「日中環境ジャーナリスト・NGO交流シンポジウム」で目指す持続可能な社会

日中の環境NGOやジャーナリストが集ったシンポジウムで、内発的な発展の成功事例などが紹介された。

東京 6月24日、早稲田大学国際会議場 井深大(いぶか・まさる)記念ホールで、早稲田大学WISPJ、早稲田大学環境総合研究センター及び日本環境ジャーナリストの会の共同主催による、「日中環境ジャーナリスト・NGO交流シンポジウム」が開かれ、日中の環境NGOとジャーナリストたちがそれぞれの経験・意見を共有しあった。

 前半に行われた基調講演では、中国の「自然の友」梁小燕事務局長、中国初の農民NGO「草海農民環境保護協会」の創設者 鄧儀氏、及び宮城県の「牡蠣の森を募う会」の畠山重篤代表らが、それぞれ取り組んでいる活動を紹介した。

 筆者は特に、人間の暮らしと自然環境を調和させ、自然保護と地域の貧困対策を結びつける内発的な発展を実現した鄧儀さんの話に感銘を受けた。事例として挙げた草海国家自然保護区(雲貴高原にある)は、オグロヅル(Crus Nigricollis)や灰色鶴の生息地として有名。しかし人口の増加に伴い、過剰な漁業、湿地の違法開墾などの問題が深刻化し、さらに農民たちが、作物を食べつくした鳥類を殺したり、禁猟の管理漁船と衝突事件を起したりした。自然保護と住民の生存問題は互いに対立するものとして、調和は極めて困難であった。そこで国際鶴基金(ICF)主導の資金が草海に投入されたことをきっかけに、農民たちによる「草海農民環境保護協会」を設立し、自然保護とコミュニティの共同発展に取り組んだ。小額融資制度と村発展信用基金を創り、農民2~5人が1チームとなって、合計412チームが環境保護と農業経営を両立させるプロジェクトを作り、農民たちが自ら事業を推進する参加型方法を模索した。この試みは貴州省により「自然保護と農村発展」のモデルとして評価され、マスコミやイベントなどを通じて広く伝えられた。環境保護と経済発展がWin-Winの関係になってこそ、本当の持続可能な社会が実現できるのだろう。

 宮城県で20年間植林活動を続けてきた「牡蠣の森を募う会」の畠山重篤代表は、活動の歩みを語りながら、スローガンや宣伝といったメディアの役割が非常に重要であることを強調した。人々の心を打つスローガンや、だれもが参加したくなる面白い記事などが活動に更なる活気を与えてくれたと、ジャーナリズムとの結びつきを語った。畠山さんたちの植林運動のスローガンは「森は海の恋人」である。後半に行われたパネルディスカッションでは、日中の環境ジャーナリストとNGOの代表らが共同で、環境NGOとジャーナリズムの関係について語った。中国の場合、環境NGOとジャーナリストは、切っても切れないと言ってもいいほど緊密につながっていると、史立紅さん(環境ジャーナリスト・緑色高原代表者)は話した。制度上の制限などにより、NGOとしてできることが限られている中国では、まずはあらゆるメディアを通じて広く宣伝することや呼びかけることが、非常に重要であるそうだ。また、環境NGOがジャーナリスト向けに環境知識講座などを設け、環境ジャーナリストの環境意識・専門性のアップに取り組んでいる事例も紹介された。

 「森は海の恋人」活動の報道を続けてきた日本の環境ジャーナリスト、岩瀬昭典さん(河北新報社東京支社長)は、環境NGOの取材を通じて、自然、人間、文化の共存がとても重要なことがわかったと述べた。同時に、ジャーナリストとして市民社会に深く入り込むことや、正しい判断力を持つことが必要であると話した。他にも、中国のジャーナリストたちから、NGOの繋がりの弱さや専門性の不足など、これから頑張ってほしい点などが述べられた。今回のシンポジウムを通じて、日中両国の環境ジャーナリスト・NGOは、お互いの事例や現状を理解するとともに、持続可能な社会を目指してさらなる連携を約束することになるだろう。

中国初の農民環境NGO創設のいきさつを語る鄧儀さん

牡蠣の森を募う会の畠山重篤さん

パネルディスカッション

【筆者】朴 梅花(PIAO, Meihua) / 東アジア環境情報発伝所 (East Asia Environmental Information Express Messenger) / 寄稿 /  [J08062701J]
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北京での環境交流 ― 日中市民環境(3R)交流展

3Rをテーマとした日中交流が行われた

北京市 6月10日~15日までの1週間、北京市にある中国科学技術館にて、「日中市民環境(3R)交流展」(主催:日中友好環境保全センター、日本環境保護国際交流会(J.E.E.)、3R検定実行委員会、びっくり!エコ100選実行委員会、独立行政法人国際協力機構(JICA))が開かれた。平日は来館者が少ないのでは、という心配をよそに多くの人びとが参加してくれた。

 漫画家・ハイムーン(本名・高月紘(たかつき・ひろし)石川県立大学教授)さんの“ハイムーン環境漫画”20点をメインに飾り、日本での環境活動の展示とワークショップ、3R意識調査アンケートなどを行った。

