小南海発電所の建設のため、揚子江の魚類保護区が「痩せる」恐れ

揚子江の稀少魚類保護区の区域見直しに関する公示期間が終了した。

重慶市 2005年の見直しによる揚子江魚類保護区の縮小に続いて、今度は小南海水力発電所の建設のために再び当該保護区が縮小する可能性が浮上している。先頃、環境保護部は2011年の第1号公告を発表し、7つの保護区の再設定に関する状況について公示を行ったなかで、揚子江上流の希少固有魚種の自然保護区(以下魚類保護区と称す)が突然その列に加わった。公示期間は1月10日から21日。

 これによると、今回「魚類保護区」は元の33174.2ヘクタールが31713.8ヘクタールに調整され、1460.4ヘクタールも縮小している。

 これに先立ち、環境保護部南京環境科学所は、小南海とその他のカスケード式発電所の開発にともなう影響は、将来河川生態系の水域環境に深刻な変化をもたらし、そこに生息する希少な固有魚類に対して壊滅的な影響を与えるという認識を示した。また、多くの環境保護団体も、今回の調整の主な目的は小南海水力発電所の建設の道を開くことにあり、今回の調整に「慎重な審査による政策決定」を求めると同時に、環境保護部に対し公示期間の延長を申請した。環境保護部はこれを受理した後、公示期間を1月26日まで延長した。

■「頭を摘み取られた」後、再び「尾っぽを切られる」ことを懸念

 2004年4月、前述の魚類保護区が国務院の批准を経て設立され、「揚子江上流・合江-雷波間における希少魚類の国家級自然保護区」と名付けられた。その目的は、水力発電所の建設プロジェクトや経済発展など人為的な要因がもたらす生態系に対する悪影響から揚子江上流の危機に瀕する魚類を救うことだった。

 2005年、金沙江流域の二つの水力発電所(渓洛渡・向家ダム)の建設を進めるため、保護区の境界線は再設定せざるを得なくなり、名称も「揚子江上流希少固有魚類の国家級自然保護区」と改められた。この時の調整で「(保護区の)頭を摘み取られた」と言われている。

 2010年11月、国家級自然保護区評価審査委員会の会議で、魚類保護区の境界線に関する修正申請案について専門家の委員達が全会一致で可決した。これは、環境保護団体から魚類保護区の「尾っぽ切り」だと批判された。

■調整、あるいは発電所建設の都合のためか

 今回調整された保護区の位置は、ちょうど発電所の堤防を建設する位置に当たる。そして保護区の緩衝地帯は実験区に調整され、ちょうどその範囲は、ダムの水没範囲に収まる。

 公示資料に載っていた電話番号に基づき、『毎日経済新聞』の記者が環境保護部の生態司を取材したところ、関係者は今回の調整は主に関連区域の発展のために、保護と発展の間の矛盾を処理するものだと語った。記者が、今回の調整は市民から小南海水力発電所の建設と関係があると見なされているが、と質問をすると、責任者は「そう言ってよい。関係はある」と答えた。330億元を投資した小南海水力発電所は、重慶市の歴史上、単独としては最大の投資プロジェクトとなるという。

 しかし、この発電所は保護区内にあり、揚子江に棲む稀少魚類の重要な産卵場所であり、越冬と生息の場として希少魚類の最後の砦だと認識されている。中国科学院の曹文宣院士は早くも2008年に「小南海ゾーンは、保護区内の希少固有魚類の生存と三峡ダムの漁業資源の増加にとって極めて大切な“生態系の回廊”であり、自由な回遊を保たなくてはならない」と指摘している。

 環境保護団体は、「揚子江上流稀少固有魚類国家級自然保護区」境界線修正に関する審査批准過程を停止し、代替案を探すか、新たに審査批准の過程を設計し直し、市民参加を強化すべきだと提案している。

