東京大気汚染公害裁判における環境公益訴訟としての成果

東京大気汚染公害裁判の和解が成立した。

東京 8月8日に成立した東京大気汚染公害裁判の和解では、裁判の原告に止まらない、東京都内全域のぜん息患者の医療費を助成する制度をかちとったことが注目されている。
 これは公害・環境公益訴訟のあり方として、従来にない新たな成果となっているので、この点、報告したいと思う。

 さて、日本では、1970年代に四日市公害判決をはじめとした四大公害裁判を契機として、公害健康被害補償法が制定され、公害被害者の救済が行われてきたが、大気汚染被害をめぐっては、1988年に新規の救済が打切られ、その後、ぜん息等の被害者が未救済のまま放置される事態が続いてきた。
 こうした中で、東京大気汚染公害裁判は、1996年に、国、東京都、自動車メーカーなどを相手に、600余名のぜん息などの患者が、損害賠償と公害差止めを求めて提訴したものである。
 ただこの原告の3分の1が国の公害健康被害補償法打切りによる未救済の患者であったため、裁判当初から、裁判で求めている損害賠償とは別に、裁判をきっかけに行政に被害者救済制度を制定することを求めて運動してきたのが特徴だった。

 裁判では2002年の東京地裁1次判決で、道路管理者の国、東京都などに損害賠償で勝訴。とりわけ、国はこれで、大阪西淀川をはじめとした先行裁判に続いて5連敗とその責任を断罪された。
 しかし国は、いまだ大気汚染とぜん息等の因果関係が明らかになっていないとして、救済制度の制定を求める被害者の声に、一切耳を貸そうとしなかった。
 これに対し、同じ被告の東京都は、1次判決の日に石原知事自らが控訴断念を表明したうえで、救済制度の必要性を認める発言を行った。しかしその一方で、大気汚染拡大の責任は専ら国にあるので、国が救済制度を制定すべきとの対応に終始していた。

 こうした中で、裁判の審理が進み、東京高裁での結審が近づく中で、原告側は、東京都での医療費の助成制度の制定を要求の柱にすえて、東京都、自動車メーカー、裁判所に運動で迫っていった。
 この結果、東京高裁は2006年9月、結審に際して、「この事件は、内容が複雑で、争点が多岐にわたり、判決のみで解決できない種々の問題を含んでいる。裁判所としては、早期、抜本的、最終的な解決を図りたいので、関係当事者は協力を」との解決勧告を行った。
 そしてこれを受けて、2ヶ月後の11月、東京都が医療費助成制度を提案。それは、東京都全域のぜん息患者を対象に医療費の自己負担分全額を助成することとし、その財源は、東京都が3分の1、国が3分の1、自動車メーカーと首都高速道路が6分の1ずつ負担するというものだった。
 この東京都の提案に対し、年明けに自動車メーカーが受入れを表明。最後まで抵抗していた国、首都高も曲りなりにも拠出を表明して、何とか成立にこぎつけたというのが経緯である。
 今後は同じく道路公害、大気汚染公害に苦しむ、大阪、名古屋、川崎、尼崎などの地域と連携して、国のレベルでの公害健康被害補償法並みの救済をめざして、新たな闘いを展開していく決意を固めているところである。

 さて、今回の解決は、原告以外の広範な被害者を対象に、汚染者負担の原則をふまえて自動車メーカーにも負担を求めながら、将来に向けての救済制度を、裁判の和解の中でかちとった点が特筆される。
 本来こうした制度要求は、日本の裁判制度の下では、直接これを裁判で求めるのは不可能で、裁判をきっかけにその後の運動でこれをかちとるというのが従来のパターンであった。これを裁判の和解の中で獲得した点が従来にない新しい形の解決といえる。
 いずれにしても、今後の公害・環境公益訴訟の一つの方向性を示唆する画期的なケースとして報告したしだいである。

【筆者】西村 隆雄(NISHIMURA, Takao) / 東京待機裁判勝利をめざす実行委員会 / 環境被害救済と予防に関する日中韓国際ワークショップ(主催:日本環境会議ほか)配布資料 /  [J07083101J]
]]>

中国産食品等報道ウォッチング

中国産の食品等の安全性をめぐり、日本においてもマスコミ報道が盛んになっている。

日本全土 中国産製品、特に一部食品の品質や安全性に、世界各国は不安と疑念を募らせている。規制措置をとる国も出始めており、俄かに国際問題化してきた。世界保健機関(WHO)が来月に予定していた国際会議でも、この件が主要議題になることは明らかで、中国政府の対応を含め、国際的な注目はしばらく続きそうである。

 近隣国である日本も例外ではない。特に今年に入ってから、関連したマスコミ報道も増えている。ただし、有害物質が検出されることは憂慮すべきではあるが、実際にどこまで健康被害に直結するのかがハッキリしない事例については、消費者としても冷静に受け止める必要がありそうだ。(中国国内での受け止め方はまた異なるものと思われる。)