 ハイムーン氏によるワークショップ“まんがを描いてごみをへらそう”では30数名の子どもたちが参加。まず氏により、まんがの描き方の説明や練習が実際にマーカーを使ってされた。その後、どうすればごみが出ないようになるのか、とグループでアイディアを話し合い、考えがまとまればそれをひとりづつが自分の画用紙に描き、最後にその画を見せて発表をした。

 どの絵も未来の持続可能な社会を考えたアイディアでいっぱいだった。一例を挙げると「多機能自動車」と題して、車の下から出た足がペットボトルのごみを拾い、飛んでいる鳥の糞と、ミツバチの蜜とを中で混ぜ合わせて、製品を作りだしていく、というようなものだ。

 話し合いの時には「家ではどんなごみが出るかな? どのくらいの量が出るかな?」ということからはじめたが、北京では定期収集日がなく、居住地域のごみ箱にいつでもポイと捨てるので、ごみの量については子どもも大人も「わからない」と答えに困ってしまう場面もあった。

 中国サイドのスタッフからは、「環境教育といっても、何をどのようにすればいいのかわからなかったが、ハイムーン氏によい視点を与えていただき、大変有意義だった」等のことばが寄せられた。

 ワークショップ“マイバッグに絵を描こう”は専用のクレヨンで布袋に絵を描き、アイロンで定着させるのだが、描かれた絵は木や鳥などの動物、エコロジーと書いたメッセージなどそれぞれの想いが表現されたものであった。「この袋をいつも持って行き、レジ袋はもらわないでね」というと、こどもも大人も皆が「もちろん!」とうなづいてくれた。エコロジーということと共に、布に絵を描くと言う行為が珍しく、楽しい作業だったようで、持参した80枚の布袋が全てなくなってしまった。

 また、中国ではレジ袋が6月1日から一斉に有料化になるという情報を、ENVIROASIAで知り、実際にはどのような状況なのだろう、と今回の北京行きを楽しみにしていた。時間があまり取れず、スーパーを垣間見ただけだが、ほとんどの人がマイバッグを持ち、またはスーパーのオリジナル・マイバッグを持っていた。レジ袋はどの店も、土産店でさえも全く渡さず、欲しいというと「お金がいるよ、○元するよ」となかなか渡してもらえず、お金を差し出すとやっと渡してくれる状況だった。値段は店によって異なり0.2から0.3元くらいのようだった。(1元=約15円)

 日本では私たち市民グループが二十数年前から呼びかけていても、まだ一部の店でしか有料になっていない。いくらオリンピックを意識した環境重視の政府の政策とはいえ、中国でのこの素早い制度化に反対意見も出ずきちんと守られている様子には驚かされた。

 大気汚染はひどく、晴れていても太陽が見えなかった。やっと見えてもぼうっとかすみ、太陽をじっと見ていても目が痛くならないほどであった。これらは、建物を壊したり土木工事で舞い上がる砂ぼこり、1日に千数百台も増えているという車からの排気ガス、工場の煤じん等などのせいらしい。政府はオリンピック前には土木工事や工場の操業をストップし、車はナンバーの奇数と偶数にわけて交互に走らすといった対策を取るようだが、どうなるだろうか。

 ごみの分別箱は空港、スーパー、マンションなどあらゆる場所に置かれているが、私たちが中を覗いたところでは、分別されていず何もかも一緒に入っていて、収集に来る人が車の上で分別したり、市民が分別箱から売れそうなものを取り出している光景にも出会った。これらレジ袋有料化のこと、せっかく置いてある分別ごみ箱が活用されていないことの現状を見て、中国の一般市民は地球環境問題をどのように認識しているのだろうかと思わせられた。

 私たちはハイムーン氏の環境漫画を見てもらい、ワークショップやアンケート等をしながら、北京の市民の人たちに「今地球が壊れていっているが、それを止めることは身近な日常生活の中ででもできる」ということを伝えたかったのだ。

 今、世界に大きな影響を及ぼす中国が、オリンピックを機に環境問題の意識を高め、解決への施策を進められることを切に望んでいる。そして、私たち市民グループにも何かできることがあれば、協力させていただきたい、そんな気持ちでいっぱいだ。

「まんがを描いてごみをへらそう」のワークショップのハイムーン先生と子ども

ハイムーンまんがの前で自分で画をかいたマイバッグを持つ子どもとスタッフ

日本と北京のスタッフ全員集合

【筆者】細木京子(HOSOKI, Kyoko) / 日本環境保護国際交流会(J.E.E.) / 寄稿 /  [J08062702J]
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夏季消灯の1時間は、省エネ活動の大きな一歩

中国で二回目となる「夏季消灯」キャンペーンが自然之友主導で実施された

中国全土 6月21日夕方、国内第二回「夏季消灯」キャンペーンが自然之友主導で実施された。省エネ20%公民行動、捜狐Sohu、緑色頻道、北京娯楽信報の協力の下、北京・上海・南京・天津・杭州・成都・福州・アモイ・襄樊・鄭州等の9都市で展開され、全国20数省都市の自然之友の会員が賛同し、同時にアモイ市長の賛同も得られ、市長は支持を表明した。

