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ごみ・リサイクル 電気用品安全法と中古家電の行方

日本全土 06年4月1日から「PSEマーク」のない中古家電の販売が禁止されると、海外への廃棄物輸出が増える恐れがある。

 2001年に施行されていた電気用品安全法(以下、PSE法)により、今年4月1日からPSE(P及びSはProduct Safety、EはElectrical Appliance & Materials の略)マークのついていない中古家電製品の販売ができなくなる。このことが広く発表されたのが今年の2月になってからだったため、十分な対応がとれない、中古家電の販売に携わるリサイクル業者などから反対の声が相次いでいる。

 PSE法は、規制緩和の流れを受けて、1999年に電気用品取締法が改正されてできたものだ。従来の電気用品取締法が、国による検査制度を定めたものだったのに対し、民間による自主検査へと手続きを簡素化するのがPSE法のねらいで、2001年4月1日から施行された。家電メーカーに対して、経済産業省よりPSE法に関する周知徹底がなされ、5年間の経過措置期間(7年、10年の商品もある)が終了する2006年4月1日からは、PSEマークのついた製品しか販売できないことは、自明のことであった。

 ところが今年の2月になって、PSE法施行前に製造されたPSEマークのない中古製品の販売に関しても、4月1日からPSE法が適用されることを経済産業省が発表したために、まさに寝耳に水だった中古家電の販売業界には大混乱が起こった。中古家電の販売が禁止されればそもそも生業が成り立たないし、まだ使える家電製品が新たなごみになれば、日本政府が主導する3Rの潮流にも明らかに逆行する。業界や愛好家からは、制度実施の延期や、中古品を制度対象外にすべきだという反対意見が一斉に表明された。

 もともと中古家電がPSE法の対象となっていたのだろうかと、法成立の国会審議を調べてみたところ、PSE法は「通商産業省関係の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法律案」として内閣から提案された11本の法律の1つで、衆参共に委員会での議論はわずか1日のみ。当時の国会議事録を見るかぎり、「電気用品安全法」の名前すら出てきていない。経済産業省は、元々中古製品も対象だったと強弁しているが、リサイクル業者へのPSE法に関する連絡が今年の2月中旬に入ってからというのは、どう考えてもおかしい。

 PSEマークのない中古家電は、高電圧による漏電テスト(絶縁耐力試験)をクリアすれば、新たにPSEマークを付けて販売できるようになる。しかし、このPSEマークをつける行為で、中古家電の販売業者が「製造者」とされてしまうので、中古家電販売業者が製造物責任を問われる可能性も懸念される。

 また、坂本龍一氏をはじめとする著名なミュージシャンからも、希少価値の高い「ビンテージもの」と呼ばれる電子楽器等の売買ができなくなること、そして、PSEマークをつけるための漏電テストで高価な楽器が壊れる危険性からPSE法への反対表明がなされ、日本シンセサイザー・プログラマー協会が主導した署名活動には7万筆以上の反対署名が集まった。

 こうした全国的なPSE法反対の動きがマスコミでも連日のように報道され、経過措置期間が終了する2週間前の3月14日になって、経済産業省から、(1)中古家電にPSEマークを付するための絶縁耐力試験実施に対する支援、(2)PSEマークを付するための届出書式の簡素化、(3)「ビンテージもの」を対象外にすることなどからなる「電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について」が発表された。

 音楽関係者の意見は取り入れられた形だが、リサイクル業者が問題視する点は依然として解消されておらず、反対の姿勢を崩していない。対象が少ないために法全体の運用への影響が少なく、市民の声を受けて修正した事実が目立つという費用対効果から「ビンテージもの」を対象外にしただけなのでは、というのは、うがった見方であろうか。

 今回の騒動では、中古家電の国内流通面が大きな争点となっているが、加えてもう一つ大きな問題がある。このPSE法では、PSEマークのない中古家電は安全が保証されていないという理由で、国内における販売を禁止しているにもかかわらず、レンタル、そして何よりも海外への輸出については無条件で認めているのだ。このまま制度が実施されれば、PSEマークのない中古家電が大量に輸出されることも十分に想定される。

 3月6日から東京で開催された“3Rイニシアティブ高級事務レベル会合”でも、海外に中古品として輸出される廃電子・電機製品(E-waste)が引き起こす環境問題が重要視されていた。経済産業省は、輸出先となる各国にそれぞれの法規制があるから、それに従えばいいということのようだが、中古家電が輸出されるとすれば、そうした法規制の緩い地域が選ばれるのではないだろうか。ある国で禁止されたものが別の国に流出する問題は今に始まったことではなく、しばしば南北問題としても取り上げられている。他国の人びとの安全はどう考えてるのだろうか。

 経済産業省は予定通り4月1日に制度を実施する構えだが、E-waste問題という観点からも、十分な議論や周知が引き続き必要と考える。PSE法の性急な実施には声を大にして反対したいと思う。

(参考URL)
・電気用品安全法のページ(経済産業省)
 http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/
・電気用品安全法に反対します(リサイクル文化社)
 http://www.antipse.org/
・PSE法(電気用品安全法)の改正を求めます。
 http://sound.jp/pse/
・日本シンセサイザープログラマー協会
 http://www.jspa.gr.jp/


中国広東省グイユに集まったE-Waste(提供:Green Peace China)

「特定電気用品以外の電気用品」に付くPSEマーク

電気用品安全法に反対します(http://www.antipse.org/)より
記事執筆、翻訳
日付 2006-03-17
筆者 廣瀬 稔也 (HIROSE, Toshiya)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
(East Asia Environmental Information Express Messenger)
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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