 中国産食品等に関する事故例のうち、日本に輸入されたものを巡る一部の報道につき、参考情報として、抜粋紹介する。

・中国製品の安全性 作り手の自覚を求める(中国新聞 社説)07/05/26

 輸入した土鍋から鉛が溶け出したり、浴槽用電気湯沸かし器から出火するおそれがあったりするトラブルがあった。輸入野菜に基準値を超えた残留農薬があった例も、これまで数多く報告されている。

・農薬残留の中国産ショウガ、愛知県が表示内容など公表(朝日新聞)07/07/11

 厚生労働省名古屋検疫所が、基準値を超えて殺虫剤が残留する中国産ショウガ約25トンの輸入を認め、うち5トンが愛知県内に流通した問題で、同県は11日、商品の表示内容などを公表し、流通業者やスーパー、消費者に回収への協力を呼びかけた。

・中国政府、ウナギなど日本向け食品11社を禁輸(産経新聞)07/07/12

 日本向け食品にはウナギのかば焼きのほか、煮ホタテのくし焼き、カニの冷凍食品、水煮キノコ、乾燥ナシなどが含まれている。かば焼きからは発がん性が指摘されるマラカイトグリーン、水煮キノコと乾燥ナシからは二酸化硫黄の残留物が、イカの串焼きからは大腸菌が検出されたとしている。

・中国の危険食品 海外依存の危うさ映す(岩手日報 論説)07/07/14

 中国が今回輸出を禁じた問題企業のうち日本に輸出していたのは11社、商品はウナギかば焼きなどだ。いずれも日本側の検疫所で有害物質が確認され流入を阻止できたが、それでも中国産ウナギの販売量が激減するなど影響が出始めた。

・土鍋から有害物質! 一方、「有害」歯磨きはついに全面禁止!(All About Japan)07/07/16

 今年1月、札幌市の男性が中国製土鍋で鶏肉を煮ていたところ、鍋の縁に銀色の付着物を発見! 販売業者ニトリと北海道立消費生活センターが調べたところ、有害物質である鉛とカドミウムが検出され、同社と輸入業者ホリシン(新潟県)は2万2,000個を自主回収へ。

・中国産食品 安全対策を徹底せよ(高知新聞)07/07/29

 安全基準を満たさない食品を輸出していたとして、中国当局が輸出禁止を命じた問題企業は計52社に上る。日本向けは15社で、抗菌剤が基準値を超えたウナギのかば焼きやサバ、二酸化硫黄がオーバーしたナメコの水煮や乾燥ナシなどだ。

・サバの切り身からも抗菌剤 厚労省が検査命令(毎日新聞)07/07/30

 厚生労働省は30日、中国産ウナギから検出された抗菌剤「マラカイトグリーン」が、同国から輸入された冷凍切り身サバからも検出されたとして、食品衛生法に基づく検査命令を出した。当面は、中国産のサバ加工品すべてに輸入時のサンプル検査が義務付けられる。

 中国産野菜の残留農薬問題が発覚したのは2002年のこと。この時点で、同国からの輸入品全般に対する水際での厳しいチェックがとられていれば、ここまで事態が深刻化することもなかったものと考えらる。ただし、水際でのチェックには自ずと限界がある。一次産品については、原産地をはじめ、ある程度の流通経路は特定できるはずだが、複数原料から成る加工食品などは、原産地を遡るのも困難な上、その加工過程で使用される添加物等も把握しづらくなってくる。産地や過程をたどって対策を講じるのにもやはり限界が出てくるのである。どこで採取してもどこで加工しても万全、となるのが究極的には望ましい訳だが、現実的には難しい。

 こうした事態は中国に限ったことではなく、どの輸入品、逆に輸出品に関しても当てはまる。日本国内においても、食品等の不正や捏造は後を絶たない。非難の矛先は、自国にも向けなければいけない、と言える。今日の流通・消費の構造を前提とするならば、(1)常に何らかのリスクを伴うのは必至であることをまず自覚する、(2)悪貨が良貨を駆逐するのを促すのではなく、その逆の方向性を日頃の消費行動において意識する、この二つが重要と思われる。消費者一人ひとりの賢明さ堅実さと、人にも環境にも配慮したすぐれた食品・製品が普及する度合いとは、相関関係にある。

(参考URL)
 http://allabout.co.jp/career/jijiabc/closeup/CU20070716A/index3.htm
 http://www.worldwatch-japan.org/CHINAWATCH/chinawatch2007-2.html

(イメージ画像)

【筆者】東アジア環境情報発伝所編集委員会 / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07082402J]
]]>

原発に頼った未来はありえない

地震で止まった柏崎原発で揺れる東京電力

新潟 7月16日午前10時13分、新潟県を大きな地震がおそった。同県柏崎市にある東京電力の柏崎原子力発電所では、放射能を含んだ水が流れ出し、施設からは火の手が上がった。

