ひょうごから洞爺湖へ―G8環境大臣会合をめぐる市民の動き

G8環境大臣会合に市民の声は届いたか

兵庫 7月7日から始まる北海道洞爺湖サミットに向けて、日本各地でG8の各大臣会合が開かれている。今回のG8サミットは環境問題、とりわけ気候変動問題に焦点があたっていることもあり、5月24日から26日にかけて兵庫県神戸市で開催されたG8環境大臣会合に注目が集まった。

 G8環境大臣会合での主要なテーマは、気候変動、生物多様性、3Rの3つ。それぞれのテーマで活動しているNGOや市民の声を、G8環境大臣会合に反映させようとNGO・NPO国際シンポジウム「ひょうごから洞爺湖へ持続可能な未来を目指して!―地球市民社会からのメッセージ」(主催:「NGO・NPO国際シンポジウム・交流の広場」実行委員会)が5月23日に神戸国際会議場にて開催された。

 冒頭、2008年G8サミットNGOフォーラム副代表の鮎川ゆりかさんが、「G8環境大臣会合に何を期待するか?」と題するキーノートスピーチを行い、2008年という年の重要性を指摘。G8サミット最大の課題である気候変動問題について、日本政府は、①日本として、地球の平均気温上昇を工業化前に比べ、2℃未満に抑えるビジョン(10-15年以内のピークアウト、2050年の日本の目標)を出し、それに基づく、2020年中期総量削減目標を示す、②それに向けた実現可能な政策手法を示す、③2013年以降の国際的取り決めに、新興途上国が持続可能な発展の文脈での参加を促すための、十分な技術・資金援助の約束、の3点を示し、G8での合意を導くべきと語った。

 その後、海外ゲストを交えた、気候変動、生物多様性、3Rの3つのセッションで議論が交わされ、いずれのテーマについても、議長国であるだけでなく、重要な責任を有する立場にたっている日本政府の強力なリーダーシップを求める声が相次いだ。

 シンポジウムの最後には、G8各国の首脳への具体的な行動を起こすことを強く求める「NGO・NPO国際シンポジウム」環境NGO兵庫宣言が採択され、環境大臣会合において発表された。

 G8環境大臣会合でまとめられた議長総括で、2050年に温室効果ガスを半減することを真剣に検討するとした2007年のハイリゲンダム・サミットの合意より踏み込み、「北海道洞爺湖サミットで……長期目標の共有ビジョンに合意する強い政治的意志が示された」と明記された。また、「神戸・生物多様性のための行動の呼びかけ」と「神戸3R行動計画」の2つの文書もG8各国の間で合意された。

 私も「NGO・NPO国際シンポジウム」では、3Rイニシアチブのセッションに参加し、日中韓の環境NGOによるE-waste問題による取り組みについて発表をした。議長総括で「開発途上国では電子電気廃棄物などの使用済み製品の不適正な処理及び船舶の不適正な解体によって深刻な環境・健康影響が生じていることへの配慮が示された。」という文言が入ったことは評価できるものの、続く文章で「一方、それらのものには潜在的に資源価値があることも認められた。3Rイニシアティブとバーゼル条約の更なる連携が、開発途上国の適正な廃棄物管理の能力構築を促し、適正な国際資源循環を推進することへの期待が示された」と続く。

 今後、それぞれのテーマで活動するNGOは、こうしたG8での合意が、G8各国以外の国々の市民を考慮したものであるかどうかを丹念にレビューし、7月のG8サミット本番に向けてさらなる声をあげていくことが求められるだろう。

(参考URL)
・G8環境大臣会合 議長総括(英文)(環境省)
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11484&hou_id=9764

・神戸・生物多様性のための行動の呼びかけ(英文)(環境省)
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11486&hou_id=9764

・神戸3R行動計画(英文)(環境省)
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11493&hou_id=9764

NGO・NPO国際シンポジウムの様子(提供:グッドニュースジャパン)

【筆者】廣瀬稔也(HIROSE,Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J08053002J]
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民間の大きな救援の力、各界の人々が地震災害救援に参加

地震発生後、多くの人々が動き、多くの信頼関係・協力体制が築かれるきっかけが生まれた。

中国全土 「5・12」の汶川地震から2日後、50歳の王文忠はすぐに被災地へと向かい、救援活動に身を投じた。王文忠氏は北京で小さな皮製品店を経営しており、救援の知識はないとしながらも、「被災者への奉仕にはなんの妨げにもなりません」と語った。

 さらに、河北棗強県芍薬村の農民14人と北京梁漱溟郷村建設センターの大学生ボランティア10名が王文忠氏とともに被災地へと向かった。時間がなく、彼らは十分な準備を行うことができなかった。救急などの知識は、成都へ向かう飛行機の中で学んだ。王文忠氏は自動車三台をレンタルし、綿入れの衣服926枚、テント70張り、布団2,000枚を運んだ。

 彼らは元々被害の大きい綿陽へ向かう計画だったが、適当な交通手段がなかったため、急遽予定を変更し、彭州県及び都江堰の向娥郷へと向かった。地震では、向娥郷の家屋90%が倒壊し、400人以上が死亡し、1万5千人以上の被災者が帰る家を失った。そこで、救援部隊はすぐに向娥郷に救助ステーションを設置した。

