中国で初めての気候変動国連交渉会議が開催

各国代表が具体的な協議案を検討予定だが、どのような進展が得られるかは予測し難い

天津市 10月4日から9日、国連気候変動特別作業部会が天津で開催される。これは今年12月メキシコのカンクンで開催されるCOP16・国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)を前に、気候変動交渉を引き継ぐ最後の機会であり、この会議には190数箇所の国や地域から、気候変動交渉代表が出席する予定である。

 これは、中国が初めてホスト国として国際気候変動大会を開催するもので、これは中国の気候変動協議プロセスに対する重視の表れであり、中国代表団メンバー、国家発展改革委員会・気候変動局と交渉処の所長 李高氏は、正確なルートに沿った交渉を希望しているように見える。

 天津特別作業部会の正しい名前は、『国連気候変動枠組条約』(以下、『条約』という)及び『京都議定書』(以下、『議定書』という)協議作業部会である。李高氏は、財新-『中国改革』に発表した文章の中で、天津特別作業部会は締約国側より決定された『条約』『議定書』の協議過程における正常な協議会であると述べた。

 また、コペンハーゲン会議以降、先進国は広範囲での協議は非常にスピードが遅く効率が悪いので小範囲で討議すべきだとの論調を展開しているが、もしこの方法で協議を進めれば、透明性・広範囲参加・協議一致の原則が体現できず、全体の協議自体に多くの問題をもたらすことになる。ここに中国とその他発展途上国が積極的に国連の主要ルートで協議を進めようとする理由がある。天津会議はこの主張をうまく貫ける場である。

 『条約』事務局の責任者Christiana Figueres女史は、取材で、国連の広範囲協議の重要な基本原則は、全体性と透明性であり、この二つの基本原則はコペンハーゲン会議では明らかに上手く実施されていなかったと述べた。「ですから、私達はこの二つの原則について新しい約束をします。この二つの原則を天津、カンクンで確実に実施し、今後の会議でも徹底させるというものです。」

 Figueres女史は更に、中国政府は今回の会議を自発的に引き受けており、これは中国の協議プロセス推進に対する約束であり、中国がカンクン会議で一定の成果を得られるための貢献であると解釈している。天津で、各国代表が具体的な協議案を協議するが、どのような進展が得られるかは予測し難い。

 昨年のコペンハーゲン気候変動大会と今年のカンクン気候変動大会等、年に一度の『条約』と『議定書』締約側の会議と違い、天津作業部会は、作業グループの協議会である。必ず一定の成果を得なければならないという圧力はない。ここで言う作業グループとは、『条約』のもとの、アメリカを
含む各国が長期的に協力し特設した作業グループ(AWG-LCA)と、『議定書』におけるアメリカを含まない先進国が継続して排出削減を進める特設の作業グループ(AWG-KP)である。昨年12月、コペンハーゲン気候変動大会は国際社会に規定されていたが、最終的に法的拘束力のある国際合意を得られなかった。

 実際、2007年12月バリ島気候変動大会開催後の3年間、各方面での協議はずっと「言い争い」状態で、資金・技術移転・気候変動の減少や適応等すぐに実施できるキーポイントとなる問題について、満足のいく進展が見られていない。先進国がコペンハーゲン会議上でなされた2012年の発展途上国に対する300億米ドルの早期始動資金についての承諾も未だ実施されていない。

 現在、『京都議定書』第一約束期間終了までわずか2年しかない。来年の南アフリカ気候変動大会で各国が最終的に法的拘束力のある国際合意に達したとしても、協議から実際に実施されるまでには更にある程度の時間が必要となる。

 Figueres女史は、「各メンバー国政府は既に合意を達成する緊迫性と重要性に気付いているが、現在全てを含んだ、全ての問題を解決するような大きな合意を得ることは現実的でなく、ある種慎重で徐々に実施できる方法で進める必要がある」と述べた。

【筆者】週刊《新世紀》 記者 張瑞丹、実習記者 劉虹橋 / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C10092901J]
【翻訳】中文和訳チームA班  五十嵐 裕美]]>

サムスン半導体工場での化学物質漏出は実際に起きていた

サムスン電子が白血病の発症原因について責任を問われる理由

韓国全土 参与連帯、良い企業センター、韓国女性労働者会、環境正義は、去る5月、参与連帯に提出されたサムスン電子の器興工場の漏出評価部門の諮問報告書を公開した。以前、ソウル大学の評価チームが報告書を作成した後に、ベンゼン検出の疑いも浮上し、諮問報告書からもその疑いが確認された。公開された資料で今まさに議論されているのは、懸念されていた通り、化学物質漏出の管理が十分に行われておらず、産業安全公団の基準も、国際的水準には程遠いものだったことだ。

