Google WWW を検索 サイト内検索

環境ニュース

市民団体・市民紹介

地球と生きる方法

環境ニュース > 環境汚染 (中国 発)

環境汚染 化学工場の汚染物質排出が、村民多数がガンで死亡した原因として指摘される

北京市 ここ数年、村では一人また一人とガンで死んでいった。今では彼らは病気になっても病院にいかず、またガンと診断されることを恐れている。

 王宝来、55歳・男性、肺ガンにより死亡。劉亜杰、57歳・女性、肺ガンにより死亡。石葵蘭、45歳・女性、血液ガンにより死亡。孔祥臣、23歳・男性、血液ガンにより死亡。2007年12月25日、順義区木林鎮の後王各庄村で、村民の孔凡国が手にしている「ガン病因調査表」中、死亡した村民名のリストは年を追うごとに長くなり、年齢は下がる一方である。「ここ6、7年間で25人がガンにかかり、19人が死亡した」。農民で35歳の孔凡国が言うには、2006年に開始した調査はまだ完了していないが、常住人口が1,029人しかいない村にとってこの数字は「すでにとても異常なことである」。

 多くの村民は、ここ数年、村では「一人また一人がガンになり、一人また一人と死んでいった」と言う。今では彼らは病気になっても病院にいかず、「またガンと診断されることを恐れている」。

■村民の死亡の多くはガンに起因

 「孔」は、 後王各庄村では多くみられる名字であり、孔凡国は親戚が亡くなれば葬儀に参列している。ここ数年、彼が参列した葬儀は多くなる一方で、「多くはガンによる死亡だ」。2006年、孔凡国は、村でガンが頻発している状況について調査を行った。彼は、村が一体どうなってしまったのかが知りたいのだ。孔凡国の家のタンスには、ここ1、2年間の調査資料が入っており、積み重ねると7、8キロの重さがある。その中で絶えず長くなっていく「後王各庄村ガン病因調査表」は、彼が村の家を一軒ずつまわり調査・記録して作成したものだ。調査表によれば、2001年から2007年までにガンを患った村民は計25名、その内肺ガンは8名、食道ガン4名、血液ガン3名、その他に膀胱ガン、リンパ腺ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、胃ガン、咽頭ガン等がある。

■臭気および汚水が数年継続

 村でガンが頻発している原因を調査するため、孔凡国は村民に「後王各庄村ガン疾病社会状況・民意調査表」を配布した。回収された100から200通の調査表によれば、村民は「臭気、汚水、および飲用水」がガンの元凶であると考えている。村民の記憶によれば、2002年から村は一日中臭気に包まれており、「酸っぱい臭い」、「発砲スチロールが焦げる臭い」、「嗅ぐと息ができない」と言う。村の南端から北端までは数百メートルの距離だが、どの家の村民も臭気の存在を裏付けできる。臭気に燻されて目が覚めてしまうため、村民は夏でも窓をあけたがらない。このような臭気は雨や雪が降る前や曇りの日に最もはっきりしている。

 後王各庄村の東側には川があり、後王各庄村と前王各庄村を分けている。両村の村民によれば、2002年以前にはこの川の水は澄んでおり、夏には小魚が見られた。 今では幅2メートルほどのその川には、黒く粘り気のある糊状の層が残っているだけで、直径30センチの管が一本、酸っぱい臭いのする水を緩やかに川に向かって流し続けている。前王各庄村の張青山をはじめとする多くの村民によれば、2006年秋の取り入れ時期に、村民達がライターで川の中の「糊のようなねばねばしたもの」に火をつけようと試みたところ、簡単に火がついた。前王各庄村と後王各庄村は共にこの川に隣接しているが、前王各庄村の村民でガンを患ったのは昨年は2人、一昨年も2人で、後王各庄村よりもずっと少ない人数だ。このため、後王各庄村では、飲用水に問題があるのではないかと疑っている。

 後王各庄村の村民が現在飲んでいる水は、村の南にある井戸からくみ上げられている。村の委員会によれば、村の北側にも深さが80メートル近くある井戸があったが、一部の村民が飲み水を得るのが困難だったため、1998年に現在使われている深さ118メートルのモーターポンプ付き井戸が掘られた。村民たちは皆、村の北側にある以前の井戸の水は甘くおいしかったという。しかし、今の井戸水は村民が飲んだ後によく下痢をおこす。また村民たちは、「熱得快」(訳注1)を使ってお湯を沸かすと2、3回で必ず管の壁に水垢の層ができる、と証言している。更に井戸水は時々「なんとも形容しがたい臭い」がすることがあり、「沸騰させると油の層ができる」。村の水が不味くてガンになる人が増えたため、少し余裕のある村民は飲水器を購入して家に設置し、特に小さい子供がいる家では子供には飲井戸水を飲ませない。

■孔凡国ら村民は、臭気と飲用水の調査を実施するよう何度も村の委員会と鎮政府に要請

 2007年7月付けの「北京市順義区疾病予防管理センター検査報告書」によれば、後王各庄村の生活飲用水は26項目の検査に合格しており、汚染の影響は受けていない。「村の委員会が1,955.5元を支払って検査したものだ」と委員会の責任者の一人は言う。村の臭気と汚水については関連部門による検査が行われたことはなく、委員会のメンバーは、「確かに臭いはするが、有害であるとは確定できない」と述べる。