 一週間の間に、救援部隊は向娥郷に100以上のテントを設営した。彼らは義捐金を集め、被災者を訪問し、物資を支給し、高齢者と子どもを慰めた。彼らは「梁漱溟郷村建設センター」の趣旨のもと、活動を行い、村民たちは外部からの適切な救援を受けつつ、自己救済を行っている。

 ボランティアの白亜麗氏は、「私たちが行っていることは小さなことですが、忍耐が必要なのです」と語った。村民の食事はご飯一碗のみのため、「争いが起きないよう、秩序の維持に努めているのです」。

 すでに退職した周忠民氏もこのような考えに同意している。地震が発生した時、彼は四川地区で農村の教育情況を視察していた。彼は、「救援活動には、小さなことはしたくないという人間は必要ありません」と語った。途中にある救助ステーションで、周忠民氏と他のボランティアは1,000人以上の被災者のためにポット40本以上のお湯を沸かした。「彼らは非常にのどが渇いているのです」。

 5月15日、北京一六八模板公司は64万元以上に相当する物資を寄付し、再建救助隊員40名を阿壩被災地に派遣した。

 彼らの後ろには、大きな民間の救助の力があり、各界の人々がその中に身を投じている。

 5月12日、北京の8つの民間機関が連携して、「小さな行動+多くの人=大きな違いを生み出す」という救助活動を立ち上げた。

 5月18日までに、活動に参加した「緑家園」ボランティアは46,097元を集め、救援物資を購入した。その中には四川の人が好んで食べる豆瓣醤6ケースも含まれている。「緑家園」責任者の汪永晨女史は、「これらのことは取るに足らないかもしれませんが、これこそNGOが得意とすることなのです」と語った。

 彼女は、「中国のNGOは、経験したことのない困難にどのように立ち向かうか、を学んでいるところなのです」と語った。

 5月13日、成都の「Roots & Shoots」、「1kg More(多背一公斤)」、NGO CNネット及びその他いくつかの民間組織が連合救援行動を実施することを決定した。「1kg More(多背一公斤)」の責任者である安猪氏は、「我々の機関の規模は小さいですが、それぞれの業務拠点があります。私たちが協力すればより大きな効果を挙げることができるでしょう」と語った。

 翌日、彼らは成都で「5.12地震災害救援行動」連合事務室を設立し、全国の民間組織の救援活動の統合に努めた。

 安猪氏は、このような新しい運営モデルは、中国の民間組織が成熟へと向かっていることを表している、と考えている。中国が今年1月に大雪の災害に見舞われたとき、貴州省の民間組織も同様の行動を行った。しかし、連合事務室の張国遠総調整員は、「今回の協力の規模は、より大きくしなければなりません」と語った。

 現在、全国120以上の民間組織が加わっている。全国本部として、成都連合事務室は、第一線での調査、情報収集、物資調達交通運輸などの一連の業務を指揮している。

 NGO CNネットのフォーラムでは、毎日救援行動の最新進展情報が公表され、激しい議論が行われている。連合事務室には毎日50万~60万相当の物資が届けられているが、協力は簡単ではない。例えば、成都連合事務室とその他参加機関の情報交換が十分に行われていないため、誤解が生じている。安猪氏は、「上手く行き出すには、もう少し時間が必要です」と語った。

 草の根組織のほか、民間公益組織の基金会も救援活動に参加している。友成事業家貧困扶助基金会は、5月14日に「地震救援グリーン通路」をスタートさせた。申請が認可されれば、公益組織は5日以内に30万元のプロジェクト資金の申請が可能になる。南都公益基金会も公益組織の被災地救援に1,000万元の資金援助を行うとしている。

 今までの二週間で、政府と民間組織は信頼関係を築き始めている。「新駝峰行動」を立ち上げた複数の上海民間組織は、現地の民政部門は民間組織による被災地への物資輸送を十分に支援している、と語った。

 しかし、情況が把握できず、経験も不足していたことから、救援過程で民間組織に混乱が生じた。北京の環境保護団体「自然の友」の梁曉燕執行理事は、メディアのインタビューに答え、「ひとたびこのような情況になると、みんな頭のないハエのようになってしまいます」と語った。省外からのボランティアが多すぎるため、四川省は時間をおいて来てもらえるようボランティアたちに求めている。

 北京光華慈善基金会の李志剛理事長は、民間組織の地震災害救援は長期的なものになり、救急、ハード再建、ソフト面の建設、災害救助メカニズムの整備など四つの段階で役割を発揮できると考えている。

 話は、医学救援、浄水供給、孤児への配慮、心理カウンセリング、公衆救助の常識普及などの実行可能な19項目の業務に及んだ。「各民間機関が各自の業務の重点を見つけ、その重複を避けるべきです。そうしなければ、資源の浪費になってしまいます」。

