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10月に新潟で開く東アジア環境市民会議に向け、新書『中国汚染』を題材に講演会・研究会が開かれた。
拙著『中国汚染 「公害大陸」の環境報告』(ソフトバンク新書)の出版から5か月。依然として高い中国の環境への関心を受け、8月26日と27日に、拙著を題材とする講演会と研究会を開いた。
拙著は3章構成で、第1章では現状として、2004年ごろから中国各地で明らかになった深刻な環境汚染の多様な様相をまとめている。第2章では背景として、現状の深刻さは急に生じたものではなく、むしろ何十年も前から部分的な改善と悪化を繰り返してきていて、相応の政策もとられてきたことについて、事実の紹介とともに、考察を記している。第3章では地球温暖化から、日本の一般市民が参加可能な取り組みまで、中国の環境汚染の国際的な広がりを扱っている。
26日の講演会は、東アジア環境情報発伝所が主催の、第4回東アジア環境市民会議に向けたプレ企画であった。講演の題名は拙著と同じで、その内容は、拙著の題名の決定経緯から、最新の訪中調査の首尾をはさんで、拙著で取り上げた事例のうち上記会議参加予定者にも関係する淮河の「がん村」について紹介するとともに、それ以外についても要点や、著者の立場からの読みどころ、読み返して補足が必要と思われたところなどを簡単に説明し、本の中では白黒になっている写真のカラー版も投影公開した。
講演では、一部、未発表の裏事情にも言及した一方、拙著出版後のインタビューや原稿ではたびたびフォローしてきたものの、その後の新たな政策面での動きについては触れることができなかった。そのかわりに、日本の公害現場(被害者とその支援者)と中国の環境汚染現場を「つなぐ」ことに関連し、日本側の高齢化を考えると国内での継承も喫緊の課題となり始めているという、最近の問題意識を述べた。
この講演を聴いた参加者からは、北京五輪の影響、環境NGOの活動状況や政府との関係、淮河「がん村」での医学的な因果関係分析や救済措置、写真の中にあった色の着いた水を「有害」と説明したことなど対して、活発に質問が出された。
それに対する答えの中で、中国の環境汚染でしばしば真相解明がなされないのは、技術の低さとは限らず、その能力はあっても政治・経済・社会的な制約による困難がしばしばある、と述べたことには、多くの参加者から共感が得られたように見えた。そのほか、カラーの写真が見られたのが良かった、扉写真の説明や、地図との関連付けなどの工夫も含め、ネット上での公開を検討して欲しい、という建設的な要望も出された。
27日の研究会は、中国環境問題研究会が主催した。前半は同研究会と東アジア環境情報発伝所の合同企画で「中国環境NGOの現在と日中協力~第4回 東アジア環境市民会議に向けて」と題し、10月に新潟で開催する会議の開催経緯や意図をストレートに伝える内容となった。
私は、日本の中国研究の立場から、新潟会議の意味を「日本の公害経験を中国の環境NGOに伝える」と単純化(会議には韓国も参加するが、今回の話からは割愛)したうえで、中国の環境NGOの発展、日本の公害現場からの国際発信、新潟で会議を開く意味の3点に絞って説明した。特に新潟で会議を開く意味については、以前の記事で述べたことのほか、新潟水俣病に関し被害者・支援者が参加する国際会議は初めてだと聞いていることも、強調した。これらを受けて、発表の全面に関係する質問や意見が出され、活発な議論が行われた。
研究会の後半では、再度、拙著を題材として、特に中国では環境政策がとられているのに環境汚染が深刻なのかについての考察部分について報告し、参加者と討論した。特に、題材とした第2章第5節では、法律面と政治面に重点があり、経済についてはあまり触れていないこと、さらに国内的な検討に終始しグローバル化の要因も触れていないことから、討論では、環境保護投資や産業構造など経済面についてどう考えるか、グローバル化の要因も考慮に入れるべきではないかとのご指摘をいただいた。こうした部分には確かに改善の余地があり、貴重なご示唆をいただくことができた。
26日の講演会はあいにくの雨天もたたってか参加者の出足が鈍かったようにも見えたが、両日の参加者からは新潟会議への期待や取材希望も伝えられ、プレ企画としての最低限の役割は果たせたように思う。2日間にわたり再三の発表の機会を下さるとともに、いろいろ貴重なご意見も下さった皆様に、改めて感謝を申し上げたい。
※本記事は、26日については冨田行一氏(東アジア環境情報発伝所)、27日については大塚健司氏(中国環境問題研究会)から提供された速記録を参照し、講演者がまとめたものである。
(参考記事)
あが便り(序) ― 新潟水俣病を東アジアに伝える意味
http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/J08040901J
(参考URL)
『中国汚染 「公害大陸」の環境報告』
http://www.sbcr.jp/books/products/detail.asp?sku=4797345018
「第4回 東アジア環境市民会議」開催案内
http://www.enviroasia.info/aga/2008/J/index.html
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書籍に掲載された白黒版(上)と元のカラー版(下)

資料に目を落としながら発表を聞く研究会参加者(27日)

講演(質疑応答)の様子(26日)
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