E-waste問題解決につながるか?!―“StEP”スタート

世界的な問題となっているE-waste問題の解決に向けて国連機関や産業界が動き出した。

東京 3月7日、国連機関や欧米の大手ハイテクメーカーなどの協力により、E-waste問題を解決するためのグローバルなイニシアチブ“Solving the E-WasteProblem(StEP)(注)”が正式にスタートした。

 2002年、アメリカの環境NGOバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)などによって中国やインドにおけるE-wasteのリサイクル過程で環境汚染や健康被害を引き起こすE-waste問題が明らかとなった。欧州環境庁によると、E-wasteの量は、現在、他の都市ごみの量の約3倍の速さで増加しており、世界で1年間に排出されるE-wasteの総量はまもなく4,000万トンに達すると考えられている。

 報道発表資料によると、StEPイニシアチブの主要な目標は、E-wasteを解体して最大限の回収を行い、回収された物質を管理するために世界的な統一指針を作ること、とある。日本がすでに実施しているパソコンのリサイクル制度は、途上国はじめ、多くの国では導入されていない(焼却、投棄されているのが実状。StEPは、世界共通のリサイクルの仕組みを作るための初めての試み。中国国内で廃棄されたE-wasteを安全に解体処理できるよう中国を支援する大規模なプロジェクトも進行中とのことだ。

 今回のStEPイニシアチブは、国連大学(UNU)、国連環境計画(UNEP)、国連貿易開発会議(UNCTAD)といった国連機関を中心に、ヒューレット・パッカード、マイクロソフト、デル、エリクソン、フィリップス、シスコシステムズなどの欧米の大手ハイテクメーカー、学術機関、アメリカ環境保護庁などが創立メンバーとなった。

 日本からは日本貿易振興会アジア経済研究所が参加しているだけということもあってか、3月23日には、経済産業省の主催によるワークショップも東京で開催され、StEPイニシアチブを紹介したウィーン工科大学のシャイト教授も、経済産業省や日本のメーカーやNGOへの参加を呼びかけた。

 国連事務次長で国連大学学長でもあるハンス・ファン・ヒンケルは、「StEPへの参加企業は、E-wasteの処理・削減・リユース・リサイクルのための、人にも環境にも安全な世界基準プロセスができることで恩恵を受けるでしょう」と語っている。

 確かに、影響力の大きな大手メーカーが動き出したことは、E-waste問題の解決に近づくかもしれない。しかし、主要な目標として現在発生している環境汚染や健康被害の防止よりも、資源回収の方に力点が置かれているのが気にかかる。

 また、StEPにはアメリカとドイツから3つのNGOが参加しており、NGOの参加も歓迎ということだが、BANのようにE-waste問題に長年取り組んできたNGOが参加していないのが気になった。

 そこで、BANのスタッフに、StEPイニシアチブについての評価を尋ねたところ、StEPが発足した3月7日に、「透明性とE-waste貿易の告発を欠いたStEPプログラムに関する声明」を発表していることを教えてもらった。

 この声明では、「StEPイニシアチブは、開発という名で途上国への危険なE-wasteの輸出を支持しているように見える。これは既存の国際法の義務の逆をいく」、「BANはStEPに参加したい旨を申し出、それと同時に、途上国における電子廃棄物問題について取り上げている組織がなぜ参加していないのかについて問うたところ、参加が認められなかった」、「StEPに参加を希望するNGOは、StEPの創設メンバーの承認を受け、なおかつ2000ユーロの会費を払わなければいけない。これでは開かれているとは言えず、関心のある団体を締め出すように設計されたかのようだ」など、9つの点を指摘している。

 東京のワークショップでも、中国でのプロジェクトのパイロット事業で、手作業による資源回収でかなりの成果をあげたという報告がされた。現在でも安全にE-wasteを解体する工場があるにもかかわらず、そうした工場では処理コストが高いとE-wasteが集まらず、危険な解体作業現場にE-wasteが流れていることを考えると、何か秘策があるのかもしれないが、本当に大丈夫なのか心配になる。

 E-waste問題解決に向けて国連機関や世界的な企業が動き出したこと自体は歓迎するが、やはり自国で排出されたE-wasteは自国で安全に処理したうえで、資源として流通させるという原則をしっかりと確認すべきだと思う。StEPイニシアチブの次なるステップに注目したい。

(注)StEP…「電子廃棄物問題の解決」を意味する英語の頭文字を取った略称。

・StEP(英文)
 http://www.step-initiative.org/
・BANプレスリリース(2007年3月7日)(英文)
 http://www.ban.org/ban_news/2007/070307_refusal_to_denounce.html

東京でのワークショップ(3/23)の様子

StEPイニシアチブのウェブサイト

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07033001J]
]]>

エコチョイス提唱

皆さんが消費過程において企業の環境活動を考慮し、選択消費によって企業の環境活動改善を促進するよう希望します。

中国全土2007年3月21日

 2007年の世界水の日(3月22日)到来に際し、我々は中国の消費者に向けてエコチョイスを提唱し、皆さんが消費過程において企業の環境活動を考慮し、汚染企業が改善を証明しない限り、その製品の選択を自粛し、選択消費によって企業の環境活動改善を促進するよう希望します。