 新潟県沖を震源とする地震の規模は、マグニチュード6・8。柏崎原発で観測された、地震による揺れは680ガルと、設計時に想定した273ガルの約2・5倍にも達した。東京電力側は「想定外」としているが、実はこの地震を引き起こした新潟県沖の活断層については事前に調査をしていなかった。

 この地震によって、原発の脆弱性が様々な意味で明らかになった。貯蔵庫内では、低レベルの放射性物質を含む針金などのゴミをためておくドラム缶の山が崩れ、数百本が転倒し人が立ち入ることができなかった。使用済み燃料を貯めておくプールの水があふれ、放射性物質を含む水の一部が海に流れ出た。地震発生直後に起きた火災では、消防隊到着まで約1時間を要した。

 中でも、エネルギー供給における脆弱性の露呈は大きい。地震による柏崎原発の停止により、首都圏では「オール電化」に関するCMがテレビに現れなくなった。オール電化は、家庭レベルでの電力消費を増やすために、給湯や調理といったガスを使う部分も電気に置き換え、家庭で使うすべてのエネルギーを電気でまかなうシステムのことで、著名な女優や料理人を登場させ、その普及にやっきになっていた。ところが、柏崎原発の停止による供給電力量が減り、それどころではなくなったのだろう。電気が無ければ成り立たないようなオール電化生活を製品として推奨し、販売するのはどうだろうか。

 少なくとも言えるのは、原発に頼った未来はありえない、ということだ。地震多発地帯である日本列島に原発を建設し、それに頼ることは、地震が起きたらエネルギーが供給されないことになる。それだけではない。地震によって、放射性物質が漏れ出すことで恐るべき数の死者を生み出し、その土地は永久に呪われるだろう。今のうちに、原発に頼らない未来を指向して、エネルギーについて考えるべきだ。

(参考URL)
・7月27日の柏崎・刈羽原発(原子力資料情報室)
 http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=557

【筆者】山﨑 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ / 投稿 /  [J07082401J]
]]>

9月10日、一日だけ、車と離婚せよ!

2007年9月10日、「ソウル、カーフリーデー」行事開催

ソウル特別市 「カーフリーデー」(Car-Free Day)は、1997年フランス西部港都市であるラロシュエにて初めて行われ、98年にはフランスの全域に拡大された。その後、世界数多くの都市へ拡散し、現在は、1300余りの都市が「カーフリーデー」行事に参加しています。

 カーフリーデーの「都心では自家用車に乗らない(in town, without my car)」というキャッチフレーズと多くの市民からの積極的な呼応は、世界どの都市でも見られる現象です。2007年世界カーフリーデーのテーマは、地球温暖化(Climate Chage)で、43カ国1200余りの都市が参加し、多くの市民の呼応の下で行われる予定です。

 韓国では2001年から環境、エネルギー、消費者団体の主導の下、ソウル、大邱(テグ)地域を中心に、カーフリーデー行事を行っており、今年は、従来BlueSky参加団体を中心に行われていた行事をすべての環境団体、市民社会、企業、政府に拡大することになりました。

 「市民が自ら自動車依存型生活から抜け出そう」、「歩行者と大衆交通利用者、自転車とインラインに親しんで、環境にやさしい都市を作ろう」というヨーロッパ(地方自治団体)と市民の行動議題は、2000年既にヨーロッパ諸国のほかに、アジアや米州大陸の30カ国813都市にまで広がり、2002年には国連機関においても全世界の地方自治団体の長などに積極的な協力を要請する活動を行ってきました。

 自動車の過度な利用により、現代都市が直面している環境破壊と交通混雑、そしてエネルギーの無駄遣い問題は既に深刻な災いとして人類に近づいています。自動車は、もはや文明の利器と便利の象徴になれないだけではなく、却って深刻な交通渋滞と頻繁な交通事故、エネルギーの過度な使いすぎによる大気汚染発生、そして道路建設による無残な環境破壊問題などで人類の暮らしと生活の場を荒廃化させています。

 特にソウルの場合、自動車による大気汚染物質排出量が全体の72.6%に上り、首都圏では大気汚染により自分の寿命より、早期に死亡する人が一年に1万人を超えるという発表が出ている状況です。また、深刻な交通渋滞により年間数兆ウォンのエネルギーが無駄遣いされている事実は全体エネルギーの97%を輸入に依存している韓国経済に深刻な打撃を与えています。今回開催される「カーフリーデー」行事は2001年の初開催に引き続く6回目の行事で、今後市民の関心と参加を通し、将来的に自動車依存型生活から抜け出し、交通、エネルギー、環境などの問題を解決していけば、人間と生命が尊重される都市文化を創造することができるでしょう。

 今や世界的な運動として定着している「カーフリーデー」は、市民の積極的かつ自発的な共感と参加を通し、自動車依存型の都市と社会、そして生活スタイルを変えていき、それにより、自動車によるは弊害と問題点を減らし、新しい都市文化を創っていくのに大きな役割を果たすでしょう。

