で11万トン!
 ――雨水菅を通って纎津江から公共水域の光陽湾にまで

 去る2月、環境部は報道資料を通じて、2003年4/4分期における全国の大気・水質汚染物質排出企業の取り締まり結果を発表した。この時の環境部と検察の調査結果によると、光陽製鉄所は2003年2月から6月まで毒物シアンをはじめ、浮遊物質やPH値の許容範囲を超えた廃水を一日平均927トン、4ヵ月の間に少なくとも11万トンの廃水を公共水域である光陽湾へ不法に放出していたことになる。

 この期間中、毒物シアンは最高7.5ppm、平均3ppmに逹する高濃度状態で85kgも放流されていた。

 環境運動連合は「ポスコ・光陽製鉄所が不法放流した廃水に多量に含まれている毒物シアンは毒性が強く、中毒になると呼吸困難、呼吸麻痺、失神、けいれんなどの症状を引き起こして死亡に至ることもある。シアンだけではなく、浮遊物質やPH値の許容範囲を超えた廃水が、地域住民にどのような影響を及ぼしているか分からない」と有害汚染物質の危険性を憂え、「取り締まりによってシアンのような毒物が含まれた廃水を放流したという事実が摘発されても、行政処分を受けたり課徴金を支払ったということだけで責任を果たしたつもりでいるポスコは、決して環境企業とは言えない。マス・メディアを通してのみ環境にやさしい企業ではなく、国民の健康を考える環境企業になるべきだ」と訴えた。

 また「汚染を減らす施設の設備など、住民保護のための企業的責任を果たすべきであり、地域住民にどれほど害を及ぼしていたのか、周辺環境を調査していく姿勢が必要だ」と伝えた。

 環境連合は今後、ポスコ・光陽製鉄所の環境問題の解決と被害を予防するための民・管・企業対策委員会(仮称:ポスコ環境対策委員会)を構成して地域住民の声を最大限に受け入れ、周辺地域の環境と生態系の変化に対する調査を直ちに実施するようポスコに促す方針である。

光陽環境運動連合

【筆者】趙韓 惠珍(CHO-HAN, Hye-Jin) / 市民環境情報センター / 環境運動連合報道資料 /  [K04043002J]
【翻訳】張 永植]]>

「米を守ろう」「ファストフードは出て行け!」2004地球の日市民集会、健康的な食生活への道を探って

ソウル特別市 去る25日ソウル大学路(デハンノ)では午前11時から午後4時にかけて第34周年地球の日(アースデー)記念行事が開かれ、1万人余りの市民が車なき街で楽しい一時を過ごした。今回の地球の日行事は、今年が国連の定めた世界米の年であるだけに、農民団体と市民環境団体らが共に参加したもので、通常の地球の日市民集会よりさらに実りのある催しとなった。

 多彩なイベントの中、我が農業の大切さを伝え、環境と農業の共生を強調した生命農業テーマゾーンのプログラム、そして健康や農業を脅かしているファーストフードに対して、その脅威を悟らせた面白いパフォーマンスは、見所はもちろん、健康的な食生活を求めている参加者たちの関心を集めた。

命の農業、我が農業を救おう!
体験ゾーンの苗代に手作業で植えた稲の苗、健康な米、我が米を守ろう!

 全国農民の会は命の農業の大切さと韓国農業の厳しい現実を伝えようと、苗代体験ゾーンをつくり、市民と供に田植えを体験できる時間を設けた。模型展示ではあったものの、田植えをする度、人々は「我れらの農業、米を守らなければ」との意味を噛み締めた。隣に設けられたブースには米の開放反対と、我が農業の未来に向けた食料主権宣言の署名運動が行われた。

人類進化の果ては?大学路にホモ・マクドナルド登場
健康と農業を脅かしているファーストフードは出ていけ!

