ごみ分別の日中比較 ~北京のごみ分別・リサイクル事情~(後編)

日本のごみ分別事例と北京のもうひとつのリサイクルシステム

北京市 前編では90年代後半から北京で実施している行政主導型のごみ分別が、分別回収を伴わない分別式ごみ箱の設置という行為によりごみ分別自体の形骸化が招かれていることを指摘した。分別式ごみ箱そのものは分別を行うための道具、収集の手段に過ぎないのだが、それを「分別」の必須条件、さらには「分別」と同等にみなす傾向さえ出てきている。前編で述べたように、私は北京のある居民委員会役員から「日本の分別事例を用いてうちの住民へごみ分別の宣伝教育を行いたい」という理由から「日本の分別式ごみ箱」のモデルを見せ、紹介してくれという依頼を受けたこともあった。

 ここで日本の事例を考えてみると、実はほとんどの地域で分別にごみ箱自体を使用していないということに気がつく。例外は駅などの公共施設や路上などで、これらの場所では確かに分別式のごみ箱が設置されている。住居地域では一般的にごみ箱の代わりに「ごみ集積所」とよばれるスペースを用いて住民から出されるごみを収集車がくるまで一時的に収容する。種類別に出されるごみの日にちや容器を指定することで、一つのごみ集積所でも多種類の分別に対応できるのである。種類別のごみの出す日にちの指定・限定は同時に、住民は毎日適当にごみを出せるものではないということを意味している。

 ごみ集積所の設置基準は各市町村ごとに違いがあるが、一つの集積所の利用世帯数は10~30世帯ぐらい(人口密度によって大きく左右される)、アパート・マンションなどの集合住宅であればその建物ごとに専用の集積所を設け、地区自治会(住民による自治組織)と役所の担当課の間で協議の上決定されるのが一般的なようである。集積所とは呼ばれているが、誰かそこで勤務しているわけでも見張っているわけでもない。単なるスペースで、せいぜい囲いがされている程度である。清掃などの管理は地区自治会と使用住民共同で行う。収集・運搬は各市町村ごとに役所が直営もしくは民間業者に委託という形で行い、日にちごとに出されるごみが違うので、担当する業者は同一日には一種類のごみを専門的に回収し(例えば、缶・びんの日には収集車は業務範囲内を回り缶・びんのみを回収)、後方の処理方法に合わせ指定の施設・業者へと運搬する。例えば、古紙であれば古紙回収の仲介・卸売業者に売却(これら業者が役所から収集業務を委託されることもある)、可燃ごみであれば焼却施設へと運ばれる。

 役所の財政力、人的資源及び回収・運搬のコストなど各市町村で大きく異なるため、各地域でリサイクルできるごみの種類も異なっている。地域によっては「資源ごみ」の範囲が広く、焼却するごみの中には生ごみや紙おむつなど限られたごみだけとしている地域もあれば、反対に焼却に依存し可燃ごみに廃プラを含む多種類のごみが含まれる地域もある。いずれにしても、ごみ分別の方法、ごみの出し方はこのような回収後の処理現状とニーズにもとづき決定される。現時点で資源ごみとして回収されていないごみでも、後でリサイクル可能の範囲が広まれば、資源ごみとして可燃ごみや不燃ごみと分けられて出されるようになる(その逆のケースもある)。その際回収後のルートや処理作業の違いから、一定の要求が出されたりする。例えば、PETボトルのボトル部分と蓋の部分を分けて出す地域がある。これはボトル部分がPETで出来ているのに対し、蓋はPPという異なる材料を使っていて、回収後には材料別に違うルートに流されるためである。

 考慮に値するのは、日本では国が出す基準による分別の法的統一化というものはないことだろう。賛否はあるが、それは各地域ごとに異なる収集後の処理方法という現状に即したプラクティカルな方法であると指摘できる。

 ここで指摘しておきたいのは、筆者は決して北京や中国の他の都市は日本に見習って日本式の分別を行えと言っているのではない(日本の現状自体多くの課題を抱えているし、両国間の社会経済的背景や公共意識など多方面で大きく異なるので、日本式の制度を受け売り的に実施すれば弊害が起こるであろう)。そうではなく地域の現状に合った実際的なシステムの構築が必要であると言いたいのである。日本でもそうなのかもしれないが、ごみ分別段階に対し過度の議論がなされ、それ故に問題の表面的な側面が強調されている観がある。例えば、分別の細かさを見てリサイクル効果や環境保護効果を判断するような意見があるが(例えば上述のPETボトルのボトル部分と蓋の部分を分けて出すことを「分別が徹底されている」とみなすなど)、分別の細かさによって一概にリサイクル率が決まるものでは決してなく、むしろ収集後のニーズによって決定されているに過ぎないのだ。

 フランスなど都市生活ごみのリサイクル率が日本以上の国でも分別方法は結構シンプルであるケースが多い。また、社会経済的側面を考慮した場合、労働力の余剰問題が顕著で、労働賃金が低い水準にある国なら、雇用創出の目的から回収後のごみ分別や洗浄、加工などへの人員投入は正当化されてよく、ごみ発生段階での分別の程度は合理的なレベルで構わないということになる。過度な分別を行う必要がないのである。現在の北京の状況は次の部分で述べるインフォーマル・リサイクルの実情などと合わせて考えると、どちらかというと大雑把な分別で良いのではないかと考えられる。情報を発信する日本側もそれを受け入れる中国側も「分別の細かさ」という表面上の結果を強調するのではなく、その背景にあるシステムの全体像をちゃんと考えなければいけないと思う。

 ごみの分別収集・運搬・処理のシステム構築には多くの時間と経費を要し、北京市にそれを短期間で実施することを期待するのは多少不公平であろう。しかし「地域の現状に合った実際的なシステム」という観点から見た場合、北京市にすでに存在する民間による有価物のリサイクルシステムの活用という問題は議論に値するであろう。

 北京や他の都市部では、前編で記述した1990年代後半以降の行政主導型ごみ分別・リサイクルの開始以前から、市場原理に基づいた民間の自主的な、インフォーマルなリサイクルシステムが存在している。従事する人々は有価物に対し分別、洗浄、加工、梱包などのそれぞれが成し得る作業を行うことで付加価値を付け、買値プラス労働に要したコスト以上の価格で売却することで収入を得ている。

