核、戦争のない平和の東アジアを目指して

東アジア非核地帯のための市民社会共同行動が始まる

東アジア のどかな天気だった先週末(5月26日~27日)、核と戦争がない、つまり、のどかな天気のように美しく、平和な東アジアになるよう願う国際会議がソウル大学で開催された。まず、今回の国際会議は、反核と反戦平和という論点を共に論議するための韓国内で開かれた最初の会議だという点に意味がある。環境運動連合を含む韓国内の23の反戦反核平和団体と、海外の6団体から約200名が参加した今回の会議では、東アジアの核拡散および使用済み核燃料の再処理問題、軍事基地拡大、そして朝鮮半島の平和体制等さまざまな主題に関する論議が行われた。

北朝鮮の核保有、どんな理由であれ正当性はない

 特に今回の国際会議では、反戦反核平和という問題すべてを盛り込んだ論点により、北朝鮮の核実験と日本の六ヶ所村工場での使用済み核燃料の再処理問題が東アジア核拡散の脅威として指摘された。昨年10月の北朝鮮の核実験強行以降、東アジアで起こった核武装論拡散の動きに対し、すべての参加者は憂慮の声を高めた。核兵器は、最も破壊的で反人類的大量殺傷兵器であるため、それがどんな理由であろうと自衛や戦争抑制の手段として見なされてはならない。また、核兵器開発は、世界的に核拡散の成り行きをさらに強化する効果を発揮する。したがって、北朝鮮の核保有は決して核戦争を阻む唯一の手段にはならず、朝鮮半島非核化を阻害することはもちろん、東北アジアおよび全世界の核拡散の脅威として見なされる。

核の平和的利用、その虚構

 “核の平和的、または商業的利用”という名目の下、青森県六ヶ所村工場での使用済み核燃料の再処理問題も核兵器開発の潜在的可能性の拡大および東アジアでの、また他の核拡散脅威として認識された。使用済み核燃料の再処理によるプルトニウム抽出を望む核産業界は、核の発展と核兵器は異なると主張している。さまざまな国家が、最初は核の利用を通じた戦力需給を理由に核発展の必要性を打ち出している。

 しかし、イギリスの核コンサルタント、ジョン・ラージ(John H Large)博士によると、核物質の製造・調達・精錬・濃縮過程らは、軍事用であろうが民間商業用であろうがまったく同じものだという。すなわち、核に関する共通の技術と科学的研究、同一の産業与件と政府組織による管理等を見ると、最終的に核の商業的利用は核兵器開発のための技術蓄積と原料獲得の始発点になる。さらに、プルトニウムは核兵器の主原料であるが、万一使用済み核燃料の再処理を通じてプルトニウムを蓄積すれば、核発展技術がある国家では短期間内にそのプルトニウムを武器化できる。このことは、すでに世界的に広く知られている事実だ。

東アジア核拡散と六ヶ所村の脅威

 このような観点で見たとき、今年11月の六ヶ所村核再処理工場の本格稼動計画は、東アジアの核拡散の深刻な脅威として近づきつつある。現在、日本は約44トンの余剰プルトニウムをフランスとイギリスに約38トン、自国内に6トンほど保有している。もし、六ヶ所村核再処理工場が稼動すれば、年間8トンのプルトニウムが抽出され、2010年頃日本は少なくても60トン以上のプルトニウムの在庫を保有することになる。これは、長崎原子爆弾の1000個分に相当する量だ。

 日本は、国際公約でプルトニウムを国内の原子力発電所で全量消費することになっているが、現在の日本の計画を見ると、これから最低2年はプルトニウムを商業で使用する原子炉がなく、軽水炉用プルトニウム・ウラニウム混合核燃料(MOX)を作る工場もない。また六ヶ所村核再処理工場は、日本内のみではなく、東北アジア全体にも核事故と放射能汚染の憂慮を高めている。

 すでに昨年4月11日、試験稼動して12日もたたないうちに再処理工場から放射能が露出する危機性が表れたりもした。六ヶ所村再処理工場が多くの放射能を太平洋と大気層へ放出しており、すでに工場近隣の漁民たちは、海に放射能を排出するなと反対デモをおこなっている。結局、経済的妥当性がなく、環境的な危険が大きく、使い道のないプルトニウムを大量に作り出すことは、東アジアはもちろん、全世界での核拡散危機を高めるのと同時に日本の核武装憂慮を高めているのだ。

 日本は、核兵器がない国家の中で唯一大規模核再処理工場を稼動し、莫大な量のプルトニウムを生産・保有しようとしている。これは、北朝鮮とイランはもちろん、他の国々が濃縮ウラニウムあるいはプルトニウムを保有する名目を与える可能性がある。韓国も最近、韓米原子力協定の改定を通じて使用済み核燃料の再処理を図っている。

大衆的反核運動だけが核を阻むことができる

 このように、六ヶ所村核再処理工場は世界平和と環境に深刻な脅威となっている。今回参加した日本の最大反核平和運動団体である、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)の井上氏は、六ヶ所村の現在の姿が韓国の原子力の未来の姿になりうることを強調し、それに伴い韓国市民社会の関心と強い連帯を要求した。結局、今回の反戦反核平和東アジア国際会議を通じて、大衆的反核運動が核をとめるという観点から市民社会が追求しなければならない方向は明らかだ。反核と平和という普遍的価値を合理的に提起し、国際的な協力を引き出すのだ。そのために、すべての核物質は軍事用であろうが商業用であろうが統制されなければならず、国際的にはNPT体制を超え、包括的な核物質統制がなされなければならない。核の終息のため、市民社会の共同行動が東アジアの非核地帯化と平和の定着のための最初の歩みとしてもう一度要求されるところだ。

2007年反戦反核平和東アジア国際会議、ソウル
<共同宣言文>

 核と軍事派遣による自由な東アジアを願う市民たちの意向により、韓国、日本、アメリカ等の平和運動団体および活動家たちが2007年5月26日から27日まで韓国ソウルで“反戦反核平和東アジア国際会議”を開催した。