 「カーフリーデー」の成功有無は、市民が行事の趣旨に共感し、どれだけ積極的に、そして自発的に参加してもらうかに関わっています。従って、カーフリーデーは、一日中ソウル全域、特に都心で市民が自発的に車を乗らず、大衆交通や自転車などを利用し、生活するようになった時、もっとも大きな成果を挙げることができるでしょう。この行事を取り組んでいるソウル組織委員会は行事当日の9月10日までの対市民広報活動とともに、今後市民の関心と参加を導き出す持続的な市民/環境運動を展開していく予定です。

2007 ソウル、カーフリーデー

日付: 2007年9月10日(月)午前8時~午後4時
場所: 鍾路1街~6街
プログラ
-鍾路全区間 車両侵入禁止(タクシーを含むすべての車両、ただし、市内バスを除く)
-ソウル市内バス無料乗車(午前9時まで)
-ソウル都心内主要建物駐車場の閉鎖
-鍾路全域にて市民参加文化行事進行

【筆者】環境正義  / 環境正義  / 投稿 /  [K07082301J]
【翻訳】尹美英]]>

トランス脂肪酸を減らしたら、飽和脂肪酸が“じわじわ”

韓国全土 市民のトランス脂肪酸に対する関心は非常に高い。 味と形を長期間保つために使用されるトランス脂肪酸が、「体に良くない」という研究結果が続々と発表されるや、国内外の加工食品業界は、トランス脂肪酸を減らすことが緊急の課題になった。

 脂肪酸は、体内でとても重要な役割を持つ栄養素で、脳細胞の場合、脂肪酸の含有量が40%に達する。脂肪酸の形状の違いで「不飽和脂肪酸」と「飽和脂肪酸」に分けられる。「不飽和脂肪酸」は曲がった形状、「飽和脂肪酸」は直線状に連なっている。 トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸のような曲がった形状だが、その働きは飽和脂肪酸と同じである。すなわち、不飽和脂肪酸の配列でありながら、不飽和脂肪酸の役割を妨害する脂肪酸であると言える。

 しかし、トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させるという点において、飽和脂肪酸とよく似てはいるが、善玉コレステロールまで抑えてしまうため、飽和脂肪酸よりも体に良くない。善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率は、心血管疾患を発病する危険度を示す重要な目安となる。その反面、相対的に危険性が高いにもかかわらず、加工食品に多量に添加されているトランス脂肪酸は、人為的に作られた加工油脂に含まれているため、おやつの摂取などを調節することで、摂取量を減らすことが出来る。飽和脂肪酸も、やはり一日の摂取熱量基準8%を越えないよう、韓国栄養学会から勧告されており、肉類の取り過ぎなど、高脂肪の食事は避けたほうがよさそうだ。

 トランス脂肪酸を多量に含む食品は、主にマーガリンやショートニングを使った加工食品だ。よく食べられているビスケット、チョコレートのかかったビスケット、ケーキ、ペストリー、クロワッサン、電子レンジ用ポップコーン、ポテトチップスなどだ。

 このように今では、厄介者扱いされているトランス脂肪酸だが、その起源は1869年ナポレオン三世が戦争物資として変質しないバターを作らせ、そのバターの代用品として生まれたのがマーガリンなのである。現代になって飽和脂肪酸とコレステロールが心臓疾患の原因とされるや、それに代わるものとして、トランス脂肪酸が含まれるショートニングとマーガリンが沢山使われるようになった。
しかし、1970年代になると、マーガリンが血中コレステロールを増加させる恐れがあるという研究結果が発表されてからは、飽和脂肪酸に比べて、トランス脂肪酸が及ぼす悪影響の可能性が提起され始めた。1992 年には、飽和脂肪酸よりもトランス脂肪の方が心臓疾患に危険を及ぼすという具体的な結果も確認された。

 トランス脂肪酸の問題点が社会的に注目され始めた決定的なきっかけは、2003年に発表された「オレオ事件」である。この事件は、2003年5月、米国で人気の「オレオ」というビスケットを生産していたクラフト社を相手取りスティ―ヴン・ジョセフという弁護士が訴訟を起こした事件である。彼は、クラフト社がオレオ・ビスケットにトランス脂肪酸が含まれていることを公開しなかったという理由で訴訟を起こした。その結果、クラフト社は、訴訟が提起された二ヶ月後に、自社製品からトランス脂肪酸を全て取り除くことを発表し、その後、2006年1月からトランス脂肪酸の表示が義務付けられた。

 韓国では、この12月から、1回当りのトランス脂肪酸の摂取量の表示を義務付け、0.2g以下は「無トランス脂肪酸」などの表示をしなければならない。しかし、1回当りの分量が、菓子類やチョコレートは30g、パンやドーナツは70g、ハンバーガーやピザは150gと、このように食品ごとに違うため、消費者は一日にどれほど多量のトランス脂肪酸を口にするのか、全て細かく計算しなければならない状況である。