 太りに太った体で、自分さえ支えきれない人たちが大学路の車なき街を闊歩した。パレードに花を咲かせたプランカードには、人類進化の最後の段階はホモ・マクドナルド?というフレーズが書かれていた。20万年前、我が人類の直系祖先であるホモサピエンスが最後の段階ではないと予告している皮肉な文句であった。ファーストフードの消費に熱を上げている現代人の最後の姿を比喩し、ホモ・マクドナルド、ホモ・KFC、ホモ・ロッテリアと名づけた。

 この日のパレードは、小さいごろから高脂肪、高カロリー、甘い食べ物に慣れている現代人にファーストフードの危険性を警告し、健康的な食生活を守っていくための実践に意を供にした。


生命農業テーマゾーンで行われたプログラムは我々の健康な食料、我が農業の大切さを訴えた。

人類進化の果てはホモ・マクドナルド、健康と農業の脅威であるファストフード消費を抑制しようという意味のパフォーマンスが市民の目を引きつけた。

【筆者】趙韓 惠珍(CHO-HAN, Hye-Jin) / 市民環境情報センター / 環境運動連合 報道資料 /  [K04043001J]
【翻訳】尹 美英]]>

好天のもと賑わった「アースデイTOKYO2004」

東京 4月22日のアースデイ(地球の日)を記念して、4月17日(土)、18日(日)の2日間、今年も東京・代々木公園を中心に、「アースデイTOKYO2004」(主催:アースデイ東京2004実行委員会(委員長:C.W.ニコル))が開催され、好天にも恵まれ、大勢の市民で賑わっていた。

 2001年からスタートし、企画持ち寄り方式で毎年行われている「アースデイTOKYO」。2004年のテーマは「やるぜ!アースデイ」。(1)市民団体の出展、、エコ雑貨・有機野菜などの販売、フリーマーケットなどを行ったアース・ガーデン。(2)アースデイの趣旨に賛同したアーティストが「NO!WAR」のメッセージを背負って多数出演したアースデイ・コンサート。(3)フェアトレードで輸入されたエスニック商品を扱うアジアンマーケット。(4)オーガニック・エスニックフードを提供するアースデイキッチン。などなど企画は盛りだくさん。

 なかでも来場者の注目を一際集めていたのが、「容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク」メンバーによる「容器包装マン」。一般家庭(四人家族)から一週間に排出されたPETボトルや食料の包みなどの容器包装全てを身につけて、容器包装ゴミの量や実態を体現。大量消費大量廃棄社会への警鐘をならした。容器包装マンを演じたK君は、「たった1週間で出す容器包装ごみの量とその重さをひしひし体で感じました。僕のパフォーマンスを見た人たちが家に帰ってから少しでもごみを減らそうと考えてくれればうれしいのですが」と語る。

 また、18日には、地球環境への負荷が少ない乗り物である自転車の利用をアピールするために、道路が自転車向けに開放されている地域を走る「アースデイ・ライド東京」も開催。約200名が代々木公園から出発し、春の都心
サイクリングを満喫した。

 さらに今年は、アースデイを特定の日のお祭りとして終わらせないようにと、翌週4月25日に、日本各地でアースデイにアクションを起こした市民が東京・明治神宮に集い、以下の4つからなる「アースデイ宣言2004!」を採択した。来年のアースデイに向け、これからの1年間での成果向上をぜひ期待したい。

=アースデイ宣言2004!=
1)次世代のため、私たちのために、環境(いのち)中心の社会を目指し、今日から環境と平和を訴えるメッセンジャーになろう。
2)大自然からうまれてきた僕たちが今度は大自然に恩返しをしよう。
3)心の平和を大切にしよう。そこから平和が始まる。
4)すべての「いのち」と「つながり」を愛しく思い、生きよう。

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J04042801J]
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中国の酸性雨、きびしい汚染状況

