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給食の完全オーガニック化にチャレンジした村を描いたドキュメンタリー
フランス南部、アルルの近くのガール県バルジャック村。美しい自然に囲まれたこの村で、小学校の給食と高齢者の宅配給食を全部オーガニック化する取り組みの一年間を描いたドキュメンタリー映画「未来の食卓」の試写会に行ってきた。
バルジャック村のショーレ村長は、子どもたちの未来を守るため、そして地球の未来のため、給食のオーガニック化に挑戦する。最初は有機食品は高く品も豊富でない上、そもそもなぜ有機に変えること自体が必要かと疑問に思う保護者たちもいたが、試してみようという気持ちで始まったオーガニック化が、最後には農家も巻き込む村ぐるみの動きに変わる。現在、ガール県内には有機栽培農家は278世帯もあり、フランスをリードする存在になっている。
映画では、果樹園に撒き散らす農薬を調整するたびに鼻血が出るという農家の話が紹介される。最大で一日8回撒く場合は、8回も鼻血を流すということだ。農薬が良くないことは知っている、でも使用しなければ予定の収穫が得られないから仕方がないという悪循環の継続だった。この悪循環にストップをかけるのは、実は農家でなく、私たち消費者であることに気づかされる。見た目がきれいな野菜、より安い価格、一年中様々な野菜が食べたいという私たちの「欲望」が、農薬の撒き散らしやGM(遺伝子組み換え)技術の推進に拍車をかけたのだろう。
娘をガンで亡くしたプリジッド・ソバージュさんは、医者からその原因が妊娠中の殺虫剤の使用と関連性があることを示唆する手紙をもらって、大きな衝撃を受ける。虫類、特に蚊を非常に嫌っていたので、殺虫剤をあちこちにスプレーしたと言い、後悔の念にかられる。ガンとの直接的な関係はないとはいえ、農薬は間接的に免疫力を弱め、ウィルスが増殖する環境を作るということだ。
映画ではまた、村役場での村の人たちによる質問や討論、オーガニック化一年後の子どもたちの感想など、オーガニック化に関する村の人々の生の声がそのまま盛り込まれている。「人の命と健康の代償は一体いくらだ? 費用のことは心配しないでいい。相談相手は自分の良心、それしかない」というショーレ村長の言葉がとても印象に残った。
給食のオーガニック化というのは、実施が一番難しい分野でありながら、一番効果が出るところではないだろうか。難しいというのは、食材の提供者、輸送、学校関連さらに保護者まで、かかわりのあるすべての関係者に相談し、理解を得なければいけないためだ。
だが一旦実施すると、そのプラスの影響も多方面から起きることが期待される。映画でも、学校の給食からヒントを得て、食材の一部を有機にしたり、洗剤などを環境にやさしいものに変えたりする家庭が出始めた。一番いい環境教育ではないかと思う。
112分間の映像はあっという間に終わった。この「未来の食卓」は8月上旬から、シネスイッチ銀座・渋谷アップリンクXにてロードショー公開される予定である。当たり前に思っていた食事情について考えさせるこのドキュメンタリー、フランスでは市議会議員が地方で環境問題についての議案提出という反響まであったという。ぜひ日本でも何らかのアクションにつながることを期待している。
参照リンク
公式HP:http://www.uplink.co.jp/shokutaku/
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