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東南アジアで、日本からの廃棄物が押し寄せるのではとの懸念が広がっている
今年9月に小泉前首相とアロヨ大統領との間で交わされ、署名に至った「経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(日比経済連繋協定:JPEPA)」が、11月14日に衆議院、12月6日に参議院にてそれぞれ承認された。
このJPEPAについては、日本ではフィリピンからの看護師の参入に関するばかりがクローズアップされてきた。ところが、日本からフィリピンに輸出される物品の関税撤廃リストには、焼却灰、残渣、医療廃棄物、都市廃棄物、下水汚泥、化学品廃棄物、中古衣類、中古品、などが含まれている。このことから、現地フィリピンでは農民やNGOが中心となって、「JPEPAがフィリピンを『ごみ共和国』に変えてしまう可能性がある」と懸念し、JPEPAのフィリピン上院での承認反対を求めて抗議行動を激しく展開している。
外務省の担当者に確認したところ、JPEPAの11条で有害廃棄物の越境移動を禁止したバーゼル条約などの既存の国際法や日比両国の法律の遵守を、25条でGATTの20条の準用をそれぞれうたっており、関税撤廃リストに有害廃棄物が含まれていたとしても、それらが実際に日本からフィリピンに輸出されることは杞憂にすぎないと言う。
12月5日の参議院外交防衛委員会でも、民主党の榛葉賀津也(しんば・かつや)議員の「関税削減リストから全ての廃棄物を削除すべきではないか」、「有害廃棄物は絶対輸出しないとの約束が必要ではないか」(市民団体共同声明より引用)との質問に対して、政府からは上記外務省担当者と同じような答弁がなされた。
ただ、バーゼル条約では、輸入国の了解さえあれば、条約で規制された廃棄物であっても、その輸出は合法となる。JPEPA第4条の「法令の見直し」では、「一層貿易制限的でない態様で対応することができる場合には、その法令を改正し、又は廃止する可能性を検討する」となっており、市民団体は、廃棄物貿易を規制する既存法を改正することを前提にした有害廃棄物貿易の可能性を示したものと批判している。
また、これまで日本はシンガポールを皮切りに、メキシコ、マレーシアとも同様の経済連繋協定を結んでいるが、化学物質問題市民研究会の調査によって、シンガポールとの経済連繋協定をJPEPAと比較すると、JPEPAのリストに新たに登場した有害物質があることがわかった。先の参議院での国会答弁とあわせて考えれば、フィリピン市民の不安は、杞憂と言うことはできない。
首脳級の国際会議では異例の事態で開催延期となってしまった第2回東アジアサミット参加のため安倍総理がフィリピンを訪問するにあたり、12月8日、日本の市民団体が「日本政府は廃棄物の“国内処理原則”を守り、資源循環に名を借りた“途上国への輸出”戦略を止めるべき」と題する共同声明を出した。
この共同声明では、安倍総理、麻生外相、若林環境相にあてて以下の6点を求めている。
(1)日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)が発効しても有害廃棄物は絶対輸出しないと約束する。
(2)今後締約されるアジア地域内を含む途上国の二国間経済協定に廃棄物を含めない。
(3)廃棄物及び中古品の処理には厳格に「国内処理の原則」を適用し、開発途上国での処理に依存するような政策をやめる。
(4)廃棄物の発生削減を最優先として、国内循環を基本にした3R政策を推進する。
(5)3Rイニシアティブから“物品・原料の国際的な流通に対する障壁の低減”を削除する。
(6)バーゼル禁止修正条項を批准し、リサイクル目的を含めて有害廃棄物の途上国への輸出を禁止する。
現在、日本政府はタイ、インドネシア、ブルネイなどと経済連繋協定の締結をめざして外交交渉を進めているが、12月7日に、タイの市民団体からもフィリピンと同様の危惧があると、日本の市民団体へのタイ市民と連繋して活動して欲しいとの協力要請が飛び込んだ。日本からの廃棄物が大量にもたらされるのではという恐怖が広がっており、インドネシアなどからも同様の声が起こるかもしれない。
日本の最終処分場の残余年数はここしばらく約13年で推移しているとはいえ、廃棄物の排出量はほとんど減っていない。2002年以降、中古家電が中国など海外へ流れ、一部が解体・リサイクル過程での環境汚染を起こすE-waste問題も顕在化している。日本に暮らす者としては、フィリピンやタイの市民が抱いている不安を払拭する努力、そして彼らが直面しつつある危惧が現実とならないような努力が求められるだろう。
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日本大使館前で抗議するエコウェイスト連合の若き緑の戦士。©GAIA
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