 今回の国際会議は、東アジアの核拡散防止および既存のすべての核廃棄、イラク戦争をはじめとする反戦運動そして軍事主義、軍事同盟強化について共同認識の枠組みを準備したというところにその意義がある。また、東アジアレベルで“反戦反核平和運動”の実践的連帯を志向し、安全的な疎通網の構築と共同実践プログラム模索にも意義がある。

 したがって、今回の国際会議を契機に、平和な東アジア建設のために東アジアレベルの共同行動を次のように宣言する。

1. 東アジア平和運動団体の相互協力と交流を活性化し、お互いの信頼を堅くしていくこと。
2. 世界的レベルの核廃棄と東アジア非核化のために共同実践を模索すること。
3. 東アジアでの核拡散、軍事同盟、軍事基地拡大、軍事主義強化に対する大衆的認識を拡張し、反戦反核平和運動の連帯を強固にしていくこと。
4. 世界平和を破壊し、民衆の願いを踏みにじるイラク戦争をはじめとするすべての戦争に対する反対とすべての軍隊の撤収を要求すること。
5. 東アジア平和と環境を脅かし、プルトニウム拡散を招来する六ヶ所村核再処理工場稼動の全面中断を促すこと。
6. 人類と核兵器は共存することができないこと、被爆者(たち)に対する問題認識を広め、日本政府に対する保障要求を持続的に支援すること。
7. 以上のように、共同行動を発展させるため、今後も継続して交流と協力を強化、維持していくこと。

2007年5月27日
反戦反核平和東アジア国際会議組織委員会

核と戦争がない平和な東アジアを願いⓒイ・ソンジョ

セッション1、東アジア核危機と反核平和運動ⓒイ・ソンジョ

東アジア国際会議に参加した200余反戦反核活動家ⓒイ・ソンジョ

【筆者】イ・ソンジョ(Lee Sung-Jo) / 環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K07053101J]
【翻訳】安部加奈]]>

東京湾の漂着ごみを調べる

「海辺の漂着物調査」で、東京湾の人工海浜を調べてみた…

東京 日本・中国・韓国・ロシアの4カ国の交流事業の一環として取り組まれている「海辺の漂着物調査」。(財)環日本海環境協力センター(NPEC)の主催事業のため、主に日本海沿岸で行われているが、太平洋での調査も含まれ、広く海洋漂着ごみの実態を知る手がかりとなっている。

 海洋漂着ごみの国際的な調査としては、International Coastal Cleanup(ICC)があり、日本においてもこのICCに即して、春と秋の年2回、のべ500余りの会場で、約4万数千人が分別・回収しつつ、調査を行っている。種類別の収集個数、周辺の状況などのデータは、JEAN/クリーンアップ全国事務局でとりまとめられた後、国際的な統計として活用され、今あるごみと今後発生させないごみ、両面における対策立案に役立てられている。

 NPECの漂着物調査も、ごみを回収・分別しながら調査するという点では同じだが、(1)一定の範囲を区切って、集中的に調べること、(2)ICCの様式は発生起源別で調査品目も限定的なのに対して、素材別により詳細なデータを求めていること、(3)個数と同時に重量の調査にも比重を置いていること、といった点が異なる。

 調査協力を申し出た団体には、原則として4月から翌年の3月までの期間に4回、同じ場所で調査をする旨求めている。そのため、最終的なデータ集約が年度末にならざるを得ず、ICCがデータ集計を行う11月には間に合わない。日本におけるICC調査結果とデータを合流させる際もタイミングのズレが生じるため、NPECの調査結果が国内外で十分活用し得ない点が惜しまれる。

 海辺の漂着物調査は、2007年で11年目を迎え、近年は概ね2000人の参加を得て行われている。ICCとは別だが、NPECの集計分だけでも相応の結果は得られていると思われる。調査目的に掲げられている海洋環境保全対策、廃棄物対策、漁場保全対策等に少なからず活かされていることを期したい。

 さて、東アジア環境情報発伝所でも、特に日・中・韓の3カ国の環境情報交流を進めている以上、この漂着物調査とも無縁ではいられないため、試行的にこの調査に参加することにした。発伝所メンバーのうち、日本語が堪能な中国の方々が集まりやすいことなどを考慮しつつ、大きな河川の河口から両サイド1km以上離れた海岸、といった調査条件を満たす場所として、東京湾に面した城南島海浜公園(東京都大田区)を候補地とした。

 潮の満ち干によって、ごみの多い少ないに差が生じる、ということだったが、公園管理事務所の協力も得られたことから、5月19日、城南島にて1回目の調査を実施。干潮ピークに近い13時から始め、10m四方2面分を総勢8名で1時間かけ、じっくり回収・分別・調査を行った。「前日の大潮により、目立つごみはさらわれてしまった」という公園管理事務所長のお話通り、潮が残す線にアサリなどの貝殻や海草類が固まっているのが目に付くばかり。ごみは些少で、総じて美観を保っている。離島などで大きな問題となっている漂着ごみ汚染の現場とは大きく異なるが、あくまで実態調査なので、その固まりをほぐしながら、小型のごみ・人工物を見つけ、拾っていく。

 見た目にはきれいでも、ごみは必ず潜んでいる。2面分の合計で、ワースト品目としては、

 プラスチック破片:119
 タバコの吸殻:85
 プラスチック製小型容器等:24
 ふた・キャップ:20
 輪ゴム:18
 シート・袋の破片等:17

 という状況。風船や葉巻のかけらも見つかった。海辺に暮らす生き物が誤飲・誤食しそうな有害ごみが少なからず収集できたのは一つの成果と言える。素材別個数/重量は、次の通り。

 プラスチック類:214個/160g
 ゴム類:24個/7g
 紙類(主に吸殻):89個/32g
 その他の品目を含めた合計:331個/353g

 レジンペレット(プラスチックの中間材料)やプラスチック芝(緑色の小片)なども紛れており、微細な分も個々に数えると、相当数に上るものと思われる。(今回は微細ごみも可能な限り回収した。)

 潮干狩り客で賑わう浜辺に、羽田空港を発着する飛行機の轟音が降って来る。調査をする環境としては万全ではないかも知れないが、調査活動をPRする上で人出や賑わいは必要。次回は8月を予定しているが、今度は海水浴客にまざっての調査になる見込み。もう一つの調査目的「ごみを捨てない心、海の環境を守ろうとする心を育む」につながれば、と思う。なお、秋の調査では、NPEC様式と並行して、ICC様式での調査も行う予定である。

