苦しんでいる地球村の夏の風景

この時代に暮らしている私たちは何をすべきだろうか?

世界 蒸し暑い夏の日が続いている。気象庁の発表によると、今年の夏の天候は‘記録的な暑さ’だという。光州、ソウルだけのことではない。東京やワシントン、モスクワとヨーロッパの都市もそうだ。ワシントンは昨年の冬の記録的な大雪に続いて私たちと同じように蒸し暑く、うんざりする夏を過ごしている。

 ロシアはモスクワをはじめ、ウラル西部の全域が昨年の7月以後、8月まで130年ぶりに残酷で前例のない「殺人的な猛暑(heat wave)」が襲い、数百件の山火事や野火が重なり、なんと15,000人余りが死亡した。数十万エーカーの森林と草原がなくなり、お金に換算すると140億ドルに及ぶ被害が発生した。鎮火のために軍が投入され、大統領が山火事の現場を指揮するほどに深刻である。山火事のためにモスクワの上空は茶色い雲(brown cloud)に覆われている日が多く、蒸し暑い天気でもマスクをしなければならない市民たちの苦しみは私たちよりも大きいであろう。

 専門家は、このような猛暑と野火によってロシア一帯の小麦と大麦の生産が大幅に減少することを憂慮し、国際穀物市場の穀物価格が大きく上昇すると見込んでいる。すでに国際小麦価格が66%も上昇したという。

 地球村の一方が猛暑にあえぐなか、もう一方では「記録的な大洪水」で苦しんでいる。先日の集中豪雨により鴨緑江が氾濫し、北朝鮮と中国の方が同時に洪水の被害に見舞われた。中国西部地域での大洪水と山崩れで数千人が命を失い、数十万人の被災者が発生した。パキスタンの大洪水は想像を絶する。昨年の8月中旬に発生した大洪水により1,600人が死亡し、パキスタンの人口の8%に相当する1,400万人が家と生活基盤を失った。この前例のない大洪水の被害地域は、イタリアの面積に匹敵する大きさであるという。被災現場を訪問した潘基文国連事務総長は、「今日は私の胸が張り裂ける日」としながら、「過去に数多くの被災現場を訪ねてが、ここほど壮絶な現場は見たことがない」と国際社会の人道的支援を訴えた。これらの現場には、被災者のためのテントが設営されているが、非常に劣悪であり、食料と飲料水の不足、コレラ等の疾病発生などによる二次災害が心配されている。

 ヒマラヤの氷河は、世界のどこよりも早く溶け出しているという報告書もある。ヒマラヤの氷河はそれ自体が「アジアの水の塔(water tower)」として、近隣のインド・中国など8カ国、10の主要な川の水源であり、流域に住む15億人以上の人々への水の源泉でもある。科学者たちは、今のような速度で溶け出すならば、ヒマラヤの氷河は今世紀末に75%が消えることになり、アジアに「恐ろしい水危機」が来ると予測している。初期には川の水が増加するが、ある瞬間からは年々川の水が減少し、10億人を超える人々が大きな衝撃を受けるだろうとしている。

 今年の夏、地球村のあちこちで広がっているこのような「殺人的な猛暑」と「巨大な山火事」「記録的な大洪水」など気象の異変とヒマラヤと極地の解氷は、気温の上昇がその要因であり、気温の上昇は地球温暖化、気候の変化による影響のためであると科学者たちは言っている。私たちは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学者たちが主張していた気候の変化による弊害、すなわち人命と財産の損害、水不足、食料生産の狂いと国際穀物価格の急騰、伝染病などの直接的な弊害はもちろん、経済的社会的な悪影響など間接的な弊害も目撃している。ヒマラヤの氷河に対する人類の関心が遠ざかるほど氷河は加速して溶け、気候変動に対する人類の対応が遅れるほど、ロシアやパキスタンのような巨大な災害が繰り返されるしかないだろう。今年の夏、「苦しんでいるこの地球という惑星」は、そこで暮らしている私たち人類にどうすべきかを尋ねている。

【筆者】イムナクピョン(Lim Nak-pyung) / 光州環境運動連盟(Kwangju-KFEM) / 寄稿 /  [K10083001J]
【翻訳】葛西 麻衣子]]>

日本のごみ事情(3)

23区におけるごみ事情。清掃工場から大量の水銀が見つかるのは異例なことではあるが...

東京 日本全体のごみの排出については、http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J10052802J の通りだが、約850万人の人口を抱える東京都23区においては、2008年度の一般廃棄物の総量は、約306.8万トン。日本全体の排出量の6%ほどとなっている。1988年度のピーク時と比べると4割近く減ったことになっているが、なお、高度経済成長期並みの排出量を保っている。

 このままでは埋立処分の許容量を迎え、ごみが町にあふれてしまう、といった限界説が叫ばれて久しいが、2008年度からこれまで埋立に回っていた廃プラスチックを可燃ごみに切り替えたことで、埋立処分量はピーク時の8割減、1年間の埋め立て量は約45.8万トンにとどまっているとされる。

