生産工程からリサイクルを考えよう

韓・中・日 電子廃棄物処理と回収システムを見る(1)

東アジア 環境運動連合は、第三世界に輸出されている電子廃棄物の問題解決のため、7月12日から22日まで中国と日本を訪問し、その処理状況と実態を調査しました。調査の結果、アジアでは韓国の電子廃棄物の不法輸出が第二位を占めていることを確認しました。後ほど、整理された内容を環境運動連合のホームページを通じて企画記事として掲載する予定です。

*以下の文は、今回の調査に一緒に参加した日本語翻訳ボランティアのユ・ヒョンミさん(学生)の参加後記です。

 私が環境連合に出会ったきっかけは、去年の今頃、翻訳ボランティアをしていた友達を通じてだった。初めは私が専攻している日本語を生かして何かやりがいのある事をしたいという単純な動機だったが、一年間環境関連記事の翻訳を続けるうちに、環境NGOの活動と環境問題に徐々に関心が深まった。そんな中、今年の初めに電子廃棄物問題が台頭し始め、それはゴミ処理の問題だけではなく、中国をはじめとして東南アジアに無分別に輸出された廃棄物が、輸入国の環境と人間の健康にとてつもない悪影響を及ぼしているという事実の深刻さに気づいた。

 こうした最近の状況をもう少し正確に把握するため、環境運動連合のチェホン・ソンミ部長を中心に調査団が結成された。中国のゴミ村現場の調査と、近隣諸国の中で一番多く廃棄物を排出している日本の家電製品処理実態を調査することになり、私は通訳を兼ねて日本コースの日程に参加した。

 一番最初に訪問した所は、東京湾に位置する東京エコリサイクルセンターだった。ここでは捨てられた家電製品を回収し、リサイクル法に制定された家電製品4品目(テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン)を各ラインを通じて手作業で分解し、破砕機に入れる作業をしていた。粉砕された小さな粒子は、プラスチックや金属の分類が比較的精巧になされていた。各作業ラインには一日の目標量の数字が赤い色で表示され、ベルトコンベアに載せられて毎日何百台もの家電製品が破砕されるという。

 関係者によると、洗濯機一台がプラスチック、金属など再利用できる単位に分解されるまでの所要時間は約15分。また、この過程で得られた資源は他の家電製品の材料として販売されるともいう。最近の製品は種類が非常に多様で分類が容易ではないといわれているが、センターに携わっている作業者は単純労動者ではなく、一目で種類を把握できるほどに専門知識の豊富な方々だそうだ。

 午後には、日本で非常に規模の大きい家電製品チェーン店であるビックカメラを訪問して多くの製品を見学し、エネルギー節約に関する制度とリサイクル時に発生する費用などについて詳しい説明を聞いた。日ごろからエネルギー節約をモットーにしているビックカメラでは、販売担当職員に新製品購入時における家電製品処分方法のインフォメーション教育が施され、関連国家資格を取得した専門的知識を持った職員が配置されているという点が非常に印象的だった。

 翌日訪問した埼玉県の“浜屋”という会社は、海外で中古製品を販売する会社だった。各種電子製品は種類別に大きな鉄製のかごに入れられ、天井に届きそうなほど倉庫の中にたくさん積まれていた。そこに集められた家電製品の中には、見た感じまだ新しいと思える製品も多かったが、まともに作動するか疑わしい製品も多かった。これらの製品はアフリカなど第三世界へ売られていくが、実際に私たちが訪問した時にもアフガニスタン人2人が良い品物を探そうとせわしなく動いていた。浜屋では、製品の作動の可否を問わず輸出しているとのことだが、日本で修理すると費用が高くなるので、現地で修理できない場合は部品を取っておき、他の製品の修理に使うとのことだった。驚いたのは、そこから輸出された製品はきちんと記録され、ちゃんと使用できているのかを輸出後にもチェックするという点だった。

 日本家電製品協会を訪問した時にも、概してリサイクル過程についての説明を聞いたが、日本ではリサイクル段階で容易に処理できるよう、製造段階から韓国とは異なる製造工程を経るという事実が分かった。製品の外側からは見えない内部のねじ位置や、冷蔵庫などの冷媒を回収する際に便利な位置をあらかじめ表示しておくなど、製品設計段階からリサイクルを考慮して製作しているという。サムスン電子、LG電子など韓国製品もリサイクル処理しているが、そのような表示が全くないために処理する時に困難だという話も聞いた。韓国も製品に対する規格化をすれば、リサイクル率がグンと高くなるのではないかという思いがよぎった。

 このように、きちんと回収され、処理されている良い事例もあるが、残念なことにこれは日本で一年間に排出される 2,300万台の廃棄物の50%にしかすぎないのだ。となると残り半分はどこに行っているのだろうか?