 中国は現在深刻な水質汚染問題に瀕しており、大量の工業排水に我々の水環境と健康は脅かされ、有限の水資源は破壊されています。一部の企業の排水は環境基準を満たしておらず、悪質な断水事件さえ起こしています。しかし、その製品はこうした事情に売れ行きを影響されていません。このため企業に間違った市場信号が伝わり、企業が環境基準を引き下げ、環境保護への投資を引き下げて市場競争に勝ち残ろうとするのに拍車をかけている状態です。生産過程での汚染により、最終的に損害を被るのは市民の生活の質と社会福利なのです。

 エコチョイスとはエコ消費の一種です。現在、エコチョイスに必要な条件は満たされています。まず、中国はすでに活発な市場経済を確立しており、市場における多くの製品に沢山のブランドが存在し、選択が可能となっています。次に、政府の環境主管部門は近年環境情報公開を強化しており、我々が収集したデータだけでも政府及び官辺筋のメディアが公表した基準不合格企業は5,000件に上っています。その内大部分が地元中小企業ですが、多くの大企業、一部の多国籍企業も含まれています。

 我々は、消費者が我々の集めた環境基準不合格企業名簿とそのブランドに留意するよう希望します。そうすれば、スーパーに行って不合格企業の製品を識別することができます。あなたが少し考えて選択消費すれば、企業に対して正しい市場信号を送ることになり、真実の市場圧力により、企業は自身の違法排出行為がブランドと市場シェアに与える影響を考慮し、環境保護法規を遵守するようになります。

 我々は同時に大型小売店並びに大企業に対し、自主的にサプライヤーチェーンの環境管理を強化するよう提唱します。環境基準不合格企業リストを対照し、サプライヤー選別をして、内不合格企業に対しては厳格な環境審査を行って下さい。 このようにサプライヤーチェーンに対してエコ管理を展開する企業は、その生産から販売までの全過程が更にクリーンになり、より多くの市民の信頼を得るに値する企業となります。

 我々は、企業は経済の繁栄と社会発展に対して重大な役割を担っていると認識しています。しかし、企業には社会にその環境コストを転嫁する権利、環境法規に違反する権利はありません。新たに市民の信頼を得るために、環境基準不合格企業が市民の圧力を正しく受け止め、違法排出を停止し、その基礎に立った上で、持続的に環境活動を改善するよう希望します。我々も積極的に情報を収集し、改善に取り組む企業にアドバイスと専門的意見を提供することに尽力します。

 エコチョイスを通じて、正しい市場圧力を形成し、各級の環境部門によるより有効な汚染源管理の実施に協力できるよう期待します。エコチョイスを通じて、公平な市場環境を確立でき、責務を果たす企業が競争に有利となるよう期待します。エコチョイスを通じて、各企業の省エネ排出カットを推進し、経済発展方式の転換を促進するよう期待します。エコチョイスを通じて、市民が消費行動により自分の環境権益をまもり、かつての美しい水と青い空を取り戻すことを期待します。

●エコチョイス提唱発起団体
北京地球村
緑家園志願者(緑家園ボランティアズ)
自然之友(自然の友)
甘粛緑駝鈴
天津緑色之友(天津緑の友)
淮河衛士志愿者協会
中国青年報緑島
全球環境研究所
北京市可持続発展促進会(北京持続可能な発展促進会)
緑石環境行動網絡(緑石環境行動ネットワーク)
守望家園志愿者
環境友好公益協会
緑色漢江
新疆自然保育基金
河北緑色之音
重慶緑色志愿者協会
中国政法大学汚染受害者法律帮助中心
雲南大衆流域
温州緑眼睛
野性中国
公衆与環境研究中心(公衆と環境研究センター)

【筆者】李力(LI, Li) / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C07032803J]
【翻訳】中文和訳チームA版 野口]]>

昨年の冬に救助されたオオハクチョウ、中国北京で再び大空へ

2007年3月23日、一羽の保護されたオオハクチョウが再び大空へ。CN09と記された黒い首輪を付けて

北京市 昨年の冬に救助されたオオハクチョウが中国北京で放たれた。

 2007年3月23日、北京に春の暖かさが訪れ花咲く頃、一羽の保護されたオオハクチョウ(学名:Cygnus cygnus、英語名:Whooper Swan)が大空に放たれた。長い首にはCN09と記された黒い首輪が付けられた。保護にかかわった人々は、この首輪による渡り情報の追跡に期待を寄せている。

 この白鳥は2006年12月17日に保護された。その日、北京観鳥会と自然の友観鳥チームは協力して“北京野生オシドリ保護”プロジェクトを行っており、懐沙河地区にて野生オシドリの定例調査をしていた。ボランティアスタッフが懐柔ダム付近で大きな鉄の鋏に右脚の水かきを挟まれた一羽の白鳥を発見し、直ちに北京野生動物救護センターで当直していたバードウォッチング仲間の史洋と北京師範大学の鳥類研究専門家の趙欣如先生に連絡を取った。白鳥は比較的速く保護センターに搬送され、検査の結果右脚の水かき部分を三箇所骨折していることがわかった。すぐに保護され、現在は完全に回復した。