 「トランス脂肪酸の減量」が重要な論議を生む中で、最近になって食糧庁でも、国内外のパン類を対象にトランス脂肪酸を調査した。その結果、トランス脂肪酸はかなり減っており、国内業者よりも輸入業者の製品にトランス脂肪酸が多量に含まれていた。

 しかし、食糧庁の調査結果は、よくよく調べてみると、トランス脂肪酸にだけ目を向けるあまり、その兄弟分である飽和脂肪酸の増加問題は明らかにされていなかった。

 食糧庁の調査結果では、おおよそのトランス脂肪酸が減少していたが、同じ性質を持つ飽和脂肪酸に関しては、全くと言っていいほど、減っていなかった。むしろ、2005年から飽和脂肪酸が増加した製品数がモニタリング製品の種類の半分も占めていた。ドーナツの場合、2005年に比べて、飽和脂肪酸が2倍以上増加した。飽和脂肪酸の健康被害の対策として使われたトランス脂肪酸が、健康に悪いことを知り、再び飽和脂肪酸に乗り換えたのである。

 また、輸入業者の製パン類についても、トランス脂肪が国内より多量に含まれているというが、飽和脂肪酸と比べてみた場合、相対的に国産製品よりも少なく、ペストリーにおける飽和脂肪酸の場合、国内製品が輸入製品に比べて2倍も多かった。

 このような現象が起こったことは、飽和脂肪酸の代用で使われたトランス脂肪酸が実は形状だけが不飽和脂肪酸であるだけで、飽和脂肪酸と全く同じ役割をする「もうひとつの飽和脂肪酸」であったのだが、トランス脂肪酸の使用を減らながら、以前に使用していたパーム油のような飽和脂肪酸をまた使い出したためである。

 様々な健康問題にもかかわらず、トランス脂肪酸を諦めきれない理由は、マーガリンのような固体油脂を使用することにより、ビスケットやクロワッサンのような製品をよりおいしそうに見せることが容易だからである。また、これらの油脂は特有の香ばしい香りと味を出すことから、韓国の消費者に好まれている。そして、このような製品は流通期間が長く、揚げ油として使用する場合、何度も繰り返し長期使用することができるためだ。

 トランス脂肪酸は、運動を通じて減らすには限界がある。それゆえ、摂取量を最小に抑えることが最善だ。摂取量を調整するために菓子類やドーナツなどのトランス脂肪酸を正確に表示し、消費者はこれに対する情報を知ることが大切である。トランス脂肪酸“ゼロ”を謳った製品であっても一日にどれくらい食べるかによっては“ゼロ”ではなくなり、トランス脂肪酸が少ないといってもその性質が似通った飽和脂肪酸の危険性は残り、安全とはいえないのが実情である。

【筆者】キム・ミソン / 環境正義 / 寄稿 /  [K07082202J]
【翻訳】全美恵]]>

“グリーンGDP”プロジェクト、報告の公表は“無期延期”に

「自然の友」が論評、グリーンGDP計算体系の堅持に、環境保護関係各界の責任は重く、道は遠い

中国全土 7月23日、中国の《新京報》によると、“グリーンGDP”研究プロジェクトの技術グループ長、王金南氏は、ただ一度の正式な報告を公表しただけの“グリーンGDP”プロジェクトは、始動からたったの3年で、すでに報告公表の“無期延期”を言い渡されたことを明らかにした。これに対し、「自然の友」は以下の論評を発表した。

グリーンGDP計算体系の堅持に、環境保護関係各界の責任は重く、道は遠い

 3年前のグリーンGDPの登場は、間違いなく、わが国の環境保護政策におけるひとつの進歩であった。また、そこには、持続可能な発展を、理念から少しづつ実践に移そうとするわが国政府の決心と努力を十分に見て取ることができた。いまや、グリーンGDP報告は浅瀬に乗り上げ、残念な気持ちを禁じえない。しかし、今最も重要なことは、グリーンGDP報告の公表期日を繰り返し質問することではなく、いかにグリーンGDP計算体系を完全なものに近づけ、その影響を確実なものにするか、に注目することである。

 わが国社会の持続可能な発展に対し、グリーンGDPが果たす積極的な作用は明らかであるが、かといって、わが国が持続可能な発展をとげる社会を実現する過程で直面するすべての問題を、それにより解決できるわけではない。グリーンGDPの理論は複雑で、市場経済環境の中で、貨幣を評価基準とするグリーンGDPシステムは、ひとまとまりの仮定に基づいて計算されるため、 将来の実施過程では多くの問題に直面することになろう。このことは私たちに以下の注意を呼び覚ます。グリーンGDP計算体系を進めるにあたり、グリーンGDPは重要な構成部分ではあるものの、環境コストのすべてを反映することはできないということ。また、私たちは同時に、汚染事件の統計・生物多様性指数・国民の身体健康レベルと生命の安全調査など、その他の計算手段を重視し、研究に尽力すべきである、ということ。