 このようなシステムが存在し、規模を拡大している主な原因には、製造業の成長とそれによる資源不足、原生資源の相対価値の高さ、生活ごみに含まれる有価物の発生量の増加、急速な都市化による都市部の余剰労働力の存在、貧富の格差などが挙げられる。インフォーマルなリサイクルシステムはある意味でのピラミッド型構造を形成していて、一番下はウェイスト・ピッカー(路上やごみ箱から有価物を抜き取る人)や住民、二段目には有価物買受業者・ジャンクショップがあり、三段目には有価物取引の卸売業者があり、最上段には回収物を資源として利用する工場がある。有価物はピラミッドの最下部から上に向けて流れ、その過程で分別・加工が加えられ再生資源へと生まれ変わる。回収は逆有償で、売却者である住民がお金をもらえるので経済的なインセンティブが働き、多くの家庭で有価物売却のためのある意味での「分別」がなされている。住民のこのシステムの利用状況は定かではないが、相当量の有価物がこのシステムに流れてきているのは確かだ。私の以前所属していた北京のNGOがコミュニティで実施したプログラムでは10%前後のごみがこのシステムに回されているということが憶測ながら判明した。生ごみが60%以上を占めているという事実を考慮すれば、資源ごみ内に占める割合は相当なものではないだろうか。

 ただこうしたインフォーマルなリサイクルシステムには二次汚染と呼ばれるリサイクル過程での環境汚染や、従事者の劣悪な労働環境等の人道的問題の他、生活に余裕のある特に若い世代は利用しなくなってきているという傾向があるなどの複数課題を抱えている。また市場原理のみに基づき行われるため、市場の影響を直接受けるという問題もある。昨今の世界金融危機問題の影響を受け、製造業、特に輸出型産業の生産量が縮小し、そのため資源である有価物の価値が大幅に下落した。PETボトルや新聞紙など半額以下になったものが多くあり、住民のインセンティブが削がれ、回収量が激減するという状況も出ている。もっとも、有価物の価値下落は行政主導型でやっている先進国のリサイクルにも当然影響を及ぼすのだが。

 このような限界を踏まえ、北京市としては行政主導型分別回収システムの構築にインフォーマルのリサイクルシステムを取り入れる形を模索しているという点で意義深く、現にそのような試みも行われつつある。持続可能性という観点から、フォーマルとインフォーマルが相互に補充しあい、財政や人的資源の制限及び社会経済的、社会文化的現状に即したシステムの構築が願われる。特に行政主導型の分別システムが追いつかない貧困の地域ではインフォーマル・セクターがそれを補っているという事実やリサイクルが貧困層の収入源の一部となっているという事実を十分考慮に入れるべきである。フォーマルとインフォーマルの連携は二者間の役割分担という形でも考えられ得る。例えばインフォーマル・セクター(民間部門)は有価物の回収を、フォーマル・セクター(行政部門)はその他の市場原理では回収・処理されない物の回収など。タイ国のピサヌローク市の取り組みがいい例であり、参考に値する。しかしそのような連携のためには、両者の間で経済的価値を持つ資源ごみの権益をめぐる争いをまず乗り越えなければならないであろう。

 ごみ分別は(何をどのように、どの程度まで分別するか)は収集後のリサイクルを含めた処理・処分の実際状況に応じて決定されるべき、というのが結論である。分別収集後の処理システムの構築がまず前提にあり、その際にはフォーマル・インフォーマル、行政・民間を問わず考慮に入れるような包括的でプラクティカルなシステム作りを段階的に行うことが必要とされ、その上でどのように分別していくかを決定していくべきである。分別式のごみ箱は道具に過ぎない。それが「分別」のシンボルとなっては本末転倒である。

(関連ニュース)
・ごみ分別の日中比較 ~北京のごみ分別・リサイクル事情~(前編)(2009-1-23)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J09012302J

(日本)一戸建て住宅地域のごみ集積所の例。

(日本)団地におけるごみ集積所の例:団地の敷地内に設置され、囲いがされてある。

(中国・北京)インフォーマル・リサイクルの状況:路上清掃員達が集めた有価物をジャンクショップに売却する様子。

【筆者】池田 武(IKEDA, Takeshi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09013002J]
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COP10に向けてNGO/NPOなどが全国組織を結成!

生物多様性条約市民ネットワークが設立総会を開催

愛知 生物多様性条約市民ネットワーク(略称:CBD市民ネット、英語表記:Japan Civil Network for Convention on Biological Diversity)の設立総会が2009年1月25日(日)、名古屋都市センターで開催された。2010年に開催される生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)およびカルタヘナ議定書第5回会合(MOP5)に向けた、NGO/NPOなどの全国ネットワークとして、政策提言や、普及・啓発、COP10での国内外のNGOの受け入れなどの活動を行っていく。

 NGO関係者などの市民を中心に100名を超える参加者で会場はほぼ満員。関心の高さをうかがわせた。環境省や生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会などの来賓あいさつの後、設立までの歩みや会則、事業計画などが説明された。

 日本自然保護協会の道家哲平氏からは、「2008年5月のドイツでのCOP9(第9回締約国会議)から日本のNGOへバトンが受け渡されたのち、国際的な状況について情報を集め、また条約事務局との意見交換会などを行なって来ました。国内外のネットワーク事例を参考に東京・愛知を中心としたネットワー ク作りについて模索し、昨年夏ごろから本格的に準備してきました」と経緯について説明があった。

 続いて、「『地球に生きる生命(いのち)の条約』である生物多様性条約の目的に賛同し、その目的の実現に向けて地球市民の立場から活動を行う。」という目的や、NGO/NPOだけでなく生物多様性保全に取り組む企業も含めたネットワークとしていくことなどをうたった趣意書や会則が提案された。

 質疑応答では、会場から、活動期間、参加資格から会則の言葉使いに至るまで、詳細な質問が出され、運営委員からひとつずつ丁寧に回答がなされた。趣意書にある「十分な公開性と透明性を保障する民主的な運営」の努力へ第一歩が行われた形となった。