中国全土 中国国家環境保護総局が先日発表した《“両控区(二つの抑制区)”における酸性雨と二酸化硫黄汚染防止第十次五ヵ年計画》の中期評価結果によると、経済の急速な発展と、エネルギー需要の絶え間ない増加という状況の下、“両控区”における二酸化硫黄と酸性雨の汚染防止事業は困難を極めており、国民経済の第十次五カ年計画の初期目標の達成は難しい状況だ。二酸化硫黄の排出量は依然として増加しており、局部的に酸性雨の被害も悪化している。

 紹介によると“両控区”とは、中国の175の地級レベル以上の省、市、地区を含んでおり、面積は約109万平方キロメートル。人口は5億人以上で、経済総額は全国の67%を占めており、二酸化硫黄の排出量も全国の総量の66%を占めている。

 2003年、中国の石炭消費量は15.8億トンに急増した(2002年と比べ2.1億トン増加)。このため全国の二酸化硫黄排出量は約1330万トン~2220万トンにまで増加し、2002年と比べて181万トン~293万トン増加した。石炭火力発電所からの排出を主とした二酸化硫黄の総量は増え続け、地域性の酸性雨汚染はまだ抑制にいたっておらず、一部の地域では悪化が見られる。四川省の宜賓、湖南省の懐化、浙江省の紹興、寧波、貴州省の遵義などの南方の都市の酸性雨頻度は90パーセントを越えている。

 国家環境保護総局の関係部門責任者は、第十次五カ年計画の初期目標が達成できない主な原因として、以下のように述べている。

一、目下の経済成長、エネルギー需要とも予期していた目標を超過したため。
二、汚染防止プロジェクトの進展が遅いため。
三、電力供給が逼迫しており、2003年末前に5万キロワット以下の石炭燃焼ユニット
を閉鎖するという計画が完成しておらず、すでに閉鎖されたユニットの多くが営業を再開したため。

【筆者】康 雪(資料整理)(KANG, Xue) / 中日韓環境情報共有中国ボランティアチーム/自然の友 / 人民日報(2004年4月23日) /  [C04042802J]
【翻訳】佐古 紀子]]>

日本社会を覆う「自己責任」論

日本全土 イラクでの戦争が終わらない。米国主導の多国籍軍とそれに反する武装勢力との間で繰り広げられる戦いの被害は、武器を持たない民間人にも及んでいる。こうした現状を伝えようとするジャーナリストや、現地の人びとを助けるためのNGOの活動家らが、世界中から現地に赴いている。日本からも数人が現地入りしているが、そんな彼らの行動をめぐって、日本では「自己責任論」が吹き荒れている。

 在イラク米軍が使用した劣化ウラン弾の恐ろしさを確かめる目的で入った今井紀明さん(18)、戦争で親を亡くしたストリートチルドレンの支援をしている高遠菜穂子さん(35)、現地の様子を取材するフリージャーナリスト郡山総一郎さん(33)の3人が、4月8日の夕方(日本時間)にファルージャ近郊で現地の武装勢力に拘束された。武装勢力は3人の解放と引き換えに、日本がイラクに派兵している自衛隊の撤退を要求してきた。従わなければ、「生きたまま焼き殺す」という過激な要求であった。

 それから瞬く間に日本全国に広がった3人を救うための市民の動きが現地に伝わり、3人は15日夜に、ほとんど無傷のまま解放された。3人の解放に関する犯行グループの声明(共同通信版)によると、3人は「イラクの人々を助けており、占領国への従属に汚染されていないことを確認したため、彼らの家族の痛みと、この問題への日本の人々の立場にかんがみ」て解放された。彼らがイラクのために活動してきたことや、決して敵ではないことが伝わったのだ。

 ところが「自衛隊撤退」というセンシティブな問題に触れたためか、日本国内では拘束された3人に対してさまざまな批判の声が飛び交った。「なぜ危険な地域に行ったのか」「今行く必要があったのか」という渡航の正当性を問うことからはじまり、「有名になりたかっただけでは」「自衛隊を撤退させるための自作自演だろう」といった憶測も流れた。マスコミもこうした声を大々的に報じた。

