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東アジア環境市民会議 > 第1回 > 現在注目される環境保護を呼びかけて
東アジア環境市民会議
▲現在注目される環境保護を呼びかけて―
中国の環境保護を目的とした非政府組織(NGO)設立の経緯
康 雪(自然の友)
1.中国での環境保護を目的とする非政府組織(NGO)の発足
(1)設立
1993年4月 中華環境保護基金会発足。環境保護を目的とした非営利の専門民間基金であり、その中で法人資格をもつ基金として中国で初めて設立された。
1992年6月 国家環境保護局初代局長歴任、現在は全国人民代表大会環境と資源保護委員会主任委員の曲格平氏が、地球環境サミット (リオサミット)にて、国連環境計画(UNEP)笹川環境賞を受賞。その賞金10万ドルが中国の環境保護事業推進を目的として寄付され、その資金を基に中華環境保護基金会が設立されて、その初代理事長には曲格平氏が就任した。
1994年3月 自然の友(正式名:中国文化書院緑色文化分院)が、所管の行政機関の認可を経て、正式に非営利公益団体として北京で設立された。自然の友は、環境保護専門家ではない人々をメンバーとして始まり、社会に環境保護の現状とその必要性を訴えること、そして人々の環境への意識を高め環境にやさしい生活を推進すること、環境保護事業を行い中華民族が今後さらに発展していくことに助力すること、を基本理念としている。(詳細は「自然の友」の組織概要参照。)
(2)発足の背景

a:改革開放以後、経済の急速な発展と共に、中国は5つの大きな環境に関する問題に直面している―─水質汚濁、国土の公益的機能発揮の減少、生物多様性の衰退、大気汚染、廃棄物投棄である。
b:専門家を含めた指導的な人々の社会的責任及び環境保護事業の公益的な効果が一般の人々に与える影響力の増大により、社会的に広い層の参加が必要となっている。
c:中国は発展途上の過程にあり、世界の環境に大きな影響を与える国である。そして、経済発展と環境保護との二つの課題実現に取り組んでいる。中国において環境保護は国の基本方針となっており、政府は経済発展を引き続き実現していくことを重要な課題とする一方、一般の人々にも環境保護への参加を呼びかけて、社会全体での環境への配慮を喚起し、理解を得、環境保護を推し進めたいとしている。
d:インターネット普及により、交流が容易になった。
(3)発足の意義
中国の環境保護の非政府組織はすでに社会の中でも重要な役割を担うまでに至っており、その活躍は新しい時代の到来を感じさせ、注目を集めている。
2.中国の環境NGOの現状
日本や韓国に比べると、中国の環境NGOは遅れをとっているものの、ここ10年、非常に早いスピードで発展してきている。現在までに正式に登録している環境保護組織は2000余りある。以下、いくつか具体的な環境保護団体の活動をあげて説明する。
最初は「自然の友」である。セミナーや雑誌の発行を行っており、いろいろな農村に行き、子供たちを対象にレクチャーをしている。また、珍しい野生生物、カモシカの保護活動にも参加している。
次に「北京地球村」。いろいろなコミュニティに植樹をして、その影響力もますます拡大している。北京郊外で環境教育基地という施設を建設した。また今年の8月に、中国の11のNGOを組織して、ハネスブルクサミットに代表団を送った。今まで海外に行ったことのない、しかし、環境保護に情熱をもっている人たちを海外に連れて行き、直接海外の人たちに中国の環境、また自分たちの取り組みについて話す機会を設けたことは、非常に有意義であると思われる。
1998年に発足した「中国環境被害者法律援助センター」は、環境の面でいろいろな被害を受けた人たちに対し、またいろいろな紛争が起きたときなどに、法律的な面からアドバイスする活動を実施している。このセンターで活動している人はすべてボランティアで、法律の専門知識をもっており、中国の環境面での法律の整備や法内容について研究をしている。国際交流も行っており、ほかにも民衆や一般の人たちに法律の知識を普及するためのセミナーを実施したりしている。ホットラインを設け、無償でいろいろな人の相談にのっている。これまで100人以上の環境の被害を受けた人たちに協力して、何らかの法的な措置をとらせている。
次に、北京にある「アースビュー」という資料センターでは、中国の中で最も整った環境に関する資料を備えたデータバンクを有している。海外の優れた環境教育の映像資料を翻訳し、政府部門や環境保護機関、教育機関、研究機関、マスコミ、学校、社会のいろいろな団体に提供している。今、この研究センターに集まっているものは700本以上の映像やビデオ、DVDなどである。その内容は、環境保護の基礎知識、汚染の予防知識、国際環境状況、野生動植物の保護、資源の合理的利用などに及んでいる。
