広東省碣石鎮の悪徳商人による密輸衣類ゴミの全国被害 その一

広東などの一部の沿岸都市は、近年外国の古着を加工し新しく見せるベースキャンプとなっている。

広東省 インターナショナルヘラルドリーダーの記者、孔博と頼少芬が広東省東部の陸豊市・暍石鎮、人口33万人の海辺の小都市から配信する。ここはのどかな風景が広がるだけでなく、神話のような「服が紙より安い」という話の発信地である。近年、ベトナムから広西を経て暍石鎮に至る密輸ルートがあり、この小さな町が外国の古着の「ベースキャンプ」になっている。多くの国外の古着、中には死人の服までが、ここで簡単な加工を施されただけで全国各地に出荷されていくのである。

 記者は当地での調査を進めていくうちに、当地では数年にわたり取り締まりが行われているが、高圧的な取り締まりが返って手口を隠蔽する結果につながっていることがわかった。

■一般市民が空き部屋に古着を積んでいる

 10月12日の夜、記者は当地のバイクタクシーに乗り、「広徳禅院」という表記のある交差点から暍石鎮水巷口村に入った。道沿いには所々に衣服が落ちており、壁際には衣類が山のように積まれているところもあった。村民の家の一階には、商店の入口と同じシャッターが吊るされているが、シャッターは開け放たれており、室内の灯りにより、部屋の中に梱包されたままの衣服が積まれているのが見てとれた。

■数人が開梱して仕分けし、また別の数人がマスクをつけて入口付近で衣類を洗っていた

 同じような光景が、三家村、新饒村一帯で見られ、路上の至るところに衣服が落ちており、往来する車によってコンクリートの中に押しつぶされているような状態であった。

 狭い部屋や路地に積まれたこれらの衣服が、もし火事になりでもしたらと思うと想像を絶する思いである。

 暍石鎮バスターミナル向かいの北斗路などの道では、十分間に三、四台の大きな袋を満載した三輪バイクが通り過ぎ、その場はまさに壮観であった。十数年前に密輸衣類を扱っていた当地の村民 李さんがインターナショナルヘラルドリーダーに語ったところでは、これらの密輸衣類は主に日本、韓国等の国から入り、当地にて簡単な加工を施した後、全国各地に売られているとのことである。

■リサイクル過程での“消毒”が欠けている

 いわゆる“簡単な加工”とは、店主と仲間によるいくつかのリサイクル過程のことである。

 店主は外国の古着を入手すると、まずは大まかに分類する。続いてシミや汚れの目立つ服は、仲間達が手に持つ洗濯用ブラシと洗剤の標的となるのである。本紙記者は数着の服に大きな黒色のシミや、濃い赤色の血痕のようなものを見てとることができた。

 ざっと処理されてきれいになったこれらの古着は、ここから“リサイクル”過程に入るのである。仲間達が手にしている様々な形の色とりどりのボタンや、様々な文字が印刷された商標の布を縫い付けていくのである。だが、このリサイクル過程で唯一欠けているものがある。消毒である。

 これらのリサイクル衣類の商店のうち、ジーパンを扱っている商店だけは、加工されずそのままの状態であった。“ジーパンはそもそも新旧を見分けにくい”、ジーパンを専門に扱う小規模店舗の中で、仲間達は山のように積まれた古いジーパンにアイロンをかけていた。ズボンの目に付く部分の生地が比較的新しければ、“新品ズボン”として売り出しても問題にならないのである。

 事情を知っている人の紹介によると、環境保護の先進国の政府にとって、古着を処理するためには作業者を雇って処理しなければならず、これが重い負担となっている。ここに目をつけた“外国ゴミ”を商売にしている店主が、外国から“外国ゴミ”の処理費を受け取り、中国でこれらの服を再度販売しているのである。

(→その二 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C09102802J に続く)

【筆者】インターナショナルヘラルドリーダー / 環境友好公益協会 / 転載 /  [C09102801J]
【翻訳】中文和訳チームC班  小田]]>

広東省碣石鎮の悪徳商人による密輸衣類ゴミの全国被害 その二

海路から陸路へ、密輸ルートの転換

広東省■海路から陸路へ、密輸ルートの転換

 李さんによると、この現象は80年代から始まり、数回にわたる大規模な取り締まりの後はやや下火になっていた。しかし今年7月から急激にぶり返し、毎日のように密輸された衣類ゴミを大型トラックが碣石鎮に運んでくるようになった。

 陸豊市の密輸取締総合管理事務局の陳梁壮主任は『インターナショナルヘラルドリーダー』に対し、以下のように語った。「広東省東岸に位置し、40.3kmの海岸線を持つ、海上交通の便に優れる碣石鎮は、密輸取り締まりの前線基地であった。衣類ゴミの問題は今に始まったことではなく、衣類ゴミの密輸・リフォーム・販売は1983年から始まり、現在、鎮全体でどれだけの人間がこうした違法事業に従事しているかを統計する術はないが、都市と農村の中間に位置する三家村・水巷口・東関巷等を中心に少なくとも700〜800世帯はあると見られる」