(参考URL)
・海辺・漂着物ネットワーク(NPEC「北東アジア環境情報広場」)
 http://www.npec.or.jp/northeast_asia/network/

・城南島海浜公園
 http://www.tokyobaypark.net/jonanjima_seaside/

10m×10mの広さ2区画分を調査する

今回、10m×10mで収集したごみ

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07052502J]
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日中環境協力の深化をめざし「中国環境ハンドブック」第2弾刊行

日本における中国環境問題・協力の最新論考と資料・データを集大成した『中国環境ハンドブック 2007-2008年版』が刊行された。

日本全土 もはや日本でも、中国の環境問題が深刻であることは広く知られている。4月に温家宝首相が訪日した際には、日中両国政府は全体の共同プレス発表とは別に環境協力についての共同声明も出した。この共同声明は単なる出発点ではなく、長年の協力の蓄積を踏まえたものである。中国の環境問題は、こうした環境協力の成果もあって一部は好転の兆しを見せつつも、なお深刻な課題も多い。それらに対する中国国内の取り組み、日中間さらに国際的な環境協力なども含め、多角的かつ網羅的に扱うシリーズの第2弾として『中国環境ハンドブック 2007-2008年版』(蒼蒼社)が出版された。

 前半が「特集」、後半が「資料・データ」という構成は維持しつつ、特集は前版(2005-2006年版)以上に時宜に適い、資料・データは頁数も前版の約1.4倍になり、内容もより充実したものにできたと思う。

 特集第Ⅰ部は、上記した日中環境協力の蓄積の担い手による、それぞれの環境協力論が展開されている。その後半部でクローズアップされてくる資源・エネルギーと環境の関係について、第一線の研究者たちが共同で考察を深めているのが特集第Ⅱ部である。ここからは、見かけの国益追求が逆に国益を損ねかねないことが読みとれる。対中国関係における日本の国益に高い関心を持つ人にこそ読んでいただきたい部分である。さらに特集第Ⅲ部では深刻化する環境汚染の具体例など各種のホットな話題が論じられている。今回、新たに設けたコラムでも、中国の対外開発援助による環境問題などのホットな話題が取り上げられている。

 資料・データも単なる前版のアップデートではない。無味乾燥になりがちな資料・データを「読める」ものにするための工夫に、前版以上に力を入れた。例えば、中国の環境NGO各団体からの原稿を掲載している部分は、掲載団体数が前版の20団体から30団体に、紙数も約30頁から約70頁にと大幅に増えた。これは中国環境NGOの全体数や各団体の活動の充実度、発信力などの増大を反映するとともに、疑問点を発信元の各団体に問い合わせて情報を補足した結果でもある。また、各団体から提供された写真の掲載を増やしてビジュアル面も向上させた。

 統計では新たに省レベルの行政区画別データも加えた(位置を確認できる地図は116頁に掲載)。法律についても、基礎的な説明の一部は前版との重複を避けつつも一層充実した記述になっている。新たに年表と参考文献も付録として加えた。前版を持っている人には新たな情報を、前版を持っていない人にもそれだけで完結した情報を、それぞれ提供するものになっているはずである。

 特に東アジア環境情報発伝所が編集した『環境共同体としての日中韓』(集英社新書)の読者にお伝えしたいのは、特集第Ⅱ部を中心に、日本と中国を「環境・エネルギー・資源共同体」として論じている部分があることだ。「環境(・エネルギー・資源)共同体」とは何かの議論が『環境共同体としての日中韓』から一歩、深められている。本書と『環境共同体としての日中韓』は、『アジア環境白書』シリーズ(東洋経済新報社)ともども、寺西俊一・一橋大学教授により姉妹編と位置づけられているように、編集・執筆陣に重なりがある。しかし、奇しくも本書特集第Ⅱ部と『環境共同体としての日中韓』の執筆者は重なっていない。今後、両書の執筆・編集者に読者も交えつつ、さらに議論を深めていきたい。

訂正:本書340頁 図表12-6は(2004年8月現在)ではなく、現時点(2007年5月現在)の最新情報です。お詫びし訂正いたします。

(参考URL)
・出版社(蒼蒼社)による本書の紹介
 http://www.mmjp.or.jp/sososha/hon/kankyo2007-2008.html
・専門家とNGOの共同作業で『中国環境ハンドブック[2005-2006年版]』刊行
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J04120802J
・『環境共同体としての日中韓』出版!
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06011802J

中国環境問題研究会編『中国環境ハンドブック 2007-2008年版]』蒼蒼社、A5版536頁、定価3150円

【筆者】相川 泰(AIKAWA, Yasushi) / 中国環境問題研究会 / 寄稿 /  [J07052501J]
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企業が必要とする環境保護アドバイザー

環境保護アドバイザーのナビゲーションにより、企業の思想が変わり、心が広くなり、公益心が沸き起こってくる

中国全土 2007年のゴールデンウィーク中、有名な自然保護団体「コンサベーション・インターナショナル」のプロジェクトスタッフである王雪女史は、ラサを訪れた。ラサ訪問の目的は、環境保護アドバイザーとして、華碩電脳(ASUS)の「チョモランマツアー」に対し環境保護研修を行うことであった。

 企業のボランティア活動のために「環境保護アドバイザー」として「コンサベーション・インターナショナル」を招いたのは、中国の企業の歴史上、初めてのことではないだろうか。王雪女史は午前中、AUSUのボランティアチームに「中国の環境が直面している問題」・「エコツアー」・「個人の二酸化炭素排出責任」に関する講義を行った。最後に彼女は、ASUSのボランティアたちがこれをきっかけとして「ラサ-チョモランマエコツアー攻略」を制作するよう、宿題を出した。彼女の指導の下、ASUSのボランティアチームは4つのグループに分かれ、それぞれ沿道の「三廃」問題、野生動植物の貿易問題、グリーン消費問題及びマクロな生態問題にスポットを当て、それらの問題を収集、調査した。ASUSの鄭威ブランド総監は、ASUSは「ラサ-チョモランマエコツアー攻略をきっかけとして、コンサベーション・インターナショナルの指導の下、一年ほどの時間をかけて、ネットワーク上、社会上のボランティアの力を結集、動員させ、共同で『チベットエコツアー攻略』を打ち出すつもりだ」と語った。