「環境と発展研究所」は1994年に発足し、LEAD Chinaという非常に有名なプロジェクトを推進している。もともとはロンドンに本部がある組織の資金で発足したプロジェクトで、このロンドンにある組織は13カ国・地域に資金を提供してプロジェクトを支援している。中国に関して言えば、いろいろなセミナーを開催し、すでに150人以上の中国人がトレーニングを受けた。ネット上に環境情報データバンクも作っている。中国の環境データについて、もっとも網羅したデータをもっており、それを無償提供している。
1998年に発足した「緑色北京」は、インターネット上の環境保護組織である。中国ではじめての環境保護をテーマとしたバーチャルコミュニティをつくり、2002年には北方草原生態プロジェクトなどを実施している。
「Green River」という1998年にできた組織は、川の上流の自然生態保護を目的としている。チベットと青海省をつなぐ高速道路に自然保護所を作り、全国各地からボランティアが集まって、ここで活動をしている。また、現在中国はチベットと青海省をつなぐ鉄道も建設しており、人々はこの地域で鉄道が建設されると現地の生態系にどのような影響を与えるかを心配しているため、ボランティアたちはこの地域で野生生物の生息について観察したりもしている。観察結果をレポートにまとめ、鉄道部門にも提出している。
そして、今年4月に発足した3つの川の水資源保護協会。3つの川とは、長江、黄河、南宋江で、いろいろな野生動物がこの地域に生息している。主にチベット族がその辺で暮らしており、この地域には仏教を信じている仏教徒が多いので、生き仏を環境保護の会長に務めてもらっている。
1998年に発足した雲南省の省都にあるアゲハ鶴の保護協会もある。アゲハ鶴は絶滅に瀕している非常に珍しい鶴で、中国にしかいない鳥類である。現在、世界に6000羽しか生息しておらず、毎年この雲南省に冬を越すためにやってくるのが4000羽程度である。高原地で生活環境が厳しいため、鶴たちも厳しい環境の中で冬を越すのは大変で、鶴の越冬地では地元の学生や農民を組織して餌を与えたりしている。
次の組織は、北京人形大学に1994年にできた組織で、最初は野外生活をどうすれば良いか、一緒に研究するサークルに近い組織であったが、現在は単なるサークル組織から学生たちによる環境保護団体に変身した。学生たちが卒業し、環境保護の今、もっとも大きな力になっている。
香港の「地球の友」という組織は、83年にできたが、香港でもっとも力のある環境保護組織である。1990年代に入ってから中国大陸の環境保護活動やいろいろな環境保護団体に支援したりしてきている。
NGOとして共通の利点である独立性・主体性・身軽性のほかに、中国の環境NGOは国土の広大さ・生物と文化の多様性の共存など、独自の特色をもっている。また、活動の初期段階であるため、今後他国の経験を活用できること、メンバーの年齢が若い、などの利点も有している。
3.中国の環境NGOの直面している問題
a:未だにNGOに関する法律が制定されていない。
b:資金提供先の限定と資金ルート開拓の困難:現在、資金は主に国外に依存しており、そのために、多くの団体において発足時は資金ルートを十分確保できていない。しかし、長期的に見れば、経済発展とともに国内の資金もしだいに利用できる道が開けていくはずである。
c:経験の浅さによる専門性の欠如:環境保護には専門的な知識が必要とされる。民間の環境保護団体は初めの頃の熱心さとは別に、その後もより上を目指して専門性の高い、内容の充実した組織をつくる必要がある。
d:効率のよい組織作り:組織を有効に機能させるために、制度の活用と能力の拡充は重要である。
e:他のNGOとの協力:国内外を問わず、他のNGOとの協力や適度な競争はNGO全体の拡大やNGOと関わる社会的環境の改善のためには有効である。
f:人的資源を再認識することの重要性:NGO組織を支える最も大切な資源は資金ではない。環境を変えようという使命感・責任感・創造力・知恵・技術・団結心をもち、時間を割いて行動してくれる人、専門の特技をもつ人、マスコミ、協力組織、場所提供者や企業など、様々な人々の協力こそが大切である。
4.終わりに
現在、中国政府は西部地域の開発を進め、WTOへの加盟を果たし、中国の環境NGOが活躍する場は大きく広がってきている。そして、今後の環境保護に大きく貢献していくに違いないと考えている。
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