政府への情報公開請求に関する実務研修会を北京で実施

米国弁護士協会中国プロジェクト事務室と北京市義派弁護士事務所が共同で「政府への情報公開請求に関する実務研修会」を開催

北京市2012年2月23日、米国弁護士協会中国プロジェクト事務室と北京市義派弁護士事務所が共同で「政府への情報公開請求に関する実務研修会」を開催した。

(1)プロジェクトの背景と目的

 政府に対して情報公開を請求し関連行動を展開することは、ますます多くの民間団体・公益弁護士そして公共事務に注目する市民の重視する所となっている。情報公開請求は、政府の持つ情報を獲得する重要な手段であるほか、以下の意義がある。公権力の行使を監督し、行政行為の規範化と合法化を促進すること、問題を見つけ、変革を引き起こすこと、申請とその結果を公共分野に導入することにより、市民を教育する役割を担えること、政府の情報公開法の不十分な点を見つけ、法律の改正を促すこと、などである。

 しかしながら、民間が「陽光政府」(訳注:太陽の光のように透明で温かく親しみやすい行政)を作り上げるための重要なツールである、この「政府への情報公開申請」は、関連法の不備や実務経験不足により、未だにその力を発揮できないでいる。

 今回の講座は、民間団体と公益弁護士に研修を行うほか、これら一連の活動を通じて民間団体と公益弁護士が相互に協力しあえる場を設け、ともに政府の情報公開分野の業務に参加し、開かれた行政の確立を推進する機会とすることを期して行われた。

(2)参加メンバー

合計67名が研修を受けた。そのうち34名は22の中国のNPOから参加しており、その分野は環境保護、公益法、社会的資源、教育、コミュニティ自治などに渡る。33名は弁護士で、公益弁護士と、公益訴訟に興味のある弁護士から成る。

(3)スケジュール

今回の講座では、講義、事例共有、自由討論、疑似事例研究という4つの単元を設けた。

講義:「政府の情報公開に関する理論と実務」

事例共有:「自然の友」、「緑色瀟湘」、「グリーンピース」、「晨光工作室」、「益仁平センター」より、政府の情報公開に関する業務経験と直面した問題についての事例を提供

自由討論:全員で自由に討論。「政府の情報公開条例」に関する理解、政府の情報公開が持つ意義の理解、事例の分析と理解など。

模擬事例研究:主催者より「三公経費(公費による海外出張・公用車購入と使用・接待)に関する政府の情報公開申請」という事例が提出され、受講者がグループに分かれて討論したあと、代表者が発言した。 

(4)今回成功した点

1.多様な形式で理論と実践を結び付けたこと。メインとなる講義のほか、事例共有や自由討論、模擬事例などの方式で参加者の参加意識と積極性を高めた。事例共有と模擬事例で受講者が学んだ知識を実践と結び付けて考えることができ、理論と法律の条文をよりよく把握できた。

2.講義の前に十分相互理解を図ったことで、研修の効果が保障された。

3.弁護士とNGOが参加することで、相互に学び合う効果があり、協力の糸口ともなった。弁護士とNGOの人数がちょうど半分ずつだったため、政府への情報公開請求に対し、それぞれ得意な面と苦手な面があることがわかった。つまり、弁護士は法律に詳しいがこの方面の実践経験に乏しい。NGOはある程度の経験があるが、いつも法律面で問題にぶちあたっている。我々はスケジュールの中に、NGOが提出した事例に対し、弁護士が評価するというステップを設けたが、これはそれぞれの長所を伸ばし、短所を補うことになった。
また、今回、双方が顔を合わせて交流する機会を提供できたことは、今後の協力活動への布石となるだろう。

4.今回の研修は多様な効果と収穫をもたらした。政府の情報公開申請に関する実務と技術を講義するのみにとどまらず、法律面の不足にも言及し、公益弁護士とNGOの交流・協力の場ともなった。

【筆者】于 麗穎 / 北京市義派弁護士事務所  / 寄稿 /  [C12032801J]
【翻訳】中文和訳チームC班 松江直子]]>

ワースト・アセス・コンテスト開催

日本最悪の環境アセスメントに「普天間飛行場代替施設建設事業」が選ばれた。

東京 2012年3月22日、有志の国会議員の呼びかけにより、日本最悪の環境アセスメントは何かを決めるワースト・アセス・コンテスト(主催:ワースト・アセス・コンテスト実行委員会)が衆議院第一議員会館で行われた。

 ワーストアセスの事例として、以下の9事例が挙げられた。

(1)普天間飛行場代替施設建設事業
(2)豊田岡崎地区研究開発施設用地造成事業(通称:トヨタテストコース)
(3)上関原発計画
(4)設楽ダ
(5)新石垣空港整備事業
(6)諫早湾開門
(7)成瀬ダ
(8)徳島東部都市道路小松島鳴門線および川内線
(9)北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(通称:高江ヘリパッド)