 私が経験してきた環境保護事例では、多くの政府の「環境保護アドバイザー」は聞いたことがあるが、企業が自主的に環境保護アドバイザーを招聘したというのはほとんどきいたことがない。企業が法律アドバイザーを招聘したがっている例も、巨額と投じて管理コンサルタントアドバイザーを招聘した例もあるし、財務アドバイザー、ITアドバイザ、ひいては美容アドバイザー、開拓アドバイザーを招聘した例すらあるが、文学アドバイザー、環境保護アドバイザー、哲学アドバイザー、文化アドバイザーを招聘するというのはほとんどないようである。しかし、実際のところ、企業は環境保護アドバイザーを必要としており、政府と比べると、その必要性はより明らかで、より必要に迫られている。

 2006年8月、環境保護の著名人である馬軍が率いる「公衆と環境研究センター」が、「中国水質汚染マップ」を公開した。5,000社近い企業がこのマップのリストに名を連ね、今もよい多くの企業がリストアップされている。当時、多くの企業が焦りを隠せず、話し合いをして「マイナス影響を取り払いたい」と彼の元を次々と訪れた。しかし、これらの企業は、「このような事件に遭遇した際、企業の今後の健全な発展のためにも『環境保護アドバイザー』を招聘し、戦略を打ち出し、持続可能な発展の道を探る手助けをしてもらうべきではないだろうか」と考えたこともなかったのだろう。

 中国の環境NGOは多くはないが、名望があるものもある。十数年の苦難を乗り越えて、中国の環境が直面する苦境を深く理解する専門家が生まれ、優れた対策を打ち出す能力を備えてるようになっている。私はかつて中国の環境NGOが「生計を立てる術」を考えたことがあるが、その内のひとつが「環境保護コンサルタント」及び「企業環境保護アドバイザー」になることであった。

 中国の民間環境保護団体は廉価で運営されており、心が痛むが、私は「環境保護は高価だ」と信じており、いつの日か環境保護はふさわしい尊重と社会的価値を得られると信じている。企業が環境保護アドバイザーを招聘すること――ひとつの事件のためだけではなく、環境保護の専門家に企業のマクロ的発展と長期的な戦略を指導してもらうことが、突破口となるのではないだろうか。

 企業が環境保護アドバイザーを招聘すれば、環境保護団体には「技術移転」、知識の開拓、感情の落ち着きの道が増えることになる。環境保護団体の活路が見出されることは私の理想ではなく、私の理想はすべての企業が「緑化」できるようになることである。環境保護アドバイザーの招聘で、最大の益を得るのは企業であり、環境保護アドバイザーのナビゲーションにより、思想が変わり、心が広くなり、公益心が沸き起こってくる。グリーン発展の理念、持続可能な発展戦略もすぐにそれに伴うだろう。

 企業は社会の環境保護責任の主な担い手であり、企業が環境保護戦略に基づいた運営ができるような能力を備えた時こそ、我々の省エネ・排出削減、生態保護、科学的発展は本当の意味で軌道に乗ったといえるのである。

 そこで、私は、「企業環境保護アドバイザーの時代よ、早く来たれ」と訴えようと思う。

【筆者】馮 永鋒 / 光明日報 / 寄稿 /  [C07052301J]
【翻訳】中文和訳チームC班 橘 高子]]>

水俣病は今年も終わっていない―2007年春の水俣病紀行(1)

水俣病「公式確認」から51年目の今春、熊本水俣病・新潟水俣病のそれぞれについて、様々な新しい動きが起きている。

熊本 水俣病の現場へ行くたびに、魂を揺さぶられる思いがする。今春の場合、複数の新たな裁判の提訴やその準備などの事実や内情、漏れ聞いた被害者団体と環境大臣の懇談の様子、汚染源企業の厚顔無恥な態度、水俣・新潟両水俣病の現場を初めて連続訪問して見えてきた違いなどが、その主な原因であった。一言でいえば今年も「水俣病は終わっていない」のだが、その内容は昨年とは異なるものである。

 まず、82歳の川上敏行氏が新たな提訴の準備に入ったという話は衝撃的であった。川上氏は、2004年秋に最高裁判所で勝訴した関西訴訟の最後の原告団長であったものの、その後も水俣病と認定しようとしない行政の対応にしびれを切らし、5月18日に熊本県を被告として訴訟を起こす予定という。

 川上氏は、昨年4月末の水俣での集会で、最高裁で勝訴したのに、その後、行政から何も引き出せず申し訳ない、と他の被害者たちに謝っていた。その想いと今度の決意は直結しているように見える。それにしても数十年かかって最高裁判決まで勝ち取っても、また最初から裁判をやり直さなければならない水俣病の裁判とは何なのであろう。

 なお、熊本水俣病をめぐっては、このほかにも個別にいくつかの認定を求める裁判が進行中であるのに加え、2005年に起こされたノーモア・ミナマタ訴訟では原告が1000人単位にのぼり、他の新たな訴訟の準備も進められている。

 新潟水俣病をめぐる裁判の概要は、熊本よりは単純で、最初の汚染源となった企業を訴えたのが第一次訴訟、その後、患者であるはずなのに認定を受けられなかったために認定を求めたのが第二次訴訟である。第一次訴訟は原告勝訴、第二次訴訟は1995年の「政治決着」により和解した。そのほか個別の裁判は散発的にいくつかあったものの、この春以前の大きい訴訟は以上の2次だけであった。それが4月になって、新潟でも新たな訴訟として第三次訴訟が起こされた。

 (熊本)水俣病慰霊の日である5月1日の午後、慰霊行事のあと、環境相、県知事らは鹿児島県出水市で患者・被害者団体と懇談した。出水市は水俣市の南隣にあり、やはり熊本水俣病の被害地である。この会合では当初から招かれていた6団体のみが発言を許された。各団体の要望は、かつての汚染源であるチッソ水俣工場を発展させることによる地域活性化から、新たな政治決着による早期救済、特別立法、さらには行政責任の明確化を前提とする全面調査に基づく抜本的な救済まで、相矛盾しつつ広範にわたるものだった。これらに対し若林正俊環境相は「皆様から意見をお聞きし、解決を図っていきたい」とお茶を濁すのがやっとだったという。