 「緑家園」の責任者である汪永晨氏は、「地震救援は中国に民間組織に成長のチャンスを与えているのです」と語った。

 中央組織部の欧陽淞副部長は、26日、ニュースリリースで、今回の地震災害救援では様々なボランティア組織が重要な役割を果たしているとし、「様々なボランティア組織の健全な発展を育成、奨励、支援し、経済・社会発展への奉仕、調和の取れた社会の建設推進といった分野で積極的に役割を発揮させることは、我々党と政府の一貫した政策です」と語った。

 清華大学NGO研究所の王名教授は、もっと多くの専門のNGOが現場に駆けつけて救援に参加することができれば、さらに政府の救援との協力体制を築くことができるだろう、と考えている。

 汪永晨氏は、「中国には『お金があるならお金をだそう、力があるなら力をだそう』という言葉があります。これを再考し、組織的に自身の優位性を発揮したいと思います。このような大災害では、これが軽視できない力となります」と語った。

【筆者】宫 一栋(新華社記者) / 環境友好公益協会(EnviroFriends) / 転載 /  [C08052802J]
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環境NGO自然の友が“浄水援助”活動を開始

大地震災害発生後、被災者は食糧、医薬品不足や帰る場所がないなど多くの問題を抱え、さらに生活飲用水供給の困難にも直面している。

四川省 ”5.12″汶川8級特大地震災害発生後、被災者は食糧、医薬品不足や帰る場所がないなど多くの問題を抱え、さらに生活飲用水供給の困難に直面している。内陸に送られた大量のペットボトル水は一時しのぎでしかなく、プラスチックゴミ問題などを引き起こしている。ここにきて、環境NGO自然の友連合中国脱塩協会、沃特徳環境保護設備有限公司は共同で“浄水援助”活動を始め、被災者に浄水設備を提供している。

 北京沃特徳公司が生産した浄水設備は簡単かつ有効に汚水処理ができ、一台で毎日1,000~2,000人の飲料水需要に応じることが可能、一時的に被災者の水問題を改善できるほか、復興再建、再建後の正常な生活回復など長期にわたる一定期間、被災者のために安全で健康かつおいしい飲料水を提供できる。

 22日までに多方面からの努力でこの活動はすでに4台の大型浄水設備(市場価値にして20万元)を調達しており、26日にはボランティアの支援で卧龙保護区と什邡市の师古鎮に向けて発送され、早くも今週には被災者の集中している地域に到着、使用される。

 現在自然の友は浄水設備が必要とされる地域30箇所あまりの情報を入手しており、第2弾として17台の寄付を計画している。浄水設備は市場価格にして1台51,000元、北京沃特徳公司はコストが1台23,500元する商品を寄付する。社会全体が“浄水援助”活動に参加する中で、より多くの被災者が早く安心して水を口にできることを願っている。

 自分から汶川までの善行の道はそれほど遠くない、みんなでともに協力し合い、手を携えていこう!

 寄付志願者はぜひご連絡ください:

 自然の友 発展協力部主管 李健(電話:010-65232040/5120929/65120937/65120827転送807/808,メール:jian@fon.org.cn)。

 自然の友が団体名義で浄水設備を被災地に送ることを約束いたします。

 より詳しい情報は自然の友ホームページへ http://www.fon.org.cn/

 北京沃特徳環保設備有限公司 http://WTD315.home.shangdu.net/

【筆者】康雪 / 自然之友(Friends of Nature) / 寄稿 /  [C08052801J]
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中国政法大学汚染被害者法律援助センターが日経アジア賞を受賞

アジアの人びとの生活を豊かにするうえで功績があったとして、中国政法大学汚染被害者法律援助センターが第13回日経アジア賞を受賞した。

東京 中国政法大学汚染被害者法律援助センターは、中国で多発する公害による被害者の法律相談や訴訟支援を通して、環境法の順守や環境意識の向上を図る団体だ。このたび、1998年から続けてきた活動が評価され、第13回「日経アジア賞」を受賞した。

 日経アジア賞は、アジアの人びとの生活を豊かにするうえで功績のあった人や団体に贈られる。5月21日、都内で同賞の表彰式が行われた。審査委員長を務める日本経団連名誉会長の豊田章一郎氏は、同センターの受賞の理由を「年間数百件にも及ぶ電話相談を通じて、間接的に社会の安定にも寄与している。黄砂や温暖化など、国境をまたいで発生する環境問題に対して、国際的な責任を果たそうとする姿勢は素晴らしい」と評価した。

 同センター代表の王燦発氏は「大学の一教授としてボランティアを集め、公害被害者の権益のために働いてきただけなのに、今回このような素晴らしい賞を受賞し、感激でいっぱい」と喜びの言葉を述べた。王氏のスピーチによると、同センターの活動は中国の環境法の制定にも影響を及ぼし、昨今では、行政の違法企業に対する取り締まりも厳しくなっているという。被害者利益への配慮がなされるようになってきたことを、肌で感じているそうだ。

 筆者が2004年に北京の同センターを訪れたとき、王氏は「センターを立ち上げたことで多くの相談を受けるようになり、そのいくつかは訴訟問題にまで発展してモデルケースとなっているが、まだまだ数は少ない」と説明してくださった。その後、多くの支援者とともにさらなる熱意をもって活動を継続したことが、今回の受賞へと結実したのであろう。これまでの努力にあらためて敬意を表したい。