 いずれも決められた手段を踏まないことや、非科学的な調査があるなど、環境アセスメントとして役割を果たしているとは言えないものばかりであった。

 トヨタテストコースに関しての発表では、発表者である「愛知県・トヨタ自動車による21世紀世界最大の自然破壊を止めてもらう会」の関口修さんが、トヨタテストコースの環境アセスの問題をメディアが報道しないという問題や、トヨタの事業であるのにもかかわらず愛知県がアセスメント行うという問題点を挙げた。

 また、多くの発表者が、事業主が環境評価に必要な情報は公開されておらず、その後情報が明らかになったというケースや、準備書の段階で不備があるにも関わらず、その後の追加調査の結果が非公開であるといった問題を指摘していた。

 今回のワースト・アセス大賞には、普天間飛行場代替施設建設事業が選ばれ、次点で票を集めた高江ヘリパッドは「怒りの鉄拳賞」を受賞した。

 今回発表された事例以外にも、東京大学西東京キャンパス整備計画、福岡県五ケ山ダム、八ッ場ダム、湯西川ダム、利根川水系思川開発事業、犀川総合開発事業辰巳ダム、中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業、最上小国川ダム、リニア中央新幹線などのエントリーがあり、国内に多くの環境アセスメントの問題があることがわかった。

 事業者や地方自治体、環境省は、地元住民と事業に関する環境評価の情報の公開を行い、ともに事業に関して考えていくべきだろう。昨今、沖縄の基地問題が本土のメディアでも報道され、多くの国民が辺野古への飛行場移設問題を知ったと思われる。一人でも多くの人に、沖縄だけでなく日本の至る所にこのような問題があることを知り、考えてもらいたいと思う。

 ワースト・アセス・コンテストの様子は、YouTubeで後日配信される。

(関連URL)
・ワースト・アセス・コンテスト実行委員会
 http://bead.mimoza.jp/

コンテストでの発表の様子

【筆者】蓮見 瑠衣(HASUMI, Rui) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12032302J]
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映画を通して社会を変える 『北京―ゴミの城壁』

ごみ問題を扱った王久良監督のドキュメンタリーが、映画の枠を超えて政策に影響を広げている。

北京市 カメラマンとして作品の題材を探していた王久良監督は2008年、故郷の山東省を歩いていた。ところが、被写体として収めるに耐える「綺麗な」場所は見つからなかった。カメラを視線より上に向ければ建設中の鉄塔がレンズを遮り、下に向ければ地を這うビニールのごみがファインダーを覆う。気づけば、ここ20年くらいの間にプラスチック製品が増え、ごみとなって身の回りにあふれていた。

 北京に戻った王監督は10月、ごみ探しの旅を始めた。高層ビルが林立し、目覚ましい経済発展を遂げている北京市の懐の中では、ごみなんて存在しないと思っていた。あのごみは、どこに行ったのだろう?自分が出したごみがどこに行くのか気にしたこともなかった王監督だが、その行方を追ってみようと思った。

 カメラをかついでバイクにまたがり、家の前に来た収集車の追跡を始めた。向かった先は、ごみの山。そこから王監督の数年にわたるプロジェクトが始まった。2011年に映画『北京―ゴミの城壁』が完成し、2012年3月17日に地球環境映像祭にて日本初の上映が行われた。

 Google Earthを使って俯瞰した北京の中央に位置するのは、かつて栄華を極めた紫禁城の正門があった天安門。その天安門から四方に離れること数キロ、周囲にはごみの山が拡散している。――まるで、北京を取り囲む城壁のように。『北京――ゴミの城壁』は、北京市のごみ問題を扱ったドキュメンタリーだ。題材がごみであるにも関わらず、作品には「美しいもの」が映されている。カメラマンという王監督の本性ゆえか、「美」が映し出された本作は、静かに、でも確実に心に沁みてくる。

 視界をぼやかす霧の向こうに一点、小さく太陽が映る。雲が切れたら見えるはずの太陽は、汚染された大気と朝霧のためにその光が閉じ込められているように見える。

 捨て置かれたごみのために汚染された河川の上を、飛行機が飛ぶ。水面に映る飛行機の小さな影は、富の象徴として上空を行く飛行機と目の前にある現実との距離を際立たせる。手作業でごみの中からわずかの資源を拾う日雇い労働者は、翼を広げて飛ぶこともできない。

「ごみ問題は、単に環境問題だけではありません。ごみ問題を扱うということは、現在の利権構造にメスを入れるようなものなのです」と王監督は口を引き締めて語る。日本でも産廃業界と暴力団が関わりあってきたように、北京でも開発業者とごみ収集業者の癒着は存在するし、スカベンジャーの暮らしも深刻で、市民の関心も薄い。当然、問題を警告する王監督の安全が脅かされる危険性もある。それでも王監督は腹をくくった。

