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環境政策 ミネラルウォーター税導入先送りへ

山梨 山梨県は、検討していた森林整備事業を目的としたミネラルウォーター税の導入を見送った。

 森林整備事業を目的としたミネラルウォーター税の導入を検討していた山梨県は、7月末、課税を先送りする結論を出した。同税については業界から強い反発が出ており、山本栄彦知事がこれらの意見を最終的に考慮した形となった。

 山梨県は県土面積の78%が森林であり、富士山がある地域として知られているが、近年は、林業の不振や林業労働者の減少・高齢化の進行で、森林の管理水準の悪化が指摘されていた。一方で、日本におけるミネラルウォーターの1人当たりの消費量は10年前の約3倍で、確実に増加傾向にある。日本ミネラルウォーター協会による2005年都道府県別生産量の推移統計では、山梨県は全国シェア41%と日本一の生産量となっている。

 こうした状況を踏まえ、同県は2002年から5回にわたり学識経験者、業界関係者を交えた「ミネラルウォーターに関する税」検討会をたちあげ、同税導入に関して検討を重ねてきた。新税制導入に当たり、同県は「採取した水そのものを販売して利益を得るような事業活動は、他の事業活動とは異なり、地下資源や森林整備から特別の受益を得ている」とし、県内に採取地があるミネラルウォーター生産業者に1リットル当たり0.5円を課税することで、年間約2億6500万円を見込んでいた。

 しかし、地下水の利用による「特別の受益」について、一般にはミネラルウォーター製造業という区分がないことなどから、「ミネラルウォーター業界と他の業界との受益の違いを客観的に示すことは困難」「納税義務者を特定かつ少数の者に限定しすぎている」など公平性について疑問の声が上がっていた。

 そこで7月27日付けで出された報告書では、「ミネラルウォーター税について積極的導入は難しいが、代案を検討していく」との方向性が示された。また、同報告書は「地下水資源の保全や森林整備に当たっては県民共有の財産・資源を県民自らが守っていくという意識の醸成が重要」であるとし、さらにミネラルウォーター業界に協力金という形で応分の負担を求めることも考えられると結んでいる。

 これを受け、山本知事は「報告書を尊重はするが、視点を変えながら掘り下げていく」とし、結論を来年以降に出すことを示唆した。今後は鉱物にかかる鉱山税や温泉の入湯税とも比較しながら検討を続けていく予定である。

 また検討会開催と同時に県は、2003年、2004年の2度にわたり県民にミネラルウォーターに関するアンケート調査を実施している。主なアンケート結果は以下のとおり。

・山梨県の森林現状について
「荒廃が進んでいる(と聞いている)」…51%(2003年)、49.1%(2004年)
「それほど荒廃は進んでいない(と聞いている)」…21%(2003年)、22.5%(2004年)
・ミネラルウォーター税について(2003年のみ)
 知っている…52%
 知らない…47%
・また同税導入に対して
「賛成」「税負担の程度にもよるが賛成」…63%(2003年)、55.8%(2004年)
「反対」…17%(2003年)、23.8%(2004年)

*反対派の主な意見としては森林整備事業が必要ならば、他の経費を節約すべきとの意見が約4割を占めた。

・県民均等割り上乗せ課税について(2004年のみ)
「賛成」「税負担の程度にもよるが賛成」…42%
「反対」…45%

 県民の約半数が県の森林荒廃が進んでいるとしながらも、実際、県民自身が新税として負担するという考えにはすんなりとは賛成できないといったところであろう。県の財政のあり方を含め、今後県は厳しい対応を迫られそうだ。仮に県民に税負担を強いるとしても、森林荒廃が具体的にどの程度進んでいるのかきちんと説明し、税負担の必要性が県民にきちんと理解されなければ、新税の導入は難しいと考えられる。

 しかし、県民を含め納税者の同意を得た上で新税が導入されれば、これを機に県民の森林保全に対する認識が高まり、今後環境保全活動への新たな追い風となることも期待できる。単に環境保全のための税制論に注目するだけでなく、得た税収でどれだけの成果が得られるのか本来の目的をきちんと念頭に置いて、これからの山梨県の対応をみていきたい。

<参考資料>
・「ミネラルウォーターに関する税」検討会報告書について
 http://www.pref.yamanashi.jp/barrier/html/zeimu/25_023.html#C1
・ミネラルウォーター税(仮称)に関する県民アンケート調査結果
 http://www.pref.yamanashi.jp/barrier/html/zeimu/25_158.html
・費用負担のあり方に関する県民アンケート調査の結果について
 http://www.pref.yamanashi.jp/barrier/html/zeimu/32795624214.html
・ミネラルウォーター類各種統計
 http://www.minekyo.jp/sub3.htm


左2つは、いずれも山梨県で採取されたものだ




記事執筆、翻訳
日付 2006-08-11
筆者 廣田 智子 (HIROTA, Tomoko)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
(East Asia Environmental Information Express Messenger)
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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