 日本のリサイクル費用は製品一台あたり3~4万ウォンと、かなり高い方だ。そのため、新しい製品を買う時の処理費用が負担になり、不法投棄したり、住宅街を往来する民間回収業者に無償処理依頼する人が多いという。こうして民間回収業者を通じて回収された記録は残らず、不法に中国などアジア各国に輸出されているのだ。

 アジア経済研究所のアジア廃棄物関連研究者である小島さんとの懇談会で、概して客観的な話を聞くことができたが、「貧しい国では中古製品を必要とされるのが現実であり、どうせ先進国で廃棄処分されるのであれば、必要とする所に送られるのが経済的であるだけでなく、資源循環の構造である」とも言われた。しかし、きちんとしたリサイクル技術を持たない国のことを考えるならば、アジア全体が協力して問題を解決するのが一番望ましいのではないかと思った。

 日本の環境省を訪問した際には、日本で行われている相談制度を通じて政府間の努力をうかがい知ることができた。韓国も合法的な手続きと規制を施行する前に、たとえ費用と時間がかかっても各実行単位別に合理的な方案を論議し、長期的な計画を立ててくれることを期待する。

 6日間の行程中、韓国の訪問を心より歓迎して下さった日本の関連団体と関係機関に感謝の言葉を伝えたい。今回の調査を通じて、日本の一歩先に進んだリサイクル処理方法やシステムを見て多くの経験ができた。しかしデジタル化を夢見る今日、電子製品の買い替え周期はますます短くなっており、今後も発生する膨大な量の廃棄物を考えた時、消費者である私としては何より節約して長く使う習慣を育てるのが一番重要だと思う。

日本家電製品協会では製品生産過程からリサイクルを考慮した製造工程を経る

日本の住宅街で発見された不法投棄された冷蔵庫と洗濯機 (C)環境運動連合

日本 東アジア環境情報発伝所の事務局の前で参加者達と一緒に(一番左が筆者)

【筆者】ユ・ヒョンミ / 環境運動連合(韓中日 東アジア環境情報ネットワーク)(KFEM) / 寄稿 /  [K07073001J]
【翻訳】鄭良子]]>

写真展「中国黄土高原 紅棗(なつめ)がみのる村から」開催

諸国との協力関係を築いていくためにも、歴史を振り返ることの重要性を感じさせる写真展が全国で開催される。

日本全土 中国山西省大同市の黄土高原で緑化活動を行っているNPO法人に「緑の地球ネットワーク」がある。中国との民間交流に携わっていた方、環境問題に関心のある方が集まって1992年に植林活動を開始した。初めは素人ばかりで失敗もあったが、専門家や現地の協力を得て確実な成果を上げ、2006 年3月までの時点で植えられた苗木は約1600万本にものぼる。

 活動の一つである采涼山プロジェクトは、木が1本もない荒地であったため困難と言われたプロジェクトだったが、マツ等を植え、いまでは黄土丘陵緑化の成功モデルとなり、中国全土から緑化関係者が見学に訪れるそうだ。ボランティアを募ったワーキングツアーも行っており、参加者は述べ2,300人を超えた。また、植物園や研究施設を作り研究を重ね、苗木を育てたりするほか、50ヶ所の小学校付属果樹園を作り、収益が上がったら一部を教育費に回してもらっている。貧しくてなかなか学校に通えない子供が多いので始めたそうだが、砂漠化防止にもなるし、成績も進学率も上がったそうだ。

 この度、この団体のメンバーであり、2年前から黄土高原に住み着き活動してきた大野のり子氏が、日本で写真展「中国黄土高原 紅棗(なつめ)がみのる村から」を開催する運びとなった。

 ある日彼女が偶然訪れた村は、かつて日本軍が虐殺を行なった村だった。日本人が来たと知って当惑する村民と接するうちに、彼らの日本軍侵略の記憶、証言を集めることになった。環境問題とは直接関係はないが、これも何かの縁であろう。この証言を日本人に伝えるという村民との約束を果たすため、東京を始め、名古屋、大阪、埼玉、松本、長野、京都で順次写真展を開催する予定。

 初回開催地となった東京・汐留メディアタワーでは、70代、80代の村民の10の証言と、小さな農村地帯に住む子供たちや、シワの刻まれた老人たちの顔写真がパネルになっており、感想ノートの隣りには50の証言が載ったファイルが置いてあった。戦後60年以上経った今でも、その村では虐殺の記憶が生々しく残っており、語り継がれているという。日本人が忘れ、教科書や授業では語られない歴史がそこにある。高齢化のため語ってくれる人も少なくなったため、一つ一つ集めた貴重な記録である。

 日本軍に全てを奪われ虐殺される様子は、平常心ではとても読むことが出来ない内容だったが、これが写真展という形で日本でオープンにされる事の価値は大きい。今後、環境問題においてはもちろん、アジア諸国との協力は不可欠である。日本にとって不都合な歴史であっても目を向けて、他国との価値観を同じくすることは大事だと思う。戦争という過去があるからこそ、これからは互いの協力関係を深めていかなくてはいけないと強く思わせてくれる写真展である。

 開催日程など詳細は、「中国黄土高原 紅棗(なつめ)がみのる村から」写真展のホームページまで。

http://www.natsume2007.jp/index.html

関連サイト:緑の地球ネットワーク
http://homepage3.nifty.com/gentree/index.html

写真展のHP

【筆者】渡部理恵(Rie WATANABE) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07072703J]
]]>