 最近、国務院弁公庁は『自然保護区の良好な管理業務に関する通知』を発行し、いかなる部門や団体も勝手に自然保護区の性質や範囲、機能などの区分を変えてはならず、すでに批准・設立した自然保護区を随意に取り消してはならず、自然保護区は設立、あるいは変更された日から、原則的に5年以内は見直しを行ってはならない、と強調している。

 通知では、保護区の開発・建設活動を厳しく制限し、保護区の中心区域と緩衝地帯内では、いかなる形式の開発活動も禁止し、実験区域内での開発活動はその機能等に影響を与えてはならないとしている。

 さらに、自然保護区の開発プロジェクトに対する環境アセスメントでは、プロジェクトが保護区の機能と保護対象に与える影響について予測を行い、保護と回復の計画案を提出するべきだと指摘している。

 このほか、自然保護区の法律遵守検査と管理評価を定期的に行い、各種の違法行為を厳正に処罰すべきである。管理不行き届きや保護不足に対しては、期限を区切って改善を命ずることなどが必要である。

【筆者】毎日経済新聞  蒋琪 / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C11012602J]
【翻訳】中文和訳チームC班  松江 直子]]>

日本のアサリが危ない

三河港港湾計画改定案に多くの意見を

愛知 2010年10月に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を開催した愛知県だが、COP10で採択された名古屋議定書に反すると疑いがある開発計画「三河港港湾計画改定案」が今年1月5日、同県から公表された。

 愛知県豊橋市・田原市・蒲郡市・ 豊川市にまたがる三河港は、かつて三河湾東部の存在した六条潟(3,000ha超)を、埋立・浚渫して造った施設(港湾管理者は愛知県)である。

 この三河港の建設と、三河湾に流入する豊川の河川流量の減少(過剰な利水が原因)によって、三河湾は今でも青潮に苦しめられている。今回の計画案は、その青潮被害をさらに深刻にするものである。

 現存する六条潟は、豊川河口部に360haを残すのみとなっている。計画案では、新たに干潟を80ha埋め立て、水深12mの停泊地を浚渫して造り、六条潟の中心部を貫く湾岸道路を建設しようとするものである。

 六条潟はアサリの宝庫である。資源量約5,000t、生息密度1平方mあたり2万粒以上と東アジアでは最大級の発生量と生息密度を誇っている。六条潟で発生したアサリの稚貝は、日本国内のアサリ漁獲高の7割を賄う愛知県内の漁場に放流され、そこで1年から2年かけて肥育され、北海道を除く日本全国に出荷されている。

 六条潟を形作った川、豊川もまた例外ではない。上流部では設楽(したら)ダムの建設計画が進行中であり、これが完成すると日本のアサリの7割を占める三河湾産アサリが消滅するおそれがある。

 1960年代には国内の漁獲高が2万トンを上回っていたハマグリも、現在ではアサリと同様の理由で漁獲高は100トン前後まで減少し、かつては産地だった自治体でも絶滅危惧種に指定されているところも少なくない。

 日本のアサリをハマグリのようにさせないためにも、より多くの方々に異議を唱えていただきたい。

*1月19日現在、反対意見は、愛知県内の漁業関係全てと、アサリを取り扱う産地問屋全て、主要都市の水産市場、そして国内19社の大手スーパーマーケットからも出されている。

参考リンク)

・三河港港湾計画改定案
 http://www.mikawa-port.jp/

・「三河港港湾計画改定案」インターネットによる意見募集(2月7日まで)
 http://www.mikawa-port.jp/cgi-bin/form.htm

渥美(あつみ)のアサリ

【筆者】山本茂雄(YAMAMOTO, Shigeo) / アジアの浅瀬と干潟を守る会 / 寄稿 /  [J11012101J]
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中国初の都市大気レベル情報公開指数(AQTI)の報告発表(2)

国内と海外都市のAQTI評価結果比較に基づき、評価を実施したプロジェクトチームは我が国の都市大気レベル情報公開の取り組みに以下の提案

中国全土→(1)http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C11011901J からの続き