 だが一方で、中国国内での環境はむしろ悪化している。王氏もそれは認識している。「一連の環境法を制定してきたにもかかわらず、環境は悪くなっています。法の執行が不十分だったかもしれません。これからは、法の執行を促す努力がいっそう必要だと思います」と今後の課題を述べた。

 折しも中国社会は現在、四川大地震の被害と向き合っている。王氏は副賞の300万円を被災者のために寄付するそうだ。今後は災害による補償問題に関しても、相談が多数あるかもしれない。いっそうのご活躍を祈念している。

 第13回の日経アジア賞は、中国政法大学汚染被害者法律援助センターのほかに、インドの科学者C.N.R.ラオ氏と、韓国の俳優 安聖基(アン・ソンギ)氏に贈られた。

中国政法大学汚染被害者法律援助センターで電話相談を受け付ける王氏(2004年筆者撮影)

表彰式での王氏(中央)

【筆者】山本千晶(YAMAMOTO,Chiaki) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J08052302J]
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「エコ・ファースト」始まる

環境省の新制度「エコ・ファースト」は業界のトップランナー企業を応援する試み。環境への取り組みを日本全体で底上げするのがねらいだが。

日本全土 企業が環境大臣に対し、京都議定書の目標達成に向けた地球温暖化対策など、自らの環境保全に関する取り組みを約束する「エコ・ファースト制度」が環境省の単独事業として今年4月からスタートした。

 個々の商品やサービスに対してのお墨付きでは、その認定や経過チェックなどに手間がかかる上、不義不正があった場合のダメージは大きい。そこで企業の環境への取り組みそのものを評価するための制度が生まれるに至った、と考えることができる。再生紙や再生プラスチックで偽装が発覚し、環境省が中心になって進めてきた「グリーン購入」に逆風が吹いたことを受けての、正に環境政策の再生策ともとれる取り組みと言えなくもない。

 エコ・ファースト制度は、企業側がまずその制度を自社で創設する必要がある。その前提として、(1)京都議定書の目標達成に向けた地球温暖化対策などの目標を掲げるとともに、その目標や取り組みに業界のトップランナーとしての先進性、独自性を持たせる、(2)全国の模範となる環境保全に向けた取り組みを行う、(3)約束した取り組みの推進状況の確認を行う仕組みを設け環境省への報告か公表を行う、この3つを約束する。

 環境大臣に対して、この「約束」を行うことでその企業に対して「エコ・ファースト・マーク」の使用を認める、というのがその主旨。認められた企業は、店頭や広報紙上などでそのマークを用いることが可能になり、先進性をアピールすることができる。逆に、約束に違反した場合は、マークの使用が取り消され、マイナスイメージのもととなるため、自覚と責任が伴うことになる。

 制度の第1号として、株式会社ビックカメラ(本社 東京都豊島区)から「エコ・ファーストの約束」が提案され、その「約束式」が4月16日(水)に行われた。同社はこの記事《http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07072702J》にもあるように、業界(量販店)ではもともと先駆的だが、今回は特にレジ袋の削減や梱包材の徹底したリサイクル等について約束している。すでに店頭、チラシ、TVコマーシャルでは、「洞爺湖サミット応援」のフレーズとともに、省エネ製品への買い替えを促す「エコ・ファースト ポイントキャンペーン」(省エネ性能に応じてポイントを加算)を実施。マークを最大限活用している。

 第2号は大手スーパーのユニー株式会社(本店 愛知県稲沢市)。約束式は4月21日に行われた。同社は、食品廃棄物の発生抑制(発生原単位を用いた削減目標を業界に先駆けて導入)や自社で排出される食品廃棄物の「リサイクルループ」の構築等に取り組むことを約束した。

 環境活動のトップランナーと目される企業の自主的な取り組みを後押しするものとしては「環境保全に向けた取組に関する協定」(モスフードサービス(ファストフード)、ローソン(コンビニエンスストア)の2社)、「循環型社会の構築に向けた取組に関する協定」(イオン(チェーンストア)の1社)といったものがすでにあるため、今回のエコ・ファースト制度と混同しそうだが、原則として業界ごとに1社ずつを選ぶ点が異なると言えば異なる。

 業界により取り組みに温度差があるところを、一点突破的に各業界から1社、という選び方はある意味、斬新ではある。今後、計100社を目標に選んでいく方針とのことだが、第1号の約束から1カ月以上が経過するも、その後、第3号・4号の話は聞かない。

 足並みを揃えたがる業界においては、業界秩序のようなものが優先され、取り組みが進まなくなることも考えられる。また、一社が取得してしまうことで、他の企業はむしろ取り組まなくなる懸念もある。逆に競争の激しい業界では、約束取り付けの一番手を目指すために、無理を押したり、拙速な取り組みを進める可能性も出てくるだろう。

 環境ラベルの氾濫についてはこれまでも多々指摘があったが、そんな中で今回またしても新たなマークが誕生したことになる。今後、他の省庁が似たような制度を始めたり、業界独自のマーク制定の動きが出てきたり、ということも考えられなくもないが、ラベルやマークはあくまで目安。後世に伝えたいと思う、より良い商品やサービスを自らの感性と鑑識眼で選択するのが賢い消費者の基本であることは今も昔も変わらない。

