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アスベストが原因で、亡くなった方が多数いることが明らかになった
今年3月、渋谷公会堂(東京都渋谷区)の天井裏に大量のアスベスト(石綿)がはがれ落ちていたのが発見され、「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」が区に対して、緊急の調査や公会堂の使用中止を含む是正措置を求める一件があった。これは一時的・局地的な事件と見られていたが、6月下旬になり、より重大なアスベストに関する事実が発覚した。
アスベストを材料に、水道管や建材を製造してきた大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市)の社員(退職者含む)や取引業者の間で、アスベストが原因とされる特有のがん「中皮腫」や肺がんなど、アスベスト関連病の発症が顕在化し、過去10年間(1995~2004年度)で51人が亡くなっていたことが公表されたのである。中皮腫は、吸い込んでから発症するまで30~40年かかるため「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。時間の経過に伴い、罹患状況が明らかになった訳である。
クボタによると、アスベスト関連病による社員の死者は、1978年度から出始め、これまでに75人が死亡。兵庫県尼崎市にあった神崎(かんざき)工場の協力会社関係者でもアスベスト関連病で2004年度までに4人が亡くなり、計79人に達した。現在なお、18人が治療中という。従業員家族への被害も明らかになっている。
アスベストを取り扱っていた従業員については、退職後も含め定期的に健康診断を実施し、健康被害を受けた従業員に対しては、同社規定に基づき補償を行っているが、潜伏期間が過ぎたことで、今後も対象者の増加が予想される。
一方、同工場の半径1km以内に住んでいる住民2人も最近1年以内に中皮腫で亡くなり、別の50~70歳代の3人も被害を訴えている。3人は今年4月下旬、クボタ側に「中皮腫の原因は、工場操業によるアスベストの飛散が原因ではないか」などと訴えていた。クボタは旧神崎工場周辺における中皮腫罹患者への対応について、患者や支援団体と話し合い、その結果、多額の治療費等がすでに発生しているなど、少しでも早く対応すべきと同社が判断した3人の患者に対する見舞金の支払いを決定した。
神崎工場では1954年以降、アスベストで強度を高めた水道管などを製造し、累計約24万トンのアスベストを使用。当時は危険性に関する認識はなかったという。1960年からは、住宅建材(屋根材、外壁材)の原料として白石綿を使用していた。しかし、1970年代初頭からアスベストの有害性が問題となり、同社では1975年11月に青石綿を使用した石綿管の製造を中止。2001年11月に白石綿を使用した住宅建材の製造を中止するに至る。(厚生労働省によると、青石綿は1995年に使用禁止、2004年10月にはすべてのアスベストが原則使用禁止となった。7月8日になり、厚生労働省は石綿の使用を全面的に禁止にする方針を決めた。) その後、同工場は1998年に撤去が始まり、現在はクボタ阪神事業所となっている。
今回の事態を受け、環境省は6月30日、大気汚染防止法に基づき、同社から社員や住民の健康状態などについて聴取すると発表。同時に、各都道府県に対し、毒性の強い青石綿の過去の使用実態を把握するよう要請した。
兵庫県も近く調査を始めるとし、特に現在も例外的にアスベストを使用する明石市、西宮市、揖保川(いぼがわ)町の三つの化学製品工場に、立入検査を行う方針を示している。
アスベストを使ってきたメーカーの間で、アスベスト関連病がもとで死亡した従業員数の公表がその後も続いている。クボタの他、86人と公表したニチアスをはじめ、日本バルカー工業、太平洋セメント、曙ブレーキ工業など、死者は20社277人(7月9日現在)にまで増えた。
2003年には全国158工場でアスベストを扱っていたが、現在は原則使用禁止となったため、「今後は激減する見通し」(環境省大気環境課)とのこと。だが、中皮腫を含め、アスベスト関連病の潜伏期間は約20~50年とされる。予断は許せない。他のアスベスト関連企業でも発症者数が急激に増加する可能性は否めない。救済策など、大きな課題になりそうだ。
工場周辺に限らず、日常的なリスクはある。アスベストは自動車のブレーキ材としても使われていたので、型式の古い自動車は、ブレーキ操作により、アスベストの砕片が排気ガスに混入してしまうのである。大気中に放出されるアスベストにも何らかの注意が必要だろう。渋谷公会堂のような例も起こり得る。老朽化した建物や配管からの露出の他、大地震による倒壊、解体工事に伴う場合など枚挙にいとまない。
11日の政府の発表では、(1)健康相談窓口の開設、(2)ビル解体時の飛散防止策、(3)労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づく対策の強化などが対策として示された。
アスベスト問題に取り組む消費者団体などからは「さらなる情報開示」を求める声も出ているが、企業がこうした形でデータをきちんと開示することは以前は考えられなかった。より情報公開を進めやすくし、建設的な協議・対応ができるような場づくりも求められるだろう。
(参考URL)
・石綿対策全国連絡会議
http://park3.wakwak.com/~banjan/
・中皮腫・じん肺・アスベストセンター
http://www.asbestos-center.jp/
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