 「2007年から、現地の税関や出入国部門の取り締まりにより、海上から直接、碣石鎮へ持ち込まれる衣類ゴミは基本的になくなったが、あの手この手で海路を避け、広西省や福建省から陸路で密輸された衣類ゴミが碣石鎮に運び込まれる。これら衣類ゴミは洗浄・加工された後、黒龍江省等、全国各地の衣料品市場へと転売される」

 「海外からの衣類ゴミは、消毒・検査されていないため、人体に悪影響をもたらすだけでなく、現地及びその周辺地域の環境への汚染源ともなる」と、陳梁壮主任は本誌記者に語った。一部の現地住民はこうした「手っ取り早く稼げる」闇事業に依存し、経済の正常な発展は慢性化した依存により著しく妨げられた。

 記者のつかんだ情報によると、近年地方政府は取り締まりを強化し続けており、ここ2年間前後で10回の大規模な手入れ及び86回の小規模な特別取締りを実施し、合計約280トンの衣類ゴミを押収した。今年7月以降実施された2回の大規模な取り締まりで押収された衣類ゴミは約120トンに上った。

■輸入ゴミに関する法律の抜け穴

 取り締まりの手は緩められていないが、海外からのゴミの密輸加工は一向になくならない。

 現地の関係部門は、密輸元が他省にあるため、陸豊市に対する取り締まりだけでは、輸入ゴミの流入を規制することは難しいと述べた。陳梁壮主任は、衣類ゴミの国内流入を密輸元から押さえることができれば、輸送部分を取り締まることも可能となる、とインターナショナルヘラルドリーダー誌上で指摘した。

 輸送部分の取り締まりも、そう簡単ではない。陸豊市工商局の羅作庭副局長が本誌記者に語った。「工商部門は主に流通過程において密輸衣類ゴミの取引に対し取り締まりを実施しているが、衣類ゴミ事業の経営者たちは、長年の経験から捜査の手を逃れる方法を熟知おり、取り締まりチームが村に到着するとすぐに発見されるため、せいぜい一、二件を摘発するのが関の山だ」

 消息筋によると、国家工商行政管理総局、衛生局、税関総署等の部門は、80年代から公文書を通じて衣類ゴミの輸入及び販売を禁止してきた。2009年、環境保護部、税関総署、商務部等の国家の関係部門が公布した『輸入禁止固形廃棄物目録』にも「衣類ゴミ」は含まれている。しかし、古着加工事業自体を禁止する明文規制は存在しない。

 古着のリフォーム販売問題に対し、「加工販売される古着が輸入されたものであるという証拠がなければ、取り締まりの名目が立たない。国内古着の合法的加工販売権を経営者が有する場合、工商部門が取り締まりの根拠となる明文化された法規を見つけるのは困難となる」と羅作庭副局長は語った。

【筆者】インターナショナルヘラルドリーダー / 環境友好公益協会 / 転載 /  [C09102802J]
【翻訳】中文和訳チームA班  野口 順子]]>

ラムサール条約締約国会議一周年を迎えて

政府はラムサール精神を取り戻し、湿地破壊を中断せよ

韓国全土 2008年10月28日から11月4日に慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)市で第10回ラムサール条約締約国会議が開催されてから1年がたちました。当時、会議は史上最大規模で開催され、「人類の福祉と湿地に関する昌原宣言文(ラムサール条約締結国会議決議文)」など湿地の保全と賢明な利用に関する32件の決議文を採択し、盛況裏に終了しました。

 しかしラムサール条約締結国会議が開催されて1年が経過した今、会議での多くの決議と約束は守られていないまま、韓国の湿地がむしろ一層破壊の脅威にさらされているという現状に、私たちは慨嘆せざるを得ません。

 会議の開幕式に出席した李明博大統領は、「韓国はラムサール条約締結国会議を契機に、湿地保護区域とラムサール条約登録の湿地を持続的に増やし、ラムサール条約の模範国家になる」と述べました。しかし会議から1年が過ぎた今、国際的に重要で保全の価値を持つ韓国の湿地60カ所余りのうち、ラムサール条約で湿地として指定された所はどこもありません。2008年10月1日に湿地保護地域の2カ所が新たに指定されましたが、この中の1カ所は昨年すでにラムサール条約で湿地として登録されていたため、実際に保護地域として追加された湿地は、面積0.126平方kmの済州島の「1100高地の湿地」の1カ所だけです。

 韓国政府が提案して会議で採択された昌原宣言文は、「当事国が湿地の保全と賢明な利用を世界の政策決定権者に促し、湿地の破壊と損失を中断して湿地の自然な生態特性を保全しなければならない」ということを決議しました。けれども韓国政府は会議が終わるとすぐに4大河川事業の計画を発表し、4大河川一帯の重要な河川湿地と自然の生態系の保全を根本的に脅かしています。

