国際社会の中の日中環境協力を問う「中国環境ハンドブック」第3弾

中国の環境問題と環境保全活動、国際環境協力を総合的にまとめた『中国環境ハンドブック2009-2010年版』が刊行される。

中国全土 2年ごとに新たな版の刊行を目指す『中国環境ハンドブック』の最新巻、「2009-2010年版」が本日(5/29)以降、「中国の環境問題を救え!」との触れ込みで書店に並ぶ運びとなった。2巻目「2007-2008年版」が刊行されてからのこの2年間、中国からの輸入食品が汚染されていたことによる中毒事故や、四川大地震、北京オリンピックなどの関連報道で、日本でも中国の環境問題に対する関心が以前にも増して高まった。本版は、そうした中国の環境問題の新たな広がりや、日中2国間にとどまらない日中環境協力、さらに生活者の視点をも、新たに取り込んだものとなっている。

 本版も、従来の2巻を踏襲し、前半が「特集」、後半が「資料・データ」という構成になっている。特集は3部構成、資料・データは4部構成である。

 特集の第Ⅰ部「中国環境問題の焦点」では、食品の安全性、河川・大気・土壌の汚染、森林破壊などの問題と、それらに対する対策が概観されるとともに、日中環境協力の歴史と新たな動向などもまとめられている。第Ⅱ部「環境技術移転の経験と挑戦」には、実際に日中間の省エネ・環境技術移転に様々な立場――日本人・中国人、研究者・実務家など――で関わっている人たちによる、その第一線の経験を今後に生かすための提言が記されている。この部分は、日本の「先進的な」省エネ・環境技術を中国に持っていくことで中国のエネルギー・環境問題を解決していきたいと真剣に願う人たちにとって、特に得るものが大きいと思われる。特集の第Ⅲ部「中国における環境NGOの動向」では、前半では中国の環境NGOが編集した『環境緑書(原題:環境緑皮書)』の既刊4巻を概観し、後半では日本の環境NGOによる中国の環境汚染克服に向けた国際協力活動を、それぞれの関係者が紹介している。

 資料・データは、第Ⅰ部が「公報・法律」、第Ⅱ部が「統計」、第Ⅲ部が「NGO」、第Ⅳ部が「二国間・多国間の対中環境協力」であり、さらに付録「文献」として中国環境関連文献の情報を掲載している。「公報・法律」では化学物質規制、文化財保護、食品安全の法律について、「NGO」では中国で活動する欧米などの国際NGOについて、新たにまとまった情報が加わった。

 上記したうち、特集第Ⅲ部後半では、東アジア環境情報発伝所および東アジア環境市民会議を、日本の環境NGOによる活動の1つとして取り上げた。また、資料・データ第Ⅲ部の中国と日本のNGOについての情報収集、中国語情報の翻訳、編集も東アジア環境情報発伝所が担当した。

 本版を編集する過程で複雑な気持ちになったのは、営利・非営利を問わず、日本の対中環境協力にみられる視野が狭い傾向と、国際的な対中環境協力の中での日本の独自さである。特集第Ⅱ部では複数の著者が、中国の省エネ・環境協力が多国間の国際競争の場であるにもかかわらず、日本の関係者には日中2国間しか視野に入れない傾向があることを指摘している。一方、特集第Ⅲ部前半での『環境緑書』の概観では、国際NGOへの言及は多数あるにもかかわらず、日本のNGOについての言及を見つけられなかったことを記した。これらはつまり、国際社会の中で、日本の対中環境協力のあり方が問われている、ということであろう。これは、編集代表の一部は従来から問題意識を持ってきたことであるが、本版の当初の編集意図をはるかに超えて、本書最大級の問題提起になっているのかもしれない。

(参考URL)
・出版社(蒼蒼社)による本版の紹介
 http://www.mmjp.or.jp/sososha/hon/kankyo2009-2010.html
・専門家とNGOの共同作業で『中国環境ハンドブック[2005-2006年版]』刊行
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J04120802J
・日中環境協力の深化をめざし「中国環境ハンドブック」第2弾刊行
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07052501J

