民主主義に逆行する核廃棄場住民投票

核廃棄場についての住民投票を11日2日に控え、投票における官権の介入といった不法行為を食い止めなければならない。

韓国全土 11月2日、全羅北道群山市、慶尚北道浦項市、慶州市、盈徳郡において、放射性廃棄物処分場(以下、放廃場と呼ぶ)誘致をめぐる住民投票が実施される。一見民主的な手続きのように思われる住民投票だが、今、不法・不正行為がじわじわと広がりつつある。群山、慶州、盈徳等の各地域では不法投票の実態が次々と明るみになり、これ以上民主性・参与性を求めることが難しくなるほどに、核廃棄場についての住民投票は問題化してしまった。

 特に、不在者投票の開始日である10月25日、盈徳地域のいたるところで不正投票申告が確認された。盈徳郡核廃棄場設置反対対策委員会は、同日午後、緊急報道資料を通じて「各邑および面事務所でのみ実施することができる不在者投票が、里事務所において職員の眼前で公開投票のように行われている」ことを明らかにし、「不正投票の監視団が選挙管理委員会に報告し、選管委員が確認した結果、不在者投票の発送用封筒多数が里事務所のごみばこやソファーに山積みにされていた」と述べた。

 この日、報告を受け出頭した盈徳警察署と盈徳選挙管理委員会は直ちに現場に向かい、取調べを行った。対策委は、「把握された現段階の状況として、不在者投票用紙が申告者に直接送られず、里事務所が保持したまま住民を事務所に呼び、公開投票するよう強要したのではないか」と指摘し、「官権・金権が介入した住民投票はただちに中断しなければならないと」と強く述べた。

 これに先立って、盈徳郡反核対策委は反核国民行動とともに、25日午前11時よりソウル鐘路警察署において記者会見を開き、盈徳郡で大々的に行われている核廃棄場住民投票の実態と不法行為を暴いた。反核国民行動と盈徳郡反核対策委は、10月20日に中央選挙管理委員会が発表した不在者申告書の調査結果に問題があると指摘、同月21日から4日間にわたって行った実態調査の結果として、盈徳地域の現状を公表した。

 反核国民行動は、「電話アンケートによる盈徳郡の不在者申告実態調査を行った結果、430名から回答を得、不在者申告をした252名(58.6%)中、本人による不在者申告があったのはわずか32名(7.4%)であった」ことを明らかにした。調査結果によると、113名(26.3%)が不在者申告したことがない、65名(15.1%)が本人が不在者申告をした覚えがない、と調査者のうち41.4%が不在者申告をしたことがなかったり、そのような覚えがないということが明らかになった。

 反核国民行動は、中央選挙管理委員会の不法投票に対するずさんな対応を指摘した。10月20日の中央選管委が発表した不在者申告書調査結果では、盈徳で確認された不在者申告書は4枚のみという報告であったのに対し、反核国民行動による調査では180件以上が確認された。

 同日、反核国民行動は10余件の不法不在者申告に関する不法事例確認書を提出していた。また、投票の際に職員が介入し、職員による賛成誘導が行われていた証拠として、通話音声記録と直接撮影したビデオテープを提示した。

 対策委が提示した確認書によると、受付された申告者のほとんどが、申告書に本人が直接記入していなかったり、申告されていたことを知らなかった。ナム・チョンテ対策委組織委員長は、「電話も受けた覚えがないのに、何の不在者投票申告かとたずねくてる人もいました」と述べた。

 対策委が公開した映像と録音によると、有権者の60%を60歳以上が占める盈徳で、「体が不自由なために面事務所の職員に付き添われて行き、用紙を一枚渡され、賛成のほうに記入しろと言われた」と力なく答える高齢者の証言が相次いだ。また、不在者投票率と誘致賛成率を上げるため、職員による誘致宣伝活動も地域内で堂々と行われていたことが、各種映像資料から明らかになった。