 国内と海外都市のAQTI評価結果比較に基づき、評価を実施したプロジェクトチームは我が国の都市大気レベル情報公開の取り組みに対し、以下の提案を行った。

*世界でも最も微粒子汚染が深刻な地域の一つとして、中国は直ちにPM2.5(直径2.5μm以下の超微粒子)指標の監視測定と公開を進める。

*オゾン、一酸化炭素、揮発性有機化合物の監視測定を進め、公開する。

*大気中の重金属等の汚染を監視測定し、測定結果公開のための準備を整える。

*汚染指数と主な汚染物質を発表するほか、具体的な測定指標の詳細な濃度情報を公開し、市民が全面的かつ正確に測定汚染物質の汚染程度の情報を得ることができるようにする。

*監視測定地点を増やし、測定エリアのカバー不足という問題を解決しなければいけない。また同時に、重点区域の人体の健康に対して、目に見える形で影響を及ぼす可能性のあるデータに関する公開需要に応えるためにも、測定地点の科学的な配置分布に注意を払わねばならない。

*道路や発電所、大型施設をはじめとした特定汚染源付近などの大気汚染レベルが比較的高い区域では、そこに住む人々を保護するというニーズに基づき、人々への影響を顕著に映し出す、的確な測定地点を設置して大気汚染濃度を測定する必要がある。たとえば都市の監視測定地点の中には、「工業ポイント地点」を設けて工業廃棄物の影響を反映させ、「都市中心部、商業ポイント地点」では交通の影響を、「居住ポイント地点」では住民の人体への影響を反映させる。

*大気汚染物質の測定データの公開

*大気レベル情報を地図と組み合わせる形で発表し、市民が各地の大気レベル情報をさらに直感的に理解できるようにし、市民に自らの健康を守るよう指導を行う。

*定期的に日報を発表するほかにも、ホームページやデータバンクで各測定データを発表し、履歴としてデータを積み重ねていかねばならない。

※グラフについて:

(上段)

・青棒:PM年平均値(ug/㎥)
・赤線:AQTIポイント
・都市名(左から):ニューヨーク、ロンドン、ウイーン、モスクワ、パリ、ロサンゼルス、ベルリン、香港、南寧、福州、昆明、広州、大連、貴陽、フフホト、南昌、上海、寧波、長沙、鄭州、天津、南京、武漢、重慶、メキシコ、成都、北京、ウルムチ、蘭州、ニューデリー

(下段)

・グラフタイトル:国内都市と海外都市のAQTI指数ポイント対比図
・青線:国内都市のポイント 赤線:海外都市のポイント
・赤線(左から):パリ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン、ウイーン、香港、ベルリン、モスクワ、メキシコシティ、ニューデリー
・青線(左から):北京、広州、上海、寧波、成都、武漢、重慶、南京、貴陽、天津

【筆者】康雪 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11011902J]
【翻訳】中文和訳チームA班  近藤 玲]]>

中国初の都市大気レベル情報公開指数(AQTI)の報告発表(1)

国内外の30都市についてAQTIの評価結果を発表

中国全土 1月19日午後、中国人民大学法学院及び公衆環境研究センターは共同で記者会見兼シンポジウムを開催し、中国初の都市大気レベルの情報公開指数(AQTI)報告を発表し、国内外の30都市について評価結果を明らかにした。

 公衆環境研究センター主任・馬軍氏によれば、都市における大気汚染抑制を推進するために、上記2団体は共同でAQTIを開発し、北京、上海、広州など国内20都市ならびにニューヨーク、ロンドン、ニューデリーなど世界の10都市の大気レベルの情報公開状況について評価を行った。(右のグラフを参照)

 グラフからわかるように、中国の20都市は全体的にポイントが低く、上位の3都市である北京、上海、広州もすべて40以下、最下位のウルムチ市に至ってはたった15ポイントだ。中国の都市において大気汚染が最も主要な環境問題のひとつとなっていることは周知の事実であり、汚染された大気は、数億に上る都市住民の生活に影響を与え、ひいては一部の住民の健康をも脅かしている。しかしながら、中国の都市の大気レベルについての全体的な情報公開は初歩的なレベルにとどまっており、海外の都市とは明らかな差がある。