 なお、環境省が情報提供する「環境ラベル等データベース」《http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/f01.html》を見ると、いかにいろいろな標示が存在するかがわかると思うが、あいにくと「エコ・ファースト」のマークはまだ掲載されていない。

参考URL)

・エコ・ファースト制度について(環境省)
 http://www.env.go.jp/guide/info/eco-first/

・ビックカメラ 「エコ・ファースト」の約束
 http://www.biccamera.co.jp/shopguide/report/eco_first/index.html

・ユニー 「エコ・ファースト」の約束
 http://www.uny.co.jp/corporate/torikumi/eco/event/ecofirst.htm

これがビックカメラの約束書き

「洞爺湖サミット応援」は、エレベーター扉を大々的に使ってアピール

【筆者】冨田行一(TOMITA,Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J08052301J]
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南都公益基金会が1000万元出資

被災地の救済と再建に参与する公益団体をサポート

中国全土 南都公益基金会は、民間公益団体の力を発揮し、政府の被災地支援活動をサポートするため、緊急に1000万元の専用資金を手配した。資金援助と専門知識により被災地の救済と再建プロジェクトを展開する。これはブン川地震発生後、公でない基金による寄付金としては最多の額である。

 地震発生後、南都公益基金会はすぐに行動に出た。5月13日には主要な公益団体に連絡をとり、被災地の救済と再建のための《中国民間団体震災救援行動連合声明》活動を発足。多くの民間団体が積極的にこの活動を支持し、これまでに120の団体が呼びかけに答えた。(http://www.nandufoundation.org/zhenzai.asp)

 この連合声明は、中国の民間団体が社会の第三セクターとして初めて危機に対する関心と配慮を総合的な形で表明し、実際に行動をとることにより、国の難事の解決に貢献するものだ。連合声明に参与した民間団体は、震災救援への対応方法を表明し連絡先を公布することで、地震の影響を受け援助を必要としている人々が関連する民間団体に連絡を取り、援助を得ることができるように、また一般市民もこれらの団体を通じて援助活動に貢献できるようにした。

 国内外の経験によれば、大型の公の基金は、災害発生後の迅速な対応、一般市民の動員や募金の専門的な管理等の面で重要な役割を担い、政府による救済活動を補うことができる。その他の専門性が高いオペレーション型の民間団体も、同様に各自の専門分野において、特に災害後の再建において貴重な役割を担う。日本や台湾の大地震後には、各種の公益団体が心理カウンセリング、ボランティアによる付き添い看護、孤児や障害者への援助、健康教育等の分野でサービスを提供した。このようなサービスは、専門性が高く継続して行われるため、効果が直ちに表れず見過ごされ易い。しかし実際にはこのような活動は、政府による大規模な緊急援助や被災地の再建活動を補い、有力にサポートすることができ、明らかな効果がある。

 連合声明の発表後、数多くの民間公益団体が次々に活動を展開し、北京思いやりファミリー・センターは、「私達はみんな家族 震災により家族を亡くした人々の苦しみを分かち合い、専門家による心理面でのサポートを提供」という活動を展開した。東莞の横瀝鎮隔坑村コミュニティ・サービスセンターは、緊急に移動式託児センターを開設し、被災地に戻った労働者の子供の世話をすることで、彼らが安心して家に戻り救援活動に従事できるようにした。北京農家女性文化発展センター、陜西省婦女理論婚姻家庭研究会、北京大学法学院婦女法律研究サービスセンター、北京紅楓婦女心理カウンセリングセンター、河南コミュニティ教育研究センター、雲南西双版納婦女児童法律健康カウンセリング等の団体が、連合で被災地にボランティアの派遣と救援活動の展開、および心理面でのサポート等のボランティア活動を行う予定である。

 しかし、資金不足のため、これらの専門性のある民間公益団体の能力を発揮を大幅に制限している。民間公益団体のサポートは、南都公益基金のミッションであり、この重大な局面において、南都公益基金は、被災地の救済と再建に参与する民間公益団体に対する資金面でのサポートを担うことを直ちにに宣言した。また、基金会が長期的に資金援助を行っている公益組織インキュベーター(NPI)も成都事務所と北京・上海のネットワークを利用し、プロジェクトの募集、選別、評価、および四川での公益団体間のコミュニケーションや調整作業に参加する。

 現在、南都公益基金会の初期計画に盛り込まれている資金援助活動には、救援、医療救助、心理カウンセリング等のボランティアによる活動や、早急に必要な社会事業、教育、環境保護、障がい者・孤児・高齢者への援助や家庭・コミュニティの再建、心理面での研究・カウンセリング等のプロジェクトが含まれており、具体的な細則を速やかに発表する予定である。

【筆者】劉 洲鴻(Zhouhong, LIU) / 南都公益基金会(Narada Foundation) / 寄稿 /  [C08052102J]
【翻訳】中文日訳チームA班]]>