 ハム・スンギュ盈徳反核対策委常任代表は、この日の記者会見で、「現在盈徳では、地域の限界と弱みに付け込み不法・脱法選挙行為が広く行われている」と述べた。また常任代表は、「無知で立場の弱い人々に、地域公務員らが客観的な情報伝達という名目で、核廃棄場住民投票において賛成を強要するような言葉や金をふりまくことが日常的に行われている」と加えて述べた。

 つまり、通常の選挙ではあり得ない金権、官権が介入されたのだ。今回のように、政府が金や権力をふりまいて世論をある方向に誘導し、思い通りの結果を得ようとする住民投票は、草の根民主主義の根本を脅威にさらすことだ。実際、有権者1人ひとりに確認をとれば不正事例はまだまだ出てくるだろうと思われる。一部からは、独裁政権時の「マッコルリ選挙(マッコルリで有権者の票を得ようとした金権選挙)」より深刻だという声まで上がっている。

 このような状況は、政府が放廃場推進に関連した先例について反省することなく、無理やりに事業を進めようとしたときに予想されていたことだ。そして、住民投票そのものにも深刻な問題点がある。住民の自己決定権を尊重しようというのが住民投票であるのに、実際は役所が住民投票の実施可否を決定し、また住民投票の手続きも主導するようになっている。官権、金権が権力を振りかざしては、住民投票制度は何の統制装置にもなり得ない。

 このような状況で行われる住民投票は、非難の声が広がるだけで、意見を取りまとめる民主的な機能を全く果たすことができない。地域の運命を決定する住民投票は、選挙と同等に公正に執り行われなければならない。しかし今のような状況で公正な住民投票は不可能だ。不正選挙の結果が受け入れられないのと同様、不正に行われた住民投票の結果も受け入れてはならない。政府は今すぐ住民投票を中断しなければならない。そして今回明らかになった事業推進過程の問題点を調査し、住民投票制度の問題点を補完することに努力を傾けることが先決であろう。

▲ 里長が収集・隠蔽した投票用紙が入った郵便物

▲ 盈徳郡寧海面城内4里事務所で不正投票の場面をとらえた映像

【筆者】オ・テフン(Jude Oh) / 環境運動連合市民環境情報センター(Citizen’s Information Center for Environment) / 寄稿 /  [K05102701J]
【翻訳】柳田佐和子]]>

市民と研究者が「諫早湾干拓・原因裁定」を検証

100名をこえる市民と研究者が集まり、依然として市民の関心の高い諫早干潟干拓問題について熱心な議論が行われた。

東京■干拓事業でなければ何なのか―有明海異変の原因は?

 諫早湾干拓事業は、有明海全域の潮の流れに変化をもたらした。そのことが原因となった環境悪化が、漁業被害を拡大させていることが懸念されており、漁民らはさまざまな取り組みを行っている。その運動の一つに、漁業被害の原因が諫早湾干拓事業であることを公的に認めさせることがあり、漁民は日本の公害等調整委員会(注1)に「原因裁定」を申請していた。

 申請を受けた公害等調整委員会は、自然科学の専門家4名が報告した「専門委員報告書」(注2)にて、事業と漁業被害の因果関係を強く示唆していた。ところが、3名の法曹関係者で構成された裁定委員会は専門委員報告をくつがえし、8月30日に、いわば「有明海環境の悪化と干拓事業の因果関係は、まだよくわからない。ひきつづき調査されたい」などと逃げてしまった。

 有明海異変の原因は、干拓事業でなければ一体なんなのか、10月22日に東京で開かれたシンポジウム「諫早湾干拓・原因裁定を検証する」では、有明海環境の現状などについて、さまざまな報告が行われた。

■潮の流れはどうなったのか

 公害等調停委員会の参考人等も務め、近年、詳細に有明海の潮などを調査している熊本県立大学の堤裕昭教授は、有明海の潮の流れ等について報告を行った。有明海の潮は、流れが早く、干満差が大きいことが特徴だが、干拓事業によって諫早湾奥が締め切られたことによって、流れが遅くなり、干満差が小さくなりつつあると考えられている。潮の変化が要因となって、有明海の海底が砂質から泥化したり、貧酸素水塊の発生を恒常化させたりするので、赤潮の発生も大規模かつ長期化しているのが「有明海異変」の特徴である。