 中国は今まさに急速な工業化・都市化の渦中にあり、都市の大気汚染の多くはこうした発展段階における副産物であると報告は指摘している。西側諸国の多くも、かつてロンドンの煤煙、ロサンゼルス光化学スモッグ、日本の四日市ぜんそくといった、世界の環境保護史に残る大気汚染事件を起こしており、市民の健康に対し深刻な影響を与えた。長期的な努力により、西側諸国の都市大気汚染は、環境全般と同様に顕著な改善を勝ち取ってきたが、環境情報の公開が環境管理の重要な手段となり得ることは、1980年代以降の実践により明らかだ。都市の大気レベルのモニタリング改善及びそれにより得られたデータの整理と公開を通じ、全社会の大気汚染問題に関する注目度を高め、ひいては大気レベルの向上を促進し、人々の健康に与える公共リスクをできる限り回避・軽減することができる。

 中国には未だ、総合的な「国レベルの大気汚染と健康に関するモニタリング・ネットワーク」ができておらず、都市の大気レベル情報のモニタリング・収集・公開は、健康を守りたいという市民のニーズに対応できていない。

→(2)http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C11011902J に続く

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11011901J]
【翻訳】中文和訳チームC班  松江 直子]]>

口蹄疫対策、生命に対する最小限の礼儀でも持たなければ!

また、彼らがこれから経験しなければならない苦痛はどれほどになるのだろうか?

韓国全土 最近、高校に通う息子と一緒にテレビニュースを見ていたら、慌ててチャネルを回さなければならないことがあった。口蹄疫関連ニュースとして、ダンプトラックに積んだ、生きている豚を、まるでゴミを捨てるかのようにくぼみの中にパワーショベルで後処理(殺処分)をする姿とともに、すでに生き埋めにしたくぼみから血があふれ出し、周辺の環境を汚染させるという内容だった。本当に身の毛がよだった。これが21世紀の大韓民国の姿なのかと考えたら涙がこぼれた。

 安東で発生した口蹄疫が全国に拡散し、このように殺された牛・豚が150万頭に達するまでこれと言った対策も出せないでいる政府当局ももどかしく、がっかりするが、対策だと言って施行するのが生きている牛と豚を生き埋めにすることだとは・・・。しかも、口蹄疫確診判定も受けない家畜まで手当たりしだいに殺処分することがはたして最善かどうか考えると、自然と首を傾げてしまう。

 もちろん、口蹄疫拡散を止めるために殺処分が避けられないこともある。しかし、殺処分と生き埋め以前に施すことができる十分な対策を準備したのかということに対しては、専門家たちの間では多くの異見が出ている。ワクチン接種も同じだ。当初はまったく考えもしなかったのに、いまでは手当たりしだいに接種している。畜産農家の立場では、自分の子どものような牛・豚たちが何の過ちもなく生き埋めにされることを見ているだけしかできないとは・・・。彼らの気持ちはどうなのだろうか?

 家畜が食べるために殺されるのを前提に育てられるのはしようがないことだが、私は人に人権があるようにすべての生命体には生物権または動物権があると思う。口蹄疫地域にいるという理由だけで生きたまま埋められることを、私たちはどのように見なければならないのだろうか? 殺処分と生き埋めの対象を最小に減らす対策も講じなければならず、また結局殺処分を避けられない場合でも今と同じ方式ではいけない。生きている動物をくぼみに追い込んで、フォークレーンのシャベルの刃で押しつぶして殺す殺戮の光景を私たちの子どもたちはどのように理解するのだろうか? 彼らには、すべての生命を尊重しなければならないと教育することが、どれほど馬鹿馬鹿しく聞こえることだろうか?

