環境に配慮した建替え事業

千葉県柏市の豊四季台団地で進む三つのECO

千葉 独立行政法人都市再生機構(以下UR)のUR賃貸住宅(旧公団住宅)。昭和30年代に建設された分は半世紀が経ったこともあり、現在建替えが進められている。

 千葉県柏市の豊四季台(とよしきだい)団地(昭和39年入居開始、103棟4,666戸)においても、2004年度より建替えが進められ、団地南東部の第1期(9棟687戸)では2008年10月より建替え後の入居も始まっている。今は同じ第1期の後半分で建替えが進められている。特筆すべきは、その工区において、URの若手担当者により環境をテーマにしたワーキングチームが結成され、環境に配慮した取り組みが行われていることだ。

 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J10071601J の記事で柏市の環境基本計画改正について触れた。この改正で、共同で低炭素化を進める低炭素まちづくり事業が加味されたが、その「アクション・エリア」にこの豊四季台も入っていることも注目に値する。

 従来、URの建替え事業は、建築なら建築、土木なら土木と職種ごとの縦割りで業務を行う傾向にあったが、この環境ワーキングでは縦ではなく横を重視し、総合的に環境に配慮した建替え事業を進めているという。

 計画・建築・土木・電気・機械・造園・工事事務所とさまざまな職種・部署が連携して行うため、共通の価値観を共有するための独特の工夫もなされている。プロジェクトに対して共通のキーワードが定められ、その一環としてシンボルとしての「Tマーク」も設定された。

 具体的な取り組みは「お家でECO」「お庭でECO」「お出かけでECO」の三つのECOを軸に検討されている。

 「お家でECO」では、(1)リフォーム時に改修範囲を削減する工法、(2)LED照明、(3)使用したガスを「見える化」する機能がついた給湯リモコン、などを採用している。

 「お庭でECO」では、手賀沼の流域再生をテーマに、土木・造園分野が連携し、雨水をいかに地下に浸透させるかの検討を行っている。生命を維持する最も効率的な形と言われる「樹状デザイン」を地上や地下に仕掛け、環境に負荷のかからないデザインを試行する予定だ。

 「お出かけでECO」では、カーシェアリングや共同花壇・共同菜園を想定したワークショップの開催が検討されている。

 あるベテラン職員の話では、こうした職種横断型のプロジェクトは、URの前身である日本住宅公団時代では当たり前であったという。この環境ワーキングは「古くて新しい」取り組みと言えるが、住宅公団から続く文化がいい意味で脈々と息づいていることもうかがわせる。

 住宅公団ができた当時は、住宅不足の中でいかに良質な住宅を建設するかが最重要課題であった。現在では、地球温暖化の進行が叫ばれ、いかに環境に配慮して事業を進めていくかが問われている。76万戸と言われるUR賃貸住宅を今後どう活かしていくかは日本の住宅の将来像を占う意味で重要だが、こうした環境配慮型の取り組みを増やすことで、展望が開けてくる。人にも地球にも良質な住環境を提供していくという点で、URの果たす役割は大きいと言えるだろう。

参考リンク)

 UR 環境配慮方針
 http://www.ur-net.go.jp/kankyou/

問合せ先)

 独立行政法人 都市再生機構
 千葉地域支社 都市再生業務部 市街地設計チーム(須田)
 〒261-8501 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3 幕張テクノガーデンD棟19階
 TEL:043-296-7655 / FAX:043-296-7608

工事現場の仮囲いを使い、三つのECOをPR

豊四季台団地のシンボルマーク「Tマーク」。黄緑・赤・黄色・緑で構成され、それぞれ「新芽」「日差し」「紅葉(黄葉)」「常緑」を意味し、豊かな四季を表している。

自宅で簡単に取り組める植栽の実験として、マツバボタンやマリーゴールドなどを栽培中

【筆者】東アジア環境情報発伝所 取材チーム / 東アジア環境情報発伝所 / 報告 /  [J10073001J]
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済南動物園のジャイアントパンダが有毒ガスを吸い込み死亡

死亡したパンダの“泉泉”は21歳、5回の妊娠で7頭の子供を出産していた

山東省 済南動物園は26日、環境検査、パンダの解剖、警察の調査に基づき、同動物園が四川省臥龍のパンダ基地から借りているジャイアントパンダの泉泉が大量の強い刺激性ガスを吸い込んだことにより呼吸不全に陥り死亡し、現在警察の調査中であると発表した。

 写真は済南動物園で氷の塊を置いた小屋のなかで竹を食べる“泉泉”(2010年6月28日撮影) 7月23日、済南動物園は、同園のパンダ“泉泉”が22日の夜10時ごろ突然死亡し、その死因は調査中であると発表した。

 済南動物園の党総副書記劉俊剛氏によると、強い刺激性ガスはパンダ小屋とつながった防空壕の通気孔から出たものだという。警察の現場検証によると、防空壕を借り受けている管理人を取り調べたところ、刺激性ガスは管理人が防空壕内で消毒殺菌のために薬を焚いたことにより発生し、通気孔を通ってパンダ小屋に入ったということである。

