守ろう地球 創ろう共生社会~2010NEW環境展

「2010NEW環境展」が開かれた。

東京 5月25日から28日の4日間、東京ビッグサイトで日報アイ・ビー主催のアジア最大規模の環境展示会が開かれた。「2010NEW環境展」である。同展の前身である廃棄物処理展は1992年に始まったので、今回で19回目を迎えることになる。環境の展示会としては長い歴史を持つのが本展の特徴である。目的としては、「各種課題に対応する様々な環境技術・サービスを一同に展示情報発信することにより環境保全への啓発を行い、国民生活の安定と環境関連産業の発展」に寄与するとしている。

 今年のテーマは「守ろう地球、創ろう共生社会」で、再資源化、環境サポート・ソリューション、サーマル・環境浄化の3つのパビリオンと、合同開催である「地球温暖化防止展」に沿った地球温暖化パビリオンが展開された。出展社数は500社あまりで、大多数が日本国内企業だった。来場者数は4日間で172,515人となり、過去2番目の数を集めた。

 実機を伴う大がかりな展示が本展の見どころなので、装置や設備を見学しているとすぐに時間が経ってしまう。その中で今回は水や大気の浄化、バイオマス、新エネルギーに関連するブースを重点的に回り、各社から話を聞くことができた。

 新エネルギーの中に、揮発性有機化合物(VOC*)の処理・発電・熱供給を一台三役で担う技術の展示があった。VOCを処理する過程で発生する熱を暖房や乾燥に利用し、また濃縮システムを通じて発生したガスをマイクロガスタービンに回し、発電できる仕組みになっている。単に有害廃棄物を処理するだけではなく、資源として利活用する斬新なアイディアだった。

 バイオマス関連では、有機性廃棄物の処理や堆肥・肥料・飼料関連にまつわる設備や技術が多く展示されていた。ただ、生ごみを堆肥化するものが主で、飼料や燃料の関係が少ない印象を受けた。バイオのゾーン中、唯一中国から出展した会社が飼料化設備を展示していたのは目を見張った。中国ではまだごみ分類さえ十分に行われていないのが実情だが、生ごみリサイクル設備の研究に取り組んでいる業者が日本に来てまで出展していることは、中国の未来にとっても、非常に有意義なことではないかと思う。

 環境に関する法制度が拡充する中、その対応が新たなビジネスモデルを生む一方、対応に追われる企業や団体が増えているのもまた確かである。NEW環境展は、そうした追われる側を助ける展示が中心だが、具体的な解決策を見つけるには来場者自らが細かく各ブースを廻って巡回して比較しなければならない。専門性が求められる展示会ではあるが、「こういう点で困っている」「ならば、こういう順番で見学を」といった見せ方があってもよさそうだ。会場一体となった創意工夫があれば、共生社会というテーマもより明確になるだろう。

*VOC(Volatile Organic Compounds)とは、揮発性有機化合物の略称で、代表的な物質としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、MEK(メチルエチルケトン)、IPA(イソプロピルアルコール)があり、塗料や接着剤、インク等に溶剤として含まれている。2006年4月1日改正大気汚染防止法により、規制対象の工場および事務所は、排出基準の遵守が義務化されている。

関連URL:

・2010NEW環境展
 http://www.nippo.co.jp/n-expo010/index.htm

・17万人規模の「2007NEW環境展」開催
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07060102J

「2010NEW環境展」

「再資源化パビリオン」側の会場案内図

【筆者】朴 梅花(Piao Meihua) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10052801J]
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日本のごみ事情(1)

日本におけるごみをめぐる諸事情について紹介していく。

日本全土 ごみ問題は、日本でも長年大きな環境問題のテーマであり続けてきた。5月30日の「ごみゼロの日」が近いこともあり、日本のごみの現状について紹介していきたい。

 はじめに、日本の市民は現在どれぐらいのごみを排出しているのだろうか。2010年3月に環境省が発表した「一般廃棄物処理事業実態調査」(2008年度版)によると、日本全体の総排出量は、4,811万トンで、前年の2007年度と比べて271万トンも減少している。総排出量は5年連続で減少しており、最も排出量の多かった2000年度(5,483万トン)に比べると、12%も減っていることになる。また市民1人が1日に排出しているごみは、1,033グラムとなっており、こちらも2000年度と比べて12.8%も減少している。

 ここでいうごみは、家庭から排出される生活系ごみと事務所から排出される事業系ごみ、集団回収で集められた3種類のごみを合計したもので、2008年度の場合、生活系ごみが3,118万トンで全体の約65%となっている。