 しかし湾締め切り後も、干拓調整池からの排水量が多く、潮の点で締め切り前の諫早湾の状態に近くなることがあり、その際には有明海の潮の状態がある程度は回復する。それらの詳細な調査報告をもとに、堤教授は「これだけ証拠が揃っていながら、有明海異変の原因は、諫早湾干拓でないと言うなら一体なんなのか」と考察した。

■干拓事業でなければ何なのか

 中央水産研究所のOB・佐々木克之氏は、疫学的な方法論で漁業被害を考察した。干拓事業着工後、とりわけ諫早湾締め切り以後は、漁業被害が頻発するようになってきており、このような現象はそれ以前にはなかったことである。諫早湾干拓の以外の原因が科学的に証明されない以上、疫学的な方法論を用いて、干拓事業を真っ先に漁業被害の原因として疑うべきなのだ。ところが裁定委員会はそのような考え方をしなかった。

 原因裁定の問題点はそればかりではない。科学的には詳細ではないデータを持ち出して、専門委員報告を取り下げる等の恣意的な証拠採用がなされているのだ。

■予防的な処置を講ずるべきだ

 堀良一弁護士は、2004年秋の佐賀地方裁判所仮処分から、今回だされた原因裁定まで、一連の司法判断を考察した。諫早湾干拓は有明海の環境に悪影響を及ぼし、漁業被害を深刻化させていると考えられ、しかも干拓事業以外の原因は見つかっていない。このような場合、予防的な措置として事業を中断し、中長期開門調査等の詳細な研究を急ぐべきなのだ。

 こうした考えから、佐賀地方裁判所が2004年秋に命じた工事中止の仮処分は、高等裁判所で覆され、諫早湾干拓の工事は再開。環境への悪影響と漁業被害を深刻化させていると懸念されている。もはや一刻の猶予も許されない。予防的な措置として事業を中断し、中長期開門調査を実施すべきなのである。

(注1)公害等調整委員会
公害紛争について、あっせん、調停、仲裁及び裁定を行い、その迅速かつ適正な解決を図ることなどを目的として1972年に設立された一般行政から独立した委員会(行政委員会)。

http://www.soumu.go.jp/kouchoi/

(注2)「専門委員報告書」は、事業と漁業被害の因果関係を強く示唆した点が高く評価されているが、クチゾコ(舌平目/有明海に生息するウシノシタ類の魚3種)の漁獲分析などについては問題がある(長崎大学名誉教授・田北徹の指摘)。)

「有明海異変」の複雑なメカニズムを考察する、堤裕昭教授

予防原則と疫学的方法論などを語った、佐々木克之氏

一連の司法判断を考察した、堀良一弁護士

【筆者】青木 智弘(AOKI, Tomohiro) / 諫早干潟緊急救済東京事務所 / 寄稿 /  [J05102602J]
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東アジアの持続可能な発展に向けたワークショップ開催

10月20日~21日、「第2回東アジア持続可能な発展に向けたワークショップ」がソウルで開催された。

ソウル特別市 今から10年以上も前の1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにて「環境と開発に関する国連会議」が開催された。この会議には世界から4万を超える代表者たちが駆けつけ、地球の未来について話し合った。そこで採択されたものの1つが「アジェンダ21」とよばれる行動計画だ。

 地球環境が人為的な原因によって悪化の一途をたどるのを少しでも抑制しようとつくられたアジェンダ21は、持続可能な発展を実現するために、さまざまなセクターが一緒になって動くことを、各国に求めた。その勧告を受けて各国で関連組織が編成され、「持続可能な開発のための国民評議会(National Council for Sustainable Development)」と呼ばれることになった。

