2006年、日本の重大ニュース~廃棄物、核、そして水俣

年末恒例、発伝所ENVIROASIA編集メンバーが選んだ“重大ニュース”です。2006年の締めくくりとして、お届けします。

日本全土 2006年を表現する「今年の漢字」に、「命」という字が選ばれました。「絶たれた命」「奪われた命」「膨らむ命の不安」といった、命を取り巻く決して明るくない状況は、日本のあらゆる環境においても同様でした。いじめや虐待は人に対してだけではなく、地球環境、地域環境についても現れています。2006年の重大ニュースは、そんな世相に沿う形で、次の命を育み、大事にしていくための布石として選びました。

■E-Waste、廃棄物をめぐる動き
 抑制が利かない廃棄物は、環境を虐げる原因になります。環境被害は健康被害と表裏一体。いつも使っている製品や日用品がどのように処分され、どのような影響を与えるか、普段から思いを巡らし、実際に廃棄する際にはより確実かつ適正なリサイクルや処理につながる方法やルートを確認することが重要です。

 家電品や電子機器については、

・電気用品安全法と中古家電の行方
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06031701J
・家電リサイクル法改正論議がスタート
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06063003J
・EU・RoHS指令の発効と日本企業の対応
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06072102J
・家電リサイクル法改正にちなんで「街の声」を聞く
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06080401J
・もったいない!――新品同様の家電を捨てる日本の家庭
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06091501J
・「アジア3R市民フォーラム」「アジア3R推進会議」開催
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06110301J
・「リサイクル」の名の下に日本のごみがフィリピンへ?~政府の戦略に懸念
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06111001J
・家電リサイクル法の改正を考える市民フォーラム開催
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06120802J
・日本から有害廃棄物!?―アジアに広がる懸念
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06121501J

 といった多くの話題が出ました。廃棄物は海や国境を越え、日本国内にとどまらない対策が急務であることも明らかになっています。

 容器包装類のリサイクルも喫緊の課題ですが、

・容リ法改正の審議会最終まとめに、市民が反対
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06012501J
・容器包装リサイクル法改正案、衆議院を通過
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06052602J

 といった動きとは裏腹に、

・ぽんぽこの丘が再びピンチ!?町田に廃プラ施設
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06021703J
・70万都市に廃プラ中間処理施設
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06060902J

 地域ではその処理が持て余され、廃プラスチックを燃やそうという危惧すべき動きもでているのが実情です。

《その他の関連記事》
・「最終処分場の再展開」計画への疑念―06年4月11日今治視察報告
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06042801J
・鉄鋼スラグ「一時保管所」をめぐる不安―06年4月11日今治視察報告
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06042803J
・日の出町の廃棄物処分場を歩く
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06090101J

■核の脅威は続く
 チェルノブイリの原発事故発生から20年。今なお核や放射能が横行する状態は世界的にまだまだ続いており、あらゆる命が常に脅威にさらされています。チェルノブイリの教訓を活かすどころか、穏やかでない動きが目立ちました。

・チェルノブイリ原発事故から20年
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06042101J
・チェルノブイリ事故20年アピール
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06042805J
・危険、ムダ、不経済なウラン再処理~六ヶ所再処理工場で最終試験運転が始まる
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06021702J
・六ヶ所再処理工場のアクティブ試験が開始された
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06033101J
・ストップ!プルトニウム~コチラ佐賀県庁前テント村~
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06041401J
・高レベル放射性廃棄物処分場誘致の声が各地であがるわけ
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06101301J

■水俣の重み
 水俣病が公式確認されてから50年。発生から74年。未だ解決には至っていない水俣病を巡り、様々な動きがありました。発伝所でもそれに呼応し、国内外でいくつかの催しを主催しました。「水俣病はまだ終わっていない」。この言葉を引き継いでいきたいと思います。

・水俣病が問い続けるもの
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06050501J
・水俣の産廃をどう捉えるのか
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06063001J
・水俣病は終わっていない―「水俣病問題に係る懇談会」提言書をめぐって
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06091503J
・水俣の経験は中国に伝わったか―第3回東アジア環境市民会議報告
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06092901J
・旗野さんの「冥土のみやげ」――第3回東アジア環境市民会議参加報告
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06100601J

■余禄
『環境共同体としての日中韓』出版!

http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06011802J

 発伝所では初めてとなる本を編纂しました。まだお読みでない方は、ぜひご一読下さい。

日本で捨てられる廃家電

【筆者】発伝所ENVIROASIA編集メンバー / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger ) / 寄稿 /  [J06122201J]
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2006年、日本から見た中国・韓国の重大ニュース

ENVIROASIAが伝えた2006年の中韓の“重大ニュース”です。

東アジア〈中国〉
■深刻化する水の汚染

 今年の9月に中国・西安市で「水の汚染と健康」をテーマに第3回東アジア環境市民会議を開催し、中国各地における水の汚染が深刻化していることを改めて認識した。この現状を受け、発伝所でも今後、水俣病、新潟水俣病に取り組んでこられた方々と共に、中国の環境NGOメンバーを対象とした情報・経験共有プロジェクトを進めていく予定だ。