 慰霊の日の前日に開催された集会で、医師として長年水俣病に関わってきた原田正純氏が「年配の被害者が命あるうちの救済を求めて和解するのは仕方がない。しかし、若い世代の被害者はとことん水俣病の被害を明らかにするよう闘うべきだ」との旨、発言されたのは印象深かった。ここで言われている「若い世代」とは50歳代を中心とする世代のことで、一般世間が「若い」と考えるよりも年齢層は高い。しかし、水俣病の文脈でも今や若い世代に入れられることはないであろう82歳の川上氏が、新たな訴訟を決意せざるをえない現状にあることは、行政の絶望的なまでの不作為を示している。

(関連URL)
・川上さん夫妻の水俣病認定訴訟を支える会
 http://www1.odn.ne.jp/~aah07310/kawakami/index.html

・ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団
 http://www.kumamotokyodo.jp/nmhp/

出水市の懇談会場に入る若林環境相

【筆者】相川 泰(AIKAWA, Yasushi) / 鳥取環境大学/東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J07051801J]
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海洋基本法で自然海岸は保全されるのか?

海洋基本法と環境保全を議論する議員とNGOとの意見交換会が開かれた。

東京 日本には海に関係のある法律として、海岸法、港湾法などいくつもあるが、国のそれぞれの官庁や自治体などの縦割りで管理されてきた。そこで、省庁を横断し、海全体を総合的な視野で考えた政策をたてようと、今年の4月20日に議員立法によって新たに海洋基本法が成立、4月27日に公布された。

 海洋基本法では、海洋の開発・利用と環境保全との調和などを基本理念とし、政府が海洋基本計画を定め、内閣に置かれる総合海洋政策本部で海洋政策を総合的かつ計画的に推進するとされている。

 この新法ができたことを受け、沿岸域管理や自然海岸保全に取組むNGOが働きかけ、新法の提案者となった国会議員とNGOとの意見交換会が開催された。(5月16日、東京の参議院議員会館にて)

 冒頭、基本法を提案した自民党海洋政策特別委員会事務局長を務める西村康稔(にしむら・やすとし)衆議院議員と民主党の細野豪志(ほその・ごうし)衆議院議員より、海洋基本法の提案背景や概要、環境保全に係る条項の説明などがあった。

 基本法で沿岸域管理や海岸保全に言及した条文は、第18条(海洋環境の保全等)と第25条(沿岸域の総合的管理)の2カ所。基本法という性格上、個別具体的な政策については今後、総合海洋政策本部で立案、閣議決定される海洋基本計画に盛り込まれるとのことだ。また、細野議員からは、この海洋基本法で現状の課題に追いつかない部分は、既存の海岸法の改正などで対応し、関係者の意見をききながら最大限の努力をしていきたいとの発言があった。また、他の参加議員などからも、以前の海の美しさを原体験としてもつ1940年代、1950年代生まれの世代こそ頑張らねばならないという頼もしい発言などがあいついだ。

 しかし、海洋基本法ができたからといって、すぐに何かが変わるというわけでもないようだ。あるベテラン議員によると「基本法」という名の法律は予算がつかないため実効性が弱く、関連する法律の見直しが必要だという。

 意見交換会を主催したNGO「市民がつくる政策調査会」の自然海岸保全制度検討プロジェクトチームからは、国連海洋法条約と海洋基本法に基づき、(1)沿岸域と流域圏の総合管理計画の策定、(2)廃棄物の投棄規制・防止、(3)漂着廃棄物対策、(4)沿岸域整備への市民参加などからなる新法「沿岸域保全・管理法(仮)」の制定が必要との認識が示された。

 今回の海洋基本法は日中の政府間で懸案となっている東シナ海での石油・ガス田開発事業などの安全確保を目的とした安全水域法と共に成立しており、基本法の本当のねらいは海洋資源をどう確保するかであって、環境保全の視点はそれほど強くないように感じられる。日本の自然海岸の保護や湿地などを含む沿岸域の保全にとっては、今後の関連法の見直し・整備、個別かつ具体的な政策の早急な拡充がより重要だといえるだろう。


意見交換会の様子

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07051802J]
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都市は貧困と気候変動の重要なキーポイント

大規模な都市貧困が“優先発展区域”に入らなければ、 2030年までに増加する11億の人口の半分が基本的な生活施設を持たないスラムの住民に

北京市 2007年4月24日、北京にてワールドウォッチ研究所と全球環境研究所(Global Environmental Institute)が同日発表した「地球白書2007:私達の都市の未来」によると、大規模な都市貧困が“優先発展区域”に入らなければ、2030年までに増加する11億の人口のうち半分が基本的な生活施設を持たないスラムの住民になるだろう。当報告によると、都市は地球の表面積のたった0.4%を占めるに過ぎないが、ほとんどの二酸化炭素がここから排出されており、地球温暖化の重要なキーポイントである。

 わずか1世紀前は、世界上の大多数が農村に住んでいたが、来年中には世界人口の半分以上が都市住民になる見込みである。毎年6 千万人(フランスの人口に相当する)が都市とその周辺に移住しており、そのほとんどが発展途上国の低収入居住区となっている。

 無計画で混乱した都市化は、人間の健康と環境に重い代償を払わせ、多くの国で社会や生態環境、経済の安定に大きな影響を与えている。現在、30億人の都市人口のうち10億人が、衛生的な水道、トイレ、一定強度の住居などの、基本的な生活の保障もままならないスラムに暮らしている。毎年160万人の都市住民が、衛生的な水道及び衛生施設不足によって死亡していると推定されている。

 アフリカは現在もっとも早い速度で都市化が進んでいる大陸で、アフリカ委員会は都市化を、エイズに続くアフリカ大陸の第二の大問題と位置づけている。現在アフリカの都市人口は、総人口の35%であるが、 2030年までには50%まで跳ね上がると予測されている。