 目下、わが国ではGDP至上主義が依然として主流を占めている。グリーンGDPの試みは、持続可能な発展の理念を政府管理の中に内在化するものである。この方向を継続していくことでのみ、“GDP崇拝”から脱却しようとする努力も、効果を生み出す可能性が芽生えるのである。グリーンGDPの一時的な停止は、中国の環境保護新政の責任は重く、道は遠いことを示している。国家の持続可能な発展のため、私たちはグリーンGDP計算体系の研究と実践を堅持し、評価システムの各種の理論研究・検討・試みはすべて継続的に強化すべきであって、「一時停止」を「永遠に停止」にしてはならない。

 私たちは社会の各界に対し、グリーンGDPに注目するよう呼びかけたい。政府・研究機関・民間組織などの社会の各方面が心をあわせて協力し、ともにグリーンGDP計算体系を継続して発展させていこう。それはただのはじまりであって、環境保護の道を進むために、私たちは更に多くの努力を払わなくてはならないのだから。(2007年8月2日)

【筆者】康 雪(KANG, XUe) / 自然の友(Friends of Nature) / 寄稿 /  [C07082201J]
【翻訳】中文和訳チームC班 松江直子]]>

首都圏の競争力が韓国の競争力?

韓国全土 去る5月、統計庁は「都市別将来人口推計」を発表した。この推計資料によると首都圏の人口集中現象がますます深刻化する2030年には、全人口の54%が首都圏に居住することになるという。

 またソウルの人口は減少すると見込まれるが、京畿道と仁川広域市の人口は増加し、その減少分を相殺するのに十分なものであり、仁川広域市に至っては、釜山広域市を追い越し韓国第2の都市として浮上するだろうと予想された。

 単純に国土の面積と人口の数を比較してみると、世界の人口密度平均として1k㎡範囲内に40名ほどが暮らしている時、韓国は同面積に450名が暮らしている計算となる。しかし現実に帰ってみれば、これさえも夢の広さである。

 なぜならば、国土面積の11%にしか満たない首都圏に人口の半分が暮らしているためである。残念ながら、このような統計は、首都圏をさらに広げなければならない根拠として挙げられることにもなり得る。だが首都圏をより広げることが解決策であろうか?

 韓国は全人口の48%、公共機関の85%、医療機関の50%、大学の65%が首都圏に集中している世界に類のない人口集中の激しい首都圏構造をもっている。私たちは、とうに限界を超えた大勢の人と産業が集中している首都圏の問題について知らない、とは言えない。交通渋滞やさまざまな環境問題、そして土地と住宅など不動産の暴騰問題…人と自然の共存はおろか、人と人との共存さえ難しくなった空間…首都圏の過密による地域の疎外と沈滞、空洞化現象…

 その上、ソウルの外郭をぐるりと取り囲んでいた緑のベルトは「開発」にその座を譲って久しく、現在は首都圏の唯一の源である上水源保護区域さえ追い出されてしまった。

 今日、首都圏の競争力が韓国の競争力だという話をあちこちで聞くことができる。首都圏規制緩和の声がまさにそれである。現在、首都圏に集まっている資本と施設をうまく活用すれば、効率的で今以上に早く成長するという論理である。したがって、何であろうと豊かに暮らすには「開発」に譲歩しなれければならないと主張する。それが生命と健康でも…この論理は、60年代の経済開発論理となんら相違ない。

質問に戻ってみよう
 首都圏の問題は、首都圏をより広げることによって解決するだろうか?
 首都圏に投資されるインフラは、さらに多くの人を引き寄せ、その人々の為に、さらに多くのインフラが提供される循環が続いたなら、首都圏の問題は解決されるだろうか?

 そうではなければ、この循環が悪循環なら、その環を断ち切らなければならない。

 2030年頃には、首都圏の生活レベルは高くなり、地域に於いて裕福な生活を送っている、そんな韓国の姿を想像してみる。いや一緒に作っていこう!

【筆者】緑色連合(Green Korea) / 緑色連合(Green Korea) / 寄稿 /  [K07082201J]
【翻訳】林里美]]>

残暑が猛威を振るう~観測史上最高気温も更新

立秋を過ぎて益々暑さが厳しくなっている。

日本全土 東京では梅雨が明けた8月以降、全くと言っていいほど雨が降らなくなり、代わりに連日の猛暑続き。最高気温は8月1日から連続して30度以上となっており、最低気温の方も8月2日から25度以上が続く。天気予報でも「寝苦しい夜」というのが常套句になっている。最高気温が35度を超える猛暑日については、東京都心で8月16日までに4回を記録し、なお続きそうな見通し。皮肉なことに立秋を過ぎて益々暑さが厳しくなっている。

