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生態系 ミナミマグロが減っている

日本全土 魚好き、特に高級魚を嗜好する日本人にとっては、少々気を揉むことになりそうな話題が流れてきた

 魚の中でもマグロの人気は絶大。特にトロ(マグロの腹側の肉で、特に脂肪の多い部分)を好む人にとっては、どのマグロのどの部分というのは一大関心事だろう。高級なトロは、クロマグロ(ホンマグロ)のものが代表的だが、それに次ぐ高級品とされるのが、ミナミマグロ(別名:インドマグロ)のトロ。トロはすし店や料亭で使われることが多いが、刺し身用の一品も高値ながらスーパーなどで買い求めることができるようになり、一般家庭にも出回っている。そのミナミマグロに赤信号が点ったのである。

 主にインド洋南方の他、オーストラリア、ニュージーランド沖など南半球の海に広く分布するため、ミナミマグロと称する。成魚の体長は約1.5メートル、体重は200kgほどにもなる。平均寿命は14~15歳。マグロ類では長生きをする方で、脂の乗りが良いのが特徴。

 ピーク時の1960年代には8万トンを超える漁獲があったが、乱獲が響き、1980年以降は資源量が激減。そのため、日本をはじめとする漁業国により、1994年に条約に基づく保存委員会が設立(今は「みなみまぐろ保存委員会」(CCSBT)と称し、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の漁業国4カ国で構成)され、毎年の漁獲枠を定めるようになった。

 持続可能性を保っているかに見えていたが、CCSBTの科学委員会が2005年9月に資源評価したところ、ミナミマグロの資源量が2000年以降は過去最低レベルで推移していること、1999年以降は回復傾向が見られていないことが判明した。これらは、産卵場であるインドネシア水域(ジャワ島南海)における親魚の減少などから明らかになったという。

 加えて、同委員会で各国の漁獲量データや資源調査結果などを基に試算したところ、現在の漁獲量が続けば、2030年には産卵可能な親魚がほとんどいなくなる可能性が50%に上ることもわかった。

 そのため、CCSBTは、現状の資源量を維持するためには、2007年にほぼ半分まで総漁獲可能量(TAC)を下げる必要があるといった勧告を2005年10月に発表。この勧告に従うと漁獲量は7,770トンに制限されることになる。2006年10月に開かれる年次会合で正式決定されるが、オーストラリアは早々にこの大幅削減策を支持しており、日本の水産庁も追随する見通し。

 2006年の漁獲枠は14,080トンとされている。このうち日本の漁獲枠は6,065トンだが、「他国が漁獲したミナミマグロの大部分も日本で消費されている」(水産庁の談、朝日新聞より)という程、日本での消費が顕著。2007年以降、日本におけるミナミマグロの価格上昇は必至だろう。

 店頭では、同じようにインド洋で獲れ、台湾で加工されたメバチマグロ、キハダマグロなどが目に付く。100gあたり概ね300~400円のこれらのマグロに対し、ミナミナグロはその倍以上(1,000円前後)が相場のようだ。これがさらに上がるようなことになれば、消費離れが起こることは十分予想される。高級トロを食するなら値が上がらない今のうちに、と考えるか、そこまでして食べることはないと考えるか、日本人の嗜好と食意識が試されている。

(参考URL)
・みなみまぐろ保存委員会
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fishery/ccsbt.html


某スーパーでは「みなみまぐろ」を全面に出して販売中




記事執筆、翻訳
日付 2006-01-25
筆者 冨田 行一 (TOMITA, Koichi)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
(East Asia Environmental Information Express Messenger)
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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