「中国環境ハンドブック 2009-2010年版」蒼蒼社、A5版480頁、定価3150円

【筆者】相川 泰(AIKAWA, Yasushi) / 中国環境問題研究会 / 寄稿 /  [J09052902J]
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環境アセス法の10年~“発展途上国”日本

2009年で環境アセス法の施行から10年を迎えた。

日本全土 持続可能な社会をつくる上で欠かせない手段のひとつである環境アセス法が制度化(1997年6月制定、1999年全面施行)されて10年になる。日本のアセス制度は後発で、その成立はOECD(経済協力開発機構)加盟国29カ国中29番目。まさにアセス「後進国」であった。

 アセス法が成立する以前の「閣議アセス」は、「はじめに事業の実施ありき」で環境への影響を予測評価するので、「アワセメント」と揶揄された。「閣議アセス」では、環境大臣は事業を行う主務大臣の要請がなければ意見が出せず、453件中わずか23件(5%)しか意見を出していない。

 新しい法律のもと(2007年3月まで)でアセスの手続きに入ったものは169件、手続きの終わった85件のうち80件に環境大臣意見が出されている。「環境行政の関与はこのように飛躍的に増大し、アセス結果の意思決定への反映がなされ、事業者は慎重な対応をすることになった」。(原科幸彦・東京工業大学教授) しかし、沖縄・辺野古の米軍普天間飛行場代替施設建設事業のアセスのように、法が定めた手続きを踏まないまま、県や住民の声を無視して「環境現況調査」を強行する事例もある。コミュニケーションツールとしてのアセス制度にとっては自殺行為である。まだまだ「発展
途上」の制度なのだ。

 あおぞら財団は、アセス制度の成立にあたって、制度の運用に欠かせない住民参加の充実を求めて意見を述べるとともに、講座の開催や「運営の手引き」の刊行など、市民参加型アセスメントの普及・啓発に協力してきた。

 講座では、アセス法の主旨をわかりやすく伝える座学、法の手続きを参加者とともに体験するワークショップ、アセス法の対象となった事業の現地見学(フィールドワーク)を取り入れて、参加者にも好評である。2009年2月に岡山市で開催した講座には定員を50人を超える市民が参加した。

 参加者の一人は「事業の計画段階から市民が参画し、環境への影響については第3者的な立場から分析をすることで、その事業の妥当性、環境への影響の大きさを評価し、ときには事業の中止・代替計画への変更も担保されてこそ初めてアセスメントの意義があると言えるのではないだろうか。そのためにも、今年行われるというアセス法改正に向けたパブリックコメントの募集には、ぜひ意見を出したい」と感想を寄せた。

 施行10年を経て環境アセス制度は、見直しの作業が始まっている。政策段階や計画段階での戦略的な意思決定段階で行う戦略的環境アセスメント(SEA:Strategic Environmental Assessment)の一日も早い制度化と合わせて、市民の関心を高めていくことが求められている。

ゴミ処理場予定地を見学

【筆者】上田 敏幸(UEDA, Toshiyuki) / あおぞら財団 / 寄稿 /  [J09052901J]
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桐柏県が打ち鳴らす淮河の生態保護を賭けた闘い(その三)

違法開墾、枉法徇私に結託した内外の党員や国家公務員が重点調査の対象に

河南省(→その二 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C09052602J からの続き)

6.厳格な責任の追及

 桐柏県書記委員会、県監察局は、『“乱伐”整備に関する作業実行責任追及の規定』に基づき、違法開墾、枉法徇私に結託した内外の党員や国家公務員を重点調査の対象とし、徹底調査、厳重処罰、チームの浄化を行った。同時に、“乱伐”整備のための長期有効な制度が整備できていない郷鎮および県直轄の関係部門の主要責任者に対しても、注意通告、面接、イエローカード警告、一票否決、降格、免職等の処置を行った。

 我々は、これまで、困難に屈することなく、勇気と行動力で盗伐、違法運輸、違法材木売買、違法開墾等、環境生態破壊行為を阻止し、違法犯罪に対して長期間にわたり強硬な態度を取ってきた。桐柏県人民の合法権益保護、淮河上流の生態安全、桐柏県林業の発展維持、淮河流域住民の幸せを実現するために。