G8サミットへ市民のメッセージを!―100万人のたんざくアクション展開中

「これからの世界がこうなっていてほしい」というメッセージを日本の首相へ

日本全土 7月7日から9日の3日間、北海道洞爺湖において、日、米、英、仏、独、伊、加、露8ヶ国の首脳及びEU委員長が参加し、G8サミットが開催される。日本での開催は、2000年の沖縄に続き今回が5回目となる。

 G8サミットとは、首脳会合の前に開催される外相会合及び財相会合を含めた全体を指すが、3月に千葉で開催されたG20(気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話)をはじめ様々な関連会合が開催される。

 この日本で開催されるG8サミットに向けて、環境、貧困・開発、人権・平和について活動している日本の130(2008年5月2日現在)のNGOが、2008年G8サミットNGOフォーラムを結成。各国のG8シェルパ(首脳の個人代表)とNGOとの意見交換を行った「Civil G8対話」(2008年4月に京都で開催)をはじめ、様々な政策提言やキャンペーンを展開している。

 現在、この2008年G8サミットNGOフォーラムでは、市民が誰でも参加できる「100万人のたんざくアクション」を展開している。「100万人のたんざくアクション」とは、北海道洞爺湖サミットが、7月7日に開催されることから、様々な思いや願いを短冊に書き、その実現を祈る「七夕」の風習になぞらえて「これからの世界がこうなっていてほしい」というメッセージを、首相へ届け、G8首脳を動かそうというアクションだ。

 このアクションに参加したい人は、どこの国の市民でも、下記のG8サミットNGOフォーラムのウェブサイトからメッセージを送ることができる。

 (英語)https://www.g8ngoforum.org/tanzaku/
 (日本語)https://www.g8ngoforum.org/g8ngo_form/

 「100万人のたんざくアクション」を企画した一人、ストップフロン全国連絡会(G8サミットNGOフォーラム参加団体)の山田佳代子さんは、「世界はG8で動いているわけではないが、G8サミットが世界に及ぼす影響力は大きいので、アジアからもぜひアジアの視点で「100万人のたんざくアクション」にたくさんのメッセージを届けてほしい」と語っている。

 北海道洞爺湖サミットでは、気候変動をはじめとする地球環境問題が最重要課題として大きく取り上げられる予定で、5月24日からは関連会合の一つとして、神戸で環境大臣会合が行われる。気候変動をめぐる日本政府の動きは到底十分だとはいえない。この「100万人のたんざくアクション」に寄せられた市民の声が、政治を動かす力となることを期待したい。

(関連URL)
 ・2008年G8サミットNGOフォーラ
  http://www.g8ngoforum.org/
 ・北海道洞爺湖サミット公式ホームページ
  http://www.g8summit.go.jp/

(関連ニュース)
 ・「2008年G8サミットNGOフォーラム」が発足(2007.2.16)
  http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07021601J

「100万人のたんざくアクション」ホームページ(抜粋)

たんざく(見本)

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE,Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J08051602J]
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四川省地震に寄せて

大規模な地震を経験した日本の教訓を、ぜひ中国で生かせないか。現地の要請に基づいて、できる限りの支援をしたい。

四川省 5月12日に中国・四川省で発生した地震の被害は、16日現在で死者は2万人近く、被災者は1000万人以上と報道されている。被害規模は1995年の阪神大震災の約30倍だという。まずは、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害を受けた方がたの一刻も早い回復を願う。

 東アジア環境情報発伝所では、2000年より、中国と韓国のNGOと共同でインターネットを使った環境情報の発信を行なってきた。その過程で、多くの中国人・韓国人と知り合いになった。この事業は環境に特化したものだが、その目的はと言えば、誰にとってもより暮らしやすい東アジア社会を構築することである。隣国の仲間が被害にあって苦しんでいる状況を、黙って見ているわけにはいかない。

 幸い、現地の知己たちは無事であることが確認できた。北京に事務所を置く我々のカウンターパート、環境友好公益協会では、ただちに以下の2つの方針を決めたそうだ。

1.心理カウンセリングの実施
 被災者が震災から立ち直り、回復に向き合うことに協力する。

2.日韓のNGOに協力を呼びかける
 インターネットを活用して、手紙を広範囲に発表する。

 そのほか、チャリティ・バザーの実施や救援物資の輸送などにも取り組むという。また別のNGOでは、地震帯地域のダム建設計画を中止しようと自治体に要請する予定があるそうだ。現地での直接的な支援は、我われの仲間である中国人たちに任せ、日本に暮らす者として何ができるかを考えたい。

 現在、発伝所では、日本の公害史上最も重要な問題の1つである水俣病の教訓を生かすために、中国の関係者を呼んで新潟水俣病の地を訪れ、深刻化する中国の河川環境改善のためにその経験を役立てる会議を開催すべく、準備をしている。新潟で生かされなかった熊本の教訓が、またうずもれるようなことがあってはならない。中国各地で多発する「癌の村」の被害を食い止め、同じ構造によるさらなる被害者を出さないために互いの教訓に学びあうことは、東アジアの将来にとって、必ずプラスになるであろうと考えている。これと同じことが、今回の地震でも言えないだろうか。