 日本では1996年に「持続可能な開発のための日本評議会(Japan Council for Sustainable Development、JCSD)」が発足し、それから4年を経た2000年に、韓国でPCSD(Presidential Committion on Sustainable Development)が誕生した。

 去る10月20日~21日、韓国PCSDがJCSDの協力を受け、「第2回東アジア持続可能な発展に向けたワークショップ」をソウルにて主催した。

 2002年に開催された第1回のワークショップで東アジアの国々が協力しあう必要性を認識しながらも、各国の事情によって活発な活動ができずにいたことを反省点として開かれた今回のワークショップには、日本、韓国、中国、モンゴル、フィリピンの5カ国から代表団が集まった。

 初日には各国におけるNCSDの立場や歩みの発表があり、引き続いて持続可能な発展に関する重要な問題群が各国から発表された。それを受けて2日目には、今後東アジアで共通して「持続可能な発展」という主題に取り組むための体制について話し合いがもたれ、非公式な形でのワーキング・グループを設置することが確認された。

 長年JCSDの事務局長を務める黒坂三和子氏は言う。「毎年各国のNCSDは国連に報告書を提出しているだけのような状態。私たちが真に“持続可能な社会”へと移行してゆこうとするなら、まず東アジア地域で共通のビジョンを創り、意思をもつ人たちが協働して実際に変化を起こしてゆくことが効果的ではないか。その触媒的な役割を果たすことのできるNGOには、重要な役割があるだろう」

 政府レベルから民間レベルまで、国際会議は毎日のように開かれており、その中には会議の開催が目的化しているものも少なくない。この東アジアNCSDイ二シアチブがそうならぬよう、ソウル会議で話し合った内容が、いかに今後の具体的な行動につながっていくか、これからの取り組みに注目したい。

(参考URL)
・JCSD http://www.jcsd.jp/


多岐に渡る議論の内容を見事にまとめた韓国PCSDのメンバー、シン・ヘスさん

【筆者】山本 千晶(YAMAMOTO, Chiaki) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J05102603J]
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中学校内にエコハウス誕生

「僕らの家はエコハウス。太陽電力に環境にやさしい洗剤、水は何度も繰り返し使えます」

北京市 「僕らの家は太陽電力を使い、環境にやさしい洗剤で洗い物をし、水は何度も繰り返し使えます」。10月22日、北京市桜花園実験学校の中学生達は見学に来た人々に自分達の新しい家をこう紹介した。

 この新しい家は緑十字エコハウスという。客間、バス、キッチン、ダイニング、寝室、書斎の6つの部屋に分かれていて、家の中の物は可能な限りエコロジー素材を使用している。ダイニングのテーブルセットや勉強机、食器棚などの家具一式は、すべてが紙パックなどの包装品をリサイクルして作られた板を使用。ゴミは6種類に分別処理され、台所用水は使用後トイレの流水として使われる。浄化後の水は金魚を飼うこともできる。そのほか、節電灯、省エネ冷蔵庫、節水トイレ用品や節水洗濯機を使用し、書斎の紙類はすべてが再生紙である。

 これは北京市朝陽区連合国EPD(環境、人口と持続可能な発展)学校連合環境NGOの北京緑十字が設計、建設した。学生たちはここでの生活を通じて、エコロジーとは何かを身につけることができる。この近未来エコハウスは、子供たちの長期的な環境教育基地の役割を担っている。

【筆者】康雪(KANG Xue) / ENVIROASIA China / 寄稿 /  [C05102601J]
【翻訳】B班翻訳スタッフこみや]]>

八戸市マイクログリッド実証研究の本格稼動

2005年10月、青森県八戸市で、マイクログリッドシステムが本格稼動した。

青森 2005年10月、青森県八戸市において、特定のエリアで再生可能エネルギーなどの分散型電源を自営線で結びつけ、エネルギーを相互融通する「マイクログリッドシステム」が本格稼動した。