 プラスチックを含めて、焼却炉で燃やし、灰にすることでごみの量は20分の1になる。その前提でなお、30年とされてきたが、今ではスラグ(*1)化により灰の量をさらに半分、つまりもとのごみを40分の1まで圧縮し、そのスラグを建材や路盤材に再利用することで、埋立処分の量を抑え込む試みが続いている。それでようやく限界まで50年、である。もちろん延命されればごみを出していい、という訳ではない。ごみそのものを抑え続けなければならないのは言うまでもないことである。

 一般的に清掃工場と呼ばれるものは、可燃ごみの施設であり、23区には21ある。他に不燃ごみ処理センターが2、可燃の工場から出た灰を溶融する施設が7、などとなっている。灰溶融施設は、清掃工場に併設している場合が多いが、可燃ごみのみを扱う15の工場では、灰溶融施設まで焼却灰を搬出することになる。埋立処分量を抑えるためだが、苦心の策と言える。

 ごみを燃やすというのは時にアクシデントを生じる。不正に持ち込まれた産業廃棄物が原因と指摘されているが、多量の水銀を含むごみが燃やされ、自主的な規制値を超えた4つの清掃工場が、6月中旬から相次いで運転停止となった。焼却できないごみがあふれ、異例の事態となった。

 最近の焼却炉は高温高熱に耐えるため、水銀についても燃え残りが出ることはなく、全て気化するとされている。煙突突端には排煙の検知器があるが、1立方メートルあたり0.05mgという濃度でその気化した水銀が検出された。ガラス繊維を用いた高機能の濾過式集塵機でも除去しきれないほどの量だったため、停止せざるを得なかったのだと言う。(光が丘清掃工場での話)

 清掃工場に求められる役割としては、ごみ焼却、発電、熱供給、汚水の浄化に加え、排気の浄化がある。東京二十三区清掃一部事務組合では、煙突から出たばかりの煙は、生活空間の空気よりもむしろきれいなくらいだという自負がある。それだけ厳しい管理をしていても、異常なごみが炉に持ち込まれれば、今回のように環境汚染のもとになってしまう。不燃ごみの混入で炉が止まることも決して珍しくないそうだ。

 東京二十三区清掃一部事務組合では、分別の徹底を呼びかけたりもしているが、(1)素材が複雑化しているごみの燃やし方の是非、(2)有害物質が日用品レベルでなお多く出回っている現状、(3)搬入または焼却の前段階でのごみのチェック、といったことも踏まえる必要があるだろう。これは埋立処分以前の課題である。

 *1:ここでは固体化した粉末状の灰を指す

参考リンク)

・東京二十三区清掃一部事務組合
 http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/

関連記事)

・品川清掃工場見学記
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07110902J

・寝耳に水の廃プラスチックの「可燃ごみ」化
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J07062201J

8/14午後のごみバンカ(光が丘清掃工場)の様子。前日の午後にようやく運転再開になったばかりということで、多量のごみ(推定2,500トン)があった。

水銀混入で運転停止となった一つ、光が丘清掃工場(模型)

焼却灰はここから灰溶融施設(板橋清掃工場)へ搬出される

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10082701J]
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調査団黄土高原を通過:黄河上流農家は生態補償を望んでいる

黄土高原は自然生態系レベルは向上しているが、人間の生活レベルは向上していない。

陝西省 2010年8月18日、黄河十年行調査団の大型バスは潼関県を出発し、黄土高原を通過し陕西省楡林市に到着した。窓外の黄土高原は想像したような多くの浸食谷、一面の黄土というものではなく、灌木や楡の木が色を添えており、時折、黄土高原特有の「ヤオトン」と呼ばれる山の斜面の土を掘って作った家も垣間見える。これは1999年から黄土高原の耕地を森林や草原に戻し、放牧の制限政策を押し進めた結果である。十年間の努力の後、黄土高原はついに緑衣に包まれることになった。

■耕地を森林に戻すことが生態復活の助けになる

 黄土高原の緑化のために犠牲や損害が生じている。多くの農民が生態公益林建設のため、耕地は失ったが、国の《耕地を森林に戻す条例》に基き、耕地に造林をすると1/15ha毎に160元の補助が出る。生態林補助は8年間、経済林補助は5年間出る。また、草地を保護し生態を復活させるために、黄土高原では綿羊や山羊の放牧は禁止されている。原則的に許可された圏内で家畜を飼うことができるが、資金難のため多くの農家は許可圏内での飼育は受け入れ難く、羊を売らざるを得なくなっている。調査団は視察中に放牧されている羊を1頭も見なかった。耕地がないだけでなく、伝統的な放牧もできず、一部の農民の生活を貧困に追い込んでいるのが現状である。黄土高原という場所は、自然の生態レベルは上がっても人間の生活レベルは上がらないところである。

■生態補償の現行制度が、黄土高原が苦境に立たされていることの原因になっているのかも知れない

 “私達はグリーンGDPの採用を推進し、黄河上流における生態系回復の下流に対する貢献を計算しなければならない” これは同行した吉首大学の生態人類学教授 羅康隆氏の見解である。現段階では、国からの黄土高原地区の農民への補償は一種の恩恵のように見える。“しかし実際のところ、これは彼らの国家に対する貢献からは遥かにかけはなれている” 黄土高原の水土保持作業は華北地区の水資源供給のためのものであり、黄河下流の水土保持、洪水と干ばつ防止そして下流地区の農工業の発展に重要な意義がある。グリーンGDPは巨大であり、生態補償制度を取り入れる場合は、国は黄土高原がもたらした貢献に見合う補償をすべきである。

