|
日中の環境NGOやジャーナリストが集ったシンポジウムで、内発的な発展の成功事例などが紹介された。
6月24日、早稲田大学国際会議場 井深大(いぶか・まさる)記念ホールで、早稲田大学WISPJ、早稲田大学環境総合研究センター及び日本環境ジャーナリストの会の共同主催による、「日中環境ジャーナリスト・NGO交流シンポジウム」が開かれ、日中の環境NGOとジャーナリストたちがそれぞれの経験・意見を共有しあった。
前半に行われた基調講演では、中国の「自然の友」梁小燕事務局長、中国初の農民NGO「草海農民環境保護協会」の創設者 鄧儀氏、及び宮城県の「牡蠣の森を募う会」の畠山重篤代表らが、それぞれ取り組んでいる活動を紹介した。
筆者は特に、人間の暮らしと自然環境を調和させ、自然保護と地域の貧困対策を結びつける内発的な発展を実現した鄧儀さんの話に感銘を受けた。事例として挙げた草海国家自然保護区(雲貴高原にある)は、オグロヅル(Crus Nigricollis)や灰色鶴の生息地として有名。しかし人口の増加に伴い、過剰な漁業、湿地の違法開墾などの問題が深刻化し、さらに農民たちが、作物を食べつくした鳥類を殺したり、禁猟の管理漁船と衝突事件を起したりした。自然保護と住民の生存問題は互いに対立するものとして、調和は極めて困難であった。そこで国際鶴基金(ICF)主導の資金が草海に投入されたことをきっかけに、農民たちによる「草海農民環境保護協会」を設立し、自然保護とコミュニティの共同発展に取り組んだ。小額融資制度と村発展信用基金を創り、農民2~5人が1チームとなって、合計412チームが環境保護と農業経営を両立させるプロジェクトを作り、農民たちが自ら事業を推進する参加型方法を模索した。この試みは貴州省により「自然保護と農村発展」のモデルとして評価され、マスコミやイベントなどを通じて広く伝えられた。環境保護と経済発展がWin-Winの関係になってこそ、本当の持続可能な社会が実現できるのだろう。
宮城県で20年間植林活動を続けてきた「牡蠣の森を募う会」の畠山重篤代表は、活動の歩みを語りながら、スローガンや宣伝といったメディアの役割が非常に重要であることを強調した。人々の心を打つスローガンや、だれもが参加したくなる面白い記事などが活動に更なる活気を与えてくれたと、ジャーナリズムとの結びつきを語った。畠山さんたちの植林運動のスローガンは「森は海の恋人」である。後半に行われたパネルディスカッションでは、日中の環境ジャーナリストとNGOの代表らが共同で、環境NGOとジャーナリズムの関係について語った。中国の場合、環境NGOとジャーナリストは、切っても切れないと言ってもいいほど緊密につながっていると、史立紅さん(環境ジャーナリスト・緑色高原代表者)は話した。制度上の制限などにより、NGOとしてできることが限られている中国では、まずはあらゆるメディアを通じて広く宣伝することや呼びかけることが、非常に重要であるそうだ。また、環境NGOがジャーナリスト向けに環境知識講座などを設け、環境ジャーナリストの環境意識・専門性のアップに取り組んでいる事例も紹介された。
「森は海の恋人」活動の報道を続けてきた日本の環境ジャーナリスト、岩瀬昭典さん(河北新報社東京支社長)は、環境NGOの取材を通じて、自然、人間、文化の共存がとても重要なことがわかったと述べた。同時に、ジャーナリストとして市民社会に深く入り込むことや、正しい判断力を持つことが必要であると話した。他にも、中国のジャーナリストたちから、NGOの繋がりの弱さや専門性の不足など、これから頑張ってほしい点などが述べられた。今回のシンポジウムを通じて、日中両国の環境ジャーナリスト・NGOは、お互いの事例や現状を理解するとともに、持続可能な社会を目指してさらなる連携を約束することになるだろう。
|

中国初の農民環境NGO創設のいきさつを語る鄧儀さん

牡蠣の森を募う会の畠山重篤さん

パネルディスカッション
|