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地球と生きる方法  > 環境政策 (日本 発)

環境政策 公共交通の価値と自転車の良さを見直そう

 交通の問題を環境の面からみると、排気ガスによる大気汚染や地球温暖化と、それらが人やその他の生物に及ぼす影響など、多くの因果関係があることがわかります。日本の都市は、路面電車やバスといった大量輸送機関、また自転車のような人力だけで動く乗り物などを邪魔者扱いしてきてしまったために、環境に配慮した交通がきちんと整備されていないのが現状です。そこで、路面電車と自転車に焦点を当て、日本の経験と現在の問題点、いくつかの取り組みを簡単に紹介します。

●日本の経験
 路面電車は、自動車に比べて、同じ数の人を同じ距離だけ運ぶときに必要なエネルギーや、それに伴う大気汚染(CO2も含む)が少ない乗り物です。また輸送力が高く、路面電車に乗る人の分の自動車交通を減らしているとも言えます。ところが、東京都をはじめ、全国で路面電車の路線が1960年代をピークに減り続けています。その理由の一つは、都市で自動車が増加し、路面電車が渋滞の原因と言われてしまったためです。

 一方の自転車は、日本では歩道を走っても良いことになっています。これは自転車
の利用が増えた時期と自動車の増加時期が重なったこともあり、自転車利用者の安全を優先したとも考えられますが、歩行者、特に高齢者からは「自転車は危険な乗り物」という印象をもたれがちになった原因ともとらえられます。また、駐輪場が少ないため大都市の駅前などでは「放置自転車」も問題になり、歩行者と自転車との関係はますます悪くなってしまったのです。

 本来環境に配慮した交通手段である路面電車や自転車は、自動車や歩行者との関係で「悪者」であるかのような扱いをされてきてしまっているのです。

●現在の問題点
 しかし、自動車に依存した交通体系にもさまざまな問題があり、例えば以下のような問題点があげられます。

・NOx、SOxをはじめとする有害な大気汚染物質の増加
・CO2、フロンなどの地球温暖化の原因となる温室効果ガスの増加
・交通事故やそれらに伴う保険賠償金支払額の増加
・自動車利用を前提とした大型店舗などの発展による中心市街地の小規模商店街などの衰退。それに伴い、高齢者などが買い物する場所(選択肢)の減少
・自分で自動車を使うことができない「交通弱者」の移動手段(選択肢)の減少

 このままの状態では、人やその他の生物が生活していくことが困難になるため、さまざまな交通手段を「適した時に、程よく使う」ようにミックスしていく必要があります。

●いくつかの取り組み
 こうした交通を改善する活動として、市民団体や自治体がいくつか取り組みを始めています。

「全国路面電車ネットワーク」
 6月10日の「路面電車の日」を受けて、2003年6月15日、日本における路面電車の新設・拡充を促進するために、国内で都市交通の改善をテーマとして活動する市民団体によって設立されました。既に路面電車の路線がある都市のほかに、これから新設を目指す都市の市民団体も含まれており、このネットワークは、各都市の行政などに路面電車の新設・拡充を働きかけるほか、制度や財政の面で政府の支援を求める活動も行う予定です。

 国内での路面電車の新設・拡充は、まだ局部的な動きにとどまっていますが、豊橋での短区間の延長、熊本・広島・岡山での新型車両の導入などがよく知られている事例です。ただし、これらは路面電車システム全体の再活性化という観点ではわずかな効果しかないともいえます。

「自転車を活用するまちづくり」
 1999年から2001年の約3年間で、政府の自転車関係のモデル都市と新聞記事等で自転車に関連する取組みが報じられた自治体は合計90にのぼりました。日本のNGO「環境自治体会議」がそのうち66自治体を調査したところ、多くの自治体で、温暖化防止や自動車渋滞の緩和、住民の健康福祉増進、大気汚染防止を目的に、様々な取り組みをしていることがわかりました。

 例えば、自転車道路や専用レーン、駐輪場の整備の他、自転車に乗るマナーや免許証の交付、自転車利用普及キャンペーンも行われています。また、東京都練馬区・世田谷区などでは、通勤や通学のためのレンタサイクル事業も実施されています。

●まとめ
 自動車に過剰に依存した社会の弊害が認識されるにつれ、ようやく路面電車や自転車などを活用する取り組みが始まりました。しかし、これらの取り組みは全国的に広まっているわけではなく、これから広めていかなくてはならない段階にあります。

 同時に、自動車などを優遇する社会のしくみ、法制度も依然として残っているものが多く、そうした制度改革、新たなしくみづくりが今後の課題になっています。







記事執筆、翻訳
筆者 増原 直樹
団体名 環境自治体会議
URL http://www.colgei.org/
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翻訳者

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