■サムスン電子が白血病の発症原因に責任を問われる理由

1.器興工場の5つのラインで使用中の化学物質99種の内、60%にあたる59種はいつから使用されているのかも分からないと言う程のずさんな管理。

2.(99種中)10種類は企業秘密という理由から成分資料さえ確認不能。

3.管理対象の化学物質中5種類(BF3,Catechol,NH4OH,PGME,Sih4)は、法的測定対象物質ではないといえども、測定方法と漏出基準が定められている物質であるため、労働者の健康保護のためにも管理が不可欠。

4.6か月間でガス漏れ警報が46回発令され、標準作業の手順遵守においても、PM(Preventive Maintenance:生産設備の維持、点検、洗浄、補修をする業務)作業時に残留ガスの影響で警報が鳴った回数は25回と最も多い。PM過程で動員された労働者らの健康が懸念され、実際にこの過程に従事していた被害者も相当数に上る。

5.一部のガス漏れの場合、IDLH(Immediately Dangerous to Life or Health:死亡に至るか健康に致命的なレベル)濃度の32%(2009.7.20)に該当するガスが1時間35分(5.729炉)漏れていたこともある。また、大多数の被害者は口を揃えて耐え難い臭気を訴えている。

■産業安全法と労働災害補償保険法の改定が必要な理由

1.これまで勤労福祉公団は、職業性がんについて自然科学的に明らかな因果関係の立証を要求することで、職業性がんの労災認定率を過度に下げてきた(海外ではこれが年間800~1800件余りに達するのに比べ、韓国では年間総数20件のうち、認定は4~5件。労災不承認率90%)

2.国外5機関に登録されている発がん性物質のリストは全464種ある一方、韓国(で登録されている発がん性物質)はその基準に到底及ばない全90種である。残りの数百の発がん性物質は管理対象から除外されている。数多くの発がん性物質が法の網をかいくぐり、いい加減に使用され廃棄される可能性がある。

■企業秘密において、健康と生命の生存権を保障するための「知る権利」の前では保障され得ない理由

1.米国のシリコンバレーのあるサンタクララ郡では、1970~80年代に電子産業に起因した保健と環境の問題が発生するや、地域住民の「知る権利」が確保され、有害物質条例などが立法化された。カリフォルニアの2つの法律の内、”Worker hazard communication training and prevention”は、労働者に降りかかる危険性のある全ての化学物質のリストと有害性を知らせ、事前予防と共に教育指導するように定めている。また、カリフォルニア州の決議案65号は、政府が少なくとも1年ごとに発がん性や生殖毒性を引き起こす化学物質のリストを発表し、大気有害物質プログラムにおいては、製造業者が使用する化学物質について政府と国民に報告している。

 しかし、最高の電子産業強国である韓国は、企業秘密を優先し、労災認定の為の資料公開さえせず、それを政府や機関が容認している。

2.産業安全公団は、2008年に施行した”半導体の製造工程における労働者の健康実態疫学調査”、2009年に施行した”半導体製造事業所に従事する労働者の作業環境及び有害要因の漏出特性研究”、そして労災を申請した被害者らについての業務関連性評価疫学調査の内容など、重要な事件の資料を一切公開していない。この状況は、国際的な安全基準である情報の公開を勧告しているという状況と一致していない。

 これは、企業の利益を国民の生命と健康よりも優先しているという不適切な実情を示すものである。

 その性質上、生産国がアジアに集中している半導体電子産業だが、これまでクリーンビジネスのイメージと、莫大な独占的利益をあげる国家の人気産業として認識されながら、その裏で使用されている有毒化学物質や管理制度の不備があったことも事実である。今回のサムスン電子半導体白血病事件を機に、電子産業の全般的な安全基準と環境影響物質の管理、及び既に発症した被害者らに対する根本的な補償と対策が必要となってくるであろう。

【筆者】環境正義(CMEJ) / 環境正義(Citizens’ Movement for Environmental Justice) / 寄稿 /  [K10092901J]
【翻訳】原田静香]]>

国立公園は遊園地ではない

いったい誰のための環境部なのか

韓国全土 ゼネコン業界にとっては国立公園が事業拡張の「新たなブルーオーシャン」に見えたのか。四大河川の水流をまるごと工事現場化したのに続き、今度は自然生態の最後のとりでとされる国立公園で大規模な工事に取りかかる準備をしているのだ。