韓国のE-waste調査団、ビックカメラへ

省エネ家電を普及させているビックカメラの取り組みを視察した。

東京 7月18日、韓国から日本のe-waste問題の視察に来ている環境運動連合の調査団6名と、東アジア環境情報発伝所のメンバーとで、ビックカメラ有楽町店を訪ねた。今回の訪問は、主に家電製品等におけるビックカメラの環境への取り組みについて調査するためのものである。

 ビックカメラは、日本の家電量販店の中でも特に省エネへの取り組みが盛んなことで知られている。現在のように省エネが話題になる以前から、省エネに尽力することがビックカメラの道であるとし、懸命に省エネへの取り組みを続けてきた。その成果は複数の大臣賞という形で表れている。

 2004年度には立川店、2005年度には札幌店が「経済産業大臣賞」を受賞し、昨年度は、名古屋駅西店が「環境大臣賞」を受賞した。3年連続の大臣賞受賞である。昨年度には高崎東口店が「資源エネルギー庁長官賞」も受賞している。さらに、上記4店舗と、池袋本店、池袋西口店、池袋東口総合館、新宿西口店等18店舗が2006年度省エネ型製品普及推進優良店に選ばれている。ビックカメラの省エネに対する取り組みが磐石であることを示しているといえる。

 そうした取り組みを具体的に解説してもらうため、今回は、ビックカメラのお店の方にお願いし、店舗内を案内していただいた。

 まずテレビから入り、エアコン、照明、温水洗浄便座、冷蔵庫、パソコンを見てまわった。私もビックカメラにはよく行くが、客としてではなく視察団として改めて見て回ると、店舗内の省エネ情報の多さに驚かされる。星印だったり、%表示だったり、省エネマークの色であったりと、省エネ法の基準の達成度合いやビックカメラ独自の省エネ評価の結果などが、製品に必ず付いている。このような標示の充実もさることながら、「ビックカメラは、環境と家計にやさしい省エネ製品をおすすめします」と店頭で強調することで、省エネ対応を顧客に強くアピールしているのである。

 ビックカメラが評価される点として、省エネについての専門相談員を各フロアに配置していることが挙げられる。省エネ製品は、製品の値段は高かったとしても、長く使えば使う程家計に優しくなっていく。そのような話をいつでも相談できるのである。家電製品アドバイザーの資格を持つ店員も同様に配置されており、省エネを含めた総合的な相談に対して万全の体制を整えている。

 もちろん省エネへの取り組みは製品だけではない。街頭の電光看板はエネルギーを節約するため、すべてタイマー式で管理している。店内の電化製品やエアコン等は、オープン30分前にスイッチを入れ、閉店後はなるべく早く消す。後者については、店員も早く帰宅できるため、自身の省エネにつながるというメリットもある。

 個人としては実り多い視察であったが、韓国調査団のメンバーはどう受け止めただろうか。このようなビックカメラの取り組みは韓国でも通用するものだろうか。是非とも普及していってもらいたいものである。

 有楽町はビックカメラ優勢だが、本店を構える池袋では、新たにヤマダ電機が出店してきたことで、家電品を中心とした販売競争が熾烈になろうとしている。省エネ・アピールをするビックカメラか、単に安値が売りのヤマダ電機か。顧客の姿勢も問われている。

(参考)
・ビックカメラホームページ
 http://www.biccamera.com/


KFEMのE-waste調査団のメンバー

ビックカメラ店内に掲示されたポスター

【筆者】小村 哲也(KOMURA, Tetsuya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J07072702J]
]]>

参院選に向けたグリーン・マニフェスト・キャンペーン

各政党のマニフェストを市民団体がチェックした。

日本全土 有志団体『エコロ・ジャパン』は、この夏の参議院選挙で環境問題の側面から参院候補の掲げる政策公約(マニフェスト)を「持続可能な環境政策」の観点から評価・採点し、有権者の判断材料とするため各議員・各政党の環境通知簿を作成しHPにて公表した。

 発起人である代表の今本秀爾氏は、環境と政治の重要性を欧州から学び取り、2004年度から参院選でこのキャンペーンを実施している。姉妹団体であるJapan・Young・Greensメンバーとして私も評価・採点の作業を行った。具体的にはHP上のマニフェストをエコロ・ジャパン作成の評価基準に従って精査し採点する作業と、国会会議録・自治体議会会議録を検索システムからチェックする作業の主にふたつを行い、合わせて得点を計上した。採点は減点のないポジティブキャンペーンであることが特徴である。またエコロ・ジャパンは、各政党のマニフェストを比較可能にまとめる作業と、全候補者に対し「持続可能な環境政策に関するアンケート」を配布し、回収・分析する作業を行った。結果はすべてHPにて公表されているが、大きなポイントは三つある。

