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環境ニュース

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東アジア環境市民会議

セッション1 質疑応答・議論


コーディネーター:これで、韓国環境運動連合の事務所長の徐さん、中国自然の友の康雪さん、そして日本の後藤さんの代理として東アジア環境情報発伝所の廣瀬さんからの報告が終わりました。ディスカッションに入る前に、あらかじめお願いしておりますお二人のコメンテーターからコメントをお願いいたします。まずは、立教大学の石坂先生からお願いします。

石坂:韓国の環境問題、環境運動について、ここに参加されている方はあまりよくご存知ないのではないかと思います。韓国の環境運動は90年代以降、非常に大きな成果をあげてきました。金大中政権発足後、トンガンダムの建設を阻止するという成果を上げたわけですが、これには計画段階で立ち上がったから阻止できたという要因が一つあると思います。それに対してセマングム干潟の問題は、すでに計画がある程度始まっていたために、運動を立ち上げてもそれを完全に白紙撤回できなかったという事情があるわけです。



  いずれにせよ、運動の成果が非常に大きいということと同時に、社会の中で非常に保守的な側の巻き返し、抵抗も非常に大きいということも、今日の報告で確認できると思います。

  そうした状況は、北朝鮮に対する問題や医療保険をはじめとする4大保険の問題など、環境に限らず、社会の全体的な分野にわたって起きています。日本のマスコミは伝えませんが、皆さんにはぜひお知りいただきたいと思います。

 最後に、緑の党についてです。韓国に、緑の党は一応ないと言っていいと思いますが、環境運動が政治にどう関わっていくのか。韓国では、政治勢力化という言葉をよく使いますが、そうした問題も今後の課題として残されていると思います。

コーディネーター:ありがとうございました。続いて東京経済大学教授で、中国の環境法がご専門の片岡直樹先生にコメントをお願いいたします。

片岡:私は日本人の立場で中国法を眺めている人間として、NGO活動とは別の視点で中国の環境問題と人々のかかわり、それから政府についてお話ししたいと思います。 中国の政府と国民の関係は、日本と韓国と違うということは、おそらく皆さんご存知だと思います。そこで、中国が作った環境問題の法律における国民の位置付けについて、大きくは3つあると思います。

  1つは、国民が「監督」する主体であるということです。誰を監督するのかと言ったときに、私の現在の理解では、中央政府を除いた地方政府、および各企業の環境問題を引き起こす活動です。この国民監督は、それなりに成果をあげていくと思いますが、問題は中央政府が正しいか、正しくないかを議論できる政治体制が生まれるかということだろうと思います。

  2つ目は、「参与」という考え方です。アセスメントへの参与に関しは、日本でも韓国でも重要な問題として議論されていますが、中国でも、96年の2つの法律改正・制定の時には、環境アセスメントのプロセスに地域の住民が参与するという規定が入りました。ところが99年、2000年ごろに新しく作られた海洋環境保護法を見ても、参与という制度は消えていてありません。国民が環境政策を形成するときにどう関わるのかについては、外国人の立場の私からは、あいまいになってきているという印象を受けています。


 3つ目は、国民を「動員」するというものがあります。動員で典型的なのは、砂漠化の進行を防ぐために81年以降行われてきた義務植樹という活動です。これは20年間で70億人、350億株という成果をあげたと言われています。しかし20年間たっても、砂漠化は進行しています。そこで、昨年中国政府が用意した新しい法律では、義務植樹に依存するのでなく、政府の植林事業に依存するのでもなく、国民にやってもらうという方向性を打ち出しました。それは、1つは儲ける営利活動で、1つは公益性のボランティア活動です。これが本当にうまくいくかどうかは、これは中国の国民が力量を問われているのだろうと思います。