 劉氏によると、通気孔は1995年に夏季の小屋内の温度調節のために設置され、現在まで使用されている。焚かれた薬物はジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。警察はこの事件を立件して調査している。22日18時50分ごろ、動物園の職員がパンダ小屋内に大量の煙が出ているのを発見し、すぐにパンダ係に知らせた。19時ごろ、パンダ係が小屋に駆けつけたところ、小屋内に刺激性の煙が充満していることがわかり、小屋に飛び込み活動スペースへの扉をあけ、パンダを外に出したが、パンダには中毒症状が出ていたため、すぐに獣医と園長に連絡した。

 救護人がパンダに人工呼吸、心臓マッサージ、強心剤、呼吸興奮剤の注射、輸血などの処置をし、同時に済南軍区総医院に応援を求め、警察に通報した。その後駆けつけた医者によって、3時間にわたる看護がなされたが、パンダの命は助からなかった。

 パンダの死因を明らかにするために、山東農業大学動物医学教授、済南動物園獣医、中国パンダ保護研究センターの獣医らによるチームが24日、パンダの解剖を行った。その結果、死因は強烈な刺激性ガスの吸引により肺が高度に充血し、浮腫がおこり、呼吸不全を引き起こしたことがわかった。

 死亡したパンダの“泉泉”は21歳で、5回の妊娠で7頭の子供を出産していた。2007年から、四川省臥龍のパンダ基地から長期貸し出しという形で同動物園に来ていた。

 新華社の記者が27日に、済南市公安部に取材したところによると、この重大なパンダ過失致死罪の容疑者として、楊氏という人物が警察に拘留されている。

 22日の午後、楊氏はきのこ栽培用に借り受けた防空壕内で、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと木屑を使って燃焼殺菌をしようとしたところ毒性ガスを発生させ、そのガスが温度調節用としてパンダ小屋に設置していた通気孔から小屋内に流れ込み、泉泉を死に至らしめた。

 済南市公安局天橋分局によると、楊氏は重大過失罪で拘留されている。

【筆者】新華ネット  劉 宝森 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10072702J]
【翻訳】中文和訳チームB班  久保 麻衣子]]>

紫金鉱業が汚染事件に関する情報の公表を故意に遅らせた疑いについて

香港証券取引所および上海証券取引所への公開書簡

中国全土香港証券取引所および上海証券取引所 御中:

 我々は環境保護団体として、貴所で上場している紫金鉱業(2899.HK、601899.SH)が、重大な汚染事件の公表を故意に遅らせた疑いについて、貴所が徹底的に調査を行い、その後公けに責任追及と処罰を行い、同時に上場企業の情報開示制度をより万全なものにし、上場企業による重大な環境リスクの報告の遅延・隠蔽を防止し、投資家の利益を確実に保護するよう要請する。

 新華社の報道によれば、2010年7月3日、紫金鉱業集団の紫金山銅鉱湿式工場の汚水池から銅を含有する酸性の廃水が漏洩し、約9,100立方メートルの廃水が汀江に流入した。その結果、汀江の水質汚染を引き起こし、1,890トンの魚類が死亡するにいたった。

 紫金鉱業(2899.HK、601899.SH)は、ここまで深刻な汚染事件について9日間も公表を遅らせただけでなく、最初の発表では、事故は降雨によるもので「今回の漏洩は主に自然災害によるもので、予測不可能だった」とした。

 上記の陳述は、政府の調査結果と明らかに矛盾している。2010年7月15日、国家環境保護部、福建省環境保護庁、竜岩市政府および同環境保護部門が共同で結成した調査チームは、紫金鉱業による汚染事故の主な原因は、持続的な強雨も確かに外的要因の一つではあるが、内的原因は「各ヤードおよび溜め池の底に、硬化処理が施されていなかった」ために、「浸透防止フィルムに裂け目が発生し、汚水の浸透・漏洩問題が深刻化した」ことだ。この他、同社は人為的且つ違法に第6号浸出液集水ピットと雨水排出溝を接続していたため、浸透・漏洩した廃水が直接汀江に流入する事態を引き起こしたことが発覚した。実は2009年9月、福建省のある環境保護部門による検査の際、規定の基準を超過する廃水が雨水排水溝から汀江に流入していることが発見され、直ちに改善措置をとるよう要請したのだが、今回の事件により、改善がなされていなかったことが発覚した。

 上述の調査結果から、紫金銅鉱湿式工場の汚染事故は、予測不可能な自然災害ではなく、一連の人的ミスが引き起こしたものであることが分かる。紫金鉱業証券部の総経理は、7月14日の中国青年報に、「すぐに事故の情報を公開しなかったのは、『秩序の維持を重視』し、現地の人々がパニックに陥ることを心配したためだ」という不合理な陳述をしており、紫金鉱業(2899.HK、601899.SH)が開示を遅延したのは主観的で故意だったことを表している。故意の情報開示遅延は、民衆の混乱状態を防ぐことができないだけでなく、逆に生態環境に深刻な損害を引き起こし、下流の民衆の健康を脅かし、一部の投資家に利益損失をもたらした。