■化学工場による汚染物質排出が指摘される

 以前に希涛公司に勤めていた村民は、村の臭気と川の汚染はこの会社の生産過程で発生する汚水、粉塵や廃ガスと関連があると考えている。孔凡国は、村の空気が臭気を帯び、水質が悪化したという状況には原因が無い訳がないと言う。彼をはじめ多くの村民は、2002年以前には村は絵に描いたような風景で、空気は清々しく川の水も澄明だったことを記憶している。北京希涛技術開発有限公司(以下、希涛公司)が操業開始する前のことだ。村民達は、希涛公司の門前で自発的に糾弾活動を行い、一度は会社の正門を塞いで説明を求めたため、警察が現場に来て秩序維持を行う騒ぎとなった。多くの村民は、村の臭気は希涛公司に起因し、川にある排水管もこの会社のものだと考えている。川の付近に住んでいる前王各庄村の村民の多くは、「ここ2年に多くの水が排出され、みな黒い水だった」と言う。

 希涛公司は後王各庄村の南に位置し、一番近くの民家まで50メートル足らずのところにある。この会社は1997年に設立され、木林鎮が投資を誘致したプロジェクトで、2002年に操業開始した。当社の責任者一人の話では、「地元の経済成長のためでもある」。順義区工商局が提供した情報によれば、登録されている希涛公司の経営範囲は、技術供与、水処理・選鉱・製紙等の設備の販売、及びアクリルアミド・ポリアクリルアミド・触媒・水処理用化学薬品・アゾ化合物等の製造である。希涛公司の責任者の一人である郝氏が、2007年12月25日に語った話によれば、当社は主に凝集剤の一種であるポリアクリルアミドを生産しており、これは汚水処理に使用される環境保護用製品で、生産過程では汚染や害毒を発生しないと言う。

 王振宇と劉春玉は共に後王各庄村の村民で、2001年から2006年まで希涛公司で働いていた。彼らによれば、この工場は実のところ「環境に優しく無毒」ではない。王、劉両氏が工場に入社した際、「未婚者や子供のいない人は雇わない」ということだった。生産過程においてはゴム手袋やマスク、時には防毒用マスクまで着用する必要があった。切断作業に従事する労働者だった王振宇は手袋をはめていなかったため、作業時に何度も手の甲に火傷を負い、皮膚が剥けた。二人の給与明細には、労働者の月給には防毒費が含まれている、とある。村民の王宝良は、2005年にガンと診断されてから頻繁に当社の付近を歩き回っているが、彼は、頭蓋骨のマークが描かれたプラスチックのドラム缶がトラックで工場に運ばれて行くのを目の当たりにしている。彼はドラム缶の中身が何かは知らないが、「劇毒品でないかぎり頭蓋骨マークをつけるわけがない」と言う。王振宇と劉春玉も頭蓋骨マークのついた袋入りの粉末やドラム缶に入った液体を見た。これはモノマー(単量体)だと技術員が言っているのを聞いたことがあるだけで、正確な名称は知らないが、「工場の試験室の人に、これは発ガン性だから、日頃から果物や野菜をたくさん食べてビタミンを補うように、と言われたことがある」。

 希涛公司の責任者の郝氏は、モノマーとはアクリルアミドのことであり、労働者が言うような恐ろしいものではなく、「不揮発性で非汚染性のもの」と語る。防毒マスクを着用させるのは、労働者が作業規範に従わないために液体が顔や眼にかかって不必要な危険を引き起こすことを恐れているためで、防毒費についてはどんな化学工場でも無くてはならないもので、「害毒が有ることを表しているわけではない」。

 王振宇と劉春玉は、村の臭気と川の汚染は希涛公司の生産過程で発生する汚水、粉塵や廃ガスと関連があると見ている。劉春玉は一旦は班長にまでなったことがあり、各工程について熟知している。彼は、試験室から出る失敗した試薬液、重合反応がうまくいかなかった配合液、及び毎日生産ラインの設備と容器を洗う際に発生する廃水が、全て下水道を通って工場外の川に排出されているのを何度も見ている。その他、生産過程中の乾燥プロセスで発生する水蒸気は排気管から工場の外に向かって排出されているが、「トウモロコシの粒より小さい顆粒」が蒸気とともに工場外に飛んで出ていき、「酸っぱい臭いはこの時一番強い」。労働者達は、重合反応がうまくいかなかったコロイド状の物質をボイラーに投げ込んで燃やしており、その大きな煙突は後王各庄村に面している。

 希涛公司の責任者の郝氏によれば、希涛公司は2004年始めに汚水沈殿池を新規に建設し、上層の澄んだ水は水循環システムを通じて再利用し、下層の不純物は定期的に環境衛生部門が取り除いており、「今では基本的に汚水の排出はしていない」とのことであり、乾燥用ボイラーの煙突も特別な改良を行った。郝氏が提供した2007年6月の検査報告書によれば、順義区環境保護局環境監測所が当社の廃水と炉のモニタリングを行ったところ、各項目とも基準を満たしていた。

(以上は全文の簡約版)

訳注1: 湯を沸すために使われる電熱棒の製品名。


2007年12月25日、ガンで逝去した村民の遺影を家族が村の前に置く。

孔凡国によれば、化学工場からの汚水はこの排水管を経て川に排出されている。


記事執筆、翻訳
日付 2008-01-09
筆者 楊秋莎 (YANG, Qiusha)
媒体 新京報
団体名 環境友好公益協会
(EnviroFriends)
URL http://www.envirofriends.ngo.cn
翻訳者 中文日訳チームA班

掲示板 新規書き込みは >>こちら

No Comments

page top