 夏季消灯キャンペーンの大本営である北京では、今年は去年よりも更に多くの賛同を得た。自然の友の夏季消灯キャンペーンコーディネーターである張已瑛氏は次のように述べた。「今年は、私たちが組織したボランティアたちが主に北京の二つの繁華街(什剎海のBarと百年老胡同南鑼鼓巷)を重点としてその店頭に赴き、消灯を呼びかけました。21日の晩には合計100を越える店舗が賛同しましたが、これらはすべて自然の友のボランティアたちが一軒一軒訪問して呼びかけたものです。」南鑼鼓巷の消灯の過程を見ていたボランティアの趙文耕氏によると、当時南鑼鼓巷には明るいネオン灯がなくなり、更に古く静かな雰囲気となった。ネオン灯を消しただけなので、店内の営業にはなんら影響なく、店主たちはみな今回の活動を非常に支持したとのことである。

 今回、キャンペーンに賛同した8大地域のひとつである、北京新天第は、初めて夏季消灯キャンペーンに参加したにもかかわらず、住民委員会から普通の家主まで幅広く積極的な支持を得ることができた。

 新天第のキャンペーンの現場では、消灯カウントダウンの掛け声に従って、居住ビルとテナント物件の外部のネオン灯は8時丁度に消された。当日は、風が強かったものの、ボランティアと地域の老人、子供たちは四川の震災の冥福を祈る蝋燭を点した。キャンペーン参加者にはイラン人の一家もおり、彼らは自然の友のボランティアに対して、「イランでは、電気代が非常に安いため、みな省エネの意識があまり強くなく、このような活動はありません。しかし、今はエネルギーが緊迫しており、既にどこかの1国家の問題ではなく、すべての人が参加し自らの観念を変えていくことで、環境問題は最終的な改善が得られるのだと思います。」と話した。

 また、自然の友の理事である康雪は次のように述べた。「夏季消灯キャンペーンはたったの1時間であり、普通の住民にとっては節約できる電力は非常にわずかでしかないけれども、省エネ活動にとっては大きな一歩です。省エネは、小さなことから始めるもの。一人一人が自覚し、自らの意思で、自発的に参加し、当然のように省エネを個人の生活の一部とすることにより、初めて私たちはエネルギーを絶えず獲得し、発展の動力とすることができるのです。これも人類社会と自然が調和する方法のひとつと言えます。」

 関係者によると、今年の夏季消灯キャンペーンは、北京地区では新天第、太陽星城、什剎海、雍和家園、東四オリンピック地域公園等の居住区域のほか、南鑼鼓巷のオフィス街でも行われ、世貿天街、シェル中国、アムウェイ北京、中国電信北京支社、中国人寿北京支社のいずれも消灯キャンペーンの呼びかけに賛同した。

《夏季消灯キャンペーンの背景資料》

 エネルギー危機は、前世紀においてはまだ科学者たちの関心事であった。しかし、環境の悪化に伴い、一般人の生活にもだんだんと顕著に影響を及ぼし始めた。人類はライフスタイルの変化を生み出し、私たちが依存している環境を徹底的に変えた。留まるところを知らない需要は、私たちに次のような選択に直面させざるを得ない。環境破壊の道を歩み続けるか、それとも観念を変え、現在から、ひとつひとつの小さなことから始め、できる限りの省エネ活動を行うのか。

 夏季消灯は、アメリカで始まった。2000年のカリフォルニア州の大停電事件が人々に考えさせるきっかけとなった。多くのエネルギーは再生不能であり、私たちがすでに形成されたライフスタイルを変えることができないという状況下においては、国家または社会は持続可能な発展が必要であり、人々の観念を変えることから始め、彼らが各自でできる、身の回りの小さなことからはじめ、僅かな骨折りを根気よく続けたならば、その意義と影響は必ず非常に深いものとなるだろう。結局は、人はただの自然の産物であり、自然とのバランスを取ることが、人類が通るべき発展の道なのである。

 このため、夏季消灯キャンペーンは始まってすぐに各国家、地域への迅速な普及と賛同を得ることができた。これまでにすでに多くの国家、地域が夏季消灯キャンペーンに参加している。中でも私たちの隣国日本は、2003年にこのキャンペーンを展開して以来、既に100万人を超える人々が参加している。また、台湾の荒野保護協会によれば、台湾では今年10の市や県が消灯に参加し、賛同した人々は90万人に達し、1時間で28万キロワットを節約し、178トンの二酸化炭素を削減した。とのことである。