 2008年の会議で採択された「湿地と河川流域の管理:統合的な科学技術指針に関する決議文X.19」は、条約に加入した当事国が「河川流域の管理において、湿地の保全と賢明な利用を統合」させるよう促し、「気候変動と湿地に関する決議文X.24」においても「気候変動の緩和と適応に関する国家の政策によって湿地の生態特性を維持」することを促しましたが、韓国政府は気候変動に備えると述べながらも湿地の生態特性を大きく損なう4大河川事業を推進し、河川湿地の保全を脅かしています。4大河川事業推進のために政府が作成した国家湿地目録にある130カ所の湿地が、消滅する危機に瀕しています。

 また「水鳥飛行ルート保全のための国際協力増進に関する決議文X.22」において、「黄海一帯で広がっている干潟の埋め立てや汚染などによってシギ・チドリが危機に瀕しており、これを保全するためには国際的な協力が必要であり、保護地域を拡大しなければならない」と決議されました。しかし韓国は、会議から4カ月後の2009年3月に、仁川松島(インチョン・ソンド)干潟を含む11カ所総面積8.1平方kmの沿岸埋め立て計画を承認し、世界最大規模で干潟を破壊するセマングム干拓事業は、農地造成という本来の目的を失ってしまったまま継続して進められています。

 湿地保護地域である長峰(チャンボン)島干潟と文化財保護区域に指定されている江華(カンファ)島干潟と国際的に絶滅危惧種であるヘラサギの繁殖地は、それぞれ仁川湾潮力発展事業と江華潮力発展事業によって、大いに毀損される危機に瀕しています。また韓国の干潟のうち、もっとも保全状態が良好な加露林(カロリム)湾の干潟は、絶滅危惧野生動植物II級であるアザラシの生息地ですが、ここもまた加露林湾潮力発展事業により毀損される危機に瀕しています。

 韓国最大の渡り鳥渡来地として湿地保護地域であり天然記念物第179号として指定されている洛東江(ナクトンガン)河口は、文化財保護区域を半分に縮小しようという計画だけでなく、冬の渡り鳥の核心的な採食地を二分するオムグン大橋建設と国際新空港建設計画により、渡り鳥渡来地としての基盤が根本的に脅かされています。

 「国際的に重要なラムサール湿地の現状に関する決議文」は、韓国政府が韓国の「湿地保護地域と湿地である生態系景観保全地域での重要な生態的特性の変化について、ラムサール事務局に報告」するようにしたほど、韓国の湿地毀損に関する国際的な関心は高いのです。しかし、京仁(キョンイン)運河とソウル市の漢江ルネッサンス、京畿道の漢江を結ぶ6大事業と連携し、新谷(シンゴク)水中堰を約14km下流に移して漢江下流一帯で大型船舶を運航しようとする計画は、漢江河口の湿地保護地域を大いに脅かしています。

 それだけでなく、済州島のカンジョン村沿岸は珍しい軟サンゴ群落が発達した場所で天然記念物として指定されており、ユネスコ生物権保全地域に隣接した場所ですが、海軍基地建設のための埋め立てが推進されています。

 2008年の会議において韓国政府は、日本政府と共同で「湿地システムとしての水田の生物多様性増進に関する決議文」を発案し、「水田の動植物像と生態的機能、湿地システムとして水田の生態的価値を維持してきた稲作地域共同体の文化に関する調査を活性化させるよう奨励」するなどの内容が決議文として採択されましたが、そのような内容を履行するための具体的な努力には、まったく至っていません。

 このように、ラムサール条約締結国会議から1年が経過した今、韓国の湿地は保護を受けるどころか各種開発事業によって全国各地の重要な湿地が破壊され、毀損される危機に瀕しています。政府は昨年から国家基本発展戦略として低炭素グリーン成長を採択していましたが、グリーン成長という名前は行方をくらまし、各種開発事業によって、むしろ湿地を破壊しています。

 今からでも政府は湿地の保全と賢明な利用といったラムサール条約の基本精神を取り戻して大規模な湿地破壊事業を即刻中断し、ラムサール条約の模範国家になると述べた李明博大統領の約束を履行することを要求します。

【筆者】馬 龍雲(Ma Yong-Un) / 環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K09102701J]
【翻訳】萩庭雅美]]>

ドーム球場建設は血税の無駄使い

誰のためのドーム球場建設か?