付録:桐柏県淮河水源生態防衛戦への提案

 近年の桐柏県での深刻な盗伐や無秩序な開墾等を調査するNGOによる、“桐柏県淮河水源生態保護防衛戦”に対する意見:

 1.桐柏県の措置は認めるが、“桐柏県淮河水源生態防衛戦”には宣言のような内容が多く、具体的な応急措置策やシステム化された対策が求められる事項について更なる取り組みが必要。

 2.盗伐、無秩序な開墾後の改善方法、荒廃林の面積、盗伐数量、具体的な数字による評価。また、植林・林地回復、その対策および計画内容。

 3.焼炭業およびキクラゲ等食用キノコ産業の概況と改善に関する意見

 4.違法木材取引および輸送の概況と改善に関する意見

 5.古樹売買の概況的評価と改善に関する意見:林業者総数、政府公認業者数、企業所有業者数、個人業者数、古樹総計数、品種、許可済本数、未許可本数、外地伐採本数、当地伐採本数

 政府に対し、上記項目の公表を求める。

 皆さんにこの問題を更に理解いただくため、我々は引き続き河南日報「死の森(林之殇)」にて桐柏県林業問題の全容を公開していくつもりだ。

 淮河衛士 環境友好公益協会

【筆者】李 鵬 / 淮河衛士 / 寄稿 /  [C09052603J]
【翻訳】中文和訳チームA班  歳国 真由子]]>

桐柏県が打ち鳴らす淮河の生態保護を賭けた闘い(そのニ)

2009年4月より、桐柏県にて100日間にわたる「違法伐採」取り締まりを強化させる重点活動が展開されている。

河南省(→その一 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C09050603J からの続き)

(二、主な対策)

2.管理体系の強化。

 2009年4月より、桐柏県にて100日間にわたる「乱伐採」取り締まりを強化させる重点活動が展開されている。県行政委員会弁公室より『桐柏県「乱伐採」取締を強化させる重点活動施行案』が発行され、行政、検察、立法、司法、林業などの分野から100名に及ぶトップマネジメントによる管理体制が立ち上がった。取り締まり処理班、総合監督班や森林保護監督班に分かれ、迅速に各種の取り締まり措置を実行できる体制を整えた。森林を破壊する犯罪予備グループへの威嚇や一般市民への教育を展開するため、県行政委員会や県政府は主要な行政区単位で犯罪公開処罰会見を開き、李中桂をはじめとする4名の容疑者の逮捕公告や、梅春献をはじめとする5名の容疑者についての刑事拘留を公開発表した。これらの会見には社会各界から1000名余りの出席者が集まり、県レベルでも大きな反響を呼んだ。一方で各行政担当レベルには目標管理責任書に署名させ、ボトムアップからの取り締まり体制を目指す。

3.森林保護の強化。

 関連の施策が発表され、県や郷、村の三つの行政レベルにおける森林保護体系の更なる強化がなされた。県の6つの重点林保護区を管理する郷・鎮にはそれぞれ林業公安中隊を設置し、郷鎮の公安派出所との協働を図ることにより、森林保護戦線を延伸させ、森林公安機構警察の力量不足、警察出動の遅れによる取り締まり機会の喪失などの問題を解決し、取り締まりの強化を図る。また、林業総合検察ステーションを新たに組織させ、基層森林保護組織や重点公益林専属職員の役割を十分に発揮させる。更に投資を増やし、装置の管理保護やインフラ建設を補強することで、山の巡回や管理保護制度の改善、検証制度の改善を図る。山の管理や森林の保護を目指し、責任や担当範囲、検証や賞罰の明確化を目指す。多分野にわたる協働により、森林資源の保護体制の健全な運用を目指す。

4.林業の経営ビジネスチェーンに対する厳格な管理。

 木材の経営、加工や輸送の管理を強化させることは、乱伐採や盗伐を根本的に阻止する有効な措置の一つである。

 取り締まりや施策の強化により、県林政策調査隊や各郷鎮林業作業ステーションは違法な木材が山から運び出されることを阻止すべく、それぞれ林業巡査をレベルアップさせた。『木材経営加工工場(拠点を含む)分類や管理意見』に則り、全県の木材の経営加工工場(拠点を含む)を対象に、逐一再審査や再検査を行い、違法経営が見つかった場合は許可を取消し、法律の規定により懲罰するようにしている。

