|
佐賀地裁は、諫早干拓で水門を解放し、継続的な環境影響調査を命じる判決を出した。
有明海では、干拓事業による湾の締め切りによって特に1997年以後、潮が大きく変化し、深刻な漁業被害に見舞われるようになった。漁民らの訴えを受けて佐賀地方裁判所は6月27日、国に複式干拓の水門を開放し、継続的な環境影響調査を命じる判決を出した。これを受け、上京している漁民らは7月3日、若林農水相に、控訴を断念し、早期に水門を開放、環境への悪影響を軽減するよう要請した。
席上、馬奈木昭雄(まなき・あきお)「よみがえれ!有明海訴訟」弁護団長は、干拓地には代替水源があることを指摘、漁業と農業の両立を目指して、開門についての協議の場を設けるよう農水相に要請した。干拓水門に近接する小長井(こながい)(長崎県諌早市)の漁民・平方宣清(ひらかた・のぶきよ)さんは「『さほど悪影響はない』という言葉を信じて干拓事業に同意した。ところが工事が始まって以来、タイラギはまったくとれなくなり、15年も休漁が続く。水門が閉まって以来、アサリも不漁だ。食うに食われぬ日々が続いている。短期開門(2001年)の際には、アサリが大量に発生し、効果はハッキリしている。有明海環境の再生のため、1日も早く開門して欲しい」と訴えた。
長崎県島原市の漁師・中田猶喜(なかた・なおき)さんは、有明海沿岸の漁師や家族に自殺が絶えない窮状を訴え、おなじく島原の松本正明さんは、息子に漁業を継がせられない哀しみを述べた。若林農水相は席上、地域のさまざまな人の声を聞き、他の関係省庁とも協議した上で地裁判決への対応を決めたいと述べるにとどまった。控訴を断念し、すみやかな開門を求める声は、佐賀県議会、熊本県議会などにもあいついでいる。
諫早湾干拓地は竣工し、2008年4月から営農も始まった。しかし複式干拓の調整池は水質基準を満たさず、諫早市長も代替水源が必要なのではないかと市議会で答弁している。それらを受け、農水相への要請に同席した自民党の広津素子・衆院議員は「水質の優れた高度下水処理水を活用し、水循環型農業のモデルを諫早干拓では実現すべきだ」と提案した。
要請後の記者会見で、中島敏信さん(福岡県大牟田市)は「大牟田の地先には、まだタイラギの稚貝がたつ(発生する)。稚貝がたつ内が、有明海再生のチャンスだ。1日も早く開門して欲しい」と述べた。
有明海の漁民や、支援する市民たちは福田首相や若林農水相らに控訴を断念し、すみやかな開門調査の実施を求めている。
* http://www.shomei.tv/project-69.html
でオンライン署名を募集している他、7月7日から11日までは連日、午前、東京・農水省前で座り込みなどの要請活動を行う予定となっている。支援者の1人として、みなさまの署名と声援をお願い申し上げます。
|

農水相要請後の記者会見で(後列左から 広津素子・衆院議員(自民)、大串博志・衆院議員(民主)、二比聡平・参院議員(共産)/前列左から 平方宣清さん、中島敏信さん、松本正明さん)

調整池のアオコ。農業用水としての安全性が危惧される(2007年11月)

壊滅的な被害を受けた小長井のアサリ養殖場。奥は北部排水門(2007年8月)
|