 「地球白書2007」では、地域と地方政府が、貧困と環境問題に対して時には中央政府を上回るほどの努力を持って、積極的に独創性のある政策をたてていることが紹介されている。報告では、持続可能な発展に対する先進的な案例を紹介している。パキスタンのカラチ市ではオランギ・パイロット・プロジェクトによって、正規の居住地がない何百何千もの貧困家庭に下水道を完備した。この住民による下水道の設置、管理は、コストを大幅に下げたことによって、工事を政府機関に任せた場合の五分の一の費用ですんだ。シエラレオネのフリータウンでは、長年の内戦停戦後、増加した人口を農業に就かせることに成功し、食料問題が解決された。

 中国の日照市では、市中心の 99%の家屋に太陽熱温水器を設置し、ほとんどの信号、街灯をソーラー発電によってまかない、二酸化炭素排出量や汚染が減少した。コロンビアのボゴタでは技術者がブラジルのクリチバ高速交通システムの基礎に改良を加え、超快速交通システムを作り上げた。これによって空気汚染が減り、生活水準は向上し、このようなシステム改良は欧米やアジアにも広がっている。

 世界中の都市で、気候変化に真剣な対応が始まっているのは、多くの国が気候変化の脅威に直面しているからである。2015年までに33の都市で人口が800万を超え、そのうち少なくとも21の沿海都市では気候変化による海面上昇の影響を受ける。すべての都市が貧困と環境悪化を解決できるような「優秀な政策」は何もないが「地球白書2007」は先進都市の影響から、地球と人類の発展において得るものが多いと指摘する。都市の貧困住民に対して飲料水や衛生的サービスの提供、都市での農業、交通システムの改良などである。また、都市、国家、国際間組織が優先発展区域を見定めるために、都市問題に関する情報収集の必要性も指摘している。

 “ひとつの街は夢の集合体です、夢を見ることは大事なことですね”ブラジルのパラナ州の前知事であり、前クリテチバ市長のジャイメ・レルネル氏が報告の序文でこう述べている。「我々は都市で地球をより平和で安全なものに変えていくことができます。楽観的態度で都市を見守っていきましょう。」

《関連情報》

 全球環境研究所(Global Environmental Institute、以下GEI)は2004年に設立された、民間の非営利環境研究機構である。本部は中国にあり、現在アメリカにも事務所が設けられている。GEIは国内外の出資、協力機関の代表から成る国際的な理事会によって運営され、主な資金源は国際基金会、国際発展機構、政府関係部門である。

 私達の基本理念は市場の動向によって環境問題を解決することで、社会、環境、経済の向上に努め、持続可能な発展を実現することである。経済、環境、社会という要素を通じて総合的に環境問題を評価することを目標に掲げている。

 生物多様性の保護、農村の持続可能な発展、中国政府及び民間の発展、エネルギー効率と地球温暖化、国際機構との協力における能力向上などを重要プロジェクトと位置付けている。

目標:
・市場メカニズムの理念と方法を用いた、中国環境問題の研究・解決
・環境向上のための技術と商業モデルの推進
・環境保護と経済発展、短期・長期計画、地方と地球規模利益を合致させる計画の推進

GEIの解決方法:

 GEIは非政府組織として、開放的に環境問題を研究する土台作りと、政府と企業、農民が一緒になって進んだ持続可能な発展の考え方、モデルや政策を試せるような状況を目指している。私達は中立の立場で組織間、国際間の協力の、-特に南・南協力の―手助けをしたい。我々は市場調査から、技術支援、融資システム、ビジネスコンサルティング、実験的プロジェクト実施に至る一連の解決方法を提供することにポジションを定めている。私達のプロジェクトの成功は、政策立案とメディアによる宣伝で市民に訴えるものである。

 伝統的な環境保護と貧困支援プロジェクトは、持続性に欠けるため、往々にして市場経済システムのへの参入と長期的利益効果が得られない。私達が開発したモデルとは、非利益の環境保護・地域発展と、利益を目的とした企業管理・市場への参入ルートを連結させ、活動能力があり自力で存続できる企業の育成と、その能力をプロジェクト終了後も持続させるというものである。

住所:〒100062 北京市崇文区新世界家園5号楼1単元401号室
電話:86-10-6708-3192
ファックス:86-10 -6708-3193
メール:gei@geichina.org

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 全球環境研究所(Global Environmental Institute) / 寄稿 /  [C07051601J]
【翻訳】中文和訳チームB班 久保麻衣子 ]]>

脅かされる生命の安全

米韓FTAを通じて遺伝子組み換え農産物に対するずさんな規制が明らかに

韓国全土 政府が「成功した」と自画自賛する米韓自由貿易協定(FTA)交渉が一段落した。国会の通過を残したまま、すでに政府は欧州連合(EU)とのFTA交渉を開始した。米韓FTAを不安な眼差しで見守っていた国民もまた、今回の交渉が自分自身に及ぼす影響について計算をしながら今の状況を受け止めているようだ。しかし、健全な社会意識を持った国民であれば、苦悩の道に追いやられた農民の痛みを理解し、国民の十分な合意が得られないまま米韓FTAを急いで推進した政府をまず問いただすべきだ。同時に、アメリカから押し寄せる遺伝子組み換え農産物に脅かされる私たちの食卓についても、経済的な利益の前に生命の安全がかかっている重大な問題という点を認識し、国民の名のもとに速やかに論議して具体的な対策を促すべき時期にある。

▶[動画]汚染:新しい食糧科学

http://kfem.or.kr/bbs2/view.php?id=kfemtv&no=2078

▶[漫画]GMO(遺伝子組み換え生物)の扉が開かれた世の中、この不安な世の中

http://kfem.or.kr/bbs2/view.php?id=hissue&no=2727

 アメリカは2002年1月、「米韓通商現況点検」という名目で自動車交渉と共に、遺伝子組み換え農産物表示制の緩和と輸入手続の簡素化を要求した。当時、市民団体からの強硬な反対表明があり、具体的な合意が行われないまま交渉は中断した。しかし、世界最大の農産物輸出国であると同時に、最大の遺伝子組み換え農産物の生産国であるアメリカはあきらめず、その後も農産物を「遺伝子組み換え」と表示せず、何の規制もなく韓国市場で販売することを要求した。(参考までに2005年現在、遺伝子組み換えのダイズ、トウモロコシ、綿花、アブラナ、カボチャ、パパイヤなどを4,980万ヘクタール=世界の遺伝子組み換え農産物の総栽培面積9,000万ヘクタールの55%=で栽培しているアメリカでは、承認・登録された遺伝子組み換え農産物だけでも111品目に達する。)

