震災とエネルギー需要

原子力発電の是非が問われる

日本全土 東京電力福島第1原子力発電所の事故は、今なお収束の見通しは立たず、手順を設定して事に当たっても、予期せぬ事態が立ちはだかり、思うように捗らない。直近では高濃度の放射能を蓄積した内部の水が海に注ぎ出すのを何とか食い止めるための処置が続いている。冷却システムを稼動させるのは、この水を安全に移動かつ無害化した後のことになる。とにかく先が読めない。

 3月30日、全国にある原子力発電所の緊急安全対策の実施が経済産業省から発表された。だが、原子力発電のリスクの高さが明らかになった以上、この対策は文字通り緊急の策であって、今後も原発が永続することを保障するものではない。これまで通りのエネルギー量を確保するためにも原発を残すべきか、それとも原発に依存しなくて済むようなエネルギー量を模索し、適正なエネルギーでの暮らしを実践すべきか。国民的議論に付すべき課題であることは間違いない。

 建設計画が進む山口県の上関をはじめ、反原発・脱原発の動きが強まっているのは、単なる反対運動ではなく、エネルギー見直し機運の高まりを受けてのものとも言える。東京都内でも複数のデモが展開されており、今後も各地で広がることが予想される。

 計画停電は、不幸にも交通事故を招くなど負の側面があることは否めない。だが、総じて節電の機運につながっていること、長時間働くことが当たり前のようになっていた勤務体系の見直しにも貢献していること、都会の夜に星空が戻るようになったことなど好ましい側面もある。地球温暖化防止を訴えたところで、行動になかなか直結しないとされていたものが、部分的であってもそれが実現しているとの見方はある。「全面的な停電を防ぐ」という共通する目標と、「もし停電になったら」という危難に対する当事者意識とが人々を動かしている。この流れがある以上、エネルギーの見直しは十分可能だ。

 まずは総量の抑制、それでも足りない場合は自然エネルギー、あとは一人ひとりの地道で継続的な節電、そうした社会的合意が速やかに形成されれば、夏場の電力需要予測(5,500万kw)をもっと低い数字に抑えられるのではないだろうか。

《参考リンク》

 ・省エネルギー・低炭素社会へ向けて~東日本大震災を受けて~(気候ネットワーク)
  http://www.kikonet.org/research/energyshift.html

 ・上関原発建設反対署名
  http://www.antinuke.net/kaminoseki/

 ・銀座から東電本社前を反原発デモ
  http://www.janjanblog.com/archives/34913

 ・普通の人々が「原発は要らない」
  http://www.janjanblog.com/archives/34993

《参考データ》「東北地方太平洋沖地震」

・発生日時:2011年3月11日14時46分頃
・震源:三陸沖(牡鹿半島の東南東約130km付近、深さ約24km(暫定値))
・マグニチュード:9.0(世界第4位)

・震度5弱以上の観測点:東北や関東を中心に89か所
・全国4,200か所余りある震度観測点の、およそ65%(2,777か所)で、体に感じる地震を観測

・マグニチュード5.0以上の余震の回数:372回(3/29)

・犠牲者数:11,362人
・行方不明者数:16,290人
・避難者数:173,649人(ピーク時は40万人超)
 (いずれも3/30 21時時点)

・津波で浸水した面積:443平方km(被災地域の市街地の22%が水没)

・地震発生当夜の都内避難者数(帰宅不能):1,030施設で約94,000人

・海外からの支援申し入れ:102カ国・地域、14機関(3/15)

・上場企業(3,625社)のうち、少なくとも1,135社が工場などに被害(3/24)

・津波被害にあった漁船(20トン未満)の数:宮城県だけで約12,000隻(県に登録された船の9割)

・復旧していないライフラインの状況:
 停電 186,589戸、断水 約33万5千戸、都市ガス供給停止 325,525戸(3/29)

・主な出荷制限(3/29)
 (福島県産)ホウレンソウ、カキナ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、シュンギク、キャベツ、ハクサイ、レタス、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、原乳
 (茨城県産)ホウレンソウ、カキナ、パセリ、原乳
 (栃木県・群馬県産)ホウレンソウ、カキナ

※関連画像(筆者撮影)
 http://www.enviroasia.info/earthquake/

朝の通勤時間帯でも駅のエスカレーターは停止。階段には人があふれる。(3/24)

茨城県産のホウレン草は基準値を超える放射性物質が検出されたことで出荷停止。埼玉県産のホウレン草は規制されていないが、価格が下がっても売れ行きは鈍い。(3/23)

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J11033101J]
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ゴマフアザラシの呼びかけ「私たちの家より道路が大事ですか?」

棲息地が破壊され、ゴマフアザラシの生存環境が著しく変化したため、活動範囲が狭められている。

遼寧省 2011年2月度に、遼寧省盤錦市は遼寧省浜海道路唐海線から三道溝までの路線の工事を行う計画だが、この道路はゴマフアザラシが棲息する双台子河国家自然保護区を縦断しており、棲息地の自然環境に深刻な影響を与えている。3月20日頃、盤錦市ゴマフアザラシ保護ボランティア協会は、微博(中国語のミニブログ)を通じてこのことをウェブサイトにアップし、多くのNGOと市民の注目を集めた。一時この情報の転送数は一万件以上に達した。それと同時に環境保護NGOはすぐにメール・微博(中国語のミニブログ)等のネットツールを通じ、ゴマフアザラシの基本情報を共有し、この突発状況に対してどのように対応するかを話し合った。