 生き埋め現場から帰ってきた公務員たちと獣医たちの言葉によると、それはとても人がすることではなかったと言う。生き埋め現場に動員された公務員たちは、何日も夜眠れず悪夢にさいなまれていると言う。そうとしかできないと思う。元気な生命を生きたまま殴り殺して埋めてしまう作業に動員されたとなれば、その苦痛がどれだけ大きいことか? また、彼らがこれから経験しなければならない苦痛はどれほどになるのだろうか?

 動物福祉をする複数の団体は、有機農法で生産され、苦しまずに死んだ(家畜の)肉だけを食べるという。そして、苦痛を受ける動物たちのために私たちが環境運動、生命運動をするように、彼らは動物福祉を向上させるために努力している。私たちすべてが動物福祉論者ではないとしても、すべての生きている生命を尊重しなければならないのではないか? 私たちのために育てられ、また私たちのために死ななければならない生命たちに最小限の礼儀を守ってあげられたら、と思う。このために、生き埋めを禁止して、やむを得ず殺処分しなければならない家畜たちには必ず安楽死をさせることを要求する。もちろん分かっている。人力と薬品が十分ではないということを・・・。それでもこのようにしてはいけない。知恵を集めれば必ずいい解決策が見つかるだろう。

 それからまだある。この機会に日々増えている肉食文化と、まるで工業製品を刷り出すように大規模に育てて殺す畜産政策について、省察と変化が必要だ。口蹄疫や鳥インフルエンザがこのように手に負えずに広がることも大規模な畜舎で育てられたからだ。一度伝染病が広がると対策がない。私は今回の口蹄疫騒ぎを見ながら、私からでも肉食を慎まなければならないと念を押したい。肉食に対する欲望を少なくしなければ、今日のような事態は避けられないからだ。

【筆者】チェ・スングク(Choi, Seung-kook) / 緑色連合(Greenkorea) / 寄稿 /  [K11011401J]
【翻訳】安部 加奈]]>

対話から築く日中の環境教育の協働

日中環境問題サロン2010、「対話から築く日中の環境教育の協働」を開催

京都 あおぞら財団では、2010年11月26日(金)~28(日)の期間、中国の環境NGOで活動する李力氏と張亜東氏の二人を日本へ招聘し、日中の公害・環境問題について情報交流をおこなった。

 あおぞら財団が主催する「日中環境問題サロン」は、日本と中国の公害・環境問題に関する理解を互いに深めようという目的で、2009年11月に第一回を開催した。2回目となる2010年は“環境教育”をキーワードに、「対話から築く日中の環境教育の協働」と題して、京(みやこ)エコロジーセンターにて開催した。約50人が参加で、熱気あふれる会となった。

■13億人の力をあわせて

 李氏は、教員を辞職して独自のNGO・環境友好公益協会を創設した経緯や、現在の環友科学技術研究センターの活動内容を紹介した。日中韓3カ国の環境情報を発信・共有する東アジア環境情報ネットワーク(ENVIROASIA)の活動をはじめ、ゴミ問題、気候変動の問題など、幅広い活動を他のさまざまなNGOと連携しておこなっている。

 さらに、李氏は他のNGOの活動を紹介することで、中国が抱える環境問題の深刻さと、その解決に向けて闘っている人々の存在を伝えた。汚染企業と闘う形から、最近は円卓会議で、解決に結びつけるスタイルへと変わってきた事例や、森林伐採に反対する活動家は自分の身を守るために、2年間ずっと枕の下に包丁を隠して眠っていた事例など、現場の生々しい様子がわかる内容だった。

 「今、中国の環境問題はとても深刻ですが、中国には13億の人口がいるので、みんなが力をあわせて環境問題に取り組めば、きっといい方向に向かっていく」。李氏は力強い言葉で締めくくった。

