エネルギー政策の見直しに市民の声を

環境NGOによるパネルが、日本のエネルギー政策を評価・分析

日本全土 東京電力福島第一原発事故の発生は、放射能汚染を引き起こし、除染が必要な面積は国土の3%にも達する。住民は住み慣れた地域を離れ、生業を奪われてしまうなど甚大な被害をもたらしてしまった今、多くの国民が原子力エネルギーへの依存を減らしたいと望んでいる。

 こうした声を受けて、菅直人・前首相は退陣間近の8月下旬に「脱原発依存」を表明し、原発に依存するエネルギー政策の見直しを表明した。そして現在、複数の委員会で、発電コストや原発事故コストなどが再検討されている。

 そこで、気候ネットワークなど国内の環境NGOでは、脱原発へのエネルギーシフトを進める観点からエネルギー政策などの評価・分析を行う「エネルギーシナリオ市民評価パネル」を立ちあげ、2011年10月21日に「発電の費用に関する評価報告書」を取りまとめ発表した。

 その内容を要約すると、政府試算で安いとされる原子力発電の発電費用は設備利用率や運転年数によって火力発電よりも高くなる場合があるとし、原発が全て停止した場合でも省エネを見込めば国民負担は大きくならず、再生可能エネルギーを導入すれば原発停止に伴う火力発電運転に必要な化石燃料調達コストを抑え、中長期的には、国内の設備投資や金融に資金が循環し内需が拡大すると結論づけている。

 この結論に立ち、報告書は「国民負担の算出と可視可」「発電の費用負担増を回避するシナリオの比較検討」「原子力発電について社会面、倫理面からの再考」「エネルギー選択への国民の参画」などを政府に勧告している。

 政府は、エネルギー政策の検討に当たって検討委員会の委員に初めて脱原発を主張する研究者や環境NGOメンバーらを加えるなどこれまでにない変化を見せている。ところが、退陣した菅前首相から政権を受け継いだ野田佳彦首相は、国連総会で原子力エネルギーの利用継続を表明するなど脱原発依存に対して曖昧な姿勢を示している。

 福島原発事故のような悲劇を二度と繰り返さないためには、原子力エネルギーを手放さなければならず、そのためには国民の意志がエネルギー政策に反映されなければならない。この市民評価パネルが、脱原発を求める市民側の訴えの根拠となれば幸いである。

(参考URL)
・エネルギーシナリオ市民評価パネル「発電の費用に関する評価報告書」
 https://www.facebook.com/enepane

【筆者】山崎 求博(YAMAZAKI, Motohiro) / 気候ネットワーク常任理事(KIKO Network) / 寄稿 /  [J11102802J]
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中国の汚染とグリーン・チョイス・アライアンス(GCA)

サプライチェーンマネジメントを通じた汚染対処と汚染予防

中国全土 思わぬ災害などで部品の供給がストップすると、世界的に名だたる企業と言えど製品が作れなくなることが時として起こり、「サプライチェーン」という言葉とともに、その現象が説明されるようになって久しい。

 サプライチェーンマネジメントと称し、部材の調達先・供給網を把握するのが大手メーカーでは当たり前となっている一方、アクシデントが起こって初めて、その把握が不完全であることに気付かされる側面があることもまた否めない。最終製品を基点に、一次、二次、三次と遡る上でどうしてもグレーな部分が生じ、その不透明さがリスクになっているのは多くのメーカーに共通する課題である。採掘や精錬といった原材料の調達段階まで全て包括するようなサプライチェーンはマネジメントしようにもできない、というのが実情だ。

 中国におけるサプライチェーンマネジメントの課題を見えるようにする取り組みが、これまでもENVIROASIAで紹介してきた「汚染地図」(データベース連動型webサイト)であり、その掲載企業に対して状況の改善を求める「グリーン・チョイス・アライアンス」(緑色選択連盟、以下、GCA)(注1)の活動である。

 政府の環境保護機関によって記録されたデータや重点監督・制限を受けた企業のデータをもとに、これまでに6万件に上るデータが地図にプロットされる形で公表されており、その裏づけをGCAを構成する39の団体の協力(主に市民による監視等)により行なわれている。各団体がもとから取り組んでいた現場志向の調査活動や、突発的な重大事故に対する集中的な対応もあるため、参照すべき情報が多岐に及ぶこともあるが、汚染地図に載っているデータそのものの精度は一定であり、それゆえにその影響力は小さくない(2010年以降、5回行った記者会見では、概ね60~70社が集まる規模になっている)。