 唐海線から三道溝までの路線の工事はゴマフアザラシの棲息地を縦断しており、工事中及び工事後の騒音及び人類の活動が棲息地を破壊するため、ゴマフアザラシの生存環境が著しく変化し、活動範囲が狭められている。ゴマフアザラシのような棲息環境に対する要求が高い動物にとっては大きな打撃となることは疑いない。

 盤錦市ゴマフアザラシ保護ボランティア協会、阿拉善、自然之友、達尓問、厦門紅樹林保育連盟、蔚然大連、大連環境保護ボランティア協会等、中国国内の環境保護NGOが団結してアザラシ保護を呼びかけるキャンペーンを始動する。大連市及び盤錦市の多くの地域で同時に、ゴマフアザラシ人形の配布・映像放映・ゴマフアザラシへのメッセージ募集等の活動を通じて、市民にゴマフアザラシを紹介して理解を深めてもらい、棲息地保護の状況への関心を高める計画である。

 西太平洋ゴマフアザラシは、食肉目イヌ亜目の鰭脚類の一種で、アザラシ科ゴマフアザラシ属、中国二級保護動物である。北太平洋の海域及びその沿岸と島に主に分布している。中国では主に、渤海と黄海に分布しているが、南海地区で見られることもある。大連地区の分布先は主に遼東湾一帯で、そのうち遼河が海に流れ込む盤錦地区は棲息繁殖地となっており、大連沿岸・長興島・旅順沿岸は移動時に必ず経由する地点である。

 遼東湾のゴマフアザラシ個体群の頭数は、1930年に7,100頭だったのが、1979年には2,269頭まで減少している。その後保護措置が取られたので、1993年には4,500頭まで一旦回復した。しかしここ10年、遼東湾のゴマフアザラシ個体群の数は急激に下降し、毎年遼東湾に来て棲息・繁殖する個体群の数は今ではわずか1,000頭余りとなっており、すでに絶滅の危機に瀕している。

 遼東湾のゴマフアザラシは他の個体群と交配しない習性があり、未だ純粋な遼東湾血統を保っている。そのため、遺伝多様性のレベルが低く、個体群の生存能力がやや低くなっている。これはおそらく過度の捕獲が個体数の不足を招き、近親交配を迫られた結果である。また遼東湾海域の環境破壊がこの個体群の生存能力低下の原因であるとも考えられる。

【筆者】蔚然大連  程 淑玲 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11033002J]
【翻訳】中文和訳チームA班  野口 順子]]>

第6回シベリア河川会議録

ロシア、アメリカなどの有識者、環境保護機関代表、政府、企業代表と交流し、どのようにダム、汚染などの破壊から河川を守るかを話し合った

世界 3月22~24日、環友科学技術研究センターの責任者である李力と緑色龍江の責任者である張亜東はロシアのクラスノヤルスク市で開催された第6回シベリア河川会議に参加し、50名以上のロシア、アメリカなどの有識者、環境保護機関代表、政府、企業代表と交流し、どのようにダム、汚染などの破壊から河川を守るかを話し合った。

 20日午後、飛行機は北京から飛び立ち、まもなく銀色のシベリア上空に入った。そこからさらに3時間西北に向かうと、突然一本の暗い帯が銀色の大地を引き裂いているのが見えた。私と李先生がこれは凍結していない河川だと分かると非常に驚いたが、その後すぐにこの河の上流には間違いなく大型のダムがあると気付いた。現地の人に確認したところ、思ったとおり、この河がエニセイ川で、クラスノヤルスク水力発電所によって、下流200キロメートル以上の流域が一年中凍結しなくなっていたのである。これは現地の気候、生態環境、動植物および人々の生活に非常に大きな影響を及ぼしている。

 シベリア河川会議は毎年一回開催され、今年が6回目である。この会議は民間社会の団結と強化に尽力し、市民の参加を推進し、シベリアとロシア遠東地区の河川保護に関する問題を解決し、ロシア国内と世界の経験を共有するためのものである。今回の会議では大型ダムと水資源管理問題に重点を据え、国を超えた協力、立法、市民参加および環境教育など様々な分野に及んでいる。

 22日午前の開幕式では、張亜東がオファーに応じて、中国の「第十二次五カ年計画」水力発電開発計画状況に関する報告を行い、会場の代表たちの関心を集めた。22日午後のグループ別報告「グリーン」グループでは、李力先生が中国の「グリーンチョイス」に関する報告を行い、より幅広い国際交流協力を行い、東北アジア環境ネットワークを構築し、一丸となって環境保護業務を行うよう呼びかけた。