「私は政府系のジャーナリストではありません。もし自分が見たものを作品にしたから使命は果たしたと考えるならば、私は自分の責任から逃げることになります。ごみの山は、私の想像をはるかに超えるものでした。1人の人間として、責任を果たしたいと思います」

 映画に先立って写真展を開催するにあたり、王監督は広東省の連州を選んだ。題材が北京のごみ問題であるにも関わらず異なる地で開催したのは、まさに外堀を固めるためだ。中国でも南部地方のマスメディアは比較的おおらかで、社会問題に対しても報道の敷居が低い。その地で先に報道させた。

 写真展の反響は大きく、『南方週末』を皮切りに、『新華社』や『人民日報』も後を追い、海外のメディアも注目するようになった。こうなったら当局も動かざるを得ない。結果、温家宝首相がごみ問題の改善を指示するという展開にまで動いた。それでも王監督は表情を緩めない。

「北京のごみ問題は、誇りを持って言いますが、作品の公開後に大きく変わったと思います。でも、ごみの山が減っても、ごみ問題がなくなったわけではないのです。ごみの本質がどういうものか、もっと探りたい。人びとの意識を変えるためにも、モノはどこから来てどこに行くのかを知らせたいと思います」と今後への抱負を口にする。

 人類の長い歴史の中では、しばしば1人の行動が社会を変えてきた実例がある。同様に1つの作品が社会を変えることがあるとすれば、『北京―ゴミの城壁』は間違いなく人びとの心を動かし、北京におけるごみ問題の解決に寄与する作品だろう。

(通訳:姜晋如)

運び込まれるゴミ


王久良監督

【筆者】山本 千晶(YAMAMOTO, Chiaki) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12032301J]
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福島原発災害から一年、香港からの発信

3.10国際会議と3.11反核デモ

香港特別行政区2011年3月11日、日本の宮城県東方沖でM9級地震が発生、15mの大津波を引き起こした。また、強い揺れと津波は福島第1原子力発電所を激しく損壊させ、大量の放射能漏れをまねいた。福島原電事故は、1986年の旧ソ連チェルノブイリ(現在はウクライナ共和国内)原発事故に次ぐ重大な原子力災害となった。これにより、各国政府及び原子力ビジネスに携わる人々がこれまで「原発は十分コントロール可能で、安全安心」と言ってきたことが全くのウソであったことが露呈された。福島原発事故から一年が経ち、世界各地では反核抗議活動が行われ、政府に対しすぐに原発を停止するよう訴えている。グローバリゼーションモニター及び反核を訴える人々は、香港の他の多くのNGOとともに3/10~11日に国際反核シンポジウムとデモ行進をおこなった。シンポジウムと行動を通して国際反核運動の交流と団結を促すとともに、香港市民と中国の本土の市民に、原発が人類と自然環境に及ぼす致命的な危害を周知することが目的だ。

「様々な角度から見た原子力の真実」と題された国際シンポジウムは、3月10日香港理工大学で行われ、欧米やアジアにおいて長期に渡り反核運動をしてきた専門家や組織代表が講演をおこなった。もっとも有力な原発技術批評家の一人「カナダ核責任連盟(Canadian Coalition for Nuclear Responsibility)」の創設者かつ代表のGordon Edwards博士、核武装が環境と市民の健康に与える影響に関してはお馴染みの病理学者Gould博士(博士はまた、アメリカ核戦争防止と核拡散防止の最大医学組織「社会的責任のための医師の会(Physicians for Social Responsibility (PSR))」分会の代表でもある)、70年代からドイツの反核運動に参加しているベテランのフリー記者Wolfgang Pomrehn 氏、十数年にわたり台湾で反核運動をすすめる環境NGO「緑色公民行動連盟」の康世昊理事長、そして「インド核軍縮平和連盟(CNDP)」会員のS P Udayakumar博士らが参加した。

S P Udayakumar博士は積極的にインド・クダンクラム(Koodankulam)原子力発電所運転阻止に参加しインド政府に「反乱を先導した」等の罪で出国を規制された。私達はインターネットテレビを通じ、S P Udayakuma博士による国という枠組みを越えたインドの反核運動経験を分かち合った。さらに福島の核災害を経験した日本工会会員の岩倉美穂さんと長期間日本に滞在する台湾の著名な作家劉黎兒さんは、悲惨な自らの経験を伝えるために遠路はるばる香港まで足を運んでくれた。特にこのことに感謝の意を表したい。
シンポジウムの参加者は100~120名で、その中には一般市民、大学生、大学教師、労働運動および環境団体のメンバーはもとより、20数名の中学生とともにシンポジウムに参加した中学校教師もいた。国際シンポジウムには原子力支持者も参加し、その支持者の一人の大学教員は、会議の中で「原子力発電の効率は風力発電等の再生可能エネルギーよりはるかに高く、原子力エネルギーを放棄することはできない」と発言、この発言に会場は反対派と賛成派の激論になった。このことからも社会には賛成派と反対派の意見の間には大きな衝突やなじり合いがあることを垣間見ることができた。

