逆行する韓国政府、気候変動問題を無視した第6回電力供給基本計画

2013年2月22日、韓国・知識経済部が、第6回電力基本計画(以下、電力計画)を発表した。

電力計画は、知識経済部が2年毎に策定するもので、今後15年間にわたる電力需要の展望、需要の管理目標、(電力の)適切な予備率及び発電所の建設計画などが含まれている。今回発表された計画は、過去5回目よりも多い電力需要増加率の前提を、発電設備の増加は不可欠だと強調している。

具体的には2027年までに、石炭(1074万KW)、LNG(506万KW)など火力発電1580万KW、コージェネレーションなどを含む総合エネルギー371万KW、太陽光・風力など自然エネルギー456万KWなど、関連施設の増設が盛り込まれている。原子力発電については、判断が保留され8月に改めて決める見込みになっている。

新しい計画で議論になっている一つが、火力発電所の増設である。電力計画によると、2027年までに、新たに12基の石炭火力発電所を増設することで、電力の安定性を保つとされている。温室効果ガスの増加への懸念を無視し、電力の需要だけを優先する政府の主張には懸念が広がっている。

この計画が実行すれば、韓国政府が打ち出した温室効果ガスの削減目標(2020年までにBAU30%削減)を10%上回る可能性があると、専門家たちは指摘している。あんまりにも強行な発表に、環境部が知識経済部を批判する異例なことも起きた。

今回の電力計画について、環境団体からは、「韓国のエネルギー全体消費の70%を占めるエネルギー効率が悪い産業の付加価値は30%も足りない、このような企業に韓国の未来を任せてはいけない」「FIT制度からRPSに『格下げ』したにも関わらず、たったの一年間で、RPS制度すら着実に実行できない政府は無責任すぎ」るという批判があった。

また、パク・クンヘ政権は政府部署、学会、市民社会の強い反対を無視しては行けない、失敗に間違いない今回の電力計画を改めて全面的に検討し、国内では大手企業の利益ではなく、国民の健康を配慮する政府に、海外では温室効果ガスに寄与する国へとシフトすることを、環境団体などは強く求めている。

【筆者】朴 梅花 (PIAO, Meihua)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[K13032901J]

グリーン・サプライチェーン円卓会議を北京で開催

「グリーン・サプライチェーン構築のためのNGOと企業の役割」と題し、日中韓のNGOや企業が同じテーブルについて議論を行った。

2013年2月27日、中国・北京においてグリーン・サプライチェーン円卓会議/第6回東アジア環境市民会議(主催:東アジア環境情報発伝所、環友科学技術研究センター、共催:緑色選択連盟(GCA))が開催された。この円卓会議の目的は、サプライチェーンのグリーン化に取り組むNGO同士の交流を推進すると同時に、実際に中国にサプライチェーンを持つ企業を招き、率直な議論を展開することであった。当日は、ふだん接することの少ない、異なるセクターの当事者たちの間に活発な意見交換が実現した。

中国における動向を報告するIPEの馬軍さん

会議の冒頭では、GCAの構成メンバーである環友科学技術研究センターの張テキさんから、GCAの活動について説明が行われた。2007年から、地方のNGOメンバーの協力のもとに汚染源のデータベースを構築し、いくつかの業界や企業にターゲットを絞って、サプライチェーンの環境負荷改善を働きかけてきた経緯が概要的に示された。

次に、サステナビリティ・日本フォーラム代表理事の後藤敏彦さんから、サプライチェーンのグリーン化に関する国際的な動向と、日本の経験について具体的な紹介がされた。後藤さんによると、世界的な環境意識の高まりにともない、日本でも様々な環境認証制度や法規制が官民ともに導入されるようになり、環境・CSR報告書という形で環境経営についての情報公開も進んできたという。環境問題が人権問題の範疇に含められるようになり、サプライチェーン・マネジメントに対する認識も高まっている。しかし認識が高まるとともに、サプライチェーンのグリーン化における技術的、経済的な困難もまたはっきりしてきたという。この困難を超えるためには、円滑なコミュニケーションに支えられた多セクターのパートナーシップによる取り組みが必要である。

続けて、自然大学の馮永峰さんから、独自のデータベース、メディアの活用、様々なパートナーとの協働といったGCAの手法の特徴について整理された。

GCAの国際パートナーでもある東アジア環境情報発伝所からは、これまでGCAと日本企業の橋渡しをしてきた経験について発表が行われた。東アジア環境情報発伝所代表の廣瀬稔也は、当初GCAと日本企業の間にうまくコミュニケーションが取れていなかった状況を、GCAレポートを和訳して発信することや、この会議のような対話の場を設定することで、改善しようとする取り組みについて紹介した。