 汚染地図に掲載された企業の納入先をたどっていくと、各国大手メーカーの名が現れる。二次、三次と逆に調べるこの手法により、日本企業の名前も多く浮上してきた。大手のグローバル企業に照準を当てる形で各社に回答を促す取り組みを進めてきたことは、http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J10061101J にも記した通りだが、これは重金属汚染を重点的に追った結果が、IT産業に行き着いたこと、そして大手に訴えているのは、その波及効果がより大きいことから、というのが今般GCAについてヒアリングを行った中でわかった話である。

 今後はレノボをはじめとする中国国内大手にも着手する他、紡績、飲料、薬品、化学など他業種も視野に入れているという。日本企業については、アップル社に比べれば評価は悪くないものの、回答に基づく進捗が見えてこないケースが多いとされ、GCAサイドからの見方は厳しい。ただ、企業側としては、単に回答したか否か、その回答内容が良好かどうかだけで評価されることや、正直に回答するほどマイナス評価に陥る可能性を懸念する意見もある。また、しっかり取り組むには時間がかかるし、成果も見えにくい。安易な回答はできないというのが本音と思われる。そうした日本企業側のスタンスをGCAに伝えていく必要もある。(注2)

 北京市の中心部(環状五号線「五環路」の内側)には工場なはい。工場排水のリスクがない一方、かつては通常の河川として機能していた川が単なる生活排水の水路のようになっているところもある。汚染が特にひどいのは、朝陽区の広順北大街の東西付近、川の名は「北小河」である。市内にこういった状況がある限り、五環路の外側にある工場からの排水も万全とは言えなくなる。護河使者の張峻峰さんによれば、北京市内にも工場起因の汚染現場はあると言う。汚染地図との関連性を含め、その現場を特定できれば、把握できないとされるサプライチェーンが決して遠くない存在であることがわかるだろう。汚染対処と汚染予防、その両立のための一歩がそこにある。

(注1)
 GCAは、環境配慮していないメーカーのものは買わない、不買運動的な側面を有する(環境に配慮した製品やサービスを選ぶ、という日本で言う「グリーン購入」とは性格を異にする)。39団体が名を連ねているが、あくまで緩やかなネットワークで、体制図もない。中心的に取り組んでいるのは、公衆環境研究センター(IPE)、環友科学技術センター、自然之友、ダーウィン自然求知社、南京緑石の5つで、それぞれの強みを活かしつつ、独自に調査を行うところは行い、その結果を共有するなどしている。

(注2)
 発伝所で今夏、ヒアリングした日本企業の事情を、今回のGCAヒアリングの際にある程度伝えてはいるが、より直接的に伝える場が必要であると認識している。11月6~7日に広州で中国NGOの総会があり、同会で設けられる4つの分科会のうち2つでGCAを議題とすることが予定されている。発伝所では、日本のメーカー事情を伝えつつ、より具体的なアプローチを提案する機会として捉えている。
 直近(8/31公表)の「IT企業重金属汚染報告(第五期)」には、参考資料として日本企業の評価が掲載されており、社名が挙がっているのは、三洋、ソニー、東芝、パナソニック、シャープ、日立、キヤノンの7社。(各社からのご意見ご質問など、お待ちしています。info@eden-j.org宛)
 なお、日本企業の名が出てくるサプライヤー企業(汚染地図掲載)のリストは、GCA側で再度とりまとめてもらっている。

(謝辞)
 ヒアリングに協力いただいた各団体(公衆環境研究センター、自然之友、達爾問自然求知社ほか)の皆様、通訳で同行いただいた程藝さん、ありがとうございました。なお、今回のヒアリングは、環友科学技術研究センターの李力さんの協力により実現したものです。書中ながら深く御礼申し上げます。

(参考情報)

・Appleの側面2~汚染が水面下で蔓延(一)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C11083101J

・Appleの側面2~汚染が水面下で蔓延(二)
 http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C11083102J