 4,811万トンのうち、全体の79.2%にあたる3,574万トンが直接焼却されている。この多くがいわゆる“生ごみ”である。ただ、2001年度の4,063万トンをピークに、直接焼却されるごみは年々減少する傾向にあるようだ。現在、日本には1,269のごみ焼却施設があり、年間6,836万トンのごみを焼却処理できる。焼却するごみが減っているとすると、過剰な焼却施設を抱えているといえそうだ。

 一方、直接資源化されるものが234万トン、分別収集後に、選別や洗浄、圧縮などの中間処理を経て資源化されるものが451万トン、古紙など集団回収されたもの293万トン、これらをあわせて、978万トン(20%)がリサイクルされていることになる。ただ、せっかく分別収集されても、資源化されるものとほぼ同数の471万トンが中間処理の段階でリサイクルには不適として、最終処分場で埋め立てられている。

 直接最終処分量と上記の中間処理後に最終処分(埋め立て)された量とを合計した最終処分量は553万トン。市民1人が1日に出すごみ(1,033グラム)では、その約1割にあたる119グラムになる。10年前(235グラム)に比べて約半分にまで減っており、ずっと減少傾向にある。

 焼却されるごみと埋め立てられるごみの量が年々減少しているのは、1999年には約13%だった資源化率が2008年には約20%と向上していることとつながっている。(つづく)

ごみ総排出量の推移(©環境省-一般廃棄物の排出及び処理状況等について)

最終処分量の推移(©環境省-一般廃棄物の排出及び処理状況等について)

総資源化量とリサイクル率の推移(©環境省-一般廃棄物の排出及び処理状況等について)

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10052802J]
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グリーンピースが7年連続『遺伝子組換食品回避指南』を無償配布へ

中国国民の皆さん、どうか私たちと一緒に伝統あるイネの美しさを自らの目で再発見してほしい。そして、あなたの知恵で善悪を見極めてほしい。

中国全土 緑色平和の友達のみなさん、こんにちは。

 暖かい週末、私は今、おもちゃ遊びに夢中になっているわが子を見て、目前に迫った「児童節(*訳注:6月1日)」に、何をプレゼントしようかと思いをめぐらせているところである。多くのお母さんと同じように、私もわが子が健康で無事に育つことが唯一の願いであるが、残念ながらこの願いを幾重にも重なる黒い雲が覆い囲んでいる。

 私は王偉康と言い、グリーンピースの食品・農業プロジェクトマネージャーであり、同時に3歳の子どもを持つ母親でもある。

 ちょうど2日前、私たちは最新の『遺伝子組換食品回避指南』を発表したばかりである(URL http://www.greenpeace.org/china/zh/campaigns/food-and-agriculture/geguide2010よりダウンロード可)。回避勧告の食品リストには、いまだに18の幼児食品ブランドが遺伝子組換原料の使用を否定している。先日発表されたイギリスの研究では、遺伝子組換食品は飲食構造がまだ単一で免疫力が(成人と比べて)弱い幼児にとって高いリスクがあると指摘したばかりであり、上海万博の開幕に先立ち、政府関係部門が遺伝子組換食品の輸入を厳しく取り締まると発表したのもつい最近である。一人の母親として、私はわが子を遺伝子組換食品のリスクの真偽を試す実験室のマウスには決してしたくない。したがって私は断固たる意志で子供の食品の安全を守るつもりである。

 しかし、ここまで書いて思わず冷や汗をかいてしまった。私は今日の安全を守れるが、明日に関しては未知数である。遺伝子組換はここのところ空前の注目を浴びており、中国はもしかしたら世界初の食料における遺伝子組換食品の商品化大量生産を批准する国になるかもしれない。イネという中国人が数千年にわたって主食にしてきた食料が、その長い歴史の中で数え切れないほどの知恵を蓄えてきた食品が、今まさに危険にさらされている。

 私たった一人の母親であり、子どもの健康を守るため遺伝子組換食品から守るために戦うのには、あまり非力であることを痛感させられている。しかし、一人一人の消費者が集まれば大きい力になる。現にわれわれのこれまでの努力の結果、すでに大手二社の米生産者が遺伝子組換原料を使わないと宣言している。だから、これからも私にできることは必ずやる。それはつまり、知っていることについてすべて話すことであり、より多くの人に知ってもらうことである。

 中国国民の皆さん、どうか私たちと一緒に伝統あるイネの美しさを自らの目で再発見してほしい。そして、あなたの知恵で善悪を見極めてほしい。

 そして、最後の選択肢は、あなたの手の中にある。

グリーンピース 食品・農業プロジェクトマネージャー

 王偉康 拝

【筆者】王 偉康(WONG, Wai Hong) / 緑色平和(Greenpeace China) / 寄稿 /  [C10052501J]
【翻訳】中文和訳チームC班  紫 菫]]>