 北京地区はオオハクチョウ等冬鳥の越冬地の一つである。白鳥は毎年11月から翌年3月にかけて大量に飛来している。2005年10月から2006年4月までの中国鳥類記録センターのデータによると、この期間に北京の9つの地点(昌平十三陵ダム、沙河ダム、温榆河、懐柔ダム、白河峡谷、密雲ダム、頤和園、野鴨湖、嬀水河及び沿岸など)で白鳥が確認されており、その中で最も多く確認された地点は2005年3月19日の野鴨湖で243羽、2003年から2006年の4年間に亘って毎年オオハクチョウが確認されたのは懐柔ダムと十三陵ダムである。様々な原因により、オオハクチョウは毎年冬季に留まる北京で不幸な事故にあっている。状況は少し複雑で、その中でも人によって傷つけられる事故、例えば付近の猟師や村人が設置した罠を踏んでしまったというような事故に心が痛む。今回の救助活動の成功が、更なる市民の冬鳥への関心と愛護の気持ちを呼び起こすことを願う。

【筆者】侯 笑如 / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C07032802J]
【翻訳】中文和訳チームC班 小田幸治]]>

北京で使用済み牛乳・飲料用紙パックリサイクルを展開

2001年から30以上の地域や学校へ紙パックリサイクルを普及・啓発し、これまで1200トン以上の各種紙パックを回収

北京市 先日、10万元の「中国青年トヨタ環境保護賞」を手にした北京金色啄木鳥環境保護団体の受賞プロジェクトは、北京における牛乳・飲料用紙パックのリサイクルプロジェクトである。

 2001年から、北京金色啄木鳥環境保護団体は粘り強く紙パックリサイクルを進めてきた。30以上の地域や学校へ紙パックリサイクル推進パンフレットを配布し、これまでに回収した紙パックは1200トン以上にのぼる。

 人々の生活習慣の変化や、牛乳・ジュースなど飲料の需要増加に伴い紙パックは早くから一般市民の日常生活に溶け込んできた。私たちが毎日消費する牛乳やジュースは相当量になる。一方、飲み終わった後の空の紙パックはというと、ゴミ箱にポイと捨てられるだけである。いわゆる「テトラパック」や「ブリックパック」などの飲料用パックは、紙・プラスチック・アルミの3つの材料が合わさってできており、その比率は、70%、20%、5%である。統計によると北京だけで日々廃棄される紙パックは、重さにして40トン以上、400万個以上にのぼる。

 以前、回収・処理能力が十分でなかったために、紙パックのほとんどは「リサイクル不能ゴミ」として捨てられ、ゴミ焼却場に送られ燃やされるか、ゴミ埋め立て地で埋め立てられるかのどちらかであった。しかし、これらの紙パックには金属箔やプラスチック等の変質しにくい成分が多く含まれているため、焼却が難しいだけでなく、大気・土壌・地下水汚染を引き起こす。現在の新しいリサイクル処理技術では、多層構造の紙パックを効率的に材料別に分ける事が可能になり、そこから紙の原料と粒状プラスチックができる。廃棄物が宝に変わるのだ。500mlの牛乳パックでは、20個で小さな筆箱、200個で小さな腰掛、2000個あれば小さなテーブルができる。また、30個の牛乳パックでは70mのトイレットペーパーが5巻できるという。しかし、現状は決して楽観できるものではない。例えば、上海では毎日200万個以上の紙パックが生産されているが、一方でリサイクル業者が生活ゴミの中から回収し再利用するのはその総生産量の50分の1にも満たないのである。

 北京金色啄木鳥環境保護団体は政府と企業、及び民間組織の協働の仕組みを作り上げ、今年は月あたり回収量50トン突破を目指し、すでに西城、東城、海淀、朝陽、豊台区や大学、小学校に回収ポイントを設置した。また、今後このプロジェクトが終了した後、他の地域や学校へと広め、さらに一年を費やして北京の全ての地域、学校に使用済み紙パック回収システムを作り上げる。

 関連して―
北京金色啄木鳥環境保護団体は2000年に成立した。成立以来、同団体は環境保護製品の開発、生産、使用、またゴミ分別やリサイクル資源回収を推し進めるとともに、再生紙利用を広めている環境保護企業である。成立以来、学校や地域で長期にわたって省資源、環境保護の啓発活動を進めてきた。

2005年10月:中国環境保護特別貢献賞を受賞
2005年11月:唐山廃棄紙パック処理工場建設計画を開始
2006年4月:廃棄紙パック処理工場操業開始
2006年7月:北京で廃棄紙パック回収分別センター建設計画
2006年8月:金色啄木鳥「大学生環境ビジネス起業パーク」の設立計画開始、主として再生資源回収と新しいリサイクル技術の研究開発を進める。

【筆者】王 丹艶(WANG,danyan) / 北京金色啄木鳥環境保護団体 / 寄稿 /  [C07032801J]
【翻訳】中文和訳チームB班 額田拓]]>

「美しい不便」のために

地球温暖化問題を解決するには、エネルギーの使いすぎに対する認識を変えなければならない

韓国全土 人間は常温動物として、36.5度の体温を保って生きている。老若男女を問わず、北極に住もうと、赤道に住もうと、人々は自分の体温を常に36.5度に維持してこそ新陳代謝ができ、命をも維持することができる。人間は体温をきちんと維持できなければ、健康に異常をもたらし、すぐさま死に至る。それに加え、もし、体に何か異常が起きた場合、発熱することによって、体に異常が起きたことを知らせてくれる。病院にいくと、まず行なわれるのが体温計で体温を測ることだが、それは体温の重要性を表す行為だ。

