グリーン・サプライチェーン円卓会議を北京で開催

「グリーン・サプライチェーン構築のためのNGOと企業の役割」と題し、日中韓のNGOや企業が同じテーブルについて議論を行った。

2013年2月27日、中国・北京においてグリーン・サプライチェーン円卓会議/第6回東アジア環境市民会議(主催:東アジア環境情報発伝所、環友科学技術研究センター、共催:緑色選択連盟(GCA))が開催された。この円卓会議の目的は、サプライチェーンのグリーン化に取り組むNGO同士の交流を推進すると同時に、実際に中国にサプライチェーンを持つ企業を招き、率直な議論を展開することであった。当日は、ふだん接することの少ない、異なるセクターの当事者たちの間に活発な意見交換が実現した。

中国における動向を報告するIPEの馬軍さん

会議の冒頭では、GCAの構成メンバーである環友科学技術研究センターの張テキさんから、GCAの活動について説明が行われた。2007年から、地方のNGOメンバーの協力のもとに汚染源のデータベースを構築し、いくつかの業界や企業にターゲットを絞って、サプライチェーンの環境負荷改善を働きかけてきた経緯が概要的に示された。

次に、サステナビリティ・日本フォーラム代表理事の後藤敏彦さんから、サプライチェーンのグリーン化に関する国際的な動向と、日本の経験について具体的な紹介がされた。後藤さんによると、世界的な環境意識の高まりにともない、日本でも様々な環境認証制度や法規制が官民ともに導入されるようになり、環境・CSR報告書という形で環境経営についての情報公開も進んできたという。環境問題が人権問題の範疇に含められるようになり、サプライチェーン・マネジメントに対する認識も高まっている。しかし認識が高まるとともに、サプライチェーンのグリーン化における技術的、経済的な困難もまたはっきりしてきたという。この困難を超えるためには、円滑なコミュニケーションに支えられた多セクターのパートナーシップによる取り組みが必要である。

続けて、自然大学の馮永峰さんから、独自のデータベース、メディアの活用、様々なパートナーとの協働といったGCAの手法の特徴について整理された。

GCAの国際パートナーでもある東アジア環境情報発伝所からは、これまでGCAと日本企業の橋渡しをしてきた経験について発表が行われた。東アジア環境情報発伝所代表の廣瀬稔也は、当初GCAと日本企業の間にうまくコミュニケーションが取れていなかった状況を、GCAレポートを和訳して発信することや、この会議のような対話の場を設定することで、改善しようとする取り組みについて紹介した。

午後の部では、GCAの呼びかけ人であるIPEの馬軍さんが「環境挑戦と緑色選択」と題して講演を行なった。情報を使った働きかけによりアップル社などのIT企業のサプライチェーン管理を大きく前進させた実績や、これからの活動の課題について、当事者の視点から非常に具体的な紹介と提案がされた。馬軍さんによると、日本などの川上企業側の認識は改善されてきているものの、中国に広がる深刻な環境汚染に対して実際の行動を起こしているとは、必ずしも言えないという。手法をさらに洗練しながら、政府、企業、市民の協力を集めていくことの重要性が強調された。

また、この会議では、中国にサプライチェーンを持つ日本企業として、パナソニックとキヤノンという2つの企業の担当者が招待に応じて参加した。

パナソニック中国環境推進部の趙向東さんは、パナソニックの環境経営の理念を紹介しながら、過去に実際にGCAからサプライヤーによる汚染を指摘されたときの対応や、これからの取り組みについて説明した。

また、GCAの企業ランキングで下位に位置づけられたキヤノンからは「キヤノンの環境管理戦略」と題して、自社の環境対策について説明が行なわれた。環境製品認証推進部の仁科さんは、これまでGCAとうまくコミュニケーションが取れてこられなかったとして、環境認証や、サプライチェーン管理の仕組みについて、中国のNGOに向けて示した。

2つの企業の間に、情報公開やGCAとの協力について、どこまでどのような方法で進めていくかについて違いはあったものの、可能な範囲でGCAと協力していくことが企業の利益にもなるという姿勢が示されたと言えるだろう。

最後の総合討論では、参加した日本企業に対して会場から、第三者監査の可能性や、実際に今後汚染が発覚した際の対応について質問が相次いだ。それに対して企業側からは、第三者監査を受け入れるには解決すべき課題がまだ多いが、サプライヤーでの汚染発生を独自にチェックする仕組みの導入もしくは導入に向けた検討が始まっているということが紹介された。

また、韓国光州環境運動連合事務局長のイ・ギョンヒさんが韓国企業の話題に触れながら指摘したように、参加者の間で、国やセクターの壁を越えたサプライチェーンの管理と監視を続けていくことの重要性が重ねて確認された。

日本大使館の協力なども得ながら実現したこの会議で作られた、日中韓3カ国のNGOや企業の間のコミュニケーションが今後さらに発展し、中国の環境汚染問題の解決を支えていくことが期待される。

(参考URL)
グリーン・チョイス・アライアンスについて(東アジア環境情報発伝所) 

【筆者】石井 晋平 (ISHII, Shimpei)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[J13030801J]

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