気候変動とアジア、環境難民そして連帯

2010光州アジアフォーラム-アジアの昨日、今日、未来

東アジア 先週、光州で“アジアの昨日、今日、未来”というテーマで「2010光州アジアフォーラム」が開かれました。アジアの人権と民主主義のためのディスカッションおよび創造的代案を共有するために開かれた今回のフォーラムには、アジアの様々な国の活動家たちが集まり、8つのディスカッショントピックについてともに考えました。

 その中で、光州環境運動連合が提示した<気候変動とアジア、環境難民そして連帯>という環境をテーマにしたフォーラムで “生命の森”のユ・ヨンミン政策企画室長がパネルディスカッションにパネリストとして参加し、“生命の森”の仲間である“ソウル・グリーン・トラスト”のイ・ガンオ事務所長が<アジア・グリーン・ネットワークのために>というテーマで発表しました。

 インドネシアWALHI(フレンズ・オブ・ジ・アース・インドネシア)の活動家は<西スマトラ島で起こっているKorindo(インドネシア韓国系企業)の森林伐採による弊害>について発表し、カンボジアのCEPA(Culture and Environment Preservation Association)では<地域知識に基づく持続可能な自然資源管理>について発表しました。

 また、Center for Environmental Law and Community Rights(フレンズ・オブ・ジ・アース・パプアニューギニア)では、<パプアニューギニアでのパーム油の影響>について、Friends of the Earth Japan(フレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン)は、<日本における公共財政の環境配慮に対するNGOキャンペーン>について発表しました。

 インドネシアの西スマトラ島やパプアニューギニアの場合、外資系の巨大資本流入による見さかいの無い森林伐採および開発による地域住民の被害が深刻です。特に生物多様性の宝庫である熱帯林の破壊が深刻で、生態系の均衡がやはり少しずつ失われていき、動物の生息場所や人々の生活の場などすべてが脅威にさらされている状況です。目先の開発による経済的効果はあるとしても、住民たちさえも長期的には大きなメリットがないと言っています。また、関連規制法があると言っても、制定されてからかなり経っているため実質的な影響はなく、不法森林伐採がよりひどくなっていると言います。

 コペンハーゲンCOP15山林分野交渉以後、REDD(山林開墾および森林破壊防止を通じた温室効果ガス削減)導入を大きな成果と見ており、開発途上国の山林を通じた温室効果ガス排出削減等と関連したREDD+の進化についても歓迎しているが、今でも国際NGOの多くは、このプロジェクトが開発途上国の現地住民の生存権を脅威にさらすため、新しい気候植民地を生むかもしれないと懐疑的な目で見ていると言います。

 パネルディスカッションに参加したユ・ヨンミン室長は、パプアニューギニアのパーム油事業よる地域住民のための代案事業がないのかと話を持ちかけ、これ以外にも日本ODA(政府開発援助)モニタリングの持続性の可否について発表者たちに質疑しました。公式フォーラムを終えた後、すべての分野のフォーラム参加者たちが一堂に集まり、ともに“Save the Earth”を叫びながら今回のフォーラムを振り返りました。今回のアジア環境フォーラムを通じて、参加者たちの多くが韓国NGOの役割についてもう少し考えるきっかけとなり、たとえ国際連帯の限界があるとしても、アジア・グリーン・ネットワーク提案に対し積極的に考えることで、アジアの問題についても共に知恵を出し合い、力を合わせることで互いに役立つ道を期待します。

 ところで、環境難民あるいは気候難民という言葉を最近よく耳にすることでしょう。1985年UNEP報告書によると、環境難民とは‘目に余る環境的変化に生活の質が著しく冒されるだけでなく、生存の危険にさらされ、伝統的に暮らしてきた場所を強制的に追い出された人々’と定義されています。特に、多くの開発途上国が分布するアジアで少しずつ環境難民が増えているが、まだ法的保護を受けられていないと言います。環境難民。単に開発途上国だけの問題ではないでしょう。この気候変動の時代においては、私たちもいつ環境難民になってもおかしくありません。自然発生的な環境的変化はさておき、人為的な変化だけは私たちが自ら防ぎ、守っていく努力が必要な時です。

 翌日は、前日の発表者および参加者たちと共に栄山江事業工事現場を見学する機会を得ました。24時間夜を徹する工事は、これまで悠々と流れてきた栄山江の歳月をあざむくほど急速に進められています。川の流れを守るために、私たちに一体何が出来るのでしょうか?