 紫金鉱業(2899.HK、601899.SH)でこのような汚染問題が発生したのは今回が初めてではない。同社では、2005年から、河北省、新疆ウイグル自治区および貴州省でそれぞれ環境法規違反状況が発生している。一部の違反行為・事故は、現地の水体に有害物質が流入する状況を引き起こした。また、私達の調査によれば、同社がこれらの問題に対して十分な情報開示を行っているとは見受けられない。環境保護部は、2007年~2008年、環境保護部の環境検証を経た上場企業による環境問題改善措置の実行状況についてフォローアップ調査を行った。また、2010年5月14日には、対象となった企業への批判および決められた期間内に改善措置が完了していない環境問題を社会に対し公表した。この公報には、紫金鉱業(2899.HK、601899.SH)の多くの傘下企業がリストされており、今回問題が発生した紫金銅鉱も含まれていた。環境保護部からの批判に対し、紫金鉱業は簡単な回答をしたのみで、紫金銅鉱の改善状況については「既に全て完了している」との説明をしただけだった。

 紫金鉱業による情報開示の遅延は、上場企業の情報開示問題において、氷山の一角でしかない。公衆環境研究センターと思滙政策研究所による2010年3月の調査研究報告では、香港証券取引所の上場企業のうち175社で、計750を超える中国大陸における環境法規違反の記録がある。また、これらの違反・基準超過問題は、企業の年度報告書や公式ウェブサイトにはほとんど掲載されておらず、関連する説明や事後の改善措置等に関する情報は、更に欠如している。

 もちろん、繰り返し基準超過・違反の状況が発生しているにもかかわらず適切な情報開示を行っていない紫金鉱業等の上場企業が主に責任を負うべきであるが、証券取引所も、このような行為に干渉せず問題を放置していた結果、環境、地域コミュニティーや投資家の利益に深刻な損害をもたらすことになったのであり、自らの管理および監督不十分を反省するべきである。近年中国大陸では、環境情報開示の面で一連の進展があり、多くの政府部門が法令や政策を制定した。これらには、国家環境保護総局(現環境保護部)が制定した「環境情報公開規定(試行)」および中国証券監督管理委員会が制定した「上場企業情報公開管理規定」等、企業の環境情報公開に関する具体的な要求事項が含まれている。これと対照的に、香港取引所には関連する規則がなく、上海取引所は「上場企業環境情報公開ガイドライン」を制定したが、まだ改善を要しており、更には確実な執行が待たれている。

 我々は、貴所が紫金鉱業の情報開示遅延行為について徹底的に調査し、その後公けに責任追及と処罰を行い、他社による類似の行為を防止するよう要請する。同時に、投資家が上場企業の環境リスクについて知ることができるようにし、投資家の利益を確実に保護できるよう、貴所における上場企業情報開示のルールを改善するよう要請する。具体的な提案は以下のとおり。

 上場企業にて汚染事故が発生した、あるいは環境法規違反により処罰を受けた場合は、速やかに投資家に開示する。

 汚染リスクが高い企業が上場を申請する際には、更に厳格な環境リスク情報開示を求め、環境法規違反行為を上場企業の信用格付け評価の範囲に取り入れる。

 有毒有害物質を使用・排出する上場企業には、主な汚染物質の排出量を定期的に開示する義務を課す。

 貴所の回答をお待ちいたしております。

 署名団体:

 自然の友
 緑家園ボランティア
 雲南大衆流域
 淮河衛士ボランティア協会
 緑色漢江
 緑眼睛環境組織
 華南自然会
 河北緑色知音
 甘粛緑駝鈴
 環友科学技術研究センター
 公衆環境研究センター

 2010年7月23日

【筆者】環友科学技術研究センター / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10072701J]
【翻訳】中文和訳チームA班  川口]]>

水浸しの慶州廃棄場

公団は意地を張らずに廃棄場の危険性を認めよ。最低でも安全性に対する討論会を開くべきだ。

慶尚北道 2005年、慶州は住民投票を経て放射性廃棄物処理場(以下、廃棄場)を誘致した。しかし工事終了の予定期日が過ぎても、半分も作業が終わっていなかった。これに対して廃棄物管理公団(以下、公団)は2009年6月1日に工事期間を30ヶ月延長することを発表した。この工事期間延長発表があった後、慶州市民と市会議員らは廃棄場の安全性に疑念を抱き、市会議員、市民代表、廃棄物管理公団役員らで構成された協議会を設立した。

 協議会は5人の専門家に依頼して安全性検査を実施した。その結果はかなり否定的なものであった。この報告書によれば、岩盤状態が不良で平均5㎝以下の間隔で亀裂が発生しており、一日に1,000tから3,500tもの地下水が湧き出ていて、海水の浸水まで確認された。この状態では工事を進めることも難しい。また、たとえ完成したとしても廃棄物保存倉庫(以下サイロ)は水に浸ってしまうだろう。