韓国全土 李明博政権の最大の公約であり、また同時に最も問題の多い事業が大運河事業である。李大統領は、国民が大運河事業を反対するや、国民が望まないのであればこの事業は行わないとした。

 それなのに、すぐさま4大河川整備事業を推進している。予算も立たない状態で起工式を行い、文化財の調査や環境影響評価の拙速推進など、関連する法を無力化させ、強行に進行している。こうした強行事業が安山(京畿道)でも推進されている。

 安山のドーム球場建設がまさにそれである。安山のドーム球場事業は、建設費だけで4,200億ウォン、隣接する市有地に建設される住居・商業一体型複合建物まで含めると1兆2,700億ウォンという、超大型事業である。安山市の年間予算である1兆ウォンを超す、非常に大きな額である。この事業は、妥当性検討用役報告書からしていい加減であった。地域社会の公論化もほとんど成り立たず、一方的に広報しただけであった。地域の長を動員して敬老会館で賛成署名を集め、多くの市民団体や専門家たちの憂慮に耳を傾けようとしなかった。

 安山市議会でドーム球場関連案件が否決された。同じ党に所属する市会議員たちの反対によって否決されたのである。すると安山市長は文言一つ直すことなく、すぐに次の会期に同じ案件を再上程し、強行的に通過させた。国会でメディア法が強行採決されるハプニングがあったが、安山市議会でも同様に強行採決が成り立った。安山市は、強行採決された案件が正常通過したものであるとして事業を推進している。

 安山市は、これまでにも市長の無理な事業推進によって市民の血税を無駄遣いした事例が多数あった。特に安山市総合運動場である“ワースタジアム”は、今回のドーム球場事業と酷似している。市長は、この施設を造れば安山市のランドマークになり、工団都市のイメージと環境汚染イメージが改善されて地域経済にも役に立つと公言した。

 そして、プロサッカーチームを誘致してスポーツ発展にも大きく寄与し、当然黒字運営をすると壮語した。それから何年か経った現在、安山市にはプロサッカーチームもなく、“ワースタジアム”は赤字運営されている。実業団チームであるハレルヤサッカーチームが使用しているが、球場使用料をとるどころか、安山市民の税金を年に2億ウォンずつ支援している。大多数の市民が年に一度も使用できない無用の長物となってしまった。

 人口 74万人、プロ野球チームもない安山市に、4,200億ウォンもかけてドーム球場を作ることはとてつもない血税の無駄使いである。そして年200億ウォン強の維持管理費への対策もない。

 安山の多くの市民社会団体が“ドーム球場反対住民投票発議運動本部”を結成して住民の力を合わせ、安山市議会の強行採決に対して、裁判所に訴訟を申し立てている。来年の地方選挙を目前に控えながら、いわば任期の最後ともいえる時期に大型事業を推進した例はない。万一、地方選挙で安山市長が変わった場合、ドーム球場建設が中断されることも考えられる。

 安山市都市公社は、すでにドーム球場建設のための建設会社公募作業に入っている。建設会社の選定後にドーム球場建設が中断されることになった場合、安山市は建設会社に対する損害賠償が発生する問題も招きかねない。安山市は今からでもドーム球場建設に対する行政手続きを中断すべきである。行政事業は、一部の建設会社ではなく、安山市民のためでなくてはならない。常識の通じる地方行政になることを切に望む。

【筆者】イ・チャンス(Lee Chang-Su) / 安山環境運動連合(KFEM-Ansan) / 寄稿 /  [K09102601J]
【翻訳】鄭良子]]>

慈善と正義

市民社会は、韓国社会に‘根本的な言語’を疎通させる貴重な存在

韓国全土 秋だ。机の上にたくさんの団体から送られてきた‘後援の夜‘の招待状が積まれていく。

 今年は多くの後援が期待できないだろうという話を聞く。数年間に市民社会の後援基盤は大きな変化を経験している。私は市民社会が、韓国に‘ご飯を食べさせる’仕事をしていると考える。 広野で40日間断食した後、‘もしもあなたが神様の息子なら、これらの石にご飯になるよう話しなさい’と試す悪魔に、イエス様は‘人はご飯だけで生きるのではない。神様の口から出ている全ての言葉に基づいて生きる’と答えた。私は市民社会が、韓国社会に‘根本的な言語’を疎通させる貴重な存在だと信じる。市民・社会団体らは‘義’の問題に執着する。それによって社会は目覚め、新しい生産力を回復する。私たちの福利はかなりの部分において、市民社会が‘自ら「義」に対する執着’を見せることにより守られるのだ。

 かなり前に、とても貧しい画家のアトリエを訪問したことがある。イーゼル(カンバスを支える道具)を何度も使用するために、外された油絵が散らばっている若い画家の部屋で、初めて画家の人生が私とつながっていると考えたことがある。彼らが意地で社会のための何かを作っていると考えた。

 中国、韓国、日本など、アジア経済が世界経済に占める比重が拡大している。だが、アジアはその役割を果たす社会の価値体系を準備しているだろうか? 有数の大学の募金戦略コンサルティングに参加することで、筆者は‘これから20~30年の間、アジアに人文・社会学的な大きいエネルギー供給が成り立つだろう’という直観的判断をすることになった。工学分野では世界的水準を有するアジアの大学が登場しているが、人文・社会学分野ではアジアの大学と世界水準の大学との格差が顕著だ。すでに香港科学技術大、シンガポール国立大学など、韓国の大学と格差を拡げているアジアの大学はあるが、人文・社会分野に莫大な投資をしているかというと、当然のように見られない。