 その他グループ別フォーラム、ディスカッションでは、異なる地域、異なる分野の代表の意見を聞いた。モンゴル河川・湖泊保護連盟からの参加者は、政府の立法で河川源流の保護を推進し、採鉱を禁止するという分野の経験を語った。彼らはバイカル湖の重要な水源の一つであるセレンゲ川上流の保護に努めている。アルタイ地区からの参加者は美しい風景と豊富な生物多様性を展示し、このような生態環境がダム建設、石油・ガス輸送パイプ建設の脅威にさらされていることを伝えた。アンゴラ川のNGO代表はダム建設による森林水没の処理問題を紹介し、会場の代表たちの激しい討論を引き起こした。ダム建設支援側の代表は会場でさらに激しい論争を引き起こし、代表たちはそれぞれ意見を述べた。ほかにも、環境教育の関係者が展示した可愛い写真パネルや、カムチャッカ半島からきた参加者の美味しいサーモン焼きなどがあった。

 また、今回の会議では、環友科学技術研究センターと緑色龍江が国内の複数のNGOと連携し、大会の影響力を利用して声を発し、大会の名義で中国政府に公開レターを書き、水力発電開発が招く様々な問題を重視し、水力発電プロジェクトの審査承認、管理を厳格に行うよう中国政府に呼びかけた。

 2名の留学生が懸命に通訳してくれたが、通訳してくれた会議内容はあまり多くなかったのが残念な点である。幸いなことに、会議開催側が会議の論文集を作成してくれたので、より多くの深い内容をゆっくりと理解することができる。

【筆者】緑色龍江  張 亜東 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11033001J]
【翻訳】中文和訳チームC班  橘 高子]]>

震災と都市生活

東北地方太平洋沖地震から2週間が経った。今、都市生活者としてできることは。

日本全土 2011年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」は、既報の通り甚大な被害・影響を及ぼした。犠牲者の数は増え続けている。被害の実態が明らかになるにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 強い余震はなお続き、自然現象から来る脅威だけでも負担が大きい中、原発事故をはじめとする人為的な災難も長引き、地震に関するニュースが止むことはない。

 最たる懸案である東京電力福島第1原子力発電所の事故については、再臨界と水蒸気爆発の可能性は否定できないものの、核爆発やチェルノブイリ事故のような破滅的な事態には至らないであろうとされている。ただし、最悪の想定で放出される放射能は、これまで一時的に放出されたものよりも桁違いに多くなる可能性があるとも言われている。すでに避難範囲の仕切り直しがされているが、その範囲の再検討やヨウ素131による害を抑制するためのヨウ素剤の配布計画の確立、より広範な地域での被曝を最小限に抑えるための具体的行動の周知などが必要、といった見解も出ている。

*参考情報:環境エネルギー政策研究所「最悪シナリオはどこまで最悪か」
 http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf

 原発の事故はまだ収束していない上、事故を発端とする二次的な被害(特に放射性物質の空中への飛散による人体・農作物・飲料水などへの影響)が広まり、いわゆる負の連鎖が起きている以上、予断を許さない状況であることに変わりはない。

 首都圏においては、放射性物質の他に、地域によっては液状化に伴う建物や水道の損壊、電力の一斉遮断を防ぐための制御策としての計画停電の実施(家庭への影響のみならず、交通信号の停止、鉄道の運休も)、そして時に強く発生する余震とがあり、これまでごく当たり前だった「都市生活」が送れない日々が続いている。生活基盤、その上に立つ暮らし、両方が揺らいでいると言っていいだろう。

 食品や日用品は、一時期よりは落ち着いてきた観はあるが、手に入りにくい品(入荷してもすぐに品切れになるもの)はまだ多く、それに輪をかけるように、ミネラルウォーターが品薄になった。その一方で葉物野菜を中心に買い控えが進むなど、総じて需要と供給のバランスが崩れてきているのがわかる。

 リスクが大きいと感じるなら、リスクがより小さい地域に避難するのも一策だ。だが、都市生活者としてできることは首都圏に限らず全国どこでも共通する。それは、自衛を前提としつつも過剰防衛にならない買い物行動であり、正しい情報の収集と伝達であり、より一層の節電であり、自己犠牲にならない範囲での被災地への支援だろう。

 あとは今後、社会的課題として出てくるであろう様々な事柄に、社会の一員としてともに受け入れ、ともに対処していくことが求められる。世界的には、震災によりサプライチェーンが途絶したことによる企業活動等の影響が一例として挙げられるが、国内だけとってみても、社会インフラ再構築の負担、さまざまな補償・賠償、自家用車など所有物の特定と所有者が特定できない廃棄物の処分、海洋汚染や海洋漂着物の対処、そして離散家族や震災孤児への対応といった人的なものまで多様である。

※関連画像(筆者撮影)
 http://www.enviroasia.info/earthquake/

※エネルギーのあり方、放射性物質以外の身の回りのリスク、東北地方太平洋沖地震のデータ的なまとめについては、次回とする。

震災に関係する各種情報等

・福島第一原子力発電所 事故情報(履歴)
 http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/fukushima-npps_status.html

・原子力発電所分布
 http://www.jaif.or.jp/ja/nuclear_world/data/f0301.html

・全国の放射能濃度一覧
 http://atmc.jp/

・気象庁 ウィンドプロファイラ(上空の風)
 http://www.jma.go.jp/jp/windpro/

・東京電力の電力使用状況
 http://setsuden.yahoo.co.jp/

・助けあいジャパン
 http://tasukeaijapan.jp/

・日中市民社会ネットワーク(CNET)「中国からの祈り」
 http://csnet.asia/archives/4011

パンをはじめ、あらゆる食料品が店内から姿を消した(3/14)

東京都千代田区では、30分の間に震度5強と震度4を観測。余震の後、皇居の半蔵門周辺に集まる人々(3/11)

液状化による被害が大きかった千葉県浦安市では、40日が経過してもなおこうした跡が残る(4/20)

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J11032501J]
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気候変動でお金はどう動く?