5.包括的な取り締まりに力点を置く。

 違法な林地占用や林地の農業開拓を厳しく処罰する。食用菌の栽培についてはゲリラ調査し、各郷鎮政府は管理状況を即時に県政府に報告するように要求する。森林火災の案件についても厳しく取り調べ、火元が判明するまで、責任者を処罰するまで、担当企業や担当者を確定するまで追及し続けるスタンスを貫く。古木の交易事件や山における古木の盗伐案件についても取り締まりを強化させるほか、近隣各県との情報交換を密にし、犯罪撲滅への協働を目指す。

(→その三 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C09052603J へ続く)

【筆者】李 鵬 / 淮河衛士 / 寄稿 /  [C09052602J]
【翻訳】中文和訳チームC班  紫 菫]]>

ソウル市の政策は気候に優しいか?

気候変動を核心的な政策課題とし、まずは公共部門の見直しを

ソウル特別市 ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長は5月19日、第3回世界大都市気候先導グループ(C40)気候変動サミットで、世界の約80自治体から集まった市長および代表団に向け、気候に優しい都市・ソウルの取り組みについて力説した。

 2007年に今回のC40サミットの主催都市に選ばれてから、ソウル市は温室効果ガス削減目標(10年までに1990年水準の20%を削減)を盛り込んだ「親環境エネルギー宣言」を発表した。呉市長はこれについて、「人口1,000万人の都市としては難しい選択だった」と話した。国家レベルの温室効果ガス削減目標がない状況でのソウル市の自発的な動きは、気候変動に対する都市の責任と行動を強調する、C40の設立目標を明らかに代弁したものと言える。

■反環境的な超高層ビル開発

 だが、大都市・ソウルの温室効果ガス排出量は、果たして目標通りにスムーズに減っているのだろうか。1990年から現在までのソウル市の温室効果ガスの統計を見ると、97年にピークに達した後、徐々に減少傾向にあることが分かる。これは、97年の通貨危機の影響が2000年代初めまで続き、景気の冷え込みによりエネルギー消費が減少した結果だ。また、金浦国際空港を利用していた国際線が01年から仁川国際空港に移転したことで、航空排気量が大幅に減少したことなども要因に挙げられる。つまり、ソウル市の努力により温室効果ガスの排出量が減少したと評価するには無理があるということだ。

 問題は、最近、市内で推進されている各種の開発事業と超高層ビルの建築ラッシュが、エネルギー消費と温室効果ガスの排出量の上昇につながっている点だ。建物は、市全体の温室効果ガス排出量の60%を占めているが、ほかの部門とは異なり、明らかに増加している。建物を新築もしくは再建築する場合、エネルギーの節約と効率性を徹底的に考慮しなければ、効果は得られないことを意味する。

 だが、現実は反対だ。あらゆるニュータウンおよび再開発事業は、貧しい市民に移住を強制するという社会的正義に反する行為と同時に、自然を破壊して深刻なエネルギーの浪費を呼び起こし、環境不平等を深化させているという問題を抱えている。

 特に、先端イメージを装った超高層ビルの建築は現在、好況を迎えている。超高層ビルのデザインにのみ関心が集まり、エレベーターや人工換気装置を過度に使用することで構造的にエネルギーの大量消費を免れないという事実については、誰も疑問を投げかけない。さらにソウル市は、都市政策において容積率に対するインセンティブを強調し、超高層ビルの開発を先頭に立ってあおっている始末だ。

■公共部門の成績は満足できるものではない

 何よりも、気候変動への対応に向けた都市の役割を強調するには、政府が政策意思をみせる必要がある。従って、まずは公共部門の温室効果ガス排出量を削減する努力が必要だ。ソウル市と25の自治体はこれを自発的に明らかにしているのだろうか。

