|
「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業の実施」とは
2009年度の補正予算の一つの目玉として、省エネ家電(エアコン、冷蔵庫、地上デジタル放送対応テレビ)への買い換えを促すエコポイント制度が、予算が成立することを前提に見切り発車的にスタートした。温暖化防止が主な目的と思いきや、景気対策の方に重きがおかれているようで、関係省庁(環境省・経済産業省・総務省)の話では、「経済危機対策として速やかに」行われる必要があったため、まだ決まっていない事柄が多い中で始まったとされる。それでも5月15日の初日、家電品を扱う店はどこも賑わいを見せ、思惑通り景気付けにはとりあえずなったようだ。
エコポイントで決まっていることは以下の通り。
・省エネ基準(統一省エネラベル4つ星以上)を満たす家電(エアコン、冷蔵庫、地上デジタル放送対応テレビ)を購入すると、主にサイズ別に一定のポイントが付与される。(表1参照)
・対象商品であればどこで購入してもどんな価格でも一律のポイントが得られる。
・必要な書類(領収書、保証書、下取り時は家電リサイクル券の控え)をしっかり保管しておかないとポイントの申請ができない。
・2009年5月15日から2010年3月末日までに購入した分が対象となる。
逆に決まっていないことの主なものは、
・エコポイント制度の事務作業を請け負う業者
・申請に必要な書類の送り方等、購入者側がすべきこと
・環境配慮型製品や特定事業者の商品券など、ポイントと交換できるものについての方向性は決まっているが、その交換方法や時期など詳細
が挙げられる。
5月15日の午前中、家電量販店が集まるエリアの一つ、新宿西口で二つの大型店舗を見て回ったが、エアコン、冷蔵庫、テレビの各売場は客が途絶えることはなく、常に誰かしらが商品を見、店員と会話し、早い人は会計へ、という状態だった。パソコンや携帯電話といったいわゆる売れ筋の売場の出足が相対的に鈍い印象を受ける程、客の流れに明らかな変化が見られたのである。
見物した二つの競合量販店は、独自のポイントサービスを古くから扱っていた「老舗」である。今回のエコポイントが始まることで、ポイントが乱立することは自明だった訳だが、これをむしろ逆手にとり、「さらにポイント上乗せ」といった触れ込みで強烈にアピールしているところはさすがだと思った。当然のことながら製品本体にはどれが値札かわからない程、あらゆるラベルや表示が貼り付けられていて、総合面でどれが最も環境に(そして家計にも)負担が少ないかをその場で見極めるのは難しい。試しに同タイプの製品で一例を調べてみたところ、表2のようになった。
また、今回は対象3品目の合計1,900万台の買い換えを見越しているそうだが、買い換えということは、当然、使われなくなる大量の家電が発生するということを意味する。特に、2011年からスタートする地上デジタル放送に対応していない旧型のブラウン管テレビが排出される見込みは大きい。しかしながら、2~3年前の家電リサイクル法改正の議論において、メーカーが回収してリサイクルしている廃家電は半数程度という試算がされていたことを考えると、今後要らなくなった廃家電が適正にリサイクルされるかは大いに疑問だ。環境省のウェブサイトでも、「使用済み家電については、適正なリサイクルを進め、買い換えにより新たに環境問題が起きないように配慮しています」となってい
るが、あいにく具体的な対策についての言及はない。
このほかにも問題・課題と考えられることはまだまだある。
・しっかり見極めてうまく利用できる人、買い替え需要のある人など特定層にメリットがある仕掛けであること
・本体価格以外の料金(リサイクル料金、年間の電気代など)を含めたトータルコストの表示に不透明感が残ること(ネットでも店頭でも総合的な価格を見定めるのは時間がかかる)
・そもそも「エコ=省エネ性」と限定的な見方に基づく制度であること(省エネ以外の環境配慮側面が乏しく、既存のものをいかに長持ちさせるか、逆に使わずに済ませるか、といった抑制的な視点も感じられない)
・仮に不要不急のものまで購入することになれば、逆にCO2を増やしかねない、という見方が考えられること
・補正予算で計上している額(3,000億円)以上の申請があった場合の対応が不明なこと(早く買わないと損、という混乱を招くおそれも)
・省エネ基準への適合性はメーカーの自主判断に基づく。仮に虚偽があった場合はエコポイントが無効になる可能性があるが、そうした非常時の対応が不明なこと
など。
エコポイントを加味した情報提供サービスがもてはやされることになりそうだが、まずは自身で必要性の有無を検討し、買い替え前と後でどっちが負荷(環境+家計)が減るかを考え、現物とそこに表示された価格等を実際に足を運んで確かめ(見積書をもらうのも有効)、必要に応じて表計算し、といった手順をしっかり踏むことが要だろう。
参考URL)
エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業の実施(環境省)
http://www.env.go.jp/policy/ep_kaden/index.html
|

エコポイント対象商品でエコポイントのCMを流すところもさすが

(表1)対象3品目のエコポイント一覧(大きめサイズを選んでお得!と言うけれど…)

(表2)ほぼ同じタイプで比較したところ、この通り(どれがおトクかわかりますか?)
|