 医学的に人間の平熱は36.5度であり、上下1度以上を超えないという。40度になるとそれは病気の証拠であり、41度を超えると昏睡状態に陥り、さらに悪化すると、死に至る。42度になると、人体を構成しているたんぱく質がゆで卵のように硬くなるため、致命的だという。体温が上がることも問題だが、下がることによる低体温も問題になる。よく知られている例では、タイタニック号の犠牲者たちは何時間も冷たい海さらされたことで体温が下がり、死亡するに至ったという。結局、我々は命を維持するために、体温をきちんと管理することが何より大事だ。また、体温は健康状態を知らせる重要な要素でもある。

 人間の体温と同様に、地球の温度も地球生態系の健康状態を測るもっとも重要な指標だ。海と陸、そして大気が調和し、長い歳月の間、温度のバランスを保ち、そのバランスの上で現在の人間が生存している。ところが、最近になって地球の温度が急激に高くなっている。これは、今までの地球温度の変化に比べると、とても急激な変化で、その原因は人間の化石燃料の使いすぎによるものだという。去年の冬は、地球温暖化とエルニーニョ現象の影響で気象観測史上、もっとも暖かい天気を記録した。漢江(ハンガン)が凍らなかったのは14年ぶりである。朝鮮半島の年間平均気温は数十年間で1.5度上昇したとの分析結果が出た。同期間における地球全体の平均温度の上昇幅は、0.74度であるから、その2倍にあたる。

 人間の体温が1度上がるだけでも問題だというのに、地球全体の温度が1度近く上がっているということの問題の深刻さは言うまでもない。ただ、人間の場合、体温が上がると生活に支障をきたし、病を患うため、否応なしに関心を持つが、地球温暖化の場合はそれほど脅威に感じないというのが問題だ。人間は体温が上がると高熱を理由に絶対安静をし、体温を下げようとするが、地球温暖化の場合は、「暖冬」という記事が残るだけであり、今のところは脅威として認識されていないのだ。

 子供のいる家庭では体温計を手の届くところに置いておき、常に体温に気を配り、少しでも熱があれば、病院にいく。しかし、地球温度がこれだけ上がっているのに、人々はこれといった努力をしていない。地球温暖化の問題のキーポイントであるCO2排出問題を解決するために、その削減政策が打ち出されているが、一般の人たちは、未だに深刻に受け止めていないようだ。

 しかし、体温を下げるために飲む解熱剤も根本的な処方とはいえない。なぜ熱が出るのかを分析し、根本から解決しなければいけない。地球温暖化の問題解決においても、CO2排出が重用な懸案だが、そのより根本的な問題は、人間の多量消費とそれを支えている大量生産体制で(あり)、それがCO2排出の根本原因なのだ。すなわち、人間の消費欲求を満足させるための産業化された大量生産体制に代わる、社会的代案が打ち出さなければならないのだ。言い換えると、大量生産体制の下で形成された現代人の多量消費問題を真正面から指摘しない限り、地球温暖化の問題は、本質的に未解決案にとどまってしまうのだ。

 地球温暖化の問題は、結局、我々がどのように生きていくかにかかっている。より便利な生活のために、車とエアコンに頼りながらエネルギーをどんどん消費していくと、地球温暖化はとりかえしのつかない災いをもたらすだろう。地球温暖化から抜け出す代案的な生き方が何であるかを一度くらいは考えてみてほしい。多少不便かもしれないが、今の生活がどれだけ多くのCO2を排出しているのか、それが地球の温度上昇に影響を与えていないかを考えてみてほしい。我々は「美しい不便」を選ぶときがきたのではないだろうか。

【筆者】イ・チャンヒョン(Lee Chang-Hyun) / 環境連合 市民環境情報センター(CICE) / 投稿 /  [K07032701J]
【翻訳】尹美英(ユン・ミヨン)]]>

いまだかつてない分譲住宅地の土壌汚染!

平穏な一家団欒を求めて移り住んだ団地に有害ガスが噴出

岡山 岡山市郊外に、閑静な住宅団地がある。岡山市東部の国道を折れた川沿いにある「小鳥が丘団地」だ。全34戸約120人が暮らす、ごく普通の郊外団地である。この団地の住民から、環境問題について活動する私のところに相談が寄せられ、団地を訪れた。住民によると、雨の後、団地に隣接する川の護岸に黒い水や時には白濁水が染み出してくるという。この団地は1990~93年に、地場企業「両備グループ」の両備バスによって分譲されており、その際には、同社から土壌汚染に関する説明は一切なかったという。

 事の起こりは2004年7月のこと。岡山市水道局の水道管取替え工事だった。道路を掘ったところ、黒い土、黒い油が出てきたのだ。同年9月に分譲業者・両備バスの実施したボーリング調査では、トリクロロエチレン(基準の27倍)、ベンゼン(基準の26倍)、ジクロロエチレンなど、環境基準値を大きく上回る有害物質が含まれていたことがわかっている。しかし同社は「開発時は環境基準もなく、汚染土壌の認識はなかった」と説明した。

 04年10月になって同社は、「環境対策検討委員会」を設置した。岡山市もオブザーバーとして加わった。しかし委員会は非公開で、住民は傍聴すらできず、議事録の閲覧すら拒否された。しかも委員会は3回開催しただけで、2ヵ月後わずか2ページの意見書をまとめて解散した。意見書は「直ちに健康被害の危険性はないが、推移を見守る必要がある」との内容だったという。しかし住民によれば、一度として、委員会が視察に訪れたことも住民の声を聞くこともなかったという。住民不在の密室協議の委員会を「中立性を保ち議論も適正」とした岡山市の評価はなんだろう。両備と癒着していると批判されても致し方あるまい。