【筆者】キム・ユリ(Kim Yuri) / 生命の森(FOREST FOR LIFE) / 寄稿 /  [K10052501J]
【翻訳】安部 加奈]]>

低炭素社会を目指して

低炭素社会を目指すグリーン・イノベーション促進のための国際協力シンポジウムが開かれた。

東京 2010年5月17日(月)、科学技術振興機構主催(後援:外務省・文部科学省)の「低炭素社会を目指すグリーン・イノベーション促進のための国際協力シンポジウム」が国連大学のウ・タント国際会議場(東京・渋谷区)で開催された。

 グリーン・イノベーションとは、環境・資源・エネルギーに関する科学的発見や技術的発明に基づいて、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会を構築しようとするもので、新たな社会的価値や経済価値を生み出す革新であり、気候変動問題の解決と社会経済の持続的な発展を両立させ、世界と日本を成長させる原動力になるものとされている。シンポジウムでは、地球温暖化問題の解決に向けたグリーン・イノベーション促進のため、基礎的な科学研究や革新的な技術開発にどのように取り組むべきか、どのような貢献ができるのか、そして特に各国の研究資金配分機関の取り組み、国際協力のあり方について議論が行われた。

 シンポジウムは、午前の基調講演、午後のパネルセッションという二つの部に分かれて開催された。

 国際協力事業を含む7つの事業を柱として活動・資金援助を行っている環境研究財団は、李明博政権が提唱しているグリーン成長を実現するため、原子力技術を含む技術研究プロジェクトなどを進めている。大統領直属グリーン成長委員会が2009年に発表した2020年BAU30%削減(2005年比)を実現するため、グリーン・イノベーションとして原子力以外にCCS(二酸化炭素の回収・貯蔵)、ナノテクノロジーなどの研究に取り組んでいる。

 グリーン成長は韓国にとって、選択肢ではなく唯一の道だというスローガンは支持されるべきものと思うが、グリーン成長とは何かというのは曖昧なままだ。まずは定義をしっかり決めた方がいいのではないかと思った。

 メキシコ国家科学技術審議会(CONACYT)からは、メキシコ国内のCO2削減のため進めている、とりわけ気候変動に関連するプログラムについての紹介があった。メキシコは気候変動枠組条約(FUNFCCC)に加盟している唯一の発展途上国で、2050年までにCO2排出量を50%削減する目標(2000年比)を掲げている。目標実現のため、2009~2012年の間、105件もの気候変動関連事業を実施する予定であり、電力、輸送、廃棄物及び農業全般におけるエネルギー消費量の削減に取り組んでいるところだ。

 日本の科学技術振興機構は、鳩山政権が宣言した2020年までの25%削減を科学技術の視点からサポートするため、2009年12月に低炭素社会戦略センターを設置し、低炭素社会実現に貢献するため、科学的の知見を用いて望ましい社会の姿を描き、またその実現に至る道筋を示すシナリオ策定に取り組む。日本における「ものづくり」、即ち産業界は非常に高いエネルギー効率を誇っている。ただし、エネルギー変換、ものづくり、日々の暮らしの3つのテーマがある中、エネルギー消費量の削減に大きなポテンシャルがあるのは、ものづくりよりも日々の暮らしだという。車の燃費を5倍上げれば、今後世界レベルで車が3倍増加したとしてもエネルギー使用量は削減できるという話もあった。だが、これは負荷をかけてもいいというのが前提にあり、大量生産、大量消費、大量廃棄の次世代バージョンとも言えるものである。疑問を感じさせる提言だと思う。

 午後は、中国自然科学基金委員会(NSFC)、フランス国立研究機構(ANR)、ドイツ研究振興協会(DFG)、スウェーデンの科学技術関係機関であるVINNOVA、英国工学・物理科学研究会議(EPSRC)、アメリカ国立科学財団(NSF)、日本科学技術振興機構(JST)などの代表者が科学技術機構・機関として、それぞれの国で進めている活動などについて紹介された。

 午前・午後を通じて、9つの国の科学技術関連機関が参加し、それぞれの活動や方針などが紹介された。参加者からは、自然と共生する地球の問題を解決するためには、人間のイノベーションだけではなく、自然や生態を含めた生物全体のイノベーションでなければいけないのではないか、今回の交流をきっかけに今後も国際協力を継続していくことに意味があるのではないか、などの意見が出された。

 原子力発電についての話題も多かった。ただ、電力使用量を確保する話が先行し、そのための新技術、イノベーション、という論調だったのが少し残念だ。グリーン・イノベーションとは、原発に頼らずとも生産や生活ができるシステム構築のためにあるのではないだろうか。産業の枠組みにとらわれることなく、真に低炭素地域・社会づくりに貢献できる科学技術研究が行われることを市民として望みたい。