【筆者】易懿敏 / 自然之友(Friends of Nature) / 寄稿 /  [C08062501J]
【翻訳】中文和訳チームA班 五十嵐裕美]]>

環境保護部、現在地震被災地区の全ての飲用水源地の水質は正常と発表

被災地区のうち四川省、陝西省、甘粛省と重慶市のすべての飲用水源地が検査の結果、安全であることがわかった

四川省 環境保護部の関係責任者は本日、メディアに向けて四川大地震被災地の最新の環境状況について発表した。それによると、現在のところ、被災地区のうち四川省、陝西省、甘粛省と重慶市のすべての飲用水源地は、発光性細菌を利用した急性毒性検査の結果、安全であることがわかった。地表水の水質と大気の状況は正常であり、被災地には環境汚染の面で大きな変化はないとした。

 責任者によると、地震の発生後、党中央統一部署によって、環境保護部が被災地区に指導し、飲用水源地の応急的な検査を行い、6月4日に飲用水源地の検査範囲と検査指標の決定が実現した。現在までに被災地の環境保護部門は、あわせて388箇所の飲用水源地で6256回にわたる検査を行い、その結果、飲用水源地の水質の基準値への達成率は98.4%であった。発光性細菌を利用した急性毒性検査によると、被災地のすべての飲用水源地(臨時給水所も含む)の水質は正常で、飲用に耐えうる。四川省の被害が大きかった地区の飲用水源地では、23項目の揮発性有機汚染物と11の殺虫剤類有機汚染物も標準値を超えておらず、応急工事に使う重機の油漏れによって、部分的に石油類の基準値を超えていた紫坪舗ダム、成都の第五浄水場、第六浄水場では、6月15日には全面的に正常値に戻った。

 責任者によると、現在までのところ、被災地にある水質自動検査地点(国が管理している7地点および省が管理している19地点)における水質は、地震前より良好か明らかな変化が見られない。被災地の応急検査チームは、せき止め湖「唐家山ダム」の排水期間の検査結果を発表した。排水前の唐家山ダムの水質は、地表水環境基準のⅢ類に分類され、排水後は、排水のピーク時にもたらされた大量の浮遊物や浮遊物質以外には水質には異常は見られず、ベンゼン、ナフタリン、塩化ベンゼンなど45項目の有機汚染の値が基準を満たしており、排水区域の水質には今のところ消毒剤や化学品の影響は見られない。

【筆者】中新網 / 環境友好公益協会(EnviroFriends) / 中新網より転載 /  [C08062502J]
【翻訳】中文和訳チームB班 久保]]>

あが便り(その2) ― 立ち上がる安田町の人びと

熊本水俣病の教訓を生かせずに起こった人災としての新潟水俣病

新潟 先日、第27回新潟水俣病被害者の会定例総会があった。結成の年に生まれた我が家の長男も27歳になる。月日が経つのは早い。当初、百人余りいた安田患者の会も裁判が始まると半分に減り、ついに今年はわずか4名しか参加できなかった。「高齢化が進み、私たちに残された時間は少ない」と、安心できる医療や介護体制の必要性を副会長の節子さんは切実に訴えた。来賓の泉田裕彦新潟県知事は独自の救済策の条例化を約束したが、まだまだ油断はできない。

 熊本水俣病の教訓を生かし切れずに、再び新潟で繰り返されたことは、まさに人災としか言いようがない。しかも、第一次訴訟で被告の昭和電工が農薬説を持ち出し、あたかも下流域のみの被害のごとく主張したため、中流域の私たちの安田町からは判決後の公表から7年目にして、ようやく患者が認められた。確かに初期の県は住民一斉検診など一定の評価はできるが、中・上流地域をすぐに認めなかったことや胎児性の発生防止策の妊娠規制、漁獲規制などが下流域のみだったことは問題だった。このことは「新潟は熊本よりも少ない」「下流域より中・上流域は軽い」と二重、三重の差別を受けることになった。

 1972年の春から患者さんの聞き取りを始めた私にも、現場での様々な問題が見えてきた。一斉検診終了後、本人申請制度に変わってからは、小さな町なのですべてが顔見知りで、補償金目当てのニセ患者などと言われ、町役場の窓口には行けなかった。そんな中で阿賀の川筋でも珍しい、その100戸ほどのほとんどが川舟の船頭さんという千唐仁(せんとうじ)集落で「地元で水俣病検診を集団で実現させる会」が結成された。最初は水俣病の話は困ると渋っていた船頭の栄作さんが、仲間に呼びかけて潜在患者発掘運動のリーダーとなった。現実的には認定になったら離縁されたとか、タクシー運転手がクビになったなどの噂が広がり、その運動は困難を極めたが、それでも家族ぐるみ地域ぐるみで克服し、100人余りが認定申請した。しかし、その全員が棄却された。

 棄却率が高まった1973年は有明湾の第三水俣病、新潟の関川水俣病と日本中が水銀パニックとなったが、オイルショックを背景に国はすべてを否定した。1977年には認定基準に「症状の組み合わせ論」、1978年には「蓋然性」を導入し、救済の枠を決定的に狭めた。

 そもそも防げたはずの二度目の新潟水俣病でありながら、救済の後手になった中・上流域の患者さんをますます追い詰めた。家族で同じ川魚を食べ、なぜ棄却なのか。この素朴な疑問に明確な説明をできる専門家はいなかった。安田町未認定患者の会は全員で行政不服を始めるが、まさか二次訴訟までの10年間も続くとは誰も想像しなかった。