 一つ目は、各政党比較でマニフェストにしっかりと違いが現われたことである。近年最も関心が高まっている地球温暖化対策では、炭素税や排出権取引といった重要政策が自民党中心の政権では長く退けられてきており、今回の政党マニフェストでも自民党は経済への配慮から見送る見通しだ。一方、民主党・社民党マニフェストではこれが明記されている。京都議定書達成義務を考えると、民主党・社民党は高く評価されて良いだろう。その他、廃棄物・エネルギー・農林水産など多数の項目で政党ごとに違いが現われている。ただ、ここで私が政党比較の評価を下すことはできない。環境問題への対応策は、様々な利害関係者の利害がぶつかり合わざるを得ない問題であるため、一概に何が良くて何が悪いといった評価は困難である。それこそ、各有権者の判断が今後の政策を決める最も重要な要素であることを強調するに留めたい。

 二つ目は、各候補者によって環境政策への関心が非常に異なるということだ。減点がない採点方式にも関わらず0点という候補者もざらである一方、200点を越す超ハイスコアをたたき出す環境政治家も存在した。政治家個人を見ると、政党比較に比べて環境問題への関心度の違いが現れやすくなっている。私も評価を行ったが、残念ながらあまりに抽象的な文言でお茶を濁す候補者が割合として多かったと言わざるを得ない。年々、情勢が変わる環境政策に対応できる候補者は極めて少数ではないかと感じられた。その一方で、高評価に値する政治家も少数存在した。また、エコロ・ジャパンは各候補者へのアンケート回収で現れる環境問題への関心・理解の薄さを厳しく指摘している。

 三つ目は、今後の政治家と環境政策を考える上での大きな懸念である。グローバル化によって環境問題とその原因・対応が国際化を迫られる中で、日本の政治は政党・各候補者共に極めて立ち遅れている現状がある。これは先進国の一市民として非常に危惧せざるを得ない。

 今後、国民の環境問題への意識が世界へと広がり、政治に反映されることが環境問題を克服する上でも重要になっていくだろう。グリーン・マニフェスト・キャンペーンがその重要な第一歩になることを期待する。

(参考URL)
・グリーン・マニフェスト・キャンペーン2007
 http://lp.jiyu.net/g-campaign2007.htm

グリーン・マニフェスト・キャンペーン2007のHP

【筆者】鈴木 秀明(SUZUKI, Hideaki) / Japan Young Greens / 寄稿 /  [J07072701J]
]]>

廃電子製品問題に積極的に対応せねば

もう使用できなくなった電子製品は、どのように処理されるのか。

世界 もう使用できなくなった電子製品は、どのように処理されるのか。通常、市役所や代理店を通して収集された冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどは、リサイクルするか、或いは環境被害がないように処理されねばならない。しかし、これらの廃電子製品はちゃんと処理されないまま、あちこちに捨てられ、環境被害をもたらしている。

 年間1000万台以上生産される携帯電話は、ろくに回収されていない。ほとんどの消費者は、新しい携帯電話を購入しつつ、中古電話はそのまま一般ごみとして捨てている。さらに深刻なのは、中古携帯電話が中国など他の国に送られ、深刻な環境問題を引き起こしていることだ。最近ある市民団体は、中国に輸出された廃携帯電話を大量収集し、問題の深刻性を告発するパフォーマンスをしたこともある。我々の生活を便利にしてくれる電子製品が環境と人体に致命的な被害を与えるブーメランになっているのだ。

先進国の廃電子製品、開発途上国の環境汚染をもたらす

 廃電子製品による環境問題は、決して韓国だけの問題ではない。廃棄物の国家間移動を規制するバーゼル協約によると、アメリカでは1997年から2007年までの間、5億台以上のパソコンが使用不能状態になると見込まれている。日本でも2010年までに6億台以上の廃電子製品が捨てられると予測している。このように捨てられる廃電子製品は処理費用が安い開発途上国に輸出されているため、環境被害が全世界に広がっている。開発途上国は捨てられた廃電子製品をきちんとリサイクル・処理する能力がなく、このまま進むと廃電子製品のごみ捨て場化されてしまう。中国のあるメディアは、世界中の廃電子製品の75%が中国に捨てられていると報道したことがある。

 バーゼル協約は、2005年廃電子製品が環境や人体に及ぼす莫大な被害を減らすために、廃電子製品問題を最優先解決課題の一つとして取り上げた。携帯電話の場合、すでに2002年からエコ処理のため、「モバイルフォン・パートナーシップ・イニシアティブ(MPPI)」を進めてきた。世界中の携帯電話メーカー12社と通信社3社が自発的に参加し、廃携帯電話のリサイクル及び国家間移動に関するガイドラインをまとめた。アジアにおいても2005年中国をはじめとする9カ国が参加し、バーゼル協約と共同にガイドラインを作成し、見直し情報の取りまとめなど共同事業を進めている。

生産者は収集・廃棄制度を着実に移行せねばならない

 特に韓国の電子製品生産と輸出は、国家経済にとても重要な部分を占めている。しかし、携帯電話と冷蔵庫、エアコンなどを世界市場に広めようとする努力の割には、廃電子製品に対する対応や取り組みは、微力なものに過ぎない。廃電子製品のエコ処理に向けた国際社会の努力に積極的に参加していない。2005年から生産者責任制度(EPR)施行により、生産者が回収と廃棄まで責任を負うことになったが、回収率は10から20%に過ぎない。ヨーロッパの30%、日本の30~50%に比べ、かなり低いレベルである。廃電子製品管理制度を活気的に改善しようとする努力を惜しんで、地球に環境問題を引き起こす国家として印象づけてしまうことが懸念される。これからでも政府と関連企業は廃電子製品のエコ処理に向けた国際社会の努力により積極的に参加することを願う。