 青森県最大の工業都市である八戸市は、2003年7月、三菱総合研究所、三菱電機と共に、NEDO「新エネルギー等地域集中実証研究」の委託研究先に採択された。この研究は「八戸市 水の流れを電気で返すプロジェクト」と呼ばれている。プロジェクトの名称は、東部終末処理場(下水処理場)で発生する消化ガス(注1)を燃料としていること、電力供給先に八戸圏域水道企業団(北奥羽水道サービス)があることから、「上水から下水となって処理場に流れ着いた水を、電気に変えて最終的に上水道関連施設に返す」という意味を示している。

 具体的には、太陽光発電、風力発電、バイオマスガス発電から得た電気を、全長5kmに及ぶ自営線及び制御システムを用いて、市庁舎や市内の小中学校など6つの施設に供給する。従来のように、分散型電源から得られた再生可能エネルギーを、既存の電力系統を通じて電力会社に売電するのではなく、各施設間でエネルギーの相互融通をはかる点に特徴がある。

 八戸市では実証研究への参加を契機に、環境・エネルギー分野に対する取り組みが活発になった。2004年2月には、2010年の最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を6%とする基本計画を策定した。さらに、マイクログリッドの試みを全市的に広げようと、市内の企業・大学等や自治体が株主となる「八戸市民エネルギー会社」構想が検討されている。実証研究で用いた設備一式を無償貸与するほか、洋上風力発電、メガソーラー発電、バイオマス発電等を新たに設置し、自営線を拡張し、マイクログリッドを増設する構想である。マイクログリッドを構成する各施設等にグリーン電力を供給するほか、余剰分はRPS(注2)等の制度を通じて電力会社に売却する計画である。

 「市民エネルギー会社」の設立を目指す上では、託送料にかかるコストの問題、電力バックアップをめぐる東北電力との協議、ビジネスモデルの構築等、克服すべき課題がある。だが、実証研究の実施による先行者メリットと「マイクログリッド・イコール・八戸」のイメージ形成の成功によって、環境・エネルギー分野における同市の今後の取り組みは、強く加速するものと期待される。

(注1)下水汚泥を嫌気性消化(発酵)した際に発生する、メタンを60%ほど含むガスで、都市ガスの約半分の熱量を持つ。

(注2)RPS制度(Renewables Portfolio Standard)とは、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」に基づき、 電気事業者に対して、毎年、その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギー等から発電される電気の利用を義務付けた制度。

八戸市マイクログリッド実証研究概要図(出所:NEDO)

八戸市庁舎本館・別館風車(2kW×2)

【筆者】元木 悠子(MOTOKI, Yuko) / 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 / 寄稿 /  [J05102601J]
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「コミュニティサイクル」の社会実験

東京都世田谷区でも、自転車の利用促進と共有する仕組みづくりのための実験が始まった。

東京 都心部の鉄道の駅前や商店街は、鉄道を利用する人たちが使う自転車があふれ、歩道をふさいだりしている光景をよく目にする。そうした自治体では、多額の税金を使って、放置自転車の撤去や取り締まりを行っているが、いたちごっこで、抜本的な解決策とはなっていないのが実状だ。そもそも自転車の通勤等手段としての地位を軽視し、駐輪場と駅を一体化させた整備を怠ってきたツケが回っているだけ、との見方もある。ともかく解決策は急ぎたい。放置自転車の問題を解決し、地球温暖化対策としても見直しの進む自転車を活かそうと、「レンタサイクル」の導入が各自治体で進んでいるが、レンタサイクルとは一味違った「コミュニティサイクル」を取り入れようとしている自治体も現われている。

 「コミュニティサイクル」とは、共用の自転車を通常のレンタサイクルのように借りた場所に返すだけでなく、他の駐輪場(サイクルポート)でも貸出・返却を可能としたシステムで、電車やバスへの乗り継ぎの利便性を高め、公共交通機関の利用を促進できる点に特徴がある。この「コミュニティサイクル」を導入するべく数年前から、全国各地で社会実験(注)が始まっている。

