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環境汚染 高齢の公害患者がより快適に生活できるために

日本全土 高齢化がすすむ公害患者のために「呼吸リハビリテーション」が取り組まれている


■大気汚染と健康被害の発生

 日本では、1960年代前後の高度経済成長期に、全国各地の工業都市で、激甚な大気汚染公害が発生した。そのため、多くの公害健康被害者が発生し、社会問題化した。

 大気汚染が原因で慢性気管支炎、気管支ぜん息、肺気腫等に罹患した公害患者を救済するため、国は1973年10月に「公害健康被害補償法(公健法)」を制定した。公健法は、汚染を排出した企業や国が、公害患者らの医療や療養費等の補償費用を拠出する「汚染者負担の原則」に基づいた、世界でも先駆的な救済制度である。公健法により認定された公害患者は、昭和63年(1988年)7月には41地域で、最大110,074人にのぼった。

■すすむ患者の高齢化

 その後、大気環境の改善を理由として、1987年9月に公害指定地域が全面解除され、1998年3月以後、公害患者の新規認定が全て打ち切られた。一方、既存の公害認定患者の高齢化は年々進んでいる。公健法による認定患者は、2007年3月末現在47,193人、そのうち、65歳以上の患者が約40%となっている。

■息切れと痰・セキに悩み、動けなくなる患者

 アンケートやヒアリングを行うと、高齢の公害患者は「息切れ」が一番苦しいと話す。高齢患者は、一見すると、呼吸器疾患を持たない高齢者と同じように見える。しかし、普段の生活で、階段や坂道を上ったり重い物を持つと、「ゼイゼイ」と息切れや痰、セキが出るため、苦しさが増大し、身体を動かさなくなる。高齢者が身体を動かさなくなると足腰が衰える。足腰が弱ると、同じ距離を歩く際に、より多くの酸素が必要となる。そのため、公害患者が高齢になるとさらに息苦しさが増す、という悪循環が生まれている。

■「息切れと仲良く暮らそう」呼吸リハビリテーションへの招待

 「息苦しさや発作の悩みを、呼吸リハビリテーションプログラムに参加して解消しませんか?」。高齢の公害患者が、病気と上手に付き合い、より快適に生活できるよう、あおぞら財団では、環境省の委託を受け、呼吸リハビリテーションプログラムを作成し、モデル事業を実施している。普段の診療では時間が限られているが、外来や教育入院によるプログラムが導入されることにより、患者は看護師や運動療法士等から、薬の使い方やバランスの良い食事の摂り方、息を吐きながら足や手の筋肉を鍛える運動などを繰り返し学ぶことが可能となる。これは、最新の情報に沿ったリハビリテーションが自宅で継続的にできることを意味する。

 今、最も望まれていることは、全国各地の病院や診療所で、高齢になった公害患者に合う医療情報の提供が可能になることである。長年、病気に苦しんできた患者が、安心して余生を過ごせるよう、今後も継続して取り組みたい。


呼吸リハビリテーションプログラム~運動療法の例

公害病認定患者数の推移

呼吸リハビリテーションプログラム~「私のカルテ」
記事執筆、翻訳
日付 2008-08-08
筆者 矢羽田 薫 (YAHATA, Kaoru)
媒体 寄稿
団体名 あおぞら財団
URL http://www.aozora.or.jp/
翻訳者

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