草の根の力を実感――秦皇島西部の生活ごみ焼却場反対活動見聞記(上)

住民の合法的環境権を求める活動で工事停止に追い込まれたごみ焼却場を訪れ、同活動のリーダーから話を聞いた。

2012年9月6日、筆者は自然大学ごみ学院の同僚である陳立?氏と共に河北省撫寧県留守営鎮潘官営村へやって来た。今回の旅の目的はただ一つ、住民の合法的環境権を求める活動によって工事停止に追い込まれた秦皇島西部の生活ごみ焼却場を自ら視察し、同活動でリーダーを勤める潘志中、潘佐富両氏を訪問することである。

■住民によって「工事停止」に追い込まれた焼却場

潘官営村は、中国のビーチリゾート北戴河のすぐ近くに位置している。雑誌『財経』7月2日号に書かれているように、遠くから眺めると焼却場はまるで田畑の中にある孤島のようである。

イネ、とうもろこし、ショウガの植えられた農耕地を通り抜けると、焼却場の前にたどり着いた。目の前の光景は「荒れ果てた」としか形容のしようがない。

総投資額数億人民元に上る都市生活ごみ処理プロジェクトを基礎工事の段階で工事停止に追い込んだのは、我々のそばにいる潘志中、潘佐富両氏、及び両氏を支持し続けた近隣の地元の人々である。彼らがどのようにしてごみ焼却場の建設を阻止したかについては『財経』、『第一財経日報』、『鳳凰週刊』等の国内メディアが詳しく報じている。

■衝撃的な偽造環境アセスメント

注目すべきは、潘志中、潘佐富両氏が合法的環境権を求める活動の中で取った最も重要なステップである。それは、代理弁護士の協力の下、秦皇島西部生活ごみ焼却場環境アセスメント報告書の周辺住民参与部分に偽造があったことを立証するために尽力したことである。

中国では、通常、建設プロジェクトの環境アセスメント報告書は、政府とディベロッパーが「機密」を理由に一般に公開することはない。

この環境アセスメント報告書のいわゆる周辺住民参与部分は、当時の地方政府と環境アセスメント部門が周辺住民に対しプロジェクトの計画と建設について公示・公開したということを簡単に記述してある他、百名以上の周辺住民のアンケートが添付してあるが、このアンケートの「記入者」はほぼ全員焼却場建設に賛同するとの意見を表している。

しかしその信憑性を検証してみれば、結果は驚愕的なものであった。潘氏が見せてくれた証拠は、各住民の署名・宣誓・指紋捺印を備えた1枚1枚のアンケートのコピーであった。見てみると、署名した住民全員が、元のアンケートの署名は本人のものでない上に、自分たちは焼却場建設に反対していたと記している。

更にでたらめなことに、2枚の南桃園村からとされるアンケート用紙のうち、1枚は8年前に失踪した住民によってサインされており、もう1枚のサインは偽造されたものであった。これに対し、南桃園村村委会は丁重にもアンケート用紙上に声明を記し、その上村委会の公印まで押しているのである。

(2011年6月20日、北京地球村環境教育中心・達?問環境研究所・公衆と環境研究センター(IPE)・緑家園ボランティアの5つの環境NGOは、共同で環境保護部に書面を提出し、中国気象科学研究院による北京市蘇家?ごみ焼却プロジェクトの環境アセスメント報告『甲級環境アセスメント資質』の取下げを申請すると同時に、国家規定に基づき同研究所に相応の罰金を課すよう要請した。)

■「選挙権を返せ!」

午後、潘佐富氏の家で我々4人はお茶を飲みつつ、市民の権益保護活動の情勢について語り合った。潘佐富氏は、「焼却場の建物をこのまま放置しておくのは決してよくない、我々の目標は計画を完全に撤退させることである」と述べた。

両潘氏は、当時の村委会による焼却場予定地の譲渡は、この件に関わっている住民が土地補償受領協議書にサインをしていないので、違法行為であると認識している。

土地問題は村委会という集団法人に関係しており、村委会の意思決定権を掌握しないと、住民は土地問題について合法的に責任を追及することができない。

村委会の権力がこの利害関係にあることを理解しているので、潘官営村の上級政府は法に則らず、遅々として同村の村委会選挙を行わないのであろう。

そして事態は現状に至り、元々「普通」の合法的環境権に関する事件に過ぎなかったのが、その上に更に中国の地方民主選挙に関する普遍的問題が重なってしまった。

両潘氏は、この件を単純なごみ焼却場建設の是非の問題ではないと認識しており、同村の地方選挙の問題について外部からの助力を切望している。

【筆者】毛 達(環友科学秘書長) (MAO, Da)/環友科学技術研究センター (EnviroFriends Institute of Environmental Science and Technology)/寄稿/ 【翻訳】中文和訳翻訳チームA班 野口順子/[C12102401J]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>