・年末年始 漢江視察の記録
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C06011103J
・中国の民間環境NGO、中国水汚染地図を制作
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C06092701J
・日中韓環境保護団体が中国西部地区の水と健康問題に注目
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C06101101J

■環境法へのアプローチ
 日本でも市民立法をめざす運動はいろいろと行われているが、中国でも法律を活用した環境保護への取り組みが徐々に浸透しつつあるようだ。日本でもお馴染みの政法大学公害被害者法律援助センター(CLAPV)の王先生らの今後の活動に注目したい。

・中国の市民による環境保護が新たな段階へ
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C06051001J
・中国NGO法律応援ネット、試運用を開始
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C06062801J

〈韓国〉
■車社会と大気汚染

 2006年の韓国で目立ったのは、車社会と大気汚染に関する動きだ。自動車保有台数では世界第2位の日本ほどではないが、韓国では4人に1台の割合で車を保有している(2004年の統計より)。車はもちろん便利だが、一方で交通事故や大気汚染といった負の面も生み出す。公共のバスが発ガン性物質を排出していたことが判明したり、車との因果関係は定かではないが、ソウルでは大気汚染に関する訴訟も起こされるらしい。

 そうした中、バイオディーゼルを推進する動きや、車中心の生活を見直そうという動きも出てきているようだ。

・「市民の足CNGバス」発ガン性物質排出
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K06112301J
・ソウル大気汚染訴訟を提案します
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K06092601J
・進化するバイオ・ディーゼル政策
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K06102501J
・車のない姓三峙路に向かって…
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K06101401J

〈中国・韓国〉
■3ヶ国アースデイ

 アースデイTOKYO実行委員会からの協力要請を受け、世界を歩きながら植樹をして、環境の重要性を訴えている「アースウォーカー」ことポール・コールマンさんが、万里の長城をスタートして韓国を経、日本にたどり着く3カ月のツアーを敢行。ENVIROASIAの3カ国ネットワークでは、このプロジェクトをサポートした。中国や韓国の大手メディアにも多数とりあげられ話題を呼んだ。

・環境保護と平和を守るため、一緒に行動を起こそう!!
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C06011101J
・「アースウォーカー」ポール・コールマン氏、韓国での日程を終えて
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K06041201J
・ポール・コールマン氏、3.1節に環境連合広報大使チェ・ガンヒさんと共に南山
で松の木を植樹
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K06030201J

汚染された川の様子

【筆者】発伝所ENVIROASIA編集メンバー / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger ) / 寄稿 /  [J06122202J]
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WWF:河イルカにヨウスコウカワイルカと同じ運命を辿らせるな

2006年の長江淡水イルカ類調査が終了。ヨウスコウカワイルカは発見できず、河イルカは激減。

湖北省 中国北京12月13日午後、中国を始めとする6カ国の科学者による2006年長江淡水イルカ類連合調査がヨウスコウカワイルカを発見できないまま終了した。同時に当該調査により河イルカが激減していることが実証された。このため、WWF(世界自然保護基金)は河イルカがヨウスコウカワイルカと同じ運命を辿らぬ為にも河イルカの保護は一刻の猶予も許されないと述べた。

 6カ国の専門家による39日間、3400キロにわたる厳しい航行を通じ捜索したものの、調査団は「長江の女神」といわれるヨウスコウカワイルカを発見することができなかった。また、宜昌から上海までの1667キロの長江中下流域の本流域において発見できた河イルカはわずか700~900頭であった。調査専門家によれば、現在長江にいる河イルカはおよそ1200~1400頭とみられ、これは1991年の頃の半分になっているということである。

 長江の河イルカは、世界の3つの河イルカの種類のうち、唯一の淡水種であり、1993年以前には2700頭がいたものの1997年までに2000頭まで激減した。長江の八里江流域を例に取ると、1989年から1999年までの間にその数は毎年7.3%の速度で減少している。

 WWFは、生態系に基づき長江中流域の群れの保護の強化や長江中下流域の淡水イルカ類の保護ネットワークを設ける等、長江の淡水イルカ類に対する有効な保護措置を講じるべきであると考えている。

「長江湿地の保護、長江イルカ類保護区ネットワークの建設は、われわれの長江プロジェクトの中心業務である。長江淡水イルカの保護には社会各方面の協力が必要であり、それにより抜本的に長江が直面している各種の脅威を減少させ、命の河である長江を取り戻し、人、水、イルカの共存を実現することができる。」とWWF中国地域代表の欧達夢氏は述べた。

【背景】
 「最後のヨウスコウカワイルカ捜索」活動は中国、アメリカ等6カ国の 科学者で構成された調査団により、長江に沿ってヨウスコウカワイルカと長江河イルカを捜索した。