 3人が帰国してからも批判の声は止まない。「政府が渡航勧告を出していたのに勝手に行って騒ぎを起こし、迷惑している。公式な謝罪を求める」「今回の救出にかかった費用は一生かかってでも負担すべき」と、3人に対してイラクに行ったことの「責任」を求める声があがっている。

 こうした声がNGO活動や取材活動の制限につながることを憂慮して、一方で市民団体やジャーナリストたちが立ち上がった。26日、海外で活動する市民団体やジャーナリスト約2300人/団体が共同で声明を発表し、「政府や一部のマスメディアが批判のために持ち出している『自己責任』論は、紛争地域でのNGOやジャーナリストなどの活動を萎縮させて閉め出し、その独立性を失わせ、ますます地域の不安定を助長することになりかねない」として、内閣府と外務省に申し入れを行った。各地で「自己責任」を考える集会なども催され、事件発覚当初沸き起こった根拠のない批判やそれに対する反発などは鎮静化しつつある。

 「責任」があるとすれば、それは拘束された3人のみにではなく、社会を構成している私たち1人ひとりにある。今回のことをどう教訓にするか、それぞれが意識する「責任」の行方が問われている。

自衛隊の撤退などを訴えるデモ(撮影:亀井誠司)

【筆者】山本 千晶(YAMAMOTO, Chiaki) / 日本インターネット新聞社 / 寄稿 /  [J04042802J]
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今年の北京は春が無い

北京市 時節通りなら、今は春季であり、4月中旬はまさに春季であるはずである。しかし、北京の今の気温は摂氏30度余りである。

 新聞記事によると、1985年以来、中国では16回の全国規模の広範囲な暖冬が連続して起きているが、暖春は初めての経験である。暖冬にしても暖春にしても、全世界的な気候の温暖化が引き起こしたものだ。では、温暖化は良いことなのか悪いことなのか?

 これに対しては、専門家たちの意見は基本的に一致している。メリットよりもデメリットが大きいと。簡単に言うと、温暖化は、例えば干ばつ・洪水・虫害等の自然災害の増加を引き起こすだろうということである。更には伝染病の蔓延も引き起こすかもしれないとのことだ。国連のある研究報告は以下のように指摘している。世界規模の温暖化によって自然災害の増加が引き起こされ、毎年世界に3000億ドルを超える経済的損失を世界にもたらすと。

 とある専門家たちは経済面に影響があるとみなすだけでは満足せず、政治面・軍事面や文化面にも影響すると考えている。例えば、温暖化がもたらす海面上昇により、いくつかの島国は水没し、それによって地域の政治構造に変化が生じるだろう。また、温暖化が引き起こすとされる(水の)蒸発量の増加は、国家間、地域間の水源をめぐる争いを激化させ、ひいては軍事的衝突を引き起こすであろうと。また、温暖化が引き起こす川筋の変化や生活方式の変化が、文化的衝突ももたらすかもしれない。

 何が温暖化を引き起こすのか?これに対し、専門家たちは未だ一致した意見を持った訳ではないが、ある一点についてはすでに共通認識となっている。人類の活動、特に大気中に大量の二酸化炭素を放出する生産活動が、世界的規模の温暖化を加速していると。専門家たちは、この趨勢で進展し続けると、気温は上昇し続けるだろうと指摘している。

【筆者】康 雪(資料整理)(KANG, Xue) / 中日韓環境情報共有中国ボランティアチーム/自然の友 / 中国環境報(2004年4月22日) /  [C04042801J]
【翻訳】辰巳 武玄]]>