 こうした中、遅ればせながら、東京都の世田谷区でも、深刻な放置自転車対策の切り札として「コミュニティサイクル」導入の可否を見極めようと、10月17日から30日の間、5カ所の仮設レンタサイクル設置場所(ポート)での社会実験が始まった。東京23区では、荒川区や台東区などに続く例となる。世田谷区内には、現在すでに3箇所でレンタサイクル(貸出と返却のサイクルポートが同じ)を運営しており、毎日1000人以上が利用しているが、今回の社会実験では、路線の違う駅や駅から離れた区役所にもポートを設置し、さらに利便性を高めた点がこれまでと異なる。

 熊本哲之(くまもと・のりゆき)世田谷区長は、「世田谷区から自転車利用の新たな方法を提案し、全国のモデルに」と意気込んでいる。さして新規性はないものの、人口が多い自治体での取り組みという点では社会的影響は大きそうだ。「がやリン」(せた“がや”チャ“リン”コ)という愛称とマスコットキャラまでできているあたりが世田谷区らしい。環境にも身体にもやさしい自転車。利用が増えることは結構だが、放置自転車を減らすこともまた課題。また、自転車が私物化されないよう、つまり、きちんとサイクル(循環)するための仕掛けをどうするかなど、先行事例で出た課題をどこまでクリアできるのかも見所。「がやリン」実験の動向を注視していきたい。

(注)社会実験
 新たな施策の展開や円滑な事業執行のため、社会的に大きな影響を与える可能性のある施策の導入に先立ち、市民等の参加のもと、場所や期間を限定して施策を試行・評価するもので、地域が抱える課題の解決に向け、関係者や地域住民が施策を導入するか否かの判断を行うことができる。

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J05101902J]
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TEEN 韓国で「川のプログラム」を実施

韓国のソウルで、日中韓の小学生が集まった「川のプログラム」が行われた。

ソウル特別市 「日中韓環境教育ネットワーク(TEEN:Tripartite Environmental Education Network)」では、現在日中韓3カ国で子どものための環境教育の教材作成を進めています。その一環として、9月30日から10月2日にかけて「川のプログラム」を韓国で行い、各国からそれぞれ10名前後の小学5、6年生が参加しました。このプログラムは、韓国側のTEEN担当窓口である、延世大学の朴泰潤(Park Tae Yoon)教授が中心となって作成したもので、実施結果を踏まえて修正を行い、川をテーマとする教材の作成に活用していきます。

 ソウル市では、2002年から清渓川(チョンゲチョン)の復元事業が進められ、先般10月1日にその完成記念式典が行われましたが、この時期に合わせて「川のプログラム」を実施しました。

 プログラムでは、予め子どもたちに川のイメージを絵に描いてもらい、初日に発表してもらいました。2日目からは、授業を行い、水の重要性を説明し、子どもたちは川とわれわれの暮らし、農業や漁業、工業との関わりなどについて学びました。授業の他にも、漢江(ハンガン)の遊覧船に乗って川の実際の様子を見たり、清流を取り戻した清渓川で化学キットを使って水質検査をしたりしました。プログラムの最後には、まとめとして、子どもたちに自分が望む川と都市の未来を考えてもらい、それを絵に描いてもらいました。

 今回のプログラムは、川をはじめとする自然と私たちの暮らしとを参加者に考えもらうよい機会となり、楽しい思い出になったと思います。また、子どもたちは言葉を覚えるのが早く、お互いの国の言葉を少しずつ覚えながら、交流を深めていました。TEENでは今後も、次世代を担う日中韓の子どもたちが、環境学習を通じて交流できるプログラムを継続していきたいと考えています。

 プログラムの内容、子どもたちの描いた川の絵は、www.teenkorea.orgに掲載される予定ですので、ご覧下さい。

(参考URL)
・日中韓環境教育ネットワーク(TEEN)
 http://www.jeef.or.jp/TEEN/

・「川のプログラム」で使用したテキスト(3言語)
 http://www.teenkorea.org/board/upload/riverandhuman_20051003121256.pdf