 多くのことが崩れ、新しい秩序が形成される時期だ。国際社会をデザインする能力がある国家とその国民だけが、未来に対する明るい展望を持つことができる。このような決定的な時期に市民社会に内在した議論形成の力量は国家の競争力だ。共に育てていかなくてはならない資産だ。韓国の寄付文化が全般的に急激な成長を見せている反面、最近、多くの市民・社会は経済的に苦しい時期を送っている。社会・政治の環境変化に対して、市民・社会団体が全く変わらなかったということが最も大きい理由であろう。1980年代後半から本格化した世界的な流れとしての政府、企業、市民社会による協力が、韓国社会ではちゃんとしたモデルとして定着しなかった。そのことで、非常に強い荒波に遭った。今日の社会の大切な資産である非営利セクターは、理念を超越して存在しているのにも関わらず、政府の態度が荒くなっている。このような状況が、非営利セクターの本質的競争力の強化につながる機会となることを願うだけだ。

 今後、市民・社会団体に対する一般個人の高額寄付と市民らの定期寄付が圧倒的に増加してこそ、市民・社会団体が活路を見い出すことができるはずだ。ユダヤ人の慈善文化の中心は、ヘブライ語の‘チェデク’(正義)という用語を中心に形成された。慈善を‘チェデク’とし、募金専門家をさらに‘カバーイチェデク’(正義の官員)という。慈善が‘愛’でなく‘正義’から派生したものであり、おまけですることでなく、人生の体系として定着しなければならないということを示唆する。根が深く、簡単に風に揺れない慈善の世界へ韓国は動いている。

【筆者】チェ・ヨンウ(Choi Young-Woo) / 韓国環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K09102401J]
【翻訳】藤縄 けい子]]>

家電ごみはどこへ行く?

街中で目にする廃家電の無料回収車。集められた廃家電の行方は。

東京 2008年秋の世界同時不況後、目にする機会が減っていた廃家電の無料回収車。最近、またよく見かけるようになってきた。家電リサイクル法の対象家電は、廃棄にあたりリサイクル費用と運搬費用を支払うことになっているのに、壊れていても無料で引き取ってもらえるのはなぜだろう。発伝所では、この謎に迫るべく、2009年10月9日、日刊市況通信社記者の下部賀一(しもべ・よしかず)さんを講師に招き、学習会(記事タイトルに同じ)を開催した。

 家電リサイクル法では、廃家電を引き取った小売業者が、自ら再使用するか、リユース業者に有償または無償で譲渡する場合、メーカーへの引き渡し義務は発生しない。こうした法の間隙の存在から、排出された廃家電の約半数が行方不明となる「見えないフロー」が、前回の家電リサイクル法改正時に大きな問題となった。

 結局、法改正には踏み込まないまま、「リユースとリサイクルの仕分け基準(ガイドライン)」が新たにつくられ、排出家電の約75%を引き取る小売業者への規制が強化されるにとどまった。下部さんが取材をする限りにおいても、ガイドラインができてからも「見えないフロー」に大きな変化はないという。

 下部さんによると、「見えないフロー」の代表である無料回収車で集められた廃家電は、一部の製品としてそのままリユースできるものを除き、そのほとんどが、重機での破砕後、スクラップとして中国へ輸出されていると考えられるそうだ。

 この背景には、中国の膨大な金属需要がある。中国の急激な経済成長に伴い鉄スクラップ相場は上昇を続け、“工業系雑品”(配電盤やトランス、モーターなど工場の解体などで出てくる鉄・非鉄が混合したスクラップ)は一時期1トンあたり7万2000円の市場最高値をつけるまでになった。これに目を付けた中国系の輸出業者の大量参入も、相場の高騰に拍車をかけた。実際、工業系雑品と廃家電をスクラップした“家電雑品”では、かなりの価格差があるが、相場の高騰で、“家電雑品”でも大いに利益をあげることができるようになったのだ。

 家電をスクラップにする理由は、中国では廃家電の輸入を認めておらず、原形をとどめていては、日本国内で船積み前の予備検査を行う日中商品検査のチェックを通過することができないためだ。さらにエアコンなどはフロンガスの処理をすることなくスクラップされるため、地球温暖化防止という観点からも大いに問題があるのだ。

 2000年以降、ビジネスとして拡大してきた廃家電の無料回収だったが、2008年のリーマンショックによって大きな影響を受けることになる。100年に1度といわれた世界同時不況で相場は1トンあたり1万円前後まで急落。これによって2008年の年末には“家電雑品”にほとんど値がつかず、無料回収業者は壊滅的な打撃を受け、街中で無料回収車の声を聞くことが少なくなったのだった。

 業者が打撃を受けていた最中のことだが、2008年11月に中国政府が4兆元(約57兆円)の公共投資を行うと発表したことで、相場は上昇局面に入った。その後、2009年の春には、軽トラック1台500キロの“家電雑品”で約1万円程度となり、無料回収業者が再び活動を開始するようになったというのが事の経緯である。