■若い力で活動を推進

 張氏は、大学卒業後すぐに環境保全の活動に身を投じた自身の活動や、中国の大学生ボランティアの活動について報告した。黒竜江流域の生態保護や環境教育に取り組むNGO・緑色龍江は、黒竜江流域南岸の最大の支流である松花江の沿岸の工場による水質汚染問題への取り組みの他、モンゴルやロシアなど、他の国々とも連携した活動を行なっている。大学生ボランティアが中心になって、松花江の環境を学ぶ教材を作成するなど、若い力で活動を推進している様子が語られた。

■日中のそれぞれのやり方を融合

 京エコロジーセンターは地球温暖化防止京都会議(COP3)の開催記念館として設立された環境学習の拠点施設である。岩松洋氏は、日本のODAで建てられた、日中友好環境保全センター(北京)の1階と地下を改装し、環境教育施設をつくるプロジェクトに参加している。京エコロジーセンターでは「当事者意識」を大切にしており、ゴミ箱にゴミを捨てたり、電気のスイッチをつけたり、といった普段、無意識で行なっている行為を意識化させるためのプログラムや体験型の展示を提供している。

 中国では、人びとの生活や考え方も日本とは違うので、日本のやり方をそのまま持っていっても、合わないかもしれないが、それぞれのやり方を融合させていきたいと、岩松氏は述べた。

■公害問題から社会の矛盾を知る

 当財団の林美帆からは、大阪の西淀川大気汚染公害の歴史や、公害地域再生のための環境団体・あおぞら財団をつくった経緯、公害経験を伝えるための活動やプログラム、環境教材についての紹介がなされた。地元の小・中・高校生やその他の団体と連携して実施しているESD(持続可能な開発のための教育)の活動を通じて、子ども達のコミュニケーションの力があがったことや昨年の夏からスタートした「公害地域の今を伝えるスタディツアー」の報告があった。

 同氏は、「公害問題を知ることは、社会の矛盾を知ることでもある。自分たちは、そうした矛盾や問題を抱えている社会に生きていることを知り、解決してきた人たちの市民力に学ぶことが大事だと思って活動している」と述べた。

■交流を深める

 総合討論では、板倉豊氏をコーディネーターに迎え、4名の報告者がパネリストとして登壇した。「環境教育のめざすところ」、「NGOの果たす役割」という2つのテーマで意見交換を進めた。

 日本と中国との協力関係という点では、中国の状況を日本国内で発信することの必要性や、中国の弁護士の研修事業を日本で実施するといった具体的な提案があった。

 最後に板倉氏が、日本の失敗から得られる教訓をお互いに共有したり、中国の環境教育の実践から日本がその手法を学んだりして、日中で交流を深め、NGOどうしがつながっていくことが大事である、と述べて閉会した。

参考URL)http://aozorabsw.exblog.jp/13516003/

■プログラム(抜粋)
<中国からの報告>
 李力氏「環境教育から環境保護運動へ」(環友科学技術研究センター・会長/北京)
 張亜東氏「松花江の環境保護と青年活動」(緑色龍江・総幹事/ハルビン)
<日本からの報告>
 岩松洋氏「無意識を意識する参加型学びの場づくり」(京エコロジーセンター事業課長)
 林美帆「公害教育とESD(持続可能な開発のための教育)」(あおぞら財団研究員)
<総合討論>
 「日中の環境教育の協働」 コーディネーター 板倉豊氏(京都精華大学教授)

日中環境問題サロン2010~総合討論の様子

環友科学技術研究センター・会長 李力氏

緑色龍江・総幹事 張亜東氏

【筆者】鎗山善理子(YARIYAMA, Yoriko) / (財)公害地域再生センター(あおぞら財団) / 寄稿 /  [J11011401J]
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レジ袋制限令は二年半でレジ袋販売令に 消費者は排斥から習慣へ