 役員としては、共同代表として、高山進氏(伊勢・三河湾流域ネットワーク代表世話人)と吉田正人氏(国際自然保護連合日本委員会会長)が選ばれるとともに、東京、名古屋のNGO関係者を中心とした運営委員が選出された。

 提示された事業計画内容には、「政策提言、普及・啓発、COP10での海外NGO受け入れ」などが盛り込まれた。政策提言の具体的な内容については、生物多様性条約会議関連の関係者や有識者による会合として2月3日に第1回目が開催される「円卓会議」などに参画しながら、徐々にポジションペーパーなどとしてまとめていく。

 記者会見では、選出された運営委員が「生物多様性条約は、環境系の話題だけでなく、食糧問題、貧困と開発、先住民の権利問題など広範なテーマと関連するもの、今後は、そうしたNGOや関係者にも参画を呼びかけたい」、「COP9時に集結していた海外NGOを今回、しっかりと受け入れなければならない」、「生物だけではなく人間の命も軽んじられる時代、『命の声を聴く』というテーマを掲げて活動したい」などと意欲を述べた。

大勢の参加者が詰めかけたCBD市民ネット設立総会

経過報告などをする道家哲平氏

設立総会終了後に記念撮影に収まる参加者たち

【筆者】今井麻希子、佐藤直樹 / Good News Japan / Good News Japanより転載 /  [J09013001J]
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危険な気候を回避するための法律制定を求める請願署名募集中!~MAKE the RULE キャンペーン

「新しいルールで、地球をクールに」 気候変動を防ぐ法律をつくろう!と国会への請願署名が全国キャンペーンによって呼びかけられている。

日本全土  2008年8月からスタートしたMAKE the RULEキャンペーン。2009年1月13日現在47の環境NGOなどからなるキャンペーン実行委員会が構成され、賛同団体を含め120団体に広がっている。キャンペーンでは、(1)京都議定書の目標である6%削減を守り、日本でのCO2などの温室効果ガスの中長期的な削減目標を定めること、(2)温室効果ガスを確実に減らすためのしくみ(ルール)を作ることを大きな二つの目標に掲げている。

 2009年末、デンマークのコペンハーゲンで開かれる国連会議で、これからの地球温暖化の取り組みが決められようとしているが、日本は温室効果ガスを多く排出する国として、世界をリードする削減の取り組みが求められている。

 日本の温室効果ガスがこれまで増え続けてきているのは、あるべき未来を描き、それを実現するためのルールがないから、として、世界的に対策が求められている今、ひとりひとりが声を上げることで大きな流れを作り、政治を動かし、この国に新しいルール(法律)がつくられることをめざしている。それがMAKE the RULEキャンペーンの本旨である。

 具体的なルールの一つとして、MAKE the RULE キャンペーン気候保護法案委員会では、2008年9月2日に「気候保護法(仮称)」骨子案をすでに策定。この骨子案では、2020年までに1990年比30%、2050年までに1990年比80%の温室効果ガスの削減という中長期目標の設定、国内排出量取引制度、炭素税、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入などが盛り込まれている。

 こうした気候保護法を実現するためには国会で法律にしなければならない。現在、キャンペーン実行委員会では、広く市民の声を国会に届けようと、1月5日に開会した第171回国会への請願署名を呼び掛けている。最終締切までには100万名の署名を集める予定だ。なお、請願とは、憲法で保障された国民の権利で、市民一人ひとりが国に対し希望を伝えることができる方法である。

 この請願の内容は、以下の2点。

(1)京都議定書の6%削減目標を守り、これから中長期にわたって温室効果ガスを大幅に削減すること
 ・2020 年には1990 年のレベルと比べて30%の削減をすること
 ・2050 年には1990 年のレベルと比べて80%の削減をすること
 ・2020 年には一次エネルギー供給の20%を再生可能エネルギーにすること

(2)排出を減らしていくための制度をつくること

 ・CO2 を減らす人・企業が報われ、CO2 をたくさん出す人・企業には相応の負担を求める経済社会にすること(炭素税・排出量取引制度など)
 ・再生可能エネルギーを大幅にふやすしくみをつくること(固定価格買取制度など)

 キャンペーン事務局長の平田仁子(ひらた・きみこ)さんは「法律の実現となると難しい話のようだが、このキャンペーンは、今のエコブームの延長線上だけでは温暖化対策は限界があるということに気づいた人が、新しいルールを作ろう!と声を上げることに意味があります。私たちの声が大きくなれば、政治家は、この深刻な問題を無視することはできなくなるでしょう。」と語る。

 この請願用の署名用紙は、キャンペーンのウェブサイトからダウンロードできる。当面の第3次締切は3月20日(金)。地球温暖化を本当に防ごうという人びとの普通の思いを力にするために、署名にぜひご参加を。

 ※東アジア環境情報発伝所もキャンペーンの賛同団体です。

(関連URL)
・MAKE the RULE キャンペーン
 http://www.maketherule.jp/dr5/

(関連ニュース)
・シンポジウム「市民が進める温暖化防止2008」開催!(08/12/12)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J08121201J

・CO2を減らすためには、ルールが必要!(08/8/15)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J08081501J

MAKE the RULE ポストカード(©MAKE the RULEキャンペーン)

MAKE the RULE オリジナル壁紙(©MAKE the RULEキャンペーン)

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09012301J]
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ごみ分別の日中比較 ~北京のごみ分別・リサイクル事情~(前編)

北京で実施されているごみ分別・リサイクルの実状

北京市 著しい経済発展とそれに伴う廃棄物発生量増大などの各種の環境問題を抱える中国、その首都北京では今、資源節約、循環型社会構築に向けてごみ分別・リサイクルが実施されている。本記事は前後二回に分け、前編では北京のごみ分別の実際状況を現地での見聞を元に解説・分析し、後編では中国読者を意識した上で日本のごみ分別の事例を紹介する。前・後編を通してごみ分別の日中比較を行い、北京での「地域の現状に合った実際的なシステム」構築への参考になればと願う。