 1989年以前、アメリカ産農産物の輸入量が韓国とほぼ同じ規模だったカナダとメキシコは、北米FTAの発効以後、アメリカにとって第1、第2の農産物輸入国になった。この点を考慮すると、アメリカ産農産物の輸入規模としては6番目(カナダ、メキシコ、日本、EU、中国の順)となる韓国もやはり、今回の米韓FTA交渉以後、農産物の輸入が増加することは目に見えている。つまり、アメリカ産の遺伝子組み換え農産物が韓国に入ってくるということを意味する。

 押し寄せる遺伝子組み換え農産物に対する懸念をさらに大きくするのは、遺伝子組み換え農産物に対する米韓両政府の姿勢だ。アメリカは今回の米韓FTA交渉の過程でアメリカ生命工学産業協議会などの遺伝子組み換え農産物の生産企業と利益集団の意見を取り入れ、これを交渉に反映させた。韓国政府は交渉の場で、国民の生命の安全を持ち出し、繊維輸出市場の拡大などと共にビッグディール(大規模事業交渉)の駒にしたという疑惑が出ている。

 ヨーロッパや日本などの遺伝子組み換え農産物に対する徹底した管理を行っている国でも、グリーンピースのような国際環境団体を通じて継続的に未承認の遺伝子組み換え農産物の混入問題について提起されている。この問題は、単に人体への安全性だけではなく環境に放たれた場合に遺伝子汚染などを引き起こした。その後、有機農法を脅かし、特許と財産権の問題に拡張している。

 韓国も現在、遺伝子組み換え食品と農産物の表示制が施行されており、食品医薬品安全庁と農林部で人体と環境への危害性を審査している。また、今年の下半期(7~12月)に批准が予想されている生命工学安全性議定書(The Cartagena Protocol on Biosafety)の国内履行法案を準備しており、これは遺伝子組み換え生物体に起こりうる安全性の問題を処理する基本となる。

 しかし、遺伝子組み換え生命体の安全性を確保するための国際環境協約を、韓国政府は産業資源部を主幹部署とした貿易関連法案で包み隠している。食用や飼料用、加工用の遺伝子組み換え生物体に対する環境危害性審査が省略でき、輸入審査の承認過程で公共機関の参加が十分に保障されない点など、早急に改正しなければならない問題が山積みだ。さらに重要な点は、アメリカやアルゼンチンなどの主要農産物輸入国が議定書に加入しておらず、輸出国側が議定書の内容を守るために自発的に努力をしなければ、われわれが要求する最低限の枠は貿易規制という名の下に崩れることになるだろう。

 希望に満ちた未来の青写真を描いたところで、食卓の主権を明け渡してまで利益を得ることは無意味と言える。今はかごの中にある卵を見ながら幻の夢を見る時期ではなく、米韓FTAを通じてどれだけ多くの遺伝子組み換え農産物がずさんな国内規制の合間をぬって入ってくるかを早急に国民に知らせなければならない。また、国会で批准される前に国民の懸念を国会議員にも知らせる必要がある。同時に、抜け目のある国内の規制法案を早急に整えなければならない。

〈関連資料〉
*[動画]汚染:新しい食糧科学

http://kfem.or.kr/bbs2/view.php?id=kfemtv&no=2078

*GMO(遺伝子組み換え生物)の扉が開かれた世の中、この不安な世の中
http://kfem.or.kr/bbs2/view.php?id=hissue&no=2727

ⓒ 地球の友 www.foei.org

ⓒ グリーンピース Greenpeace / Gustavo Graf

【筆者】チェ・ジュンホ(Choi Jun-ho) / 環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K07051401J]
【翻訳】小池貴子]]>

包装がなくても贈り物はできませんか?

包装紙で包み隠すのではなく、堂々と気持ちを伝えてください。

韓国全土 包装にはさまざまな機能があります。例えば、コーヒーを買ったときのままにしておくと、香りがそのまま抜けてしまいますよね。そこで、コーヒーの香りと質を保つために、コーヒーを密閉容器に入れておくことになります。これは、包装の一般的な機能、つまり物を保護する機能です。

 また、スーパーであれこれ選んだものを、持ち運びしやすいよう買い物かごに入れます。これも、物を持って移動しやすいよう考えられた包装の一種です。それから、友達や先生などに気持ちをこめて贈り物をするとき、見た目をきれいに整えてくれます。これが、私たちに最もなじみ深い機能、つまりデザインの機能です。このように包装は、生産された物を消費者にきちんと届ける過程で必要なもののひとつです。しかし最近、このような包装がもともとの意味を離れ、その結果新しい環境問題を引き起こしています。

本末転倒

 昨年、自然循環連帯は三度にわたって街中で販売されている物の包装について調査しました。バレンタインデーでの調査では、19の製品のうち14の製品が過剰包装だったという報告です。製品の平均37~73%が包装材で、某製菓メーカーのチョコレート製品は実に73%が包装材であったそうです。また、秋夕(チュソク)の期間には19の製品のうち15の製品が過剰包装で、製品の平均39~75%が包装材であったそうです。特に化粧品は過剰包装が多く、ある海外の化粧品は実に約75%が包装材であるそうです。ということは、今まで私たちは包装材のためにあんな高い物を買っていたのでしょうか。

包装紙に隠された感謝の気持ち

 過剰包装の悪い点は何より、多量のごみが排出されることです。もちろん、きれいに包装された贈り物は見た目によく、開けながら中身を想像する楽しみがあります。しかしその楽しみはあっという間で、中身がわかった瞬間その包装紙はすべてごみと化してしまいます。このように捨てられるごみが全体の33%にもなる事実をご存知でしょうか。

 また、最近は包装の材質が多様になり、包装紙を捨てる際の分別方法が表示されていないため、ごみとしてどのように処分しなければならないか悩まされます。その際、再利用できる材質であるのにそのままごみになってしまうこともあります。