 こういう状況の中で、中国のNGOは活動をしているということを理解いただければと思います。


コーディネーター:どうもありがとうございました。では質疑に入ります。

質問1:今までの日本の地方自治制度は行政主導型でしたが、総合計画や基本計画といった環境に関する計画、ローカルアジェンダ21やまちづくりのような計画を市民参加で作っていくというふうに変わりつつあります。そこで、地域の環境NGOが自治体の環境政策を市民の手でつくっていく、あるいはプロジェクトを市民自らつくって、それを実行していくということが、環境政策を前進させていく上で極めて大切です。そして、これから環境NGOが地域の子供や市民のエンパワーメントにもっと目を向けていくべきだと思います。中国や韓国のNGOは、地方自治の形成や地域の住民のエンパワーメントということに関してどういう活動をしているのか、あるいは考えているのかをお聞きしたいと思います。

質問2:中国の康雪さんに、中国にとっての日本からの進出企業、特にメーカーが果たす中国における環境保護のメリット、デメリットをお聞きしたいと思います。中国に進出している日本の大企業には、日本国内の環境保護のリーダー的な役割を果たしている企業が多いと思います。中国は日本、韓国と同じような発展をめざしていく中で、日本、韓国が今まで犯してきた発展過程における過ちを中国には繰り返して欲しくないと私たちは願っています。そうした観点から、日本の進出企業を、康雪さんたち中国の環境NGOがどう見ているのかをお聞きしたいと思います。

質問3:韓国には数万人規模のNGOがたくさんあるそうですが、その運動論、どのようにして市民を活動に引き込んでいるのか教えてください。また、韓国では環境教育に関する法律が制定されているということで、現在の動き、新しい状況についてもお聞きしたいと思います。

質問4:徐さんにお聞きします。トンガンダム周辺の住民が建設されたダムで被害を受けているということですが、どういった被害なのかを教えてください。また、ダム解体運動の活動内容と、ダム解体は本当に可能なのかも教えて下さい。

コーディネーター:ありがとうございました。それでは、残りの時間でスピーカーの方にリプライしていただきます。まずは康雪さんから、片岡先生やフロアからの質問について補足をお願いいたします。

康雪:コメントをありがとうございました。また皆様からいただいたすばらしい質問にも感謝いたします。 まず日本の進出企業の役割についてですが、中国では多くの日本企業が活動を行っています。こういった日本の進出企業が中国の環境に与える影響、また彼らの製品が、中国の環境にどのような影響を与えるかは、私たち「自然の友」はまだ環境アセスメントを行っておりません。また私ども「自然の友」以外の環境NGOも、このような環境アセスメントを行っていないと思います。先ほど私の説明の中でも中国の環境NGOについて若干申し上げましたが、その専門性や経験からみて、まだ私たちの取り組みはスタートしたばかりの段階にあります。しかし、機会があれば、そうしたアセスメントをやってみたいと思います。

  次の質問ですが、私たち中国人にとっては、地方自治はなじみの薄い言葉であり、しかも環境NGOが企業や政府に与える影響は限られています。私どもの活動はほとんど一般国民への教育活動に力を入れております。宋慶華さんのいらっしゃる「北京地球村」は、中国のコミュニティでごみの分別はどう進めるかなどの活動を行っております。「自然の友」は北京の大気汚染について、汚染源である大企業は北京郊外に場所を移すべきだと政府に提言したこともあります。

  そして、「自然の友」と「北京地球村」ともう一つの3団体で、去年の1月に北京政府に北京郊外にある人口水道のセメント化の反対運動を行いました。しかし、こういった活動は動物の保護に比べて活動も地味ですので、なかなか成果を上げることができません。 持続可能な戦略に関する政府の意思決定に何らかの影響を与えていきたいというのが私ども環境NGOの主な役割ではないかと思っています。

コーディネーター:ありがとうございました。では最後に徐さんからお願いいたします。

徐:たくさんの質問をいただきましたのでお答えするのに時間がかかると思います。私は環境NGOがつくられて活動をするまでには、3つの段階があると見ています。 最初は、牽制・監視・抵抗するという段階です。環境運動がはじまった初期というのはこの段階であったかと思います。しかしながら、市民の参加が増えて、地方自治体、それから中央政府や企業との協力という形が、第2段階として出てきます。

