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東京都世田谷区でも、自転車の利用促進と共有する仕組みづくりのための実験が始まった。
都心部の鉄道の駅前や商店街は、鉄道を利用する人たちが使う自転車があふれ、歩道をふさいだりしている光景をよく目にする。そうした自治体では、多額の税金を使って、放置自転車の撤去や取り締まりを行っているが、いたちごっこで、抜本的な解決策とはなっていないのが実状だ。そもそも自転車の通勤等手段としての地位を軽視し、駐輪場と駅を一体化させた整備を怠ってきたツケが回っているだけ、との見方もある。ともかく解決策は急ぎたい。放置自転車の問題を解決し、地球温暖化対策としても見直しの進む自転車を活かそうと、「レンタサイクル」の導入が各自治体で進んでいるが、レンタサイクルとは一味違った「コミュニティサイクル」を取り入れようとしている自治体も現われている。
「コミュニティサイクル」とは、共用の自転車を通常のレンタサイクルのように借りた場所に返すだけでなく、他の駐輪場(サイクルポート)でも貸出・返却を可能としたシステムで、電車やバスへの乗り継ぎの利便性を高め、公共交通機関の利用を促進できる点に特徴がある。この「コミュニティサイクル」を導入するべく数年前から、全国各地で社会実験(注)が始まっている。
こうした中、遅ればせながら、東京都の世田谷区でも、深刻な放置自転車対策の切り札として「コミュニティサイクル」導入の可否を見極めようと、10月17日から30日の間、5カ所の仮設レンタサイクル設置場所(ポート)での社会実験が始まった。東京23区では、荒川区や台東区などに続く例となる。世田谷区内には、現在すでに3箇所でレンタサイクル(貸出と返却のサイクルポートが同じ)を運営しており、毎日1000人以上が利用しているが、今回の社会実験では、路線の違う駅や駅から離れた区役所にもポートを設置し、さらに利便性を高めた点がこれまでと異なる。
熊本哲之(くまもと・のりゆき)世田谷区長は、「世田谷区から自転車利用の新たな方法を提案し、全国のモデルに」と意気込んでいる。さして新規性はないものの、人口が多い自治体での取り組みという点では社会的影響は大きそうだ。「がやリン」(せた“がや”チャ“リン”コ)という愛称とマスコットキャラまでできているあたりが世田谷区らしい。環境にも身体にもやさしい自転車。利用が増えることは結構だが、放置自転車を減らすこともまた課題。また、自転車が私物化されないよう、つまり、きちんとサイクル(循環)するための仕掛けをどうするかなど、先行事例で出た課題をどこまでクリアできるのかも見所。「がやリン」実験の動向を注視していきたい。
(注)社会実験
新たな施策の展開や円滑な事業執行のため、社会的に大きな影響を与える可能性のある施策の導入に先立ち、市民等の参加のもと、場所や期間を限定して施策を試行・評価するもので、地域が抱える課題の解決に向け、関係者や地域住民が施策を導入するか否かの判断を行うことができる。
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