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ごみ・リサイクル 日の出町の廃棄物処分場を歩く

東京 自然豊かなのどかな町に、都会のごみが押し付けられている

 東京都日の出町は、鉄道の駅が無いのどかな町だ。絶滅危惧種のオオタカの営巣が確認されるなど、豊かな自然を残す。この人口1万6000人の小さな町が、400万人の多摩地区の住民が出すごみの焼却灰の最終処分を一手に引き受けていることを知る人は少ない。

■これまでの経過
 1984年に日の出町谷戸沢に廃棄物処分場が設置されて、焼却灰が埋め立てられ始めた。1998年には谷戸沢の処分場(第1処分場)が満杯になり、数100m離れた同町二ッ塚の第2処分場へのゴミの搬入が始まった。

 この間、92年に『朝日新聞』の報道によって汚水遮断シート破損が発覚し、住民の間で健康被害への不安が高まった。93年には第2処分場建設計画の白紙撤回を求める署名が同町の有権者の半数を越える1万2000筆集まった。94年には二ッ塚の建設予定地の森のトラストが始まるなど、住民運動が高揚したが、00年、石原都知事はこの土地を強制収用してしまった。

 果たして、住民の不安は的中してしまう。98年の時点で処分場のある玉の内地区のガン死亡率は全国平均の約3倍、風下の地域は4倍以上となったという。日の出町の男子出生率は20年間で53%から49%に下がり、全国平均よりも2%強低くなった。環境ホルモンの影響が疑われている。14年間で谷戸沢処分場に運ばれた鉛の量2228トンは4950億人に深刻な脳障害を引き起こすことが出来る量と試算されており、わずかな漏出でも大問題となる。

■エコセメント工場の稼動開始
 06年6月からは、二ツ塚処分場の敷地内でエコセメント(焼却灰を原料にしたセメント)工場が稼動し始めた。施設の延命と、資源の有効活用のためだ。ここでも排煙のダイオキシン汚染などが懸念されている。「オオタカの営巣も盛り込んだ報告書は無視されちゃったんだなあ」と、(株)日本鳥類調査が行った環境アセスメントに従事した男性(26)は嘆く。

 エコセメントは20年間で総額1000億円以上の費用がかかると試算されている(三多摩地域広域処分組合が運営)。その資金の出所は、筆者の住む八王子市を筆頭とする多摩地区の自治体である。1トン当たりの製造原価が5万5000円と見積もられるエコセメントを数百円で(株)大洋セメントに卸すなど、納税者にしてみれば納得いかない点も多い。

■現場を歩く
 二ツ塚処分場の周囲は森林の中を通るトレッキングコースとなっている。8月23日、2人の日の出町議、折田眞知子さん(日本共産党)・中西千恵さん(生き生きトマトの会)の案内で裏山に登った。今では処分場建設に反対する町議は、町議会16人中3人となってしまった。

 施設は反対派の見学を拒んでいるので、張り巡らされた高さ2m以上あるフェンスの外側から内側を覗く。子供のころに見た実家の裏にあるダムの造成現場を思い出した。殺風景な砂底の大穴が口を広げていた。中心には真新しい巨大な建物。ホースから散水する人がいる。工場から伝わる地熱を冷却しているという。

 こういった施設の取材に行く度に思う。「一地方の手に負える問題じゃない」と。現代人の生活は大量生産・大量消費・大量廃棄のサイクルにどっぷり浸かっている。偉そうな口を利く私もその共犯だ。日の出町の方々、ごめんなさい。灰のうちのある部分は私が出したごみです。

 でも、こうも思う。生産者(+流通業者)と個々の消費者、現状を変える能力は各々の立場によって自ずと軽重の差がある。EPR(拡大生産者責任)の仕組みを導入しなければごみの総量は絶対に減らない。

 市場の時代である。生産者を動かすのは、増加するごみを決然と拒否する消費者の意志しかない。


葉には、汚染によると思われる奇形が見られる。しかし、このことを証拠として提出しても、「現象だけで科学的根拠がない」と却下される。根拠を出すために調査を行っていた、しるし付きの青木1300本は、証拠隠滅のためか、処分組合側に伐採された。残ったのは10本程。(提供:農大・環境を考える自主ゼミ)

この葉は、葉先が切られたように見えるがそうではなく、奇形で成長点がないので成長が止まってしまっている。(提供:農大・環境を考える自主ゼミ)

エコセメント工場 まわりが黒いのは、ネットの隙間から撮影したため。工場は、切り開いた土地全体をワイヤーのフェンスに黒ネットを張ったもので囲んでいる。フェンスの中にも木がうまく並び、工場全体を見ることはできない。(提供:農大・環境を考える自主ゼミ)
記事執筆、翻訳
日付 2006-09-01
筆者 高橋 徹志 (TAKAHASHI, Tetsushi)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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