 今回の調査は、中国科学院水生生物研究所、長江漁業資源管理委員会およびスイスヨウスコウカワイルカ保護基金会連合組織により行われ、世界自然保護基金(WWF)、米国海洋大気庁(NOAA)、スイス水科学研究所(EAWAG)など多数の機関や組織によるサポートを得ることができた。

 調査グループは、2006年11月6日に武漢を出発し、中国科学院の「科考1号」及び洪湖保護区の漁政監測船に乗り、宜昌から上海の長江中下流域の本流地域の淡水イルカの情況について往復して監督測定を行い、また、長江沿いの水のサンプルを採集して分析を行ない、実際に3400キロメートル近くを調査した。

 調査団は中国、アメリカ、イギリス、日本、ドイツ及びスイス等6カ国のクジラ類専門家により構成され、それぞれ目視観察グループ、音響学監督測定グループ、水質採取グループに分かれて活動を行なった。

 更に詳しい情報については、http://www.wwfchina.org/aboutwwf/whatwedo/freshwater/hsbc.shtm へアクセスしてください。

【筆者】庄 士冠 / WWF中国(世界自然保護基金)(WWF China) / 寄稿 /  [C06122001J]
【翻訳】中文和訳チームA班 五十嵐裕美]]>

日本から有害廃棄物!?―アジアに広がる懸念

東南アジアで、日本からの廃棄物が押し寄せるのではとの懸念が広がっている

日本全土 今年9月に小泉前首相とアロヨ大統領との間で交わされ、署名に至った「経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(日比経済連繋協定:JPEPA)」が、11月14日に衆議院、12月6日に参議院にてそれぞれ承認された。

 このJPEPAについては、日本ではフィリピンからの看護師の参入に関するばかりがクローズアップされてきた。ところが、日本からフィリピンに輸出される物品の関税撤廃リストには、焼却灰、残渣、医療廃棄物、都市廃棄物、下水汚泥、化学品廃棄物、中古衣類、中古品、などが含まれている。このことから、現地フィリピンでは農民やNGOが中心となって、「JPEPAがフィリピンを『ごみ共和国』に変えてしまう可能性がある」と懸念し、JPEPAのフィリピン上院での承認反対を求めて抗議行動を激しく展開している。

 外務省の担当者に確認したところ、JPEPAの11条で有害廃棄物の越境移動を禁止したバーゼル条約などの既存の国際法や日比両国の法律の遵守を、25条でGATTの20条の準用をそれぞれうたっており、関税撤廃リストに有害廃棄物が含まれていたとしても、それらが実際に日本からフィリピンに輸出されることは杞憂にすぎないと言う。

 12月5日の参議院外交防衛委員会でも、民主党の榛葉賀津也(しんば・かつや)議員の「関税削減リストから全ての廃棄物を削除すべきではないか」、「有害廃棄物は絶対輸出しないとの約束が必要ではないか」(市民団体共同声明より引用)との質問に対して、政府からは上記外務省担当者と同じような答弁がなされた。

 ただ、バーゼル条約では、輸入国の了解さえあれば、条約で規制された廃棄物であっても、その輸出は合法となる。JPEPA第4条の「法令の見直し」では、「一層貿易制限的でない態様で対応することができる場合には、その法令を改正し、又は廃止する可能性を検討する」となっており、市民団体は、廃棄物貿易を規制する既存法を改正することを前提にした有害廃棄物貿易の可能性を示したものと批判している。

 また、これまで日本はシンガポールを皮切りに、メキシコ、マレーシアとも同様の経済連繋協定を結んでいるが、化学物質問題市民研究会の調査によって、シンガポールとの経済連繋協定をJPEPAと比較すると、JPEPAのリストに新たに登場した有害物質があることがわかった。先の参議院での国会答弁とあわせて考えれば、フィリピン市民の不安は、杞憂と言うことはできない。

 首脳級の国際会議では異例の事態で開催延期となってしまった第2回東アジアサミット参加のため安倍総理がフィリピンを訪問するにあたり、12月8日、日本の市民団体が「日本政府は廃棄物の“国内処理原則”を守り、資源循環に名を借りた“途上国への輸出”戦略を止めるべき」と題する共同声明を出した。

 この共同声明では、安倍総理、麻生外相、若林環境相にあてて以下の6点を求めている。
(1)日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)が発効しても有害廃棄物は絶対輸出しないと約束する。
(2)今後締約されるアジア地域内を含む途上国の二国間経済協定に廃棄物を含めない。
(3)廃棄物及び中古品の処理には厳格に「国内処理の原則」を適用し、開発途上国での処理に依存するような政策をやめる。
(4)廃棄物の発生削減を最優先として、国内循環を基本にした3R政策を推進する。
(5)3Rイニシアティブから“物品・原料の国際的な流通に対する障壁の低減”を削除する。
(6)バーゼル禁止修正条項を批准し、リサイクル目的を含めて有害廃棄物の途上国への輸出を禁止する。