 ソウル市の温室効果ガス排出量に占める公共部門の割合は6.5%にすぎないが、公共性と象徴性を考慮するならば、決して見過ごすことはできない。だが、成績は満足できるものではない。公共部門の電力使用量と温室効果ガス排出量は増える一方だ。河川を復元し、噴水や夜間の照明などの人工施設を設置することで、エネルギーの浪費を招く漢江ルネッサンス事業は、ソウル市の政策において、未だに気候変動への対応が二の次となっていることを表す例だ。

 我々は、呉市長が「攻撃的な目標」と自負する温室効果ガスの削減目標に近づいているのだろうか。数字で表される統計ではなく、ソウル市が気候変動についての問題を真摯に認識し、政策が気候に配慮したものなのか、市が自ら評価し直さなければならない。

(グラフ注釈)
 Y軸:二酸化炭素の排出量(百万トンCO2)
 点線(緑):ソウル市の温室効果ガス排出展望
 点線(赤):強制的な制度と強力な気候変化政策を通じた削減シナリオ
 ▼:現在
 ▲(赤):ソウル市の目標(-25%)

【筆者】イ・ジオン(Lee, Ji-Eon) / 韓国環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K09052301J]
【翻訳】小池 貴子]]>

エコポイント、見切りスタート!

「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業の実施」とは

日本全土 2009年度の補正予算の一つの目玉として、省エネ家電(エアコン、冷蔵庫、地上デジタル放送対応テレビ)への買い換えを促すエコポイント制度が、予算が成立することを前提に見切り発車的にスタートした。温暖化防止が主な目的と思いきや、景気対策の方に重きがおかれているようで、関係省庁(環境省・経済産業省・総務省)の話では、「経済危機対策として速やかに」行われる必要があったため、まだ決まっていない事柄が多い中で始まったとされる。それでも5月15日の初日、家電品を扱う店はどこも賑わいを見せ、思惑通り景気付けにはとりあえずなったようだ。

 エコポイントで決まっていることは以下の通り。
・省エネ基準(統一省エネラベル4つ星以上)を満たす家電(エアコン、冷蔵庫、地上デジタル放送対応テレビ)を購入すると、主にサイズ別に一定のポイントが付与される。(表1参照)
・対象商品であればどこで購入してもどんな価格でも一律のポイントが得られる。
・必要な書類(領収書、保証書、下取り時は家電リサイクル券の控え)をしっかり保管しておかないとポイントの申請ができない。
・2009年5月15日から2010年3月末日までに購入した分が対象となる。

 逆に決まっていないことの主なものは、
・エコポイント制度の事務作業を請け負う業者
・申請に必要な書類の送り方等、購入者側がすべきこと
・環境配慮型製品や特定事業者の商品券など、ポイントと交換できるものについての方向性は決まっているが、その交換方法や時期など詳細
 が挙げられる。

 5月15日の午前中、家電量販店が集まるエリアの一つ、新宿西口で二つの大型店舗を見て回ったが、エアコン、冷蔵庫、テレビの各売場は客が途絶えることはなく、常に誰かしらが商品を見、店員と会話し、早い人は会計へ、という状態だった。パソコンや携帯電話といったいわゆる売れ筋の売場の出足が相対的に鈍い印象を受ける程、客の流れに明らかな変化が見られたのである。

 見物した二つの競合量販店は、独自のポイントサービスを古くから扱っていた「老舗」である。今回のエコポイントが始まることで、ポイントが乱立することは自明だった訳だが、これをむしろ逆手にとり、「さらにポイント上乗せ」といった触れ込みで強烈にアピールしているところはさすがだと思った。当然のことながら製品本体にはどれが値札かわからない程、あらゆるラベルや表示が貼り付けられていて、総合面でどれが最も環境に(そして家計にも)負担が少ないかをその場で見極めるのは難しい。試しに同タイプの製品で一例を調べてみたところ、表2のようになった。

 また、今回は対象3品目の合計1,900万台の買い換えを見越しているそうだが、買い換えということは、当然、使われなくなる大量の家電が発生するということを意味する。特に、2011年からスタートする地上デジタル放送に対応していない旧型のブラウン管テレビが排出される見込みは大きい。しかしながら、2~3年前の家電リサイクル法改正の議論において、メーカーが回収してリサイクルしている廃家電は半数程度という試算がされていたことを考えると、今後要らなくなった廃家電が適正にリサイクルされるかは大いに疑問だ。環境省のウェブサイトでも、「使用済み家電については、適正なリサイクルを進め、買い換えにより新たに環境問題が起きないように配慮しています」となってい
るが、あいにく具体的な対策についての言及はない。