  日本や韓国では、第1段階、第2段階の活動が非常に活発に行われていると思います。そして次に、市民が中心になって政策をつくる、これが3つ目の段階だと思います。私ども市民団体は、さまざまな提案をすることが可能です。しかしながら、それが政策として確定するのはなかなか難しく、市民中心で主導するためには、多くの研究、そして成果という力がなければなりません。韓国と日本の環境運動は、まだこの段階ほどには活発になっていないと思います。 こうした観点から、地方自治への参加、人材の養成、それから韓国の環境NGOの状況について、そして、トンガンダムの反対運動について簡単に申し上げます。

 ご存知のように、韓国では抵抗運動といった意味では多くの成果があります。先ほど出ましたトンガンダムの建設反対運動、それから核廃棄物処理場の反対運動には、数万人レベルの市民が参加し、勝利しました。現在は、まちづくり、河川の保全、いわゆる未来世代である子供たちの教育などに関して、中央政府、地方政府と協力していろいろな活動を展開しています。韓国では、100あまりの地方自治体でローカルアジェンダ21を策定しています。そこには、ほとんど多くの環境運動を行っている市民団体が参加しています。

 次に、韓国の環境NGOの規模について申し上げます。私が関わっている環境運動連合には、8万7000人の会員がいます。つまり、市民の参加なくしてはいかなる活動もできないということです。抵抗運動もしかり、まちづくりも同じです。それから先ほど中国の方も発言されておりましたけれども、こういった活動を活発にするためにはやはり財源が必要です。私どもの活動を政府や企業から干渉されないようにするために、活動に必要な資金は市民から集めています。多くの市民が寄付をしてくれれば、それによって資金ができれば、私たちは自由な活動ができるわけです。

  私は環境問題を引き起こすのが、中央政府であれ、地方政府であれ、一義的にはまず政府の方に責任があると思っています。政府や企業に責任があると思いますけれども、そういったところから自由に活動するためには、やはり多くの資金が必要になるわけです。そういう風に韓国の環境運動を行っているNGOは、同じような考えをもっておりますので、多くの市民が参加できるようなプログラムをいくつか設けています。韓国の環境NGOは、草の根運動的な非常に小規模な団体から、私どものような全国的で数万人の会員をもつ団体までさまざまです。そして環境NGOは、その多様性と同じようにやっている活動もさまざまです。自然保護を行う環境団体、まちづくりを行う環境団体、そして私たちのように政策提言を行う環境団体まであります。

  基本的にこういった団体は、市民からの寄付によって資金をまかなっています。ですから政府や企業からの財政的な支援はほとんどないと言っていいと思います。2年前に韓国でも非営利民間支援法というのが成立しました。しかしながら、これは体系的に環境NGOを支援する法律というよりは、これまで進められてきた既存の環境NGOへの金銭的な支援を法律化したものにすぎないというものでした。

  最後に大型ダムの建設反対運動についてお話したいと思います。現在、地球規模で異常気象が起こっておりまして、韓国でも今年大きな水害が起こりました。このトンガンダムというのは、東江の上流にあります。今回の水害で、トンガンの上流で氾濫が起きました。これだけの大きな水量が出ましたので、そのダムがそれに対抗できなかったということです。本来、ダムというのは流量を調節する洪水対策という意味もありますが、今回、その機能を全く果たせなかったわけです。それで被害にあった周辺の住民が怒り、このトンガンダムの解体事業を進めているわけです。現在、被害の具体的な状況について研究が始まっています。政府にダムの解体を要請し、住民が集会をもっています。以上で、質問へのお答えという形で終えさせていただきます。

コーディネーター:康さん、徐さん、非常に短い時間で多くの問題に触れていただきありがとうございました。まだまだ議論は午後も続きます。午前中はあくまでも総論ということで、各国の現状とその背景についていろいろ情報を提供しながら議論を始めたという段階です。

  午後からは具体的な課題について、各国どのように取り組んでいるかと、どういった問題があるかということについて議論を深めていきたいと思います。これでセッション1を終えたいと思います。みなさんご清聴ありがとうございました。

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