時間はすべてを薄れさせてしまう。「レジ袋制限令」も例外ではない…

中国全土 時間はすべてを薄れさせてしまう。「レジ袋制限令」も例外ではなく、二年半前に「レジ袋制限令」が実施されたときは大反響だったのに比べ、今では「レジ袋制限」の熱はすっかり引いてしまい、レジ袋の使用量は著しくリバウンドしている。事実から分かるように、単にレジ袋代を消費者に負担させるやり方に頼っていては、根本から汚染問題を解決することはできず、適時措置を調整して、代替品を広く使用するよう推進していかなければならない。最も重要なのは、一人一人がしっかりと意識して、環境保護の習慣を身に着けることである。「レジ袋制限令」の実施の効果が薄れているのは、自分たち自身のせいであろう。

■レジ袋制限から二年半 「レジ袋制限令」は「レジ袋販売令」に変わりつつある

 2008年6月1日、「レジ袋制限令」が正式に実行された。規定に基づき、その日からすべてのスーパー、マーケット、自由市場などの商品売り場でレジ袋の有償使用制度を実行し、レジ袋の無料提供が一律禁止となった。二年半が過ぎた今、国内メディアが各地の「レジ袋制限」状況を「検閲」すると、「レジ袋制限令」は効果が薄くなっているという状況が広く報告された。レジ袋がなぜ再び勢いを盛り返したのか、その鍵は皆が「令」を「令」として執行しただけで、心から環境保護の習慣を身に着けていくべきだという点を認識していなかったことである。

 現在、「レジ袋制限令」は「レジ袋販売令」に変わってしまったが、今でも多くの人が「レジ袋禁止」の習慣を身に着けておらず、料金徴収も排斥から受容に変わっている。スーパーでレジ袋を買っているのはほとんどが若者であり、男性が多数を占めている。エコバッグを携帯している顧客は、多くが中高年か女性客である。スーパーに買い物に行く時間が決まっておらず、出かける時もエコバッグを持ち歩く習慣がないため、袋が必要な時はスーパーから買う人もいる。当初、非常に多くの人が料金徴収に敏感で、節約のため一時的にレジ袋の使用を控えていた。しかし、ある適応段階を過ぎると、人々の志向が変わり、お金のかかるレジ袋を受容し始めた。その結果、スーパーの収入は増え、コストは多くの消費者に転嫁されてしまった。

 非常に多くの人が、環境保護は口だけの段階に留まっており、レジ袋を使いながらも、口ではエコを語っている。たとえその害を被ることがあっても、あっという間に環境保護を自分から始めるという重要性を忘れてしまう。「レジ袋制限令」に対する態度を思い返すと、我々は、政府と企業が環境保護に責任を担う以外に、生活環境に最も保護責任と広い影響力を持っているのは、環境で生活している私たち独立した個人である、という点を忘れているのだろう。

■紙袋とレジ袋、どちらがエコか?

 レジ袋の最大の「罪」は、それがポリエチレンから作られ、分解できず、その原料である石油も再生できないことである。それに比べ、紙袋は分解可能で、その生産原料は樹木であり、再生可能資源である。しかし、紙袋の「罪」も多い。例えば、紙袋生産過程では深刻な水質汚染と大気汚染をもたらし、紙袋をリサイクルしても、より多くのエネルギーを消費する必要がある。レジ袋に対し、不要となった紙袋の廃棄はより多くの空間を占めることになり、ごみの埋め立て処理では、多くのごみと同様に分解が難しい。

 レジ袋を使用する習慣になったのは、経済的だというのが主な理由である。アメリカのビニール業界の統計によると、普通のレジ袋を生産するのに必要な費用は1セントだが、紙袋の生産には4~5セントかかり、分解できるレジ袋を生産するのには8~10セントかかる。

 また、レジ袋は回収、リサイクルが可能だが、多くの人に捨てられている。アメリカの環境保護庁(EPA)の統計によると、2005年に再利用されたレジ袋はわずか5.2%で、再利用された紙袋もわずか21%であった。そのため、環境保護に携わる人は、紙袋とレジ袋ではどちらがエコかを論じるよりも、エコバッグを携帯する習慣を身につけるほうが、非常に大きな問題を解決できる、と考えている。

【筆者】新文化報 / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C11010501J]
【翻訳】中文和訳チームC班  橘 高子]]>