川舟の船頭さんだった栄作さん

川魚のご馳走について大石環境庁長官(当時)に説明する栄作さん

大石長官と安田患者の会

【筆者】旗野秀人(HATANO, Hideto) / 新潟水俣病安田患者の会事務局 / 寄稿 /  [J08062001J]
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CO2を出さない暮らし?!―カーボンオフセットのススメ

地球温暖化防止のためにわたしたちができることとは

東京 6月14日(土)、東京の江戸川区総合文化センターで、NPO法人足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ(略称:足温ネット)が主催する地球温暖化シンポジウムが開かれた。地球温暖化が進んでいる今、私たちには何ができるのか?という身近な問題解決を考える場となった。

 冒頭に行われた基調講演では、環境運動家の田中優さんが地球温暖化の現実と、解決する方法及び将来性を語った。かつては気温が0度以上に上がったことのなかった南極だが、現在は0度以上の日が年に8日もあるそうだ。また、人びとが残したゴミなどでペンギンがケガをすることすらあるそうだが、いまだに日本では「地球温暖化はうそだ!」、「南極の氷は増えている」と主張する人が少なくないという悲しい事実。日々の暮らしで地球温暖化の被害を直接実感することの日本で暮らしているからだろう。

 また、田中さんは、地球温暖化の一つの解決策として脚光を浴び始めているカーボンオフセットについて説明した。カーボンオフセット(carbon offset)とは、自分が排出した二酸化炭素を、植林、クリーンエネルギーの使用などによって、他の場所で直接・間接に相殺する仕組み。たとえば、植林された再生可能な木材を使って長く使えるように工夫されたエコ住宅に暮らす人や、間伐材などから作られた木質ペレットを燃料とするストーブなどを使う人は、間接的にCO2の排出量を削減したことになる。田中さんは、この個人が削減したCO2を企業などに売ることができる、実施しやすいカーボンオフセットの仕組み作りたいと述べた。

 続くトークセッションでは、再生エネルギーなどに取り組む団体や企業の担当者が出席し、それぞれの活動について語った。廃食油でバイオディーゼルを作るえどがわ油田開発プロジェクトの西野忠志さんによると、最近は環境意識の高まりと原油価格の高騰から、油の回収についての問い合わせが増えており、生産量も月に8000ℓまで達しているそうだ。ただ、カーボンオフセットの導入については、これから頑張りたいところだと述べた。

 荒廃した山をどうにかしようと山の整備を始めたところ、ゴミとなる間伐材などがもったいない。これが、ペレットストーブを作るきっかけとなったという有限会社さいかい産業の古川正司さん。暖房時期にペレットストーブを利用すると、新潟と北海道地域で毎月削減できるCO2量はそれぞれ約1.5トンと4トンで、これを輸送会社などに販売すればとてもいいのではないかと提案した。実際、さいかい産業の場合は、輸送会社からペレットの輸送量を10キロ当たりに20~30円値引きしてもらっているそうだ。

 日本で、カーボンオフセットのやり取りを行うためには、第三者機関の認定が必要だが、この認定手続料はなんと数百万円。これでは、相当のメリットがなければ二の足を踏むのも仕方がない。そこで、足温ネットでは、データの公開により、高額な認定手続料を支払うことなく誰でも参加できるカーボンオフセットの仕組みを作ろうとしている。自らの暮らしで排出されたCO2が色々な方法で相殺される、こんな未来を楽しみにしている。


えどがわ油田開発プロジェクトの作ったバイオディーゼル

ペレットストーブ

【筆者】朴 梅花(PIAO, Meihua) / 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Express Messenger) / GOOD NEWS Japanより転載 /  [J08062002J]
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農薬工業界はいかにして高効果で環境にやさしい農薬を開発できるか

中国で初の農薬工業水汚染物排出基準が実施された。高汚染の改善や後進技術の淘汰が実現できるだろう。

中国全土 2008年7月1日、『複素環類農薬工業汚染物排出基準』が、環境保護部および国家質量監督検験検疫総局による発布を経て実施された。当基準は中国初の農薬工業水汚染排出基準であり、中国農薬工業がこれまで設けていなかった企業毎の排出基準の空白を埋めることとなる。また、農薬工業産業の構造調整および技術進歩を促進する等重要な役割を果たす。この基準は複素環類農薬工業の清掃生産および管理技術を依拠とし、汚染物の生態への影響と合わせて複素環類農薬のイミダクロプリド、トリアジメホン、カルベンダジム、パラコート、アトラジンフィプロニル等原薬生産過程中の汚染物排出の抑制項目、排出制限値、複素環類農薬生産企業の排出管理を規定している。 先日、記者は当該基準の公布実施に伴い環境保護部科学技術基準処の責任者を訪ね話を伺った。内容は下記の通り。