 ヒートアイランド現象との相乗効果で、体感温度としてはもっと高いものと思われるが、東京のこの数字上の気温は、全国的にはまだまだ低め。気象庁の観測によると、8月16日の14時20分、岐阜県多治見市で遂に最高気温40.9度という空前の数字が出た。(14時42分には、埼玉県熊谷市も同じく40.9度を記録) これまでの観測史上最高気温として実に74年間破られることのなかった、1933年7月25日の山形市での40.8度の記録を抜いてしまったのである。

 ここ数日、本州上空は強い勢力の太平洋高気圧に覆われ、埼玉、群馬の両県内では、15日の夜から16日の朝にかけ、熱中症のために高齢者らが亡くなる事態にまでなっている。群馬県館林市では、15日に40.2度を記録したばかり。埼玉県の小川町では、同町の小川町駅(東武東上線)付近で線路がずれてしまうトラブルも発生。暑さによってレールが50mにつき約10cm伸びたとされている。

 暑さ対策はいろいろあるが、エネルギーをあまり使わずに済む知恵・方法を優先させたいもの。打ち水や屋上緑化などは手軽に取り組める例としてこれまでも紹介してきた通りである。壁面緑化も有効だが、アサガオやヘチマといったツル性植物を建物の壁面にはわせる「緑のカーテン」は、地域志向の壁面緑化運動という点で新しい。昔の生活様式の中に見倣う点は多々ある。緑のカーテンもその好例と言える。

 ただし、ここまで暑さが高じると、打ち水も緑化も、相応の効果を上げられない可能性がある。家庭や地域での取り組みに無力感が増しそうなこの猛暑。こうなると、何とか降雨に期待して、天然の打ち水でクールダウンも期待したいところだが、逆に豪雨などで苦しむ国や地域があることもまた事実。世界的な気象・気候のバランスをいかにして元に戻すか、が今改めて問われている。

(参考URL)
・緑のカーテン応援団
 http://www.midorinoka-ten.com/


緑のカーテン

【筆者】冨田 行一(TOMITA. Koichi) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J07081701J]
]]>

公共建築物で温度測定、環境NGO連合が夏の氷の家を探す

環境NGOが北京の街頭に繰り出してホテル等の室内温度を測定し、“26度” 温度制限省エネ政策の成果を検証した。

北京市 8月13日は中国の旧暦で中伏(夏至後第四の庚の日から立秋後の最初の庚の日の前日まで)の最後の日である。北京地球村、世界自然基金会、自然の友、緑色和平、エネルギー基金会、北京富平学校、保護国際、中国国際民間組織合作促進会、及び中国環境文化促進会等の環境NGOの職員が北京の街頭に繰り出し、ボランティアと共にホテル、レストラン等の公共建築物の室内温度を測定し、“26度” 温度制限省エネ政策の成果を検証した。加えて、普段の生活で適切なエアコンの設定温度と省エネを市民に呼びかけた。

 エアコン温度設定キャンペーンは、7月に開始した“省エネ20%市民運動”では初めて複数の環境NGOが共同で行なった活動である。温度測定チームはそれぞれ北京、上海、鄭州、青島、重慶、合肥、温州、香港等の商業区で一斉にキャンペーンを開始した。北京では4組の温度測定チームが王府井大教堂から出発して、それぞれ西単、王府井、国貿と亮馬河の4つのエリアの主なホテル、レストラン、オフィスビル、デパートの室内温度の測定を行なった。

 3時間の温度測定活動を経て、4組の温度測定チームは王府井、西単、国貿、亮馬橋等の商業区で16の公共建築物で測定を行なった。一部の場所で室内温度が26度を下回ったものの、大部分の公共建築物で国務院の『民間建築物省エネ条例(草案)』にある夏場の公共建築物内のエアコン温度を26度以上にするという規定が厳格に守られていたことは喜ばしいことである。

 周知の通り、エアコンはかねてから夏の大量エネルギー消費の原因となってきた。エネルギー問題が日増しに深刻化する今日において、エアコンの効率的な使用は大きな経済的意義を持つだけでなく、決して無視できない環境的意義を持っている。国は第十一次5ヵ年計画の中で、単位GDP当たりのエネルギー消費量を20%削減という壮大な目標を掲げているが、中国はまさに高度経済成長期にあり、この目標の実現への責任は重く、その道のりは長い。このため、全市民が省エネに参加し、全社会で共に努力していくことが、中国の省エネと排出抑制戦略にとって非常に重要な意義を持つ。エアコンの設定温度を上げることはささいな行動だが、全市民が参加することで環境を大きく変化させることができる。

《省エネ20%市民キャンペーンの背景紹介》

 “省エネ20%市民キャンペーン”は各地の環境NGOが共同で発足した、エネルギー消費の少ないライフスタイル、消費スタイルの提唱を中心とする市民共同キャンペーンである。国がすでに実施している各種省エネ政策及び措置に合わせ、実用的な省エネ手段の提唱やエネルギー消費ラベルの普及、エコ外出、エコ照明等の一連の活動を展開している。科学的手法により全体的な省エネ効果を推計し、2008年のオリンピックに向け中国市民のエネルギー、環境、気候変動などの問題に取り組む決心と、2010年までに中国の消費エネルギー20%削減という省エネ目標の実現に貢献すべく民間の知恵を示していく。