正式な会議への参加以外にも、異なる団体も彼ら海外の専門家を招き対談や招待座談会を行った。これらの討論の動画はネット上に公開されている。

一方、反核デモは3月11日午後2時に始まり、抗議者は尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の九龍公園から、旺角にある中華電力本社までデモ行進をした。デモ行進は雨の降る寒空の下、ネイザンロードを直進し、沿道では多くの市民が足を止め私達の反核の主張に耳を傾けた。デモ隊は中国旅行客の集中する旺角ショッピングモールに入り、中国の人々に自分たちと人類のこれからの世代への原発の危険性を訴えた。デモ隊は最後に香港中華電力本社の門で、電力会社に原子力発電所の即時停止を求めるとともに、参加した市民が黒い風船を破裂させ、「原子力安全論」のウソの暴露を象徴すると、デモは一段落を迎えた。

原子力は1953年にアイゼンハワーが国連で行った演説を皮切りに軍事的利用から発電に利用され始め、1970年代には石油危機によりすさまじい勢いで発展した。フランス、日本、旧西ドイツ、スウェーデン等は1970年代にアメリカのウエスティングハウス及びゼネラル・エレクトリック社の技術移転により自国の原子力工業を作りあげた。世界原子力協会(World Nuclear Association, WNA)の統計によると、2012年3月までに、全世界で運転中の原子炉は435基にのぼり、アジアだけでその4分の1(118基)を占めている。しかし、アジア各国は今後10年間にさらに原子炉133基の建設を予定している(そのうち41基はすでに建設中)。

アジアに住む人々にとって原子力発電所の危険性はすでに一刻の猶予も許さない課題になっている。すでに建設中あるいは建設予定のアジアの原子力発電所は、市場において何兆ドルにも達する「うまみ」があり、電力会社、原子炉メーカー、燃料サイクルの設計者及び製造業者、原子力発電所設計顧問、委託建設業者、ネット管理専門企業および核廃棄物処理業等企業の利益に関わっている。しかし、資本主義的見方からは原子力発電所がもたらす利潤のみしか論じられず、周辺住民や自然環境、そして原発労働者の安全は全く考えられていない。

2011年3月の福島原発災害で、ここ20~30年の間問われてこなかった原子力エネルギーという問題が香港でもまた注目を受けることになった。グローバライゼーションモニターと、その他多くの反核団体はこの一連の反核運動で、十種もの宣伝媒体(データブック、漫画、図説、広報チラシ等)を発行した。その総計発行部数は4000部にものぼり、明らかに市民がこの議題に相当な関心を持っていることが見て取れる。ある調査によると香港市民の6割は広東省が省内原発計画を即時停止することを望んでおり、66%は香港が原発を廃止すべきと考えている。しかし、公平に言うならば、中国の現在使用している原子力発電の現状から見ると、香港と中国市民の原子力発電に対する理解および参加の度合いは依然として不十分で、まだまだ発展の余地がある。

中国では現在15基の原子炉が稼働している。これら運転中の原子炉は中国沿海地域に偏って分布しており、将来、中国で建設中および建設計画中となる原子炉は77基にものぼる。これは中国国民が様々な工業汚染に悩まされるのみでなく、さらに無味無色無臭の放射線の脅威を受け入れなければならない事を意味する。

【筆者】魏 雁竹 / Globalization monitor / 寄稿 /  [C12032201J]
【翻訳】中文和訳チームB班 額田拓]]>

グリーン・サプライチェーン・フォーラム開催

市民・企業の国境を越えたパートナーシップへ向けて

東京 中国の経済成長の影には、環境対策が万全でないことに伴う汚染被害がつきまとっている。汚染の原因者には、日系企業が関わっているものもあり、サプライチェーンを把握しきれないことによって、意図せずに原因者になってしまうことも少なくない。

 そこで、2010年に中国の環境NGOネットワーク“グリーン・チョイス・アライアンス(GCA:緑色選択連盟)”が実施した調査をもとに、日本と中国の市民と企業が、共にサプライチェーンのグリーン化をめざそうと、2012年3月12日、YMCAアジア青少年センターにおいて、「グリーン・サプライチェーン・フォーラム」(主催:東アジア環境情報発伝所、協力:サステナビリティ日本フォーラム)を開催した。

 冒頭、発伝所副代表の相川泰より、「中国における環境汚染防止のための日中協力の意義」と題する報告が行われた。近年、急速に顕在化した深刻な中国の環境汚染の現状と2006年(西安)、2008年(新潟)と過去2回の東アジア環境市民会議などを通じて日中の市民の協力が進んできた経緯が紹介された。そして、対立ではなく対話を促進し、“より高い目標”として、「日本側が、経験等も含む知恵と、中国の実情に即し、中国側からも先進的と評価される提案と行動をできるようにする」ことが提起された。