・グリーンチョイスアライアンス(GCA)
 http://www.ipe.org.cn/alliance/gca.aspx

・IPE各種報告書
 http://www.ipe.org.cn/about/report.aspx

電子業界行動規範(EICC)での「紛争鉱物」に関するフローをもとに議論。(中国でのサプライチェーンの例を書く、自然之友の李波さん)

後方の高層住宅からも生活排水が流入。北小河は洗剤などの泡とともに、最終的には渤海に注ぐ。

【筆者】冨田 行一(TOMITA, Koichi) / 東アジア環境情報発伝所 / 寄稿 /  [J11102803J]
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福島の女たち、立ち上がる

福島第一原発事故の影響を最も深刻に受けている福島の女たちが、怒りとともに霞ヶ関に乗り込んできた。

東京 2011年10月27日午前10時、原発政策を所管する経済産業省前で福島の女たちによる抗議の座り込みが始まった。東京電力・福島第一原発事故が収束していないにもかかわらず、未だに脱原発に向わない政府に物申すためだ。彼女たちは、経産省前の植え込みに陣取り、29日までの3日間、非暴力を貫きながら脱原発を訴える。

 女性たちのリーダー的な存在である佐藤幸子さんは、「福島の女たちがいま声を出さなくてどうするのか。思いを声に出せるのはやはり女たち。人は、その人の中で変わりたいと思わなければ変わらない。自分の中で納得できたら変わっていく。この座り込みを通して、そういうものを目指したい」と、今回の座り込みにかける意気込みを話した。

 福島第一原発から約50キロの川俣町で農業を営んできた佐藤さんは現在、拠点を山形県米沢市に移している。5人のお子さんを育てた川俣町は、一部が、事故発生から1年内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある「計画的避難区域」に入る。

 佐藤さんは「やまなみ農場」と名付けた農場で自然農を展開し、全国から研修生を受け入れ、自然とともに生きる暮らしを実践してきた。その場が突然、原発事故で失われてしまった。でも佐藤さんはそのことについては今回、一言も愚痴をこぼさなかった。彼女の口から繰り返し出てきたのは、子どもたちを守りたいという思いだ。

 福島市出身の椎名千恵子さんも「やがては学校全体が保健室になる。町全体が病院になる。今は、1人ひとりが変わるとき。自分自身が勇気を持って立ち上がるとき。座り込みで命のつながりを確かめたい」と訴えた。

 今回の座り込みの参加者は、福島出身者からなる111名(主催者発表、24日現在)。30日から11月5日までは、これに続く形で全国の女性による座り込みが行われる予定である。彼女たちの思いは、はたして政府に届くのだろうか?でも、こうした声は大きくなるばかりだろう。

経産省前には、抗議の声をあげる女性たちが集った

福島の女性の先頭に立つ佐藤幸子さん

経産省を包囲する一角には、僧侶の姿も

【筆者】山本 千晶(YAMAMOTO, Chiaki) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J11102801J]
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楽亭の漁民、渤海の原油流出事件に関し、農業部および海洋局に行政不服審査を申し立て

農業部は漁業汚染事故調査鑑定機構と協力し、原油事故の責任者に対して賠償請求すべきである。

北京市 先日、渤海原油流出事件の影響を受けた河北省楽亭漁民の安進龍らが、農業部と海洋局へ行政不服審査を申し立てた。これまでに安進龍らは農業部に対し、楽亭県のナマコ養殖場が受けた原油流出事件の汚染状況を、法に基づいて調査および解決するよう申請しているが、農業部からの回答はまだ得られていない。安進龍は、農業部の行為は行政不作為に当たると判断した。

 農業部へ提出した『行政不服審査申立書』によると、安進龍らは農業部に対し、漁業汚染事故調査処理手順に従って更なる調査論証を計画するよう申請した。ナマコ養殖場のある臨海・近海の養殖区が蓬莱19-3号油田の原油汚染の被害を受けていないかどうかや、養殖ナマコの死亡原因について正確な結論を出し、書面にて申請人に告知するよう要求している。

 安進龍は、農業部は対応能力があり適正な費用徴収が可能な漁業汚染事故調査鑑定機構と協力し、申請人のために原油事故の責任者に対して賠償請求すべきであると考えている。また、因果関係の鑑定書と汚染損失評価の報告書も発行し、必要な技術支援も提供すべきだとしている。

