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生態系 海洋基本法で自然海岸は保全されるのか?

東京 海洋基本法と環境保全を議論する議員とNGOとの意見交換会が開かれた。

 日本には海に関係のある法律として、海岸法、港湾法などいくつもあるが、国のそれぞれの官庁や自治体などの縦割りで管理されてきた。そこで、省庁を横断し、海全体を総合的な視野で考えた政策をたてようと、今年の4月20日に議員立法によって新たに海洋基本法が成立、4月27日に公布された。

 海洋基本法では、海洋の開発・利用と環境保全との調和などを基本理念とし、政府が海洋基本計画を定め、内閣に置かれる総合海洋政策本部で海洋政策を総合的かつ計画的に推進するとされている。

 この新法ができたことを受け、沿岸域管理や自然海岸保全に取組むNGOが働きかけ、新法の提案者となった国会議員とNGOとの意見交換会が開催された。(5月16日、東京の参議院議員会館にて)

 冒頭、基本法を提案した自民党海洋政策特別委員会事務局長を務める西村康稔(にしむら・やすとし)衆議院議員と民主党の細野豪志(ほその・ごうし)衆議院議員より、海洋基本法の提案背景や概要、環境保全に係る条項の説明などがあった。

 基本法で沿岸域管理や海岸保全に言及した条文は、第18条(海洋環境の保全等)と第25条(沿岸域の総合的管理)の2カ所。基本法という性格上、個別具体的な政策については今後、総合海洋政策本部で立案、閣議決定される海洋基本計画に盛り込まれるとのことだ。また、細野議員からは、この海洋基本法で現状の課題に追いつかない部分は、既存の海岸法の改正などで対応し、関係者の意見をききながら最大限の努力をしていきたいとの発言があった。また、他の参加議員などからも、以前の海の美しさを原体験としてもつ1940年代、1950年代生まれの世代こそ頑張らねばならないという頼もしい発言などがあいついだ。

 しかし、海洋基本法ができたからといって、すぐに何かが変わるというわけでもないようだ。あるベテラン議員によると「基本法」という名の法律は予算がつかないため実効性が弱く、関連する法律の見直しが必要だという。

 意見交換会を主催したNGO「市民がつくる政策調査会」の自然海岸保全制度検討プロジェクトチームからは、国連海洋法条約と海洋基本法に基づき、(1)沿岸域と流域圏の総合管理計画の策定、(2)廃棄物の投棄規制・防止、(3)漂着廃棄物対策、(4)沿岸域整備への市民参加などからなる新法「沿岸域保全・管理法(仮)」の制定が必要との認識が示された。

 今回の海洋基本法は日中の政府間で懸案となっている東シナ海での石油・ガス田開発事業などの安全確保を目的とした安全水域法と共に成立しており、基本法の本当のねらいは海洋資源をどう確保するかであって、環境保全の視点はそれほど強くないように感じられる。日本の自然海岸の保護や湿地などを含む沿岸域の保全にとっては、今後の関連法の見直し・整備、個別かつ具体的な政策の早急な拡充がより重要だといえるだろう。




意見交換会の様子


記事執筆、翻訳
日付 2007-05-18
筆者 廣瀬 稔也 (HIROSE, Toshiya)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
(East Asia Environmental Information Express Messenger)
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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