 その後、GCAの中心団体の一つである環友科学技術研究センター代表の李力さんより、「環境チャレンジとグリーン選択」と題する報告が行われた。

 李力さんによると、中国の深刻な環境汚染の問題解決の障害となっているのは、経済成長著しい現段階においては、技術の不足や資金の不足ではなく、動機の欠如だという。

 環境汚染の解決のためには、市場を通じた企業の努力と広範な市民の参加が重要で、そのためにも情報公開こそが不可欠だ。

 そこで、2007年に21の環境NGOでGCAを結成し、消費者に情報を提供し、正しい選択つまり“緑色選択”を促し、企業のグリーンサプライチェーンを呼び掛ける活動を展開してきた。GCAのメンバーは、現在では41団体にまで拡大している。

 GCAでは、重金属汚染などに電子機器メーカーのサプライチェーンの影響が大きいと判断。中でも、従業員の健康被害が発生したばかりか、対応のよくなかったアップル社をターゲットとしたキャンペーンを積極的に展開した。その結果、アップル社もサプライチェーンのグリーン化に取り組むこととなった。

 また、中国のNGOは、日本の電子機器メーカーをどうみているのか。報告の中で、SONY、パナソニック、キヤノンなどの事例が紹介された。SONYについては、自主的管理を開始し、管理システムを設立。さらに現地法人取締役の名義でサプライヤーに手紙を送り、企業にNGOが作成した水汚染データベースによる自己検査を要請したということで高く評価しているようだ。

 パナソニックも、GCAが提唱した第3者評価を初めて受け入れた企業で、NGOの水汚染データベースの利用を開始し、一次下請けサプライヤーを管理していることと、管理システムの設立の検討を表明したということで高い評価となった。ただ、その後のGCA側とのコミュニケーションが十分ではないため、その後の動きのフィードバックがない点は残念だということだった。ただ、パナソニックについては、フォーラム翌日に李力さんが大阪のパナソニックセンターを訪れ、担当者から、現在の取り組み状況を聞き意見交換ができたので、GCA側の評価もさらに高まると思われる。

 キヤノンについては、2010年6月の段階では、即座にGCA側に状況を確認して回答するとの返事があったものの、その後のGCAからのアプローチには、一切、反応がないということで、低い評価となっている。

 最後に、日本企業への期待として、(1)中国で自身の企業のサプライチェーンの汚染管理を行うこと、(2)有名ブランド企業がサプライチェーン管理を強化すること、(3)問題が明らかになった段階で、積極的に対策をとり、隠ぺいしたり、責任逃れをしないことという3点があげられた。

 このフォーラムのコーディネーターを務めたサステナビリティ日本フォーラム代表の後藤敏彦さんは、フォーラムの終わりに、昨年マレーシアで日立製作所が2次サプライヤーの大阪の企業のマレーシアの子会社における出稼ぎ労働者の人権問題でかなり攻撃されたことを紹介した。日立製作所にとっては、2次サプライヤーということで寝耳に水だったそうだが、誠実に対応して解決した。そのポイントはしっかりとしたコミュニケーションだったという。「この一件で、日系のサプライヤーはCSR的に課題を抱えていることがわかった。環境汚染、人権侵害をなくすためには、いろいろな形でコミュニケーションが必要だ」と、フォーラムを締めくくった。

 GCAの国際パートナーである発伝所では、来年度も日本と中国の市民と企業の対話を通した環境汚染の低減・防止に取り組んでいきたい。

(関連URL)
・グリーン・チョイス・アライアンス関連情報(日本語)
 http://www.eden-j.org/GCA/

環友科学技術研究センター代表 李力さん

サステナビリティ日本フォーラム代表 後藤敏彦さん

多くの企業関係者も参加して議論が行われた

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12031602J]
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脱原発をめざして市民が集結~東日本大震災から1年

東日本大震災市民のつどいに4万5000人の市民が集まった。

東京 岩手、宮城、福島の東北3県を中心に多大なる被害をもたらした東日本大震災から1年となった2012年3月11日。日本各地で様々な追悼の催しが行われた。

 東京でも日比谷公園で開催された「311東日本大震災市民のつどい Peace On Earth」には、約4万5000人の市民が集い、震災が発生した3月11日14時46分に、1分間の黙祷をささげた。

 韓国環境財団代表の崔烈さんが提唱に賛同した、韓国、日本や中国などの311人の著名人で構成する「東アジア脱原発・自然ネットワーク」が結成され、日比谷公園噴水前につくられたピースオンアース・ステージでは、「東アジア脱原発・自然エネルギー311人宣言」が発表された。この宣言とあわせて、韓国の著名な舞踊家や書道家などによる「福島、生命の鎭魂の祈り」も上演された。中国から来日中で「311東日本大震災市民のつどい」に参加していた環友科学技術研究センター代表の李力さんも、共にステージにあがり、東アジアの連帯に華を添えた。