【筆者】チョン・ソヨン(明知大学教授(国際法)、バーゼル協約移行遵守委員会委員、環境連合国際協力委員会委員) / 環境運動連合(KFEM) / 投稿 /  [K07072601J]
【翻訳】ユン・ミヨン]]>

北京初の風力発電所で第1号発電機取り付け開始―今年末よりグリーン電力供給へ

風の力で電気を起こす風力発電所は、北京市民が利用する電力の種類の構成に風力エネルギーがなかったという歴史を塗り替えることになる。

北京市 北京初の風力発電所において、第1号となる発電機の取り付けが始まり、北京市民が今年末よりグリーン電力を利用する見通しが立った。

 北京市初の大型風力発電所である北京官庁風電場の初期プロジェクトの発電機の33台風力発電機の取り付けが始まった。
 
 7月23日、北京の初の大型風力発電所となる北京官庁風力発電所が第1号の風力発電機取り付けを開始した。33台の発電機すべての取り付けを完了する今年の年末には、市内に電力供給できる見通しである。このことは、北京地域が、手付かずだった風力エネルギーの開発及び利用の分野にはじめて踏み出したことを意味する。

 調べによると、同風電場は京能集団が開発及び投資、建設を担当したという。初期プロジェクトが完了した後は、都市の電力ネットワークに参加し、毎年5万トンの石炭を節約できるほか、二酸化炭素の排出を10万トン、二酸化硫黄の排出を782トン、一酸化炭素11トン、窒素の酸化物を444トン減らせる見込みである。

 北京市エネルギーと経済運行弁公室の責任者は次のように話す。「風力発電所の建設は、北京市初の風力エネルギー資源に対する大規模な利用事業であり、オリンピック招致時の約束を実現する重大プロジェクトの一つでもある。」

 風力発電は風の力を利用するため、北京市の電力ネットワークがこれまで風力利用がなかった歴史を変えることになる。風力発電所が生産した電力は北京電力ネットワークに組み入れられ、北京市民やオリンピック施設に供給される。

 調べによると、同官庁発電場の初期プロジェクトの最大出力は5万キロワットであり、毎年1億キロワットアワーを生産できるという。北京市一世帯当たりの電力使用量を平均 1000キロワットアワーと計算すると、1億キロワットアワーの電力は10万世帯の家庭における生活電力消費を供給できる。2010年までに、北京市は官庁風電場の第2期プロジェクトを完成させる予定であり、その時には電量が10万キロワットになるという。

 建設完了後の風力発電所は、33台の巨大な白い風力発電機セットが京張高速道路の両側に並び、直径70メートル余りの風車が青空を背に、風を受けて回転することになる。その壮観な景色は、北京市の新しい観光スポットにもなるであろう。

《参考情報》風力発電所の立地は、なぜ北京市西北の官庁を選んだのか?

 風電場がある北京市西北の官庁水庫の南岸は北京市の主な風の通路の一つである。年間平均風力は海抜70メートル以上の高さで風力が7級前後で観測されており、伝統的によい「風の通り道」である。

 データによると、ここで70メートル以上の風は毎秒7.11メートルで通過しており、平均の風力発電工率密度が422ワット/平方メートルであり、年間の有効発電は2000時間であるという。このデータは風力発電業界の風力発電所建設の条件である発電時間が毎年1800時間以上、平均風効率密度150ワット/メートル以上の基準を満たしている。

【筆者】孟 為(MENG, Wei) / 『北京日報』 / 寄稿 /  [C07072501J]
【翻訳】紫菫(ZI Jin)]]>

清渓川に足を浸けたらかゆいって?

ソウル特別市で雨上がりに一部区間において高濃度で大腸菌流入などの問題

ソウル特別市 去る18日、清渓川で足を水に浸けて遊んだ若いカップルがかゆみに悩まされたという報道があった。これを受けてその他の言論機関は、清渓川で“今になって水遊びの安全性の論難”と報道した。ソウルの代表的な観光名所として定着した清渓川での水質汚染による水遊び論難は市民の関心を引いている。なぜなら清渓川を訪れる人々のうち、子供を含む多くの市民が足を水に浸したり、水に入ったりして遊ぶからだ。3,800億(ウォン)という桁外れの予算を掛けて復元され、今年の6月まで韓国の人口よりも多い5000万人が通った清渓川の水質に本当に問題があるのだろうか?清渓川で足を浸けて皮膚疾患になったというのは事実なのか?これに対してソウル市は、清渓川の水質は1級水に近く何の問題もないと主張している。