■総合標準では農業汚染への効果ある抑制は非常に困難

 農薬のほとんどは有毒物質であり、劇薬物質のものもある。 急性的毒性は比較的低いが慢性的毒性および「三至」(癌に至る、奇形に至る、突然変異に至る)の副作用があり、環境ホルモンへの影響もある。 以前中国は農薬工業の排出基準がなく、農薬工場の「三廃」(3つの廃棄物)の排出についてのみ『大気汚染物総合排出基準』および『汚水総合排出基準』が適用されていた。

 総合排出基準では各業界の特性に合わせた監督を行えず、次の問題をもたらした。

1、総合排出基準中抑制項目はあらゆる排出企業を対象にせず、また、農薬工業生産の特性および汚染管理の状況を考慮しないため、企業が最新の最高処理技術を採用してもある特定の基準値に達成することができない。 このため、企業は基準を達成するため必死に排出量を希釈する、もしくは、管理しても達成できないためただ諦める、という状態であった。

2、総合排出基準は農薬生産によって生成される農薬中間体および最終製品の排出に対する規定がないため、汚染因子の毒性と危害性が増大し、抑制を加えない限り、生態環境・食品安全・人体健康に非常に大きな脅威を与えることになる。

 従って、効力ある農薬工業の汚染物排出基準は絶対に必要である。このたびの農薬工業汚染物排出基準の制定は、高汚染後退生産技術を淘汰し、企業に低汚染先進生産技術の採用を促し、汚染管理に重要な役割を果たすだろう。また、企業が先進的な汚染管理措置を採用し効果を上げ、中国の農薬工業が高効果で環境にやさしい発展を遂げ、生態環境保護や人民の健康に重要な意義を持つはずだ。

■水汚染のコントロールが鍵

 このたび公布された基準は、農薬工業汚染物排出基準体制枠の第一項である。複素環類農薬は分子構成の中に複素環式化合物があり、他の9種の農薬中に含まれる複素環式化合物の農薬には属さない。 農薬品種の構成が異なるため、生産工程は異なり、生産過程中に排出される特定の汚染物も異なる。 農薬品種を区別しなければ、制定基準を統一しても意味がない。

 農薬品種が多く、種類毎また商品ごとに基準を設けるのはかなりの時間を要するため、中国環境保護管理の必要性に応えることはできない。

 従って、種類毎の農薬生産排出基準の制定には、1.生産量が多い、2.毒性が強い、3.環境への影響が大きい品種を優先的に選び、先に基準を設け、その後はそれを補充、改善を継続する。

 この原則にのっとり、複素環類農薬の中の、イミダクロプリド、フィプロニル、トリアジメホン、カルベンダジム、パラコート、アトラジンの6種について先に基準を制定する。これらは殺虫剤(イミダクロプリド、フィプロニル)、殺菌剤(トリアジメホン、カルベンダジム)、除草剤(パラコート、アトラジン)に分類され、中国国内では使用量が非常に多く、将来の需要が見込める品種であるため、生産過程で確実に汚染物排出の抑制ができなければ環境への深刻な影響が見られるだろう。

 また、基準制定の過程において農薬工業汚染物排出の特徴、つまり水汚染物排出が汚染抑制の鍵となると発見した。 専門家は、農薬工業汚染物の排出基準は、水汚染物排出を重点とし、各種農薬工業排出基準の大気汚染物排出抑制を部分として制定されべきだと提案した。従って、この基準は『複素環類農薬工業水汚染物排出基準』と名前が変更される。

■生産過程への管理要求

 この基準は複素環類農薬(イミダクロプリド、トリアジメホン、カルベンダジム、パラコート、アトラジン、フィプロニル)の生産過程における水汚染物排出限定値を規定する。 各農薬(アトラジン、フィプロニル)に対して工場または処理装置汚水排出口監督位置を設け、排出制限値を規定する。 新企業および現有企業に対し、異なる基準値を設定、新規企業への厳格な抑制を要求する。

 これまでの基準との相違点は、汚染物の排出制限値に規定を定めた以外に、具体的な制限値によってコントロールできない場合にも汚染を防止する。 たとえば、生産中に汚水排出制限値に影響する生産過程に対して管理操作の要求を提示し、企業の自身の環境管理、汚染発生防止を強化させることである。 また、注目すべき点は、基準値による規定でなくとも、基準の組成部分をなし、基準値と同様の拘束力があり、企業の遵守を必須とするまったく新しい基準であることである。

■基準制定実施に対する規定

 また、基準を確実に実施させるため、基準制定の実施に対しても規定し、県クラス以上の人民政府環境保護行政主管部門に監督実施を義務付けた。

 いかなる時も、いかなる状況でも、企業の汚染物排出行為は本基準の規定に反する。 環境保護部門は汚染物排出企業に対して監督性検査を行う際、環境保護担当員が現場でサンプルおよび検査結果の提示により基準を達成しているかどうかを判定する。

 企業の消費水量および排水量に異常な変化が見られた場合、当査定対象企業の実際の製品生産量と排水量を基準の規定により水汚染物基準水量排出濃度に換算する。また、同様の農薬を生産する企業が異なる農薬工業水汚染物排出基準を適用する際、その水汚染物排出濃度基準の中で最も厳格な制限値を採用する。