「川のプログラム」に参加した日中韓の子どもたち。清渓川にて。

【筆者】三宅 亨(MIYAKE, Toru) / (社)日本環境教育フォーラム(日本側TEEN担当)(Japan Environmental Education Forum) / 寄稿 /  [J05101901J]
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京畿道第20機械化師団、軍部隊として初めての「残飯ゼロ運動」

「私は食べ物を残しません!」

京畿道 17日午後2時、京畿道の第20機械化歩兵師団、突撃部隊(部隊長、キム・ジファン大佐)において、将兵たちの力強く大きな声が響き渡った。「食べ物を残さない―残飯ゼロ運動」キャンペーンに参加しているこの部隊の将兵1,800余名がこの日の決意大会で食べ物の大切さを改めて認識し、生ごみ問題の解決のため、自らが率先して行動することを確認した。

 この師団が「残飯ゼロ運動」を始めたのは10月1日からだ。部隊員は自発的な誓約を通じて、食べ物を残すたびに一食あたり150ウォンの「罰金」を支払うことにした。この運動は今月いっぱい続けられる。集まったお金は幹部252名が出した25万ウォンあまりの誓約賛同金と合わせて、食事すら満足にできないインドの子どもたちを助けるために使う予定である。

 「残飯ゼロ運動」を進めている浄土会関係者は「餓えているインドの子供たちは健康状態が非常に悪く、ひどい皮膚病に苦しんでいる」として、「将兵たちの申し訳ないという気持がこもったお金を集めて、インドの子供たちのビタミン補給のためにオレンジを送るつもりだ」と話している。

 この部隊のキム・グンホ一等兵(22)は「以前は口に合わない食べ物が出ると、そのまま残していましたが、今は食事のたびに餓えている子どもたちがいるということを考えるようになり、残飯が出ないので環境的にも役に立っていると考えるようになりました」という。「残飯ゼロ運動」は開始と同時に成果をあげている。配膳はセルフサービス方式をとっているが、平常時には一日あたり542kgほど排出されていた残飯量が、運動開始から半月ほどで108kgにまで激減したのである。

 「残飯ゼロ運動」は修行共同体の浄土会が昨年9月に始め、現在30万人が参加して誓約を結んでいるが、軍の部隊が「残飯ゼロ運動」に参加したのは今回が初めてである。

軍の部隊としては初めて「残飯ゼロ運動」に賛同した第20機械化歩兵師団の将校たちが食べ物を残すたびに、一食あたり150ウォンの「罰金」を払うという誓約書を提出している。第20機械化歩兵師団提供。

【筆者】自然循環社会連帯 / 自然循環連帯 / 自然循環社会連帯ホームページ /  [K05101801J]
【翻訳】吉澤文寿]]>

日中の環境NGOが再生可能エネルギープロジェクト実施へ

再生可能エネルギー利用の推進をめざす日中の環境NGOが中国・雲南省で再生可能エネルギー推進プロジェクトを実施することになった。

雲南省 再生可能エネルギー利用の推進をめざす日本の環境NGOが中国の環境NGOと共同で、中国農村部における再生可能エネルギー推進プロジェクトを実施することになった。

 2003年2月、日本の環境NGO「自然エネルギー推進市民フォーラム」が、再生可能エネルギーの推進に向けて、海外の事例に学ぼうと北京を訪問。その際、農村部において家畜や人の糞尿を集め、嫌気性発酵を経てメタンガスを発生させエネルギーとして利用する「農村エネルギー」を知り、現地調査が始まった。雲南省の農村を訪問する中で、雲南省の環境NGO「雲南エコネットワーク」(中国語では「雲南生態網絡」)と知り合うことになった。雲南エコネットワークは文化を含めた生態系の保護や、中国西南部の持続可能な発展などをテーマに活動を続けている環境NGOだ。