■黄土高原の保全には、現地生態系の科学的研究が必要

 随行した専門家 斎璞氏は、黄土高原の地層は深く厚く、土質が軟らかいために地形は崩れており、黄河の水中に含まれる泥沙の主な供給源となっているとしている。斎璞氏は“黄土高原の十数年間の治水は実際のところ黄河の土砂量に対して大きく影響したわけではない。近年、黄河の土砂量が減少しているのは主にダムの働きが大きい。黄土高原の水土流出現象は依然として厳しいものがある”と説いている。

 羅康隆教授は、現在黄土高原の耕地を森林や草地にすることは、科学を尊重していないことになるという見解を示している。“緑化イコール生態系回復ではない”とし、黄土高原の生態系を回復させるには、この地の生態の特色及び適合種の研究を念入りにし、長期にわたる生活の中から住民達が得た生存の知恵を学ぶ必要がある。ただ植樹し造林を進めるだけでは不十分であると説いている。

【筆者】黄河ニュースネット / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C10082501J]
【翻訳】中文和訳チームC班  船木 知子]]>

「黄河十年行—エコウォッチ」公益活動、北京で始動

人類はどのように自然と向き合うべきか? 優先されるべきは一部の経済的利益か、それとも人類全体の生態環境か?

中国全土 8月11日午前、「黄河十年行—エコウォッチ」、大型の公益活動が北京にて始動、一行は第一の査察点である山東省東営市へと出発した。20日間にわたる黄河全流域エコウォッチツアーの始まりである。

 「黄河十年行—エコウォッチ」は新浪ネット環境保護チャンネルと緑家園ボランティア協会の共同発起による活動で、多くのメディアに全行程が同行報道された。主催サイドは、東営の黄河と海との合流点から青海省の黄河水源まで全流域を遡る今回の活動を通じ、社会の黄河への注目度を向上させ、黄河の保護及び開発の科学化・透明化を推進して環境政策決定における市民参加にプラスの影響を与えると同時に、沿岸地域の経済開発と文化伝承の発展への道を探りたいと希望している。

 緑家園ボランティア協会の主催者である汪永晨氏は、本年度の黄河十年行活動は、中国科学院、地理科学と資源研究所の尤聯元教授を科学総顧問とする多分野の専門家チームの支持を得て、流域地形・水資源・農業史と災害・人類学・生物多様性・河川整備等の領域を包括するものとなったと、はじめに紹介した。

 中国科学院、地理科学と資源研究所の尤聯元教授は、「中華民族の母なる川 黄河は、渇水、汚染、洪水等の問題に常々さらされており、こうした問題は人々に考えられ注目されるに値する。黄河エコウォッチにより、黄河流域の水文と環境の現状及び変化が見い出され記録されるであろう」と語った。

 8月14日、黄河十年行エコウォッチチームは鄭州黄河湿地自然保護区を査察し、同日午前、自然の友 河南チームリーダー崔晨氏に従い、同自然保護区管理センターを訪問した。

 同センターの王恒瑞主任は、ツアー参加者一行に保護区の状況を説明した。王恒瑞主任の説明によると、同保護区には169種の鳥類、21種の獣類、10種の両生類、17種のハ虫類が生息しているが、「歴史的原因及び利益優先主義により、黄河湿地の生態環境を損なうような行為が常に行われている」。王恒瑞氏は「近年一部の湿地は過度に開墾され、原生植物に被害が及んだ。また、一部の鉱物工場が黄河沿岸から土を取ったため、相当な面積の土地がダメージを受けて砂地がむき出しになり、生態環境が悪化した。更に一部の不法行為従事者が鳥類を毒で密猟している」と語った。

 これに対し、中国環境科学学会 科学普及工作委員会の王健副主任は、深い憂慮を示し、「人類はどのように自然と向き合うべきか? 優先されるべきは一部の経済的利益か、それとも人類全体の生態環境か? こうした問題は深く考える価値がある」と語った。

 エコウォッチツアー一行は鄭州にて、黄河中下流の境界碑、洛陽の小浪底、三門峡等の地を訪問し、生態環境を査察する。

【筆者】康 雪 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10082502J]
【翻訳】中文和訳チームA班  野口 順子]]>

紫金鉱業汚染事件は環境保護制度の欠陥を露呈していると専門家が指摘

環境保護体制の抜け穴を悪用しているだろうか? それとも中国の環境保護体系が脆すぎるのだろうか?

遼寧省 紫金鉱業による汀江汚染、大連港における油漏れ汚染の拡大、都市の半分を揺るがした南京栖霞路の爆発事件、7,000もの化学物質桶が川に流された吉林永吉の汚染事件など、2010年7月は中国の環境保護における「ブラック7月」とも言えるだろう。

 このうち、7月初めに起こった紫金鉱業汚染事件は注目を集め、国家環境保護の最高機関である環境保護部が赤信号を光らせ続けているにもかかわらず、災難が起こり続けている。このような汚染事件は環境保護体制の抜け穴を悪用しているのではないだろうか。そう問わざるを得ない。それとも中国の環境保護体系が脆すぎるのだろうか?