新築学校でも深刻な「シックハウス症候群」

忠清南道 新設学校でも気管支炎、喘息、アトピー性皮膚炎等を誘発する「シックハウス症候群」が深刻な水準であることが明らかとなった。

 21日、大田市民環境技術センターが最近の1ヶ月間、大田にある学校5校(新設3校、7年以上2校)を対象とした室内空気汚染度を調査した結果によると、今年3月に開校した3校のトルエンの平均濃度は、築7年以上の学校の平均濃度(4ppb)に比べて90倍以上の366ppbと測定された。

 新設のA中学校の職員室では最高1169ppbのトルエンが検出され、築10年以上になる大田のB小学校の職員室(2.15ppb)より実に543倍以上の高い数値を示した。

 大田市内に新設されたC小学校の場合、講堂のベンゼンの濃度が2.85ppbで、ヨーロッパのベンゼンの基準値(1.5ppb)よりも2倍弱程度高い数値を示すなど、新設学校の3校中、2校がヨーロッパの基準値を超えた。トルエンとベンゼンは揮発性有機化合物のペイントや施工用接着剤を使用した床、家具類などから発生する有害物質で、気管支炎、喘息、アトピー性皮膚炎、癌などを誘発する。

 市民環境技術センターは「免疫が少ない子どもたちにはわずかな量でも、有害度が高いだけに、最近5年以内に建てられた学校と、保育園、幼稚園などの教育施設は正確な室内空気の測定を経てシックホーム症候群についての対策を立てるべきだ」と指摘した。

 これについて、大田市教育庁は「これから新築するすべての学校は設計の際に環境に優しい建築資材を優先して使用し、換気対策を設計書に明示するなど、シックホーム症候群予防対策を講じ、施行する」と述べた。

【筆者】キム・チャンヒ(KIM, Chang-Hui) /   / 文化日報 /  [K04042302J]
【翻訳】吉澤 文寿]]>

環境公約どこへやら!北漢山ケーブルカーと龍山区100階建てビル建築計画

ソウル特別市 ソウル環境連合は4月6日から12日にかけ、第17代総選挙における候補者らの公約を分析した。大統領の弾劾、各団体の落薦・落選者リストの発表など、今までとは異なる政治的ムードの中、常に有権者の関心事であった環境問題は今回も有権者側に歩み寄ることはできなかった。候補者らの環境公約を分析することが、果たしてどの程度、有権者の票の行方を左右するのか、また、いかなる方法と対策を講じるべきか、悩みは尽きなかった。しかし全てを終えた今、ソウルの候補者のみならず有権者までもが、ソウルの環境水準を肌で実感できるリアルな教科書を経験したようだ。これからもより一層、住み心地の良いソウルを目指して筆者は4年後もこの問題に取り組み続ける所存である。

 ソウルの25区48選挙区を対象に5つの政党(ハンナラ党、民主党、開かれたウリ党、自民連、民主労働党)の落薦・落選者リストを作成してみると、総勢188名に及んだ。3名で作業を行っても、一人が63名を分析することになる。中央選挙管理委員会や各候補者のホームページを検索して環境関連公約を収集するだけの比較的簡単な作業と思われたが、始めてみると状況は違っていた。

 4月6日から取り組み始めたインターネット検索であるが、ホームページ上に公約を載せていない候補者が多数に及んだため、直接電話をかけては「公約はどこにありますか?」(ほとんどがまだ載せていないという回答だった)「いつ頃載せる予定ですか?」といった内容の電話調査に変更せざるを得なかった。政治の場においては残念ながら、まだインターネット強国とは言えないようだ。また、自ら政策中心の選挙運動をすると公言しておきながら公約は載せないまま、その候補者自身のイメージアップのみに重点が置かれたホームページを見ながら、まだまだ道のりは長いという感を拭えなかった。