 このほかにも問題・課題と考えられることはまだまだある。

・しっかり見極めてうまく利用できる人、買い替え需要のある人など特定層にメリットがある仕掛けであること
・本体価格以外の料金(リサイクル料金、年間の電気代など)を含めたトータルコストの表示に不透明感が残ること(ネットでも店頭でも総合的な価格を見定めるのは時間がかかる)
・そもそも「エコ=省エネ性」と限定的な見方に基づく制度であること(省エネ以外の環境配慮側面が乏しく、既存のものをいかに長持ちさせるか、逆に使わずに済ませるか、といった抑制的な視点も感じられない)
・仮に不要不急のものまで購入することになれば、逆にCO2を増やしかねない、という見方が考えられること
・補正予算で計上している額(3,000億円)以上の申請があった場合の対応が不明なこと(早く買わないと損、という混乱を招くおそれも)
・省エネ基準への適合性はメーカーの自主判断に基づく。仮に虚偽があった場合はエコポイントが無効になる可能性があるが、そうした非常時の対応が不明なこと
 など。

 エコポイントを加味した情報提供サービスがもてはやされることになりそうだが、まずは自身で必要性の有無を検討し、買い替え前と後でどっちが負荷(環境+家計)が減るかを考え、現物とそこに表示された価格等を実際に足を運んで確かめ(見積書をもらうのも有効)、必要に応じて表計算し、といった手順をしっかり踏むことが要だろう。

参考URL)
 エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業の実施(環境省)
 http://www.env.go.jp/policy/ep_kaden/index.html

エコポイント対象商品でエコポイントのCMを流すところもさすが

(表1)対象3品目のエコポイント一覧(大きめサイズを選んでお得!と言うけれど…)

(表2)ほぼ同じタイプで比較したところ、この通り(どれがおトクかわかりますか?)

【筆者】冨田行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09052201J]
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「地球の温暖化防止に尽力中!」 第二回北京大学中日文化祭の記録(その2)

第二回北京大学日中文化祭が、広く社会各方面からのサポートを得て開催された。

北京市 第二回北京大学中日文化祭が、北京大学校団委・国際協力部・外語学院日本語学部等の北京大学の関連機構、駐中国日本大使館・日本国際交流基金会日本文化センター等の政府交流機構、松下・三菱・キヤノン等の中国日系企業スポンサー及び「北京大学元火動漫社」等の学生団体やNGO団体等、広く社会各方面からのサポートを得て開催された。「北京環境友好公益協会」は中国NGOの代表として会議に参加し、展示コーナーを設けて日本との協力による『中国のCO2ダイエット宣言』プロジェクトの成果の展示を行った。展示コーナーには、李力会長が中心となって編集した10数冊の中高生向け環境保護教材と一般市民向けの環境保護知識普及のための画集が置かれたほか、観覧に訪れた数百名の学生や教職員のためにクイズ形式により、一人一人が日常生活の中でできる省エネと環境保護のための具体的措置とその実施方法を披露する場も設けた。子供からお年寄りまでが先を争って回答し、それぞれの節水・節電・省エネに関する方法とその成果を発表した。お互いの経験に学び、それぞれの短所を補い合うことにより、省エネ環境保護意識の向上につながった。

 10日夜の環境保護をテーマとした講座において、「北京環境友好公益協会」の李力会長は、『現在私たちをとりまく環境問題』をテーマに地球上の環境問題が出現した過程と現在世界に存在する10大環境問題を、中国の現状と結びつけて、水質汚染と水不足・ゴミ問題・エネルギー資源問題・身の回りの環境への関心の4つの方面から紹介した。人々の心をかき乱す程深刻な一つ一つの事例、現実をありのままに映し出した写真の一枚一枚が会場中の人々の共感を呼んだ。4つの方面それぞれの講話が賞品付きクイズとセットになっており、インタラクティブで活気に満ちた講座に参加者から拍手が送られた。