 今年9月20日、秋夕連休が始まる前日、「自然保存法施行令改正案」が閣議を通過した。施行令改正により、国立公園にロープウエーが設置される道が開かれたという知らせは、いくつかのインターネット新聞で報道されたのみで、大部分の新聞やテレビ・ラジオで報道されなかった。改正案は長官の決裁と大統領の裁可を経て、10月から施行される予定だ。

 環境部は2008年末、ロープウエー建設を推進するガイドラインを作ったのに続き、今年5月には、自然公園法施行令の改正案を立法予告した。

 改正案は、国立公園や道立公園など自然保護地域内のロープウエーの全長を2キロメートル、乗り場建物の高さは9メートル以内に制限していたものを、それぞれ、5キロメートル、15メートルに大幅に拡大する内容が骨子となっている。

 それでなくても自治体は景観が良い国立公園内へのロープウエー設置機会を虎視眈々とうかがってきた。智異山では、◇求禮山洞温泉~老姑壇◇ペムサゴル~般若峰◇鄭嶺峠~般若峰◇中山里~帝釈峰◇百巫洞~帝釈峰――の5つに上る路線で、周辺の自治体がロープウエー設置案を作成しようとしている。

 雪嶽山では、五色から大青峰横のクァンモ稜線をつなぐ路線を含んだ4路線の設置計画が話題に上っている。それだけだろうか。漢拏山や月出山、俗離山など全国20の国立公園のうち、9つの公園で17路線が論議されている。嶺南アルプス2カ所、八公山などの道立公園まで含めると20路線におよぶ。

■“ロープウエードミノ”が起きる可能性も

 これらの路線の大部分は全長が長く、従来の施行令では不可能だったが、今回の改正で設置できる可能性がはるかに大きくなった。

 さらに驚くべきことは、北漢山国立公園のケースだ。今年7月、国立公園管理公団が直接ここにロープウエーの設置を推進しているという事実が明らかになったためだ。公団による「北漢山探訪文化改善対策樹立に向けた調査研究」は、北漢山城駐車場から僧伽峰を経て普賢峰までの全長4.2キロのロープウエーを設置し、障害者や高齢者などの弱者も探訪できるようにし、入山客を登山客以外にも多様化させることを提案している。

 環境を守らなければならない環境部が、先頭を切って「開発」に向けた地固めをし、国立公園の環境を守るための公団が北漢山にロープウエーを設置する立場をみせているとは、面食らってしまう。

 北漢山へのロープウエー設置が純粋に障害者や弱者のためのものであったとしても、今でも登山客であふれ、疲弊している北漢山がロープウエーにより負担が軽くなると信じる人は、果たして何人いるだろうか? 当初、なぜここが国立公園に指定されたのか? 韓国の美しい自然を開発への欲求から守り、次の世代も楽しむことができるよう、国家の名をかけて保存するというのが、国立公園の目的だったはずだ。

 だが、雪嶽、智異、漢拏、北漢、俗離など、誇るべき山の最も美しい景観を選び出し、あちこちに鉄塔を建て、頂上の目の前に5階建ての高さの駅を建設して商売を行うというのか? 国立公園は遊園地ではない。

 2008年に韓国リサーチが全国の成人男女、1,800人を対象に行った世論調査では、国立公園内のロープウエー設置に賛成する人は31%に過ぎなかった。北漢山への設置は90%が反対だと回答した。国立公園の開発により、最も得する人は誰なのか?

■いったい誰のための環境部なのか

 これまで、反対運動も継続して行われてきた。約30の市民環境団体が「国公立公園内への観光用ロープウエー反対全国対策委員会」を構成し、昨年6月には市民1万672人の署名を集め、「ロープウエーのない智異山1万人宣言」を行いもした。智異山の天王峰、般若峰、老姑壇、北漢山の白雲台では、リレー1人デモが行われている。もちろん、主なマスコミではほとんど報道されていないのだが。

 北漢山と雪嶽山のロープウエー設置計画は、年内に承認されるとみられる。四大河川工事と同様、国立公園内のロープウエー事業もまた、一気に進められている。ゼネコン業界に立ち向かい、韓国の自然を守るための、早急な課題がまた一つ生じた。

【筆者】チ・ヨンソン(Ji Young-Sun) / 韓国環境運動連合(KFEM) / 寄稿 /  [K10092801J]
【翻訳】小池貴子]]>

「環境自治体」の次の展開をにらんだ『環境自治体白書2010』刊行

日本の低炭素自治体への道標

日本全土 2010年9月、全国56の自治体で構成する環境政策推進のためのネットワーク「環境自治体会議」は、NPO法人 環境自治体会議 環境政策研究所と共同で『環境自治体白書2010年版』を刊行した。『環境自治体白書』は2005年から毎年発行されており、今年で6冊目となる。今回は表紙も内容も一新し、さらにCD-Rを用いたデータ提供も試みている。