 同じく日比谷公園を起点に、追悼と脱原発への新たな誓いと共に歩く大型デモ「3.11東京大行進」が行われ、1万4000人の市民が参加。その後、多くのデモ参加者は、「3・11原発ゼロへ!国会囲もうヒューマンチェーン」に合流、国会議事堂を人間の鎖で囲み、「国権の最高機関」である国会に向けて、キャンドルをかざしながら、脱原発を強烈にアピールした。

(関連URL)
・311東日本大震災市民のつどい Peace On Earth
 http://www.peaceonearth.jp/

・東アジア脱原発・自然エネルギー311人宣言
 http://npfree.jp/download/statement_311.pdf

・【3・11夕編】 キャンドルの灯が国会を包囲した(田中龍作ジャーナル)
 http://tanakaryusaku.jp/2012/03/0003870

日比谷公園は身動きができないほど多くの市民が詰めかけた

「東アジア脱原発・自然エネルギー311人宣言」を報告する崔烈さん(右)とISEPの飯田哲也さん

「3.11東京大行進」の参加者たち

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12031601J]
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環境保護組織専門家による中国原子力安全監督管理体制改革の提案

中国の原子力エネルギー利用が進む現状に見合うよう、原子力安全監督管理体制の改革が急務である。

中国全土 日本の福島原発事故から1年を前に、アメリカ自然資源保護委員会 (NRDC)の中国原子力安全プロジェクト研究員の李晶晶、中国気候変動とエネルギー政策プロジェクト主任の林明徹、エネルギー・環境と気候変動高級顧問の楊富強、中国原子力安全プロジェクト補佐のJason Portnerは2012年3月2日に連名で《中国原子力安全監督管理体制改革提案》を提出した。

 提案によれば、2011年福島原発事故が世界の原発発展に与えた影響は大きく、また、中国の原子力の急速な発展傾向と巨大な規模に対し原子力安全監督管理は明らかに不足している。中国原子力安全監督管理体制改革の速度を速め、原子力安全性の政府管理職務を正常化すべきで、原子力安全監督管理に必要な独立性、権威性、有效性と専門性の条件に見合うよう、なるべく早く国家原子力安全局を環境保護部より切り離し、新しい原子力安全監督管理機関を設立し、国務院の直属管理とすべきである。原子力安全文化の建設を強化すると同時に、すみやかに《原子エネルギー法》と《原子力安全法規》を制定すべきとのことである。

 提案は最初に、中国は原子力安全監督管理が大きな課題に直面していると指摘している。中国は現在、原子力利用の急速発展段階にあり、原子力安全監督管理面が明らかに不足している。2011年11月現在、中国には合計14基の原発が稼働しており、発電能力は合計1188万キロワットで、建設中の原発は27基、発電能力は合計2989万キロワットである。

 国家発展改革委が2007年10月に発表した、《原発中長期発展計画(2005-2020》の中で提出されている目標は、2020年までに原発の発電能力を4000万キロワットとし、さらにその時点で1800万キロワットの原発を建設中とするものである。現在調整中の原発発展計画によれば、2020年には中国の原発能力目標は8000万キロワットまで引き上げられ、2007年に制定された計画の倍の数字になる。2011-2020年は中国原発の急速発展期であり、この規模は世界の原発の歴史の中でも例がない。経済と社会発展の需要に伴い、原子力エネルギーは広く利用されるようになるが、相応の設計の信頼性、建設業者の資質、設備製造の品質とオペレーション管理者の資格審査等、いずれも原発の急速な発展よりも立ち遅れている。原子力安全監督管理の強化は急務である。

 同時に、中国は既存の原子力安全監督管理体制改革が必要である。日本の福島原発事故発生後、国家エネルギー局は原子力発電課を増設した。環境保護部国家原子力安全局はもともと1つだった課を3つに分割した。これには、原子力と放射能安全センターと6つの放射能安全監督部が含まれ、原子力安全監督管理者を千人近くまでに増やした。これと同時に、国防科工局も原子力緊急対応課を新設した。しかし、中国の原発安全監督管理は独立性、権威性等の面で依然として旧来の管理構造を維持しており、原子力エネルギー利用の急速発展が直面する厳しい課題に対応するのが難しい。中国原子力安全監督管理体制は更なる改革が必要で、独立性、権威性、専門性を有した有效な国家原子力安全監督管理機関を設立すべきである。

 提案では、中国原子力安全監督管理体制改革の業務として以下を挙げている。

・政府原子力安全の管理機能を正常化し、原子力安全改革の有效性を高める
・原発の安全監督管理機関の独立性、権威性を強化する。
・原発監督管理機関の権力のチェックアンドバランスを保証する。
・原子力安全監督管理の組織体制の建設と専門能力の建設を強化する。
・原子力安全文化の建設と原子力と放射能安全情報の透明性を強化する。
・原子力安全立法を強化し、速やかに《原子エネルギー法》と原子力安全法規を制定する。
・原子力安全ファンドを確立する。
・原子力安全監督管理部門の原子力安全国際協力を強化する。
・原子力安全監督管理機関は、各レベルの原子力エネルギー事故の緊急対応案の制定と事故緊急対応に対して技術支援を提供しなければならない。