 安進龍はまた、国家海洋局は蓬莱19-3号油田原油流出事故処理で情報公開が間に合わない局面で、間違った緊急対応をし、表面的な調査モニタリングだけで軽率な結論を下したことや、損害賠償基金も具体化していないのは、行政の違法行為や不当行為に当たると見なしている。

 国家海洋局へ提出した『行政不服審査申立書』によると、安進龍らは、追加対策を施し、原油流出の環境への影響に関する調査モニタリング評価を楽亭の海域一帯で全面的に展開し、海洋環境の監督管理について法定職責を真摯に履行するよう請求している。

 安進龍は、国家海洋局は“微細な原油汚染物の粒が拡散し、渤海西岸に影響を及ぼしている”という不正確な表現を改め、ナマコ養殖場のある臨海・近海の養殖区が蓬莱19-3号油田の原油汚染の被害を受けていないかどうかについて、申請人に対し正確な結論を提示し、書面でも告知すべきだとしている。具体的には、更なる調査論証を計画し、蓬莱19-3号油田の原油流出と消油剤の投入量やその毒性、移動コースや拡散パターンを入念に分析すること、原油流出のデータシミュレーションと総合的なモニタリング分析を重視し、原油流出事故が河北省楽亭の海域一帯の生態環境に与えた影響と損害を正確に評定し、報告書を作成した上で一般に公開することである。

 これら以外にも安進龍は、国家海洋局は会談や書面通知、国務院の指導介入などを通じて、康菲石油中国有限公司と中国海洋石油公司に対して行政指導を行うべきだとし、今後1ヶ月以内に『信託法』に基づいて蓬莱19-3号油田原油流出事故の損害賠償基金の設立と資本注入を行うこと、また、基金の管理人を決定して補償規則を公表することや、資金規模は30億元を下回らないこと、立案した海洋生態環境公益基金と民間が準備した海洋環境保護公益項目が互いに連携することを要求している。

【筆者】中国低炭素ネットワーク / 中国低炭素ネットワーク / 寄稿 /  [C11102601J]
【翻訳】中文和訳チームB班 棚田由紀子]]>

自然の友、マラソンでゼロ・ウェイストの理念を宣伝

マラソン参加者に水のカップやミネラルウォーターのビンと生ごみとの分別を促した。

北京市 環境保護民間組織である自然の友は、先日、17人を1チームとし、北京国際マラソンの「慈善ラン」活動に参加して、「ゼロ・ウェイスト」と「住みやすい街」という理念を宣伝した。

 このイベントの中で、自然の友はコースの最後に分別できるごみ箱を設置し、ボランティアの人たちは参加選手がゴミを正しく捨てられるようフォローした。

 自然の友 都市固形廃棄物プロジェクト責任者の宮悦は、以下のように述べている。「マラソン大会期間に出されたごみは、主に使い捨てカップやミネラルウォーターのビンなどリサイクル可能な物で、この他、少量の生ごみが出された。ボランティアが、マラソン参加者に水のカップやミネラルウォーターのビンと生ごみとの分別を促したため、カップなどのリサイクル可能なごみを、生ごみで汚さないですんだ。」

 「ゼロ・ウェイスト」とは、根本から有効な措置をとって、ごみの発生を避ける或は減らすということである。さらに、発生してしまったごみはきちんと分別し回収処理して、ごみの減量化率と資源化率を高め、最終的にはごみの埋め立てや焼却のゼロを実現することである。

 宮悦は以下のようにも述べている。「『ゼロ・ウェイスト』の理念は、製品の設計から廃棄に至るまでの全行程を一貫して行う必要がある。つまり、製品の設計段階においては資源の搾取を減らし、生産段階においては環境に良い材料を選択し、消費者が消費するときには繰り返し使えて、ごみになりにくい商品を選ぶことである。リサイクル可能な物は全て回収して利用し、生ごみは堆肥や飼料にし、危険廃棄物は全て専門の部門が回収処理し、出来る限り減らしたその他のごみは、最終処理施設で無害化処理すべきである。

【筆者】窦 麗麗 / 環友科学技術研究センター(EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology) / 寄稿 /  [C11102602J]
【翻訳】鈴木 清恵]]>