 水浸しの廃棄場にひびが入ることにでもなれば海水面より100m下の方に位置するサイロに地下水が入ってくることは明白だ。安全性に関する議論の核心は、先端工法で作ったサイロのコンクリート壁が、本当に300年間も周辺の地下水を止めてくれるのかという点である。しかしどう考えてもコンクリートで作った壁が300年の間、ひとつのひびもなく周辺の水を防いでくれると期待することは難しい。

 最近、ドイツのアッセ(Asse)というところで運用されていた、慶州と同じように地下洞窟式で建てられた中低水準廃棄場のサイロに地下水が流れ込み、内部の廃棄物をすべて再搬出することをドイツ政府が決定する、という事態があった。4ヶ月前のこのニュースを見て、筆者は廃棄物管理公団にサイロが完成した後、地下水の浸入をどのように監視するのかを質問した。これに対して公団は、サイロの中への浸水を監視する予定はなく、サイロが放射性廃棄物のドラム缶でいっぱいになった後には、残った空間も砂利を詰めて埋めると回答した。放射能の漏出をどうやって知るのかを尋ねたところ、サイロの外でモニタリングする予定という。

 こんなことは可能なのだろうか? これは単に漏出事故を事前に察知するような方法を取らずに、放射能物質の漏出を事後的に知ることになる、というだけではない。たとえ漏出が確認されても廃棄物を取り出さないという発想ではないだろうか?

 慶州市民は慶州に廃棄場を誘致したが、それは安全という前提のもとに下した決定だ。公団はもうこれ以上意地を張らずに現在建設中の廃棄場の危険性を認めなければならない。でなければ少なくとも安全性に対する討論会を開くべきだ。そしてこのリスクに対する代案の検討に慶州市民らと共に取り組む必要があるだろう。

【筆者】キム・イクチュン(Kim Ik-Jung) / 慶州環境運動連合(Gyeongju KFEM) / 寄稿 /  [K10072501J]
【翻訳】石井晋平]]>

日本のごみ事情(2)

生ごみリサイクルの取り組み事例について

栃木 日本における生ごみの排出量は、年間およそ2,000万トン。そのうち、家庭から出る分は半分の約1,000万トンと推定されている。生ごみをいかに減らすかは、昔から国民的な課題だが、地域を挙げて生ごみを減らす取り組みが増えているのも事実だ。

 今回はNPO法人有機農産物普及・堆肥化推進協会により作成されたビデオ「生ごみ堆肥で地産地消」から、栃木県の3つの町での生ごみリサイクル活動を紹介する。

1.栃木県高根沢(たかねざわ)町―土づくりセンターが街づくりの要

 高根沢町の人口は3万人で、生ごみ排出量は3トン/日、年間で約900トンに上る。

 堆肥の専用施設「土づくりセンター」での堆肥原料は、生ごみに畜糞尿(5,100トン/年)、もみがら(1,200トン/年)を加えたもので、年間2,550トンの堆肥製品を生産している。

 消費者、土づくりセンター、農業者の三者の循環を大事にした取り組みが特徴で、例えば、施設は散布車も用意して、農家からの希望があれば堆肥の散布まで手伝う。堆肥を使って栽培された農家の野菜は、地域の拠点型店舗「たんたんプラザ」で販売される。また、学校給食で地産の野菜を食べている子どもたちは、土づくりのレベルから食べ物を理解するとともに、おいしい野菜が生ごみからできたことを学んでいる。

2.栃木県芳賀(はが)町―地産地消の取り組み

 芳賀町の人口は17,000人で、生ごみ排出量は3トン/日、年間で約900トンである。

 堆肥施設「ドンカメ堆肥センター」で原料としているのは、生ごみ、畜糞(1,500トン/年)、おかくず(300トン/年)、戻し堆肥(600トン/年)で、年間1,200トンの堆肥製品が生産できる。

 学校の生ごみ→堆肥→農家の栽培、収穫→町の食育推進センター→商業組合などのルートを経て、学校で給食として出されるという資源の循環と食の循環を推進している。堆肥で栽培された野菜が給食で使われるようになってから、味がよくなったと好評で、食べ残しは一人10グラム以下になったそうだ。

3.栃木県茂木(もてぎ)町―地域資源を堆肥に変え、安全でおいしい農産物を栽培

 茂木町の人口は16,000人。上記2町と同じく生ごみ排出量は3トン/日、年間で約900トンになる。

 茂木町堆肥施設「美土里館」(みどりかん)で原料としているのは、生ごみ、牛糞、落ち葉、モミガラ、おかぐずの5種類で、年間1,350トンの堆肥製品を生産している。茂木町の山には間伐材や落ち葉がたくさんあるが、落ち葉は1袋(15~20kg)を400円で美土里館が買い取り、資源循環が進むとともに、農家にとっては副収入になっている。

 落ち葉は発酵菌をたくさん含んでいるので堆肥の発酵を促進することができ、またおかぐずは水を吸収する役割を果たす。堆肥づくりは、農家が使いやすい物になるよう心がけ、地域の資源循環システム化を目指して取り組んでいる。施設運営は2,000万円ぐらいの赤字になることもあるが、生ごみを焼却しないことで1,800万円を削減でき、さらに山がきれいになる、農家はおいしい野菜が作られる、もみがらを回収するのでまた助かる、などのメリットがあるそうだ。