COP16の結果を受け、資金の使い方についての議論が交わされた

東京 2011年2月25日、地球環境パートナシッププラザ(GEOC)(東京都渋谷区)にて、気候変動関連のお金の動きについてのセミナーが開かれた(主催:国際環境NGO FoEジャパン)。昨今、気候変動をめぐって公的資金・民間資金が大きく動いている中、これまでの資金に関する議論や使い方を振り返るとともに、日本政府が進める二国間クレジットの動向などが紹介された。

 まず、気候変動の対策として国際社会でも最近議論が激しいREDD+について、レインフォレスト・アクション・ネットワークの川上豊幸氏により発表が行われた。REDDとは、途上国における森林減少・劣化防止による温室効果ガスの削減(Reduce Emission from Deforestation and Degradation in Developing countries)の略語で、そこに+を付随させたREDD+の活動には、森林減少と森林劣化から来る排出増を削減することなどがある。その実施にあたり、排出と森林などの参照レベルの設定、リーケージへの対処、先住民や地域住民の参加と権利の確保とFPIC(自由で事前の情報に基づく合意)などが課題として指摘された。

 次に、インドネシアで実施されているREDD+の現状紹介がFoEジャパンの満田夏花氏より行われた。

 インドネシアは森林減少率が世界で最も高い国で、さらに大量の炭素を貯蔵している泥炭地の破壊も進んでいることから、REDD+のデモンストレーション事業が進んでいる。オーストラリア政府が4年にわたり3,000万ドルを投資して行われるカリマンタン森林炭素パートナシップ(KFCP)事業は、泥炭湿地林の保全と再生を目指しているが、地元住民には十分な説明が行われないまま実施された上、実施する過程で、あえて住民の日常生活に影響を与えることがあった。森林保全と村の生計支援との両立ができない以上、無理な森林保護事業と言わざるを得ない。

 またREDD+は、コミュニティに土地・森林利用の制限、利益分配・外部資金への過度の依存など大きな影響を与える。現在実施されているデモンストレーション事業や自主的なREDD事業の影響や教訓を生かした制度設計が必要だろう。

 二国間クレジットについては、WWFジャパン 気候変動プロジェクトリーダーである小西雅子氏より、日本政府が進めている状況の紹介と、その問題点が解説された。現在、経済産業省、環境省、外務省がそれぞれの思惑で、まだ概念が確立されていない中で進められているため、原子力発電所の海外輸出分、省エネ家電やエコカーの使用に伴う削減分、先進国と発展途上国とでの排出量(ダブルカウント)など、計算すべき要素が盛り込まれていない。こうした疑問が残った状態を日本政府は国際ルール外の二国間クレジットで賄おうとしていると指摘した。

 REDD+にしろ、二国間クレジットにしろ、相手国が先進国ではない気候変動対策は、まず現地にとって役に立ち、支援になる必要性があるのではないかと思う。地球全体の環境のためであっても、現地の生活やコミュニティを破壊していいはずはない。気候変動対策は、地球にも人にも優しいことがまず優先ではないだろうか。

二国間クレジットの問題点について語る小西雅子氏

【筆者】朴 梅花(Piao Meihua) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J11032502J]
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ダムと原子力安全の記者サロンに参加して

今回の原発事故から教訓を得ねばならない。各国政府には原子力発電所の建設を慎重に考慮し、電力供給のマクロ戦略を進めてもらいたい。

北京市 3月16日午後、私は緑家園(Green Earth volunteers)主催の「環境記者サロン」に参加した。今回のサロンのテーマは、怒江ダムの建設と地質特性、および原子力安全を巡る問題が中心となった。日本で大地震による原発事故があったため、今回のサロンは特に注目されており、参加した記者や環境問題に取り組む人々は以前より多く、議論は白熱した。

 まず、原子力工業北京地質研究院の孫文鵬研究員が怒江の断層の性質がダム建設に及ぼす地質へのリスクを、中国地震局地質研究所の徐道一研究員が怒江の開発・地震、及び地質災害を認識する方法の問題点と科学的見地を紹介した。この2名の地質専門家は、もうすぐ建設されるダムの怒江所在地における構造の脆弱性を討議し、長年の研究考察と科学実証資料を以てダムの建設に疑問を呈した。