 岡山市に対してはもうひとつ、不可解な疑念がある。取替え工事を行おうとした当地の水道管は、1980年代最初に敷設されたものだが、「鉛管」であった。水道用鉛管の新設は1978年すでに中止されていたにもかかわらず、岡山市水道局は「樹脂系のポリエチレン管は化学製品のため変質する恐れがあり鉛管の使用を承認した」(06年2月14日、水道局の説明)というのだ。当時、水道管敷設業者から「土壌が悪いので耐久性に問題がある」として、鉛管使用が申請されたと。宅地造成に伴う水道管の敷設工事である。団地のディベロッパーである両備もそれを知らなかったとでもいうのだろうか。

 住民の健康被害も相次いでおり、一家全員がアレルギー、あるいは慢性鼻炎、皮膚炎、頭痛を訴える住民が続出している。水道管取替え工事後の04年9月、岡山市の聞き取りによる健康相談に応じた住民65人のうち、3分の2に当たる42名に「気になる症状」の訴えがあったことが明らかになっている。しかし、岡山市は住民の求める土壌汚染との因果関係を明らかにするための健康診断は実施していない。

 そもそもこの団地の地所にはかつて、「旭油化工業」(以下、旭油化)という産廃処分業があった。石鹸工場からの廃液を処理していたのだという。当時、旭油化は川に廃液・廃油を垂れ流したり、廃棄物を野積みしたりといった違法操業を繰り返していた。

 団地の第一期分譲で入居してきた住民からの苦情で、両備は1982年7月、旭油化の土地を追加購入し造成して二期・三期と分譲した。そのときに両備は旭油化との間に「汚染物質の撤去」を明記した岡山簡裁の和解調書を取り交わした。両備はこの時点で汚染の可能性を知りながら、分譲したとしか思えない。

 付言すると、この汚染原因者=旭油化は香川県豊島に産廃を排出していた企業のひとつで、25年ほど前に倒産している。

■不可解なテレビ放映中止

 今年2月9~12日、テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」取材チームが取材に入った。事前に団地住民には電話取材、資料提供の要望があり、住民は取材に対し全面協力した。取材には女性ニュースキャスターや地質汚染専門の研究者も同行してきた。

 団地住民の宅地内の庭を掘り起こした。造成時の化粧土に使用されたマサ土(風化花崗岩)はわずか10cmたらず。その下は黒い土。噴き上がる臭いに女性キャスターは気分を悪くし、「マスクがないか」と、その場にへたり込んだと取材に協力した住民は証言する。

 研究者は土壌に含まれるガスを測定、メタンで7~8000倍、ベンゼンで1000倍ぐらい地中下に含まれていると説明、「住宅地の土壌汚染は日本で初めてだ、恐れていたことが起きた」と。

 住宅では、ガスや臭いを防ぐために床下にシートを敷き詰めた住民もいると聞いた。地中から噴出したメタンが床下に充満する恐れはないのか、隙間を通して床下から室内に侵入することはないのか。メタンガスは燃料にもなるほど燃焼力が強く引火性が強いことは周知のこと。一定の濃度になれば爆発的に燃えると思うと、ぞっとした。

 しかし、テレビ朝日からは、団地住民への十分な説明もなく、一方的に放映中止になったと聞かされたという。取材協力を住民に求め、住民から資料の提供を得、取材期間に関係者への取材の案内や、宅地の庭の掘削まで協力を仰ぎながら、住民の納得できる説明がないというのは、メディアの倫理観からしてジャーナリストとしてとるべき態度とは思えない。何か政治的圧力が働いたのではないかと思うのはうがち過ぎだろうか。

岡山市「小鳥が丘団地」

護岸には何か染み出した痕跡(07.3.11いずれも筆者撮影)

【筆者】松本 宣崇(MATSUMOTO, Nobutaka) / 環瀬戸内海会議(Pan Seto Inland Sea Congress) / 寄稿 /  [J07032301J]
]]>

中国初!日本からの鳥類標識調査(バンディング)関連ニュース:中国の足環をつけたジョウビタキ

インターネットが鳥類標識調査においても生かされた出来事

東アジア 中国初日本からの鳥類標識調査(バンディング)関連ニュース:中国の足環をつけたジョウビタキが日本狭山市で発見される。

 また今年も渡り鳥の移動と繁殖のピーク期がやってきたが、先日、日本よりバンディングに関するニュースが送られてきた。2007年2月28日午前10時頃、埼玉県狭山市の材木伐採所にて1羽の足環をつけたジョウビタキ(学名:Phoenicurus auroreus, Daurian Redstart)が発見された。足環番号には、「CHINA北京B-79-3394」とあった。

 ある住民が散歩中、地面にうずくまっている一羽の鳥を見つけた。この鳥に足環が取り付けられていたのですぐに自宅に連れ帰り、水を与えた後、午前11時頃に当地市役所の担当部に通知。11時半には市政府の係員が当宅を訪ね、この鳥の足環を確認、市政府に持ち帰った。また、インターネット検索により足環からこの鳥に関する情報を得、当日午後4時頃、鳥の回復を確認し空に放った。

 中国の「全国鳥類標識調査センター」との連絡により、この足環は黒龍江省牡丹江林管局所属の東方林業局標識調査センターが取り付けたもので、装着日が2006年8月31日であることが判明。また、全国鳥類標識調査センターの関係者によると、この鳥はロシア~中国東北地方~北朝鮮~日本という経路で渡ってきたとのこと。過去に日本で中国の足環のついたホオジロを発見したことはあるが、ジョウビタキを発見したのは初めてのことだそうだ。