 内容面では、過去にも頻繁にとりあげた低炭素地域づくりだけでなく、生物多様性にも焦点を当て、それぞれの分野の最新動向を知ることができる(第3章)。また、従来、環境自治体会議の会員自治体の取組みが数十ページ延々と続いていたが、今号では各自治体の特徴的な事例に特化し、自治体政策のポイントがよりわかりやすく示されている(第6章)。

 特集は、環境自治体会議 環境政策研究所が推計した各市区町村別の部門別二酸化炭素排出量(2007年度)で、各自治体では推計が難しい市民・事業者の活動に起因する排出量について、全国を統一した手法で推計した結果を一覧表で公開している。なお、より詳細な部門別排出量についてもCD-Rで提供されている。CD-Rを含む発行は今年初めての取組みである。

<環境自治体白書2010年版 目次>

第Ⅰ部 低炭素自治体をつくる
 第1章 持続可能な社会と低炭素自治体
 第2章 低炭素地域づくりに向けた政策ツール

第Ⅱ部 分野別の最新政策動向
 第3章 COP10と生物多様性
 ・COP10と自治体
 ・里山のオーバーユースとアンダーユース問題を解決する
 第4章 各地の取り組み
 ・林業再生のカギ握る小規模林業の活用システ
 ・学校給食の地場産導入は食育となったのか?
 ・LRTの整備による公共交通のサービスレベル向上とCO2排出量の削減
 ・首都圏初の「ゼロ・ウェイスト宣言」は市民の手で
 ・いわての産学官民連携を活用した環境人材育成モデル

第Ⅲ部 会員自治体の動向
 第5章 環境自治体会議の共通目標とその達成状況
 第6章 会員自治体の概要と地域の重点政策

特別資料 全国市区町村別CO2排出量推計

(参考URL)
・『環境自治体白書2010年版』(生活社)
 http://www.seikatsusha.com/book25.html

環境自治体白書2010年版

【筆者】増原 直樹(MASUHARA, Naoki) / 環境自治体会議 環境政策研究所 / 寄稿 /  [J10092402J]
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都会で創る自然

公園、森、ミツバチ・・・東京での実践

東京 都市の中に残された樹林地や農地等の減少を抑えるため、東京都は、都下の区市町村と合同で「緑確保の総合的な方針」を策定し、5月に公表した。

 同方針は、確保することが望ましい緑の明確化、緑の創出を伴うまちづくり事業のリスト化、緑の確保を一層強化するための新たな施策づくりの3つから成る。パブリックコメントを踏まえての策定だが、残念ながら緑の連続性に関してはめぼしい記述は見られない。特に都心部においては、お台場、晴海、築地、皇居、新宿御苑、明治神宮などに大規模な緑地はあっても、あくまで点としての存在であり、これを面として、または自然歩道などで連続的につなぐ、というのは実際は困難であることから取り上げられなかったものと思われる。

 界隈緑化や街路樹でつなぐという考え方もあるが、現実味に欠ける。点在する緑をどう残すかが東京における課題であり、現実的な取り組みと言えるだろう。

 残す取り組みがある一方、新しく緑や自然を生み出す取り組みもある。以下はその一例である。

1.広域公園

 4月に開園した西ヶ原みんなの公園(北区、2.2ha)は、東京外国語大学の跡地を広々と利用した芝生主体の公園。7月に開園した東京臨海広域防災公園(江東区、13.2ha)は、草地広場を併せ持つ多機能公園となっている。いずれも防災拠点として使う想定になっているが、余計な造作物を設けず、広場を大きく確保しているのが特徴である。

2.海の森

 東京湾の中央防波堤内側埋立地では、スダジイ、タブノキ、エノキ等、在来の樹木を主体とした苗木を48万本植樹する「海の森」プロジェクトが進んでいる。約88haの敷地は、1973年から1987年にかけて埋め立てたゴミ1,230万トンから成り、高さは30メートルに及ぶ。市民参加による植樹イベントが定期的に行われている。

3.学校の森

 日本の主木であるシイ、タブ、カシ類を基本とし、混植と密植で森を創る、という取り組みがある。狭い土地でも短い年数で森が形成されることから、商業施設や工場などでの実践例が豊富だが、学校でも行われている。都内では豊島区での「学校の森」づくりがある。

4.銀座ミツバチ

 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J10091701J でも触れている通り、都心部でミツバチを養育し、採れたハチミツで地域ブランドの特産品を作る取り組みがある。「銀座ミツバチプロジェクト」である。