1.怒江地震、地質災害のリスクは、希少で独特な所在地の特性によるものである。怒江の断層は活動の最も盛んな場所にあり、怒江大断層は現在もなお動いている。

2.怒江ダム区域ではあちこちでがけ崩れがあり、地滑りや土石流の危険がある地域である。怒江の流域は雨量が多く、雨期、特に6~8月の降雨集中期には激しいにわか雨が断層に降り注ぎ、地層が切り立ち、ぼろぼろになった怒江の両岸は、洪水時の最高水位に達する。

3.西南地区の大地震と雲南の強い地震はここ100年で明らかに増加しており、今はまさに巨大地質災害や異常気象が頻発している時期である。怒江において稀にみる地質災害が発生する確率は、現在もこれからも相当に高い。

4.怒江連接水系開発は地質災害のリスクを増大させるであろう。活発な地震活動エリア上に川をまたいで建設するダムに人類はまだ成功したことがない。過去十数年に我が国で建設した巨大ダムの技術を過信してはいけない。

 続いて、環保部原子力・輻射エネルギー安全センターの趙亜民研究員が「原子力安全概要」のテーマで原子力安全の基本概念・原則を紹介し、原子力安全と日本の原発事故に対する自身の考えを詳しく述べた。また、原子力事故における人的要因について指摘し、原子力安全の専門人材の育成と、原子力安全情報を公開する透明性について、その重要性などを強調した。

 実は2002年、東京電力福島原発の検査において29の大小の安全問題が見つかっていたが、このことを国に報告していなかったため一年間発電をストップするという処分を受けていた。1979年3月28日のスリーマイル島原発事故と1986年4月26日のチェルノブイリ放射性物質漏洩事故はともに作業員の小さなミスが原因であった。偶然にも、歴史上最も重大な放射性物質漏洩事故はすべて原子力安全技術の最先端国家で発生していた。彼らは繰り返し自分たちの原子力発電所は安全だと強調していたが、放射性物質漏洩事故を防ぐことはできなかったのである。

 各国政府は原子力発電所を稼働させていく中で、予測可能なリスクについて十分対応できると強調しているが、今回の日本の原発事故のように予測不可能なリスクに見舞われたときには人類が全くコントロールできない大災害をもたらしてしまうであろう。

 北東アジアの日本・韓国・中国は気候変動対応と省エネ、二酸化炭素排出量削減の理由で、今まさに原子力発電所の建設を強力に推し進めている。我々は今回の原発事故から教訓を得なければならない。各国政府には原子力発電所の建設を慎重に考慮し、電力供給のマクロ戦略を進め、国家のエネルギー政策は需要コントロールに重点を置き、再生エネルギー開発をさらに重要視してもらいたい。

 日本国民が一日も早く困難を乗り越えるよう願っています。また、被災者の方々にお悔やみ申し上げます。

【筆者】呉 東建 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11032301J]
【翻訳】中文和訳チームA班  近藤 玲]]>

雲南省盈江県のM5.8地震・日本のM9.0地震から学ぶべき事――私達の提言

大規模事業の計画、建設と災害管理、巨大地震とその防災・減災に関して大変重要な教訓となる。

東アジア 雲南省盈江県のマグニチュード5.8の地震は、怒江断層帯が交差する大盈江断層帯上で発生した。今回の地震によって、怒江など大活断層上にある滇西地震帯の活発な活動、また中国西部の河川上での階段状の水力発電所開発における地質リスクが再度露呈された。日本のマグニチュード9.0大地震と巨大津波、原発の爆発事故等の後続災害もまた、私達にさらなる警告を与えた。大型事業の計画や建設及び災害管理において、巨大地震とその後続災害の防災・減災に関して極めて重要な意義があった。私達は、3月16日に国務院常務会が提出した「中国の核施設の全面的な安全検査」、「核施設操業の安全管理強化」、「建設中の原発の全面的な審査」、「核安全計画の承認前における原発の審査許可停止」など一連の決定を評価している。中国西部で現在実施されている大規模な水力発電所開発についても、同様に地震誘発や地質災害激化などリスクに直面している。よって、私達は以下の提言を行う。

1.中国西部の大河川上に建設が計画されている未承認の大型水力発電所建設や広域送水事業、例えば怒江やチベットのヤルツァンポ川等河川上における階段状水力発電事業、南水北調計画等は一旦凍結し、慎重に方策を決定するべきである。より総体的かつ緻密な地質・生態・社会等の科学的環境影響評価と論証が必要である。すでに自然保護区に指定されている河川については、保護を強化し、大型事業開発のためにこれらの保護区が縮小されたり侵されるようなことがあってはならない。

2.未認可にも関わらず着工している大型水力発電所事業については、決然と差し止めを行い、環境影響評価や市民参加、行政審査許可等の手続きを十分なものにした上で完了させる。

3.大型事業プロジェクトの評価と意思決定プロセスにおいては、関係法規に則り、市民およびステークホルダーへの十分な情報公開をすること。また、特に開発サイドと異なる考えを含めて広く意見を聞く。

4.認可済の建設中または完成した大型水力発電事業については、徹底して四川大地震の総括を行い、舟曲土石流災害等、重大な災害の経験を教訓とする必要がある。国の法律に沿って、地震及び地質災害の監視・事前警報システムを確立し、その影響の及ぶ地域の防災基準、防災措置の現状を十分検証する。その上で、基準に満ない建築、特に重要公共建築については、補強あるいは改造を期限設定して行い、事前警報、避難救済体系を確立する。