■環境保護監督監視は企業汚染を止められない

 紫金鉱業は、今回の汚水漏れ事故発生の10年前から、ずっと各種汚染事件を起こしてきた事実に《法制日報》の記者は気づいた。毎回の汚染で紫金鉱業への社会の風当たりが強くなり、環境保護部門が毎回監察を行い、罰金を科したにもかかわらず、現地でも悪評高いこの企業は罰金を支払い、毎回の災難を払うことができた。また、引き続き二の舞を演じ続ける…7月3日に起きた汚水漏れ事件も同じく企業と環境保護部門がやり取りする中で起こり、静かに波紋が広がった。

 この原因は、環境保護部の通報内容通りだ。「該当会社は環境保護への法遵守意識が薄く、適当にあしらう態度と僥倖的な対策は環境保護整備への約束を白紙にしてしまっている」

■GDPは永遠の話題

 紫金鉱業が毎回通報された後も神様の助けがあったかのように、「難関」を無事に通りぬけてしまうのはいったいなぜなのか?

 上杭県財政局のデータによると、2009年、紫金鉱業は上杭県全体財政収入の6割近くに貢献している。メディアによると、上杭現地の幹部と紫金鉱業の間には、様々なコネクションがあり、県政界の大部分の定年幹部は「引っ張りだこ」で、楽な職務をゆだねられ、年間十数万元から数十万間の給料をもらっている。

 紫金鉱業の貢献度が余りにも大きいため、上杭県政府は懸命にこの恩に報いようとしていた。紫金鉱業に環境汚染事件が起きる度に、上杭県政府は直ちに事態の収拾を図る。紫金鉱業の代表取締役 陳景河氏はインタビューの際に「うちで起きたこと(汚染)は企業の自己責任であるが、それ以外のことなら政府の責任である」と述べた。あるメディアは「上杭はまさに紫金であり、紫金はまさに上杭である」とまで言っている。

■環境保護制度の欠陥は「地方重視」の突破が難しいこと

 ある環境保護家が《法制日報》記者に、このようないくつかの問題を考えるべきだと話した。

 なぜGDP優先は何回も環境保護部門という門を突破することができ、汚染の限界まで行くのか、なぜ環境保護部は紫金のように長期的に環境汚染ブラックリストに堂々と載っている企業に対して何もできないのか。紫金鉱業汚染事件の発生は中国環境保護制度の抜け穴をすべて露呈している。

 中国社会科学院・都市発展と環境研究センターの潘家華主任は、この中の行政のロジックについて「現在は環境保護部門に監督管理の責任があるが、環境保護部門は地方政府に属しており、中央トップと垂直につながっていない。よって、地方環境保護部門は独立できず、環境保護法を含む関連法律を確実に実行することができない」と述べた。「また、現在の環境保護執法部門自体も相応の監視を行う力に欠けており、関連する人力がなく、通報があっても環境保護部門にそれを報告するだけである。もし環境保護部門が受け付けなければ、通報の受付すらできない。したがって、このような体制の下で、もし環境保護部門が行動しなかったり、また腐敗があったりすればこれは汚染の抜け穴となる」

*法治週末《紫金鉱業汚染事件は環境保護制度の欠陥を露呈していると専門家が指摘》より

【筆者】法制日報 / 環友科学技術研究センター / 供稿 /  [C10081702J]
【翻訳】中文和訳チームB班]]>

環境保護団体、七夕にゴミの分別を呼びかけ

より多くの仲間が、恋人や家族と一緒に幸せに過ごすと同時に、環境を大切にする気持ちを行動で示せますように

北京市 8月16日、中国伝統的の七夕の日、著名な環境保護団体である自然の友は「私たち、別れましょう(分別しましょう)」活動を行った。呼びかけを行った人たちは、今や迷いや疑問などなく、自ら率先して実際にゴミの分別を実行し、都市のゴミ管理体制整備を促して環境保護を実行している。

■七夕と言う日に「私たち、別れましょう(分別しましょう)」と呼びかけることには、特別な意味がある

 自然の友 都市固形廃棄物ワーキンググループの宮悦は、「この活動は一見、恋人たちの七夕という日に全く相応しくないように見えます。しかし実際は、この「別れる」というのは生活ゴミの分別収集と分別ゴミ出し、特に台所ゴミとその他のゴミを分けることを意味しているのです。つまり、七夕と言う良い日に、『私たち別れましょう(分けましょう)』活動を行うのは、より多くの仲間に恋人や家族と一緒に幸せに過ごすのと同時に、環境を大切にする気持ちを行動で示してほしいということなのです」と説明する。

 伝統は都市の急速な発展の中で薄れていき、環境はその中で犠牲になっていく。都市が問題に陥った時、本当にそれを解決できるのは、その中で生活している人たちしかいない。より多くの恋人たちが、都市で幸せな生活を末永く送ることができるよう、自然の友は一人ひとりの参加と行動を心から期待している。