参照リンク)

・NPO法人 有機農産物普及・堆肥化推進協会
 http://www.taihika-kyokai.or.jp/

・高根沢町びれっじセンター(土づくりセンター)
 http://www.birejji.org/

・茂木町美土里館
 http://www.town.motegi.tochigi.jp/motegi/nextpage.php?cd=17&syurui=0&lev=1&hidchangemoji=2

・食品リサイクルの現状(環境省)
 http://www.env.go.jp/recycle/food/02_current.html

【筆者】朴 梅花(Piao, Meihua) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10072301J]
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菜の花プロジェクトの紙芝居&絵本ができました

「紙芝居とか絵本とかがあれば、子ども達でも菜の花プロジェクトを簡単に説明できるのになぁ」

大阪■西淀川菜の花プロジェクト

 地域の空き地や休耕地で菜の花を育て、収穫した菜種油を料理に使った後に廃油と一緒に回収し、環境にやさしい代替燃料としてさらに利用しようという試み、それが菜の花プロジェクトである。自動車の排気ガスによる大気汚染やCO2による地球温暖化などを抑止して循環型の社会をめざす取り組みの一環として、また人をつないで地域を活性化させるために、全国各地で取り組まれている。

 西淀川菜の花プロジェクトは2007年からESD(持続可能な開発のための教育)の活動の一環として取り組んできた。小・中・高・大学が連携をして交流しながら行うのが特徴的な活動である。2009年度は廃油回収に力を入れて、菜の花プロジェクトの輪を広げていきたいと願っていたところ、「平成21年度BDF普及モデル事業」(環境省事業)となり、菜の花プロジェクトの紙芝居と絵本を作ることとなった。

■みんなの意見を取り入れる

 ESD(Education for Sustainable Development)とは、様々な人とつながり、持続可能な地域を作るための教育である。西淀川菜の花プロジェクトはESDをベースとして活動しているため、この紙芝居も活動に参加している子どもたちや学生、先生方の意見を取り入れて作製した。

 2009年12月26日にワークショップを開催し、身の回りの環境で気になっていることや、自分たちにできることや、将来どんな未来であってほしいかなど、意見を書き出して発表し合った。ESDでコミュニケーション力を鍛えられた子ども達は、世代が違っても話し合うことができる。「BDFで走るバスを増やしたい」「まちづくりに参加してきれいな町にしたい」「仲間を増やしたい」「空気がきれいになってほしい」などなど、たくさんの意見が出たが、それを元に西淀川高校の米田浩之先生がシナリオを考え、デザイナーの増田純子さんが絵を描くことになった。

 2010年1月23日にはワークショップに参加した子どもたちに紙芝居をお披露目して、ストーリーや絵について意見をもらい、2月7日に開催した環境フォーラムで完成品をお披露目した。(後に同じストーリーで絵本も作成した)

■おもしろい紙芝居に

 紙芝居の作成には「伝えたいメッセージ」だけでなく、紙芝居を見ている人が楽しく、その気にさせるストーリーと絵が重要となってくる。そのためには説明ばかりにならないようにしたいと願い、議論を重ねた。

*この紙芝居と絵本、西淀川だけでなく、全国で使えるものになったと自負している。インターネットで公開しているので、ぜひご覧ください。そして上映してほしい方がいれば声をかけてください。

<ストーリー>
 なの子ちゃんが猫とスズメとちょうちょと一緒に素敵な青バスに乗りました。青バスの排ガスはいやなにおいがしない。その秘密は天ぷら油。一方、赤バスは石油を飲んでいるので臭い煙を出す。なの子ちゃんは赤バスのために天ぷら油を集めることにした。そして・・・

*続きはこちら→「さあはじめよう」菜の花プロジェクト絵本
 http://www.aozora.or.jp/manabu/nanohana.htm#ehon

<絵を担当した増田純子氏のコメント>
 みんなの意見をどんどん出して、そのアイデアをつなげてデザインに落とし込んでいく作業がとても楽しかった。先生や偉い人の視点ではなくて、普通の人の着眼点や使う人の意見でつくるという行程が面白かった。こういう方法で物を作るのはいいシステムだと思う。紙芝居も視覚的にアプローチする良いツールだと思う。

<テキストを担当した米田浩之氏(西淀川高校教諭)のコメント>
 紙芝居の内容と同じく、力を合わせて作成することで自分が思った以上のものを作ることができた。完成したものはきれいでかわいいので、多くの人に見てもらいたい。

【筆者】林 美帆(HAYASHI, Miho) / (財)公害地域再生センター(あおぞら財団) / 寄稿 /  [J10072302J]
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クリーンエネルギー 四川省パンダ保護区周辺区域へ導入

WWFは、クリーンエネルギー使用の普及により、現地コミュニティの生活水準向上、パンダ及びその生息地域の保護強化などに期待を寄せている

四川省 四川省越西では7月11日よりWWF(世界自然保護基金)の援助のもと、四川省凉山野生パンダ保護区周辺の住民が照明、暖房、炊事、家畜の飼料作りなどの際に使用するエネルギーを、薪を燃やす伝統的方法からクリーン低炭素エネルギーへと代えた。