参照リンク)

・シンポジウムホームページ
 http://www.jst.go.jp/pr/gisympo2010.html

・日本科学技術振興機構
 http://www.jst.go.jp/

【筆者】朴 梅花 / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10052101J]
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総合環境保護法廷を設立し、環境公益訴訟をサポート

環境公益訴訟制度はまだ成熟していないが、各地の裁判所では模索を始めている。

上海市 環境汚染に見舞われ、一般市民は「世話を焼く」ことができるだろうか? 環境汚染の被害者は分散しており、また不確定で、逆に汚染者が優位に立っている。環境公益訴訟は多くの困難に直面している。最近、上海氏環境保護局が政治協商委員の提案に回答する際に、上海市は総合環境保護法廷を設立する予定であり、環境汚染拡大予防資金の使用範囲を検討中で、環境公益訴訟のサポートに使用したいと述べた。

 数年来、環境保護の問題は益々一般市民の注目を浴びるようになり、公衆と社会団体が共同で環境保護等に参加するという意識が更に強まっている。「世話焼き」と呼ばれる環境公益訴訟制度は、アメリカ、イギリス、ドイツなど多くの先進国で設立されている。中国でも、環境公益訴訟制度の確立を求める声が絶えず出ている。市環境局は、当市は環境公益訴訟を含む環境保護作業の推進を十分に重視しており、国家に環境公益訴訟制度を確立するように呼びかけていると述べた。また、現在国家は『水汚染予防法』の中で明確に、環境部門と関係社会団体は法により水汚染により損害を被った当事者が裁判所に訴訟を提起することを支持しており、これは環境公益訴訟制度確立の基礎となっているとのことである。また、現在改定中である『大気汚染予防法』の中で、環境保護部門と関係社会団体は大気汚染により損害を被った当事者が裁判所へ訴訟を提起することを支持できることを明確にしている。

 「環境公益訴訟制度はまだ成熟していないが、各地の裁判所では模索が始まっている」 この案を提出した政治協商委員の祝珠氏によれば、2003年4月に山東省徳洲市、2003年11月に四川省阆中県、2008年12月に広州市海珠区で環境公益訴訟事件の起訴と判決の事例があった。「裁判所は社会に対して環境保護公益訴訟の門戸を既に開放しており、我国の環境公益訴訟の理論研究と制度の設立に良い模範例を提供している」 祝珠氏は、総合環境保護法廷の設立、環境保護公益基金の設立、環境汚染強制責任保険制度、起訴主体の拡大等を含め、上海がこの分野を率先して模索、整備することを望んでいる。

【筆者】解放日報  張 駿 / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C10051801J]
【翻訳】中文和訳チームA班  五十嵐 裕美]]>

金属リサイクルの現場から(2)―廃エアコン輸出の仕組み

廃エアコンが近年、スクラップ資源として中国に輸出されている。その理由とは?

日本全土 家電リサイクル法が2001年に施行され、ブラウン管テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機、エアコン(2009年4月から液晶・プラズマテレビと乾燥機が追加)のリサイクルが製造業者(家電メーカー)に義務付けられた。

 ところが、同法の対象家電であるエアコンは、消費者が廃棄する際に3,150円のリサイクル費用を支払わなければならないが、中に銅製チューブとアルミ製フィンが内蔵されているため、キロ当たり120~125円(輸出業者・岸壁置き場渡し)で輸出業者が買い取り、中国へ金属スクラップ原料として活発に輸出されている(2010年4月28日現在)。

▼業務用エアコンは対象外

 まず第一に、家電リサイクル法は家庭用エアコンを対象としており、業務用エアコンは同法によるリサイクルを義務付けられてはいない。業務用エアコンの場合、フロン回収破壊法に従いフロンを適切に回収し(黒モーターも適正処理)、フロンを抜き取った業務用エアコンを有価で買い入れた場合は輸出可能だ(注2)。ただし、中国はエアコンを含む廃家電21品目の輸入を2002年から禁止しているため、原型をとどめないように重機などで破砕する必要がある。そうしなければ日中商品検査(注3)が実施する船積み前検査に合格しない。

▼家庭用エアコンは輸出できるのか?