 2005年5月には、自然エネルギー推進市民フォーラムが参加した愛知万博・地球市民村に同団体を招聘、農村エネルギーについて紹介した。この時に、日本側から中国農村部における再生可能エネルギー推進プロジェクトの実施を呼びかけ、雲南エコネットワークが応じた。2005年9月に再度、雲南省を訪問し、雲南省林業局や雲南師範大学、婦女連合などとも懇談、プロジェクトに協力することで合意した。今後、正式に契約を締結する。

 プロジェクトでは、メタンガス発酵設備の設置やデータ収集、農民教育、エコツアーなどを実施していく予定。プロジェクト資金は、東京電力からの寄付金や公的助成金でまかなう。自然エネルギー推進市民フォーラムの都筑建(つづく・けん)理事長は「このプロジェクトを通じて文明としてのエネルギーシフトを体感できれば」と話している。

 なお、11月3日午後には東京恵比寿で自然エネルギー推進市民フォーラムによるプロジェクト報告会が行われる予定だ。

(参考URL)
・雲南エコネットワーク
 http://www.yunnaneconetwork.cn/

2005年9月に訪れた雲南省禄勧彝族苗族自治県雲龍郷

雲龍郷の農家で現地政府スタッフや住民と懇談

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / 自然エネルギー推進市民フォーラム(REPP:Renewable Energy Promoting People’s Forum) / 寄稿 /  [J05101201J]
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黄河源流域の急速な生態系悪化は気候変動が主要因、グリーンピース中国が指摘

黄河源流域での生態系悪化の主要因は気候の変化。

青海省 グリーンピース中国は、今日(10月10日)、北京で発表された最新研究報告で以下の指摘をしている。

 黄河源流域での近年来の生態系悪化の主要因は気候の変化である。グリーンピースは、黄河源流域の生態系悪化を根治し、黄河流域の億に上る人々の水不足を解決するためには、全世界が一丸となって気候変動に対応するしかないと考えている。

 報告では、ここ50年間で、黄河源流域の平均気温は0.88℃上昇し、この勢いの下、わずか30年の間に、黄河源流域の氷河面積が17%減少した上、これにより水資源23.9億立方メートルの損失を引き起こしたとしている。

 更に、わずか15年の間に、黄河源流のマドウ県内の4,077個の湖のうち、3,000強の小湖が既に干上がっており、1986年から2000年までの間に、河川流域面積が9%減少し、沼及び湿地が13.4%減少したとしている。これは、黄河の地表流水量の減少ばかりでなく、流域の乾燥化を招き、並びに流域の地下水位を軒並み7~8m低下させており、局地的には水位が10メートル以上低下している。

 この報告はクリーンピースに委託された中国科学院寒冷乾燥(旱魃)地区環境・工程研究所によって書かれたものである。報告の主要作成者の一人である劉時銀教授は、「気候の変化は、源流域の生態系に悪循環をもたらす根源である。地球温暖化により気温上昇を引き起こし、氷河や凍土が溶けてなくなり、湖沼及び湿地の消失、ひいては土地の退化をドミノ式に引き起こしている。源流域の生態系悪化は、源流域の住民生活を脅かすばかりか、将来は黄河全流域に計り知れない影響を及ぼすだろう」と話している。

 2005年6月、グリーンピース及び中国科学院寒冷乾燥(旱魃)地区環境・工程研究所の科学者で組織された調査隊が黄河源流域に駆けつけ、報告にある環境問題の証拠を採取した。グリーンピース気候変動項目主任李沫萓は、「中国政府は、既に今年2月に黄河源流域をふくむ三つの河川(訳注:黄河・長江・メコン川)源流域一帯の整備に75億元を投入することを決定している。これによって、黄河源流域の生態形悪化の勢いを緩めることができると信じている。しかし、中国自体の努力以外に、気候の変化がもたらした黄河源流域の危機を根治するには、各国政府が直ちに温室効果ガスの排出量を大幅に減らすことが必要である」と話している。

哈龍氷河の24年間の変遷:1981年

2005年

【筆者】康雪(KANG, Xue) / ENVIROASIA China / 寄稿 /  [C05101201J]
【翻訳】中文日訳チームC班 小田幸治]]>