 ミツバチは4kmの距離を移動し、蜜を運ぶ。銀座そのものに自然が少なくても、皇居や浜離宮などが周辺にあるため、十分に収穫できるのだと言う。街路樹も花がつくものであれば対象になる。マロニエ、ユリノキなどのハチミツは、都心ならではの地産品である。緑地が連続していなくても、媒介となる生き物が行き来することでつながりが得られる、という考え方は示唆に富んでいる。

5.植物工場

 外部に開放されているばかりが自然ではない。建物の中に息づく自然もある。日本橋にある人材派遣会社の社屋では、水田や花畑の他、ハイブリッド電極蛍光管という照明を使って葉物野菜を栽培する植物工場があり、見学者が絶えない。社内で収穫し、社員が食べることから「自産自消」というコンセプトを掲げている。

 身近で小さな自然は都会にも数多く存在する。それを見つけて大事にするとともに、都市住民だからこそできる自然づくり(緑のカーテン、各種緑化・栽培など)も心がけたいものである。

参考リンク)

・「緑確保の総合的な方針」
 http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/midori_kakuho/index.html

・海の森
 http://www.uminomori.metro.tokyo.jp/

・銀座ミツバチプロジェクト
 http://gin-pachi.jp/

社内の水田

西ヶ原みんなの公園

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10092401J]
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ヒートポンプって本当にエコなの?

フロンの漏洩も未解決のまま。地球温暖化対策の切り札と言えるのか。

日本全土 ヒートポンプ(Heat Pump)とは、冷蔵庫、エアコン、給湯器、スーパーのショーケースや冷凍冷蔵庫、大型空調設備など、ものを冷やしたり、温めたりする技術です。直接燃焼よりも同じ熱エネルギーを得るのに投入エネルギーが小さくてすむため、電力会社を中心に「ヒートポンプは地球温暖化対策の切り札」とPRしており、政府も地球温暖化対策の一環で省エネ型エアコンやヒートポンプ給湯器の導入をすすめています。

 しかし、ヒートポンプの性能表示がメーカーによって意図的にかさ上げされていることや、冷媒として使っているフロン(温室効果がCO2の2000~3000倍ある)が9割ほど大気放出している実態が明らかになりました。つまり、省エネになると思われていたものが、実は宣伝されているほど実使用時には効果が出ておらず、むしろフロンの放出で地球温暖化の促進に寄与している可能性があるということです。

 少し詳しく説明しましょう。

 エアコンメーカー各社は「省エネ型エアコン」の省エネ性能を高く見せるために、測定時に特殊な方法を使ってCOP(Coefficient of Performance=成績係数:熱交換量が消費エネルギーの何倍かを示す指数)を過大に表示していたことをメーカー団体でつくる日本冷凍空調工業会が明らかにしました。この測定モードでは、轟音を出しながらエアコンが強風を吹き出し、排出する風は、冷房の場合は生暖かく、暖房の場合は肌寒い温度での運転となります。通常の使用状態とは言えない状態ですが、効率は高くなるのです。各メーカーがこの「不正表示」に手を染めたといわれる2004年以降、ルームエアコンの表示効率は劇的に高まり、のきなみトップランナー基準を達成するようになったと言われています。

 また、ヒートポンプの冷媒として使っているフロンですが、地球温暖化係数がCO2の2000~3000倍程度と非常に高い温室効果を持つフロン「HFC」がほとんどです。より高い効率を得るために、ヒートポンプの機器の大型化が進み、その分フロンの増量につながっているとも言います。

 フロンは「フロン回収・破壊法」で回収義務がありますが、実際の回収は全く効果があがっておらず、しかもヒートポンプ使用時にかなりの漏洩があり、8~9割方大気中に放出されているのが現状です。

 ヒートポンプを推奨する「ヒートポンプ・蓄熱センター」の試算では、ヒートポンプの導入が進めば、2020年には3200万トン、2030年には5700万トンのCO2削減効果があるとしています。しかし一方で、日本冷凍空調工業会が示した将来見通しではHFC排出量は2020年に4000万トン-CO2になるとされています。つまり省エネ効果がすべて相殺されることになります。

 今、日本政府の中長期計画では、例えばエネルギー基本計画で「くらしのCO2半減」などヒートポンプ導入を過剰に見込んだ計画がたてられています。しかし、効果への不信感やヒートポンプが本当に温暖化対策になっているのかどうか、また性能表示やフロン問題などの解決なくしては計画も何もありません。エコポイント制度によるヒートポンプの普及策など、政府によるヒートポンプ推進政策は見直す必要があるでしょう。

参考リンク)