 日本は地震大国であり、四川地震のように大型のものは阪神で経験している。阪神大震災を機に社会は大きな転機を迎え、特に市民社会の形成に大きな影響をもたらした。95年がボランティア元年と言われる所以である。人権や環境問題が山積する中国社会でも、同様のことが言えるのではないだろうか。

 日本語で見られる地震報道を目にしていると、中国は各国からの援助を受け入れるか、オリンピックの聖火リレーは継続されるかといった、少し距離を置いた立場から中国を見ているように思われる。だが現地の友人によると、阪神大震災のときに日本人の多くがそう思ったように、何かしたい、自分でも役に立てることはないだろうかという思いは、今の中国社会でも感じられるという。そうした思いが、社会をより良き方向に変える原動力となりうる。市井の人びとの声を知り、その声に応えられるような対応をしていきたい。

 まずは何よりも先に人命救助が優先されるべきだが、その後にくる復興の際には、同じ東アジアで暮らすものとして、役に立てることがあれば協力をしたいと思っている。

(参考URL)

 ・環境友好公益協会 http://www.envirofriends.ngo.cn/
  *関連記事(中国語)→http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C08051501C

 ・Global Links Initiative(GLI) http://www.glinet.org/index.asp?id=270
  *義捐金情報あり

環境友好公益協会では他の団体と共同し、インターネットで救援活動を呼びかけている

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE,Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J08051601J]
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逆行するエネルギー政策

光と風を利用した再生可能エネルギーの拡大を

韓国全土 危機に瀕した地球を救うためには、太陽光と風のような再生可能エネルギーの利用を大幅に増やす必要がある。再生可能エネルギーは、雇用創出の面でも注目に値する。再生可能エネルギー産業を先導しているドイツでは、過去10年間にこの分野で16万人もの雇用を生み出している。1Gwh当たりの雇用創出効果は、風力2人、水力1人、バイオマス5人、太陽光は実に45人であるという。地球温暖化を防ぎつつ雇用も創出できるとなれば、願ったり叶ったりである。しかし、再生可能エネルギーを拡大させることは、言葉でいうほど容易ではないようだ。長い間、火力と原子力が支配してきたエネルギー市場で、再生可能エネルギーが導入初期から競争力を備えることは簡単ではないからである。

 再生可能エネルギー産業の育成を目標として先進国が施行している政策の中で、もっとも代表的なものは発電差額支援制度(FIT)とRPS制度(Renewables Portfolio Standard 再生可能エネルギー割当義務制度)である。発電差額支援制度とは、再生可能なエネルギー源で生産した電力と既存のエネルギー源で生産した電力との生産単価の差額を政府が補償してくれる制度だ。ドイツとデンマークが再生可能エネルギーのメッカとして浮上したのは、この制度のお蔭だといえる。RPS制度とは、主な発電事業者に一定の比率以上を再生可能エネルギーで供給するよう義務づける制度だ。発電差額支援制度とRPS制度が、どちらも再生可能エネルギー産業の拡大を図ろうという点においては、さして差は無い。しかし、政策効果まで同様というわけではない。

 先進国の経験を総合してみると、発電差額支援制度がRPS制度に比べて、かなり効果的だという事実が次第に明らかになっている。発電差額支援制度は、特に太陽光発電のように、他の再生可能エネルギー源と比べて技術や市場の成熟の遅い分野において威力を発揮したと評価されている。この制度を導入して再生可能エネルギーの普及を飛躍的に伸ばし、全世界に関連技術と設備を輸出しているドイツが、その代表的な例だ。RPS制度は、なるべく市場原理を大きく害すことなく再生可能エネルギーの生産価格を下げることに焦点を当てている。しかし、政策的な効率性に欠け、小規模の民間資本の事業参加を萎縮させる、という批判が提起されることもある。実際にRPS制度を施行しているアメリカ、イギリス、日本などでは、満足な成果を得られないものとして知られている。

 去る4月25日、政府は「2011年以降、太陽光発電差額支援制度を廃止し、RPS制度を導入する」と発表した。財政負担を最小化するために、発電差額支援制度で適用される太陽電力の基準価格を最小8.4%から最大30.2%まで引き下げ、2012年からはそれさえも廃止し、RPS制度へ転換するということだ。2012年以降には、韓国電力の6つの発電子会社と韓国水資源公社などエネルギー公企業は、再生可能エネルギーを一定の比率以上義務的に生産しなければならない。

■太陽光発電にRPS制度導入

 これは簡単なことではない。大企業である発電会社とエネルギー公企業優先のRPS制度は、再生可能エネルギーの設備容量を短期間に増やすのには有利かもしれない。しかし収益性が低く、小規模の発電事業者が撤退した跡に大企業の義務感だけが残る、といった極度に単純化した現実がもたらす否定的な結末を考えるべきである。大企業が自分たちに与えられた割当量以上に太陽光発電を拡大するのは容易ではない。自分たちの主力分野である原子力と火力の比率を減らしてまで再生可能エネルギーの拡大に乗り出すはずは決してないからだ。RPS制度は、この空白を埋めるべき多くの小規模発電事業者を枯渇させることだろう。現在まで相当な成果をあげている技術の国産化に、冷水を浴びせる可能性が高いという点も問題である。