 2008年8月に北京はオリンピックを開催し、それを受けてオリンピック会場関連施設などでごみの分別が実施され、開幕式の行われた8月8日一日だけでペットボトルが十数万本回収されたと地元メディアは報道した。世界中が注目した北京オリンピック、その開催期間中のこのようなごみ分別の取り組みは日本でも多少知られているかと思うが、実は北京や上海などいくつかの都市部ではすでに住民家庭や学校などを対象にしたごみ分別が行われているということはあまりよく知られてないようだ。

 人口が2000万人を超える極めて人口密度の高い北京市(都市部)では、新築住居の多くが五階建て以上の高層マンションで、マンションの集合からなる団地がある意味でのコミュニティの単位となっている。そこでは日本のマンション管理人に相当する「物業管理会社」が団地内のごみ収集、清掃等の日常の管理作業を請け負っている(平屋が多く残る市中心部などでは家庭からのごみは道路や「胡同」と呼ばれる狭い小道にある公共のごみ箱に出され、政府機関である街道弁事処がその収集、管理を行う)。

 北京市では1990年代後半から行政主導型のごみ分別・リサイクルが進められてきている。ここで「行政主導型」と述べるのは、北京など中国各都市部では市場原理に基づいた民間の自主的な、インフォーマルなリサイクルシステムが存在し、それとの区別のためである。政府から模範地区として指定されたコミュニティで分別式ごみ箱が設置され、住民はごみ箱の種類に合わせ分別投入するよう促される。分別されたごみのうち資源ごみは物業管理会社から委託された回収業者により回収され、資源化されるという仕組みである。

 分別式ごみ箱は一般的に「資源ごみ(リサイクル可能ごみ)」、「生ごみ」及び「その他のごみ(リサイクル不可能ごみ)」に分かれている。コミュニティによってはさらに「紙ごみ」、「プラごみ」と分けられているところもある。ごみ分別システムの普及は2008年のオリンピック開催を受け積極的に進められ、多くのコミュニティでごみ分別システムを開始している。2007年度末にはその普及率(ごみ分別率と呼ばれている)は52%に達し、オリンピック開催に向け賛同された50%の目標に到達したと市政府から発表されている。

 しかし実際には多くのコミュニティではごみ分別普及の試みは分別式ごみ箱の設置のみに止まり、ごみ箱に出されたあとの分別収集・運搬がなされていないというのが現状である。清掃員による収集段階での全てのごみの混入は住民の積極性を阻害してしまっている。その一番の原因は北京市にはまだ広範囲の分別収集・運搬のシステムが構築されていないことにある。分別式ごみ箱というハードの設置はコストや運営という方面から見れば安く単純で、分別収集・運搬に掛かるコストや管理責任は各物業管理会社によって負担するという現状のもとでは、実施がしやすい分別式ごみ箱設置のみが行われてしまっているようである。先に述べたごみ分別普及率52%という数字も単に分別式ごみ箱の設置をしているか否かというもので判断されているようだ。

 このような状況のもと、問題解決をめぐり政府、メディア、世論の間では住民の意識の低さに焦点を当て議論がなされている。政府当局もひっきりなしにごみの出し方、分別方法を宣伝している。住民の意識の向上はリサイクルシステム構築にとって非常に重要で、そのこと自体には問題はないのだが、分別収集・運搬のシステムがない段階でごみ分別の標識の基準化とそれの住民への普及、及び分別式ごみ箱の格式・サイズの基準化などが先走り的に進められている観がある。問題なのは、どのように分別するかは分別収集・運搬された後のリサイクルを含めた処理段階のニーズと現状に合わせ決定されるもので、つまり後方のニーズに合わせ前方が決まるべきなのだが、北京市の現状では先方のみが後方への十分な配慮無しに急ぎ足に決定されているのである。

 上述の「紙ごみ」、「プラごみ」や「生ごみ」と表示されたごみ箱を設置するコミュニティでも、資源ごみをまとめて回収に来る業者がいればまだましなほうで、古紙や廃プラだけを専門に回収するという業者やそのような体制が無いのに、これらを他の資源ごみと分けて出すところにどんな意義があるのだろうか。生ごみに関してはほとんどのコミュニティではまだ稼動しておらず、これもやはり形骸化している。分別回収を伴わない分別式ごみ箱の設置という現象に対して、「環境教育の一環として」という見方が政府や地元NGOの間ではされているようだ。

 分別式ごみ箱そのものは分別を行うための道具、収集の手段に過ぎないのだが、それを「分別」の必須条件、さらには「分別」と同等にみなす傾向さえ出てきている。私も大学のサークルから(大学には分別式ごみ箱のみで、分別収集・運搬の条件が無いにもかかわらず)分別式ごみ箱の使用方法や分別標識の指導をするよう依頼されたり、北京のある居民委員会役員からは「日本の分別事例を用いてうちの住民へごみ分別の宣伝教育を行いたい」という理由から「日本の分別式ごみ箱」のモデルを見せ、紹介してくれという依頼を受けたこともあった。

 しかし日本の事例を見ると分別式ごみ箱は分別の必須条件ではないことがわかる。それでは日本のごみ分別の状況どのようなものだろうか。(以下後編に続く)

北京市の分別式ごみ箱(左から「生ごみ用」、「資源ごみ用」、「その他のごみ用」)

分別されたごみを回収に来る業者

「生ごみ用」のごみ箱、フタを開けてみるとこのように — ごみ分別の形骸化の一面

【筆者】池田 武(IKEDA, Takeshi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09012302J]
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“レジ袋制限令”1周年アンケート結果発表

「民間レジ袋制限政策研究グループ」は北京地区の「レジ袋制限令」施行の効果に関する調査結果を発表した。

北京市 12月31日、「レジ袋制限令」発令から一年、民間組織や学者が組織する「民間レジ袋制限政策研究グループ」は北京地区の「レジ袋制限令」施行の効果に関する調査結果を発表した。これは商店によるレジ袋「有料化」規定の遵守状況や、レジ袋有料化による消費者への影響について調査したものである。調査により、「レジ袋制限令」施行当初に比べ、チェーン店のスーパー以外の商店は「レジ袋有料利用」制度の実行状況が極めて悪化していることがわかった。このことは直接、売り場の違い、商品の特徴と関係するだけでなく、消費者の受け入れの程度にも関係している。調査結果では、大多数の消費者はレジ袋有料措置を認識しているが、マイバッグを持つことやレジ袋からの脱却には一定の時間が必要であることも表明している。「レジ袋制限令」は政策実施対象及び範囲に違いがあることを重視し、免除策も含めた様々な対策を考慮すべきであると述べている。政策の意思決定者に対して現実を直視し、一般市民の意見を求め、適切に大衆が参加することを奨励するとともに、政策実施の合理性、有効性、厳粛性を向上させることを呼びかけた。