■市民の写真を集め、幸せと環境保護への気持ちを演出

 自然の友は、この活動を開始すると同時に「私たち、別れましょう(分別しましょう)」写真を募集した。多くの市民に対し、愛情や家族愛・友情と、ゴミの分別への気持ちを共に表す写真を募集したのである。恋愛中の恋人たち、年を重ねた老夫婦、幼稚園の子供たち・・・だれでも参加できる。

 自然の友の主幹である李波は、「ゴミは都市発展の代謝物であり、都市が直面している危機でもあるが、都市が変化できるきっかけにもなる。私たちは、この活動によって環境保護の機運がさらに盛り上がり、ゴミの分別がもっと楽しいものになってくれるよう期待している。都市に住み人生を楽しんでいる仲間たちがこのような呼びかけに応え、誠心誠意行動に移してくれるよう希望している」と話す。

 自然の友は、中国において最も早くに成立した全国的な環境保護団体である。近年は都市固形廃棄物ワーキンググループを立ち上げ、「減量を基本とした都市生活ゴミ管理システムの設立」の推進を根幹目標として、ゴミ管理政策の分析、ゴミ分別の実地調査、ゴミ処理と管理の専門研究、「ゼロエミッション」ゴミ分別区の実験、「ゴミ減量」の市民への呼び掛けなど多くのテーマを取り上げている。中国の多くの環境と資源の挑戦は、都市発展の規模や速度と密接な関係があり、環境保護団体は農村や荒野の問題に注目してきた。自然の友は、中国の環境生態問題の中で、都市の行動が農村や荒野に重大な影響を与えていると考えており、都市に住む人たちの環境問題を解決することが重要だという信念を持っている。

■中国のゴミ問題は深刻、市民の行動が早急に求められる

 中国は毎年1.5億トンの都市ゴミを排出しており、我が国の3分の2にあたる大、中規模都市がゴミに包囲されている。

 瀋陽で排出される一日のゴミ、5,000トン以上
 広州で排出される一日のゴミ、10,000トン以上
 北京で排出される一日のゴミは18,000トン、1,000平方メートル以上のゴミ堆積場と処理工場の数は500以上

 上海で排出される一日のゴミは20,000トン、10,000台近いゴミ収集車にやっと詰め込めるほどの量だ。これらのゴミを積み上げると、金茂ビル(注:高さ420.5m、88階)60個分の高さに相当する。

 これらの数字の裏にあるゴミの危機は、近年さらに多くの人たちの注目を集めている。一方で都市のゴミはとめどなく増え、その一方でゴミ処理によって環境汚染や健康被害がもたらされているのである。高速で発展する中国の都市は、まさにゴミ包囲都市の苦しみの中にある。しかし、長い間、各都市のゴミ減量は前途遼遠であり、簡単そうに思えるゴミの分別一つをとっても、本当の生活習慣とするのは難しい。まさに、「一人ひとりがゴミの被害者であり、またそのゴミの製造者」なのである。

 自然の友 都市固形廃棄物ワーキンググループ ブログ http://fonmsw.blog.sohu.com/

 捜狐環境チャンネル「環境保護団体、七夕にゴミの分別を呼びかけ」より

【筆者】捜狐緑色 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10081701J]
【翻訳】中文和訳チームA班 近藤]]>

高速道路無料化の影響

無料化の評価が確定していないまま、お盆休みを迎えた日本列島。連日のように渋滞の報道が繰り返されている。

日本全土 日本の高速道路は、入口に料金所を設けて通行料金を徴収する有料制である。日本に高速道路が初めて建設された1960年代には日本の政府の財政力は弱く、税金で高速道路を建設することができなかった。このため借金で建設費を調達し、返済のために有料制にする必要があった。一定期間後、借金の返済が完了したら無料で開放する予定であったが、その後に各地域に赤字路線が建設されるようになり、高速道路全体としては、常に料金収入よりも建設費のほうが上回るようになった。このため、さらに借金を必要とするようになり、無料の開放は不可能になった。この状態が現在まで続いている。

 一方で民主党は、2003年の総選挙に際して「高速道路無料化」をマニフェストに記載した。この選挙では民主党は勝てなかったため、実現できなかったが、2009年の総選挙で民主党政権が誕生し、高速道路無料化が現実化した。しかしながら、高速道路を全面的に無料化するには1兆3,000億円の財源が必要と試算されているが、現在のところ、財源の不足により、実際に高速道路を全面的に無料化する見通しは立っていない。さらに高速道路を無料化した場合、高速道路を利用する自動車が増加して渋滞が発生する可能性や、環境面からはCO2の排出量が増加する可能性など、問題点が多く指摘されていた。

 また2005年から高速道路事業は民営化され、高速道路会社により経営が行われている。通行料金を国の政策で無料にすれば会社の収入が消滅し、経営が成り立たない。このため無料化するにはその料金減収分の差額を税金で補助する必要がある。これでは結局のところ国営と同じことになり、何のために民営化したのかわからないという批判もある。このような状況の下、2010年6月28日から、日本国内の高速道路のうち、比較的交通量が少ない区間を選んで、一部を無料化する試み(社会実験)が実施された。その実施には実に1,000億円の財源が投入されている。