 このニュースは東アジア環境情報発伝所代表廣瀬氏により中国側関係者に伝えられ、また同時に日本野鳥会の関係者を通じて山階鳥類研究所に伝えられた。この出来事はインターネットと我々のネットワークが生かされたいい例となった。

 中国政府と日本政府は1981年3月3日、北京において『中華人民共和国政府と日本政府による渡り鳥およびその生息環境保護に関する協定』に署名。1982年には中国にて「全国鳥類標識調査センター」が設立された。1983年、中国標準とした金属製足環の使用を開始、青海湖鳥島自然保護区にて304羽のインドガン、711羽のオオズグロカモメに装着。これが中国における鳥類標識調査の始まりであり、この後調査はシステム化・拡大化されていったのである。

 日本での鳥類標識調査は1924年に開始、環境庁が主管となり、山階鳥類研究所に当該調査およびその研究を委託している。

【筆者】候 笑如 / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C07032102J]
【翻訳】中文和訳チームA班 歳国]]>

北京市石景山区魯谷コミュニティー伍芳園居民委員会会議室にて、「北京CO2ダイエット宣言」北京プロジェクト合同会議開催

「北京CO2ダイエット宣言」が北京でスタート

北京市 3月17日、北京市石景山区魯谷コミュニティー伍芳園居民委員会会議室にて「北京CO2ダイエット宣言」北京プロジェクト合同会議が開催された。環境友好効益協会の李力女史、石景山区環境保護局広報課の向桂玲女史、石景山魯谷コミュニティーサービスセンター幹部、プロジェクトスタート式典に参加するためにやって来た東京電力の稗田部長代理と20%クラブの中村さんの一行5名及び魯谷コミュニティーの一部住民代表が会議に参加した。

 環境友好効益協会の李力女史はプロジェクトの背景および前期調査研究状況を紹介し、魯谷コミュニティーの幹部はコミュニティーの基本状況及び環境分野での業務を紹介し、住民代表もプロジェクトへの支持及び参加の熱意を示した。

 その後、会議参加者は日本からの参加者5名と共に、伍芳園居民委員会の住民コミュニティーを訪れ、数世帯の住民家庭を訪問した。住民家庭で住民が使用している節約伝統と省エネラベルのついた冷蔵庫及び節水状況を目にした日本からの参加者は非常に喜び、住民の日常の電力、水の使用状況及び水道メーター、電力メーターの記録方式などを詳しく訊ねた。住民が自ら発明した節水、節電ワザに強い関心を示し、住民の何際蘭さんの家庭での循環水、徐平家さんの省エネランプを見た日本からの参加者は、伍芳園住民の非常に高い環境保護意識を感じ、年配の王増啓さんの「グリーン家庭」証書及び賞状をみて興奮しきりであった。また、王増啓さんのトイレの3ワット電球を見て非常に驚いていた。

 日中両国の自治体、民間環境保護組織及び住民による熱心かつ積極的な合同会議及びコミュニティー訪問は、「北京CO2ダイエット宣言」北京プロジェクトの実施に良好な基盤を築いた。

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 環境友好効益協会 / 寄稿 /  [C07032101J]
【翻訳】中文和訳チームC班 橘]]>

「農漁村地域にきれいな水を」再生の取り組み

(社)水道水市民会議と(株)スターバックスコーヒー コリア、村の上水道改善示範事業協定の締結

韓国全土 (社)水道水市民会議(会長チャン・ジェヨン/チェ・スンイル)は去る3月19日の“水の日”を迎え(株)スターバックスコーヒー コリア(代表理事チャン・ソンギュ)とスターシックス内のスターバックスの店頭で、農漁村地域におけるきれいな水・再生キャンペーンの一環として“村の上水道改善示範事業”協定を締結した。

 “村の上水道改善示範事業”は、2007年の1年間、農漁村地域の上水道の水質を検査し、大都市近隣地域2ヵ所を示範選定して劣悪な村の上水道問題を診断し、住民たちと共に問題を改善していこうという協力事業である。本事業は、農漁村地域の上水道改善のために地方自治体、市民団体、地域住民、企業がひとつになった模範協力ケースとして、深刻な上水道問題の解決を促すきっかけになるだろう。

 韓国は2005年末現在、全人口の約5.2%にあたる255万人が村の上水道および小規模給水施設で飲み水の供給を受けている。大部分は面単位の農漁村地域に、70~80年代のセマウル運動の一環として設置された村の上水道は、過半数が25年以上経過しているため、老朽化で最悪の事態だ。浄水装置がなく、源水をタンクに貯蔵した後、消毒だけした状態で飲み水として供給される上水道が大部分で、その約40%は消毒施設すらなく、村の里長が個体塩素を直接投入しているのが実情である。また、取水源の74%が表層地下水を利用しており、安定的な水量確保が難しく、管井戸が農耕地と畜舎に隣接するため、水質汚染が深刻だ。2005~2006年上半期、地方自治体の水質検査の結果、3.1%が基準値を超えており、環境部の民官合同水質検査の結果も7.8%が基準値を超えていた。

【筆者】社団法人 水道水市民会議(safewater) / 社団法人 水道水市民会議(safewater) /   /  [K07032001J]
【翻訳】全美恵]]>