アジア3R推進市民フォーラム2011が開催

大量リサイクルを超えて~アジアの市民がシンガポールで議論

東アジア 2011年10月5~7日シンガポールにて、「アジア3R推進フォーラム第3回会合」(主催:環境省、シンガポール環境水資源省・国家環境庁、国際連合地域開発センター)が開催されました。「3R促進に向けた技術移転~適正な技術の適応、実施、拡大~」をテーマに、23カ国の政府やNGOを含め、国際機関や研究者など関係者約150人が参加。シンガポールのビビアン・バラクリシュナン環境水資源大臣は開催スピーチで、2050年には人口90億人となるこの地球において、日本の「もったいない」という言葉に言及しながら、3R推進が不可欠なことを強調しました。

 会期中、6日には、サイドイベントとして、「アジア3R推進市民フォーラム2011」(シンガポール環境評議会(以下SEC)、アジア3R推進市民ネットワーク(以下ネットワーク)共催)が開催され、シンガポールと日本、それぞれ6つのNGOから20人が出席しました。

 冒頭、SECのホセ・レイモンド事務局長からの挨拶に続き、藤井絢子ネットワーク代表が、今回に至るまでの、日本、マレーシアで行われた過去2回のフォーラムの内容、そして9月3日にネットワーク構成団体による日本大会で採択されたステートメントを紹介しました。続けて「ゼロ・ウェイスト社会に向けての市民のパートナーシップ」をテーマに、日本とシンガポールそれぞれの国の3R政策、廃棄物管理システムとその課題についての報告がなされ、さらにシンガポール2団体、日本4団体のNGOからの事例報告が行われました。

 これを受け、「大量リサイクルを超えて」と題して、フォーラム終了間際まで、活発に総合討論が行われました。一部内容を紹介すると、

「シンガポールでは、町中にリサイクルボックス(缶、プラスチック、紙、その他)が見られるが、市民の間では日本ほど3Rが浸透していない。日本では多くの家庭で、ごみの分別が行われているではないか」との問いには、「日本では、市民の間で3Rが習慣として身に付き、リサイクルシステムができるのに30年かかっている。学校や家庭での教育、さらに日本では、市民・NGOが行政を引っ張る形で、循環型社会に向けたシステム作り、関連した法制定、法改正を市民が政府に働きかけてきた」とその事例を紹介。シンガポールでは3R推進のために、市民がもっと行動すること、市民からのボトムアップが重要だと意見がでました。

 東日本大震災の災害廃棄物の処理問題については、シンガポール側から日本政府の対応や現在の状況について質問があり、日本にとどまらず、海外でも大きな関心を持っていることが示されました。とくに放射性物質に汚染された廃棄物の処理については、その問題解決の困難さを理解した上で、アジア諸国にある原発で同じことが起こりうる可能性がある以上、日本がどのように適切に処理していくのか、その処理問題に注目しているとの発言がありました。

 リサイクルよりも、ごみの発生源抑制のために、どうすべきか、教育、業界への働きかけ、市民の役割など、視点を変えて議論が続きました。このフォーラムの内容、結果については、同日夕方の本会合にて、シンガポールNGO代表より報告が行われました。

《参加NGO》(順不同)
◎シンガポール側
 Singapore Environmental Council (SEC、シンガポール環境評議会)
 Conservation International
 ECO (Environment Challenge Organization)
 Ave Life
 Hemispheres Foundation
 Waterways Watch

◎日本側…アジア3R推進市民ネットワーク
 菜の花ネットワーク
 持続可能な社会をつくる元気ネット
 FoE Japan
 アジアごみ問題研究会
 中部リサイクル運動市民の会
 富士山クラブ

(関連URL)
アジア3R推進市民ネットワーク
http://www.asia3r.net/

政府会合でのNGO報告(写真提供:FoE Japan)

シンガポール環境評議会Mr.Lee(中央)と藤井絢子さん(右)(写真提供:FoE Japan)

アジア3R推進市民フォーラム2011の様子(写真提供:FoE Japan)

【筆者】青木 直子(AOKI, Naoko) / NPO法人 富士山クラブ(FUJISAN CLUB) / 寄稿 /  [J11102101J]
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「環境先進国」ドイツ滞在記