 私たち「北京環境友好公益協会」は社会公益活動に積極的に参加し、環境保護をし、「地球温暖化防止のために尽力中!」であることを実際の行動によって証明します。

【筆者】劉 暁都 / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C09052002J]
【翻訳】中文和訳チームA班  野口 順子]]>

「地球の温暖化防止に尽力中!」 第二回北京大学中日文化祭の記録(その1)

第二回北京大学日中文化祭が開催された。

北京市 5月10日午前、北京大学百年講堂で第二回北京大学中日文化祭が開催された。今回の文化祭は首都圏の高校教員と生徒に向けて北京大学日中交流協会と北京大学日本人留学生会が共催したものであり、各界及び日中友好関係の著名人の関心をも引いた。文化祭に出席したのは駐中国日本公使、首都圏の各高校の教員と生徒、NGO団体代表及び企業スポンサー代表者達であった。開幕式では北京環境友好公益協会(環友公益) の李力会長がNGOを代表して“地球温暖化防止に向けて尽力中”という題目で講演し、まず環友公益と日本環境保全NGOの4つの協力プロジェクト:水と健康、二酸化炭素削減(CO2ダイエット)宣言、東アジア環境情報共有ネットワーク(ENVIROASIA)、東アジア環境市民会議を紹介し、最後に今回の文化祭開催に祝賀の意と大きな期待を表した。

 今回の文化祭のテーマは、日中友好と文化交流が依然として主であるが、さらに近年の日中両国共通の関心事である環境保護も加わった。文化祭が開催されたことにより、日中両国の文化、芸術及び環境保護等の方面の成果の展示がまとめて行われ、首都圏の高校教員と生徒が、日中文化や環境交流の特色を多方面において理解することができた。環境テーマの“緑の旅”(エコツアー)活動は、日中環境保護の模範企業を参観するもので、グループに分かれて環境プランを立てることで、首都圏の高校生が身を以って環境保護理念のプロセスを体験した。

【筆者】劉 暁都 / 環境友好公益協会 / 寄稿 /  [C09052001J]
【翻訳】中文和訳チームC班  船木 知子]]>

2009年追悼集会「阿賀の岸辺にて」開催

恒例となった5月4日の新潟・安田での追悼集会が今年も開催された。

新潟 新潟水俣病安田患者の会事務局長の旗野秀人さんが「新潟の宝もん」と語るドキュメンタリー映画「阿賀に生きる」が完成してから17年。映画完成の翌年に相次いで亡くなられた映画出演者の皆さんを追悼する集会「阿賀の岸辺にて」(主催:阿賀に生きるファン倶楽部)が、今年も5月4日に安田公民館(新潟県阿賀野市)で開催された。

 2009年は、水俣病の汚染者企業であるチッソや政府を相手にずっと闘ってこられた水俣の川本輝夫さんの没後10年ということで、川本輝夫さんの妻ミヤ子さんと息子の愛一郎さんもゲストとして水俣から参加された。

 集会では水俣を撮り続けた故・土本典昭監督による映像作品『回想・川本輝夫 ミナマタ-井戸を掘ったひと』(1999年)が上映された。この作品の中の、水俣病の患者さんを一軒、一軒訪ね歩き、親身に話を聞く姿や、チッソ東京本社前での1年9ヶ月に及ぶ座り込み、社長と命がけで直談判する姿などの当時の映像には目を見張らされるものがあった。

 ご家族の話では、水俣病の患者運動のリーダーとして奔走する川本さんに対し、チッソ関係者など地元の人びとの反発も大きかったようで、ご実家には毎晩のように嫌がらせがあり、家が放火されそうになったことさえあったそうだ。また運動にかかりきりで収入のなかった当時、ミヤ子さんはもちろん、愛一郎さんも小学5年生から牛乳配達をして家計を支えた。お小遣いももらったこともないという愛一郎さんだったが、「正義のために戦っている父親」を誇りに思っていたという。