 対象となる区間(*1)や、あるいは実験前と実験後の交通量の変化(*2)などについて、それぞれ国土交通省のホームページに掲載されている。実験の結果、全体としては高速道路の交通量が増加し、実験区間に並行する一般道の交通量が減少する影響がみられた。また交通量が増加した高速道路では渋滞が発生するようになった。さらに日本の夏季休暇期間である8月上旬からは、無料化区間以外での渋滞も増加している。

 このように、高速道路無料化にはデメリットも多く指摘されており、まだ評価が確定していない。また財源の不足も制約となっており、高速道路を全面的に無料化することはおそらく困難であると考えられる。

参考リンク)
 (*1) http://www.mlit.go.jp/common/000116390.pdf
 (*2) http://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000009.html

都心の高速道路は逆に空いていて、クルマの姿が見当たらない時間も (8/13 三宅坂ジャンクション付近)

ある日の東京外環自動車道

【筆者】上岡 直見(KAMIOKA, Naomi) / 環境自治体会議 環境政策研究所 / 寄稿 /  [J10081301J]
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嘘をついているのは中国企業連合会ではなく、紫金鉱業だ

「2009年度中国もっとも信用のおける企業」賞の選出過程に大きな利益の誘惑が

中国全土拝啓 中国企業連合会、中国企業家協会、中国企業報様:

 当初、私の公開質問状は2団体にのみ、あるいは1団体にのみ送ったものである。中国企業連合会と中国企業家協会は常に「寝食をともにし、同じ釜の飯を食う」ような仲であるからだ。このことは、この団体の者が2つの団体を紹介する時にはいつも私に「我々は団体名こそ違うが、中身は一緒だ」と真剣に言っていることからもわかる。

 私は今日の午後、思いがけず中国SOHUのインターネット上の友人から電話をうけた。彼は電話で冷静な声で私にこう言った。「<中国企業報>があなたの公開質問状に返答している。その返答は紫金鉱業汚染問題の大特集(http://green.sohu.com/s2010/zijinmining/)の中に載っている」と。一瞬、私は自分が聞き間違ったと思った。まさか、中国企業報が中国企業連合会と中国企業家協会共同の専属スポークスマンになったのか?

 私はすぐにネット上で「中国企業報」からの返答の一字一句を咀嚼した。最後まで読みきり、私は依然としてなぜ「中国企業報」が中国企業連合会と中国企業家協会を代表して私の公開質問状に返答する資格があるのかわからなかった。まさか、本当に「中国企業報」は労苦もいとわず、中国企業連合会の「スポークスマン・イメージモデル」になっているのか? またあるいは、「中国企業報」は中国企業連合会と中国企業家協会専属の党委員会宣伝部なのか?

 この3団体が、「寝食をともにし、同じ釜の飯を食う」ような仲であるようなことはこの世界において稀なことではない。そのような事実を仮に理解し受け入れたとしよう。いずれにせよ、たとえあなた方が私に知られたくないとしても、このような事実は日々発生しているのだ。

 しかし私は、あなた方の誠意と対外的な公開に感謝していることは確かである。あなた方がこの「いわゆる環境保護活動家」の私に歴史的に重大な価値がある回答をしたことに対して、中国の全国民を代表してあなた方に感謝の意を表したい。あなた方がこのように回答したことは、私に一通目の公開質問状における要求をより確固たるものにさせた。また同時に、私はこの今回の公開質問状の中で、下記の3つの要求事項を追加したい。

1.もしあなた方が本当に2009年に「もっとも信用のおける企業表彰活動」との関係を絶っており、2010年初めに紫金鉱業に賞を与えていないならば、2010年1月に人民大会堂で紫金鉱業が持ち帰った賞状は、他の団体があなた方の名称を語り表彰し、利益を得たことになる。あなた方が、このような深刻な利益侵害と名誉侵害を受けておきながらこのことを追及しないというのは、あなた方が依然と裏でこの業務を操作していることを証明している。国家の関係部門が「企業の資金を思いのままに受け取り、企業に欲しいままの栄誉と称号を与える」ことを厳しく取り締まっている最中、あなた方は一方で2009年9月にネット上に「表彰活動をしない」と装った公告をしながら、また一方で依然として社会の風当たりが強い中で違法行為をし、ひそかに企業の選定と表彰をしていたのである。またこの事実は、「もっとも信用のおける企業」選定活動の裏に大きな利益の誘惑があり、あなた方に名誉や団体の存続をも顧みなくさせていることを証明している。直ぐに国の関係部門に自白し、違法な選定活動の詳細と経過を明確に報告し、違法な表彰によって得た資金を国に返納することを勧める。

2.紫金鉱業が持ち帰った賞状がもしあなた方の授与したものでなく、別の機構があなた方の名称を語り授与したものであれば、社会法人としてのあなた方にはこの事柄の真相を究明する義務があり、社会に調査結果を報告する義務がある。

 もし、人々をあざむき嘘をつくことを好む紫金鉱業が自ら人民大会堂に出向き、表彰式典を「自作自演」し、また表彰の輝かしい栄光を「自ら作り出し、自ら運用し、自らにもたらし、自ら宣伝」したのだとすれば、あなた方は紫金鉱業が中国の環境を思いのままに汚染した際、この「ドタバタ劇」の一部始終をあばき出す義務がある。