 排出者から処理料金を受け取っていながら、引き取った家庭用エアコンを有価で輸出業者に転売する行為は、家電リサイクル法違反となる。一方で、たとえば街中で拡声器を鳴らしながら走っている買い子(無料回収車)に、家庭用エアコンを無償で引き渡して、その買い子がその家庭用エアコンを有価で輸出業者に売却した場合は違法ではない。

 エアコンによってはリユース使用も可能なため、無償もしくは有価で買い取った場合は、法の枠外での流通ということで合法となるのだ。そもそも家電リサイクル法の制定時に、廃エアコン・スクラップ輸出を想定していなかったことも背景としてある(2008年の同法の見直し審議で、リユースとリサイクルの仕分けガイドインが制定され、一定の縛りが出来た。ただし法的拘束力はない)。

注1:金属スクラップ業界では、室外機のコンプレッサー・モーターのことをその外観の色から「黒モーター」と呼ぶ。

注2:廃棄物処理法の第2条にある「廃棄物」の定義は、「固形状または液状のもの」となっており、フロンを気体と考えた場合、破棄物処理法上の「廃棄物」には当たらないとの解釈ができる。このため、フロン回収破壊手数料と業務用エアコンそれ自体の品代との相殺で、仮に逆有償になったとしても、産廃マニフェストはいらないとの見方が可能だ。

注3:中国政府指定の船積み前検査機関。日本から輸出される金属スクラップ原料などに対して、中国国内法の禁止物品が混入していないかを水際でチェックする。日本の税関検査とは別に行われる。

(参考URL)

・金属リサイクルの現場から(1)―有償と逆有償
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J10042302J

・金属リサイクル相場とリサイクル②-基礎から分かる流通フロー
 http://mrb.ne.jp/newscolumn/2017.html

・金属スクラップの商品説明①-「工業系ミックス品」って何!?
 http://mrb.ne.jp/newscolumn/2006.html

・家電回収業者「祝氏貿易」の社長らが逮捕、業界に衝撃が走る
 http://www.mrb.ne.jp/newscolumn/2029.html

エアコン室外機

【筆者】下部 賀一(SHIMOBE, Yoshikazu) / メタルリサーチビューロ / 寄稿 /  [J10051402J]
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生きたまま皮をはがされた川

詩人ト・ジョンファンさんの手紙

韓国全土 先月、環境運動連合から自団体の広報をするラジオ広告をしてもらえないかと依頼された。20秒ほどの短い広告だ。無料のラジオ広告だが、気持ちよく終えて帰ってきた。数日後、再び電話があった。選挙管理委員から選挙法違反と言われたので、もう一度だけ録音してもらえないか、ということだった。「四大河川事業で、シラヒゲカマツカ、マツバギク、マナヅルといった貴重な生命は、皆どこへ行くのだろうか」という程度のコメントだったのだが、「四大河川」という言葉が入っているため選挙法違反であるというのだ。

 泣き出しそうな担当者と一緒に、「四大河川」という言葉を「川」に置き換えて再度録音した。ところが万一の場合に備えて「川」を「春」に換えてもう一度録音してみようというのだ。「川」という言葉でもだめかもしれないから、それなら「春」で提出しようというわけだ。テレビをはじめとした様々な媒体で広報をしても政府のものは合法であり、環境運動団体は後援会員になってほしいという広報でも、四大河川という言葉が入ると不法になる世知辛い時代になった。

 抵抗の文章を書こうとする作家たちと抵抗の芸術運動に乗り出そうとする芸術家たちが、工事の進む川に実際に行ってみようと出かけたのだが、そこで私は生きたまま皮をはがされて苦しむ一匹の巨大な生物を見た。まだ生きている命に、刀を刺して皮をはがし、肉片を重機のシャベルの刃で刺しまくっているようだ。それは、野蛮な獣が寄ってたかってある生き物の体に食らいついている姿であった。

 人間の体は大部分が水で満たされている。川と渓谷に沿って流れる水は、私たちの命を支えてくれている。山と森から生み出される風は、私たちの体内を満たし、呼吸をさせてくれている。土と水によってできたものを食べて熱と力を得ながら、自然の力によって生命は維持されているのだ。人が死ぬときは、土の気、水の気が体の外に抜け出る。その次に火の気がなくなり、ゆっくりと体が冷えて、外に出て行った風の気が中に入ってくることができなくなって死に至るようになる、と能行僧侶は「この瞬間」という本でおっしゃっている。土、水、火、風が集まって生命となり、それが散らばると命が尽きるということだ。だから、それらを自分の体の一部とみなすのである。