 同グループは、2008年6月末、「レジ袋制限令」施行1ヶ月後に、北京の政策実施状況について一連の調査を行った。このときの調査結果では、各種スーパーのレジ袋有料の政策実施状況は良好で、実施率は95.7%だったが、大型デパートや市場、各種の小規模商店の状況は楽観的なものではなかった。デパートでは「必ず実施をしている」が0%、「まったく実施していない」が88%(部分的に実施している場合を含む)、市場では「必ず実施をしている」が38%、「まったく実施していない」が54%、小規模商店では「必ず実施をしている」が54%、「まったく実施していない」が44%であった。

 数ヶ月が経過し、スーパーが「レジ袋制限令」実施の効果を継続できるかどうか、農産物卸売市場で実施できるか、消費習慣は短期間で変わることができるかなどの課題について2008年8月~11月の4ヶ月間、北京で第二次調査を行い、北京オリンピック終了後の「レジ袋制限令」の実施効果と消費者の反応について状況がわかった。調査は、モニター方式により実施し、北京市の海淀区、東城区、西城区、昌平区のデータを採取したところ以下のような結果が得られた。

 商店側からみると、スーバーの実施状況は比較的良く、管理が系統化され、実施率は94%で、「レジ袋制限令」実施以降の効果を保持している。農産物卸売市場の実施状況は比較的悪く、「実施していない」が71%で、前回調査の6月に比べ17%増えている。小規模商店の実施状況は楽観できず、「実施していない」が65%に達し、前回調査の6月に比べ21%増えている。これらのデータが意味するところは、条件が整えば「レジ袋制限令」を厳しく運用できる場所を除くことができるということ、つまりレジ袋を“渡す”“渡さない”がお店の人次第であるような場所では管理が非常に難しいということだ。

 消費者側から見ると、「レジ袋制限令」の発表から施行までに一定の「ビニール袋削減」効果があり、消費者は徐々に新しい環境対策に適応したといえる。調査結果は、レジ袋再利用やマイバッグの利用が75.3%に達しており、レジ袋購入は18.9%であるということも示す。このほか、61.5%の買い物客が「レジ袋やマイバック持ち込みを忘れた」ときにレジ袋を購入し、「毎回レジ袋を購入する」は12%という結果も得られた。一般市民がレジ袋を購入する主な理由は政策を受け入れていないのではなく、「習慣」であり、習慣が定着するには一定の時間が必要であるといえる。商店が無料でレジ袋を提供するとしたら、62.13%の消費者はこれを「違法」の贈呈だとする。このほか、調査結果をみると、女性と年長者は、男性・若年層の市民よりも、レジ袋を持参し、無駄にレジ袋を消費しないことがわかった。

 調査結果は、ビニール袋制限政策は実施の範囲において問題があることも表した。商務部が『管理方法』を公布し、直接肉、魚、加工食品などの商品を包装するビニール袋の(商品合格標準)の免除条項を設置したが、この免除範囲は、あいまいな点や矛盾がある。同じように果物、野菜、肉・魚や加工食品の包装は、スーパー、ケーキのチェーン店が提供する「備え付けのビニール袋」は免除(実際には商品価格に含めて回収)であるものの、農産物卸売市場や個人事業主はレジ袋を(あきらかに)有料にしている。消費者はレジ袋有料の範囲に関して、各種小売商店の政策実施の有効性に直接影響すると見ている。調査結果から見ると、消費者はスーパーやデパートで有料であることについてはすでに認識が普遍化しているが、売店や食品販売店、ファストフードでの有料については認識が低く、反対の人も多くいる。

 これらの結果により、同研究グループは、各種小売業間における差異(経営方式、経営規模、商品の違い)や、消費者が区別して対応しているという売場での民意に対して、政策制定者はより一層重視するべきだと主張している。「レジ袋制限令」の実施は、さらに一般市民の意見に耳を傾け、レジ袋の実際の使用状況を理解する必要がある。民意と実状に基づき、関係部門は確実に政策の細則の普及に力をいれ、消費者の長年の生活習慣を変化させることを助けてこそ、「有料化」を確実に規定し、単なる紙切れに終わらせないことができる。実施が難しい個人業者は、「有料使用」以外の措置を考え、一定の免除を与えるなど、政策実施の厳粛性と有効性を高めることを考慮する必要がある。

 研究グループは、2008年4月、商務部に対し、「レジ袋制限令」実施成功のための国民の意見を提出した。今回の調査報告が政府と関係各界が「レジ袋制限令」が直面している困難をよく理解し、問題点を改善への出発点とすることを期待している。

【筆者】李 力(Li, li) / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C09012102J]
【翻訳】中文和訳チームB班  大石 愛子]]>

全国で進むレジ袋有料化の現在

1月14日、全国自治体のレジ袋削減の取り組み状況の調査結果が環境省から発表された。

日本全土 改正容器包装リサイクル法の施行1年を機に、全国都道府県のレジ袋削減の取り組み状況をとりまとめた発表がされたのが2008年の4月。その後、各地の自治体で様々な取り組みが進み始めたことを受け、同年11月、環境省は再度都道府県と市区町村を対象とした調査を行った。その結果が1月14日に発表された。

 調査結果によると、2008年11月1日現在、47都道府県では約8割が、回答のあった1657市区町村(全国1809市区町村)のうち約4割の自治体が、レジ袋削減の取り組みを実施しているそうだ。

 今後の取り組みについては、残るほとんどの県で計画や検討をしており、取り組む予定がないのは東京都のみとなっている。すでに富山県(43事業者398店舗)、山梨県(26事業者116店舗)、沖縄県(10事業者229店舗)の3県では2008.11.1現在、県内全域でレジ袋の有料化が一斉実施されているが、2010年4月までには和歌山県、青森県、山口県の3県でも全面実施される予定だ。人口でみた場合、この6県で約6%を占める。人口の約10%が暮らす東京都が率先して動けばより効果が高まるのは明らかだと思う。