【筆者】郭薇 中国環境報記者 / 環境友好公益協会(EnviroFriends) / 中国環境報より転載 /  [C08061902J]
【翻訳】中文和訳チームA班 歳国真由子]]>

北京のスーパー、レジ袋の使用料9割減 若者が主な消費層

“レジ袋制限令”実施から10日、使用量は4万枚から4千枚に減少した。各大型スーパーではレジ袋の使用料が9割減少した。

北京市 今日は“レジ袋制限令”実施から10日目、物美(ウーマート)、楽購(ハイモール)などのスーパーではレジ袋の使用料が目に見えて減少、“レジ袋制限令”実施前に比べ8~9割減少している。

■スーパーの概況
 4万枚から4千枚に減少

 “レジ袋制限令の実施前は、毎日のレジ袋の使用量がおよそ3~4万枚だった。現在は毎日4千枚ほどである。”物美の広報部の責任者、富氏は玉蜓橋売場を例に挙げた。“レジ袋制限令”実施後は、その傘下のスーパーのレジ袋使用量は8~9割減少している。楽購(ハイモール)、家楽福(カルフール)、沃尓瑪(ウォールマート)、京客隆(ジンカーロン)などのスーパーでも、レジ袋の使用量は“レジ袋制限令”実施前に比べ、平均7~8割減少している。

■利用客の状況
 若者は買い物袋の携帯を不便だと感じている

 利用客の状況を観察していると、買い物に来た老人や主婦は、皆ナイロン袋や竹かごを持って来たり、鞄の中に折りたたみの買い物袋を準備して来ていることに気付く。レジ袋を購入する人の8割は、サラリーマン風の若者である。

 “レジ袋は1枚2~3角で高いとは思わない。しかし、毎日何枚も買うと、1ヶ月で10~20元になる。”と主婦の一人は言う。彼女はスーパーに買い物に来ると、毎回大きな袋にいくつも買い物をする。そのため、自分で袋を用意する方が合理的なのである。

 “現在レジ袋を購入している人の多くは、時々スーパーに買い物に来る人で、主に若者である。”物美の広報部の富氏は言う。このスーパーのレジ袋に関する統計によると、レジ袋を購入する人の中では、このような人たちが多くを占めている。

 “時々スーパーに買い物に来るのに、買い物袋を携帯するのは不便だ。レジ袋も高くはない。”国貿易に勤務する王さんは言う。自分は1週間に1~2回しかスーパーには来ない。毎回通りがけに買い物をするし、普段外出する時には財布と携帯しか持たない。買い物袋を持って行くのは実に不便である。

■専門家の観点
 若者は環境保護に対する意識を樹立するべきである

 今日午後、中国塑料協会 塑料再生利用委員会副会長 董金獅氏は記者のインタビューを受け、国家が“レジ袋制限令”を実施後、その効果は明らかに表れていると答えた。

 有料でレジ袋を使用するという方法は、家庭の主婦や中高年の購買者に、使用するレジ袋を減らしたり、レジ袋の使用をやめるようにさせている。この部分の消費者は、本来スーパーの利用客の中で、レジ袋を必要とする人が最も多い層である。“レジ袋制限令”実施後は、若者の消費者がレジ袋を購入する主な層となった。董金獅氏は、これも一種の購買習慣の問題だとしている。

【筆者】張鑫、徐妍、法制晩報記者及び実習生 / 環境友好公益協会(EnviroFriends) / “法制晩報”より転載 /  [C08061901J]
【翻訳】中文日訳チームC班 富川玲子]]>

カーフリーデーアジア会議 in YOKOHAMA 開催

アジアの都市における人とクルマの共存は可能か

神奈川 2008年5月30日、横浜市で「アジアの都市における、人とクルマが共存する豊かな社会構築に向けて」のテーマのもと、「カーフリーデーアジア会議 in YOKOHAMA」が開催された。カーフリーデーは、1997年にフランスのラ・ロッシェルでの「車のない日」の試みが始まりである。都市交通に起因する大気汚染・騒音・温暖化などの環境問題の改善のため、また都市に人間中心の賑わいを取り戻すため、都市中心部でクルマを一日使わないゾーンを設け、市民が「クルマのない都市」を体験する試みであった。

 この試みは、まず欧州で急速に拡大し、2000年にはEUのプロジェクトとして採択され、さらに2002年からは、一日だけのイベントにとどまらず、カーフリーデーの前後一週間に期間を拡大し、交通手段の転換へ向けた市民の意識転換を促す「モビリティウィーク」となり、各種の行事や社会実験が行なわれることになった。さらに欧州以外の都市にも活動が拡大し、2007年には全世界で2016もの都市が参加している。日本からは6都市(さいたま市・横浜市・松本市・名古屋市・福井市・那覇市)が参加した。

 今後注目されるのは、モータリゼーションの拡大が著しいアジアの各都市での活動であるが、台北市がすでに2003年から参加しているのをはじめ、各地域で活発な取り組みが実施されている。こうした背景のもと、各地での取り組みを学び、相互に活動を活性化してゆくことを目的として、今回の「カーフリーデーアジア会議 in YOKOHAMA」が開催された。