 現在まで清渓川が汚染されていて、または清渓川の他の何がしかの理由で、皮膚疾患になるという確実な根拠は見つかっていない。最初の事例を報道した言論機関も清渓川で足を浸けたことが原因との見方が有力だとしたが、直接的な原因とは報道しなかった。それならばソウル市が主張するように、清渓川でいつ足をひたしても問題がないのであろうか?またはどこで足を浸けても皮膚疾患などの異常が出ないのか?絶対にそうだとは言い切れないのだ。なぜなら清渓川は1時間当たり10mm以上の雨が降れば全区間で、雨水と混ざった下水が溢れ、流入支川の汚染負荷量もやはり高いためだ。

 2006年春に発生した魚の大量死は、まさに雨の降り始めに溢れた下水が原因である。一般的に溢れた水の水質はBOD平均90ppm(合流式下水道)である。平常時の清渓川のBODが1ppm前後であることを考えれば、平均90倍以上の高い汚染物質が一度に流入しているのだ。また、溢れた水には大腸菌など各種細菌も多数含まれている。おおよそ私たちが使って捨てた下水には、大腸菌(総大腸菌群)が10万から30万個検出される。大腸菌は河川の水質指標として活用されているが、大腸菌数値が高いということは、それだけ各種病原性細菌が多いことを意味する。

 清渓川において溢れた下水の流入で水質に問題が起こる場所は、その代表として3ケ所を指摘することができる。最初は清渓川が始まる清渓広場である。ここは平常時、清渓川から涼しげな水が噴きあがる噴水がある場所である。しかし清渓広場のすぐ下の地点は清渓川の最上流へ繋がる暗渠化された河川である。暗渠化された河川の内部は両側に遮集施設があるが上部が開いている箱型構造で雨が降ればすぐに溢れる。下水遮集施設を完全な密閉型に作れないのは、雨の時期に流入量が増加すれば行き場のない下水がともすると家庭や建物へ逆流するためだ。溢れた水が問題となる他の二ケ所は清渓川の支流である城北川と貞陵川である。これらは平常時には水のほとんどない乾いた河川である。清渓川と違う点は1時間当たり雨が2mmだけ降っても下水が溢れることである。平常時に水が少なく、少ない雨で溢れれば河川に流れる水の汚染濃度は非常に高くならざるをえない。これを反証するかのように2006年夏、ソウル市では貞陵川の水が清渓川に流入しないように遮断したこともあった。したがって城北川と貞陵川が流入する地点付近は雨の時期だけでなく平常時も格別に気をつけなければならない区間である。

 清渓川の水質と安全性に影響を与えることがまだある。ほかならない道路の汚染物質である。ソウル市では毎月1回ずつ水質調査をする。BODを見れば1ppm前後、BODで言えば清渓川はソウル市の主張どおり1級水に近い水である。しかし水質調査は雨が降る時と、雨が止んだ後は実施されない。降雨により水質分析に影響をあたえるためである。したがってソウル市の水質分析資料は一般的な資料であるだけで、降雨時の影響に対する分析資料ではない。初期降雨時、道路を伝って落ちる雨水の汚染濃度は深刻な水準である。ミジンコによる試験をしてみたが1~2時間で全て死んでしまった。BODは最高133.6ppmという結果が出た。道路を伝う初期の雨水は汚染濃度だけでなく各種細菌、および重金属が含まれている可能性が高い。結局、このような汚染物質が、雨が降るたびに清渓川へ流入して水質と生態に影響を及ぼしているのである。

 結論としては、雨が降っている時と雨が止んだ後は、清渓川に足を浸けることは自制したほうが良い。特に城北川、貞陵川の区間は平常時も気をつけなければならない。そして、ソウル市は清渓川が無条件に‘きれいだ’‘安全だ’とだけ主張してはならないのだ。平常時ではない雨の時期に清渓川の水質にどんな影響を及ぼしているのか、どの地域でどんな影響が大きいのか等、体系的な調査を通して市民たちに正しい情報を提供しなければならないのである。これが市民のための正しい行政の姿である。

水遊びをする子供たちⓒイ・チョルジェ

清渓川の雨水吐口 清渓川の左右の壁の内側には下水管渠が埋設されている。雨が1時間当たり10mm以上降れば、水門が自動的に開いて雨水と混ざった下水が清渓川に流入する。ⓒイ・チョルジェ

【筆者】イ・チョルジェ / 環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K07072401J]
【翻訳】高野奈緒子]]>

日野市でレジ袋有料化スタート―日本のレジ袋削減の取り組み

レジ袋有料化の取り組みが広まりつつある。

東京■買い物袋持参キャンペーンの成果と限界

 日本では、レジ袋は使い捨てのシンボルとして捉えられている。そのため、10年前から、各地で、自治体や市民団体などが、一般市民に対し、買い物袋を持参し、レジ袋を断るよう呼びかけるキャンペーンが盛んに行われてきた。

 このキャンペーンは、市民に買い物袋を持っていこうという意識を定着させる上では大きな効果があるものの、実際に買い物袋を持っていく行動をとらせる効果は小さい。主な原因は、レジ袋が無料で配布されていることにあり、レジ袋の無料配布を中止(有料化)しない限り、レジ袋の大幅な削減は望めない。