 イシガメは砂浜がなければ掘って卵を産むことができない。砂利が川底に集まっているからこそ、そこに素早く水が流れて豊かな酸素が生じ、それによって生きている魚もいる。ミホシマドジョウは流れる砂に寄生している藻類を食べ、ズナガドジョウカマツカは砂利に付いた藻類を食べて生きている。水深が浅くなければ生きられない魚もいるし、季節によって変わる水温のために上流や下流へと移動しながら生きている魚もいる。川辺には岩もあり、隠れる場所があるからこそカワウソは生きることができ、貝殻と草があるからこそイカルチドリのような鳥類は巣を作って繁殖することができるのだ。

 重機で押し出しながら堰を造ってセメントで覆ってしまえば、川に棲んでいた数多くの生命は絶滅してしまうだろう。魚、鳥、爬虫類、花などが消え去った後は大気中の水分の質も悪くなって霧が頻繁に発生し、その間果物や農作物もまともに育つことはできないだろう。その空気、水、農作物によって暮らしている私たちの命もまた衰えてゆくだろう。しかし、川が苦しんでいる様子を見ながら、私たちも共に苦しむほかないという理由がどこにあるのか? 理由はそれだけにとどまらないのである。

【筆者】韓国環境運動連合(Korean Federation for Environmental Movement) / 韓国環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K10051401J]
【翻訳】萩庭 雅美]]>

愛知万博の経験を生かし、上海万博にいどむ

我々のブース“地球市民村”では中日韓共同の環境保護NGOが多彩な活動を通して我々の理念を展示した。

中国全土 上海万博が嵐のような勢いで開幕した。テレビ、ラジオ、新聞や雑誌、インターネットで毎日上海万博に関する報道がされている。家族や友達と万博について話していると、思わずやりかけの仕事を放って上海の万博会場に行き、万博の文化、科学技術など、雰囲気を体験したくなる。また同時に、2005年に日本で行われた愛知万博の光景が浮かんでくる。

 2005年の愛知万博に、私は東アジア環境情報共有ネットワークの代表として、中国の非政府組織(NGO)代表―陳昆、康雪、周玲―と一緒に招待され、数日会場で仕事をした。日本の友人によると、この万博は初めてNGOと非営利組織(NPO)が参加した万博であり、万博のテーマは“自然の叡智”である。我々のブース“地球市民村”では、中日韓共同の環境保護NGOが多彩な活動を通して我々の理念を展示した。

 大きくて華やかな企業館とは違い、メイン館1つと5つの屋外NGO展示区から成る“地球市民村”は、自然の雰囲気が生かされ、面積はそれほど大きくないが、その内容は多種多様で、妙趣に満ちている。見学者はNGO関係者や学生が多く、週末には親子連れの姿も見られた。

 展示コーナーでは、中日韓共同のNGO団体が持ち寄った環境に関する資料があり、見学者は多くの環境保護知識を持ち帰った。映像シアターでは毎日定時に中日韓3国の短編映画が放映され、各国の専門家が自国の環境映画に関する観客の質問に答えていた。私の撮ったドキュメンタリー映画《子どもの眼の中の水》(原題:孩子眼中的水)は万博開幕時に会場に送ったものであり、中国各地(雲南、陜西、盤錦、北京)の子どもたちの水に対する意識を通して、日本の子どもたちに中国の水資源を理解してもらった。

 メッセージコーナーでは、子供たちが大きなテーブルの上にある紙に、色鉛筆やスタンプで自由に理想の庭や地球の未来を描き、最後には判を押した作品をボランティアと一緒に壁に展示し、展示した作品の隣に立って友達や保護者と記念撮影をすることができた。

 9月の愛知県の気候はとても暑く、炎天下に順番を待つのは本当に辛い。来場者は、日傘やサングラス、帽子で陽射しから身を守るのは当たり前で、バケツや濡れタオルを使うつわ者もいた。座布団、折りたたみイス、新聞紙、これらは入場を待つ来場者の“イス”であり、炎天下の曲がりくねった長い行列は人々の根気を試しているようである。不平を言ったり焦ったり、また大声で騒ぐことなく、ただ行列はパビリオンに向かってうごめいている。パビリオンに一歩、たま一歩と近づき、来場者に期待をもたせる。
 
 私の記憶に深く残っているのはカナダ館で、館内には異なる人種の生活が展示されており、調和のとれた社会を見ることができた。アメリカ館は著名な科学者とその成果を展示し、日本館は高科学技術環境保護製品、韓国館は民族文化、その他いくつかの国は現地の食品と工芸美術品、どこの国か忘れてしまったが万華鏡もあり、これらの展示は帰るのを忘れるほど素晴らしいものだった。
 