国民の知る権利を無視した政府、国民の健康を脅かす

我が国の環境保健政策は

韓国全土 先日、2007年環境部業務計画が発表された。
 その内容を整理してみると、いくつかの発展的変化がある。まずは政策の恩恵を受ける市民、特に子供のような身体的、社会的弱者-そして政策変化に影響を受ける企業の立場から政策を推進するというものだ。また、健康な都市、安心できる環境を通して人生の質を高めるという点だ。これと関連して各種の健康有害化学物質に対する規制基準を強化し、きちんと管理して、これに必要な基本研究を体系的にするというものだ。

 最近、韓国の環境政策が健康危害性をメインに、特に子供のような身体的、社会的弱者を中心に変化したことについては、もっと早ければと思う面もあるが、歓迎すべきことだ。しかし、こういった 環境部の発表はことさら新しくもなく、推進速度や水準においても相変わらず満足できるものとはいえない。

 環境汚染は単純に環境破壊の問題ではなく、健康被害に直接的に連結される問題であるゆえ、すでに数年前から“各種有害物質から国民の健康を守るところに重点を置いた政策推進”は発表されてきた。

 しかし現実は政府の思い通りにはいかないようだ。連日溢れる食品有害化学物質汚染の問題を見てもそうであるが、有害物質と健康被害に対する連関性がきちんと明らかにされていないにも拘らず、まるで“無関係”であるかのごとく発表されることがあるからだ。それにより市民は有害化学物質に対する警戒心を乱され、企業の自発的変化を遅らせ、結果的には各種汚染により寿命を縮められ、疾病により人生の質を低下させられているのだ。

 2005年環境正義に書かれたイム•ジョンハン「次を守る人々」合同本部長(仁荷大医大教授)の文章を見ると、経済協力開発機構(DECD)国家の主要都市の中で、最も汚染のひどい場所がソウルであり、ソウルのほこりの汚染を東京や済州島の水準に下げたならば、平均寿命が3.3年長くなると推算している。また、最近各種機関で発表された“大気汚染による社会•経済的損失の推定”の研究結果を見ると、数兆ウォンを超えていることが分かる。

 つまりは、政府がただ、立て板に水のような政策を発表することが重要なのではなく、現実にきちんと、体系的に反映される方法が何であり、それに必要な基盤が何なのか、そしてどのような観点で政策が樹立され、評価されるのかを、もっとはっきりと確認することが必要である。そのような意味で、米国の環境政策(USEPA)、特に環境保健政策に対して詳しく記してあるイム•ジョンハン本部長の文章(2005年環境正義)をもう一度再考してみる必要がある。

 20世紀中に環境汚染によって凄まじい被害を受けた経験から作られた米国の環境政策(USEPA)は、具体的な環境地媒体の汚染水準が何であり、どれほど減少したかを評価するしっかりとした科学的な基盤を構築している。地域別に大気汚染、水質汚染、様々な毒生物質の排出、放射能汚染に関連した膨大なデータベースを構築し、汚染現況、危害度水準を市民に体系的に提供しており、国民の健康を管理する為の科学的な環境管理基準を提示し、提供している。

 化学物質排出移動量届出制度(PRTR: Pollutant Release and Transfer Register)は、環境(大気、水界、土壌)に排出されたり、リサイクル処理等の為に事業場の外に移動された化学物質の種類と量を排出者が自ら把握して政府に報告するもので、政府はこれをリストアップし、民間企業等がその結果を共有する事によって、企業の自発的な汚染減少を誘導する為の制度だ。そしてこの排出量調査資料は、化学物質の排出を表すものであり、露出程度に関する情報を提供するものではない。排出量だけでは露出の可能性、または潜在的危害性を評価するのに不十分であり、該当物質の性状、分解程度、残留性等の追加情報が必要だ。

 すなわち、個別の有害化学物質の排出リストを整理して排出量を調査することが重要ではなく、それがどのように、どれくらい人体に露出されるのか、露出される可能性はどれくらいあるのか、健康的被害はどれほどなのかに対する情報を構築し、市民に常に公開されるべきだということだ。

 またもうひとつ、USEPAで注目すべき点がある。

 米国は1987年以後、化学物質排出量調査制度(TRI)を施行しながら、事業体が連邦政府に、定めた毒生物質の排出を報告するよう義務化した。報告するべき対象物質数が643個で最も多く、ガン、発達及び生殖系毒性物質、神経系毒性物質、呼吸系毒性物質、ダイオキシン等、健康に影響を与える様々な有害物質に関連した情報を、毒生物質の排出地域や排出企業にいたるまで詳しく公開している。

 ここでいう地域情報とは、5桁の細分化した地域番号(Zip code)で表示され、特定地域に毒生物質の排出が集中しているか、有害な健康影響と連関するのかを精密にモニタリングできるようにしている。

 米国では一地域の汚染情報を広範囲に構築して、市民の知る権利を保障しようとしている。この部分が我が国の環境、健康政策と確然とした違いがある。

 数日前に起きた食用油脂ベンソピレン事件を見てもそうだ。健康に深刻な問題をもたらす物質が入っていたとしても、管理基準が“勧告基準”に過ぎず、また、企業の自発的回収を“勧めた”というだけのもので、政府は市民にいかなる情報も提供しようとはせず、それ以上の処置もとろうとはしなかった。