5.「全河川流における階段状の水力発電所開発」という短絡的な利益最大化の追及、非科学的かつ持続可能でない開発モデルを根絶し、「環境保護法」「水法」「野生動物保護法」「地質災害防治条例」「自然保護区管理条例」「風景名勝区条例」「野生植物保護条例」等法律法規に沿ったものにする。中国西部、特にチベット高原の天然河川では、特別に保護政策をとり、重要な生態機能、環境機能、景観機能を持つ地域、および大型事業によって重大な地質災害が起こる可能性がある河川及び流域、天然河川保護区を設定し、大型水力発電所建設や環境を破壊する開発活動を禁止する。

2011年3月18日

NGO署名:

緑家園ボランティア
緑色流域
成都河川研究会
緑色浙江
緑色龍江
雲南エコネットワーク
吉林省通楡県環境保護ボランティア協会
アモイ緑十字環境保護ボランティアセンター
盤錦環境科学普及公益協会
黒竜江省綏棱(すいりょう)県節水協会
中国政法大学 環境汚染被害者法律幇助センター(Center for Legal Assistance to Pollution Victims)
北京環助弁護士事務所(Beijing Environment Aid Law Firm)
安徽緑満江准環境発展センター
河北緑色知音
陝西省環境保護ボランティア ママ協会(Shanxi Volunteer Mothers Association for Environmental Protection)
北京緑の光環境文化発展センター
淮河衛士
雲南昭通黒首鶴保護ボランティア協会
大連市環境保護ボランティア協会
環友科学技術研究センター

個人署名:

範暁(地質・環境学者)
汪永晨(緑家園ボランティア呼びかけ人)
愛南山(四川学者)
兪新濱(環境保護ボランティア)
候永立(北京吉世豪科貿)
張娟児(中国経済時報)
王妍(中国新聞週刊)
李紅
于暁燕
王香玲
朱懋
王謝燕
金微
王澤龍
蔡敬
林静
章軻(第一財経日報高級記者)
韓楽悟
胡珊珊
張艶鑰
李梅影(21世紀経済報道)
王平(「改革内参」編集記者)
陳志紅(国家生態修復基地インキュベーションセンター)
蕒健瑩(「低炭素世界」雑誌)
万金華(航天二院706号)
徐宏日(北京威得威奥国際広告メディア有限公司)
王雅心(北京市環境保護局監測センター(OB))
胡宏(中科院計算技術研究所)
周晨
黄偉夫
宋麗莎(華盛(深セン)フィルター有限公司)
陳暁鳳(中国自動車報社)
候永立(北京吉世豪科貿有限公司)
簫遠(緑家園ボランティア)
丁平(中国環境報記者)
張静(国家電網亮報)
金弘蔓 税関総署統計局)
杜悦英(メディア関係者)
曽勇 簡陽市教研室(何伯芳 黄蜀秀 王錦鳳 章前 夏応全 何宗萍 袁林 黄素祥 楊菲 劉琴)
四川省新津県華潤高校
王昌勇(四川省南充一中)
鄢福生(緑色和諧使者会長)
張林源(蘭州大学資源環境学院元教授)
陳霞(四川大学学生)

【筆者】緑家園ボランティア・緑色流域・環友科学技術研究センター等、NGO20団体と若干名 / 環友科学技術研究センター / 寄稿 /  [C11032302J]
【翻訳】中文和訳チームB班  額田 拓]]>

【臨時メッセージ】ENVIROASIAをご覧の皆様へ

中国、韓国の友人からの多くの励ましに厚くお礼申しあげます

日本全土 2011年3月11日に東北地方で発生したマグニチュード9.0という日本の観測史上最大となった地震と、それによって発生した大津波によって、ほんのわずかな時間で、大変多くの方が犠牲となりました。そして、現在でも40万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。今回の地震と津波による被害にあわれた方々に、心からお悔やみと哀悼の意をささげます。

 今回の想定外の規模の地震によって福島県にある2つの原子力発電所が被害をこうむり、2つの原子炉で水素爆発が発生するにいたりました。そして3月14日現在、なお故障した原子炉を安全化することができず、最悪の事態も想定しながら、その成り行きを多くの人々が固唾をのんで見守っているところです。

 福島で起きている原発事故を目の当たりにした日本の市民は、原子力発電の恐ろしさをあらためて知らされることとなりました。今回の一連の出来事の経過と記録は、少し落ち着いてから、ぜひ中国や韓国の皆さんともENVIROASIAを通じて共有したいと思っています。

 今回の大惨事を知った中国、韓国の友人から、多くの励ましと安否をきづかうメッセージをいただきました。そのどれもが温かく、今ほど、これまで培ってきた僕たちの絆をありがたく思ったことはありません。心より感謝申し上げます。また、中国や韓国をはじめとする諸外国の政府や国際機関からの緊急支援、そしてあらゆる地域の市民の皆さんが被災地に応援のメッセージを送ってくださったことは、日本で生まれ育った一人として本当に胸が詰まる思いで、大変感銘を受けました。