 一方、本音を言うと、中国館には大きな期待を持って入ったが失望と共に出てきた。中国館の外壁には、大きな赤色の十二支の切り絵がほどこされ、とても目を引く中国伝統文化の象徴である。しかし、館内展示はテーマが何なのか全く分からず、大部分は売店(家具、切り絵、中国飾り、中国伝統のお面、食品など)で、神舟6号の基地模型はとても小さく、見るのも一苦労であった(私は床にしゃがんで見た)。探しまわって、やっと小さなスクリーンに上海万博の紹介を見つけた。私は中国での万博開催を大々的に宣伝するべきだと思っていたが、これはどう見ても中国のスタイルではない。一緒に行った中国人は、「どうしてこんなに小さいの?節約?環境保護?」とひそひそ話をしていた。この時から私は上海万博の開幕を楽しみにしており、今回こそ失望なく、愛知万博の無念を晴らしたい。

【筆者】李 力(LI, Li) / 環友科学技術研究センター(EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology) / 寄稿 /  [C10051201J]
【翻訳】中文和訳チームA班 歳国真由子]]>

『環境覚醒』新書発表座談会開催

『環境覚醒』が中国環境科学出版社から出版された。内容は『人間環境宣言』を除き、いずれも国内で初めて出版されるものである。

中国全土 2010年4月28日、曲格平氏、彭近新氏が主要執筆者となった『環境覚醒——人間環境会議および中国第一回環境保護会議』新書発表座談会が北京人民大会堂で開催された。環境保護部の潘岳副部長が書面での挨拶を行い、全国人民代表大会環境・資源保護委員会の張文台副主任委員、全国政治協商会議人口資源環境委員会の王玉慶副主任委員が会議に出席して挨拶し、環境保護分野のベテラン指導者、環境史専門家数名もスピーチを行った。人間環境会議と中国第一回環境保護会議の証人として、曲格平氏は自らが経験した歴史を振り返り、この書籍を執筆した背景、経緯を語り、清華大学、北京大学、中国環境管理幹部学院、山東省生態文明研究センターの代表に新書を贈呈した。座談会は中国環境科学出版社が主催し、劉友賓編集長が会議の司会を務めた。

 環境保護部宣伝教育司の陶徳田司長は、潘岳副部長の挨拶を読み上げた。潘岳副部長は『環境覚醒』の出版および新書発表座談会の開催を大いに祝福し、第一回人間環境会議は新たな文化を伝え、人類が「自然の征服」から「自然の崇拝」へ向かうよう呼びかけた。その後開催された全国第一回環境保護会議は中国環境保護の幕を開け、中国環境保護事業の発展の正確な方向を確立し、新たな紀元を切り開いた。この貴重な記憶は、環境保護に携わるすべての人、社会全体がともに大切にすべきであり、歴史に埋もれてしまっては非常に惜しいところ、『環境覚醒』の編集、出版はその事態を防いだのである。

 『環境覚醒』は、中国環境保護事業を啓蒙し、推し進める意義のある人間環境会議および第一回環境保護会議文献を系統的に収集、整理したもので、「文革」期の中国の環境保護状況を如実に記しており、貴重な史料的価値がある。『環境覚醒』を読めば、中国の環境保護事業がどのように困難なスタートを切り、発展してきたのかをつぶさに知ることができる。中央党研究室は本書を読んだ後、「社会主義建設期は中国の環境保護事業のスタート段階であり、この方面の内容は資料が少ないため、深く研究する研究者もあまりいない。『環境覚醒』は中国が人間環境会議および中国第一回環境保護会議に参加した際の関連文書を系統的に収集、整理しており、書籍全体の内容が豊富で、非常に史料的価値がある。この書の編集、出版は、我々が党と政府が環境保護業務を実施、提唱してきた歴史をさらに理解するのに役立つだろう」と評している。

 『環境覚醒』は中国環境科学出版社が出版しており、内容は『人間環境宣言』を除き、すべて国内で初めて出版されるものである。全書は四部に分かれており、第一章は人間環境会議の重要発言、会議の内容および中国政府代表団の活動など、第二章は、中国第一回環境保護会議の主な文書、指導者のスピーチおよび各地各業種の経験など、第三章は、周恩来総理の環境保護に関するスピーチと指示、および周総理の環境保護事業への配慮、支援を振り返る文章、第四章は付属文書で、人間環境会議および中国第一回環境保護会議前後の中国環境保護重要事項摘要などが含まれている。

 威立雅水務集団(中国)、通用技術諮詢顧問有限責任公司、北京中科通用エネルギー・環境保護有限責任公司が今回の活動の共催機関である。

【筆者】徐 曼 / 『環境保護』雑誌社 / 寄稿 /  [C10050402J]
【翻訳】中文和訳チームC班  橘 高子]]>