 一方、買い物袋持参キャンペーンは、市民にレジ袋は断るべきだという意識を持たせることによって、レジ袋有料化を受け入れる素地をつくってきたことは確か。スーパーも、レジ袋有料化を導入する店を選ぶ際に、買い物袋持参がどれだけ定着しているかをポイントの1つにしている。

■レジ袋有料化へ

 2007年4月1日に施行された改正容器包装リサイクル法では、レジ袋有料化の義務化は見送られたが、レジ袋の削減などの「容器包装の使用の合理化」が求められると共に、容器包装を50トン以上使用する事業者には、使用の合理化に取り組んだことの定期報告が義務づけられた。

 そこで、レジ袋削減のため、2007年に入って、一般のスーパーが相次いでレジ袋有料化に踏み切った。その数は、7月現在、実施予定を含めると、8地域で、13社・22店舗にのぼる。しかし、大多数のスーパーは「個々に有料化したら、有料化しない店に客を奪われるのではないか」と心配して有料化を躊躇している。

 スーパー以外の小売業者を見てみると、ディスカウントストアタイプのスーパーや生協は10年くらい前から有料化している。コンビニ、デパート、一般商店などには今のところ動きはない。

■レジ袋有料化実施の状況

 筆者が住んでいる東京都日野市では、8月にスーパーの1社が2店舗でレジ袋有料化を始めることになった。自治体と市民団体(筆者もその一員)は、2005年2月以来、市内に店舗を持つすべてのスーパー(10社ある)に有料化を要請してきた。今回の有料化は、日野市の買い物袋持参キャンペーンの実績を認めて応じたものである。実施の際には、自治体と大勢の市民ボランティアがPRや客への説明を支援している。残り9社のスーパーへの有料化要請はもちろん継続する。レジ袋が有料化された他の地域も、大体、日野市と同じような経過をたどっている。

 日本では、レジ袋有料化は、法律で定められるのではなく、自治体や市民団体の自主的な取り組みに委ねられているので、地域ごとにバラバラに実施され、全国一律に実施されることはあり得ない。また、今のところ、できる店から有料化しているが、方向性としては、1つの自治体がまとまって有料化するのが望ましく、それを実現した自治体も1つある。有料化を主導するのは主に自治体だが、
その前段としてまず市民団体が自治体を動かす必要がある。市民団体は有料化の火付け役にならなければならない。

店頭にてレジ袋有料化をPRする市民ボランティア

配布されたチラシ

【筆者】小野寺 勲(ONODERA, Isao) / 日野市ごみ減量推進市民会議 / 寄稿 /  [J07072001J]
]]>

2007年湿地使者運動がスタート 全国27の大学生団体が水源地へ

大学生ボランティア「湿地の使者」、夏休みは水源地保護に注目

中国全土 中国上海にて――「明日、私たちは安全な飲料水を飲めるだろうか。現在、いったいどれだけの水源地が汚染と過度な開発の脅威に晒されているのだろうか。私たちの‘命の源’は今後、確実に守られていくだろうか。湿地の使者として、また未来を担う力として、私たちは水源を守るために何をしなければならないのだろう。」

 7月15日の午前、‘飲み水をきっかけに水源地を守ろう’――2007年湿地使者運動の開会式が上海復旦大学で行われた。復旦大学、北京大学、南京大学などの全国各地の27の学校から40人の湿地使者が集まり、以下のように呼びかけた。「太湖の藍藻による水質汚染のようなことを再び起こさないために、中国の持続可能な発展のために、私たちの次の世代に青い水と空を残すために、私たちは今すぐに行動し、水源地を共に守っていかなければならない。

 水源地とは、飲用水の源となる河川、湖、貯水池、池などを指し、規模に関わらず水源地の状態は下流に住む人々の健康と生産活動に直接影響する。開会式のあと、27の湿地使者団は分かれて、長江流域と北京周辺の13の省、市、自治区の水源地25箇所を訪れ、調査と宣伝、教育活動を行った。訪れた土地は以下のとおり。青海省の通天河、沱沱河地区、四川省の岷江、南水北調の水源地でもある丹江口ダム、藍藻汚染が起きたばかりの太湖(江蘇省無錫市、上海の水源地である淀山湖、北京市官庁ダムなど。

 湿地使者運動は市民の湿地保護意識を高め、大規模な宣伝活動を展開するため、全国高校の大学生環境保護団体と環境保護ボランティアを募り、夏休みを利用して湿地保護活動を行うことを狙いとしている。湿地使者運動は2001年に始まり、毎年10から20の大学生環境保護ボランティアの活動を支持している。

 2007年湿地使者運動は国家林業局湿地保護管理中心、水利部水資源管理部、 WWF(世界自然基金)、国際湿地公約事務局と共同で行われ、香港上海銀行(HSBC)とコカコーラから資金提供を受けている。

 WWF中国主席代表のオゴーマン氏は以下のように述べた。「都市か農村かに関わらず、水源の保護は中国の十数億の命と密接に関係している。今年の湿地使者運動は‘水源の保護’をテーマに行われていて、大学生の湿地使者が長江流域や北京の水源を調査することで、社会全体に水資源に対する関心を呼び起こしてくれることを期待する。」