生活に根付いたドイツの環境対策を見た。

世界 2011年9月、ドイツ南部の大都市マンハイムに滞在した。短期間ながら「環境先進国」で過ごして感じたことを書いてみたい。

 私が住んでいたアパートメントでは、寝坊するとごみ収集車の大きな音に起こされた。集合住宅の前には大小さまざまなごみ用の「コンテナ」が設置されており、収集のたびに丸ごと逆さに引っくり返すのですごい音がするのである。この「コンテナ」は家族やアパートの単位で、ごみの出る量に応じて適した大きさのものを有料で借りる仕組みである。

 ごみの分別は日本と比べて特に細かいわけではないが、違うと感じたのはペットボトルやガラスびんのデポジット制がよく浸透していることだ。生ごみや不燃ごみ(埋め立てられるもの)は上記のコンテナに捨てるのだが、ペットボトルやびんはスーパーマーケットに持っていけば一本20円程度のデポジット金が返ってくる。ドイツでは意外にごみを道端にポイ捨てする人が多いのだが、このデポジット制のおかげかリサイクル容器が地面に落ちているのを見ることは一度もなかった。

 ペットボトルを抱えてスーパーに買い物に行くと、また別の環境対策を見ることができる。まずは売り方の面。買い物袋を持参するのは常識であり、さもなくば薄手のレジ袋などではない、丈夫なバッグを購入する羽目になる。それから野菜や果物には小分けの個包装があまりないので量り売りをよく利用する。

 食品売り場ですぐに目につくのは、ジャガイモからチーズまでいろいろな商品についている「BiO」というシールである。このシールのついている商品は、ついていない商品よりかなり価格が高くなっている。これは有機栽培や無添加といったEU規則にのっとった厳しい基準をクリアした食品につけられる認証印なのである。ドイツの友人によると、もっぱらBiO商品しか口にしない人々も多いという。特別な「オーガニックショップ」ではなくごくふつうの大手スーパーにBiO商品が大量に陳列されている事実がその言葉を裏付けているように感じた。

 ドイツにはBiO商品を買わない人ももちろんたくさんいる。ポイ捨て習慣とコインの裏表になっているのか街角には何でも捨てられるごみ箱が大量に設置されてもいる。一概に「ドイツ人なら誰でも環境意識が高い」とは言えないだろう。ただ、高速鉄道ICEで広大なブドウ畑を突っ切っているときには農地にたくさん風力発電の風車が立っていたし、福島原発事故を受けて主だった都市では毎週のように反原発デモがおこなわれていた。

 おそらくドイツが「環境先進国」としていちばん優れている点は、環境問題をきちんとイシュー化して、今まで述べたような身近な仕組みとして実現する政治システムなのだろう。原発事故に関して未だに被害の全貌もつかめていない国の住人として、とても示唆に富んだ滞在であった。

定期的に設置されたコンテナを巡回する収集車

数家族で共有するごみ回収コンテナ

いたるところに駐輪スペースがある

【筆者】石井 晋平(ISHII, Shinpei) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J11102102J]
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自然の友が中国大陸初の「無痕山林」初期段階講師を研修育成

受講者たちは一泊二日の「無痕山林」授業の後、中国大陸初の「無跡山林」初期段階講師となった。

北京市 先日、民間環境保護組織の自然の友が八達嶺国家森林公園で「無痕山林」講師研修を行い、受講者たちは一泊二日の「無痕山林」授業の後、中国大陸初の「無跡山林」初期段階講師かつ、建設計画中の八達嶺森林体験センターの契約講師となり、「無痕山林」の理念を多くの観光客に紹介していくこととなった。

 「無痕山林」とは英語のLeave No Trace(略称:LNT)の中国語訳で、アメリカで始まったアウトドアスポーツ方式だ。その主旨は自然の中で活動を行う際に、現地の生態環境に関心を寄せ、自ら努力してそれを保護、維持するよう呼びかけることである。

 今回導入した「無痕山林」授業は、八達嶺森林公園が現在建設中の「森林体験センター」のために準備したものである。「森林体験センター」計画は北京市園林局と民間環境保護組織自然の友が共同で行ったものであり、「森林体験センター」は400ヘクタール以上の国家森林をカバーしており、建設終了後には、800平方メートル以上の森林展示センター、数ヵ所の教育、休憩スペースもできる。八達嶺国家森林公園はこのセンターを中国森林教育センターのモデルとなり、都市人と自然の対話、学習、体験、模索、実践の多重空間になると確信している。