3.あなた方が紫金鉱業に賞を授与したのであるなしに関わらず、あなた方はそれ相応の義務から逃れることはできない。紫金鉱業は何年もの間連続して環境保護部門から相当な処罰を受けてきた。彼らの環境面における信用履歴は非常に悪く、企業の環境における責任に対する態度も劣悪である。もし、紫金鉱業があなた方の会員企業であれば、その会員資格を取り消すことを勧める。あるいは、紫金鉱業の責任者の一人があなた方の会員もしくは理事なのであれば、全会員大会を召集し、紫金鉱業を除籍すべきである。これは、あなた方にとって確実に実行可能なはずである。

 いわゆる環境活動家  馮 永鋒

 2010年7月27日

【筆者】馮 永鋒 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10081101J]
【翻訳】中文和訳チームB班  額田 拓]]>

第三回“重金属汚染防止とIT企業社会責任報告”が北京で開催

大多数のIT企業は回答を出し、一部の企業ではサプライチェーンの環境管理を改善するため、すでに積極的な措置を取り始めている

北京市 2010年8月11日、≪環境保護≫雑誌社が主催し、公衆環境研究センター、自然の友、全球環境研究所、環友科学技術研究センター、ダーウィン環境研究所の協賛により、“多くの消費者がエコチョイスに参加し、29社のIT企業全てから回答を得ること”を主題とした、“重金属汚染防止とIT企業社会責任(第三回)報告会”が北京の環境大厦で開催された。

 公衆環境研究センターの主任である馬軍氏は、第三回“重金属汚染防止とIT企業社会責任報告”のポイントを説明した。2010年4月中旬、自然の友及び公衆環境研究センターなど34の環境保護NGOは、それぞれアップルやノキアなど29社のIT企業のCEO宛に手紙を送り、サプライヤーの環境規定違反問題について回答を求めた。

 2010年6月5日の第二回“IT産業重金属汚染調査研究報告”の発表までに、アップル、LGなど8社を除き、大多数のIT企業から回答を得た。そのうち一部の企業ではサプライチェーンの環境管理を改善するために、すでに積極的な措置を取り始めている。第二回の発表会の後、環境保護NGOでは29社の企業に、引き続き少なくとも80回に及ぶ書面でのやりとりを行い、電話での聞き取りを14回、電話会議を3回・面談を3回行った。一部の消費者は積極的に環境保護NGOの呼びかけに賛同し、“有名IT企業に手紙を送る”ことを通じて、その企業に対し自身の“消費に強い関心があること”を明確に伝え、大きな圧力がかかる中でついにアップル、LGなど8社の企業の沈黙を破り、回答を得ることができた。今回の発表会までに、29社全てから回答を得ることができた。

 そのうちヒューレット・パッカード、ブリティッシュ・テレコム、アルカテル、サムソン、東芝などの態度は積極的であり、サプライチェーンの環境管理を改善することに対し楽観的な期待を抱いている。一部の企業では理解し、承諾されてはいるものの、わずかな進展しか望めない。アップル、ノキア、ソニー、LG、エリクソン、シンガポールテレコムなどの企業は消極的で、進展は難しそうである。環境保護NGOは引き続きIT産業チェーンに対して調査を行い、産業チェーンに存在する重金属汚染企業に対る理解を深め、同時に消費者に“エコチョイス”を呼びかけ、購買の権利を通じて重金属汚染企業の製品の不買運動などを行い、これらの企業が公開した環境責任を履行することを促し、協力する。

 それに続いて、ダーウィン環境研究所の赫暁霞所長は、彼らが調査した聯建(中国)科技有限公司の“無塵”作業環境と汚染被害者の悲惨な境遇を紹介し、出席者は手に汗を握った。消費者代表の李恒氏の発言は、環境保護に対して知識があり、環境保護を理解している80年代生まれの若者のエコロジー消費観念と理性的な消費活動を紹介した。

 商務社会責任国際協会の裴彬女史は発言と議題に対し以下のようにコメントした。企業の社会責任の内実と外延は高レベルな理論に達しており、私たちは、企業は慈善によって環境破壊を相殺してはならず、金銭をもって良心を買ってはならないということを学んだ。企業は必ず自身の社会責任を履行しなければならず、社会義務を担い、汚染の源をなくさなければならない。

 ゲストの発言に対し、メディア・NGO・消費者・基金会の参加者は次々にさまざまな角度から問題を提起し、プロジェクトに参加した機構の代表たちは先を争うように自身の問題に対する見解を発表し、会場には非常に良い相乗効果が生まれた。

 会議の司会者である環友科学技術研究センターの李力主任はこう締めくくった。汚染企業との対話の中で、私たちは多くのグローバル企業は多くの環境保護基準を持っており、彼らは本国では環境保護企業であるイメージを示しているが、中国では完全に環境保護を顧みないということに気付いた。私たちは日韓などその他の国の環境保護NGO、メディア及び消費者らと共に、これらの企業と長期にわたって戦っていく。私たちはもっと多くの人々が企業の社会責任に注目し、エコチョイスに参加することで、私たちに協力し、私たちと肩を並べて戦って行くことを期待している。

・第三回“重金属汚染防止とIT企業社会責任報告”
 http://www.ipe.org.cn/news/news_view.jsp?BH=239

・関連記事

 重金属汚染防止はIT・電機メーカーにとって不可避の責任(1)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C10042701J

 重金属汚染防止はIT・電機メーカーにとって不可避の責任(2)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C10042703J

【筆者】楊 緯和 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10081102J]
【翻訳】中文和訳チームC班  富川 玲子]]>

DMZ国立公園推進、可能ですか?