 ヒートポンプをめぐる諸問題に関するプレスリリース
 http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2010-08-19-2.html

ヒートポンプ機器をめぐる諸課題

ヒートポンプユニットの例(この機器の冷媒はCO2)

【筆者】桃井 貴子(MOMOI, Takako) / 気候ネットワーク / 寄稿 /  [J10091702J]
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生物多様性社会に向けて

地域で実践されている生物多様性の取り組み

東京 2010年9月8日、国連大学の地球環境パートナーシッププラザ(東京都渋谷区)で「生物多様性に関する地域対話」が行われ、NPO・企業・学生・自治体など約40名が参加した。今年10月に行われる生物多様性条約第10回締約国会議(以下、COP10)が日本で行われることを機に、生物多様性に関する関心が深まっている。この地域対話では生物多様性の問題やCOPに関して理解を深めるとともに、NPO・NGOの活動や個人の暮らしがどのように生物多様性とつながっているか、どう保全していくべきかを考えることを目的とした企画であった。

 「生物多様性」とは、あらゆる生物種の多さと、それらによって成り立っている生態系の豊かさやバランスが保たれている状態のことをいい、国際自然保護連合(IUCN)によるCBD/COP10に関するレクチャーでは、その現状や論点などについて解説がなされた。「生物多様性2010年目標」は達成されず、

 ・完全に達成された個別目標はない
 ・大部分の指標は否定的である
 ・成功したと主張する政府はない
 ・直接的な負荷は横ばいか増加傾向

 などといった現状から、「Life in harmony, into the future~命の共生を、未来へ~」をCOP10のスローガンにし、日本で開催される貴重な機会を「想いでつなごう!COP10おりがみプロジェクト」という折り紙でのコミュニケーションを通じて、一般市民をターゲットに生物多様性の認知拡大と国際会議への多様な参加の機会を提供しようとしている。

 関東地域の4団体からの事例発表では、NPO法人 よこはま里山研究所(NORA)、西多摩自然フォーラム、NPO法人 銀座ミツバチプロジェクト、NPO法人 サンクチュアリから、それぞれ「近郊、山、都市、海」に即して行われた。

 都心という厳しい環境下でありながら、屋上農園・コミュニティー・地産地消をキーワードにした取り組みを行っているのが銀座ミツバチプロジェクトだ。ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系を感じる、採れたハチミツ等を用いて銀座の街と自然の共生を感じる、の2つを目的としている。少量の農薬でも死んでしまうような環境指標動物とも呼ばれるミツバチが元気に飛べる環境を都市でつくることは、農薬を使わないというニーズを満たすとともに、人と環境との共生の素晴らしさを伝えるメッセージともなっている。

 4団体がテーマに沿って受け持つ形で行われたワークショップも行われたが、結論は一つに集約された。我々の身近な環境問題は人と自然との関わり方が変わったのが原因であり、今後、行政等が地域の人と豊かなコミュニケーションをとっていかなくては解決できない、というまとめであった。

 民間・行政・自治体などが生物多様性と今後どのように関わっていかなくてはならないかを考えさせられる企画であった。生き物がにぎわう、美しく素晴らしい生活環境をいかに継承していけるか、法の改正といった制度面とともに、ソフト面としては担い手の充実などが望まれる。

参考リンク)

・生物多様性に関する地域対話(関東ブロック)
 http://www.geoc.jp/partnership/kanto/bd_100908.html

ワークショップの様子(「山」でのまとめ)

主催者(関東地方環境事務所)挨拶の様子

IUCN日本委員会 石黒玲子氏によるレクチャーの様子

【筆者】山下喜寛(YAMASHITA, Yoshihiro) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10091701J]
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チャンスをとらえ、リスクを調査・排除し、市民による環境モニタリングを導入しよう

北京の環衛集団四清分公司によるごみ埋立処分場の滲出液違法排出事件、民間環境保護団体が公開質問状をメディアに送付

北京市 北京の環衛集団四清分公司が、ごみ埋立処分場の滲出液を一年に亘って違法に排出し、小北河の環境汚染を加速したとする事件を最近メディアが報道した。都市のごみ問題と健全な水環境に注目する環境保護団体として、私たちはこの広範囲に被害が及ぶ悪質な違法行為に対し、大いなる憤慨を表明する。北京市水務局がすでに当該公司に対する処罰を行い、彼らの環境侵害行為を停止させたことに対し、私たちは歓迎の意を表し、意義を充分に認める。しかし、北京市のごみ管理と水汚染対策の全局面を総合すると、もし社会全体が今回の事件から深い教訓をくみ取らず、その他の汚染リスクを調査・排除せず、市民が環境モニタリングに直接参加できる仕組みを導入しないのならば、類似する違法な汚水排出・ごみの違法投棄・絶え間ない排煙といった現象は今後も継続し、悪質な汚染事故が再び発生する可能性がある。そこで私たちは、政府と幅広い市民による環境保護事業の前進となり得るこの好機をとらえ、更に一歩踏み込んだ行動を採り、北京市のゴミ管理と汚水管理のレベルを全面的に引き上げ、災い転じて福とするべきだと考える。以下の三つの提案を、各界で参考にしていただきたい。