 現在、日本政府はタイ、インドネシア、ブルネイなどと経済連繋協定の締結をめざして外交交渉を進めているが、12月7日に、タイの市民団体からもフィリピンと同様の危惧があると、日本の市民団体へのタイ市民と連繋して活動して欲しいとの協力要請が飛び込んだ。日本からの廃棄物が大量にもたらされるのではという恐怖が広がっており、インドネシアなどからも同様の声が起こるかもしれない。

 日本の最終処分場の残余年数はここしばらく約13年で推移しているとはいえ、廃棄物の排出量はほとんど減っていない。2002年以降、中古家電が中国など海外へ流れ、一部が解体・リサイクル過程での環境汚染を起こすE-waste問題も顕在化している。日本に暮らす者としては、フィリピンやタイの市民が抱いている不安を払拭する努力、そして彼らが直面しつつある危惧が現実とならないような努力が求められるだろう。

日本大使館前で抗議するエコウェイスト連合の若き緑の戦士。©GAIA

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J06121501J]
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日本でもGDPよりGNHが重要視されるようになる!?

GNHという概念が広まりつつある

東京 GDPといえばGross Domestic Product(国内総生産)、GNPならGross National Product(国民総生産)とは学校で習ったこと。では、GNHなら何だろう。答はGross National Happiness、「国民総幸福量」。もともと、1976年にブータンのジグメ・シンゲ・ワンチュク現国王が「GNPよりもGNHが重要である」と宣言したことで注目を浴びた概念だ。以来、ブータンでは実際に、このGNHに配慮しつつ政策を立案している。具体的には、持続的で公正な発展、環境保全、伝統文化の保護と再生、適切な統治(good governance)の4つを最重要ポイントと位置づけて開発を行っているのだ。

 GNHに詳しい環境・文化NGO「ナマケモノ倶楽部」事務局長の馬場直子さんによれば、GNH重視の思想はブータン国民にも深く浸透していて、2005年に行われた国勢調査では、「自分は幸せである」と答えた人が国民全体の約8割にも上ったという。世論調査の答が設問の仕方に左右される可能性を考えても、かなりの高率であることは間違いない。

 ブータンでは約30年の歴史がある概念だが、日本でも近年、少しずつGNHという言葉が浸透し始めている。昨年の愛知万博にはブータンも出展し、以来、GNHがメディアで取り上げられる機会が増えつつある。さらに今年も、GNHに関して多くのイベントが行われ、来年にかけても様々な催しが予定されている。前述のナマケモノ倶楽部でも、11月から、ブータン人の音楽家兼音楽人類学者ジグメ・ドゥッパ氏のライブ、ツアーオーガナイザーのペマ・ギャルポ氏によるトークショーなど一連のイベントが企画されており、その一環として、「100万人のキャンドルナイト」にあわせ、12月22日に府中市のカフェ・スローでは「GNHクリスマス」が行われる。また来年3月には、GNHを体感するブータンツアーも同倶楽部によって企画されている。

 これまで、どちらかといえば政策の大まかな方向性を示す概念であったGNHだが、指標化に向けた動きも始まっている。人々の生活の質、生態系の保全、政治的・経済的自由、文化・伝統的知識・アイデンティティなどの保護、政治的権力などをはじめとするいくつかの項目が、その要素として挙げられている。経済的な利益という項目も候補のひとつだが、深刻な貧困状態がいかに人々の幸福な生活を破壊するかを考えれば、これも非常に妥当なものだ。近年、GPI(Genuine Progress Indicator=真の進歩指数)という概念が普及しつつある。これは、通常の経済指標に環境破壊、世代間の負担といった要素を加味した緑の指標だが、GNHが指標化されれば、より人々の幸福度に重点を置いたものとなるだろう。将来的には世界各国のGNHが算出され、その順位が発表される可能性もある。そのとき、日本のGNHは世界の何番目になるだろうか。

 ブータンと日本では、社会経済の仕組みが大きく違う。近年、憲法制定に向けた動きが加速しているとはいえ、ブータンではこれまで憲法がなく、国王が大きな権限を持つなど、必ずしも民主的な国とも言えなかった。けれども、GNHを重要視するという国の姿勢に関しては、日本が見習うべき部分も少なくない。GNHの指標化と、それによる議論の活性化が持ち望まれる。

(参考URL)
・GNH研究所

http://www.gnh-study.com/

・ナマケモノ倶楽部
 http://www.sloth.gr.jp/
・カフェ・スロー
http://www.cafeslow.com/

「GNH」をテーマに、11月に新宿で開催されたライフスタイルフォーラム2006にて。真ん中は、ブータンの音楽人類学者ジグメ・ドゥッパ氏(写真提供/ナマケモノ倶楽部)

【筆者】眞 淳平(SHIN,Jumpei) / (有)エコ・パブリッシング(Eco Publishing) / 寄稿 /  [J06121502J]
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2006グリーン中国年度人物が12月9日北京にて発表