 今後、相場が回復していけば、さらなる輸出業者の競争により、“家電雑品”の意図的混入による品質の悪化やスクラップ火災の頻発という事態を引き起こすと、下部さんは警告する。

 さらに、海を越えた“家電雑品”が解体される中国の現場では、極めて深刻な健康被害と環境汚染が発生している。単に規制を強化しても、水際ですべての荷物をチェックすることはできない以上、解決策としては不十分だろう。経済原則を前提としつつも、環境と健康を守る公正な市場づくりに向けた、日中政府の緊密な協力が重要になるだろう。

雑品の山(©日刊市況通信社)

廃エアコン(©日刊市況通信社)

雑線の例(©日刊市況通信社)

【筆者】廣瀬稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09102301J]
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北東アジアに緑色共同体を!――日韓市民社会フォーラム2009

2009年10月15日~17日、7回目となる日韓市民社会フォーラムが開催された。

全羅北道 「持続可能なまちづくりを通じた北東アジアの“緑色共同体”をメインテーマに、2009年10月15日~17日、全羅北道の鎮安郡と全州市で、日韓市民社会フォーラム2009が開催(主催:《日》日韓市民社会フォーラム実行委員会/《韓》韓日市民社会フォーラム組織委員会)された。

 市場原理主義に基づいたグローバリゼーションが大きな見直しを迫られる今、北東アジアの共通課題を解決するためには、人と人、人と自然がしっかりと結びついた“持続可能な地域”をつくりあげることが強く求められている。

 韓国の全羅北道に位置する鎮安郡は、“食と農”を中心にすえたむらづくりを進めており、韓国でも有数の地域を形成している。

 だが、鎮安郡のむらづくりは、決して安易な道のりではなかった。1966年に10万人いた人口も過疎化が進み、2001年に完成した韓国第5位の大きさの竜潭ダムによって多くの地域が水没したことで、現在は約2万4000人にまで人口は激減した。

 そこで“農村らしさの復元と強化”と“草の根が丈夫な地域社会づくり”をめざし、住民が中心となって行政と専門家の支援という三者の協力による村づくりが始まった。

 住民の相互学習に基づいたグリーンビレッジという小規模集落景観づくり事業や、UIターン者の知恵と経験を活用する「集落監事制度」の導入など外部人材の積極的な誘致に取り組んだ。こうした取り組みで約800名の住民が都市から新たに鎮安郡にやってきている。

 また、村全体をエコミュージアムとして、様々な伝統文化の再発見にも取り組んでいる。

 今回のフォーラムでは、①村と公共事業、②村と帰農帰村、③村と有機農業の3つの分科会が設けられた。私の参加した第1分科会の会場となった竜譚面臥竜(ワリョン)集落は、ダム建設で1996年に集団移住して新たに造成した人口48人の集落だ。ダム建設反対運動のリーダーだった臥竜集落委員長の姜ジュヒョンさんによると、村は水没してしまったが、移住団地の造成で現代式住宅や能率的な道路網を確保できたほか、移住住民の結束力が高まったそうだ。まさにピンチをチャンスに転換した事例といえよう。

 臥竜集落では、集落営農法人を設立して、各農家で生産した有機農産物を村で全量買取り、その農産物を加工した味噌類やごま油などの商品を開発。産直や常設売店の運営、ネット販売など多様な販売ルートを確立し、2009年現在の年間3億ウォンを売上げ、世帯あたり年間約600万ウォンの配当を出している。2011年には10億ウォンの売上げをめざしているという。

 その後、全州市の全北大学へ移動して開催された日韓市民社会フォーラムの全体会で、市場や国家主導の東アジア共同体とは異なる、環境、平和、福祉を重視した市民による“東アジア緑色共同体”が提起された。鎮安郡は宮崎県綾町との交流を続けているそうだが、東アジア各地の持続可能な地域が、国境を越えて相互につながりあうことは、市民による東アジア共同体づくりに重要である。集落ごとに独自の取り組みが展開されている鎮安郡は、訪れた参加者に持続可能な地域の確かな手ごたえと市民による東アジア共同体の可能性を感じさせてくれた。

分科会の様子

住民の相互学習の一例(2008年8月)

全体会の様子

【筆者】廣瀬稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09102302J]
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北京10%の出産可能年齢夫婦不妊症 環境汚染が主因

北京大学第三病院生殖センターは患者で超満員、廊下や待合スペースの椅子は空席なし

北京市 現在北京市の出産可能年齢人口の中で、不妊症罹患率は年々増加していて、およそ10%、つまり10組の夫婦のうち1組が子供を生むことが難しくなっている。北京大学世界衛生組織 生殖健康と人口科学提携センター医学臨床拠点が2009年10月18日除幕した。専門家は、若いカップルが不妊症に悩む主な原因は仕事のストレスや、環境汚染だとしている。