一、首都環境建設委員会の主導により、事件の調査チームを設立し、事件の原因・結果及び責任者を徹底的に調査する。お茶を濁す程度の調査に留まり、調査結果に疑義をもたれることを避けるため、調査チームのメンバーには民間環境保護団体と住民の代表にも加わるべきだ。調査結果は社会各界が理解したいと願う以下の内容にも言及する。

 ・違法排出の期間・経緯・排出量の合計
 ・違法排出の決定と実施に関与した者
 ・どこの行政機関あるいは関連団体が、事情を知りながら報告せず事実を隠蔽したか

 これらの問題を調査により明らかにした後、すべての責任者は相応の処罰を受け、被害者に謝罪と賠償を行うべきである。

二、首都環境建設委員会の主導により、北京市のすべてのごみ処理施設、糞便処理場、汚水処理場の汚染リスクの全面的な調査・排除を始める。この作業にも環境保護組織の代表と、直接これら施設の影響を受ける団体・住民の代表も参加しなくてはならない。ごみ処理施設には、ごみ中継所、埋立場、焼却場、堆肥場、危険廃棄物処理場などが含まれなければならない。調査内容は、これらの処理施設の、廃水・廃気・廃棄物の排出状況に関する数量的な統計、費用の統計、排出経路、汚染管理技術、操作工程、そして付近の環境状況と住民の意見も含まれなくてはならない。違法排出、規則外の廃棄物処置を発見した際は、即座に状況を公開し、処罰と改善処理を行う。

三、市民が環境モニタリングに直接参加できる実行可能な仕組みを作る。現在、一回や二回の汚染事件より更に深刻な問題は、一部の政府機関による環境モニタリングが信頼性を失っていることだ。これら機関の業務は不透明で、積極的には市民の意見に耳を貸さず、自主的に情報公開もしない。行政の不作為は、一部の機関の環境保護法違反が放置される根源となっている。この不利な局面を打開するため、最良の方法は、これらの機関が勇気を持って、市民が直接環境モニタリングに参加するメカニズムを導入し、市民の環境保護行政に対する信頼を回復することだ。このメカニズムの基本的な要素は、環境モニタリング業務に民間環境保護団体の代表とあらゆるステークホルダーの代表を参加させ、彼らに汚染リスクのある団体に入って実際の環境管理状況を調査する権利を与え、政府の汚染コントロールを助ける有力な助手となることである。このようなメカニズムを構築する最高のトライアルとして、今回の滲出液違法排出事件の詳しい調査と、その後のごみ・汚水処理施設の全面的な排出調査業務に着手すべきだ。同時に「環境情報公開辨法(試行)」に基づき、この工場が基準値と基準総量を超える排出をしたことについて、現地の主要なメディア上で排出データを公開すべきである。この汚水処理場が、深刻な違法排出をして現地の環境に損害を与えたことに鑑み、環境保護部門はそのオンラインモニタリングのデータを公表し、排出状況の市民による監督を強化することを通じて、この企業が安定的に基準値内の排出を続けるよう促すべきである。

 達爾問自然求知社
 環友科学技術研究センター
 自然之友公衆環境研究センター
 淮河水系生態環境科学研究センター
 緑色龍江

 2010年9月14日

【筆者】毛達 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C10091401J]
【翻訳】中文和訳チームC班  松江 直子]]>

私たちの未来を他の誰かに任せられますか?

結婚の準備中ですか?

韓国全土 今、私の手を握った人と夫婦になり、また親になって子どもはそれぞれ家庭を築いて離れていき、髪の毛は白くなり、そのような長い時間が流れた後にも明るい顔で向き合って手を握り散歩する、変わらない夫婦の美しい姿を想像していますか?

 結婚式だけでなくその後の生活もきちんと準備していますか?