 世界的な動向を見ても、政府の政策は逆行している。この政策を施行すれば、韓国は請求書を送ってこない無限の太陽エネルギーを利用する未来から、それだけ遠のいてしまう。太陽光発電会社とエネルギー市民団体が、4月25日を国恥日として宣布した理由を今やじっくり考えてみるときなのだ。

【筆者】アン・ビョンオク(Ahn, Byung-ok) / 韓国環境運動連合(KFEM)(http://kfem.or.kr/) / 寄稿 /  [K08051601J]
【翻訳】萩庭雅美]]>

有機畜産は希望だ

有機農業、生態農業でわれわれの安全な健康主権を守ろう

韓国全土 数日前の国会で開かれた牛海綿状脳症(BSE)聴聞会でのことである。政府庁舎構内食堂に米国産牛肉のコリコムタン(牛テールのスープ)やネジャンタン(牛の内臓のスープ)のメニューを追加できないだろうかという、ある与党議員の提案に、農林食品部長官がよい考えだと述べ、非常に喜んだという。公務員たちが先頭に立って食べ始めれば、BSEの恐怖で落ち着かない民心をなだめることができるのではないかという「純真」な発想だったのだろう。

 民心を知らないにもほどがある。食品の安全性が公務員の試食で立証されるのであれば、米国産牛肉以外も食堂に出すべきだ。月曜日はサムゲタン、火曜日は鴨、水曜日は遺伝子組み換えトウモロコシ、木曜日はごま油をたらしたラーメン、金曜日はマクドナルドのハンバーガー…。

 数万名の市民がろうそくデモに立ち上がると、今度は怪談説や背後操縦説が横行する。

 インターネットには「話にならない怪談の震源地」と赤字の書き込みが見られ、市民たちはいつのまにか不純勢力の背後操縦に乗せられる操り人形へと変わっていく。英語没入教育や大運河反対の世論も広報不足のためであり、BSEも国民がよく知らないから過剰に反応しているという具合である。

■国民はBSEの恐怖から抜け出して

 ハンナラ党議員の変わり身の早さは眩しいくらいである。彼らは、米国産牛肉から骨片が発見された昨年末までは、検疫中断程度ではなく、最初から輸入を禁止すべきだという声が高かった。そうかと思えば、わずか数ヶ月でBSE発病の危険が全くないから安心して食べてくださいという。立場が変わった理由についてはもちろん、一言半句の弁明もない。実際に、「狂牛、あなたたちこそ食べなさい」という反乱の背後にあるのは全教組でも市民団体でもない。国民を街頭に押し出している張本人は検疫主権を放棄した大統領と、国民を無知だと罵り、見下している政府・与党である。

 政府といくつかの言論は、今回の事態の解決策を「BSE科学論争」の観点から見出そうとしているようだ。国民が怪談に騙され、狂った牛のように過剰反応したとし、激しく責め立てているのがその証拠である。しかし、BSEにかかる確率がどのくらいかという類の数字を並べただけでは、国民の不安を沈静させることはできない。国民は何よりも、世の中に100%安全なものはないという平凡な真理を政府が否定することに怒っているのである。

 原産地表示という最小限の監視装置から適用外とされている小さな食堂ばかりが問題なのか。有名な韓牛専門食堂でさえ、米国産牛肉を韓牛として偽り、不当な利益を上げようとする世の中である。また、一国の政府なら、当然国民の命と健康保護を最優先しなければならないというのが国民の常識である。しかし、このような期待は「われわれも安くて質のよい牛肉を食べることができた」という大統領の一言で木っ端微塵になってしまった。

 再交渉を通じて、最小限の安全措置がとられない限り、米国産牛肉の輸入に反対する人々がくべるろうそくの火は簡単には消えないだろう。

 国民の健康主権を守れと要求する市民の行動は、非難どころか、賞賛されるべきことだ。しかし、目標が単純に再交渉の貫徹に終わってはいけない。数年前のドイツはBSEがホルスタイン種から始まったことを反省し、農業全般を生態的に転換させることに成功した。農業が国民の生命の基盤という点を強調し、畜産と乳製品生産の過程で有機農業を奨励した。われわれもこの機会に、全ての食品の生産地と生産過程について、きちんと理解しているかどうかから見直す必要がある。

■韓牛農家の競争力…価格低下に期待

 最上級の食品の安全と味を誇る肉類は、外国でも全て有機畜産を通じて生産される。有機畜産の核心は抗生剤、成長促進剤、遺伝子組み換え穀物飼料を使用しないということである。このような高級肉を今よりもさらに安く食べることは不可能ではない。まず、韓牛農家を米国産牛肉と韓米自由貿易協定(FTA)の沼から救い出さねばならない。そうすることで、必須的に韓牛の消費市場が広がる。韓牛消費が拡大すれば、韓牛市場でも価格と質による分化で、有機畜産が参入する余地が広がるだろう。有機畜産が拡大すれば、国民はそのままそっくり、健康という恵沢を受けることになるだろう。

【筆者】アンビョンオク(Ahn, Byung-ok) / 韓国環境運動連帯(KFEM) / 寄稿 /  [K08051602J]
【翻訳】吉澤文寿]]>