 八達嶺国家森林公園関係責任者は、「民衆向けのアウトドア活動スペースはほぼすべてが同様の壁に直面しており、参加者に豊富で整った体験をしてもらうだけでなく、民衆の行為の指導、教育も行う」と述べている。多くの観光客は環境への打撃をもたらす恐れがあり、観光客の山林での不当な行為は、環境の破壊を招き、脅威をもたらす恐れがある。「無痕山林」授業の導入は、まさにこのような問題に対応するためのものである。「無痕湾林」授業は、「アウトドア活動における山林の尊重」、「打撃・破壊を少なくする」などの原則、技巧を具現化している。「無痕山林」授業の導入によって、青い山が民衆にすばらしい自然資源を提供できるようにすると同時に、生態の持続可能な発展を実現できるようにしたい。

【筆者】自然の友 / 自然の友(Friends of Nature) / 寄稿 /  [C11101901J]
【翻訳】中文和訳チームC班 橘高子 ]]>

ここ数年、黒龍江省、吉林省で目撃される野生の東北豹の痕跡

3ヶ月を費やした撮影でも結果が出ず、がっかりしながら写真をチェックしていたところ、突然画面上に1匹の大きな豹が現れ思わず叫んでしまった。

黒龍江省 世界自然基金会(WWF)野外専門家助理孙戈は、吉林省汪清自然保護区西南岔林で、初めてはっきりとした東北豹を写真に収めた。

 WWFの虎豹及びその獲物の撮影調査は今年6月に始まり、汪清林に30数台の赤外線カメラを設置した。3ヵ月後そのうちの一台が2枚の東北豹の写真撮影に成功した。「私ともう1名のメンバーで撮影状況の確認に向かった。」山の上は灌木だらけで、孙戈が山頂にたどり着いた時には、息も絶え絶えであった。「3ヶ月を費やした撮影でも結果が出ず、がっかりしながら写真をチェックしていたところ、突然画面上に1匹の大きな豹が現れ、思わず叫んでしまった。」と孙戈は言う。そこで、2人はすぐに東北豹が残した足跡を追い、山の中を1時間余り追跡したが東北豹は見つけることができなかった。写真には、9月19日13時30分にちょうど山の尾根で活動していた東北豹が撮影されていた。その後、WWFの専門家と関係部門により東北豹であることが確認され、10月12日CCTVで本件が報道された。

 10月16日、筆者は東北林業大学野生動物資源学院を訪問し、今回の撮影メンバーと責任者である、WWF東北事務所虎豹保護プロジェクト高級官吏である姜広順教授を取材した。

 WWF東北プロジェクトは、2006にハルビンで設立され、2009年から姜広順率いる30人余りのチームは足跡が目撃されている黒龍江省、吉林省の両省で野外モニタリングを実施、調査面積は1735平方キロメートルに及んだ。今年の2月末、姜広順は他の野外専門家と共に吉林汪清を訪問し、虎豹の調査を行なったところ、雪の上に残された新しい東北豹の足跡が倒木の上に並んで残っているのを発見した。「足跡の大きさから虎と豹を識別することができる。東北豹の足の裏のサイズは5.5~7.5センチ、虎は8~13センチ。」と、姜教授は言う。姜教授によれば写真を見る限り、大人の東北豹である。東北豹は、一匹では生存できず、汪清林区での発見は、ここに長期定住している東北豹が繁殖していることが証明できるだろう。

 専門家によれば、以前には琿春によく東北豹が現れていたが、琿春とロシアは隣り合っているため、世界の一部の専門家は、これらの東北豹はロシアの国境を越えてやってきたものだと考えている。実際、10年前に琿春と汪清林区での東北豹の目撃記録があり、朗爷岭、張広才岭で東北豹の足跡が発見されている。今のところ、黒龍江省、吉林省の両省の東北豹の数は10匹以上と見られている。姜教授は、最近東北豹の数は増加傾向にあり、これは、封山育林、保護区の建設、人間の保護意識の高まり等と関わっているという。