“2006グリーン中国年度人物”誕生

北京市 “2006グリーン中国年度人物”が12月9日北京にて発表された。8名、1団体がこの賞を受賞した。

 受賞者は

・中国で初めて水汚染公益データバンクを作成した公衆・環境研究センター主任の馬軍氏
・今年正式に実施された《中華人民共和国再生可能エネルギー法》を提案した山東皇明太陽エネルギーグループ有限会社会長の黄鳴氏
・映画『驚情神農架』の製作チームが自然保護区の環境破壊を明るみにした香港フェニックステレビの柯藍氏
・国家環境保護総局の5大環境保護監察センター設立を大きく支持したアジア開発銀行地区と持続可能な発展局局長のヒンドゥ・N・ラハニ氏
・青藏鉄道環境保護措置に対し多くの意見提示と受け入れを行った四川省緑色江河環境保護促進会会長の楊欣氏
・“運転日を毎月一日減らそう”キャンペーンを考案した北京環境保護局副局長の杜少中氏
・国有林権改革の第一人者であり、生態保護と経済利益の双方を結びつけた黒龍江省伊春市市長兼林業管理局局長の許兆君氏
・伝統的な生態文化をテーマとするドキュメンタリー映画『天知道』を撮った北京地球村環境教育センター責任者の廖暁義氏

 このほか、中国初のグリーンGDP計算研究報告を発表したグリーンGDP課題研究グループが特別賞を手にした。

 “グリーン中国年度人物賞”は中国国家環境保護局など7部門の委員会が中心となって取り組んでいる。最終結果はインターネット投票、専門家の評価、民意調査と公共評価委員会評定結果の4者による総合評定で決められる。

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C06121301J]
【翻訳】中日翻訳チーム 廣田智子]]>

生活衛生の伝道師としての芳香剤・脱臭剤は、もう仮面を脱ぐべきだ

2006年有害物質広告のモニタリング結果の報告書発表

韓国全土 今私たちは広告の洪水時代に生きている。テレビ、雑誌、新聞、インターネットで、バスや地下鉄の中で、街で、ひいては携帯電話のeメールを通じて、私たちは無闇に多量の広告に晒されている。

 経済が発展し、暮らしの質が高くなるにつれ、我々は自然に快適な室内環境を見つけることができた。生活の周りで発生する不快な臭いを除去するためにさまざまな用途の脱臭剤および芳香剤が広く使われている。人に不快感を与える悪臭より一層強い香りで悪臭を感じなくなる、あるいは、悪臭除去とは関係なく、芳香の目的にだけ使われる場合がある。しかし、私たちが使用する大半の芳香剤と脱臭剤には成分が表示されていない。また、このような商品に対する広告が絶えない上、その巧妙かつ歪曲された情報で我々は洗脳され、これらの商品を使うことになる。

 夏の梅雨を迎え、環境正義の放送広告モニタリング団は香りの中に隠れている毒性のある芳香剤(脱臭剤)と夏場の蚊を殺そうとして人もを殺せる殺虫剤に対してのモニタリングをすることになった。

 環境正義の広告モニタリング団は2006年7月18日~8月17日まで放送局3社(KBS2,MBC,SBS)にて放映される殺虫剤と芳香剤(脱臭剤)の広告モニタリングを実施した。芳香剤(脱臭剤)と殺虫剤を広告する製品の数は合計15種類で、殺虫剤4種類(エフキラー、ホームキーパー)、芳香剤(脱臭剤)8種類(ブレスル、ファブリーズ、エアーウィック、クリーンエアー)、そのほか3種類(ベービーガード、デトル)だ。
 
研究結果を見ると次のようである。

1)子供たちを広告モデルに登場させ、製品イメージを極大化

 私たちが広告モニタリングを実施した調査対象製品は、人体に有害の可能性が十分な化学成分が含まれた製品だ。それにもかかわらず、殺虫剤、芳香剤(脱臭剤)の広告に子供が例外なく登場している。私たちが調査した広告だけを見ても、殺虫剤には100%、芳香剤(脱臭剤)には62.5%、そのほかにも100%が子供を広告モデルとして使っている。それにより、3B(Beauty, Baby, Beast)の効果を最大化させようとするのがその狙いだ。広告の中で子供が登場するシーンが占める割合も最高90%に上るほど利用されていることが明らかになった。

 このような広告を展開しつつ、広告の内容も子供を保護するための手段として殺虫剤を使うべきという理論を展開していて、子供が衛生のために化学製品を使うべきということを強調していることが分かった。しかし、環境面から見ると、殺虫剤は環境ホルモンの危険性だけでなく、毒性まで含んでいる。しかしながら、子供を広告モデルにし、製品の安全性と使用上の必要性を強調するのは、子供を利用して商売をしようとする恥しらずの行動としか思えない。

 特に子供を虫から保護するための責任があくまでも母親にあることを暗々裏に暗示することも、やはり殺虫剤の使用を促していることが明らかになった。

 さらに、ウェルビング(Well bing)に相応しく、自然成分を添加した製品であることも強調しているが、自然成分が若干添加されたことで、殺虫剤を安心して使用してもよいという論理は、本質を超えている。芳香剤(脱臭剤)の場合も同じである。