 提案では、中国における原子力エネルギー利用が進む現状に見合うよう、中国原子力安全監督管理体制改革の確立を急務として速やかに新たな原子力安全監督管理機関を設立すべきとしている。中国は現在多くの部門の安全監督管理と安全保障が重要課題である。世界の原発発電総量の6%以上を占める4国家(アメリカ(31%)、フランス(15%)、日本(10%)及びロシア(6%))のうち、3国家で重大な放射能漏れ事故が起きている。中国は2020年以前には恐らく発電規模では2位に入ることになる。原発は諸刃の剣であり、安全第一でなければならない。新しい全面的な原子力安全監督管理機関の設立は政府の議事日程の中でも最優先にすべきである。

【筆者】康 雪(KANG, Xue) / 環友科学技術研究センター(EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology) / 寄稿 /  [C12031402J]
【翻訳】中文和訳チームA班 五十嵐裕美]]>

中国環境NGOによる廃食油石鹸プロジェクトを日本政府が支援

「草の根・人間の安全保障無償資金協力」による廃食油石鹸プロジェクトの資金援助調印式が中国・北京の日本大使館で行われた

北京市 2012年3月9日、中国の環境NGOである環友科学技術研究センター(以下「環友科技」)の申請した「草の根・人間の安全保障無償資金協力」による廃食油石鹸プロジェクトの資金援助調印式が中国・北京の日本大使館で行われた。

 このプロジェクトは、日本の滋賀県にある環境NGO「菜の花プロジェクトネットワーク」の活動を参考にしたもので、家庭、学校、食堂の廃食用油を回収し、純化や鹸化など一連の処理を施して石鹸や石鹸粉など日常生活で使用できるものにするというものだ。生産場所について条件や設備と技術への制約が少なく、必要コストも低いことなどから、このプロジェクトは伝統的食文化と今日の環境保護とが衝突する問題を友好的に解決するだけでなく、低炭素経済の原則にも合った、環境と健康を害さない廃油処理技術の開発にもつながる。

 プロジェクトでは、タイプの異なる3つの場所が試験地点となり、食堂では北京金谷倉食堂、学校では北京市八一中学、居住区では納帕西谷社区が対象となった。実施側はこれらの場所での宣伝を通じ、経営者や住民、学生に対しレストランや食堂の廃食用油を指定の回収場所へ持ってくるよう呼びかけ、生産された石鹸や石鹸粉、環境保護製品の形で家庭や学生、食堂に還元される。

 プロジェクト実施過程の中で、環友科技は専門スタッフとボランティアを組織し一連の調査研究と資料整理を行い、廃食用油を転化させる中国に適した実行可能な経験をまとめ、政府の関連政策制定に有力な根拠を提供し、政府による食堂廃棄物の管理制度を促進したいとしている。また、企業にはサスナビリティレポートを提供し、一連の商業化モデルを示し、生産される製品の商品化の実現可能性を示し、廃食用油を石鹸にするという循環経済産業を北京及び全国へと広げていく予定だ。
 
 中国の伝統的食文化において、油は非常に重要な要素である。しかし、大量の廃食用油が下水道に流れ込み、最悪の場合それが食卓へと戻ることは、重大な環境と健康被害をもたらすため、廃食用油の環境にも安全な処理方法の確立が急務である。

 環友科技は、環境保護科技研究と公衆環境教育に力を注ぐ草の根環境NGOであり、環境保護に関する研究と教育の展開を通じ、環境保護に対する一般市民の意識を高め、市民参加を促し、中国の持続可能な発展を促進することをめざしている。

【筆者】環友科学技術研究センター / 環友科学技術研究センター(EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology) / 寄稿 /  [C12031401J]
【翻訳】中文和訳チームC班 鈴木清恵]]>

「原発事故被害者支援法」を市民が提案

「避難の権利」確立と避難者・居住者の長期的な支援のための恒久立法を求めている。

東京 2012年2月29日、衆議院第1議員会館にて市民が提案する「原発事故被害者支援法」(仮称)に関する院内集会が開かれた(主催:福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会(フクロウの会))。

 集会の前半では、福島に在留している人びとと、福島県外に避難している人びとから現状が報告された。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の中手聖一さんは、現在の大きな問題は、(1)避難・移住、(2)保養、(3)健康管理の3点だと指摘。福島に住み続けている人びとと避難した人びとの間に亀裂が入り、引き裂かれている深刻な実態を紹介した。そして、福島を離れている人もとどまっている人も、戻ってくる人もみんなで“一つの福島”をと訴えた。