 地震発生による被害の全貌もいまだ明らかになっていない現状では、市民レベルで被災地に対してできる支援は限られています。それでも、きっと日本の市民は立ち上がります。その際には、どうかまた、みなさんの力を貸してください。市民レベルでの具体的な支援が可能になった暁には、ENVIROASIAでも微力ながらその呼びかけをさせていただきたいと思っています。どうぞ、これからもご支援をよろしくお願いいたします。

東アジア環境情報発伝所 代表 廣瀬稔也

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J11031401J]
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「生きたツキノワグマからの胆汁採取を一刻も早く止めよう」中国の62の環境保護団体が呼びかけ

生きたツキノワグマからの胆汁採取業を廃業させるという決定と決心は、すべての問題を解決する前提である

中国全土 先日、帰真堂薬業の株式上場申請に対し、中国各地の市民から幅広い疑問の声が上がった。生きているツキノワグマの胆汁を採取するという残忍で不必要な業種自体、その存在が問われている。

 多くの証拠によれば、生きたツキノワグマから胆汁を取り出す専門業界は、万単位のツキノワグマに多大なる身体的・精神的苦痛を与えている。またその胆汁を使った製品の代替不可論も厳しい反論に直面している。製品の多くは、傷ついたり病気になったりしたツキノワグマから取られ、消費者の健康への影響も懸念されるためだ。主要なインターネットサイトの民意調査によれば、回答者の90%以上にあたる10万以上の市民がこうしたクマ牧場を廃業させることを支持している。この結果からも、クマ牧場の廃業は広汎な市民の支持を得ているとして、私たちは、関連部門が民意に応え、この業種の必要性を再審査し、早期に決定を下すべきだと訴えたい。

 中国人はいにしえより動物を愛する文化的伝統がある。自然と調和して生きるという理念は、漢方を含む中国の伝統文化に深く根を下ろしている。ここ数十年来、動物虐待が増加しているが、今回、生きたツキノワグマから胆汁を取るクマ牧場に対し全国的な市民の反対の声が上がったことは、人々が動物虐待問題を考え、虐待を否定したことを表している。

 私たちはこの業種を廃業させるに当たり一連の問題に直面しなければならず、関連各方面の利益訴求も考慮すべきだが、この業種をなくすという決定と決心は、すべての問題を解決する前提であると確信している。それがなければ、この問題は引き延ばされ、ますます解決が難しくなるであろう。

 私たちはまた、この業種を廃業させることにより生じる問題の解決には楽観的である。より多くの、動物保護業界、医薬業界、法律業界、経済界、教育界、文化人を含む専門家がツキノワグマ保護事業に加わることを切に希望する。更により多くの民意代表者が、市民の訴えに耳を傾け、この業種の必要性を全面的に再考し、法規や政策レベルで理性的な提案をするよう希望する。また、関連部門もこの問題に対し、正しい選択を行うと信じる。

 動物保護団体の職員は長年ツキノワグマ保護事業に従事し、大量の専門知識と豊富な経験を蓄積した。メディアプラットフォームとして、私たちは厳粛な討論の推進に尽力し、科学的分析と意見の収集を行い、各方面と共に実行可能な方策を制定し、善後策につながる活動を全力で支援する。

 呼びかけに応えて署名した全国の団体:

1.アジア動物基金
2.行動アジア動物保護チー
3.達爾問自然求知社
4.首都愛護動物協会
5.中国動物愛護ネットワーク
6.北京犬猫ボランティア団本部
7.北京“ともに歩む”動物援助センター
8.北京クールペット新天地
9.北京ラッキーキャット
10.北京ワンニャン孤児院
11.北京“ともに歩む”動物援助センター
12. 友達を食べないで
13. 重慶市小動物保護協会
14. 長春市小動物保護協会
15. 長沙市小動物保護協会
16. 承徳精霊の約束遺棄動物救助
17. 成都市愛之家動物救助センター
18. 成都市啓明小動物保護センター
19. 大連寵愛天下
20. 福建省環境保護ボランティア協会
21. 福州ペットネット
22. 広元市博愛動物保護センター
23. 広州ペット愛好家の家
24. 河北環境保護連合会
25. 邯鄲市小動物保護ネット
26.良い猫・良い犬ボランティア団上海支部・北京支部
27. ハルビン市小動物保護協会
28. 華東師範大学陽光小動物保護サークル
29. 済南市黄河野良犬救助センター
30. 緑の葉の方舟
31. 南京市平安阿福動物保護団体
32. 南寧野良猫
33. 青島小動物救助センター
34. 蘇州小動物保護ボランティア協会
35. 石家荘一米・愛野良猫救助チー
36. 山東泰山動物保護協会
37. スワトウ愛猫者協会
38. 上海市牧畜獣医学会小動物保護分会
39. 深セン猫ネット
40. 深セン野良犬ステーション
41. 天津共通の郷里
42. 天津仁愛救助社
43. 武漢野良ペット救助ステーション
44. 西安紅ザクロペット救助センター
45. 和やかな森林・広州の猫
46. アモイ愛護動物教育専門委員会
47. アモイ阿福之家野良犬救助センター
48. アモイペットネット
49. アモイ玉米地小動物救助センター
50. 威海市大白鳥保護協会
51. 漳州小動物保護センター
52. 中国青年動物保護連盟
53. 無錫二泉小動物保護協会
54. 精霊之家-救助同盟
55. 衡陽市小動物保護協会
56. 北京国際菜食クラブ
57. 大連愛と生霊動物救助協会
58. 環境と動物保護教育チーム-安徽
59. 護生学舎
60. 北京ヒマワリ動物之友チー
61. 海南省小動物保護協会
62. 佛山温かな巣動物救助収容所