 認知度の高いCFモデルを使うより、子供、あるいは、近くでよく見かけるような一般人をモデルとして登場させ、日常生活の中で起こりうる問題をすっきり解決してくれる指針書のごとく、芳香剤(脱臭剤)は様々な用途で使われている。しかし、その芳香剤も、既にヨーロッパや日本では、その化学成分と人工的な香りに対する安全性について議論されている。それにもかかわらず、韓国では赤ちゃんが使う布団の衛生のために、太陽の光に当てるよりは芳香剤を使うほうがいいというような広告の展開をしていて、消費者に間違った情報を提供している可能性が十分あると思われる。

2)似かよった広告形式の構成

 殺虫剤と芳香剤(脱臭剤)の広告を集めて見比べて見ると、広告内容の差別化がほとんど見られないことが分かる。それで、どの会社の製品であるか分からないまま、単純に製品の名前や広告モデルだけを覚えて購入する場合が多い。特に、殺虫剤の場合は、認知度のある主婦モデルの登場と自然環境を背景にした構成があまりにも似ていて、広告の差別化を見いだすことは難しかった。

 調査対象4本の広告すべてが、100%いわば大人気モデルを起用した広告内容で、それを見ると、人々は見慣れているものを好む傾向がある(Zajonc,1968)、人々は頻繁に接触した対象をさらに好み、よく目にする人たちの意見に一層左右されやすいという理論(Bornstein, Leone & Galley, 1987)を裏付けするもので、一般人に馴染みのある芸能人(主婦)が私たちに自分の行動を見せ、製品を買うように説得しているということも分かった。

 芳香剤(脱臭剤)の場合には、ファブリーズの広告と称されるほど認知度の低いモデルを登場させるドラマ技法を用いた広告が主だ。これは私たちと同じ様な人の行動を観察する時、その効果がもっとも大きい(Festinger, 1954)とする理論を裏づけるもので、私たちと同じ様な人々の証言や行動を広告戦略に使おうとするもので、専門俳優を一般人に見立て日常生活で発生しやすい状況を演出させている。

 したがって、私たちと同じ様な人がテレビに登場し、私と同じ状況に遭った時、解決策としてアイデアを提示するのは相当な説得力を持っている。それだけでなく、問題解決のための積極的な購買行動にまでつながる。それを狙うことで、広告に対する新鮮さを与えると同時に、製品の信頼度を高めると評価された。

 この点を利用して、競争他社も似たような形式の広告を制作し、芳香剤(脱臭剤)が生活必需品として、子供用品をはじめとする家中の清潔と衛生を解決できるという広告内容を消費者に伝えていることが分かった。

3)最終需要者である主婦を対象にしている広告

 虫を殺し、生活環境を清潔に保つのは主婦の責任であるため、主婦の賢明な判断で、自社製品を購入させようとするベースに基づき広告内容が構成されているため、主婦が好む広告を制作するための会社別競争がとても激しいことが分かった。

 特に、朝のドラマが放映される時間帯には広告を集中的に出すことで、自社製品の認知度を高めようと、熱を上げていることも分かった。そして、広告内容も、やはり家族の間の愛、健康、ひいては、家庭の幸せを守る役割を果たせるといったことを暗示し、製品の使用を促すことが批判された。

 環境正義の広告モニタリング団は、殺虫剤の広告に子供を起用させることは禁止しなければならない。そして、生活衛生の伝道師として急浮上した芳香剤(脱臭剤)だが、今こそ、その伝道師の仮面は脱ぐべきだと訴えた。

* <2006有害物質広告報告書>専門ダウンロードはここから
http://www.eco.or.kr/2006_web/bbs/board.php?bo_table=eco_pds_gnu3&wr_id=652

【筆者】イム・ソナ(Lim Sun-A) / 環境正義(CMEJ)(Citizens’ Movement for Enviromental Justice) / 投稿 /  [K06121001J]
【翻訳】尹美英]]>

家電リサイクル法の改正を考える市民フォーラム開催

政府による見直しが進む家電リサイクル法の改正に市民の意見を反映させるための議論が行われた。

東京 重量で80%を占める家電4品目のリサイクルを義務づけた家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)が2001年、施行された。この法律では、施行から5年後に見直しをするという規定を設けてあったため、現在、法改正のための審議会が開かれている。

 今回の法改正に向けて、この法律を所管する環境省及び経済産業省は、慣例よりも極めて早い段階で、複数回、市民からの意見を募集するなど、開かれた議論をしようという雰囲気を出しつつ、改正を進めている。それに応え、我々NGOも家電リサイクル法に関する問題点を検討し、よりよい法改正にしていこうと活動を続けている。

 その活動の一つとして、さる12月1日、NGO、消費者、関係省庁、専門家が一堂に会し、立場を超えて意見交換するための場として、「家電リサイクル法の改正を考える市民フォーラム」が開催された。(国際環境NGO FoE Japan、循環型社会システム研究会、東アジア環境情報発伝所の3団体による共催)