午後の部では、GCAの呼びかけ人であるIPEの馬軍さんが「環境挑戦と緑色選択」と題して講演を行なった。情報を使った働きかけによりアップル社などのIT企業のサプライチェーン管理を大きく前進させた実績や、これからの活動の課題について、当事者の視点から非常に具体的な紹介と提案がされた。馬軍さんによると、日本などの川上企業側の認識は改善されてきているものの、中国に広がる深刻な環境汚染に対して実際の行動を起こしているとは、必ずしも言えないという。手法をさらに洗練しながら、政府、企業、市民の協力を集めていくことの重要性が強調された。

また、この会議では、中国にサプライチェーンを持つ日本企業として、パナソニックとキヤノンという2つの企業の担当者が招待に応じて参加した。

パナソニック中国環境推進部の趙向東さんは、パナソニックの環境経営の理念を紹介しながら、過去に実際にGCAからサプライヤーによる汚染を指摘されたときの対応や、これからの取り組みについて説明した。

また、GCAの企業ランキングで下位に位置づけられたキヤノンからは「キヤノンの環境管理戦略」と題して、自社の環境対策について説明が行なわれた。環境製品認証推進部の仁科さんは、これまでGCAとうまくコミュニケーションが取れてこられなかったとして、環境認証や、サプライチェーン管理の仕組みについて、中国のNGOに向けて示した。

2つの企業の間に、情報公開やGCAとの協力について、どこまでどのような方法で進めていくかについて違いはあったものの、可能な範囲でGCAと協力していくことが企業の利益にもなるという姿勢が示されたと言えるだろう。

最後の総合討論では、参加した日本企業に対して会場から、第三者監査の可能性や、実際に今後汚染が発覚した際の対応について質問が相次いだ。それに対して企業側からは、第三者監査を受け入れるには解決すべき課題がまだ多いが、サプライヤーでの汚染発生を独自にチェックする仕組みの導入もしくは導入に向けた検討が始まっているということが紹介された。

また、韓国光州環境運動連合事務局長のイ・ギョンヒさんが韓国企業の話題に触れながら指摘したように、参加者の間で、国やセクターの壁を越えたサプライチェーンの管理と監視を続けていくことの重要性が重ねて確認された。

日本大使館の協力なども得ながら実現したこの会議で作られた、日中韓3カ国のNGOや企業の間のコミュニケーションが今後さらに発展し、中国の環境汚染問題の解決を支えていくことが期待される。

(参考URL)
グリーン・チョイス・アライアンスについて(東アジア環境情報発伝所) 

【筆者】石井 晋平 (ISHII, Shimpei)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[J13030801J]

「雲南ぶくぶく応援団・市民エネルギー研修 中国農村エネルギーの秘密をさぐる5日間」を終えて

中国農村部でのバイオガス・環境教育の状況を探りに現地へ

2012年11月18日から22日の4泊5日で、中国雲南省麗江市へ赴いた。

雲南省は中国の西南に位置し、ミャンマーとの国境がある少数民族の多い地である。漢民族の文化だけでなく、チベット文化の影響もあり、異国情緒を感じる中国国内でも有名な観光地となっている。しかし昨今、観光客の増加や開発により、豊かな自然環境が破壊されているという。

その地で、自ら行動する力を身につけるべく、環境教育が行われている。環境NGO雲南エコネットワークでは学校での環境教育だけでなく、交通の不便な山奥の集落への出前授業も行っている。今回の旅では、雲南エコネットワークの拠点である「緑色家園」を訪問し、活動の紹介から周辺の農村集落を見学、現在のバイオガスプラントの普及状態や使用状態などを見学した。見学後の旅行参加者と現地団体との意見交換は、活発なものとなり、参加者の環境への高い意識が伺えた。

また後日、小学校での環境教育を見学をした。小学校では「母なる地球を守るためには」という題目で授業が行われ、地域的な環境問題だけでなく、地球環境問題が扱われていた。昨年度も、同じ小学校での環境教育の授業を見学したが、教師によって授業の充実さに差があったと感じた。

現在、中国全体で廃棄物問題が浮き彫りになり、現在は政府もモデル都市をつくり、対策にのりだしているが、雲南省などの特に沿岸部から離れた内陸の農村部ではいまだ処理方法が居住地区周辺での野焼きとなっている。廃棄物の種類も昔と異なり、プラスチックなどの生分解質でないものが多く、そのままポイ捨てされている様子であった。

日本ではダイオキシンの発生を防ぐために、学校での焼却処理は禁止されたが、この地では児童が学校で廃棄物を燃やし、処理するという手法がとられていた。この問題に関し、日本で活動をしている参加者などの意見を受け、雲南エコネットワークの陳永松氏が玉龍県の教育部に提案するという。

最終日の振り返りでは、今後はお互いの情報交換を行い、活動を一層活発化させるということで話し合いが行われた。

現在は日中関係が著しく悪化しているが、市民交流を行い、お互いのことをよく知る機会が非常に重要であることを今回の旅で改めて認識した。

【筆者】蓮見 瑠衣 (HASUMI, Rui)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[J13030802J]