 すなわちUSEPAは、汚染現況に対する科学的な評価資料を構築するだけではなく、これを公開して、市民が汚染現況をより早く正確に知る事ができるようにしているのに反し、我々は、発ガン物質を摂取していても、全く何の情報も得られないまま危険にさらされているのだ。この点がまさに、韓国の政府が国民から信頼されない決定的な原因だ。

 またUSEPAは、国立環境保健センター(NCEH)、毒生物質及び疾病管理庁(ATSDR)等との有機的な関係を結んだり、国民の健康を守る事から、 EPA(米環境保護局)とDepartment of Health and Human Services(米厚生省) 傘下のこれら機関の相互協力が自然に行われている。(米の環境保健分野では、EPAだけではなく、数十個の様々な毒生物質と疾病管理及び予防機構を持っており、この機関間の相互有機的協力を通して、国民健康を守っている。) 

 結論として、いくつかの側面から我が国の環境保健政策は、次のような目標を明らかにして強化されなければならない。

 第一に、子供のような身体的、社会的弱者を基準として健康を守らなければならない。
 現在の有害物質排出基準は、環境に及ぼす影響を考えたときの最小限の規制基準値だと見ることができる。有害物質が微量に、長期間露出されたときの有害度評価は、ほとんど無いといえる。特に子供は成人に対して人体面積上、有害物質の影響が大きい。自ら対処する能力も低く、臓器が成長段階にある子供にとって、環境汚染による健康被害は大きく、一度健康を壊したならば、大人よりもはるかに長い期間、子供の人生に苦しみを与えることになる。

 第二に、市民の知る権利を妨害せず、充足させねばならない。
 環境汚染による健康被害に対しては、科学的な研究と信頼できるだけの根拠をパターンとして強化するしかないが、そのためには多くのお金と人力、長い時間が必要であり、政策が立案し、決定、施行するまでには、さらに長い時間が必要だ。よって、政策により規制管理される前から、国民は自ら対処できる能力を身に付けるべきであり、その為に政府は、健康危害性情報を延滞なく、そして積極的に国民に知らせる義務がある。

 実際に米の有害物質と健康関連の各種機関で力を注ぐ部分も、まさに市民に対する知る権利の強化である。すなわち市民の要求があれば、該当地域の有害化学物質の露出程度と危害度を評価して市民に知らせ、有害物質情報の共有(risk communication)と、地域社会の参与(Community participation)を重視している部分だ。

 第三に、政府間の協力を強化しなければならない。
 水道水ひとつを見ても、供給は建設交通部、水質管理は環境部に分かれている。飲み水、温泉水、地下水、農業用水など、細分化するとほとんどすべての部署の政策がばらばらであり、政策間の有機的結合はほとんど無い。

 健康に被害を及ぼす物質管理も、事業資源部が健康福祉部、環境部などに散らばっており、環境教育も環境部と教育人的資源部等に権限が分かれていて効果的でない。未来世代の健康を守る政策に主眼点をおき、これと関連した部署間-保健福祉部、女性家族部、教育人的資源部、労働部等-の政策が、有機的に結合されなければならない。 

 最後にこのような過程の中に、市民団体、専門化との多様な協力と参与を求めるべきだ。
 科学は多くの不確実性をもっている。だから科学的データーを根拠に健康危害性を確認し、政策に反映させることが非常に難しい。このような場合、政策の優先順位を決定する段階では、科学者や政策立案者のみの意見によって決めるべきではなく、様々な情報が提供された状態で、様々な社会構成員が合意した上で決定する過程が必要だ。

 また、技術の不足等により政策の準備が難しい場合、それに対する国民の了解を求め、以後の補完計画を、社会構成員がきちんと理解する必要がある。有害物質と健康被害に対する政策の優先順位は、このような過程を通して成されるべきだ。

 そのような面において、今年1月に食品医薬品安全庁が、アトピーと食品添加物との関係研究において“相関関係は見つからない”と発表した事、そしてアトピー患者の疑問は全く解消されないまま、それ以上の研究も無く終わるという姿勢は、愚弄された気分になるばかりだ。

 すべての国民が経済的に豊かになることも重要であるが、環境汚染により、被らなくてもよい死や疾病を無くしてくれる事ほど、国民の人生の質を豊かにしてくれるものは無い。

 また、いくら政策がよく練られていても、国民がこれを信頼しなければ、法と制度は紙切れに過ぎない。これ以上国民の健康と直結する問題を隠したり、企業の利益を配慮しすぎて決めることが無い様に願う。

 環境汚染から国民の健康を守るという明確な政策目標の下に相互協力し、汚染現況の把握から危害度評価にいたるまで、危険を事前に予防できる科学的な体系を樹立し、それこそ国民の信頼を得られる環境保健政策が準備される事を願う。

参考文献
1. 2003-2008 EPA Strategic Plan. USEPA
2. 2002년 EPA Aannual Report
3. The STATE OF THE CDC, FISCAL 2003
4. Final FY 2002 Performance Report, Final FY 2003 Performance Plan and Draft FY 2004 Performance Plan for the Agency for Toxic Substances and Disease Registry. ATSDR 2003
5. http://www.epa.gov
6. http://www.cdc.gov
7. http://www.atsdr.cdc.gov
8. http://www.epa.gov/iris

食品医薬品安全庁のホームページ初期画面

【筆者】キム・ミソン(Kim Mi-Sun) / 環境正義(Citizens’ Movement for Enviromental Justice) / 寄稿 /  [K07031601J]
【翻訳】寺澤悦子]]>