 何より、過剰包装は私たちがなぜその物を包装するのかということを忘れてしまった結果です。感謝や愛を伝えるために贈り物を買い、心をこめて包装したはずが、ある瞬間それらの気持ちが包装紙に隠れてしまいます。

私たちは、本当に華美な包装をしたいのでしょうか

 資源循環連帯の報告によると、物を売る人々にとって本当にそれが過剰包装であるか、理解できていない場合が多いそうです。そのため、彼らが包装する前にまず私たちが「包装は簡単にお願いします」と言わなければなりません。また、自分が使うものは、包装しても家に着けばすぐに破って開いていませんか。このようなときは「袋は結構です」と言ってください。このように私たち自身が包装についてどうこうしてくださいと言うだけでも、無駄な包装紙、つまりごみを減らすことができます。しかし、よくよく考えると私たち自身も、かわいくきれいな包装が良いと思っていたのではないでしょうか。大きく、見た目にきれいなのが良いと思っていたのではないでしょうか。これからは、堂々と気持ちを表に出してください。包装紙で包み隠すのではなく。

包装せずに自分の気持ちを贈ります。絵/オム・ジョンエ

ある贈り物は、(左回りで)袋、包装紙、リボン、箱、薄紙、ビニール、このように過剰包装されています。リボンひとつで心をこめるほうが素敵じゃないですか。

包装がなくても贈り物ができないでしょうか?

【筆者】ペ・ナンジュ / 緑色連合(GreenKorea) / 寄稿 /  [K07051402J]
【翻訳】柳田佐和子]]>

ADB総会にあわせ、市民団体が3Rイニシアティブへの懸念を表明

日本による“アジア廃棄物自由貿易圏”構築への危険性をアピール

京都 アジア開発銀行(ADB)の年次総会が5月4日から4日間、京都市で開かれ、アジア太平洋地域の環境・エネルギー問題や地域金融協力を主なテーマとして協議が行われました。これと並行して5月5日と6日、ADBを監視するNGOが結成した「ADB京都総会に向けたNGOネットワーク実行委員会」の主催で市民フォーラムが同志社大学で開かれ、ADBが加担する環境、人権、債務問題を草の根の視点から考えるための一連のワークショップが行われました。

 その中で私達、廃棄物、人権、グローバリゼーションなどの問題に取り組む国内外のNGOが、ワークショップ「日本の廃棄物輸出政策:3Rイニシアティブと経済連携協定」を共催し、日本が3Rイニシアティブ(注)と、アジア諸国間との経済連携協定(EPA)を通じて、廃棄物自由貿易圏をアジアに構築しようとしていることの危険性を訴えました。参加者は学生や市民団体、メディアの方々を含めた約70名。熱心な参加者を前に、私達の声は少しずつ周りに届いていっているという実感が得られました。

 まず、化学物質問題市民研究会の安間武氏が、廃棄物――日本政府がいうところの再生利用・再生産のための物品や原料――の国際流通に対する障壁を低減するために努力している経緯や背景を説明。「問題なのは、3R(ごみ減量、再使用、再利用)ではなく、3Rイニシアティブと有害廃棄物を関税ゼロ・リストに含めるEPA。先進国から途上国への廃棄物や中古品の輸出を簡易化しようという意図が巧妙に隠されている」と指摘しました。

 次に、バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)のアジア太平洋地域担当リチャード・グティエレス(フィリピン)は、有害廃棄物貿易が促進される要因として、先進国において廃棄物が増加し続ける一方で、先進国と途上国との間の経済格差が拡大している点を指摘。有害廃棄物をアジアの途上国に対する海外開発援助と投資に結びつける日本の圧力を “廃棄物植民地化”という
言葉で表し、「なぜ日本以外のアジア地域が、日本の有害廃棄物の負担を、ただ貧しいという理由で担わなければならないのか」と疑問を呈しました。

 最後に、グリンピース東南アジアのターラー・ブアカムシー氏がタイにおける有害廃棄物問題、日タイEPAを巡る動きを紹介。日本がADBなどの国際金融機関を通して融資したタイの巨大なごみ焼却炉や火力発電所が環境汚染や健康被害を招いている過去の事例から、今回もADBが3Rイニシアティブ関連プロジェクトに資金を供与することになれば、タイが日本から有害廃棄物を受け入れ環境汚染がさらに広がることが容易に考えられると警鐘を鳴らしました。

 どの発表者も、有害廃棄物の先進国から途上国への輸出をどのような理由でも禁止するバーゼル条約の禁止修正条項を批准し、経済連携協定に有害廃棄物を関税削除対象としてリストしないことを各国政府に対して提言しました。「アジアを日本のゴミ捨て場にするな」という切実な願いから活動するNGOが各々の国で闘い、その努力が少しでも実になっている様子を聞き、大変励みとなりました。この闘いはしかしまだまだ終わらないでしょう。

(注)3Rイニシアティブ…3R(Reduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生利用)を通じて、循環型社会の構築を目指そうと日本政府が提唱。国境を越えた広域の循環型社会の構築も含まれている。

(参考URL)
・市民団体共同プレスリリース(2007年5月7日)
 市民団体 3Rイニシアティブへの懸念をADBに示す
 ―日本の“廃棄物植民地主義”の亡霊がよみがえる
 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JPEA/press_ADB_070507.html

(関連ニュース)
・3Rイニシアティブ閣僚会合 開催(2005-05-11)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J05051102J

・3Rイニシアティブ高級事務レベル会合とNGOの参加(2006-03-10)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06031001J

・「アジア3R市民フォーラム」「アジア3R推進会議」開催(2006-11-03)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06110301J

・日本から有害廃棄物!?―アジアに広がる懸念(2006-12-15)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J06121501J

・東南アジアのNGO、日本の廃棄物植民地主義に反対表明(2007-02-09)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07020901J

マニラの日本大使館前での抗議行動(提供:BAN)

京都でのWSの様子(提供:グローバリゼーションを問う広島ネットワーク)

【筆者】高宮 由佳(TAKAMIYA, Yuka) / Basel Action Network(BAN) / 寄稿 /  [J07051101J]
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