 現在WWFは、绥陽林業局の自然保護区設立申請をサポートしている。この保護区が完成すれば、绥陽、琿春、汪清の3つの虎と豹の保護区として最も重要な地域が一つになり、省・国を越えて保護する虎と豹の通り道となり、ロシアの虎と豹が東北の長白山内部に向かって移動・拡散しやすくなる。

【筆者】東北ネット / 環友科学技術研究センター / 投稿 /  [C11101902J]
【翻訳】中文和訳チームA班 五十嵐裕美]]>

「脱原発を目指す女たちの会」結成される

全国で脱原発を訴え、賛同者を募る予定。脱原発の推進力となる大きな動きを期待したい。

東京 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の事故から7か月が経過した。関係者の尽力により、今まさに新たな大災害が発生するという事態は避けられているように思われるものの、東日本を取り巻く状況は依然として厳しい。

 放射性物質による食物汚染、子どもの健康被害、緊急時避難準備区域の解除、東京電力や役所の隠ぺい体質など、原発事故に起因する現在進行形の問題は枚挙に暇がない。さらには一部の研究者たちから「重くて飛ばないから大丈夫」と言われていた放射性物質のストロンチウムでさえ、福島原発から250キロも離れた横浜市内で確認された。それでいながら政府は、原発の再稼働を進める方針を変えない。

 一向に好転しない現状に業を煮やし、全国の女性たちが立ち上がった。このほど、政治家、活動家、文化人、研究者、芸能人など多分野からの74人を呼びかけ人とした「脱原発を目指す女たちの会」が結成された。11月23日のキックオフ・イベントを皮切りに全国で脱原発を訴え、賛同者を募っていくという。10月11日に開かれた記者会見では、呼びかけ人らが脱原発への思いを表明した。

 長年、女性の地位向上や消費者運動に関わってきた吉武輝子さん(80歳)は、これからは男も女も「後始末のできる人」が必要だと強調した。「やりっぱなしではなく、後始末のできる人を育んで、次の世代に平和と命の守れる社会を残していきたい。(この会は)その一念で発足した」と、呼吸機能をサポートする酸素ボンベをつけ、病身をおして会見に登場した。

 精神科医の香山リカさん(51歳)は、「日本の男性たちは、まだ成長幻想だとか前進幻想だというものに囚われていて、(原発推進政策の)後始末をつけると言うと、非常にネガティブな、衰退してしまうというような気持ちを持ってしまい、それに踏み切れないという方も多いように思う。原発を手放すと豊かな生活は一歩後戻りするかもしれないが、安心した生活が手に入るなら喜んで後戻りをしようという勇気は、日本では女性の方が持てると思う」と脱原発をする決意について触れた。

 会の窓口となっている参議院議員の福島みずほさんは「歴史の中で脱原発を目指すには、しなやかにしぶとく女性たちのネットワークを広げない限り、本当の意味で脱原発は実現できないのではないか」とネットワーク構築の重要性を説いた。

 会では主に、脱原発の講演会、集会、ピースパレードなどに力を入れていくという。実力行使はしないのかという記者の質問に対し、福島氏は「賛同人が増えていき、全国に思いが伝わることで、脱原発の政策転換につながると確信」していると答え、直接的な行動は予定していない旨を明らかにした。

 だが、全国の女性が「やっぱり原発ってダメだよね」という思いを共有すれば原発が止まるわけではない。思いを政策という形に変えて推進しなければ、何十年と進められてきた原子力政策の現実は、たいして動かないだろう。

 会の賛同人には、吉永小百合さんや竹下景子さんなどのベテラン女優も名を連ねている。多様性に富んだこのネットワークの人材を活かし、脱原発の推進力となる大きな動きを期待している。

(参考URL)
・脱原発をめざす女たちの会
 http://datsugenfem.web.fc2.com/

記者会見の様子 左から福島みずほ(参議院議員)、山口泰子(女性問題活動家)、橋本美香(ミュージシャン)、アイリーン・美緒子・スミス(環境活動家)、香山リカ(精神科医)、吉武輝子(評論家)、小山内美江子(脚本家)、神田香織(講談師)、大河原雅子(参議院議員)の各氏

吉武輝子氏

脱原発の歌で知られる「制服向上委員会」の橋本美香氏

【筆者】山本 千晶(YAMAMOTO, Chiaki) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J11101401J]
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