環境部が非武装地帯保全のために果たすべき課題は、民間人統制線の保全と管理

韓国全土 先週、環境部が非武装地帯(DMZ=DeMilitarized Zone)を国立公園に指定するという案を発表しました。非武装地帯の内部とともに華川(ファチョン)、高城(コソン)一帯の民間人統制区域を国立公園に指定するというのです。環境部は、非武装地帯の自然資源を保護し、統一以降の乱開発の圧力に前もって対処するためであると説明しました。

 実際に環境部は、90年代後半から何度か新規国立公園を推進してきたものの、失敗に終わっていました。その原因は、意欲ばかり先立ち実質的な準備が不足したまま早急に推進していたためです。環境部が年内に非武装地帯を国立公園に指定し推進するという案もやはり過去の失敗を繰り返す早急な進め方であり、実現性がないと思われます。非武装地帯の国立公園推進は、長期的な次元で検討すべき事案です。

 非武装地帯は朝鮮半島と北東アジアの複合した利害関係が絡み合っている場所です。平和協定が締結され、軍事的な対峙と緊張が緩和されてこそ、現実的なアプローチが可能な地域でもあります。数百万個の地雷除去問題や軍事力解体および再編に伴う数十年の時間が必要な場所であり、自然環境の管理対策をはじめとして不発弾と地雷など危険対策に長い時間と多くの努力が要求される場所です。環境部の発表は突然であり、5カ月の間にどのような計画と推進力を示せるものなのか疑問です。

 また、非武装地帯は国際法的に国連管轄地域であり、国内法の適用が事実上不可能です。国連軍司令部に面談の要請をすることが明らかになっていましたが、停戦協定の枠内で南北、米朝関係を考慮して論議しなければならないといった高度な政治的事案なので、現時点で論議対象にするのは難しいでしょう。非武装地帯全体に及ばない国連司令部管轄の半分の面積を推進するという点も、非常に非現実的な取り組みであると考えられます。

 非武装地帯全域、すなわち民間人統制線地域の国立公園推進は、よりいっそう多くの問題を抱えています。すでに鉄原(チョロン)、華川(ファチョン)、楊口(ヤング)、麟蹄(インジェ)、高城(コソン)など民間人統制線の中東部戦線の大部分の地域は、国家山林油田資源保護区域に指定されており、山林庁が山火事、害虫、山崩れ、山林資源管理など非武装地帯の保全と関連した民間人統制線の管理を行っています。

 それでも環境部は、再び国立公園を推進するというのです。このことは明らかに行政力の浪費を示しています。2000年以降、政府内でも保護区域の重複指定は止揚しています。一つの保護区域にもう一つ保護区域を指定することは、実質的な管理には何の助けにもならないからです。

 環境部が非武装地帯保全のためにすべき第一の課題は、民間人統制線の保全と管理です。西部戦線は、不法開墾や軍事保護区域の解体、人為的干渉の増加によって保護対象面積がかなり縮小されており、坡州(パジュ)、漣川(ヨンチョン)、鉄原(チョロン)一帯を中心にした生態系保護の態勢はなく、放置されています。韓国最大のタンチョウヅル、マナヅルの越冬地である鉄原平野に数万坪の広場と駐車場事業が推進されており、郡南ダム建設によってマナヅルの越冬地は水没の危機に瀕しています。このように、国立公園の指定よりも環境部が一刻も早く着手すべき任務は何なのか、細かく考えなければならない事例は、一つ二つではありません。保護区域指定において核心となる地域住民との摩擦がある場合は、解決案を策定する必要があります。自然環境保全の観点において、現在すべきことさえなおざりにし、現実性の欠如した国立公園指定を推進するということは、単なるイベントに過ぎないと思われます。

 非武装地帯および民間人統制線地域を保全し、利用戦略を策定するためには、環境部の役割が重要ではあるでしょう。しかし推進の方法としては、多様な利害の絡む当事者間の調整を優先させなければならないのです。国民と政府、また自治体と住民と専門家と市民社会がともに作っていく必要があるのです。10年、20年が過ぎても互いに理解するためには、意思の疎通が必要なのです。毎回イベントとしてのみ成り立っている非武装地帯への取り組み方は、常に発表のみで終わっていました。空間に対する現実を直視できなかったためです。政府と環境部は、まず今すぐに急を要する西部戦線民間人統制線の管理に乗り出し、大きな計画で非武装地帯への取り組み方に知恵を絞るよう、願っています。

【筆者】緑色連合(Greenkorea) / 緑色連合(Greenkorea) / 寄稿 /  [K10081001J]
【翻訳】萩庭雅美]]>