 このフォーラムの冒頭、家電リサイクル法改正の審議会座長でもある細田衛士慶應義塾大学教授から、これまで4回開催された審議会での議論のポイントや動きを紹介してもらった。

 現在、家電リサイクル法の枠組みからはずれ、統計データに現れない要素として、不法投棄や、海外へ違法に輸出されるE-Waste問題の2つが顕在化している。この把握されていない家電の流れを「見えないフロー」といい、審議会でもどのように対処していくのかが話し合われている。

 この「見えないフロー」を把握するべく、政府や審議会委員による実態調査が今夏から行われ、その結果が3ヶ月ぶりに開催される審議会で報告されることになっている。

 その他にも、リサイクル料金を先払いに変えるのか、現行の後払いのままにするのかという費用の徴収方法の問題、4品目と限られている対象品目を拡大するのかなどが、大きな論点となっている。

 その後、今回のフォーラム主催団体から「家電リサイクル法見直しに向けた市民意見」が示された。そこでは、(1)対象や処理方法がわかりにくい、(2)法の仕組みから外れた廃家電が増加している、(3)3Rの優先順位にそった対策が不十分、(4)透明性の確保が不十分、という現行法における4つの問題点の指摘がされつつ、(A)リデュース、リユースの促進、(B)すべての家電をリサイクルすること、(C)拡大生産者責任(EPR)の徹底と抜け道の防止、(D)透明性の向上、などのさらなる見直し案が示された。

 この市民意見について、海外に輸出される中古家電は、現地で大層、重宝されており、E-waste問題のおそれがあるからと、中古家電の輸出をすべて禁止するのではなく、リユース目的の中古家電かリサイクル目的の廃家電なのかを明確にする基準を設けるべきだとの意見が、中古家電輸出業者から寄せられた。日本で廃棄された家電は、少し修理するだけで、まだまだ使えるものが多いそうで、その有効利用は一つの課題である。と同時に、日本人自身の家電への関わり方、特に安易に捨ててしまう風潮などを考えていかなければならないだろう。

 参加した市民からも市民意見への賛同が多く寄せられ、フォーラムに参加した環境省、経済産業省の担当者からも、そうした市民の意見を参考にしていきたいとの発言があった。また、細田座長からは、日本のNGOへさらなる情報収集能力の向上に期待したいというコメントも出された。

 今後審議会での改正案や国会での審議に、広く消費者、NGOなどの意見を反映させ、より良い家電リサイクル法にしていくために、NGOとしてもより情報収集・発信などで頑張っていきたい。

(参考URL)
・家電リサイクル法見直しに向けた市民意見
 http://www.foejapan.org/lifestyle/gomi/kaden/kdn_061201.pdf

・中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 家電リサイクル制度評価検討小委員会
 産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会
 電気・電子機器リサイクルWG合同会合
 http://www.env.go.jp/council/03haiki/yoshi03-11.html

フォーラムの様子

審議会座長の細田さん

【筆者】小村 哲也(KOMURA, Tetsuya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J06120802J]
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国際的な公害研究の先駆者、宇井先生にお聞きし損ねたこと

水俣病など公害の地道な研究をリードした宇井純氏が逝去された。

東京 11月11日未明、宇井純先生が74歳で亡くなった。宇井先生は、水俣病問題への取り組みや、公害被害者の支援、東京大学での自主講座「公害原論」など、公害研究・教育と公害反対運動の各方面に大きな足跡を残した。

 訃報は、翌日の5大全国紙の全てが、水俣病や「公害原論」といった言葉とともに掲載した。それらの多くは、宇井先生が東大では昇進の道を閉ざされ、「万年助手」と言われたことにも触れている。このことは、1980年代までの日本において、被害者側の視点での公害・環境問題の研究が不当な扱いを受けていたことの象徴と理解されている。(なお、宇井先生は、1986年に沖縄大学に教授として招かれ、就任された。)

 宇井先生の活動は国内にとどまらない。日本の公害反対運動を支えた研究者の中で、いちはやく世界の公害・環境問題の状況を把握し、その中に日本の公害を位置づける必要性を問題提起し、実際に手がけられた。1972年のストックホルム国連人間環境会議に水俣病患者とともに参加し被害を訴えたほか、若手研究者にも「日本語で論文を1本書いたら、それを英語にもして発表するように」と、国際的な発信の重要性を強調された。1991年の国連環境計画(UNEP)による「グローバル500」の受賞は、これらが国際的に評価された結果であろう。

 中国環境問題研究の分野でも、宇井先生は最も早く、日中国交回復直後(翌年)の1973年に中国を訪問し、公害を調査された。このときの成果は『中国と公害』(龍渓書舎、1976年)という本にまとめられている。この本は表面的に読むと、中国の公害に対する取り組みを高く評価した印象が強い。しかし、実際には中国側がほとんどデータを出そうとしなかった、などの事情もあり、「手に負えない」「協力できない」と感じて一度は「中国の話は一切聞かない」ことにしたという。そのため、次の訪中は20年以上後の1996年であった。さらにその後、2001年の環境紛争処理日中国際ワークショップ(中国語:環境糾紛処理中日国際研討会)(http://www.southwave.co.jp/swave/8_cover/2001/cover0121.htm)の際には、中国の被害者や弁護士が率直な話をするに至り、宇井先生はその大きな変化に感心されていた。