 都道府県の動きとは別に、市区町村レベルでも取り組みは進んでいる。すでに245市区町村でレジ袋有料化が行われており、2010年3月末までには370市区町村になるという。

 レジ袋有料化の進展に伴って気になるのが、その効果だ。具体的にレジ袋の辞退率とマイバッグ持参率を調査した市区町村のデータの平均値をとるとレジ袋有料化の実施前後で、辞退率(26市町村平均)が42.8%から84.4%へ、持参率(33市町村平均)が28.9%から86.2%へと大幅に向上しており、レジ袋有料化がレジ袋削減に大きな効果があることがうかがえる。

 すでに韓国や中国では全国的に実施されているレジ袋有料化だが、日本ではまだ全国共通になっていない。自治体や市民、事業者のがんばりでここまで広がってきた訳だが、国の法律でレジ袋有料化を制定するのが早道だろう。決断を下してもいい時が来ていることを今回の調査結果は訴えかけている。

(参考URL)
・レジ袋削減に係る全国の地方自治体での取組状況について(環境省)
 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10632

(関連ニュース)
・北京のスーパー、レジ袋の使用料9割減 若者が主な消費層(2008.6.19)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C08061901J

・レジ袋有料化へ!―10000人アンケート結果発表会開催(2008.4.18)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J08041801J

・日野市でレジ袋有料化スタート―日本のレジ袋削減の取り組み(2007.7.20)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07072001J

・広がるかレジ袋有料化――容器包装の3Rを進めよう(2007.1.26)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07012602J

【筆者】廣瀬稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09011601J]
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専門家は警告:絶滅に瀕するスナメリ、このままでは第二のヨウスコウカワイルカに

ヨウスコウカワイルカが生息する可能性はすでにわずかなものなのかもしれない。

湖南省 淡水に長きにわたって生活しているイルカは、全世界を見渡してもアマゾン川と長江だけだといわれている。しかし、このような名誉は、すでに今日の長江にはふさわしくないかもしれない。ヨウスコウカワイルカが生息するという可能性がすでにわずかである以上、スナメリ(中国では「江豚」と呼ばれる)――このまるい頭部の、活発な性格で、笑顔をたたえているようなクチバシ――も、専門家の予測によれば、向こう100年以内に絶滅の危機に瀕するという。

 私たち人間による破壊が一番の元凶だ。人間が地球上にすでに2500万年にわたって生きてきたこの2種類の生物を絶滅の危機に直面させている。中国科学院水生生物所の研究員であり、イルカ類の研究では“中国の第一人者”と言われている王丁氏。彼は今日、「洞庭湖スナメリ、水鳥、シフゾウ(中国に生息するシカの一種)の科学調査」のスタートにあたり、悲痛を交えてこう警告した。「絶滅に瀕するスナメリ、このままでは第二のヨウスコウカワイルカになってしまう」。

 2年前、長江イルカ類に関する中国最大規模の野生調査(王氏も参加)が実施された。ここで出された最終結論は人々を大きく驚かせるものとなった。これによると、「長江の女神」と言われているヨウスコウカワイルカはすでに「絶滅危惧」といえ、すでに種として生存できる基本的な条件を喪失している――というのだ。その後2年が経過した現在、王氏はさらに心配することとして、スナメリ生息数の急激な減少をあげている。

 世界自然保護基金(WWF)の資料によると、1993年に長江には少なくとも2700頭のスナメリが生息していた。だが15年後、生息数は半分近くに減少し、今では1400~1800頭といわれている。そのうち150~200頭は洞庭湖に生息。王氏は保護を強化しない限り、スナメリの絶滅はますます早まると考えている。

 スナメリは小型の歯クジラ亜目も海棲哺乳類で、アジアの沿海地区に比較的広範囲に分布している。海洋性、淡水性に分けられるが、このうち長江に住むスナメリは地球で唯一の淡水性で、ヨウスコウカワイルカよりも地球上に早く現れた。

 昔の漁師はスナメリを「河神」としていたが、今では親しみを込めて「江猪(豚)」(長江の豚)と呼んでいる。スナメリはこのように丸みを帯びた身体で水中を自由自在に泳ぎ、飛び回り、うなずき、水を飛ばし、そして船の波しぶきを追うのが好きなのだ。

 しかし人間の活動がスナメリの自由自在な生活を破壊し、そして彼らの生存を深刻に脅かしている。王氏によると、違法な漁業、ひっきりなしの船の往来、ダム工事、深刻な汚染などがスナメリにとっての「脅威」となっており、流れてくるスナメリ死亡というニュースは氷山の一角を映し出しているに過ぎないという。WWFによると、2004年、湖南省岳陽市は全国住血吸虫病対策会議を誘致するため、洞庭湖に約5000トンものミヤイリガイ駆除薬をまいた。これにより1カ月以内に6頭のスナメリが死亡したという。

 王氏は「これまでの長い経験を通じて私が痛切に感じるとことは、絶滅危惧種の保護に動く人そのものの存在が、まるで絶滅危惧種であるということ。こうした人々は少なく、社会に訴える声も小さく、勢力も弱く、孤立していて助けがない」と話す。科学者としてできることは問題の研究に励み、政府に対して解決手段を提言することであり、「問題解決には政府と人々の支持が不可欠だ」と訴える。

 現在のところ中国では6カ所のスナメリ保護区を設けており、このうち洞庭湖は市レベルの自然保護区となっている。ある人が王氏に「どの保護区が比較的に良い?」と問いかけたところ、王氏は厳しい表情で、「あまり聞きたくはないし、誰が良い・悪いかも言うことはできない。ただ問いたいのは実際に行動に移すかどうかだ」と答えたという。

 スナメリは国家2級の野生保護動物であるが、王氏によると1級保護動物になるという。人間がスナメリの生活を破壊しており、彼らを保護する必要がある――このような認識はすでにはっきりしており、王氏は「難しいのはどう実効あるものにするかだ」と語っている。たとえば「電打魚」(電気ショックによる漁法)という違法な漁法は、長い間ずっと見られている。