 農家が水力発電所によるエネルギーを導入し、伝統的エネルギー源の代替とするマイクロ水力発電プロジェクトは、四川パンダ保護区周辺地域ひいては全国においても新しいモデルである。2010年、WWFは凉山州パンダ保護区周辺地域において60台のマイクロ水力発電所建設に経済的援助をし、2011年には更に60台が使用に供される見込みである。

 これは、パンダ生息地周辺地域の人々が、薪の使用を減らすなど、伝統的な生活様式を徐々に改善して生息地を保護すると同時に、薪を燃やす際に発生する二酸化炭素を減らすことで積極的に気候変動にも対応していることの現れでもある。

 このマイクロ水力発電プロジェクトは農家単位で、3~5Kwのパワーを持つマイクロ水力発電所を建設する。「電気エネルギー時代」はパンダ保護区周辺に住む農民の生活をより衛生的・健康的にするだけでなく、森林資源である薪への依存度を徐々に低下させる省エネの目的も併せ持つ。同時に、農家が毎年、薪などの再生不能な資源に代えてマイクロ水力発電を使用することを、カーボンクレジットの認証機構が評価・承認し、更にクリーン開発メカニズムの規定と方法に基づいて削減できる排出量を計算して国際市場に投入する。排出量削減指標を課せられ削減を必要とする企業および政府にそれを売り、その利益をマイクロ水力発電所の維持および更なる開発に使用し、プロジェクト範囲の拡大、排出量の更なる削減、持続的利用・発展の目的を達成する。

 2008年初頭にプロジェクトが発足した当初、プロジェクトの実効性を考察するため、四川省各級部門の支持のもと、WWFの経済的援助を得て越西申果庄自然保護区周辺地域に7基のマイクロ水力発電設備を購入・設置し、3戸が共用で1基を使用、21戸の農家がその恩恵に与った。

 後期調査によれば、伝統的生活様式と比べ、マイクロ水力発電を使用する農家は薪の消耗量が大幅に減少したことがわかった。プロジェクトは農家に広く支持され、今期プロジェクトのモデル農家となるための申し込みが殺到した。

 WWF(中国)プロジェクト執行副総監の凌林は「WWFはクリーンエネルギー使用の普及によって、現地コミュニティの生活水準向上、パンダ及びその生息地域の保護強化、当該区域の低炭素経済発展の促進、更にコミュニティレベルでの気候変動に対する積極的な対応を期待する」と述べた。

*背景情報:四川申果庄自然保護区は凉山州越西県内に位置し、2002年四川省人民政府により、省級パンダ自然保護区に批准され、総面積は3.37万ヘクタールである。保護区は、大凉山彝族の集落地区にあり、区内のパンダ群は、四川省のパンダ群資源の重要な構成部分であるだけでなく、甘洛・美姑などの県のパンダ群が互いに交流する貴重な回廊ルートにもあたり、凉山山系パンダ群資源生息地の重要な構成部分である。

 保護区は3つの郷、16の村にわたり、総人口8,300人あまり、周辺地域の住民は25,000人あまりである。この地域は経済的に後れており、森林資源への依存度が高い。住民は薪を燃料とする伝統的なエネルギー消耗型の生活をし、そのエネルギー利用効率は低く、浪費が激しい。

 より多くの情報については、こちらまでご連絡ください:WWF成都事務所 対外連絡官 羅星碧(電話:86-28-8319-9466 E-mail:xbluo@wwfchina.org)

【筆者】WWF成都事務所 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10072002J]
【翻訳】中文和訳チームC班  鈴木 清恵]]>

大連の海面汚染100k㎡近く 約20艘の船舶が除去作業にあたる

中連公司の石油パイプライン爆発事故の現場では、濃厚な煙がはっきりと薄くなってきた。

遼寧省 7月18日、中連石油パイブライン爆発事故の現場では、濃厚だった煙がはっきりと薄くなっていた。専門家によると、現場は基本的には安全だという。

 消火活動と同時に、汚染物質の除去作業が既に始まっていた。18日午後、大連環境保護部門が発表したデータによると、汚染された海域面積は100k㎡近くに達し、そのうち特に石油汚染の深刻な面積は約10k㎡に及んでいる。

 事故調査組織は既に発足しているが、事故の責任がタンカー側にあるのか中国石油側にあるのかはまだ判定されていない。

 事故は、7月16日18時ごろ大連新港で、30万トン級の外国籍石油船がタンカーから石油をおろしている作業中に、パイプラインが爆発、同時に石油が海域に流出した。爆発したパイプラインは直径900㎜で、別の直径700㎜のパイプラインにも引火。火災現場では、あわせて6回の爆発が起きた。

 合計2,000人以上の消防隊員が徹夜で消火活動を行い、17日17時頃までに鎮火。18日早朝に、火が上がっているのが発見されたが、すぐに消火された。

 爆発が起きた大連新港は遼東半島の南端にある大孤山東北部の麓に位置する。黄海沿岸の大窯湾西南側は、深い海域に囲まれた現代の石油港で、毎年の石油取扱量は約1,500万トンに達する。

