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生態系 渡り鳥の飛来地に巨大ウィンドファーム

北海道 国内最大の風力発電基地「宗谷岬ウィンドファーム」が稼働を開始したが…

 2005年12月、北海道稚内(わっかない)市の宗谷(そうや)丘陵にできた国内最大となる風力発電基地「宗谷岬ウィンドファーム」が稼働を始めた。だが、そこは渡り鳥の飛来地でもあった。

 このウィンドファームを建設したのは、東京電力と総合商社トーメンが出資するユーラスエナジーホールディングス(東京)。約1500ヘクタールの敷地に57基の発電用風車が立ち並ぶ。風車の羽根は直径62メートル、鉄塔の高さは68メートルある。総事業費120億円にもおよぶ。総発電容量5万7000kWは、岩手県の釜石広域ウインドファームの4万2900kWを抜き、風力発電基地として国内最大だ。年間平均稼働率を33%前後と見込む場合の総発電量は一般家庭4万1000世帯分と、稚内市の全消費電力の6割に当たる。 経済不況にあえぐ北海道にとって、こうした発電施設ができることは大きく、稚内市も新しいまちづくりにプラスになると期待を寄せている。

 ところが、稚内は国の天然記念物オジロワシやオオワシなどの渡り鳥の中継地。こうした渡り鳥が風車の羽根に衝突する『バードストライク』を心配する声もあり、この建設計画がもちあがってすぐの2003年11月には、懸念した鳥類研究者ら十数名が任意検討委員会を立ち上げた。2004年2月には、北海道苫前(とままえ)町で風車に衝突して死んだと見られるオジロワシの死体が発見されたが、会社側が提出した環境影響評価調査では、鳥が天候や時間帯によって飛行高度を変えることが考慮されないまま、年1基当り2~3羽程度に過ぎないとして建設計画が進められていたことがわかった。

 このため、2004年4月、日本野鳥の会が稚内の環境影響評価調査のやり直しとそれまでの工事着工中止、調査の結果、渡り鳥に重大な影響を与える場合は計画の変更・中止を求める要望書を提出するに至ったのである。

 その結果、ウィンドファームの建設にあたって、風車は渡り鳥が集まる海岸側を避け内陸側に配置されるとともに、月2度の巡回で影響調査を続け、白鳥がやってくる3~5月、9~11月頃には夜間ライトアップをして衝突を防ぐなどの対策を講じている。成果が出るか、注視したいところである。

 バードストライクの可能性を指摘した任意検討委員会の一人は、1)風力発電先進国ドイツでは風力発電によるトラブル回避の方策として、4段階に区分した風力発電規制マップをいくつかの州で作成している。2)ドイツの規制地図にならって「風力発電危険度マップ」(仮称)のようなものを全国ネットワークで作成する段階に来ているのではないか、としている。

 風力発電に代表される再生可能エネルギーは、本来環境への負荷を小さくするためにあるはずだ。それが、こうした環境を損ねかねない事態になるのはなぜだろうか? それは、このウィンドファームが大企業によって建設された大規模施設だからだ。企業の論理では、一度計画が始まったら、環境への影響にかまわず止められないというのがまかり通る。だがこれでは、これまでダム建設によって森が破壊されてきた図式と何ら変わりがない。

 もし、稚内の市民が出資して風力発電を建設するならば、地元の環境を考えて計画するだろうし、規模も小さいので変更も容易になる。せっかくの再生可能エネルギーも、電力会社の買い取り価格の低さから採算性を保つのは厳しく、大規模設備に頼るとなると、大手企業しか参入できないのが実状になってしまう。建設地適性の明確化、小規模発電での採算性向上など、次の課題が見えてきた。風力発電事業は新たな局面を迎えているのかも知れない。

(参考URL)
・ユーラスエナジーホールディングス
 http://www.eurus-energy.com
・日本野鳥の会要望書「宗谷岬ウィンドファーム計画について」
 http://www.wbsj.org/nature/hogo/law/youbou04/040401.html


(イメージ画像)被害が懸念されるオオワシ Photo by (c)Tomo.Yun  http://www.yunphoto.net




記事執筆、翻訳
日付 2006-02-08
筆者 山﨑 求博 (YAMAZAKI, Motohiro)
媒体 寄稿
団体名 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ
URL http://www.sokuon-net.org/
翻訳者

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