 WWF長沙事務所の支援を受けた今回の調査活動は20日間に及び、王氏と5名の同僚が洞庭湖でスナメリの数量、分布、生息、移動状況などについて調査を行っている。

【筆者】李 斌 / 環境友好公益協会 / 「中国青年報」より転載 /  [C09011403J]
【翻訳】中文和訳チームB班  畦田 和弘]]>

WWFが低CO2旧正月を呼びかける

めでたい旧正月に省エネをして、エネルギーを無駄遣いする生活と習慣を改め、低CO2でエコな旧正月休暇を過ごそう。

中国全土 旧正月休暇が間近に迫った中国の北京、国際的環境NGOのWWF(世界自然保護基金)は人々に「めでたい旧正月に省エネをして、エネルギーを無駄遣いする生活と習慣を改め、低CO2でエコな旧正月休暇を過ごそう」と呼びかけた。

 一家そろって楽しく過ごす旧正月休暇は、同時にエネルギー資源が比較的集中して消耗される時期でもある。祝い事や頻繁に開かれる集まりのため、都市、地方を問わず、街道・広場・観光スポット・家庭などの全ての場所で電気と水が集中して消費される。更に、大量に購入されるプレゼントや食品は、ほとんどが過剰包装されており、資源の無駄遣いとなっている。

 WWFによる呼びかけは以下の通り。「休暇中、適切に生活用照明の使用時間を減らし、テレビの明るさを低めにし、エネルギーの無駄遣いをしないようにする。テレビを見終わったらコンセントを抜き、待機電力消費を減らす。できる限り紙・ガラス・プラスチック製品を再利用し、プラスチックのナイフやフォーク等使い捨ての食器を使用しない。屋外での運動を心がけ、電気暖房器具やエアコンの使用を少なくする。調理するご飯やおかずの量を合理的に計画し、無駄を減らす。花火や爆竹を減らし、空気汚染と不必要な資源の消費をしないようにする。車を運転する時間と回数を減らし、適切である場合には公共交通機関や自転車、あるいは徒歩で行くようにする」

 他には「旧正月はショッピングや旅行に最適だが、ショッピングの際は、できる限り簡易包装の商品やプレゼントを購入する。予算の許す範囲内で、最も省エネ型(エネルギー効率の高い)の家電を購入する。レジャーに出かけた際には、ホテルの部屋を出る前に全ての照明をオフにし、蛇口をきちんと閉め、エアコンを切る。もし特に必要でなければ、ホテルのタオルやシーツを数日間使用し、ホテルの省エネ活動を積極的に支持する」等出先でのtipsも。

 「中国は第十一回五カ年計画の中で2010年単位GDPエネルギー消費を20%下げるという省エネ目標を掲げているが、この目標の達成は容易ではない」-WWFエネルギーリソースと気候変化プロジェクトの陳冬梅主任は述べる。「2009年に入り、第十一回五カ年計画も2年を残すのみとなった。我々一人一人が生活の改善を通じ、共に省エネ目標を予定通り達成する責任と義務を負っている」

 健康で環境に優しい休暇中の生活習慣を提唱するために、WWFはオンライン宣言と学習プラットフォームを立ち上げた。本日より正月十五日の元宵節までの期間、ホームページ(http://www.20to20.org/)を訪れるとさらに多くの旧正月期間の省エネ排出削減のtipsを学ぶことができ、更には「低CO2旧正月」オンライン宣言に参加し、共同で節約型休暇の雰囲気を盛り上げるのに一役買うこともできる。聞くところでは、今回の活動に対し、北京林業大学、江西師範大学等多くの高等教育機関の学生たちは既に好意的反応を示して参加しており、宣言に参加した人数は数万人に達しているという。

 更に詳しい情報については、こちらまで→WWF(世界自然保護基金)蔡涛(電話:010-65227100-3220)

【筆者】蔡 涛(WWF) / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C09011402J]
【翻訳】中文和訳チームA班  野口 順子]]>

農村における環境教育劇場、成功のうちに終了

中国環境意識プロジェクトと北京市科学技術委員会の委託を受けて

北京市 北京環境友好公益協会、北京市持続可能な発展促進会と北京市町村の声文化芸術センター(市町村の声芸術団)は、中国環境意識プロジェクトと北京市科学技術委員会の委託を受け、北京郊外の農村に暮らす老人、婦女や児童向けに、環境科学教育を目的とする演芸プログラムを実施した。農村では、住居が分散しており、環境科学に対する知識や全般的な教育水準が低いことから、環境教育へのニーズが高い。農民の生活の実情に即したプログラムを編成し、環境科学知識の普及を最大化するため、プログラムの制作スタッフは、北京郊外の9地区にて事前調査と民謡の採集を行い、農民が提起した問題やニーズにもとづいて、プログラムの内容と演出の方向を定めた。制作過程において、役者達は何度も農村に出向きそこでの生活を体験し、プログラムの内容と演出の調整と改善に努めた。

 劇団員は、自ら創作した歌や小芝居、そして相声、快板、三句半、数来宝、口技、双簧(*)等の伝統芸能で構成される多様なプログラムを組み、職を失った労働者の張自立さんの体験をもとに創作した歌3曲も取り入れた。作品は、環境保護・エコ農業・省エネ・公害防止等を主題とし、科学の知識や理論を盛り込んだ内容を、庶民に喜ばれ、わかりやすいように、寓話の形式を利用した娯楽・演芸を通じて表現した。

 劇団員は、寒さや会場が辺鄙な場所にある等の悪条件を克服し、北京市内や郊外の農村、学校や政府機関で計15回の公演を行った。公演は、毎回観衆の熱烈な歓迎を受け、終了後も名残惜しい様子だった。さらに劇団は、北京市科学技術委員会の新たなる招待を受け、「北京市科技促進新農村建設成果展」にて5日間7回にわたり公演を行った。毎日の公演の閉幕後には、観衆から「家族や友人に見せたいので、次回の公演時間を教えてほしい」という問い合わせが絶えなかった。