 多くの候補者の共通点の一つが「わが地域は基盤施設としても、経済面でも、教育面でも、文化面でも最高!」というような公約だったが、果たしてこの公約が現実味のあるものなのか?地域住民の公益にどれだけ反している公約なのか、といった不安がよぎった。まともな緑地はおろか小さな遊び場さえも確保できない所と、すでに超高層の摩天楼に多くの恩恵を被っている所との格差をどのように埋めるべきなのか、この公約を実現させるための手立てが具体的によく考え抜かれたものであるかどうか、バラ色の幻想に他ならない公約ではないのか等、このような試行錯誤での公約の判断基準を以下のように定めた。

1.ソウルと各自治体に対する未来像はあるか?
2.ソウルの生態系破壊に対する深刻度はどれくらいか?
3.常識はずれの開発ではなく、しっかりした対策案のある未来を見据えた開発であるか?
4.そもそも具体的に実現可能か?

 これに基づき7件のレッド公約と11件のグリーン公約を選び定めることとなった。当初から多くの限界を感じながら取り組んだ公約の分析は、言うに及ばない。ソウルのど真ん中の龍山区に100階建てビルを建てるだの、国立公園である北漢山にトンネルだけでは飽き足らずケーブルカーまで設置するだのといった発想を、少しの迷いもなく安易に打ち出せるという事は、ソウルの未来を見据えての事とは到底思えない。これまでと同様の常識はずれの開発公約だけがやたらと多く目に付いた。

 基本的な構想さえ無いまま開発公約を乱発している候補者らが驚くほど多かった。それこそ、打ち出された環境公約も『環境にやさしい』というのは口先だけで対策案はおろか将来性のない、バラ色の幻想だけにすぎない。現実は未だ「人と自然が共に生きるソウル」についての工夫と考えの無さを見せ付けられた。

 ソウルは巨大都市から怪物都市へと変貌しつつある。それでも、人が快適に暮らせる都市としてあり続けようとするならば、今現在ある山や公園などを保存しなければならない。今までのような開発一辺倒の政策は、より理想的な未来あるソウルへの道を妨げるものだ。総選挙の結果、ソウル環境連合からレッド(反環境)公約として指摘された7名の候補者の内4名が当選している。彼らが今後ソウルを工事現場にするようなことを黙って見逃す訳にはいかない。また、指摘されたレッド公約のみならず度重なる常識はずれの乱開発にも、今後は更に厳しい目を光らせ見届けるつもりだ。ソウル環境連合は数多くの山々と河川を破壊する事業と政策を引き続き監視し、改善させることに全力を尽くしていきたい。

ソウルの青空を取り戻すための公約は、いつになったら、現れるのだろうか?

【筆者】キム・ソンウ(KIM, Sung-Woo) / ソウル環境運動連合 / 環境運動連合 /  [K04042301J]
【翻訳】全 美恵]]>

環境税がなくとも地球温暖化対策を予算化

日本全土 今年4月、環境省は温暖化対策についての新事業を立ち上げた。それは「環境と経済の好循環のまちモデル事業」と呼ばれるもので、地球温暖化をもたらす二酸化炭素の排出削減を目的としたモデル事業を実施する自治体を10ヶ所選び、事業委託費や交付金の形で3年間資金援助しようというものだ。

 その内容は、事業委託についてはセミナーの開催といったソフト分野、交付金については再生可能エネルギーや省エネルギー設備の建設といったハード分野に分かれており、1件あたりの金額は800万円から最大2億円と大きなものになっている。

 この事業が立ち上がった背景には、エネルギー特別会計にもたらされる莫大な税収がある。これは石油特別会計、電源開発促進対策特別会計で構成され、電力会社などエネルギー関連企業からの税収を石油資源の開発や備蓄、原子力発電所建設の促進などの事業に使うものである。両税の単年度税収は合計で8000億円以上に達し、従来経済産業省が所管してきた。

 しかし、エネルギー需要が頭打ちになる状況が続き、資金需要もピークを迎え、財務省は「使い切れずに予算が余っている」と指摘していた。財政がそれほど豊かでない政府予算をやりくりしている財務省にとって、この特別会計を見直しの対象とするのは必至であった。しかし、経済産業省としては、自分たちで独占できる財源が奪われる事態は避けたかった。