 結婚は今まで全く違う人生を歩んできた二人の男女が心を一つにして残りの人生を共に作っていく人生の重要な瞬間です。だから二人が夢見る人生は何か、また、その二人の夢を知らせる行事である結婚式をどのようにするのか真剣に悩んでしまいますね。もちろん最近は必要なことを必要に応じて最適な準備をしてくれるウェディングプランナーがいて気楽に相談することもできますが、夫婦の未来じゃないですか! 私たちの未来を他の誰かに任せられますか? 特に新しく結婚した夫婦を通じて生まれてくる子どもたちからすれば、私たちの未来は私たちの子どもたちの現在になるとも言えます。私たちの生活の基盤である地球と、その中で生きていく私たちの家族すべてに有益な生活をどのように作り出すべきか話し合わなければならないでしょう。

 結婚準備中の夫婦予備軍の皆さん、二人が夢見る世界はどんなものでしょうか? 結婚の準備を控えた今、多様な生命が息をしている自然に留まって二人だけの行動を作ってみて下さい。

 このようにしてみてはどうですか?

 愛の約束、その証はダイヤモンドでなければなりませんか?

 工場で印刷するように画一的な‘行事’より、二人だけのカラーと素朴ながらも意味ある結婚式を企画してみてばどうですか?

 ご祝儀、花輪は受けるべきでしょうか?

 お祝いの気持ちを断れないならば、使い捨てではない、もう少し意味あるかたちで受け取ってはどうですか? また、ご祝儀の一部を環境団体に寄付するのはどうですか?

 新婚旅行はどこへ行きますか?

 たった一度きりの新婚旅行、休養が必要な人は安らかに休養ができる韓国の美しい自然に身を任せて、冒険を楽しみたい方々は人や地球にやさしい旅行を企画してみましょう。

 これから夫婦が生活していく新居や生活用品は、新品を買うのでしょうか? 原子力に頼っている韓国において家電製品はでのようなものを選びますか? 食べ物はどうしますか?

 二人の行動原則が作られたなら、それらを一つ一つ実行してみて下さい。

 “グリーンウェディング”を単純に「結婚式一日の行事で地球にやさしい商品をどれくらい利用したか」で考えるならば、おそらくただの“21世紀の新しい結婚商品”としか見られないでしょう。結婚式だけにとどまらず、グリーンウェディングライフで真のグリーンウェディングを企画してみてはどうですか?

【筆者】緑色連合(Greenkorea) / 緑色連合(Greenkorea) / 寄稿 /  [K10091001J]
【翻訳】葛西 麻衣子]]>

東アジア地域における低炭素地域を考えるワークショップ開催

地域の未来をともに作っていくために

岩手 2010年8月30日から9月2日にかけて岩手県葛巻町において「東アジア草の根市民社会ISAワークショップ2010」が行われた。(主催:韓国の市民シンクタンクARI―Asia Regional Initiatives)

 葛巻町は「北緯40度、ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」をキャッチフレーズに、地域の資源を活かした自給的なまちづくりを進めている。乳業という一次産業を基幹に、牧場のインフラを活かした風力発電や、家畜の糞尿のバイオガス化などの再生可能エネルギーの導入が図られている。山林の野草に過ぎなかった山ぶどうに、ワイン原料としての商品価値を見出すなど、地域が豊富に持っていながら未活用であった資源に注目しているのが葛巻町の取り組みの特徴である。ここでの取り組みは韓国の環境運動やまちづくりの関係者の間でも広く知られているという。

 今回のワークショップではこうした葛巻町の事例を実際に視察しながら行われた。2009年に韓国で開催された前回のワークショップに引き続き、ARI代表の李起豪さんが開発したISAという手法(文末リンク参照)により、東アジアという地域における「まち」の未来像について議論が行われた。議論のテーマは「東アジアという地域で〈わたしたち〉がどのように低炭素地域をデザインしていくことができるのか?」である。参加した専門家によるいくつかのレクチャーと現地視察の体験によってイメージを喚起しながら、ブレインストーミングやストーリー作りなどの方法を使って、参加者は協力して地域と自分の将来像の関係付けを試みた。

 参加したのは日本と韓国から集まった研究者や活動家、学生などの約30名。フィールドトリップとしてバスで町内をめぐった際には、見学施設の担当者に向けて具体的な質問が活発に投げかけられ、予定時間をオーバーすることもしばしばであった。このような熱意を言語や国籍の壁を越えて共有する方法として、ISAのような手法が洗練され、普及していくことは重要である。葛巻というミクロな事例を材料に、東アジアという大きなつながりを考えた今回のようなイベントは、国際的な環境問題に対応する草の根ネットワークを築く上で、非常に有効だと思われる。

関連記事)

 東アジア市民社会の担い手を育てるワークショップ開催(2009-8-7)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J09080702J

ワークショップの様子

鈴木重男 町長

風力発電

【筆者】石井晋平(ISHII, Shinpei) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J10091001J]
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