 18日、北京大学第三病院生殖センター内の患者は超満員だった。廊下や待合スペースの椅子に空席はなかった。生殖医学センター副主任李蓉医師によると、一日あたりの診察人数は10年前の40倍になったという。10年前、生殖センターでは一日の診察は平均20人から30人だったが、今は平均1,000人以上だ。現在、センターが毎年診察する患者は12万人以上、うち2万人近くの不妊症患者が治療に成功している。こうした数字が急上昇した根本的な原因は不妊症罹患率が急激に増加していることにある。

 最新の統計によると、1981年北京市の不妊症罹患率は6%だったが、現在は10%まで増加した。20年前、中国の出産可能人口のうち不妊不育の割合はわずか3%と、世界的に比較的低い水準だった。しかし今、不妊不育率は12.5~15%と急激に上昇し、先進国の15~20%に近づきつつある。

 李蓉医師は、不妊症患者の年齢の多くは30~40歳の間で、男性と女性の割合は半々だと話す。「農村の出産可能年齢カップルの不妊原因は、主に盆腔炎など女性の感染症にあります。一方都市部の場合は複雑で、生活様式が変わることで、多くの人は出産を遅らせる傾向にありますが、年齢が高くなるほど妊娠の可能性は低くなります。ほかにも、乱れた現代生活、例えば食事制限によるダイエット、飲酒喫煙、夜更かし、大きな仕事、精神的ストレスも不妊不育率を急速に上げている主な原因です」 李蓉医師は若い夫婦に、不妊症を防ぐには早めにお産することを勧める。「お産年齢の一番良い時期は25歳から30歳の間、女性は遅くとも35歳を超えないようにしたいものです。」

【筆者】凤凰网 / 環境友好公益協会 / 転載 /  [C09102002J]
【翻訳】肥田 真理子]]>

青海湖の面積が132km²拡大 水位上昇は鳥を引き寄せる

喜ばしい青海湖水位上昇

青海省 5年前、青海湖を写した1枚の衛星写真が世界を驚愕させた。この写真には、もともと1つの大きな湖であった青海湖が、いくつもの小さな湖に分裂している様子が写っていた。これは、青海湖地区の生態悪化の目立った症状であり、ある人は、もし湖の保護整備を行わなければ、青海湖は、第二のロプノール湖になるだろうと、予想している。

 ここ何年か、喜ばしいことに青海湖の水位は上昇しており、今年の青海湖の最高水位は、去年に比べて15cmから20cm高くなった。

■水位上昇は、白鳥を喜ばせる

 近頃、青海湖湖畔の青海省海晏県甘子河郷俄日村に住む牧畜民・堪卓さんは、毎朝起床後、村からそう遠くはない場所へ湖の水位が上昇しているか見に行っており、何か心配事があるように見える。
2007年から、青海湖の水位は絶えず変化している。目下、付近に住む牧畜民48戸合わせて2.7万畝の土地が水に浸かってしまった。現在、各方面はこの状況を重視して、すでに土地を守るために必要な措置をとっている。

 上昇した湖面は、却って白鳥を喜ばせている。これまで、10月中下旬にこの場所に来て冬を越していた白鳥だが、今年はこれまでより早かった。10月6日、30羽以上の白鳥が青海湖の洱海、沙柳河口一帯で楽しそうに戯れており、たびたび「ぐうぐう」と声を上げていた。白鳥が例年に比べて早く青海湖に来て冬を越すことと青海湖の水位上昇と湿地面積の拡大は、密接に関係しており、これらは白鳥の生息や繁殖にとって必須条件を提供している。

 1995年7月、科学研究員は青海湖に観測所を設けた。当時の水面の高さは3197.36mmで、2004年初めには3192.77mmになった。しかし、2007年7月から水位は上昇し始め、当時3192.86mmであった水位は2008年には3193.40mmまで上昇し、今年10月1日には3193.69mmを観測した。今年の青海湖の最高水位は去年に比べて15cmから20cm高くなった。

■ここ何年か、青海湖地区の降水量は10%以上増えている

 専門家は、青海湖の水位が毎年上昇し続けることに、非常に気を配っており、その原因について討議や分析を行っている。多くの専門家は、近年の青海湖の水位上昇は「大逆転」であるとし、自然による要因と人為的要因があるが、自然による要因がより大きな割合を占めている、としている。

 ここ何年かの世界的な温暖化の影響を受けて、チベット高原全体で温暖化現象が現れている。この状況は、2003年から変化が始まり、しだいに雨が増え始めた。これは主に大気の流れに変化がおこったためで、一方では、チベット高原に冷気が増え、また一方では、ベンガル湾からの暖かく湿った空気も増えた。両者がちょうどいい時期に重なり、チベット高原の降水量は自然と増加した。資料によると、2004年から2008年までの青海湖周辺地区の平均降水量は431.3mm、1971年から2000年までの平均値に比べて13%増加したと示している。

 インタビュー中の青海湖周辺の住民の話は、気象部門の統計データを実証した。住民は、今年大雨が降った日は多くはないが、雨季のような天気が長く続き、10月初めまで雨が降り続いた、と話した。