参考:“省エネ20%市民キャンペーン”公共建築物の温度測定結果

場所 平均温度 時間
王府井エリア 新東安商場 25.6 13:36
工美大厦 25.3 13:57
東方君悦 24.1 14:20
東方新天地 26.2 15:15
北京飯店 26 15:30
国貿エリア 国貿西楼二階飲食エリア俏江南 27.9 14:20
国貿13楼22層オフィスフロア26.2 14:50
凱徳大厦 22.1 15:25
招商局大厦 27.6 16:25
亮馬橋エリア 長城飯店 25 14:00
亮馬河 26.1 14:20
燕莎ショッピングセンター 25.6 14:45
如家酒店 24 15:15
西単エリア 中友百貨二階 24.3 13:50
中友百貨四階23.3
君太百貨一階 24.4
君太百貨最上階24
西単商場一階 25.6
西単商場最上階23.9
時代国際一層26.7 15:25 
時代国際二層25.9

【筆者】張 凱 / 北京環境友好協会 / 寄稿 /  [C07081501J]
【翻訳】中文和訳チームB班 上田知子]]>

届かない声を上げ続ける「江陵チュム村」を訪れて

豊かな漁場、汽水湖

江原道 「鏡のように澄んでいる」ことから名付けられた鏡浦湖には5つの月が浮かぶ。夜空に浮かぶ月、湖に映る月、そして酒杯と海、恋人の目にも月が浮かぶ。鏡浦湖は水深が浅いため、これまで溺死事故が起きたことがない。食料が少ない季節も、そこで捕れる魚介類で乗り越えられることなどから人々に有益な湖とされ、君子湖とも呼ばれた。景色のいい場所や海岸、渓流に12軒もの見物小屋が建てられるほど景色がすばらしい。しかし、雁峴洞、苧洞、草堂洞にわたる自然の潟湖で、江門橋をはさんで淡水と海水が混ざり合う鏡浦湖の全周は、かつて12キロメートルだったが、現在は3分の1に縮小して4キロメートルに過ぎない。各種の排水によって鏡を思わせるほど澄んでおらず、渡り鳥もほとんど見られなくなった。以前のような趣やロマンは姿を消してしまった。

 鏡浦湖は潟湖の価値が周知されるまでは全く管理されてこなかった。そして、政府の政策によって管理法案が準備されているものの、以前の景観と機能を取り戻すにはあまりに長い時間が経ってしまっている。

松岩川を守る人々

鏡浦湖に流れ込む河川の中で、唯一残っている1級河川・松岩川

 この川は江陵市大田洞に位置するチュム村から流れてくる。村の住民は昔から河川を大切に守るため努力をしてきた。2002年に台風15号(Rusa)が村を直撃したときも、住民は川を元通りにしようと防護壁の代わりに自然の石を1つ1つ積み重ねた。松岩川の源流から鏡浦湖までの距離は約6キロ。指標種となるザリガニが消息できるほど澄んだ水が流れている。

そんなチュム村に建築廃棄物処理場が建設されるという。住民との話し合いはまったく行われずに決定された。住民を買収するためにお金と7年もの歳月をかけて準備してきた建築廃棄物処理場のせいで、静かだったこの村は一瞬にして闘争の場に変わった。

 地域の市民団体や周辺地域が団結して立ち向かうのではなく、チュム村の住民約70人のみが川を守るため1日12時間近く、太陽の下で届くことのない声を上げている。

きれいな自然環境を守る努力が「罪」

 朝早く起床した老人が急いだ様子で帽子をかぶり、長靴をはいて村の入口に集まる。農村の日常的な朝のようだが、彼らは田畑ではなく山の中腹に登る。建築廃棄物処理場の作業を防ぐためパワーショベルに登って叫び、一方では業者との摩擦が続いている。もう2ヶ月も日常のように繰り返されている。

 誰が彼らをここまでさせるのだろう。60~70歳を過ぎた彼らがなぜ闘争の現場に立ち、闘わなければならないのか。多くのことをないがしろに考える自分自身が恥ずかしくなるほど、彼らの目には若さがあふれている。江陵市だけでも3ヶ所ある建築廃棄物処理場は稼働率が低く存続の危機にあるが、この清らかな村に作られた理由が何なのか住民は理解できない。

 現場を見に行った私に向かって、「きれいな自然が罪だ!」、「きれいな心を持つことが罪だ!」と叫ぶ年老いた女性の声をいまだに忘れることができない。きれいな自然を守る人が被害を受けなければならない世の中。私たちは、彼らにどんなこだまを響かせてあげるべきなのか深く考えてみる必要がありそうだ。

【筆者】チョン・インチョル / 緑色連合 自然生態局(Green Korea) / 寄稿 /  [K07081301J]
【翻訳】小池 貴子]]>