 当日は、望月真一氏(ヨーロッパモビリティウィーク日本担当コーディネータ)のコーディネートのもとで、アジア各都市からの報告と、オリヴィエ・ラガルド氏(Olivier LAGARDE, ヨーロッパモビリティウィーク欧州担当コーディネータ)と原田昇氏(東京大学大学院工学系研究科教授)の基調講演、大内えりか氏(横浜カーフリーデー実行委員会委員長)・中村利恵氏(横浜カーフリーデー実行委員会事務局長)による横浜カーフリーデーの報告が行われた。

 アジア地域からの報告者は下記の4名であった。
・ティアン カイ氏(Tian KAI, 中国建設省都市企画設計研究所研究員)
・ジェフリー リュウ氏(Jeffry LIU, 台北市駐車管理局長)
・チョイ ジョンソン氏(Jongsun CHOI, ソウル市交通政策課シニアリサーチャー)
・エンヘトル サンブー氏(Enkhtur SAMBUU, モンゴル交通警察庁広報部門責任者)

 各地域ともカーフリーデーの基本的な方針は共通であるが、国・都市によって重点はやや異なる様子が報告された。中国では、特に大都市での急速なモータリゼーションに対処するため、公共交通の充実に国レベルで力を入れている。台北市では、「人本交通(人が主役)」を掲げ、自動車保有台数の増加抑制、渋滞緩和、公共交通の利用促進、交通事故の減少をテーマとしている。ソウル市では、都市そのものの持続性を掲げ、大気汚染や渋滞の緩和に加え、温室効果ガスの削減も挙げている。またバスシステムの改編が注目される。モンゴルでは、当面はウランバートル市を対象として、大気汚染と交通事故の防止が重点となっている。

 各国の発表の後、オリヴィエ氏及び会場の参加者を交えたディスカッションが行われた。それぞれがお互いの課題について意見交換を行い、今後も各国ともにカーフリーデーを継続していこうと、お互い励まし合った。

(参考URL)
 カーフリーデージャパン / ヨーロッパカーフリーデー日本公式サイト
 http://www.cfdjapan.org/

カーフリーデーアジア会議 登壇者(©cfdjapan)

【筆者】上岡直見(KAMIOKA, Naomi) / 環境自治体会議 環境政策研究所 / 寄稿 /  [J08061301J]
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河北省滄州市で一部の住民が淡水化された海水を飲用

淡水化された海水を水道管で供給

河北省 河北省滄州市渤海新区国華滄電宿舎の住民の家では、蛇口をひねると澄んだ水が流れ出し、飲んでみると、甘くて口当たりが良い。しかし信じられないことに、この水は普通の水道水ではなく、100項目余りの指標に全て合格した淡水化された海水なのである。このごろ同地区で運行が開始されたこの海水淡水化システムによって、我が国の広範囲に淡水化された海水を供給するという目標に向かって実質的な大きな一歩を踏み出した。

 滄州渤海新区の一部の住民が飲んでいる淡水化された海水は、国華滄電公司の海水淡水化処理工場から来ている。2006年3月14日、当時国内最大規模の海水淡水化装置2台が、国華滄電公司に導入され運行が始まった。この装置は低温多効果の海水淡水化技術を採用しており、直列の水平管型流下液膜式蒸発器内で、比較的低い温度で海水を蒸留し、高品質の水を生産して、発電ユニットに供給する。この2台の海水淡水化装置は1日2万トンの水を生産し、発電ユニットで必要な淡水に十分対応できるだけでなく、周辺地域に高品質の工業用水と生活用水を供給する能力を備えている。このことから国華滄電公司は、海水淡水化処理水準を国家飲用水基準まで引き上げ、水道管で居住区へ送り、住民に飲用水として供給することを決定した。

 住民が高品質の淡水化された海水を飲めるよう保証するために、国華滄電公司は国内の権威のある専門検査機関に依頼し、最新の国家『生活飲用水基準』に沿って106項目に及ぶ指標について分析・検査を行って、結果全てにおいて合格し、直接飲用が可能になった。今では、甘みのある淡水化された海水は水道管を通って、国華滄電公司の従業員の駐在地へ送られており、10棟計5万㎡の社宅棟に毎日必要な200数トンの淡水はすべて海水を淡水化したものである。

 今回の淡水化された海水の水道管での供給は、国華滄電公司が渤海新区の広域に淡水化された海水を供給する実質的な一歩を踏み出したことを示している。聞くところによると、建設中の同公司の二期工事で、一日1.2万トンの処理能力を持つ海水淡水化装置を導入する予定らしい。そうなれば、淡水供給能力の向上に伴い、同公司が渤海新区に淡水化された水を供給できる範囲もさらに拡大するだろう。

(新華社石家庄 6月9日発)

【筆者】楊 守勇(新華社記者) / 環境友好公益協会(EnviroFriends) / 新華社より転載 /  [C08061201J]
【翻訳】小松 圭子]]>