 パイプライン爆発事故により、周辺地域の空気も汚染されていて、大連市の一部の地域では原油の焼けたにおいが漂っているという。経済環境保護部門の観測によると、原油が燃焼した後の気体は主に硫黄や芳香族炭化水素類で、毒性はないということだ。

 大連環境保護局副局長の呉国功氏によると、現在観測されている炭化水素の濃度は、人体の健康に影響はないという。

 大連市安全生産監督局副局長の孫本強氏は、遼寧省政府は18日午前、事故調査組織を発足させ、今回のパイプライン爆破事故の原因を調査しているとしている。

 孫氏によると、調査組織は既に事故現場の作業員と接触し、事故当時石油のおろし作業を行っていた外国籍石油船の乗組員に対しても、聞き取り調査を行っているという。事故の責任がタンカー側にあるのか中国石油側にあるのかは、現在判定されていない。

 事故現場の10海里の海域には、依然としてわずかに石油の汚染が見られる。

 大連環境保護部門が提供したデータによると、18日午後現在、爆発事故によって汚染された海域面積は50k㎡を超え、100k㎡近くに達している。そのうち、特に石油汚染の深刻な面積は約10k㎡。大連海域では、石油の除去作業が急ピッチで進められている。

 呉国功氏が18日明らかにしたところによると、環境保護部門は今回の事故の環境に対する影響の観測を進めていて、今後さらに環境評価が行われるということだ。

【筆者】人民日報記者 / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C10072001J]
【翻訳】中文和訳チームB班  肥田 真理子]]>

紫金鉱業の廃液漏れを重大環境事件と認定

紫金鉱業はなぜ9日も経過してから事故発生の情報を公開したのか

福建省 中国最大の金の生産企業であり、上場企業でもある福建省上杭紫金鉱業(601899)公司の紫金山銅鉱山湿法工場の汚水池で、先頃廃液漏れが発生し、汀江流域に局部的な汚染を引き起こした。福建省の関連部門は、今回の汚染を突発的重大環境事件であるとひとまず認定した。紫金鉱業集団株式有限公司は7月12日午前9時30分より暫定的に売買を停止した。福建省の権威筋によれば、現在、汀江流域と永定県内の綿花灘ダムでは、広範囲に亘って魚の死骸や中毒による魚の浮き上がり現象が見られ、初期の統計では死んだり中毒になった魚は綿花灘ダムだけで約189万㎏に達するという。

 福建省はすでに調査グループを汚染地区に派遣しており、関連部門も水質モニタリングを強化するなどの措置をとっている。

 紫金鉱業はなぜ9日も経過してから事故発生の情報を公開したのか?

 ポイント:紫金鉱業証券部総経理である趙挙剛は14日夜、すぐに事故情報を公開しなかったのは、「穏便に処理することを重んじた」からであり、現地住民が恐慌を来すことを恐れたからだと率直に述べた。

 紫金鉱業集団株式有限公司は、2010年7月14日に中国証券監督管理委員会福建監管局からの『紫金鉱業集団株式有限公司に対する専門調査実施に関する通知』を受け取り、当公司の紫金山銅鉱山湿法工場汚水池の突発的廃液漏れ環境事故に関する情報公開問題について、専門調査を行っていると発表した。

 当公司のこれまでの発表によれば、今年7月3日に紫金鉱業所属の福建上杭紫金山銅鉱湿法工場で約9,100立法メートルの銅を含む酸性の廃液が汚水池の下方にある地下配排水管から汀江に流入し、綿花灘ダムで189万㎏という魚の大量死を招くとともに、住民生活に重大な影響を与え、関連部門により重大汚染事故と認定された。しかし、7月12日の夜になってはじめて、紫金鉱業はこの件を公表、発生から9日も経過していることから、メディアの追求を受けている。

 紫金鉱業はなぜ事故発生後9日も経過してから関連情報を公表したのか? 以前、当公司総裁の羅映南は中央人民放送局の記者の取材にこう語っていた。“はじめは小さい事故だと思い、簡単に考えていた。後に大事故だとわかったが、時すでに遅かった“ 羅は人民日報の記者には、さらに解釈を加え、会社は“公表する前に、社会と株主に対し責任ある態度を示すため、精力を集中してまず事故処理を行おう”と考えた、と語った。彼によれば、7日午後、水抜きが終わり、廃液漏れの原因を概略的に分析した。9日には関連の専門家も事故原因を基本的に認定した。しかし時すでに週末で、もし当日中に公告を上海証券取引所に伝えても、週末で市場が休みなので、月曜でないと公告発表できない。それで12日の発表にずれこんだとの事だ。

 中国青年報の報道によれば、紫金鉱業証券部総経理である趙挙剛は14日夜、すぐに事故情報を公開しなかったのは、「穏便に処理することを重んじた」からであり、現地住民が恐慌を来すことを恐れたからだと率直に述べた。