 追悼集会が開催された新潟でも、第3次訴訟に次いで第4次訴訟の準備も進められているというが、新潟はもちろん水俣でも水俣病として認定をされない患者さんはまだまだ多い。未認定患者の救済補償を議論すべき与党プロジェクトチームは、汚染企業のチッソを一定限度で免責し、その収益事業部分を分社化(チッソ分社化)し、公害健康被害補償法の対象から3年後に水俣病をはずす(指定地域解除)という「水俣病最終解決特別措置法案」を今年3月に国会に上程した。患者救済よりもチッソ救済を優先するこの法案に、患者団体などは猛反対し、国の水俣病責任を認めた救済法案の策定を求めているが、予断を許さない状況にある。

 今回の集会で触れることのできた「水俣病の原点」をしっかりと受け止め、現在、発生・拡大している汚染の防止のために何ができるのかを問い直し、実践につなげていきたい。

(関連URL)
 あが便り(その4)―“新潟の宝もん”~映画「阿賀に生きる」
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J08082201J

川本ミヤ子さん(右)と川本愛一郎さん(中央)

【筆者】廣瀬稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09051501J]
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もう一つの「水俣から阿賀へ」~東京での小さな写真展

福島潟(新潟市北区)での取り組みとその意図とは。

東京 日本における環境に関する一大拠点と言えば、地球環境パートナーシッププラザ:GEIC(東京都渋谷区)が挙げられるだろう。その名の通り、セクターを超えた協働(パートナーシップ)による運営がなされ、市民・企業・行政を問わず、環境に関する多様な取り組みを紹介・推進するのが同所の主な役割となっている。

 今でこそ環境関連施設と称されるセンターやスポットが各地に存在するようになったが、ここ地球環境パートナーシッププラザが開館したのは1996年のことで、言わば草分け。「進化し続ける拠点」を模索・試行していることも一つの特徴で、今月も展示スペースが新装されたところである。
(http://www.epc.or.jp/content/item.php?itemid=182)

 その展示スペースとは別にちょっとした企画展示が行われることもある。全国の環境団体の情報を常置するコーナーをアレンジして設けられる小展示だが、今回は「公害からの地域再生」と題し、水俣をクローズアップ。水俣病の公式確認50年を受け、水俣を発端とするシリーズ企画を考えたそうで、現在はその3回目として「水俣から阿賀へ」が開催されている(2009/5/30まで)。

 新潟水俣病の地としての阿賀(広域)については、昨年10月に「第4回 東アジア環境市民会議(新潟会議)」を開催した際にENVIROASIAでも紹介した通りだが、今回の展示における阿賀は、より地域に密着した取り組みの一端を紹介するもので、新潟水俣病が発生する前の生業(川漁など)を今に伝えようとするのが狙い。新潟水俣病資料館のある福島潟をフィールドとする団体「ネットワーク福島潟」による活動(アシで紙や舟をつくる、潟でとれた魚を味わうなど)が主に紹介されている。水俣で取り組まれている「もやい直し」(分断された地域の絆を戻す試み)の新潟でのアプローチとしての期待もあると言う。

 その土地本来の恵みや良さを見つめ、それを楽しむことの大切さは安田地区をはじめとする患者の会の皆さんからも学んだ通りだが、福島潟周辺でもそれを実践する取り組みがあることがわかった「点としての阿賀」が集まり「面としての阿賀」になることで、「もやい」はより強固になっていく、そんなイメージが自ずと沸いてくる。

 企画を担当しているGEICの川村研治さんによると「新潟水俣病の前に起こった草倉銅山での鉱毒、さらには草倉の次に起こった足尾銅山での公害を取り上げていく予定」とのこと。公害という負の側面を正視し、そこから地域再生というプラスの面を導くには地域における協働が欠かせない。パートナーシップの鍵を地域や流域の中に見出そうとする着想も、地球環境パートナーシッププラザ当初からのものである。そうした点も踏まえ、企画展示をご覧になることをお勧めしたい。

(参考URL)
 公害からの地域再生(GEIC)
 http://www.geic.or.jp/geic/service/display/saisei.html

企画展示「水俣から阿賀へ」

福島潟の様子(2008.10.12撮影)

【筆者】冨田行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09051502J]
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