 2歳の男の子を抱えて夫と共に横浜に避難・移住した磯海未亜さんは、福島の夫の両親に移住を大反対されながら苦渋の決断を下した際の胸の内と、夫の仕事がみつからず、自治体からの住宅の無償提供が終了した後の生活への不安を赤裸々に語った。

 福島県郡山市でラジオのパーソナリティをしている宍戸チカさんは、福島で暮らし続けている将来の母親となる若い女性が感じている不安と、若い女性たちと少しでも被ばくを抑えた暮らしをと頑張っている活動を紹介した。

 集会の後半では、「国際環境NGO FoE Japan」の満田夏花(みつた・かんな)さんが、国が避難区域の基準に設定している年20ミリシーベルトが、原子炉規制法の1ミリシーベルト、放射線管理区域の5.2ミリシーベルト、チェルノブイリの移住の義務ゾーンの5ミリシーベルトと比較して、非常に高い数値となっている点を指摘。年1ミリシーベルトを基準にした居住と避難・移住を選択できる「選択的避難区域」の設定を提起した。

 そして「SAFLAN」事務局長の大城聡さんが、恒久立法として「原発事故被害者支援法」を制定することを求めた。支援法の要点は、下記の5点。

(1)年1ミリシーベルトを基準とした「選択的避難区域」を設定すること
(2)「選択的避難区域」全域への災害救助法の適用と現在2年間の適用期間を5年間に延長すること
(3)「選択的避難区域」の居住し続ける人、移住・避難した人に定期的な保養機会を提供し、その資金を国が援助すること
(4)「選択的避難区域」の居住し続ける人、移住・避難した人の医療費・健康診断費用を無料化し、累積被ばく量を把握する仕組みをつくること
(5)「選択的避難区域」からの移住・避難者の生活再建を支援すること

 集会の最後に、福島第一原発事故によって、福島県内外に生じている放射線被ばくの被害を受け続けている全ての住民の生命と健康な暮らしを守るために、「原発事故被害者支援法」の制定を求める宣言を採択した。

 集会に参加した国会議員からは、与野党ともにそれぞれの立場で同趣旨の立法を進めているという発言があったが、立法府の動きは遅い。中手聖一さんが「私たち、福島の人びとは、支援されたり救済される客体ではない。我々が当事者として主体的に活動を展開していきたい」と力強く語っていたのが印象的だった。

(参考URL)
・福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)
 http://saflan.jugem.jp/

・子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
 http://kodomofukushima.net/

・国際環境NGO FoE Japan
 http://www.foejapan.org/

・福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
 http://fukurou.txt-nifty.com/

子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの中手聖一さん

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12030202J]
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企業が行う生物多様性の取り組み事例

都心に作られたビオガーデンで環境教育が行われている。

東京 近年、企業によるCSRとして環境保全活動が活発になっている。金属メーカー株式会社フジクラは、東京都江東区木場にあった自社工場の再開発を行い、オフィスと店舗を有する商業施設「深川ギャザリア」内に2010年11月、ギャザリアビオガーデン「フジクラ木場千年の森」を完成させた。このビオガーデンは、隣接している平久小学校が課外活動で使用するなど、一般に無料開放されている。

 この森に生育している植物は、潜在自然植生のタブノキ林と自然との共生モデルである雑木林を創出するために、高中木55種類約500本、低木24種約2000株など関東の在来種が選ばれ、水生生物も地元の荒川流域の在来種が生息する。カワセミ、コゲラ、カルガモなどの鳥類、トンボ類、チョウ類などの昆虫類も、隣接する川や運河、緑地を経由して飛来する生物として知られている。「この森には、様々な工夫をしています。例えば、鳥類の人口巣をつくるため半分枯れた木などを使っています」と設計担当の八色さんは説明する。

 このビオガーデンは、環境情報科学に関する学問及び技術の進歩・発展に関連する事業、出版、国際貢献等の業績のうち広く貢献したものを対象とし団体や個人に贈られる平成22年度の環境情報科学センター賞の特別賞を受賞している。

 2012年2月29日に行われた見学会では、ビオガーデンのコンセプトの説明や、設計からはじまって植物や土などを調達するまでの説明を受けた。ビオガーデンの敷地は、本来は付置の駐車場になる予定だったという。しかし自然の少ないこの地域のために、地域コミュニティと生物多様性への取り組みとしてビオトープとガーデンの両方の機能を持つ「木場千年の森」が創設されたという。

 今では、生物多様性をはじめとする環境保全の取り組みをCSR活動としている企業は一般的になってきている。その一環として、企業が小中学生を連れて郊外で環境教育を行う事例は増えているが、都心で身近な地域と密接した立地での環境教育も必要なのではないだろうか。深川ギャザリアのような施設がさらに増えていくことを期待したい。

ギャザリアビオガーデン入口

ビオガーデン内の様子

【筆者】蓮見 瑠衣(HASUMI, Rui) / NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center) / 寄稿 /  [J12030201J]
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