 降水量の増加には、人為的要因が極めて重要な影響をもたらしている。判明しているところでは、増加した10%の降水量中、近年実施された人工降雨が約30%を占めている。2002年から青海省は湖周辺地区で大規模な耕地を林に戻すこと等を行った。耕地47万畝を林や草地に戻し、天然林84.9万畝の保護、砂漠化した土地4875万畝の整備、4875万畝の山を閉ざして林を育てるなどを完成させた。耕地から草地に戻した土地には、以前、開拓者が披肩草、無芒麦、サジー、ギョリュウなどの湖周辺地区で成長するのに適している日照りや寒さに強い高原植物を植えた。これらの植物は、降った雨を蓄える特徴がある。

 専門家は次のように指摘する。もし青海湖がなかったら、ツァイダムの風や砂ぼこりが、中国の大部分を飲み込んでしまい、北方地区は砂漠になるだろう。青海湖はチベット高原東北部の生態を安全に守る重要な水源になっており、中国西部の砂漠が東部に広がることを防ぐ壁の役割をするだけでなく、黄河流域に重要な影響を与えている。

【筆者】中国ニュース網 / 環境友好公益協会 / 転載 /  [C09102001J]
【翻訳】中文和訳チームA班 古賀]]>

20周年を迎えたエコマークのこれから

1989年2月にエコマークが始まって20年。

日本全土 日本における環境ラベルの代表格と言えばエコマークがまず挙げられるだろう。制度としてのエコマークがスタートしたのは1989年2月というから、今年2009年で実に20周年となる。開始当初の認定商品数は46。それが2009年9月時点では約100倍の4,557(1,635社)に上る。数字上は順調に見えるが、商品数は2003年の5,673がピークで、その後は低調というのが実際だ。近年は環境偽装問題の余波もあって、横這い状態が続いている。

 それでも第三者認証による環境ラベルとしてのエコマークの役割は依然大きく、他の環境ラベルと比べてもその認知度が頭抜けて高いことから、今後の継続・進展が期待される。2009年10月8日に20周年記念講演会が東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区)で開催されたが、定員200名の会場がほぼ満席となったのは、そんな期待の表れだろう。

 講演は2つ、会場からの質疑応答の時間はなく、その代わりに各講演後に対談が設けられるという構成だった。初めの講演は、三井住友フィナンシャルグループの北山禎介 取締役社長から「環境と金融について」と題するもので、同グループの取り組みについて主に紹介された。

 現物で環境配慮を示しにくいのが金融業の難点だが、お金の流れを通した環境貢献ができるのが強みである。企業の社会的責任としては当然と見る向きもあるが、メガバンクが率先して取り組むことに意義がある。エコローン、環境配慮評価融資、個人向けエコ金融、排出権購入信託など余念がない。ただ、金融商品の「開発」が主で、これまでのお金の流れを見直したり、抑制したりといった話は聞けなかった。将来的に金融商品もエコマークの対象となるのであれば、3Rで言うReduce、つまり抑制的な視点も取り入れて評価してほしいと思う。

 次の講演は、東京大学大学院工学系研究科の平尾雅彦教授による「エコマークの発展のために」である。課題として挙がったのは、①エコマークが生活の中で見つからない、②ラベルの氾濫の中への埋没、③ラベルが購買に結びつかない、などだった。一般的に安全や健康など自分の身の回りに近い表示ほど関心が高い傾向があり、地球環境に関するラベルへの関心は後回しになりがちなことから、エコマークの存在感が懸念される。さらに地球環境問題に目を向けようとする動きがあっても、今は温暖化に焦点が集まっており、総合的な視点を示そうとするほどエコマークの意義が揺らぐ矛盾がある。また、企業が独自の基準に基づき自主的にラベルを表示することで十分に環境アピールができることから、エコマーク離れが進んでいるとも同氏は指摘する。

 講演後の対談の中で、エコマークが百貨店だとすると、自主ラベルは専門店に相当するという見方が示された。特定の専門店が売上を伸ばす一方、百貨店の苦戦が続いている。エコマークも同じような境遇なのかも知れない。今後の活路としては、個別の環境特徴をより明確に打ち出すなどの工夫も必要だが、逆にエコマーク商品だけを集めた専門店を展開するといったマーケットサイドの施策も求められそうだ。

 現状の高度な審査基準を日中韓で活かし、共通のラベルを作ってはどうかといった提案もなされた。ラベルにはお国事情が伴うので、表示そのものを共通にするのは難しいところだが、基準の共有化は不可能ではないだろう。直近では、韓国・水原で10月21日から開催される「第3回グリーン購入世界会議」での議論に期待したい。

参考URL)

・エコマーク20周年記念サイト
 http://www.ecomark.jp/20th.html *講演資料つき

・「第3回グリーン購入世界会議」
 http://www.gpn.jp/igpn/gpn_suwon/index.html

・「エコマークシンポジウム2005」
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J05060802J

記念講演会の様子

エコマーク商品の一例

CDつき記念冊子「エコマーク20年のあゆみ」(表紙)

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J09101601J]
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