【筆者】騰詢グリーン / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C11030901J]
【翻訳】中文和訳チームC班  松江 直子]]>

「レジ袋規制」は有名無実になってしまうのか?――政府の姿勢はいまだ不十分

世論の関心低下に従い、多くの商店が超薄型レジ袋を使用しているという事態が後を絶たない。

中国全土 2007年末の“レジ袋規制”施行から早3年。かつて世論の注目を集めたこの話題が、多くの人々の目に触れることはすでにない。しかし、民間の環境保護運動家は追跡調査を諦めてはいなかった。1月27日、あるボランティア団体「民間レジ袋規制政策研究グループ」(以下、レジ袋規制グループ)は“レジ袋規制”実施状況に関する2010年度の調査報告書を出した。

 北京師範大学で博士課程を学ぶ毛達氏が発起人。彼は同僚とともに“レジ袋規制”がすでに袋小路に陥っていることをまざまざと見せつけられた。「規制が比較的によく守られていたスーパーマーケットチェーンでさえ、有名無実化が進んでおり、2009年と比べると、認知度が1割低下している」、 毛氏はこう語った。

 “レジ袋規制”スタート以来、レジ袋規制グループは毎年大規模な追跡調査を実施してきた。今回は3回目の調査となる。2010年の調査は夏に行われた。大学生ボランティアが調査の担い手となり、NGOの環友科学技術研究センターが取りまとめ役となった。楊緯和氏はこのプロジェクトの責任者。杭州、ハルビン、鄭州3都市において、スーパーマーケットチェーン、書店、洋服店、菓子店、農作物市場などの商店を対象に調査を実施した。楊氏は言う。「スーパーマーケットで181カ所、このほかの店舗で730カ所が対象。さらに各都市で800通前後の消費者アンケートを配りました」

 報告書によると、3都市平均で63%のスーパーマーケットが引き続きレジ袋について費用徴収を行っていた。だが、他の商店形態でみると、26%に過ぎず、特に農作物市場では盲点となっている。「これはあまりに低い水準だ。しかし驚くには値しない」、楊氏はこう言った。

 懸念されるのは、2009年と比べて“レジ袋規制”を知っている消費者の割合が1割近く低下したということだ。「恐らく、国家、メディアが大きな関心を払っていないからだろう」、楊氏はこう解説する。同時に消費者は政府の執行能力に疑問を投げかけており、一般人の“レジ袋規制”に対する支持も減ってきている。便利な生活が阻害されるという理由からだ。消費者のレジ袋の弊害に対する認識は、街の景観、分解の困難さという点に集中しており、資源の消費、下水道を詰まらせるなどといった認識は低い。“レジ袋規制”が上記のような問題の解決につながるという意識を持つ割合は減ってきている。

 毛氏は国家発展改革委員会の省資源・環境保護課の副課長である李静氏にメールを送った。政府が政策面でもっと関心を持ってもらいたいと。環境NGOはさらに以下の政策的な提言を行った。■一度全国的な調査を行い、パブリックコメントとして市民と意思疎通を図ること。■政策実施の責任部門、測定可能な目標、タイムスケジュールを明確化すること。■しっかりした取り組みを行っている団体を表彰することで、これを手掛かりにレジ袋削減の有望モデルを広げること。

 毛氏はさらに続ける。これまでの紋切り型の政策モデルを改めるべきだ。例えば極めて厳しい状況にある農作物市場などの商店には、短期的な免除措置を設けることで、まずは政策の執行能力を確保する。対応が徐々におざなりとなっているスーパーマーケットについては、“重要分野”として監督を強化。これにより高い順守レベルを維持する。「こうすれば長期にわたる“無法状態”から抜け出せるほか、限りある政策的資源を重要分野に集約できる」と毛氏は主張する。

 レジ袋規制グループは李静副課長に4通目のメールを送った。だが、返信がない。これまでの3通については、李氏は個人的な意見と前置きした上で、返事をしており、「レジ袋規制の効果などで横たわる問題について、より一層、関係各部門との連携を緊密に取り、調査・対応していく」と語っている。ここに至りレジ袋規制グループは、関係政府部門が自分たちの調査研究をきっかけとして真剣に対応し、また転ばぬ先の杖として、政策をもって具体化してくれることを期待するのだ。

*出所:南方週末報  http://www.infzm.com/content/55363

【筆者】南方週末報 記者  何 海寧 / 環友科学技術研究センター / 転載 /  [C11030701J]
【翻訳】中文和訳チームB班  畦田 和弘]]>