 劇団が創作した「感動」という題の小芝居は、農民が、農業技術員の支援の下、従来の考え方を打ち破り、科学的な栽培方法によるエコ農業を展開し、優良品種を選ぶことにより生産量の倍増を可能にしたというストーリーだ。家が豊かになった感動と賛辞を表現し、役者達の感動の涙に舞台下の観客の目からも涙が溢れた。「我想有个家(一つの家への願い)」という小芝居では、地球温暖化が日増しに深刻化しており、環境保護を先送りにすることはできないこと、そして人と自然の調和のとれた発展を願う心を表現した。「農民の歌」という漫才は、裕福になった農民が、自らの気持ちと「社会主義新農村」での豊かな生活に対する願いを表現する歌の作曲・作詞を、大枚をはたいて人に依頼する、という内容で、出演者と観客が互いに呼応し合った楽しいパフォーマンスとなり、拍手喝さいを得た。公演の豊富な内容と素晴らしい演出に、村民からは熱烈な拍手が起こった。出演者達が舞台上で行き交ううちに、皆は寒さも時間も忘れてしまった。公演が終わった後、村長は劇団員の手を取り、「私たちはとても感動した。このプログラムを通じて環境保護と科学の知識を得ることができた。とても思いがけないことだ。私たち農民は、あなた方を必要としている。これから頻繁に来て下さい。」と言った。心のこもった言葉に、劇団員は冬の寒さを忘れ暖かささえ感じ、今までの努力が無駄でなかったことを知った。目的を達成し、すばらしい成果を挙げることができたのだ。

 この劇場では、農民の中から出演者を募集し、自分達で作品を創り、農村で公演を行うまでの過程の中で、出演する農民や制作者が環境科学の知識を得ることができるだけでなく、周囲のより多くの人に、如何に環境科学の知識や概念をわかりやすく楽しめるように伝えることができるか、その方法をも広めることができる。

 環境教育劇場は、中国の農村における環境意識教育と科学知識普及の新しい手法を開拓し、環境、科学技術、そして芸術の発展と向上に大きく貢献したのだ。

*訳注

・相声:中国式漫才
・快板、数来宝:いずれも竹板を打つ拍子に合わせて演じる語り物
・三句半:三人が主題に即して一句ずつ詠った後、四人目が漢字二文字の語句で括る形式の演目
・口技:動物等の声帯模写
・双簧:前にいる演者が口を動かし,実際には背後の人が声を出す演芸

【筆者】李 力(LI, Li) / 環境友好公益協会(EnviroFriends) / 寄稿 /  [C09011401J]
【翻訳】中文和訳チームA班]]>

公害・みんなで力をあわせて―大阪・西淀川地域の記録と証言―

西淀川・公害と環境資料館にて、公害解決に携わった人の活躍がわかる展示パネルがこのほど完成した。

大阪■公害解決に携わった人の活躍がわかる展示パネル完成

 あおぞら財団では1996年の設立以来、公害の経験を伝えていくための資料保存活動に取り組み、2006年3月に西淀川・公害と環境資料館をオープンした。資料の出し入れや貸出業務はできるものの、見てわかる西淀川公害の展示がなかったため、訪れた人への情報提供が不十分であった。見てわかる西淀川公害のパネルがあれば、現在以上にわかりやすい情報を提供できる。そこで常設展示パネルを作製することとなった。

■公害解決に尽力した人が登場する展示

 西淀川公害の展示パネル「公害・みんなで力をあわせて―大阪・西淀川地域の記録と証言―」が完成し、あおぞら財団付属「西淀川・公害と環境資料館」(愛称:エコミューズ)にておひろめ会が2008年12月12日に開催された。この日はパネルに登場した「人」たちも参加して公害への思いを語り合った。

 この展示パネルは、様々な立場の人の活躍を紹介している。あおぞら財団ではこれまで公害学習の教材を作成してきたが、現場の教師から「公害の時、行政や医者、企業等いろんな立場の人がどのような努力をして公害を克服したのかがわかり、それを見て生き様を学ぶ職業教育になるようなものがほしい」との声が聞こえてきた。振り返ってみると、これまでは患者の声を拾うことに精一杯で、患者以外の方々の奮闘にスポットを当てることが不十分であることに気付かされた。「みんなで力を合わせて」公害を解決してきたことがわかる、いろいろな人が登場するパネルを作製しようということになったのである。

 作製中、登場する人々に意見を聞くたびに、あれもこれも加えてほしいと色々な意見をもらった。公害解決のために携わった人々の思いの強さは半端ではなく、情報量がどんどん多くなる。しかし、伝えやすくするためにはコンパクトにまとめなければならない。板ばさみ状態になり、頭を抱える日々であった。

 熱い議論の結果、患者・医者・教師・国と自治体・ジャーナリスト・地元企業・弁護士・学者と、様々な立場の人の活躍を描く展示パネルとなった。

 来館者の感想には「とても分かりやすくまとめてあると思います。イラストや図が工夫してあってよかったです」「きれいな部屋になって、パネルも見やすくて、勉強になります!」とあり、ほっと胸をなでおろしている。

■展示作製のために基金を募集

 展示作製のために先立つものはお金である。2007年度に募金活動を行い、西淀川公害訴訟の被告企業、弁護士、市民、学者、色々な立場の人たちから基金へのご協力をいただき、半年で50万円が集まった。その資金を元手にして、展示のデザイン・印刷、資料室のリフォームを行った。展示に登場する人たちだけではなく、これらの作業を行った人々、基金に協力いただいた方々の思いも詰まった展示パネルと展示空間になったといえるだろう。

■貸出、中国語訳で広がる?

 日本国内の様々な場所で展示してもらえるようにと、貸出用を作製した(貸出は2009年4月から)。また、中国に日本の公害経験を伝えるための中国語訳にも取りかかっている。

 公害解決に携わった人々の熱い思いが、この展示パネルを通じて広がっていくことを願ってやまない。

*開館日であればいつでも閲覧できる。エコミューズにぜひお越しを。(パネルはフルカラーB2版で13枚)

参考情報)
→ http://www.enviroasia.info/organization/organization_detail.php3/J08050203J

大阪市で公害対策に取り組んだ増田喬史氏がパネルを解説

西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の様子

西淀川公害展示パネルの一部「患者」

【筆者】林 美帆(HAYASHI, Miho) / (財)公害地域再生センター(あおぞら財団) / 寄稿 /  [J09010901J]
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