 趙挙剛は、我々は「真実を、正確に、完璧に、遅滞なくすべての投資者に情報を公開することは、上場企業が履行すべき法定義務である」ことをもちろん知っている、しかし敏感な事件に関しては、中国の国情を考慮しないわけにはいかない、と語った。

 「どの時期を選んで公表するか、理事達は苦しみつつ慎重に考慮した」、趙は「すぐに公表しなかったことは明らかに《上場企業の情報公開管理方法》の関連規定に合わない。しかしすぐに公表すれば、地方の安定という大局に関わる事態となる。結果的に、理事達は利害得失を測り、規則違反のリスクを負っても、大局を重んじるべきだ」と認識するに至った。

 しかし、事情を知る人は、時代週報の取材に対し、すでに6月5日には汀江に魚が浮く事態が発生しており、紫金鉱業の汚染と関連があると疑っていると答えた。紫金鉱業総裁の羅映南は紫金鉱業と関係がないと言っているが、多くの疑問点は消えず、もしこれが事実ならば、紫金鉱業は汚染事故をメディアが騒いでいた9日どころか38日間も隠したことになる。――これはすでに紫金鉱業が初めて遭遇する環境保護危機ではないのである。

【筆者】21世紀ネット / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C10071701J]
【翻訳】中文和訳チームC班  松江 直子]]>

低炭素地域づくりへの地方政府の試み

地球温暖化対策条例を制定した地方政府における条例の実施状況が報告された。

東京 2010年7月14日、東京で「市民と議員の条例づくり交流会議」による低炭素地域づくりプロジェクト研究会が開かれ、市民や地方政府議員ら約30名が参加した。この研究会は、地方政府レベルで低炭素地域づくり条例を提案、実現することにより、地球温暖化を防ぐと共に持続可能な地域づくりをめざす目的で開催されたものである。

 日本では、地球温暖化対策条例を設けている地方政府が24カ所あるが、今回の研究会では、その先駆者である千葉県柏(かしわ)市、埼玉県川越(かわごえ)市が登壇し、条例の制定経緯及び実施状況が報告された。両市とも東京近郊の中核市(人口30万以上、政令指定都市の業務を一部移譲)である。

 柏市では、環境基本計画の中で「2015年度に2002年度比10%削減」を掲げていたが、京都議定書の発効を受け、2007年3月に議会で地球温暖化対策条例が可決された。工場などに削減計画の報告を求めると共に、開発事業者にも自然エネルギーの利用など配慮計画の策定を求めている。さらに、今年6月の改正で、建築物環境性能評価制度や市内でまちづくりの機運が高い地区を「アクション・エリア」として共同で低炭素化を進める低炭素まちづくり事業が盛り込まれた。

 川越市では、2007年12月に地球温暖化対策条例が議会で可決された。同市の削減目標は「2012年度までに1990年度比0.6%削減」であるが、条例では、建築物を新築、改築する建築主に環境配慮計画書の提出を義務づけたり、家電販売事業者に省エネラベルの表示を義務づけている。このほか、2009年に策定した「地球温暖化対策地域推進計画」の中でエコハウス普及促進や太陽エネルギー等活用推進など7つのプロジェクトを展開している。

 会場からは、削減目標の根拠となる排出量データをどう入手するか、国や県の同様の制度と重複する場合どうするか、市民や事業者にどう周知していくか、といった質問が出された。応答する中で、条例の制定、実施過程における課題が見えてきた。

 低炭素地域づくりプロジェクトでは、条例づくりの基本理念として、

(1)市民の善意に訴える「普及啓発」を超える
(2)地域ならではの領域で独自の政策を選択
(3)中長期の地域づくりビジョンを持つこと

 の3項目を掲げている。そして、この基本理念に基づきすべての市町村の共通項目として、

(1)中期(2020年頃)の温室効果ガス削減目標を定量的に示すこと(例:京都市、柏市等)
(2)域内活動に起因する温室効果ガス排出量の現況推計及び定期的な推計を義務付け、議会や市民に対して公表していく(このために、エネルギー事業者に対する消費量提出義務も要検討)。
(3)前述の目標や現況推計、さらにその地域の特性を踏まえた地域全体の低炭素化計画(新・実行計画)を策定すると共に、その策定に対して適切な市民参加を行うこと
(4)自治体のあらゆる事業の低炭素化を義務付けること

 の4つを「低炭素地域づくり条例」に盛り込むべきだという考えを提起した。

 地方政府の取り組みには限界があるかも知れないが、重要な鍵を握っているのは確かだ。だが、地方政府に任せてばかりはおけない。市民や事業者、議会が一体となって知恵を絞り、国や産業界に働きかけていく必要があるだろう。

(関連URL)

・市民と議員の条例づくり交流会議 低炭素地域づくり条例プロジェクト(研究会の配布資料を公開)
 http://www.citizens-i.org/jourei/CO2.html

・低炭素地域づくりプロジェクト 第3回研究会 録画映像
 (前半)http://www.ustream.tv/recorded/8266677
 (後半)http://www.ustream.tv/recorded/8266792

柏市と川越市の取り組みが伝えられた

【筆者】山崎 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ / 寄稿 /  [J10071601J]
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