 7月13日、14日に主催者である復旦大学は湿地使者の代表を集め、集中合宿を行った。開会式の後、運動に参加した使者は上海市の水源地のひとつである淀山湖を訪れ、上海市の水源保護の現状を視察した。

☆リンク:湿地使者運動について更に知りたいかたはこちらをクリックしてください。

 http://www.wwfchina.org/aboutwwf/miniwebsite/07waa/index.shtm

 淀山湖は上海青浦県の西部、市中心部から約50キロメートルの場所に位置する、上海最大の水源地である。湖はひょうたん型をしており、面積は63平方キロメートル、杭州の西湖の約12倍にあたり、水深は約2メートル。黄浦江、吴淞江にも通じ豊富な水をたたえている。元来湖底には淀山という山があったが、南宋後期の時代から、湖畔の周囲に田畑が広がり、湖面は縮小していった。現在淀山は、湖の東約2キロメートルの陸地に位置している。淀山湖の保護は上海市住民1800万人の飲料水の安全に重要な意味を持つ。淀山湖は‘HSBCは環境保護と共に’プロジェクトは、上海における重要な実施地点であり、2007年後半に稼動予定だ。WWFはさらに‘安らぎの地域を目指して、江南の水郷を取り戻そう。街の命の源を求めて’をコンセプトに活動を広げる予定だ。

 更に詳しい情報を知りたい方はこちらまでご連絡ください。

 WWF(中国)対外連絡部連絡係 庄士冠

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / WWF(中国) / 寄稿 /  [C07071802J]
【翻訳】久保麻衣子 ]]>

水不足に備え、雨水利用を考える

雨水利用の先進自治体、墨田区を歩いてみた。

東京 梅雨入りはしたものの、6月の降水量が少なかった今年。7月に入ってからは、九州を中心に豪雨禍も出ているが、先月までは首都圏でも水不足を心配する声はあった。8月1日は「水の日」、8月6日は「雨水の日」ということで、ひと足早く、水不足に備えた知恵の一つである雨水利用について実地見学し、自身で取り組めることを探りに出かけた。行き先は、雨水利用の聖地、墨田区である。

 まずは、2001年5月に開館したという、公設(運営は半官半民)の雨水資料館へ。廃校になった校舎を活用した施設だが、資料館自体は1階の玄関と廊下のみの小規模なもの。パネル展示が中心だが、展示物にはコードが付いていて、それを専用の機器に読み込ませるとそこから音声ガイドが流れるという仕掛けにまず感心させられた。日本国内だけでなく、世界各国での雨水利用の工夫や課題などが所狭しと並ぶ。屋外では巨大な雨水貯水タンクあり、各国の多彩なタンクあり、と実物型展示が目を引いた。実演型展示としては、雨水ハウスというのが別棟で設置され、雨樋の途中から雨水を分流させて貯める小設備はじめ、家庭で簡単に取り付けられそうな器具が紹介されていた。

 家庭で手軽に設置できる器具の代表例がタンクだ。墨田区は区を挙げて、雨水利用を促しており、助成制度も充実している。小規模なタンクとしては「天水尊」(200リットル)があり、区の半額助成が奏効してか、区内随所で見受けられる。また街角には溜まった雨水をくみ上げる「路地尊」と呼ばれるポンプもあり、地域における防災機能を担っている。その二つの「尊」は8月の「打ち水大作戦」でも拠点となっている同区の東向島地区に多く分布する。午後は主にその「尊」めぐりに出た。

 道中、天水尊を見かけ、実際に家庭やオフィスで活用されている様子はわかったが、その付近にあった路地尊4号基のポンプからは残念ながら水は出なかった。今年の雨水が少ないことが原因だろうか。

 東向島地区の南側、商店街の外れに路地尊3号基を発見。ここのポンプは威勢良く水が出てきてひと安心。だが、近所の方に「防災用だから」と注意され、冷や水を浴びせられてしまった。雨水が蓄えられていることに加え、地域のこうした人の目というのも災害の予防には有効。この付近はいわゆる木造家屋密集地域(木密)に当たるため、防災意識が高いのもうなづける。地域の防災力を再認識させられた。

 雨水利用には「街中での水源の自立」「雨水が下水道に一気に流出するのを防止(都市洪水予防)」「消火用+非常時の生活用水」の三つの役割があるとされる。その役割は地域だけでなく、各家庭の取り組みにおいても担うことができる。家庭での用途としては、トイレ用、庭木への散水、洗車用、そして夏場は打ち水用、と多様。降水量の多い・少ないは別にして、日常的な節水という観点からも雨水の貯水と利用は進めたいものである。(降り始めの雨は酸性度が高いとされているので、その初期雨水をカットする仕組みを伴わせれば万全)

(参考URL)

・雨水資料館/雨水市民の会
 http://www.skywater.jp/rw_m.html

・墨田区 雨水利用サイト
 http://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/kankyou_hozen/amamizu/

・雨水利用データベース
 http://rainwater.be-us.net/

校舎に降る雨を集めるタンク

取水装置いろいろ

“天水尊”の設置例

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07071301J]
]]>