 中国環境問題研究会では、1973年時点の中国の公害・環境問題の状況がどうであり、その後、どのような経緯があって宇井先生の心境が変化したのか、話をしていただいたことがある。(その記録は『中国環境ハンドブック[2005-2006年版]』http://www.chinawork.co.jp/bookstore/book/sousousha/B87kannkyou.htm に載っている。)

 この研究会の際、質疑応答の機会もあったものの、筆者は個人的には核心部分に迫りきれなかった思いが強い。同席した諸先生・先輩方から、それは改めて個人的に聞くべきだとのご忠告をいただいたのだが、ついにお話を伺う機会はないままになってしまったのが悔やまれる。

 宇井先生は正義感が強く、特に公害の発生源となった企業や十分な対策をとらなかった行政にはもちろん、一般社会に対しても「公害に第三者はない」と厳しい態度で臨まれた。「泣く子も黙る宇井純」と恐れられたとも聞く。しかし、筆者の直接的な記憶にあるのは対照的で、若者にも丁寧に応対される低い物腰や、2004年の第2回環境被害救済日中国際ワークショップ(開催地:水俣・熊本)の時に会議後の阿蘇山遊覧にもつきあわれ、中国側参加者を接待されていたときの暖かい眼差しが印象深い。ご冥福を祈るとともに、無念な気持ちを噛みしめ、ご遺志を受け継ぐ努力を続けていきたい。

(参考URL)…本文中紹介のもの以外

・特別鼎談……王燦発/宇井 純/原田正純
 http://www.southwave.co.jp/swave/8_cover/2001/peking/cover0121_04.htm

・専門家とNGOの共同作業で『中国環境ハンドブック[2005-2006年版]』刊行
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J04120802J

・中国の環境汚染被害者・支援者と水俣病被害者が交流
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J04040701J

阿蘇山麓にて休憩中の宇井純先生(2004年3月)

葬儀壇上の宇井純先生の遺影

【筆者】相川 泰(AIKAWA, Yasushi) / 鳥取環境大学環境政策学科 / 寄稿 /  [J06120801J]
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中国の民間環境保護団体 企業に生態賞授与へ

阿拉善SEE生態協会と大自然保護協会(TNC)が共同開催するSEE/TNC生態賞(2007)が北京で本格スタートした。

北京市 2006年11月30日、阿拉善SEE生態協会と大自然保護協会(TNC)が共同開催するSEE・TNC生態賞(2007)が北京で本格スタートした。この賞は、一等賞1名、賞金20万元、二等賞が3名で賞金は10万元/名、三等賞は6名で5万元、優秀賞20名で賞金は1万元、賞金総額は100万人民元にも達する。

 今回は、同生態賞の2度目の表彰になる。同賞は2005年2月に阿拉善SEE生態協会によって設立された。中国の大陸部において、初の民間団体によって設立された生態環境保護賞である。同賞の狙いは、ますます盛んになっている環境保護運動をより一層促進し、中国の民間が環境保護や生態環境の改善に参加することを奨励することである。

 今回の生態賞の評価対象は、前回からの生態系保護の模範的な組織や個人に加え、新たに20社分の企業枠を設けた。生態系保護を重視し、持続可能な発展を企業理念とする企業を奨励するという。ただし、企業生態賞は、一つ重要かつ名誉ある称号と設定し、メダルのみ授与し、賞金はないとする。

 選考方法は、一般人によるインターネット投票、専門家の審査委員会、SEEとTNCの理事会が共同参加する形で行われる。これによって、評価の信憑性と公平性、透明性と選考者の幅を確保する。

 ここ数年、中国の多くの企業は様々な方法で環境を保護する政策を進めており、同時によい成績も収めている。彼らは経済成長(利益)を追及するのみでなく、同時に環境にも配慮する姿勢は評価に値する。大自然保護協会と阿拉善SEE生態協会の責任者は次のように話す。「この生態賞の目的は、中国の民間機構が積極的に環境保護活動や生態環境改善活動に参加するように促進すること、より多くの人々が生態保護や持続可能な発展に関心を寄せ、積極的に環境保護と発展が並存する活動に参加するように促すことである。また同時に、より多くの企業が社会的責任(CSR)に対する認識を高め、企業の発展と環境保護が同時に図られる運営方針ことを採るように促すことである。」

 SEE・TNC生態賞(2007)の選考受け付けは、2006年12月1日から、2007年2月16日まで。選考に参加したい法人や個人は、直接www.see.org.cnにアクセスし、詳細をご覧ください。SEE・TNC生態賞の授与式は2007年4月22日(アースデイ)に北京市で行われる予定である。

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C06120602J]
【翻訳】黄 清純]]>