 一方、環境省では地球温暖化対策の予算獲得に向けて石油や石炭に課税する環境税の創設を目指していた。しかし、産業界や経済産業省からの猛反対を受け、環境税導入は遅々として進まなかった。税収を奪われたくない経済産業省と予算の欲しい環境省の利害は意外なところで一致し、2002年11月、両省は石油特別会計の一部を共管し、地球温暖化対策を強化することで合意した。つまり、経済産業省の従来の税収の一部を使って環境省が地球温暖化対策に使うという内容だ。

 環境省では、これらの税収を使ってどのような事業を実施するか環境NGOからの意見聴取を行ってきた。ただ、新たなモデル事業に対する自治体の申し込み期間はわずかに2週間。これだけの短い期間でどれほどの実効性ある魅力的な事業が生まれてくるか、6月末に選定されるモデル事業の内容に期待したいところだ。せっかく手に入れた環境目的の税収なのだから。

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / (NPO)足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ / 寄稿 /  [J04042102J]
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閉め切りから7年経った諫早湾と「干潟を守る日」

日本全土 1997年4月14日に干拓事業のために諫早湾が閉め切られてから、7年が経ちました。日本湿地ネットワークでは今年も、4月14日を「干潟を守る日」とする干潟・湿地保全キャンペーン「干潟を守る日2004」を実施中です。

 「干潟の日」とした方が語呂が良いのでは、という声もあります。しかし、私たちが「干潟を守る日」と命名したのは、ただ「干潟を愛でる」だけでは現実の自然破壊は止まらない、という思いがあったからです。残念ながら、その状況は今も変わっていません。諫早干潟を消滅させ、有明海の潮汐や潮流を弱めることとなった干拓事業の弊害は、この7年でますます明らかとなり、被害は自然環境だけでなく沿岸の漁業者の生活にも及んでいます。

 4月2日には東京で、諫早湾問題をテーマとした集会が開かれました。諫早湾閉め切り以降の潮流の変化で、海底で二枚貝を捕るときの姿勢が変わってしまったことを、有明海の漁業者が身振りを交えて説明するなど、東京の聴衆に漁業被害の実態を分かりやすく報告しました。

 また4月10日には、諫早市で300人を集めての集会が開催されました。元・長崎大学の東幹夫(あずま・みきお)氏は、潮流が弱まったために有明海の広範囲で海底の土砂が細かくなり、生物の生息環境が急変していることなど、漁業者の証言が科学的な調査で裏付けられたことを発表しました。一方、諫早湾の干拓地では今年3月に、入植者用宅地の造成現場で大規模な地滑りも発生しました。このような干拓地に本当に入植者があるのか、事業の目的やその達成の可能性についても改めて問われています。

 この他にも「干潟を守る日2004」には全国から約40の自然保護団体が参加し、4月から5月にかけて各地の干潟や湿地で、自然観察会、シンポジウムなどのイベントが開催されています。

 諫早湾干拓というひとつの問題を契機として、毎年、国内全域で湿地保護のキャンペーンが行われているという例は、幸か不幸か、世界でもあまりないようです。日本湿地ネットワークでは、湿地保全の国際条約であるラムサール条約の事務局に、今年のキャンペーンの状況を報告したいと考えています。諫早干潟の回復や各地の湿地保全の推進のために、身近な「干潟を守る日」イベントにぜひご参加ください。

4月2日に東京で開催された集会。有明海の環境異変を報告する沿岸の漁業者。

4月10日にセスナ機から撮影した諫早湾。中央が潮受け堤防、左側が干拓地と調整池。

3月2日に発生した地滑りは干拓地外の地盤にまで及んだ。

【筆者】矢嶋 悟(YAJIMA, Satoru) / 日本湿地ネットワーク / 寄稿 /  [J04042101J]
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