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環境汚染 水俣病未認定患者を救済するための特別措置法が成立

日本全土 今回の“水俣病救済法”では患者は救済されない。

 2009年7月8日、参議院本会議にて、水俣病未認定患者を救済するための特別措置法(以下、特措法)が与党と野党第1党である民主党の賛成多数によって可決成立した。

 この特措法で、「四肢末梢の感覚障害」に加えて、(1)全身性の感覚障害(2)口の周囲の感覚障害(3)舌先2カ所の感覚障害(4)視野狭さくの4つの症状をもつ2万人以上の未認定患者が新たに救済対象になるとみられる。

 新たに救済される未認定患者に対して、加害企業であるチッソを事業継続会社と補償実施・公的債務返済会社に分離し、事業会社の株式売却益をその補償に充てるとされているが、具体的な救済内容や範囲はまだ決まっていない。

 この特措法で救済対象が増えたとはいえ、胎児性水俣病患者にみられる大脳皮質障害による知的障害などは条件からはずされており、特措法による救済対象からはずれてしまう患者は1万人近くにものぼる。そのため原因企業となるチッソを分社化して消滅させてしまうことに対し、多くの患者団体は強い反対の声をあげてきた。

 特措法をめぐっては、当初、与野党の意見が対立していたが、与党と民主党の幹部協議によって、救済対象の範囲の拡大やチッソ分社化手続きを厳格化することなどを盛り込んだ修正法案が合意された。

 この修正法案は、7月3日衆議院環境委員会及び衆議院本会議で一切審議されることなく可決。7月7日には参議院環境委員会、翌7月8日には参議院本会議で採決が行われ、唯一の立法府である国会において、審議が尽くされたとは到底言い難い状況で、特措法が可決成立してしまった。

 7月7日の参議院環境委員会終了後、「水俣病幕引き・チッソ分社化を許さない!! 緊急集会・合同記者会見」が衆議院第2議員会館で開かれた。委員会を傍聴した水俣病不知火患者会会長の大石利生さん、水俣病被害者互助会会長の佐藤英樹さんらは、被害者の声が無視され、審議も十分尽くされず特措法がいとも簡単に委員会で可決されたことへの激しい怒りと、今後は司法の場で救済を勝ち取っていくという強い決意を表明されていた。

 今回のように特措法を新たにつくるまでもなく、2004年に最高裁で示された幅広く被害者を救済する基準をしっかり適用することこそが本筋である。

 水俣病の公式確認から53年。徐々に高齢化しつつある被害者のみなさんが、わざわざ遠く水俣から東京にまで足を運び、炎天下の国会前に座りこんで声をあげられていた。そんな必死の声すらも無視されてしまう現状をどう考えるのか。われわれ一人ひとりに問いかけられている。

(参考URL)
・「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の最終解決に関する特別措置法案」の修正点(与野党協議の合意事項・2009.7.2)(相思社HP)
 http://www.soshisha.org/kanja/2009_07_02yoyatou_goui_bunsho.html

・水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案(衆議院HP)
 http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17101045.htm


衆議院第2議員会館前に座り込んでの抗議

「水俣病幕引き・チッソ分社化を許さない!! 緊急集会・合同記者会見」の様子


記事執筆、翻訳
日付 2009-07-17
筆者 廣瀬稔也 (HIROSE, Toshiya)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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